(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125539
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】電池の製造装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033403
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】義本 明広
【テーマコード(参考)】
5H028
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028AA07
5H028BB17
5H028CC08
(57)【要約】
【課題】一つの加工装置を用いて多品種の生産を行なう場合に生産効率を向上させる電池の製造装置を提供する。
【解決手段】種類が異なる電池の形状ごとにバッテリケースおよび蓋体を保持する治具5aが待機する第一の待機レール31,第二の待機レール32を有し、治具5を搬出および回収する待機部30と、治具5aにて組合せられたバッテリケースおよび蓋体をレーザ溶接する加工部20と、を備えている。待機部30と加工部20との間に設けられた連結部40は、いずれかの第一の待機レール31,第二の待機レール32から治具5aを加工部20の第一のレール11に搬送する第一の連結レール41,第二の連結レール42を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を構成する複数の構成部品を組合せて加工する電池の製造装置であって、
種類が異なる前記電池をそれぞれ保持する第一治具および第二冶具と、
前記第一治具または前記第二冶具を待機させる待機レールを有して、前記第一治具または前記第二冶具を搬出および回収する待機部と、
前記第一治具または前記第二冶具にて組合せられた前記構成部品を加工する加工部と、
前記待機部と前記加工部との間に設けられて、いずれかの前記待機レールを前記加工部に連結させる連結部と、を備えたことを特徴とする、電池の製造装置。
【請求項2】
前記加工部は、
第一のレールと、第二のレールと、を有し、
前記連結部は、前記第一のレールまたは、前記第二のレールとの間で接続を切り換えて前記待機レールのいずれかに連結させる移動可能な連結レールを少なくとも二本、有することを特徴とする、請求項1記載の電池の製造装置。
【請求項3】
前記連結レールは、前記第一のレールおよび、前記第二のレールのそれぞれの接続位置以外の循環路外の位置まで移動可能としたことを特徴とする、請求項2記載の電池の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池(二次電池を含む、以下電池と記す)の製造装置およびこの製造装置を用いて電池を製造する方法としては、複数の構成部品を組み合わせて加工する工程が設けられた搬送路の全長を短縮するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の電池の製造装置では、多品種の生産を行なう場合、異なる形状の治具を生産数に合わせて投入しなければならない。
また、加工後の治具の整理についても、次の生産時に効率良く投入できるように治具の形状が同じもの同士を集めてストックする作業が煩雑でありさらなる改善が求められている。
そこで、本開示は、多品種の生産を行なう場合に生産効率を向上させることができる電池の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の電池の製造装置は、電池を構成する複数の構成部品を組合せて加工する電池の製造装置である。種類が異なる電池をそれぞれ保持する第一治具および第二冶具と、第一治具または第二冶具を待機させる待機レールを有して、第一治具または第二冶具を搬出および回収する待機部と、第一治具または第二冶具にて組合せられた構成部品を加工する加工部と、待機部と加工部との間に設けられて、いずれかの待機レールを加工部に連結させる連結部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、一つの加工装置を用いて多品種の生産を行なう場合に生産効率を向上させることができる電池の製造装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態の電池の製造装置で、電池となる構成部品を保持する治具の構成を説明する斜視図である。
【
図2】実施形態の電池の構成を説明する斜視図である。
【
図3】実施形態1の電池の製造装置で二本の待機レールを設けて、待機部と加工部との間を連結部で連携させた構成を説明する平面図である。
【
図4】電池の製造装置で第二のグループの治具を加工部で循環させる際、連結レールに治具を載せて平行移動させる様子を説明する要部の平面図である。
【
図5】第二のグループの治具を加工部で循環させる際の連結部の移動を説明する要部の平面図である。
【
図6】二つのグループの治具を入れ換える際の連結レールの位置を説明する平面図である。
【
図7】入れ換えの際、回収される第二のグループに続いて第一のグループの治具が加工部に搬送される様子を説明する平面図である。
【
図8】第一のグループの治具の加工が開始されて、第二のグループの治具の回収が進んでいる様子を説明する平面図である。
【
図9】第二のグループの治具が第二の待機レールに整列されて、第一のグループの治具が循環中折り返されて搬送されている様子を説明する平面図である。
【
図10】第一のグループの治具が待機レールに回収される場合と、加工部に戻される場合と、を示す平面図である。
【
図11】実施形態2の電池の製造装置で三本の待機レールを設けて待機レールと加工部との間を連結部で連携させた構成を説明する平面図である。
【
図12】三本の待機レールを備えた電池の製造装置で、三つのグループのうち二つのグループの治具を加工部で循環させる際、一つのグルーブの治具が循環している様子を示す平面図である。
【
図13】二つのグループの治具を入れ換える際の連結レールの位置を説明する平面図である。
【
図14】入れ換えの際、連結レールを用いて治具を退避位置に移動させた様子を説明する平面図である。
【
図15】搬出される治具の待機レールに連結部を接続して待機させている様子を説明する平面図である。
【
図16】第二のグルーブの治具に続けて第三のグループの治具の循環を開始した様子を説明する平面図である。
【
図17】第三のグループの治具を循環路内で循環させる様子を説明する平面図である。
【
図18】変形例1の電池の製造装置で、第三のグルーブの治具が循環している状態から第二のグループの治具と入れ換える様子を説明する平面図である。
【
図19】変形例2の電池の製造装置で、第三のグルーブの治具が循環している状態から第一,第二のグループの治具を割り込ませてランダムに循環させる様子を説明する平面図である。
【
図20】変形例2で、連結部の退避位置を用いてランダムに循環する治具の間に待機レールから搬出された治具を、割り込ませる様子を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の電池の製造装置の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
[実施形態1]
図1~3は、本開示の基本的な実施形態1の電池(二次電池を含む。以下、電池と記す)1を構成する複数の構成部品(ここでは、バッテリケース2および蓋体3)を組合せて加工する電池の製造装置を説明するものである。
図3に示す製造装置100は、主に、第一のレール11および第二のレール12を有する循環路10と、循環路10内に設けられたレーザ溶接機15にてレーザ溶接加工を行う加工部20と、第一の待機レール31および第二の待機レール32を有する待機部30と、待機部30と加工部20との間に設けられた連結部40と、連結部40を介して待機部30と加工部20との間で搬送される複数の治具5と、を備えている。
【0009】
[治具]
図1に示すように治具5は、それぞれ構成部品であるバッテリケース2および蓋体3を左,右一対、二組保持する。
各治具5は、それぞれ搬送治具6と、搬送治具6の進行方向で左,右にそれぞれ設けられた一対の位置決め治具7,7と、を有している。
このうち、搬送治具6は、搬送機構を有するスライダ16に載置されていて第一のレール11または第二のレール12等それぞれのレール上をスライド移動する。
【0010】
また、位置決め治具7には、バッテリケース2,2を保持する凹状のホルダ部8が設けられている。
それぞれのホルダ部8の内側面には、バッテリケース2の外周面に当接して保持するスペーサ8a,8aおよび8b,8bが前後左右にそれぞれ対となるように設けられている。
各スペーサ8a,8bは、複数種類の電池1の製造に用いる大きさの異なるバッテリケース2に対応して複数種類、用意されている。それぞれのスペーサ8a,8bは、位置決め治具7に対して装脱着可能に構成されている。そして、製造される電池1の大きさに合せて交換される。
たとえば、バッテリケース2に対応する何れかのスペーサ8a,8bが装着されたホルダ部8には、それぞれバッテリケース2が所定の高さ位置まで没入されてレーザ溶接に適した所定の位置に保持される。これにより、治具5は、異なる種類の電池1の形状ごとに異なる種類のスペーサ8a,8bで多種類の電池1となる構成部品を保持して循環路10内で移動することが出来る。
【0011】
なお、本実施形態1および後述する実施形態2,変形例1.2では、治具5として異なる形状の電池1を保持する第一のグループの治具5a(No.1~No.11)、第二のグループの治具5b(No.1~No.11:
図3参照)および第三のグループの治具5c(No.1~No.11:
図11参照)を第一治具および第二冶具の一例として示しながら説明する。
この際、第一~第三のグループの治具5a,5b,5cでは、それぞれ最も番号が小さい、例えば(No.1)には、治具5aと符号を付し、同様に構成される第一のグループの治具5aの(No.2~No.11)については、符号の記載を省略している。
【0012】
[電池の構成]
図2に示すように電池1(たとえば二次電池、以下電池と記す)1は、有底筒体のバッテリケース2と、バッテリケース2の内部に収容されて、正極+および負極-となる電極シートがセパレータを介して積層された電極体等の電池構成要素と、蓋体3等の電池構成要素と、を有している。
【0013】
このうち、蓋体3は、平面視略長方形の板状に形成されている。蓋体3には、電池構成要素も含まれている。また、蓋体3は、長手方向に所定寸法離間させて正極+,負極-とそれぞれ接続された一対の電極3a,3aを一部突設させている。さらに、蓋体3の外周縁は、上側の開口部の周囲との間に環状に形成される溶接部位としての溶接経路4を有している。
そして、蓋体3は、バッテリケース2の上面に開口形成された開口部を覆い、溶接経路4に沿ってレーザ溶接機15からレーザ光Lが照射されると、バッテリケース2および蓋体3間がレーザ溶接により接続加工されて筐体1a(
図3参照)となる。
【0014】
[循環路]
図3は、二つのグループの複数の治具5、ここでは第一のグループの治具5a(No.1~No.11)、第二のグループの治具5b(No.1~No.11:
図3参照)のうち、第二のグループの治具5を循環路10内で循環させる様子を示している。
循環路10には、第一のレール11および第二のレール12が平行に敷設されている。
また、第一のレール11の始端および第二のレール12の終端間には、連結部40が設けられている。連結部40は、第一のレール11,第二のレール12および待機部30間を連携させている。
更に、第一のレール11の終端および第二のレール12の始端間には、折り返し機構50が設けられている。折り返し機構50は、第一のレール11および第二のレール12間を連携させて第一のレール11から搬送される治具5を第二のレール12へ移動させる。
これにより、一定数の治具5を用いて電池1の加工を行う場合には、同じグループの治具5を循環路10内で循環させることができる。
【0015】
[加工部]
加工部20の第一のレール11は、搬送方向に沿わせて順次、ケース搬入部21、蓋体挿入部22、治具反転部23、溶接前測定部24、溶接A部25aが設けられていて、搬送される治具5をそれぞれ一時停止させることができる。
このうち、ケース搬入部21は、待機部30から搬送された治具5のホルダ部8に、開口部が下方に向いた状態でバッテリケース2を搬入して装着する。蓋体挿入部22では、開口部に合わせて蓋体3が挿入される。
治具反転部23は、治具5を反転させて、バッテリケース2の開口部を上向きとする。また、溶接前測定部24は、溶接が所望の寸法および位置で行われるように開口部に沿う溶接経路4が配置されている位置を測定する。この際、溶接経路4の高さ位置あるいは水平状態等を位置調整してもよい。位置調整が加工部20の前工程で行われると、溶接品質および溶接速度が向上する。
そして、蓋体3とともに開口部が上向き状態で治具5に保持されたバッテリケース2は、第一のレール11に沿って溶接A部25aまで搬送される。
【0016】
また、第二のレール12には、搬送方向に沿わせて順次、溶接B部25b、溶接後測定部26、電池搬出部27、治具清掃部28、治具反転部29が設けられている。
このうち、溶接後測定部26は、溶接A部25aおよび、溶接B部25bにて、バッテリケース2に蓋体3が正確にレーザ溶接されているか測定する。電池搬出部27は、治具5からレーザ加工された左,右に保持されている二つの筐体1aを排出して循環路10外で図示しない電解液中注入工程方向へ送る。
図3に示すように循環路から排出された筐体1aは、次工程で内部に電解液が注入されて密閉された状態の電池1が製造される。
第二のレール12の治具清掃部28では、空となった治具5を清掃する。治具反転部29では再び治具5を逆さ向きに反転させる。
【0017】
[レーザ溶接機]
加工部20は、第一のレール11および第二のレール12の間にレーザ溶接機15を有している。レーザ溶接機15は、ガルバノスキャナを有していて、溶接A部25aおよび溶接B部25bの内側に位置するレーザ照射範囲に対して上方からレーザ光を高精度かつ高速で走査することができる。これにより溶接A部25aまたは、溶接B部25bに一時停止した治具5がそれぞれ内側に保持しているバッテリケース2の開口部に蓋体3を正確にレーザ溶接して接続加工することができる。
[折り返し機構]
溶接A部25aおよび溶接B部25b間は、折り返し機構50により連携されている。折り返し機構50の折り返しレール51は、第一のレール11の終端または第二のレール12の始端との間をレール幅方向へ平行移動して、それぞれ直線状に接続することができる。
そして、折り返し機構50は、第一のレール11の終端に折り返しレール51を接続した状態で、溶接A部25aから治具5を移動させて折り返しレール51の上に乗せ、第二のレール12との接続位置まで移動する。
折り返しレール51を第二のレール12の始端に接続した状態で治具5を溶接B部25bまでレールに沿わせて移動させる。そして再び折り返しレール51は第一のレール11の終端との接続位置に戻り、次の治具5が直ちに移動できるように待機する。
【0018】
このように折り返し機構50の折り返しレール51は、第一のレール11から搬送された治具5を第二のレール12へ続けて搬送する。この際、第一のレール11および第二のレール12の間で治具5を180度回転させることなく、治具5の移動方向を反対方向へ折り返すことができる。
【0019】
これにより、溶接A部25aまたは、溶接B部25bにそれぞれ到達して停止した治具5は、第一のレール11における進行方向で治具5の左側の電池1から順番に溶接A部25aのレーザ溶接機15にてレーザ溶接される。また右側の電池1が溶接B部25bで同じレーザ溶接機15にてレーザ溶接される。
実施形態1の製造装置100は、循環路10を循環する間に一台のレーザ溶接機15を用いて治具5の両側で接続加工を順次行い、複数の筐体1aを製造できる。
また、右側の電池1を溶接B部25bで溶接する際、次の治具5を溶接A部25aに進めて左側の電池1を溶接A部25aにて溶接する準備を行うことも可能となり、待ち時間を減少させて製造効率を向上させることができる。
そして、治具反転部29で反転された治具5は、第二のレール12の終端に接続される連結部40により、再び第一のレール11の始端に戻されて、電池1の加工に用いることができる。
また、加工を行わない治具5は、第二のレール12の終端に接続される連結部40により、待機部30に戻されて待機状態となる。
【0020】
[待機部]
待機部30は、各セル用搬送治具ストッカとして治具5を待機させる第一の待機レール31および第二の待機レール32を有している。
第一の待機レール31および第二の待機レール32は、それぞれ第一のレール11および第二のレール12の延長線上に長手方向を向けてお互いに平行となるように配置されている。
第一の待機レール31および第二の待機レール32は、構成部品を保持していない空状態の各治具5をそれぞれのレールに沿わせて待機させると共に、連結部40を介して加工部20方向へ所望の治具5を搬送することができる。
そして、第一の待機レール31から加工部20の方向へ搬出および加工部20から第一の待機レール31または第二の待機レール32に回収できる。
さらに第二の待機レール32から加工部20の方向へ搬出および加工部20から第一の待機レール31または第二の待機レール32に回収することができる。
これにより、レーザ加工に使用していない治具5を種類ごとに分類して待機部30の各待機レールに整列させて保管することが出来る。
【0021】
[連結部]
連結部40は、待機部30と加工部20との間に設けられていて、お互いに平行に配置される第一の連結レール41と、第二の連結レール42とを有している。
このうち、第一の連結レール41は、第一の待機レール31と第一のレール11との間の位置(第一の位置P1)から、第二のレール12と第二の待機レール32との間の位置(第二の位置P2)までの間を平行に移動可能に構成されている。
これにより待機部30と加工部20との間が第一の位置P1,または第二の位置P2に位置する第一の連結レール41で接続されて、治具5を双方向に移動させることができる。
さらに、実施形態1の連結部40は、第一の位置P1および第二の位置P2の位置以外の循環路外の位置として、第一の位置P1の外側に、退避位置としての位置P0を有している。
そして、第一の連結レール41は、第一の位置P1,第二の位置P2および位置P0までの間を平行状態のまま、移動することができる。
これにより、第一の連結レール41が位置P0まで移動すると、第二の連結レール42は、第一の連結レール41と干渉することなく、第一の位置P1まで移動することができる。
【0022】
また、第二の連結レール42は、第一の待機レール31と第一のレール11との間(第一の位置P1)と、第二のレール12と第二の待機レール32との間(第二の位置P2)との間を平行状態のまま、移動することができる。
これにより待機部30と加工部20との間が第一の位置P1,または第二の位置Pに位置する第二の連結レール42で接続されて、治具5を双方向で移動させることができる。
【0023】
第一の連結レール41および第二の連結レール42は、それぞれ一つの治具5を載せたまま、または、治具5を載せていない空のまま(以下、空とも記す)、第一の位置P1,第二の位置P2の間をまたは位置P0との間をそれぞれ平行に移動可能に構成されている。
【0024】
また、第一の待機レール31または第二の待機レール32は、第一の連結レール41または、第二の連結レール42は、平行に移動して、加工部20の何れかの第一のレール11または第二のレール12と連結される。
そして、構成部品を保持していない空状態の各治具5を待機部30から加工部20の第一のレール11へ搬出して循環路10に移動させることができる。また、加工を終えて電池1が排出された空の治具5を待機部30へ回収することができる。そして、電池1が排出された空の治具5を空のまま、加工部20に戻して循環路内を循環させて、再度、筐体1aのレーザ溶接に用いることもできる。
【0025】
なお、第二の位置P2を挟んで第一の位置P1から反対側に他の退避位置を設けてもよい。そして、第二の連結レール42は、この他の退避位置まで移動させることにより、第二の位置P2に移動した第一の連結レール41と干渉しないようにすることができる。
【0026】
このように構成された実施形態1の製造装置100は、電池1を構成する複数のバッテリケース2および蓋体3を治具5に保持させて循環路10上を循環移動させながら途中に設けられたレーザ溶接機15にてレーザ溶接する。レーザ加工は、連続して行われて筐体1aを途切れることなく接続加工することができる。
そして、連結部40では、第一の連結レール41および第二の連結レール42をそれぞれ平行移動させて、所望の位置、例えば(位置P0~第二の位置P2で、待機部30の第一の待機レール31または第二の待機レール32と、加工部20の第一のレール11の始端および第二のレール12の終端間を接続して連携させることができる。
また、第一の連結レール41および第二の連結レール42は、第二の位置P2にて筐体1aが排出されて空となった治具5を載せて、第一の位置P1へ平行移動して、第一のレール11の始端と接続することにより、再度、治具を循環路10内で循環させることができる。
このように連結部40による連携で、異なる種類の筐体1aの治具5を所望の順序で搬送および回収することができ、一つのレーザ溶接機15で多品種の電池1の生産を行なう場合に用いて好適である。
【0027】
次に、
図3~
図10に示す実施形態1の製造装置100を用いて、二種類の電池1を製造するための治具5a,5bの流れを説明する。
このうち、
図3~
図6では、加工部20内を循環する第二のグループの治具5b(No.1~No.11)を用いて、バッテリケース2および蓋体3を組み合わせた電池1をレーザ溶接機15にてレーザ溶接して筐体1aとして加工する様子を説明する。
その後、
図7~
図10では、待機部30の第一の待機レール31の上に位置する第一のグループの治具5a(No.1~No.11)によって保持されている異なる種類の筐体1aを加工部20内で循環させてレーザ加工する様子を説明する。
【0028】
例えば、
図3に示すように、予め循環路10に第二のグループの治具5b(No.1~No.11)を配置してもよい。また、第二の待機レール32上に待機させている第二のグループの治具5b(No.1~No.11)を連結部40による連携で、第一のレール11まで搬出して循環路10内を循環させてもよい。この場合、第二の位置P2にて第二の連結レール42上に載せられた第二のグループの治具5を順次第一の位置P1まで平行移動させて、接続された第一のレール11の始端から、循環路10内へ搬出する。そして、第二の位置P2に第二の連結レール42を平行移動させて戻し、接続した第二の待機レール32から次の第二のグループの治具5bを載せて第一の位置P1まで平行移動させる動作を繰り返し行う。
これにより、第二のグループの治具5bを第一のグループの治具5aよりも先行させて、加工部20内で循環させて、必要な数量の電池1をレーザ加工することができる。そして、その後、第二のグループの治具5bに続けて第一のグループの治具5aを加工部20へ導入して循環させることができる。したがってレーザ溶接機15によるレーザ加工を止める必要がなく、異なる種類の電池1を連続させて製造できる。
【0029】
詳しくは、
図4に示すように、第二のグループの空の治具5b(No.2)は、連結部40の第二の位置P2から、第二の連結レール42に載せられて、第一の位置P1へ平行移動される。これにより、治具5b(No.2)は、第一のレール11に戻されて再度、次の電池1の製造に用いることができる。
この際、第一の連結レール41は、位置P0へ平行移動して退避している。したがって、第二の連結レール42は、第一の位置P1へ平行移動しても第一の連結レール41と干渉しない。
【0030】
同時に折り返し機構50では、折り返しレール51が溶接A部25aにて一方の筐体1aをレーザ溶接した治具5b(No.8)を載せて平行移動して第二のレール12の始端に接続される(
図3参照)。これにより、治具5b(No.8)は、折り返しレール51から第二のレール12の溶接B部25bに移動することができる。
図4に示すように溶接B部25bでは、治具5b(No.8)の内側に保持されているまだレーザ溶接されていない内側の筐体1aがレーザ溶接機15によりレーザ溶接される。
この間、折り返し機構50の折り返しレール51が第二のレール12と第一のレール11との間を往復移動して、溶接A部25aにて内側の一方の筐体1aがレーザ溶接されている治具5b(No.8)を載せて第一のレール11の終端から第二のレール12の始端までに平行移動する。このため、次に溶接される筐体1aが内側に保持された治具5b(No.7)を溶接B部25bの手前で待機させることができる。このように、循環路10は、筐体1aのレーザ溶接と治具5bの搬送とを切れ間なく連続させる。これにより空き時間を減少させて生産効率を向上させることができる。
【0031】
図5に示すように、連結部40は、第二の連結レール42を第一の位置P1と第二の位置P2との間で平行に往復動させる。第二のグループの治具5b(No.1)は第二の連結レール42に載せられて、加工部20の第一のレール11に戻される。これにより治具5b(No.1)は、循環路10で循環している他の治具5b(No.2~No.11)に続くように加えられる。また、溶接B部25bの手前で待機していた治具5b(No.7)は、治具5b(No.1~No.11)の循環とともに溶接B部25bに移動して内側に保持されている筐体1aをレーザ溶接機15によってレーザ溶接する。
このように、第二のグループの治具5b(No.1~No.11)に保持されている筐体1aは、順次循環路110内を連続して循環搬送されながらレーザ溶接される。したがって、電池1を製造する際の空き時間を減少させて生産効率を向上させることができる。
そして、続いて第一のグループの治具5a(No.1~No.11)を循環路10に沿って環状に連続させる。これにより、異なるグループの電池1の筐体1aを所望の数量の製造することができる。
【0032】
図6では、第二の連結レール42が第二の位置P2に平行移動して、第二のレール12の終端を待機部30の第二の待機レール32に接続する様子が示されている。第一の連結レール41は、第一の位置P1で第一の待機レール31を第一のレール11の始端に接続する。
これにより、第二のグループの治具5b(No.11~No.1)は、順次、第二の連結レール42の上を通過して、待機部30の第二の待機レール32へ移動可能となる。また、第一のグループの治具5a(No.1~No.11)は、第一の待機レール31から順次、第一の連結レール41の上を通過して、加工部20の第一のレール11へ移動可能なり、第二のグループの治具5b(No.1~No.11)と第一のグループの治具5a(No.11~No.1)との入れ換えが開始される。
【0033】
図7に示すように、第一のグループの治具5a(No.1~)が加工部20に搬送されて循環路10上の循環が開始される。加工部20ではレーザ溶接機15が溶接A部25aまたは溶接B部25bへ循環移動により到達したそれぞれ治具5aの内側の筐体1aが交互にレーザ溶接される。
これにより、たとえば折り返し機構50を介して第二のレール12に移動している第二のグループの治具5b(No.11~No.1)でまだ溶接されていない内側の筐体1aが溶接B部25bにて順次、レーザ溶接される。そして、溶接後判定部にて正常な溶接であると判定された筐体1aは、電池搬出部にて搬出される。空となった治具5b(No.11~No.1)は、清掃および反転されて、第二の連結レール42を通過して、第二の待機レール32に整列された状態となり回収される。
【0034】
図8に示すように、第二のグループの治具5b(No1)に続いて第一のグループの治具5a(No.1~)が循環路10内で循環しながら保持しているそれぞれの筐体1aをレーザ溶接機15の溶接A部および溶接B部に搬送する。これにより二つのグループの筐体1aが途絶えることなくレーザ加工されて、複数種類の電池1を効率よく製造できる。
図9に示すように、第二のグループの治具5b(No11~)は、第二の待機レール32に回収される際、次の第二のグループの電池1の搬出および加工に備えて、順序良く治具5b(No.1~No.11)を待機部30内で整列させて待機させることができる。
【0035】
図10に示すように、連結部40は、第二の連結レール42を第一の位置P1と第二の位置P2との間で平行に往復移動させる。これにより、第一のグループの治具5a(No.1~)は、所望の数量の電池1の製造後、図中実線で示すように待機部30の第一の待機レール31上へ搬送されて回収することができる。
また、図中一点鎖線で示すように、第二のグループの治具5b(No.1~)は、第一の位置P1から加工部20の第一のレール11上に搬送されると、再度、ケース搬入部で搬入されたバッテリケース2および蓋体挿入部で挿入される蓋体3を保持しながら、循環路10内を循環する。したがって、製造装置100は、筐体1aの接続加工を継続して行えて、所望の数量の電池1を製造することができる。
【0036】
このように、電池1の製造装置100では、所望の数量の異なる種類の治具5を所望の順序で循環させて、第一のグループの電池1または、第二のグループの電池1を所望の数量、例えば少量であっても製造できる。この際、異なる形状の電池1であっても連続させた状態で循環させることが可能となる。このため良好な製造効率で電池1の筐体1aを製造できる。
また、実施形態1では、各第一,第二のグループのそれぞれの電池1を各グループ毎に纏めて製造できる。これにより、レーザ溶接機15による電池1の形状が異なる場合であってもそれぞれの溶接経路4(
図2参照)に対する位置合わせおよび調整の回数を減少または簡略化して、さらに正確なレーザ溶接を効率良く短時間で行うことができる。
【0037】
なお、実施形態1の治具5は、
図1に示すように、それぞれ搬送治具6の左,右両側にそれぞれバッテリケース2を保持するホルダ部8が設けられている。このため、溶接A部25aまたは溶接B部25bに到達したそれぞれの電池1(
図2参照)の溶接経路4に対して、連続的なレーザ光Lの照射が単一のレーザ溶接機15を用いて交互に可能となり高速化の妨げとならない。
これにより複数の治具5の連続した循環に加えて、さらに一つのレーザ溶接機15によるレーザ加工を交互に行い一つの治具5で二つの筐体1aの接続加工が可能となりさらに生産性を向上させることができる。
【0038】
[実施形態2]
図11~
図18は、実施形態2の電池の製造装置を説明するものである。なお、実施形態1と同一乃至均等な部分については同一符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、製造装置101は、第一の待機レール31および第二の待機レール32に加えて第三の待機レール33を備えている。
第三の待機レール33は、第一の待機レール31,第二の待機レール32間と等しい間隔で第二の待機レール32の外側に平行となるように配置されている。
また、第三の待機レール33の長手方向の循環路10側端部には、第三の位置P3が設けられている。
【0039】
さらに、連結部40の第二の連結レール42は、位置P0~第三の位置P3間を平行移動するように構成されている。そして、第二の連結レール42は、第三の位置P3で第三の待機レール33と接続されて、第三の待機レール33との間で相互に治具5を移動させることができる。
【0040】
実施形態2では、製造装置101を用いて大きさの異なる電池1をそれぞれ保持可能な三種類のグループの治具5のうち、循環路10上を循環している第二のグルーブの治具5bを、第三の待機レール33にて待機している第三のグループの治具5cと入れ換えて、二種類の電池1の製造を連続させるそれぞれの治具5の移動に沿って説明する。この場合、第一のレール11の始端に最も近い第一の待機レール31上の第一のグループの治具5aは、待機状態のまま、実施形態2における電池1の製造に用いられない。
【0041】
図11に示すように実施形態2では、循環路10を循環している第二のグループの治具5b(No.1~No.11)にそれぞれバッテリケース2および蓋体3を保持させて加工部20に設けられたレーザ溶接機15にて順次レーザ溶接により筐体1aを接続加工する。
この際、実施形態1と同様に、第二の位置P2にて第一の連結レール41上に載せられた第二のグループの治具5bを順次、第一の位置P1まで平行移動させて、接続された第一のレール11の始端から、循環路10内へ搬出したのち、第二の位置P2に第二の連結レール42を平行移動させて戻す。そして、次の第二のグループの治具5を載せて第一のレール11に移動させる動作を繰り返し、所望の数量まで第二のグループの治具5b(No.1~No.11)を循環させて第二のグループの電池1を製造することができる。
【0042】
次に筐体1aの加工を終えて空となった第二のグループの治具5b(No.1~No.11)を、待機部30の第二の待機レール32に回収する。
図12に示すように、第一の連結レール41は、第一の位置P1から第二の位置P2へ平行移動して待機部30の第二の待機レール32と、加工部20の第二のレール12と、の間を接続する。
これにより、第二のグループの治具5b(No.11)は、加工部20の第二のレール12の終端から第一の連結レール41上を通過して待機部30の第二の待機レール32に一つずつ回収される。
同時に、第二の連結レール42は、第二の位置P2から第三の位置P3に平行移動して第三の待機レール33の長手方向の循環路10側端部に接続される。
【0043】
図13では、第一の連結レール41が、第二の位置P2から第一の位置P1を通過して図示しない位置P0方向へ移動する。これと同時に第三の位置P3にて第三のグループの治具5c(No.1)を載せた第二の連結レール42は、第二の位置P2を通過して第一の位置P1へ平行移動する。このように、第一の連結レール41および第二の連結レール42を同時に平行移動させることにより、治具5b,5cを移動させるために必要とされる時間を短縮することができる。
【0044】
図14では、第一の連結レール41が位置P0に退避している状態で、第三のグループの治具5c(No.1)を載せた第二の連結レール42が第一の位置P1まで平行移動して、加工部20の第一のレール11の始端と接続している。
これにより、第三のグループの治具5c(No.1)は、第一のレール11上へ搬送されて循環路10で循環している第二のグループの治具5b(No10~No.1)に続いて加工工程を循環する循環列に加えられる。
【0045】
図15に示すように、第一の連結レール41が位置P0から第二の位置P2に、第二の連結レール42が第一の位置P1から第三の位置P3に、それぞれ治具5b,5cを載せていない状態で同時に平行移動する。
これにより、
図11と同様に第二の位置P2へ復帰した第一の連結レール41は、待機部30の第二の待機レール32および加工部20の第二のレール12の間を接続する。
また、第二の連結レール42は、第三の位置P3に復帰して第三の待機レール33の循環路10側端部に接続されて待機する。これにより、第三の待機レール33上の第三のグルーブの治具5c(No.2)が第二の連結レール42上に直ちに移動することができる。
【0046】
図16では、第二のグループの治具(No.10)が第一の連結レール41上を通過して待機部30の第二の待機レール32に向けて移動して第二のグループの治具(No.11)に続いて回収される。
そして、第三のグループの治具5c(No.2)を載せた第二の連結レール42は、第一の連結レール41とともに平行移動して、第一の位置P1で第一のレール11の始端と接続される。
これにより、矢印γに示すように第三のグループの治具5c(No.2)は搬送されて、先行する第三のグループの治具5c(No.1)に続いて循環路10上の循環列に加えられる。この際、何れの治具5も乗っていない第一の連結レール41は、退避位置に向けて平行移動しているため、第二の連結レール42と干渉することはない。
【0047】
このように、第二のグループの治具5b(No.9~No.1)は、一つずつ第二の待機レール32に回収され、回収と交互に第三のグループの治具5c(No.2)に続いて第三のグループの治具5c(No.3~No.11)は、一つずつ第一のレール11まで搬送されて、電池1を加工する循環路10に加えられる。
また、第二の連結レール42が第一の位置P1に第三のグルーブの治具5cを搬送する際には、第二のグループの治具5bの回収に用いられる第一の連結レール41を位置P0まで移動させる。これにより、第二の連結レール42は、第一の連結レール41と干渉することなく順次、第三のグルーブの治具5c(No.2~No.11)を先行する治具5c(No.1)に続けて循環させることができる。したがって各治具5cが保持している筐体1aは、レーザ溶接機15によって途絶えることなく連続加工される。このように、第二のグループの治具5b(No.1~No.11)と、第三のグループの治具5c(No.11~No.1)との入れ換えが円滑に行われる。したがって、手作業で異なるグループの治具5b,5c等を入れ換える場合と比較して生産効率が向上する。
【0048】
図17に示すように、最後の第二のグループの治具5b(No.1)まで第二の待機レール32への回収が進み、また、第三のグループの最後の治具5b(No.11)まで、第一のレール11への搬送が進むと、循環路10内が第三のグループの治具5c(No.1~No.11)のみとなる。
このため、第三のグループの治具5c(No.1~No.11)を循環路10内で連続循環させて、第三のグループの筐体1aを接続加工することにより所望の数量の電池1を生産することできる。
したがって、実施形態1の製造装置100と同様に、実施形態2の製造装置101は。レーザ溶接機15によるレーザ加工を止めることなく第二のグループの電池1に連続させて第三のグルーブの電池1を製造することが可能となり、異なる種類の電池1を容易に切り換えながら円滑に製造できる。
【0049】
さらに、実施形態2では、第一のレール11の始端に最も近い第一の待機レール31上の第一のグループの治具5aは、循環路10上に搬出されることなく待機状態のままとすることができる。このため、何れの第一の待機レール 31~第三の待機レール33上の治具5a~5cであっても、必要なグルーブの電池1を保持する治具5a等のみを連結部40を用いて加工部20の循環路10に搬出および回収することができる。
【0050】
[変形例1]
図18は、実施形態2の製造装置101を用いた変形例1の電池1の製造方法を説明するものである。なお、実施形態1,2と同一乃至均等な部分については同一符号を付して説明を省略する。
変形例1では、第三のグルーブの治具5c(No.1~No.11)が循環路10を循環している状態から第二の待機レール32上の第二のグループの治具5b(No.1~No.11)と入れ換えられる。
ここで第三のグルーブの治具5cは、第三の待機レール33にストックされた状態から連結部40を介して循環路10に搬送されたものであってもよく、または予め循環路10に配置されたものであってもよい。
第三のグループの治具5c(No.1~No.11)は、保持する筐体1aが順次レーザ溶接されて所望の数量に電池1の生産数が到達すると電池搬出部にて循環路10外に接続加工済みの筐体1aが搬出される。空となった治具5cは、連結部40の第二の連結レール42の平行移動により
図11中矢印αに示す順路を経て、待機部30の第三の待機レール33に回収される。
【0051】
これと同時に第二の待機レール32上に待機していた第二のグループの空の治具5b(No.1~No.11)は、連結部40の第一の連結レール41の平行移動により
図11中矢印βに示す順路に沿って加工部20の第一のレール11の始端に順次搬送されて循環路10内における循環を開始することができる。
順次、第三のグループの治具5cと入れ換えられた第二のグループの治具5bは、第三のグループの治具5cが保持する筐体1aに続けて、レーザ溶接により所望の数量の第二のグループの筐体1aを連続させて加工することができる。そして第二のグループの形状の電池1の生産数が所望の数量に到達すると連結部40の第一の連結レール41を介して、空の治具5cが待機部30の第二の待機レール32に回収される。
【0052】
このように、連結部40は、第一の連結レール41および第二の連結レール42の平行移動で接続を切り換えて、三種類の治具5a~5cのうち、加工に使用される二種類のグループの治具5bまたは5c等を選択的に搬出、加工および回収できる。そして、異なる種類の治具5cまたは5bに切り換えられても、レーザ溶接機15によるレーザ溶接を停止させる必要がなく、連続させてレーザ溶接機15にて接続加工を行うことができる。
また、二種類の電池1のみの製造を行うにも拘わらず加工の必要が無いグループの治具5a等を同様に循環させると、溶接加工が行われない空き時間が生じてしまう。
これに対して製造装置101では、必要なグループの治具5bまたは5cのみを循環路10で循環させることができる。したがって加工部20による筐体1aのレーザ溶接を無駄なく連続させて行うことが出来、生産効率を向上させることができる。
他の構成および作用効果については実施形態1,2と同様であるので説明を省略する。
【0053】
[変形例2]
図19および
図20は、実施形態2の製造装置101を用いた変形例2の電池1の製造方法を説明するものである。なお、実施形態1,2および変形例1と同一乃至均等な部分については同一符号を付して説明を省略する。
変形例2は、
図19に示すように、循環路10を循環している第三のグルーブの治具5c(No.1~No.11)に、必要な数量の第一のグルーブの治具5a(No.1~)または、第二のグループの治具5b(No.1~)を必要な数量割り込ませている。
【0054】
図20では、第三のグループの治具5c,5c(No.9,No.6)間に第二のグループの治具5b(No2)および第一のグルーブの治具5a(No.2)を二つ割り込ませている。また、第三のグループの治具5c,5c(No.6,No.3)間に第二のグループの治具(No3)および第一のグルーブの治具(No.3)を二つ割り込ませている。さらに、第三のグループの治具5c,5c(No.3,No.1)間に第二のグループの治具5b(No4)および第一のグルーブの治具5a(No.4)を二つ割り込ませている。
そして、電池1の製造に不要となった第三のグループの治具5c(No.2等)は、第三の待機レール33上に回される。
このように変形例2では、製造装置101を用いて、第一のグループの治具5a、第二のグループの治具5bおよび第三のグループの治具5cをランダムに並べて循環路10内で循環させることができる。これにより、所望の数量例えば単数または二つ以上の同じグループの筐体1aを連続して接続加工でき、各第一~第三グループの電池1を少量ずつ、異なる数量であっても容易に製造可能である。
【0055】
さらに
図20に示すように、第二のグループの治具5b(No4),第一のグループの治具5a(No4)に続けて第三のグループの治具5c(No.1)を循環路10で循環させることもできる。
この際、第一の連結レール41に第二のグループの治具5b(No.1)を載せて、位置P0に退避させる。これにより第二の連結レール42は、第一の連結レール41と干渉することなく、第一の位置P1~第三の位置P3にて、第一の待機レール31~第三の待機レール33の何れかに接続することができる。
このため、第二の連結レール42は第一の位置P1で、第一のグループの治具5a(No.5)を通過させて循環している順番に加える循環に加えることが出来る。また、第二の位置P2,第三の位置P3にて載せた第二のグループの治具5b(No5)または、第三のグループの治具5c(No.2)あるいは、第一の連結レール41を第一の位置P1に戻して第二のグループの治具5b(No.1)を循環に加えることも出来る。
【0056】
したがって、加工部20中でランダムに循環している治具5a~5cの間の何れの箇所に対しても、所望の第一~第三のグループの治具5a~5cを必要な数量だけ割り込ませて、種類が異なる電池1の生産数量を個別に変更可能である。
また、レーザ溶接機15等一つの加工装置を用いて多品種の電池1の製造を良好な生産性で行える、といった実用上有益な作用効果を発揮できる。
他の構成および作用効果については、実施形態1,2および変形例1と同様であるので説明を省略する。
【0057】
上述してきたように、実施形態1,2および変形例1,2の製造装置100,101は、複数種類の電池1を所望の数量、一台のレーザ溶接機15でランダムに加工することができる。このため、製造装置100等は、種類の異なる電池1の形状ごとに構成部品、例えば、
図2に示すバッテリケース2および蓋体3をそれぞれ保持する複数の治具5a~5bまたは5cと、
図1に示す治具5を待機させる第一の待機レール31,第二の待機レール32(
図3参照)または第三の待機レール33とを有して、治具5a~5cを搬出および回収する待機部30と、それぞれの治具5a~5cにて組合せられたバッテリケース2および蓋体3をレーザ溶接により加工する加工部20と、を備えている。
そして、待機部30と加工部20との間に連結部40を設けて、いずれかの第一の待機レール31,第二の待機レール32等を加工部20の第一のレール11に連結させている。
【0058】
このように構成された実施形態の製造装置100では、一つの加工装置を用いて多品種生産を行なう場合に生産性および溶接品質を維持しつつ、装置コストの増大を抑制することができる。これにより電池の製造コストを低減させることができる。
詳しくは、レーザ溶接機15の数量を二台等、複数として増大させることなく、たとえば、加工部20で二本の第一のレール11と、第二のレール12とを用いた場合、一つのレーザ溶接機15で複数種類の電池1を載せてランダムに治具5を循環させても、待機部30からそれぞれの種類の治具5を搬出および回収することが可能となる。
このため、待機部30を効率的に運用することが出来、待機レールの本数、配置面積を減少させることができる。
【0059】
たとえば、ガルバノスキャナ等を有する高価なレーザ溶接機15を一つ用いることにより、多品種生産を行なう場合に生産性および溶接品質を維持しつつ、装置コストの増大を抑制することもできる。
さらに、レーザ溶接機15に付随するチラー(冷却水循環装置)および各主配管、配線等の数量も減少させることができる。そして、カメラを用いた画像処理システムまたは位置補正機構、シールドガス機能、集塵システム等の溶接品質を向上させるための機器コストを減少させることができる。
【0060】
また、不要となった第一~第三の何れかのグループの治具5a~5cは、循環路10から連結部40の第一の連結レール41,第二の連結レール42を介して、待機部30の第一の待機レール31,第二の待機レール32または、第三の待機レール33上にそれぞれのグループごとに整列させた状態で回収できる。
このため、何れのグループの治具5a~5cであっても、再度、生産する電池1の数量が増大した場合、効率的に搬出が行える。
【0061】
また、加工部20は、第一のレール11と、第二のレール12と、を有し、連結部40は、第一のレール11または、第二のレール12との間で接続を切り換えて第一の待機レール31等のいずれかに連結させる移動可能な第一の連結レール41,第二の連結レール42を少なくとも二本、複数有している。
【0062】
これにより、連結部40を介して何れかの第一の待機レール31にて待機している異なる種類の電池1のグループの治具5a~5cを加工部20の第一のレール11に搬出できる。また、加工部20の第二のレール12から連結部40を介してグループごとに整理してそれぞれの第一の待機レール31等に回収することができる。
さらに、連結部40は、移動する第一の連結レール41,第二の連結レール42に加工工程を終えた治具5を載せて第二のレール12から第一のレール11に戻して再度、加工部20で循環させることができる。
このため、連結部40は、待機部30から治具5a~5cの搬出および回収させる際に用いるだけでなく、治具5を第一のレール11と、第二のレール12との間で再び循環させる折り返し搬送にも使用できる。したがって、製造装置100および101の構成は簡素化されるとともに、無駄な移動動作を減少させて稼働率を向上させることができる。
【0063】
そして、第一の連結レール41,第二の連結レール42は、第一のレール11および、第二のレール12のそれぞれの接続位置以外の循環路10外の位置まで移動可能としている。このため、接続位置以外の循環路外の位置に第一の連結レール41,第二の連結レール42の退避位置を設定することにより、第一の連結レール41,第二の連結レール42間の干渉の発生をなくして、さらに異なる種類の治具5a~5cの搬送経路の自由度を向上させることが出来る。よって、ランダムな順序で異なる種類の電池1を少量生産する場合に用いて好適な電池の製造装置が提供される。
【0064】
以上、本開示について、各実施形態1~2および変形例1~2に基づいて説明したが、本開示は、実施形態1~2等に記載した構成に限定されるものではない。すなわち本発明は、実施形態1~2に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成変更することができるものである。また、実施形態1~2の構成の一部について、例えば、加工部20の第一のレール11,第二のレール12を一組として、複数組を用いてもよく、第一の連結レール41等のレール数、待機部30に設けられる第一の待機レール31,第二の待機レール32…のレール数を追加、削除、若しくは他の構成を組み合わせる追加・置換をすることが可能である。上記実施形態1~2等に対して可能な変形は、たとえば、以下のようなものである。
【0065】
すなわち、実施形態1,2のレーザ溶接機15は、一対の第一のレール11,第二のレール12間に設けられている。しかしながら、本発明は特にこれに限らない。たとえば三本以上の複数本のレールが配置されている場合であってもよい。すなわち、少なくとも何れか一対の第一のレール11,第二のレール12間にレーザ溶接機15が設けられていればよく、レーザ溶接により筐体1aの接続加工を行えれば、レーザ溶接機15の形状、数量および型式が特に限定されるものではない。
【0066】
さらに、複数の構成部品として実施形態1では、
図2に示すようにバッテリケース2およびバッテリケース2の開口部を塞ぐ蓋体3をレーザ溶接で接続して固定するものを示して説明してきたが特にこれに限らない。たとえば、電池1を構成する構成部品であれば、他のどのような電池1の構成部品間であってもよく、構成部品の数量、形状または、材質が特に限定されるものではない。
【0067】
そして、実施形態1,2では、電池1の環状の溶接経路4を例示して説明してきたが特にこれに限らない。例えば、溶接部位は、環状または、スポット状に限らず、どのような径状のものであってもよく、レーザ溶接の数量、形状または、レーザ溶接の種別が特に限定されるものではない。
また、
図1に示すようにそれぞれの治具5a~5cには、第一のレール11または第二のレール12の上を移動する搬送治具6の両側にそれぞれバッテリケース2を保持するホルダ部8が設けられている。しかしながら特にこれに限らない。たとえば、治具5は、異なる形状または大きさの電池1に対応させてホルダ部8のスペーサ8a,8bの形状または大きさを変更することができる。これにより、種類が異なる電池をそれぞれ保持する第一治具および第二冶具として、何れの電池1に対しても同じ搬送治具6と、左,右に一対設けられた位置決め治具7,7と、を有する同形状の一種類の治具5を用いることができる。
すなわち、ホルダ部8は、対向する保持片間を近接方向に移動させる移動量を変更して、バッテリケース2または蓋体3の幅方向外形寸法に対応させてもよい。これにより外形寸法の異なるいずれの構成部品を保持できる。したがって、実施形態1,2の製造装置100,101間でも治具5を共通の装置として使用することが可能である。このように、電池1の種類に応じて待機部30の第一の待機レール31等の数量を増やしても、同じ治具5を用いることが可能となり、機器コストを減少させることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 電池
2 バッテリケース(構成部品の一つ)
3 蓋体(構成部品の一つ)
5 治具
11 第一のレール
12 第二のレール
30 待機部
31 第一の待機レール
32 第二の待機レール
40 連結部
41 第一の連結レール
42 第二の連結レール
100 製造装置