IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社島津製作所の特許一覧 ▶ 国立医薬品食品衛生研究所長の特許一覧

特開2024-125542フローモニタリングシステムでの液体サンプリング方法
<>
  • 特開-フローモニタリングシステムでの液体サンプリング方法 図1
  • 特開-フローモニタリングシステムでの液体サンプリング方法 図2
  • 特開-フローモニタリングシステムでの液体サンプリング方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125542
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】フローモニタリングシステムでの液体サンプリング方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20240911BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
G01N1/10 J
G01N1/00 101P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033409
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(71)【出願人】
【識別番号】597128004
【氏名又は名称】国立医薬品食品衛生研究所長
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】岩田 庸助
(72)【発明者】
【氏名】長井 悠佑
(72)【発明者】
【氏名】坂本 勝正
(72)【発明者】
【氏名】正田 卓司
(72)【発明者】
【氏名】坂本 知昭
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA18
2G052AB11
2G052AB26
2G052AB27
2G052AC27
2G052AD03
2G052AD07
2G052AD23
2G052AD27
2G052AD46
2G052BA14
2G052CA02
2G052CA03
2G052CA04
2G052CA18
2G052GA27
2G052HA08
2G052HA19
2G052HC07
2G052HC32
2G052HC38
2G052HC42
2G052JA06
2G052JA08
2G052JA11
(57)【要約】
【課題】気液分離機構を利用せずに気液二相流の状態の流体から所望の量の液相を精度よくサンプリングできるようにする。
【解決手段】液体のサンプリングを行なうためのニードルを有するサンプリング部、前記サンプリング部によりサンプリングされた前記液体の分析を行なう分析部、気相及び液相を含む気液二相流の状態のサンプル流体を前記気液二相流の状態のまま供給する流体供給部、を備えたフローモニタリングシステムでの液体サンプリング方法であって、前記サンプル流体に含まれる液相を前記貯留容器内に貯留する貯留ステップと、前記貯留容器内に貯留された前記液相に含まれる気相を液相から分離する分離ステップと、前記分離ステップの後、前記貯留容器内に貯留した前記液相をサンプルとして前記ニードルの先端から吸入し、所定量の前記サンプルを前記注入ポートを通じて前記分析部へ注入する注入ステップと、を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体のサンプリングを行なうためのニードルと貯留容器を有するサンプリング部、前記サンプリング部によりサンプリングされた前記液体の分析を行なう分析部、気相及び液相を含む気液二相流の状態のサンプル流体を前記気液二相流の状態のまま供給する流体供給部、を備えたフローモニタリングシステムでの液体サンプリング方法であって、
前記液体供給部を流れる前記サンプル流体の所定量を採取して前記貯留容器内に貯留する貯留ステップと、
前記貯留容器内に貯留された前記サンプル流体に含まれる気相を液相から分離する分離ステップと、
前記分離ステップの後、前記貯留容器内に貯留した前記液相を前記ニードルの先端から吸入し、所定量の前記液相をサンプルとして前記注入ポートを通じて前記分析部へ注入する注入ステップと、
を含む、液体サンプリング方法。
【請求項2】
前記分離ステップにおいて前記サンプル流体を前記貯留容器内で所定時間静置する、請求項1に記載の液体サンプリング方法。
【請求項3】
前記サンプリング部は、
前記ニードルと流体的に接続され得るように設けられ、前記ニードルを介して流体の吸入及び分注を行なうためのシリンジポンプと、
内部空間へ流体を流入させるための入口、及び、前記内部空間から前記流体を流出させるための出口を有し、前記ニードルによって前記内部空間にアクセス可能なように構成されたフローバイアルと、
前記ニードルの前記先端を流体接続させ得るように構成され、前記ニードルから前記分析部へサンプルを注入するための注入ポートと、
前記ニードルが上方からアクセス可能な上面開放型の容器であって、前記ニードルの前記先端から分注された流体に含まれる液相を貯留するための貯留容器と、をさらに備え、
前記貯留ステップでは、前記フローバイアルの前記内部空間に前記ニードルをアクセスさせ、前記フローバイアルを流れる前記サンプル流体を前記シリンジポンプによって前記ニードルの先端から吸入し、吸入した前記サンプル流体を前記ニードルの先端から前記貯留容器内へ分注する貯留動作を少なくとも1回実行することにより、前記サンプル流体に含まれる液相をサンプルとして前記貯留容器内に貯留する、請求項1又は2に記載の液体サンプリング方法。
【請求項4】
前記フローバイアルの前記内部空間に供給される前記サンプル流体に含まれる前記液相と前記気相との比率である気液混合比率、及び前記シリンジポンプの容量に基づいて前記所定量以上の前記サンプルを前記貯留容器内に貯留するために前記貯留ステップ中に実行すべき前記貯留動作の回数を計算する貯留回数計算ステップをさらに備え、
前記貯留ステップでは、前記貯留動作を前記貯留回数計算ステップで計算された回数分繰り返す、請求項3に記載の液体サンプリング方法。
【請求項5】
前記分析部は、
前記注入ポートを介して注入された前記サンプルに含まれる成分を互いに分離するための分離カラムと、
前記分離カラムで互いに分離された前記成分をそれぞれ検出するための検出器と、を備えている、請求項1又は2に記載の液体サンプリング方法。
【請求項6】
前記サンプリング部は、
前記ニードルと流体的に接続され得るように設けられ、前記ニードルを介して流体の吸入及び分注を行なうためのシリンジポンプと、
流路切替え部と、をさらに備え、
前記貯留ステップでは、前記ニードルを前記流路切替え部を介して前記流体供給部と流体連通させ、前記サンプル流体に含まれる液相をサンプルとして前記貯留容器内に貯留する、請求項1又は2に記載の液体サンプリング方法。
【請求項7】
前記流路切替え部は、前記ニードルを前記サンプル供給部又は前記シリンジポンプのいずれか一方に選択的に接続するように構成されたものであり、
前記貯留ステップにおいて前記ニードルと前記流体供給部とを流体接続し、
前記注入ステップにおいて前記ニードルと前記シリンジポンプとを流体接続する、請求項6に記載の液体サンプリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローモニタリングシステムでの液体サンプリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反応処理のモニタリングではクロマトグラフがよく利用される。その場合、反応処理中の流体をフローバイアルに供給し、フローバイアルの内部を流れている流体をニードルによって採取してクロマトグラフの分析流路に注入し、クロマトグラフで分析する(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、有機合成の一分野であるフロー合成においては、合成材料に水素などの気体と芳香族炭化水素などの液体を混合した気液系での反応が行なわれる場合があり、その場合に材料の気体が反応せずに残ることがある(非特許文献1参照)。また、反応生成物として気体が含まれたりすることもある。このような場合に、反応生成物を含む試料が気相と液相を含んだ気液二相流となる。そのような反応生成物のモニタリングを行なう場合、液体を扱うことを前提に設計されたクロマトグラフでは、フローバイアルを流れる気液二相流から所望の量の液相をニードルによって精度よくサンプリングすることは困難である。そのため、フローバイアルの上流に、気相と液相を分離するための気液分離機構を設置してフローバイアル内に液相のみを導入することで、所望の量の液相を精度よくサンプリングできるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/038928号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Polysilane-Immobilized Rh&#8211;Pt Bimetallic Nanoparticles as Powerful Arene Hydrogenation Catalysts: Synthesis, Reactions under Batch and Flow Conditions and Reaction Mechanism
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
気液分離機構には種々のものが存在するが、いずれの機構も内部容量が大きく、サンプルがフローバイアル内に到達するまでの遅れ時間が生じて正確なモニタリングが難しい上、機構内に反応生成物が残存しやすいためにキャリーオーバーが起こりやすく、さらには、間欠排出のために流量が一定にならないといった問題がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、気液分離機構を利用せずに気液二相流の状態の流体から所望の量の液相を精度よくサンプリングできるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る液体サンプリング方法は、液体のサンプリングを行なうためのニードルと貯留容器を有するサンプリング部、前記サンプリング部によりサンプリングされた前記液体の分析を行なう分析部、気相及び液相を含む気液二相流の状態のサンプル流体を前記気液二相流の状態のまま供給する流体供給部、を備えたフローモニタリングシステムでの液体サンプリング方法であって、
前記液体供給部を流れる前記サンプル流体の所定量を採取して前記貯留容器内に貯留する貯留ステップと、
前記貯留容器内に貯留された前記サンプル流体に含まれる気相を液相から分離する分離ステップと、
前記分離ステップの後、前記貯留容器内に貯留した前記液相を前記ニードルの先端から吸入し、所定量の前記液相をサンプルとして前記注入ポートを通じて前記分析部へ注入する注入ステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る液体サンプリング方法では、サンプリングにおいて、前記流体供給部から供給される前記サンプル流体を前記貯留容器内に貯留して前記貯留容器内で前記サンプル流体に含まれる気相を液相から分離した後、前記貯留容器内に貯留した液相をサンプルとして前記ニードルで吸入し、所定量の前記サンプルを分析部へ注入することで、フローモニタリングシステムに気液分離機構を設けることなく所定量の液相をサンプルとしてサンプリングすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】液体サンプリング方法を実行するフローモニタリングシステムの一例を示す概略構成図である。
図2】液体サンプリング方法の一実施例を示すフローチャートである。
図3】液体サンプリング方法を実行するフローモニタリングシステムの他の例を説明するための概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る液体サンプリング方法の一実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
液体サンプリング方法を実行するフローモニタリングシステム1は、主として、フロー合成装置2と分析装置4とを備えている。フロー合成装置2は、気相と液相を含む気液二相流の状態のサンプル流体を分析装置4へ供給する流体供給部をなすものである。
【0013】
フロー合成装置2は、2つのポンプ6及び8によって2種類の流体を反応器10へ供給し、反応器10内でそれら2種類の流体を反応させて反応生成物を得る装置である。ポンプ6及び8によって反応器10へ供給される2種類の流体の一方は液体であり、他方は気体である。反応器10において得られる反応生成物は気液二相流の状態で反応器10の出口流路36を流れる。出口流路36は流路38と40に分岐しており、反応器10から流出した反応生成物の一部が気液二相流の状態のまま流路38を通じて後述するフローバイアル26にサンプル流体として供給される。
【0014】
分析装置4は、サンプリング部12、分析部14、送液ポンプ16、及び制御装置18を備えている。サンプリング部12は、フロー合成装置2から供給されるサンプル流体中の液相を分析部14へ注入する。分析部14は、サンプリング部12によって注入されたサンプルの分析を行なう。制御装置18は、分析装置4の動作管理を行なう。送液ポンプ16は、分析流路20を通じて分析部14へ向けて移動相を送液する。
【0015】
サンプリング部12は、ニードル22、シリンジポンプ24、フローバイアル26、注入ポート28、及び貯留容器30を備えている。
【0016】
ニードル22は、先端から流体の吸入と分注を行なうためのものである。ニードル22は、先端が鉛直下方を向いた状態で3次元的に移動し、フローバイアル26、注入ポート28、及び貯留容器30に対してアクセスすることができる。
【0017】
シリンジポンプ24は、ニードル22と流体接続され得るように設けられており、ニードル22を介して流体の吸入と吐出を行なうことができる。
【0018】
フローバイアル26は、上方からニードル22が内部空間へアクセス可能であるように設けられている。フローバイアル26の側面には内部空間へサンプル流体を流入させるための入口、及び、内部空間からサンプル流体を流出させるための出口が設けられており、流路38を通じて供給されるサンプル流体がフローバイアル26の内部空間を気液二相流の状態で常時流れる。
【0019】
注入ポート28は、ニードル22から分析部14へサンプルを注入するためのものである。注入ポート28は、ニードル22の先端を受けてニードル22を流体接続させ得るように構成されている。注入ポート28を通じてニードル22から注入されたサンプルは分析流路20を流れる移動相とともに分析部14へ導かれる。
【0020】
貯留容器30は、ニードル22が上方からアクセス可能な上面開放型の容器である。この実施例では、複数の貯留容器30が設けられている。
【0021】
分析部14は、分離カラム32及び検出器34を備えている。分離カラム32は分析流路20上に設けられ、サンプリング部12によって注入ポート28を通じて移動相中に注入されたサンプル中の成分を互いに分離するためのものである。検出器34は、分析流路20上における分離カラム32の下流に設けられ、分離カラム32で分離された各成分を検出するためのものである。
【0022】
制御装置18は、パーソナルコンピュータなど、CPU(中央演算装置)及び情報記憶デバイスを備えたコンピュータ装置によって実現される。制御装置18は、制御部42、情報記憶部44、及び演算部46を備えている。制御部42及び演算部46は、CPUがソフトウェアを実行することによって実現される機能である。情報記憶部44は、情報記憶デバイスの一部の記憶領域によって実現される機能である。
【0023】
制御部42は、サンプリング部12の動作を制御して、フロー合成装置2からフローバイアル26に供給されるサンプル流体のサンプリングを実行するように構成されている。サンプリングでは、フローバイアル26からサンプル流体を採取して貯留容器30に分注する貯留動作を1回以上行なって、サンプル流体中の液相を貯留容器30に貯留する貯留ステップと、貯留ステップで貯留容器30内に貯留した液層をサンプルとして注入ポート28を通じて分析部14へ注入する注入ステップと、が実行される。サンプリングの具体的な動作について後述する。
【0024】
情報記憶部44はサンプリングの実行に必要な情報を記憶する。サンプリングの実行に必要な情報には、シリンジポンプ24の内部容量(1回で吸入可能な流体の最大体積)、フロー合成装置2から供給されるサンプル流体に含まれる気相と液相の体積割合である気液混合比率、及び、分析部14へのサンプルの注入量が含まれる。これらの情報は、ユーザに予め入力させることができる。
【0025】
演算部46は、情報記憶部44に記憶されている情報を使用して、上述の貯留ステップで実行すべき貯留動作の回数を計算するように構成されている。フロー合成装置2から供給されるサンプル流体に含まれる気相と液相の割合である気液混合比率が大きい(気相の割合が高い)場合、シリンジポンプ24の内部容量によっては、サンプルとして分析部14へ注入すべき量の液相を1回の貯留動作で貯留容器30内に貯留できないことが考えれる。そこで、演算部46は、フロー合成装置2から供給されるサンプル流体の気液混合比率、シリンジポンプ24の内部容量、及び、分析部14へのサンプルの注入量の関係性から、分析部14へのサンプルの注入量以上の液相を貯留容器30に貯留するために必要な貯留動作の回数を計算する。制御部42は、演算部46によって計算された回数の貯留動作を貯留ステップ中に実行する。
【0026】
なお、演算部46は必須の機能ではない。貯留ステップにおいて実行すべき貯留動作の回数をユーザが予め設定するように構成されていてもよい。その場合、制御部42は、ユーザによって予め設定された回数の貯留動作を貯留ステップ中に実行する。
【0027】
上記のフローモニタリングシステムでの液体サンプリング方法の一実施例について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
サンプリングを実行すべきタイミングになると、制御部42は、シリンジポンプ24をニードル22に流体接続させた状態で、ニードル22の先端をフローバイアル26内に挿入させ(ステップ101)、フローバイアル26を流れているサンプル流体をシリンジポンプ24にニードル22の先端から吸入させる(ステップ102)。その後、制御部42は、ニードル22をフローバイアル26から引き抜いて空の貯留容器30の上方の位置へ移動させ、吸入したサンプル流体を貯留容器30に貯留させる(ステップ103)。貯留容器30にサンプル流体を貯留させた後、一定時間、貯留容器30にサンプル流体を保持させることでサンプル流体の液相から気相を分離させる(ステップ104)。フローバイアル26から吸入したサンプル流体には気相及び液相が含まれているが、上面開放型の貯留容器30内へそのサンプル流体を貯留すると、分注されたサンプル流体に含まれる気相は液相の上方へ逃げ、貯留容器30の底部に液相のみが貯留される。
【0029】
上記のステップ101~104が1回の貯留動作である。制御部42は、演算部46によって予め計算された回数、又は、ユーザによって予め設定された回数の貯留動作をサンプリング部12に繰り返し実行させ(ステップ105)、分析部14へサンプルとして注入すべき所定量以上の液相を貯留容器30内に貯留する。
【0030】
制御部42は、サンプリング部12に所定回数の貯留動作を実行させた後(ステップ105:Yes)、ニードル22の先端を貯留容器30内に貯留された液相にアクセスさせ、分析部14へ注入すべき所定量又は所定量よりも多くの液相をシリンジポンプ24に貯留容器30から吸入させる(ステップ106)。その後、制御部42は、ニードル22の先端を注入ポート28に流体接続させ、所定量の液相をサンプルとして分析流路20を流れる移動相中に注入させる(ステップ107)。
【0031】
上記のサンプリングは、予め設定された時刻になると自動的に実行されるように設定される。複数回のサンプリングが自動的に実行される場合、複数準備された空の貯留容器30をサンプリングのたびに順に使用することができる。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、1つの貯留容器30を洗浄して繰返し使用する態様も含む。その場合、貯留容器30に対して洗浄液を供給する機構のほか、貯留容器30から使用済みの液体をドレインへ排出する機構が設けられる。
【0032】
なお、上記実施例ではフローバイアル26を使用してサンプル流体のサンプリングを行なっているが、本発明はこれに限定されず、フローバイアル26を使用しないでサンプル流体のサンプリングを行なうことも含む。
【0033】
フローバイアルを使用しない液体サンプリング方法を実行するためのサンプリング部の構成の一例を図3に示す。
【0034】
図3の例で示されたサンプリング部12’は、流路切替え部であるマルチポートバルブ50を備えている。マルチポートバルブ50の各ポートには、ニードル22、シリンジポンプ24、フロー合成装置2からのサンプル流体が流れる流路38、及びドレインへ通じる流路が流体接続されている。ニードル22は、マルチポートバルブ50によって流路38とシリンジポンプ24のいずれか一方に選択的に流体接続される。サンプリング時には、マルチポートバルブ50によってニードル22が流路38と流体接続され、フロー合成装置2から流路38を通じて供給されるサンプル流体を貯留容器30へ分注し、サンプル流体中の液相を貯留容器30内にサンプルとして貯留する。その後、シリンジポンプ24がニードル22と流体接続されるようにマルチポートバルブ50が切り替えられ、貯留容器30内に貯留されたサンプルがシリンジポンプ24によってニードル22を介して吸入され、注入ポート28を通じて分析流路20を流れる移動相中に注入される。
【0035】
以上において説明した実施例は、本発明に係るフローモニタリングシステムの実施形態の一例に過ぎない。本発明に係るフローモニタリングシステムの実施形態は以下のとおりである。
【0036】
本発明に係る液体サンプリング方法の一実施形態は、液体のサンプリングを行なうためのニードルと貯留容器を有するサンプリング部、前記サンプリング部によりサンプリングされた前記液体の分析を行なう分析部、気相及び液相を含む気液二相流の状態のサンプル流体を前記気液二相流の状態のまま供給する流体供給部、を備えたフローモニタリングシステムでの液体サンプリング方法であって、
前記液体供給部を流れる前記サンプル流体の所定量を採取して前記貯留容器内に貯留する貯留ステップと、
前記貯留容器内に貯留された前記サンプル流体に含まれる気相を液相から分離する分離ステップと、
前記分離ステップの後、前記貯留容器内に貯留した前記液相を前記ニードルの先端から吸入し、所定量の前記液相をサンプルとして前記注入ポートを通じて前記分析部へ注入する注入ステップと、
を含む。
【0037】
上記一実施形態の態様[1]では、
前記サンプリング部は、
前記ニードルと流体的に接続され得るように設けられ、前記ニードルを介して流体の吸入及び分注を行なうためのシリンジポンプと、
内部空間へ流体を流入させるための入口、及び、前記内部空間から前記流体を流出させるための出口を有し、前記ニードルによって前記内部空間にアクセス可能なように構成されたフローバイアルと、をさらに備え、
前記貯留ステップにおいて、前記フローバイアルの前記内部空間に前記ニードルをアクセスさせ、前記フローバイアルを流れる前記サンプル流体を前記シリンジポンプによって前記ニードルの先端から吸入し、吸入した前記サンプル流体を前記ニードルの先端から前記貯留容器内へ貯留する貯留動作を少なくとも1回実行することにより、前記サンプル流体に含まれる液相を前記貯留容器内に貯留するようにしてもよい。
【0038】
上記態様[1]において、前記フローバイアルの前記内部空間に供給される前記流体に含まれる前記液相と前記気相との比率である気液混合比率、及び前記シリンジポンプの容量を用いて、前記所定量以上の前記液相を前記貯留容器(30)内に貯留するために前記貯留ステップ中に実行すべき前記貯留動作の回数を計算する貯留回数計算ステップをさらに含み、
前記貯留ステップは、前記貯留動作を前記貯留回数計算ステップで計算された回数分繰り返してもよい。このような態様により、分析部にサンプルとして注入すべき量の液相を確実に貯留容器内に貯留することができ、分析の再現性を向上させることができる。
【0039】
ここで、前記気液混合比率はユーザによる入力を受け付けてもよい。
【0040】
また、上記分析装置の一実施形態の態様[2]では、前記分析部(14)は、
前記注入ポート(28)を介して注入された前記サンプルに含まれる成分を互いに分離するための分離カラム(32)と、
前記分離カラム(32)で互いに分離された前記成分をそれぞれ検出するための検出器(34)と、を備えている。
【0041】
また、上記分析装置の一実施形態の態様[3]では、前記ニードルを前記試料供給部に選択的に流体接続し得るように設けられた流路切替え部と、をさらに備え、前記貯留ステップは、前記ニードルが前記流路切替え部を介して前記流体供給部とを流体接続し、前記サンプル流体を前記貯留容器内に貯留する。
【0042】
上記態様[3]において、前記ニードルを介して流体の吸入及び分注を行なうためのシリンジポンプをさらに備え、前記流路切替え部は前記ニードルを前記サンプル供給部又は前記シリンジポンプのいずれか一方に選択的に接続するように構成され、前記貯留ステップにおいて前記ニードルと前記流体供給部とを流体接続し、前記注入ステップにおいて前記ニードルと前記シリンジポンプとを流体接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 フローモニタリングシステム
2 フロー合成装置(流体供給部)
4 分析装置
6,8,16 ポンプ
10 反応器
12 サンプリング部
14 分析部
18 制御部
20 分析流路
22 ニードル
24 シリンジポンプ
26 フローバイアル
28 注入ポート
30 貯留容器
32 分離カラム
34 検出器
42 制御部
44 情報記憶部
46 演算部
図1
図2
図3