(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125546
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】脳波測定装置および脳波測定方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/291 20210101AFI20240911BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20240911BHJP
【FI】
A61B5/291
A61B5/256 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033422
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】尾野 慈厚
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127LL08
4C127LL13
4C127LL15
(57)【要約】
【課題】頭部形状の影響を押さえた脳波測定装置を実現する技術を提供する。
【解決手段】脳波測定装置1は、第1電極31が取り付けられるとともに頭部99に巻装される第1のバンド部材21と、第2電極32が取り付けられる第2のバンド部材22と、第3電極33が取り付けられる第3のバンド部材23とを有する。第2のバンド部材22および第3のバンド部材23は、それぞれ第1のバンド部材21から分岐するとともに、それぞれ伸縮するように構成されており、第1のバンド部材21は、第2のバンド部材22との分岐部分と第3のバンド部材23との分岐部分との間の電極装着区間において、伸縮するように構成されており、第2電極32および第3電極33の間を連結する非伸縮性部材であって、第2電極32および第3電極33の位置決めを行う位置決め部材60を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の頭部に、少なくとも第1電極、第2電極および第3電極を当てて脳波を測定する脳波測定装置であって、
頭部に装着された状態において、前記第1電極は、正中線上に配置されており、前記第2電極と前記第3電極は、正中線を軸として相互に線対称であって、かつ被験者を正面視したときに前記第1電極の位置より下側に配置されており、
前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極を取り付けるバンド部材とを有し、
前記バンド部材は、前記第1電極が取り付けられるとともに頭部に巻装される第1のバンド部材と、前記第2電極が取り付けられる第2のバンド部材と、前記第3電極が取り付けられる第3のバンド部材とを有し、
前記第2のバンド部材および第3のバンド部材は、それぞれ前記第1のバンド部材から分岐するとともに、それぞれ伸縮するように構成されており、
前記第1のバンド部材は、前記第2のバンド部材との分岐部分と前記第3のバンド部材との分岐部分との間の電極装着区間において、伸縮するように構成されており、
前記第2電極および前記第3電極の間を連結する非伸縮性部材であって、前記第2電極および前記第3電極の位置決めを行う位置決め部材を有する、脳波測定装置。
【請求項2】
前記第1電極は国際10-10法により規定される電極位置Fzに設けられ、
前記第2電極は国際10-10法により規定される電極位置F3に設けられ、
前記第3電極は国際10-10法により規定される電極位置F4に設けられる、
請求項1に記載の脳波測定装置。
【請求項3】
前記第1電極は国際10-10法により規定される電極位置Fzに設けられ、
前記第2電極は国際10-10法により規定される電極位置F1に設けられ、
前記第3電極は国際10-10法により規定される電極位置F2に設けられる、
請求項1に記載の脳波測定装置。
【請求項4】
前記第1電極は国際10-10法により規定される電極位置Fzに設けられ、
前記第2電極は国際10-10法により規定される電極位置F5に設けられ、
前記第3電極は国際10-10法により規定される電極位置F6に設けられる、
請求項1に記載の脳波測定装置。
【請求項5】
前記第1のバンド部材の前記電極装着区間において伸縮するように構成されている部分は、前記第1電極が取り付けられる部分から前記分岐部分に向かうにつれて幅狭の形状を呈する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の脳波測定装置。
【請求項6】
前記第1のバンド部材は、前記第1電極を取り付ける部分に補強部材を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の脳波測定装置。
【請求項7】
前記第2のバンド部材は前記第2電極が取り付けられる部分に補強部材を有し、
前記第3のバンド部材は前記第3電極が取り付けられる部分に補強部材を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の脳波測定装置。
【請求項8】
国際10-10法により規定される電極位置F7に設けられる第4電極と、
国際10-10法により規定される電極位置F8に設けられる第5電極と、
前記第4電極と前記第5電極とが取り付けられ、頭部に巻装される第4のバンド部材と、をさらに有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の脳波測定装置。
【請求項9】
前記第4のバンド部材は、前記第1のバンド部材とは独立して頭部に巻装される、請求項8に記載の脳波測定装置。
【請求項10】
前記第4のバンド部材は、前記第1のバンド部材と一体に取り付けられている、請求項8に記載の脳波測定装置。
【請求項11】
前記第4のバンド部材と前記第1電極との間を連結し、前記第1電極の位置を調整する調整部材を更に有する、請求項8に記載の脳波測定装置。
【請求項12】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の脳波測定装置を被験者の頭部に装着して脳波を測定する脳波測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳波測定装置および脳波測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで脳波測定装置に関して様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に開示の頭部装着装置は、頭部に装着し、脳活動信号を受信する受信部材を介して脳活動信号を取得するものであり、頭部形状に沿って配置されるフレームを備え、前記フレームは後頭部位置に配置される第1の部分と、同第1の部分から頭部側面に沿って延出される第2の部分とを有し、前記第1の部分の内面には少なくとも2つの前記受信部材が配設され、前記受信部材は頭部正中面に対して直交する面に沿って直列に配設された受信部材列を構成し、前記第2の部分は、後頭結節及び左右の耳介前点の3点を通過する頭部周囲に形成される第1の仮想平面に対して前方に向かって仰角を有するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、脳波測定装置として、伸縮性が無く曲がりにくいフレームを用いると、頭部形状の影響を大きく受けるといる課題があった。また、装着時に装着作業が煩わしいという課題があった。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みなされたものであって、頭部形状の影響を抑えた脳波測定装置を実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の技術が提供される。
(1)
被験者の頭部に、少なくとも第1電極、第2電極および第3電極を当てて脳波を測定する脳波測定装置であって、
前記第1電極は、正中線上に配置されており、
前記第2電極と前記第3電極は、正中線を軸として相互に線対称であって、かつ被験者を正面視したときに前記第1電極の位置より下側に配置されており、
前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極を取り付けるバンド部材とを有し、
前記バンド部材は、前記第1電極が取り付けられるとともに頭部に巻装される第1のバンド部材と、前記第2電極が取り付けられる第2のバンド部材と、前記第3電極が取り付けられる第3のバンド部材とを有し、
前記第2のバンド部材および第3のバンド部材は、それぞれ前記第1のバンド部材から分岐するとともに、それぞれ伸縮するように構成されており、
前記第1のバンド部材は、前記第2のバンド部材との分岐部分と前記第3のバンド部材との分岐部分との間の電極装着区間において、伸縮するように構成されており、
前記第2電極および前記第3電極の間を連結する非伸縮性部材であって、前記第2電極および前記第3電極の位置決めを行う位置決め部材を有する、脳波測定装置。
(2)
前記第1電極は国際10-10法により規定される電極位置Fzに設けられ、
前記第2電極は国際10-10法により規定される電極位置F3に設けられ、
前記第3電極は国際10-10法により規定される電極位置F4に設けられる、
(1)に記載の脳波測定装置。
(3)
前記第1電極は国際10-10法により規定される電極位置Fzに設けられ、
前記第2電極は国際10-10法により規定される電極位置F1に設けられ、
前記第3電極は国際10-10法により規定される電極位置F2に設けられる、
(1).に記載の脳波測定装置。
(4)
前記第1電極は国際10-10法により規定される電極位置Fzに設けられ、
前記第2電極は国際10-10法により規定される電極位置F5に設けられ、
前記第3電極は国際10-10法により規定される電極位置F6に設けられる、
(1)に記載の脳波測定装置。
(5)
前記第1のバンド部材の前記電極装着区間において伸縮するように構成されている部分は、前記第1電極が取り付けられる部分から前記分岐部分に向かうにつれて幅狭の形状を呈する、(1)から(4)までのいずれか1つに記載の脳波測定装置
(6)
前記第1のバンド部材は、前記第1電極を取り付ける部分に補強部材を有する、(1)から(5)までのいずれか1つに記載の脳波測定装置。
(7)
前記第2のバンド部材は前記第2電極が取り付けられる部分に補強部材を有し、
前記第3のバンド部材は前記第3電極が取り付けられる部分に補強部材を有する、(1)から(6)までのいずれか1つに記載の脳波測定装置。
(8)
国際10-10法により規定される電極位置F7に設けられる第4電極と、
国際10-10法により規定される電極位置F8に設けられる第5電極と、
前記第4電極と前記第5電極とが取り付けられ、頭部に巻装される第4のバンド部材と、をさらに有する、(1)から(7)までのいずれか1つに記載の脳波測定装置。
(9)
前記第4のバンド部材は、前記第1のバンド部材とは独立して頭部に巻装される、(8)に記載の脳波測定装置。
(10)
前記第4のバンド部材は、前記第1のバンド部材と一体に取り付けられている、(8)に記載の脳波測定装置。
(11) 前記第4のバンド部材と前記第1電極との間を連結し、前記第1電極の位置を調整する調整部材を更に有する、(8)から(10)までのいずれか1つに記載の脳波測定装置。
(12)
(1)から(11)までのいずれか1つに記載の脳波測定装置を被験者の頭部に装着して脳波を測定する脳波測定方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、頭部形状の影響を押さえた脳波測定装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る、脳波測定装置を人の頭部に装着した状態を正面から見た図である。
【
図2】第1の実施形態に係る、脳波測定装置の平面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る、脳波検出用電極を模式的に示した斜視図である。
【
図4】第1の実施形態に係る、脳波検出用電極を模式的に示した断面図である。
【
図5】第2の実施形態に係る、脳波測定装置を人の頭部に装着した状態を正面から見た図である。
【
図6】第2の実施形態に係る、追加バンド部材および追加位置決め部材の平面図である。
【
図7】第3の実施形態に係る、脳波測定装置を人の頭部に装着した状態を正面から見た図である。
【
図8】第3の実施形態に係る、脳波測定装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は脳波測定装置1を被験者の頭部99に装着した状態を正面から見た状態を模式的に示す図である。
図2は脳波測定装置1の平面図である。
図3は電極30を示す斜視図である。
図4は電極30がバンド部材20に取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【0010】
<脳波測定装置1の構造>
図1および
図2に示すように、脳波測定装置1は複数の電極30を有し、被験者の頭部99に装着されて、脳波を測定する。脳波測定装置1は、人の頭部99に装着され、電極30により脳波を生体からの電位変動として検出し、検出した脳波を脳波表示装置(図示せず)に出力する。脳波表示装置は、脳波測定装置1が検出した脳波を取得して、モニタ表示したり、データ保存したり、周知の脳波解析処理を行う。
【0011】
本実施形態では、脳波測定装置1は、頭部99に当てる電極30として第1電極31、第2電極32および第3電極33を有する。第1電極31、第2電極32および第3電極33は同じ構成であり、これらを区別しない場合は「電極30」として説明する。
【0012】
脳波測定装置1が頭部99に装着された状態で、第1電極31は、正中線98上に配置されており、第2電極と第3電極は、正中線98を軸として相互に線対称であって、かつ被験者を正面視したときに第1電極31の位置より下側に配置される。
【0013】
本実施形態では、電極30(第1~第3電極31~33)が装着される位置(ここでは国際10-10法により規定される位置)は、次の通りである。
第1電極31は、電極位置Fzに設けられる。第2電極32は電極位置F3に設けられる。第3電極33は電極位置F4に設けられる。なお、本明細書における電極位置は、国際10-10法により規定される位置として説明する。
【0014】
脳波測定装置1は、第1電極31、第2電極32および第3電極33を取り付けるバンド部材20と、第2電極32と第3電極33とを適正電極位置に保持する位置決め部材60とを有する。
【0015】
<バンド部材20>
バンド部材20は、第1のバンド部材21と、第2のバンド部材22と、第3のバンド部材23とを有する。本実施形態では、バンド部材20は平面視で左右対称であるが、これに限定する趣旨ではない。
【0016】
バンド部材20は、一定の伸縮性の有する部材、より具体的にはシート状のゴムバンド部材によって形成されている。バンド部材20の材料については後述する。バンド部材20は、全体で一つのシート部材で形成されてもよいし、例えばパーツ毎に別構成とされたものを一体に固定して形成されてもよい。なお、バンド部材20は、全体が伸縮性を有する必要は無く、脳波測定装置1を頭部99への装着状態や電極30の頭皮への接触状態を適正に維持・調整するために必要な部位に伸縮性が設定される。伸縮性の設定はバンド部材20(第1のバンド部材21、第2のバンド部材22、第3のバンド部材23)の形状(寸法を含む)や材質により付与される。
【0017】
第1のバンド部材21は、第1電極31が取り付けられて頭部99に巻装される。第2のバンド部材22は、第2電極32が取り付けられる。第3のバンド部材23は、第3電極33が取り付けられる。
【0018】
<第1のバンド部材21>
第1のバンド部材21は、第2のバンド部材22との分岐部分(第1分岐部26)と第3のバンド部材23との分岐部分(第2分岐部27)との間の電極装着区間において、伸縮するように構成されている。
【0019】
具体的には、例えば
図2に示すように、第1のバンド部材21は、第1電極装着部51と、左バンド部52と、右バンド部53と、を有する。
【0020】
第1電極装着部51は、第2のバンド部材22との分岐部分(第1分岐部26)と第3のバンド部材23との分岐部分(第2分岐部27)との間の電極装着区間に設けられた部位である。本実施形態では、第1電極装着部51と第1分岐部26との間に連結部25aが設けられている。第1電極装着部51と第2分岐部27との間に連結部25bが設けられている。
【0021】
左バンド部52および右バンド部53は、
図2に示すように、上下方向の幅が略同一に設けられている。また、左バンド部52および右バンド部53は、脳波測定装置1が装着されたときに、ちょうど後頭部付近で重なり、それぞれの端部に設けられた固定部材(面テープ54、55)により固定される。
【0022】
第1電極装着部51は、平面視で略菱形を呈している。ここでは、第1電極装着部51の左右の端部は、それぞれが左バンド部52(ここでは連結部25aを介する)、右バンド部53(ここでは連結部25bを介する)へ繋がることから、ちょうど左バンド部52、右バンド部53の幅に切り取られたような形状となる。
【0023】
第1電極装着部51の大きさ(寸法)は装着される第1電極31の大きさや被験者の頭部99の形状にもよるが、例えば、上下幅は20mm以上60mm以下とすることができる。上下幅は好ましくは20mm以上50mm以下であり、より好ましくは20mm以上40mm以上である。第1電極31(すなわち電極30)の外径が20mm程度と想定した場合、第1電極装着部51の上下幅が電極30より小さくなると、第1電極装着部51の形状(ここでは菱形)による安定効果が小さくなる。また、第1電極装着部51の形状が一定以上大きくなりすぎると位置決め部材60(本体部61)への干渉が酷くなり、安定効果が小さくなる。そこで、第1電極装着部51の上下幅を上記範囲とすることが好ましい。
左右幅は例えば80mm以上200mm以下とすることができる。左右幅は好ましくは90mm以上150mm以下であり、より好ましくは95mm以上130mm以下である。左右幅の下限は、上下幅と同様に、電極30を装着したときの安定性の観点から設定される。また、上限は、分岐(第1分岐部26、第2分岐部27)の根元に近付けられる限界を考慮して設定される。上限を超えると、第1電極装着部51自体の形状が損なわれてしまい安定効果が小さくなる。そこで第1電極装着部51の左右幅を上記範囲とすることが好ましい。
【0024】
第1電極装着部51の中心に第1電極31が取り付けられる。ここでは、具体的には第1電極装着部51の中心に、第1電極31の凸形状の端子を挿通可能な開口が設けられており、その開口に第1電極31の接続用端子(軸部)が取り付けられる。
【0025】
第1電極装着部51が菱形を呈していることで、左右中心と比較し左右端部側が徐々に幅狭となり、左バンド部52、右バンド部53につながる。このとき、第1電極装着部51の中心領域は、第1電極31を取り付ける十分な面積を有する。このような形状を有することで、第1電極31を頭部99に押しつけたときに、第1電極31の姿勢が安定する。例えば、第1電極装着部51を単純な長方形とした場合、第1電極31の頭部への荷重の加わり方が、頭部に対して垂直方向にならずに、第1電極31の姿勢が乱れ、場合によっては倒れてしまい、セッティングに手間がかかることがある。しかし、第1電極装着部51を菱形形状、すなわち端部ほど幅狭になる形状とすることで、安定した姿勢が得られる。
【0026】
なお、本実施形態では、第1電極31の取り付け強度の確保の観点から、第1電極31が装着される部分に第1電極固定補強部71が設けられている。第1電極固定補強部71は、例えば、所定厚みの樹脂フィルム(PETフィルムなど)を第1電極31の上部の形状(すなわち円形状)に合わせて形成される。これにより、第1電極31を第1のバンド部材21(第1電極装着部51)に取る付ける際に、第1電極31の接続用端子の締め付け等が容易になる。
【0027】
また、第1電極装着部51の形状は菱形に限る趣旨ではなく、第1のバンド部材21の電極装着区間、すなわち第1電極装着部51において伸縮するように構成されている部分は、第1電極31が取り付けられる部分から分岐部分(第1分岐部26、第2分岐部27)に向かうにつれて幅狭の形状を呈すればよい。例えば、楕円形とすることができる。
【0028】
なお、本実施形態では、上述のように、第1電極装着部51と第1分岐部26との間に連結部25aが、第1電極装着部51と第2分岐部27との間に連結部25bが設けられている。
【0029】
連結部25a、25bは、伸縮性を有しており、第1電極装着部51の両端を同じ荷重で引っ張るように作用する。これによって、バンド部材20の頭部99への装着状態を適正に維持することができるとともに、第1電極装着部51に装着された第1電極31の姿勢を一層安定化させることができる。伸縮性は、連結部25a、25bの材料の種類や厚み、形状により調整される。伸縮性を高める場合には、弾性が大きな材料を用いたり、材料の肉厚を薄くしたり幅を狭くしたり、また、一部に開口等を設ける等して実質的な幅を狭くしたりする。
【0030】
<第2のバンド部材22、第3のバンド部材23>
第2のバンド部材22および第3のバンド部材23は、それぞれ第1のバンド部材21から分岐するとともに、それぞれ伸縮するように構成されている。
【0031】
具体的には、第2のバンド部材22は、図示で、第1分岐部26において下側左方向に向かうように分岐する。分岐した先端近傍に第2電極32に取り付けられる。第2電極32が取り付けられる位置が、国際10-10法により規定される電極位置F3となるように、調整される。第2電極32が取り付けられる部分には、第1電極装着部51と同様に、第2電極固定補強部72が設けられる。なお、本実施形態では、第2電極32の平面視の大きさ(直径)が第2のバンド部材22の幅より大きい。したがって、第2電極固定補強部72もそれに応じて小さく設けられている。
【0032】
第2のバンド部材22と同様に、第3のバンド部材23は、図示で、第2分岐部27において下側右方向に向かうように分岐する。分岐した先端近傍に第3電極33に取り付けられる。第3電極33が取り付けられる位置が、国際10-10法により規定される電極位置F4となるように、調整される。第3電極33が取り付けられる部分には、第1電極装着部51と同様に、第3電極固定補強部73が設けられる。なお、本実施形態では、第3電極33の平面視の大きさ(直径)が第3のバンド部材23の幅より大きい。したがって、第3電極固定補強部73もそれに応じて小さく設けられている。
【0033】
ここで、第2のバンド部材22と第3のバンド部材23は、それぞれの先端位置が固定されていない。第2のバンド部材22と第3のバンド部材23とのそれぞれの先端位置を固定させるために位置決め部材60が設けられる。
【0034】
<位置決め部材60>
具体的には、位置決め部材60は、第2電極32および第3電極33の間を連結する非伸縮性部材であって、第2電極32および前記第3電極33の位置決めを行う。ここでは、非伸縮性部材で構成された帯状の本体部61と、両端部近傍に設けられた固定部62、63とを有する。
【0035】
図示左側の固定部62が第2のバンド部材22に装着された第2電極32と、図示右側の固定部63が第3のバンド部材23に装着された第3電極33のそれぞれの接続端子に取り付けられる。位置決め部材60を脱着可能に設けると共に、予め長さの異なる複数種類を用意しておいたり、長さが調整可能な構成とすることで、第2電極32と第3電極33の間隔を調整して所望位置、すなわち適切な電極測定位置(電極位置F3、F4)に設定することができる。
【0036】
<バンド部材20の材料>
バンド部材20の材料は、頭囲の形状に追従可能であって伸縮性を有すれば特に限定しないが、例えば、シリコーンシート等のゴムシートを用いることができる。具体的には、後述する電極30(基部や突起部)の材料と同様とすることができる。
【0037】
バンド部材20の厚みは特に制限は無いが、頭部99への装着時に一定程度伸長するとともに継続使用においても破損しない強度が得られる厚みとすることが好ましく、例えば、0.5mm以上3mm以下とすることができる。厚みは好ましくは0.5mm以上2mm以下であり、より好ましくは0.5mm以上1.5mm以下である。厚みの下限は、強度が低下しすぎて破損しやすくなる限界点を考慮して設定される。上限は、伸縮性が低下しすぎて機能しなくなる限界点を考慮して設定される。伸縮性を高めた領域、例えば、連結部25a、25bや、第2のバンド部材22および第3のバンド部材23については薄く設定することが好ましい。
【0038】
<電極30(第1~第3電極31~33)の構造>
図3に電極30の斜視図を示す。
図4に電極30をバンド部材20(第1電極装着部51)に装着した状態の断面図を示す。
【0039】
電極30は、電極部本体130と、キャップ一体型接続端子150とを有する。キャップ一体型接続端子150は、導電性を有するとともに、有底円筒形状を呈してその内部に電極部本体130を収容するホルダとして機能し、かつ、外部の計測部に接続する接続部として機能する。電極部本体130は、キャップ一体型接続端子150の筒形状内部にシリコーン接着剤等により固定される。
【0040】
<電極部本体130>
電極部本体130は、基部131と、突起部132と、導電性接触部133と、信号線部134とを有する。
【0041】
基部131と突起部132は、ゴム状の弾性部材によって一体に設けられている。弾性部材の具体的な材料については後述する。なお、基部131と突起部132とは一体に設けられる構成に限らず、別体に設けたものを接着剤や嵌合構造により組み付けた構成でもよい。
【0042】
基部131は略円柱形状である。基部131の一端側(図示では下側)の円形の基部下面136に、図示下側方向に突出する略円錐状の複数の突起部132が円形状の周方向に所定間隔で設けられている。なお、突起部132の形状は円錐形状に限らず、三角錐等の角錐や円柱形状など様々な形状を採用することができる。
【0043】
突起部132の少なくとも先端側表面には導電性接触部133が設けられている。突起部132の表面全体に導電性接触部133が設けられてもよい。
【0044】
基部131の外径は、例えば10mm~50mmである。基部131の高さ(厚さ)は、例えば2mm~30mmである。突起部132の高さは、例えば3mm~15mmである。突起部132の幅(根元部分の外径)は例えば1mm~10mmである。
【0045】
<信号線部134の構造>
図4に示すように、電極部本体130には、導電性接触部133に接続する信号経路として信号線部134が設けられている。信号線部134は、基部131及び突起部132を介して導通する態様であれば各種の配線構造を採用し得る。ここでは、信号線部134は、突起部132の先端の導電性接触部133から、突起部132及び基部131の内部を通り、基部131の基部上面135に露出するように設けられている。
【0046】
例えば、信号線部134の先端は、突起部132の先端部分またはその近傍、すなわち導電性接触部133が形成される領域に対して、突出した構造、略同一面上となる構造、埋没した構造のいずれでもよい。導電性接触部133との接続安定性の観点から、突出した構造を用いてもよい。信号線部134の先端の突出部分は、一部または全体が導電性接触部133で覆われている。信号線部134の先端の突出構造は、折り返し無し、折り返し有り、突起部132の先端部の表面に巻き付ける構造が採用し得る。信号線部134の他の配線構造として、突起部132及び基部131の表面に設けられる構造であってもよいし、一部が内部に一部が表面に設けられる配線構造であってもよい。
【0047】
<電極部本体130およびバンド部材20の材料>
電極部本体130(基部131と突起部132)とバンド部材20の材料について説明する。電極部本体130やバンド部材20は、上述のようにゴム状の弾性体とすることができる。以下では、電極部本体130について代表して説明する。ゴム状の弾性体として、具体的にはゴムや熱可塑性エラストマー(単に「エラストマー(TPE)」ともいう)である。ゴムとしては、例えばシリコーンゴムがある。熱可塑性エラストマーとして、例えば、スチレン系TPE(TPS)、オレフィン系TPE(TPO)、塩化ビニル系TPE(TPVC)、ウレタン系TPE(TPU)、エステル系TPE(TPEE)、アミド系TPE(TPAE)などがある。
【0048】
電極部本体130がシリコーンゴムである場合、37℃、JIS K 6253(1997)に準拠して測定される、電極部本体130(基部131や突起部132)の表面におけるタイプAデュロメータ硬さをゴム硬度Aとしたとき、ゴム硬度Aが、例えば、15以上55以下である。
【0049】
ここで、上記シリコーンゴム系硬化性組成物について説明する。
上記シリコーンゴムは、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成することができる。シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化工程は、例えば、100~250℃で1~30分間加熱(1次硬化)した後、100~200℃で1~4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
【0050】
絶縁性シリコーンゴムは、導電性フィラーを含まないシリコーンゴムであり、導電性シリコーンゴムは導電性フィラーを含むシリコーンゴムである。
【0051】
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含むことができる。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。
【0052】
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを含んでもよい。同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとは、少なくとも官能基が同じビニル基を含み、直鎖状を有していればよく、分子中のビニル基量や分子量分布、あるいはその添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるビニル基含有オルガノポリシロキサンをさらに含んでもよい。
【0053】
上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。
【0054】
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
【0055】
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ15モル%以下であるのが好ましく、0.01~12モル%であるのがより好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中におけるビニル基の量が最適化され、後述する各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。なお、本実施形態において、「~」は、その両端の数値を含むことを意味する。
【0056】
なお、本明細書中において、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
【0057】
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の重合度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは1000~10000程度、より好ましくは2000~5000程度の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
【0058】
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の比重は、特に限定されないが、0.9~1.1程度の範囲であるのが好ましい。
【0059】
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
【0060】
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、特に、下記式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
【0061】
【0062】
式(1)中、R1は炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
【0063】
また、R2は炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
【0064】
また、R3は炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
【0065】
さらに、式(1)中のR1およびR2の置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、R3の置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
【0066】
なお、式(1)中、複数のR1は互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R2、およびR3についても同様である。
【0067】
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0~2000の整数、nは1000~10000の整数である。mは、好ましくは0~1000であり、nは、好ましくは2000~5000である。
【0068】
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の具体的構造としては、例えば下記式(1-1)で表されるものが挙げられる。
【0069】
【0070】
式(1-1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
【0071】
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が0.5~15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを含有するものであるのが好ましい。シリコーンゴムの原料である生ゴムとして、一般的なビニル基含有量を有する第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴムの引裂強度を高めることができる。
【0072】
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、例えば、上記式(1-1)において、R1がビニル基である単位および/またはR2がビニル基である単位を、分子内に2個以上有し、かつ0.4モル%以下を含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、R1がビニル基である単位および/またはR2がビニル基である単位を、0.5~15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを用いるのが好ましい。
【0073】
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)は、ビニル基含有量が0.01~0.2モル%であるのが好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)は、ビニル基含有量が、0.8~12モル%であるのが好ましい。
【0074】
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせて配合する場合、(A1-1)と(A1-2)の比率は特に限定されないが、例えば、重量比で(A1-1):(A1-2)が50:50~95:5であるのが好ましく、80:20~90:10であるのがより好ましい。
【0075】
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)および(A1-2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0076】
また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、分岐構造を有するビニル基含有分岐状オルガノポリシロキサン(A2)を含んでもよい。
【0077】
<<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
【0078】
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の架橋剤を含んでもよい。同種の架橋剤とは、少なくとも直鎖構造や分岐構造などの共通の構造を有していればよく、分子中の分子量分布や異なる官能基が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる架橋剤をさらに含んでもよい。
【0079】
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖構造を有し、かつ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分が有するビニル基とヒドロシリル化反応し、これらの成分を架橋する重合体である。
【0080】
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が20000以下であるのが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。
【0081】
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の重量平均分子量は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算により測定することができる。
【0082】
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
【0083】
以上のような直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)としては、例えば、下記式(2)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
【0084】
【0085】
式(2)中、R4は炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
【0086】
また、R5は炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
【0087】
なお、式(2)中、複数のR4は互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。R5についても同様である。ただし、複数のR4およびR5のうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
【0088】
また、R6は炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のR6は互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0089】
なお、式(2)中のR4,R5,R6の置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
【0090】
さらに、m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは2~150整数、nは2~150の整数である。好ましくは、mは2~100の整数、nは2~100の整数である。
【0091】
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有するため、架橋密度が高い領域を形成し、シリコーンゴムの系中の架橋密度の疎密構造形成に大きく寄与する成分である。また、上記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)同様、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分のビニル基とヒドロシリル化反応し、これら成分を架橋する重合体である。
【0093】
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の比重は、0.9~0.95の範囲である。
【0094】
さらに、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
【0095】
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)としては、下記平均組成式(c)で示されるものが好ましい。
【0096】
平均組成式(c)
(Ha(R7)3-aSiO1/2)m(SiO4/2)n
(式(c)において、R7は一価の有機基、aは1~3の範囲の整数、mはHa(R7)3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
【0097】
式(c)において、R7は一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
【0098】
式(c)において、aは、ヒドリド基(Siに直接結合する水素原子)の数であり、1~3の範囲の整数、好ましくは1である。
【0099】
また、式(c)において、mはHa(R7)3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。
【0100】
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は分岐状構造を有する。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、その構造が直鎖状か分岐状かという点で異なり、Siの数を1とした時のSiに結合するアルキル基Rの数(R/Si)が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)では1.8~2.1、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)では0.8~1.7の範囲となる。
【0101】
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有しているため、例えば、窒素雰囲気下、1000℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の残渣量が5%以上となる。これに対して、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖状であるため、上記条件で加熱した後の残渣量はほぼゼロとなる。
【0102】
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の具体例としては、下記式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
【0103】
【0104】
式(3)中、R7は炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、もしくは水素原子である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。R7の置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
【0105】
なお、式(3)中、複数のR7は互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0106】
また、式(3)中、「-O-Si≡」は、Siが三次元に広がる分岐構造を有することを表している。
【0107】
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0108】
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は、それぞれ、特に限定されない。ただし、シリコーンゴム系硬化性組成物において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の合計のヒドリド基量が、0.5~5モルとなる量が好ましく、1~3.5モルとなる量がより好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)および分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)と、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)との間で、架橋ネットワークを確実に形成させることができる。
【0109】
<<シリカ粒子(C)>>
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、非導電性フィラーを含む。非導電性フィラーは、必要に応じ、シリカ粒子(C)を含んでもよい。これにより、エラストマーの硬さや機械的強度の向上を図ることができる。
【0110】
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の非導電性フィラーを含んでもよい。同種の非導電性フィラーとは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、粒子径、比表面積、表面処理剤、又はその添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
【0111】
シリカ粒子(C)としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が用いられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0112】
シリカ粒子(C)は、例えば、BET法による比表面積が例えば50~400m2/gであるのが好ましく、100~400m2/gであるのがより好ましい。また、シリカ粒子(C)の平均一次粒径は、例えば1~100nmであるのが好ましく、5~20nm程度であるのがより好ましい。
【0113】
シリカ粒子(C)として、かかる比表面積および平均粒径の範囲内であるものを用いることにより、形成されるシリコーンゴムの硬さや機械的強度の向上、特に引張強度の向上をさせることができる。
【0114】
<<シランカップリング剤(D)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
【0115】
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種のシランカップリング剤を含んでもよい。同種のシランカップリング剤とは、少なくとも共通の官能基を有していればよく、分子中の他の官能基や添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
【0116】
また、このシランカップリング剤(D)は、疎水性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム系硬化性組成物中ひいてはシリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)の凝集力が低下(シラノール基による水素結合による凝集が少なくなる)し、その結果、シリコーンゴム系硬化性組成物中のシリカ粒子(C)の分散性が向上すると推測される。これにより、シリカ粒子(C)とゴムマトリックスとの界面が増加し、シリカ粒子(C)の補強効果が増大する。さらに、ゴムのマトリックス変形の際、マトリックス内でのシリカ粒子(C)の滑り性が向上すると推測される。そして、シリカ粒子(C)の分散性の向上及び滑り性の向上によって、シリカ粒子(C)によるシリコーンゴムの機械的強度(例えば、引張強度や引裂強度など)が向上する。
【0117】
さらに、シランカップリング剤(D)は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカ粒子(C)が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中にシリカ粒子(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成されるシリコーンゴムの低硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
【0118】
シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。
【0119】
シランカップリング剤(D)としては、例えば、下記式(4)で表わされるものが挙げられる。
【0120】
Yn-Si-(X)4-n・・・(4)
上記式(4)中、nは1~3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
【0121】
疎水性基は、炭素数1~6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
【0122】
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
【0123】
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、シリカ粒子(C)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Yn-Si-)の構造を2つ有するものとなる。
【0124】
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例は、次の通りである。
上記官能基として疎水性基を有するものとして、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、及びトリメチルエトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
【0125】
上記官能基としてビニル基を有するものとして、例えば、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルメチルジメトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
【0126】
またシランカップリング剤(D)がトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤の2種を含む場合、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンを含むことが好ましい。
【0127】
トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤(D1)およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤(D2)を併用する場合、(D1)と(D2)の比率は、特に限定されないが、例えば、重量比で(D1):(D2)が、1:0.001~1:0.35、好ましくは1:0.01~1:0.20、より好ましくは1:0.03~1:0.15である。このような数値範囲とすることにより、所望のシリコーンゴムの物性を得ることができる。具体的には、ゴム中におけるシリカの分散性およびゴムの架橋性のバランスを図ることができる。
【0128】
本実施形態において、シランカップリング剤(D)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、シランカップリング剤(D)の含有量上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、100質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
シランカップリング剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、エラストマーを含む柱状部と導電性樹脂層との密着性を高めることができる。また、シリコーンゴムの機械的強度の向上に資することができる。また、シランカップリング剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、シリコーンゴムが適度な機械特性を持つことができる。
【0129】
<<白金または白金化合物(E)>>
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、触媒を含んでもよい。触媒は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
【0130】
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の触媒を含んでもよい。同種の触媒とは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、触媒中に異なる組成が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる触媒をさらに含んでもよい。
【0131】
白金または白金化合物(E)としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
【0132】
なお、白金または白金化合物(E)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0133】
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性組成物中における白金または白金化合物(E)の含有量は、触媒量を意味し、適宜設定することができるが、具体的にはビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、白金族金属が重量単位で0.01~1000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1~500ppmとなる量である。
白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物が適切な速度で硬化することが可能となる。また、白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、製造コストの削減に資することができる。
【0134】
<<水(F)>>
また、本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)~(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
【0135】
水(F)は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。
【0136】
(その他の成分)
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)~(F)成分以外に、他の成分をさらに含むことができる。この他の成分としては、例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等のシリカ粒子(C)以外の無機充填材、反応阻害剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等の添加剤が挙げられる。
【0137】
本実施形態に係る導電性溶液(導電性シリコーンゴム組成物)は、導電性フィラーを含まない上記シリコーンゴム系硬化性組成物に加えて、上記導電性フィラーおよび溶剤を含むものである。
【0138】
上記溶剤としては、公知の各種溶剤を用いることができるが、例えば、高沸点溶剤を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0139】
上記溶剤の一例としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタンなどのハロアルカン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類などを例示することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0140】
上記導電性溶液は、溶液中の固形分量などを調整することで、スプレー塗布やディップ塗布等の各種の塗布方法に適切な粘度を備えることができる。
【0141】
また、上記導電性溶液が上記導電性フィラーおよび上記シリカ粒子(C)を含む場合、電極部本体130が含むシリカ粒子(C)の含有量の下限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上とすることができる。これにより、電極部本体130の機械的強度を向上させることができる。一方で、電極部本体130が含むシリカ粒子(C)の含有量の上限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。これにより、電極部本体130における導電性と機械的強度や柔軟性とのバランスを図ることができる。
【0142】
導電性溶液を必要に応じて加熱乾燥することで、導電性シリコーンゴムが得られる。
導電性シリコーンゴムは、シリコーンオイルを含まない構成であってもよい。これにより、電極部本体130の表面にシリコーンオイルがブリードアウトすることで導通性が低下することを抑制できる。
【0143】
<信号線部134の材料>
信号線部134は、公知のものを使用することができるが、例えば、導電繊維で構成され得る。導電繊維としては、金属繊維、金属被覆繊維、炭素繊維、導電性ポリマー繊維、導電性ポリマー被覆繊維、および導電ペースト被覆繊維からなる群から選択される一種以上を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0144】
上記金属繊維、金属被覆繊維、の金属材料は、導電性を有するものであれば限定されないが、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、ステンレス、アルミニウム、銀/塩化銀およびこれらの合金等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、導通性の観点から、銀を用いることができる。また、金属材料は、クロム等の環境に負荷を与える金属を含まないことが好ましい。
【0145】
上記金属被覆繊維、導電性ポリマー被覆繊維、導電ペースト被覆繊維の繊維材料は、特に限定されないが、合成繊維、半合成繊維、天然繊維のいずれでもよい。これらの中でも、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、絹および綿等を用いることが好ましい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0146】
上記炭素繊維は、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
【0147】
上記導電性ポリマー繊維および導電性ポリマー被覆繊維の導電性ポリマー材料は、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフタレン、及びこれらの誘導体等の導電性高分子およびバインダ樹脂の混合物、あるいは、PEDOT-PSS((3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホン酸))等の導電性高分子の水溶液が用いられる。
【0148】
上記導電ペースト被覆繊維の導電ペーストに含まれる樹脂材料は特に限定されないが伸縮性を有することが好ましく、例えばシリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0149】
上記導電ペースト被覆繊維の導電ペーストに含まれる導電性フィラーは特に限定されないが、公知の導電材料を用いてもよいが、金属粒子、金属繊維、金属被覆繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、導電性ポリマー被覆繊維および金属ナノワイヤーからなる群から選択される一種以上を含むことができる。
【0150】
上記導電性フィラーを構成する金属は、特に限定はされないが、例えば、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銀/塩化銀、或いはこれらの合金のうち少なくとも一種類、あるいは、これらのうちの二種以上を含むことができる。この中でも、導電性の高さや入手容易性の高さから、銀または銅が好ましい。
【0151】
上記信号線部134が、線状の導電繊維を複数本撚り合わせた撚糸で構成されてもよい。これにより、変形時における信号線部134の断線を抑制できる。
【0152】
本実施形態において、導電繊維における被覆とは、単に繊維材料の外表面を覆うことのみならず、単繊維を撚り合わせた撚糸などの場合は、その撚糸の中の繊維間隙に金属、導電性ポリマー、または導電ペーストが含浸し、撚糸を構成する単繊維を1本毎に被覆するものを含む。
【0153】
信号線部134の引張破断伸度は、例えば、1%以上~50%以下、好ましくは1.5%以上~45%である。このような数値範囲内とすることで、変形時の破断を抑制しつつも、突起部132の過度な変形を抑制できる。
【0154】
<導電性接触部133の材料>
導電性接触部133の導電部材は、例えば、良導性金属を含むペースト(いわゆる導電性ペースト)である。良導性金属は、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらの合金からなる群から選択される一種以上を含む。特に、入手性や導電性の観点から、銀や塩化銀、銅が好適である。
【0155】
良導性金属を含むペーストで導電性接触部133を形成する場合は、ゴム状の弾性体でできた突起部132の頂部を、良導性金属を含むペースト状の導電性溶液にディップ(浸漬塗布)する。これにより、突起部132の表面に導電性接触部133が形成される。
【0156】
なお、導電性フィラーおよび溶剤を含む導電性溶液を、突起部132に塗布することにより、導電性樹脂層としての導電性接触部133を形成してもよい。このとき、溶剤を突起部132と同じ系統の材質(シリコーンゴム)とすることで、導電性接触部133(導電性樹脂層)の密着性を高められる。
【0157】
導電性溶液を必要に応じて加熱乾燥することで、導電性シリコーンゴムが得られる。
導電性シリコーンゴムは、シリコーンオイルを含まない構成であってもよい。これにより、導電性接触部133の表面にシリコーンオイルがブリードアウトすることで導通性が低下することを抑制できる。
【0158】
これにより、脳波測定装置1を頭部99へ装着する際の毛髪の掻き分け性能を向上させることができる。また、脳波測定装置1を装着した際の導電性接触部133の接触面積の十分な確保が可能となる。
【0159】
<キャップ一体型接続端子150>
キャップ一体型接続端子150は、例えば、良導体の金属からなり、有底筒状形状を呈し、有底部分の外面に外部の計測部に接続するための接続端子153を有する。良導体の金属として、例えばステンレス、銅合金、アルミニウム合金、真鍮などを用いることができる。
【0160】
キャップ一体型接続端子150は、有底筒状形状の底面であるキャップ天板151と、キャップ天板151の周縁からに図示下方向に延出する筒形状のキャップ胴部152とを一体に備える。
【0161】
円形のキャップ天板151の外面156中心(すなわち上面視で円形状の中心)には図示上方に延出する円柱状の接続端子153が設けられている。キャップ天板151の内面154には、導電ペースト層を介して、電極部本体130の基部上面135が当接するように取り付けられる。このとき、キャップ天板151の内面154と基部上面135には、上述したように、信号線部134の上側端部が挟まるように配置される。
【0162】
接続端子153は、外部の計測部と接続するための信号線が取り付けられるインタフェイスである。ここでは、接続端子153は、例えば、円柱形状の外周面が螺刻されている。接続端子153は、第1電極装着部51と補強部70(第1電極固定補強部71)が設けられた部分の貫通孔176に挿通され、貫通孔176から外側に出ている部分で、ナット149等により締結される。
なお、電極30とバンド部材20との固定構造として、キャップ一体型接続端子150の接続端子153を雄ネジとしてナット149により固定するネジ式の固定構造を例示したが、この構造に限る趣旨では無く、例えば、嵌合式の固定構造を採用してもよい。具体的には、例えば接続端子153をオス型のスナップボタンの構造として、貫通孔176をメス型のスナップボタンの構造として、接続端子153を貫通孔176に嵌め込む構造を採用することができる。
【0163】
以上、本実施形態の脳波測定装置1によると、以下の効果を得られる。
(1)硬質な部材を用いたヘッドセット(脳波測定装置)と比較して、本実施形態の脳波測定装置1では、バンド部材20をゴムバンドで形成していることで伸縮性を有し、頭部99の形状差によらず装着可能である。また、巻き付けて取り付けるというシンプルな構成であるため、装着が非常に容易である。
(2)伸縮性のない部材のみで構成されたヘッドセット(脳波測定装置)では、曲がりやすいため頭部形状に沿いやすいが、締め付け直すなどの微調整を加えた際に、力が直接伝播し、位置ずれを起こしやすいという課題があった。しかし、本実施形態の脳波測定装置1では微調整が必要になった場合でも、バンド部材20(ゴムバンド部分)の伸縮性によって位置ずれを起こしにくい。
(3)伸縮性のある部材のみでのヘッドセット(脳波測定装置)では、全体的に伸びるため、締め付け時に電極30の位置が許容範囲以上にずれやすい。その結果、伸縮性のある部材ならではの「頭部形状差によらず締め付けることが出来る」という効果を十分に発揮できない。しかし、本実施形態では、伸縮性のない部材(位置決め部材60等)で電極位置を定めているため、バンド部材20の伸縮性による位置ずれを防ぎつつ、頭部99の形状差によらず締め付けることができる。
【0164】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な実施形態(変形例)を採用することもできる。例えば、上記では、電極30(第1電極31、第2電極32、第3電極33)の位置として、国際10-10法により規定される電極位置Fz、F3、F4が用いられた。これに限らず、例えば、電極位置Fz、F1、F2の位置が用いられてもよいし、電極位置Fz、F5、F6が用いられてもよい。その場合、第2のバンド部材22や第3のバンド部材23の長さや、第1のバンド部材21からの分岐位置を適宜調整すればよい。
【0165】
≪第2の実施形態≫
図5および
図6を参照し本実施形態の脳波測定装置1を説明する。
図5は頭部99に脳波測定装置1を装着した状態の正面図である。
図6は追加バンド部材120および追加位置決め部材160の平面図であり、
図6(a)は追加バンド部材120および追加位置決め部材160が接続された状態を示し、
図6(b)は分解図を示している。
【0166】
本実施形態では、電極30として、上述した第1~3電極31~33に追加して、電極位置F7に第4電極34を、電極位置F8に第5電極35を設けた。第4電極34と第5電極35を取り付ける部材として、バンド部材20とは別の追加バンド部材120を用いた。また、第4電極34および第5電極35の位置決めのために、追加位置決め部材160を設けた。第4電極34と第5電極35が取り付けられた追加位置決め部材160を頭部99に装着することで、電極位置F7および電極位置F8の脳波を計測する。
【0167】
追加バンド部材120は、帯形状の左追加バンド部材122と、帯形状の右追加バンド部材123と、追加位置決め部材160とを有する。左追加バンド部材122と、右追加バンド部材123は、それぞれ、上述したバンド部材20と同様のシート状のゴムバンド部材で構成される。
【0168】
左追加バンド部材122には、帯形状の図示左側の端部近傍(すなわち第1追加位置決め部材161側)に、補強部70として第4電極固定補強部74が設けられている。第4電極固定補強部74が設けられている部分に、第1の実施形態の電極30と同様に、第4電極34が取り付けられる。
【0169】
右追加バンド部材123には、帯形状の図示右側の端部近傍(すなわち第1追加位置決め部材161側)に、補強部70として第5電極固定補強部75が設けられている。第5電極固定補強部75が設けられている部分に、第1の実施形態の電極30と同様に、第5電極35が取り付けられる。
【0170】
左追加バンド部材122の帯形状の図示右側の端部近傍と、右追加バンド部材123の図示左側の端部近傍には固定部材(面テープ54、55)が設けられており、それらにより脳波測定装置1が適切に頭部99に装着される。
【0171】
追加位置決め部材160は、第1追加位置決め部材161と第2追加位置決め部材162とを有する。第1追加位置決め部材161は、位置決め部材60と同様に非伸縮性の部材からなり、第4電極34と第5電極35の間にわたされる。ここでは、第4電極34の接続端子に取り付けられる第1固定部163と第5電極35の接続端子に取り付けられる第2固定部164とを有する。これにより、第4電極34と第5電極35の左右方向の位置決めがなされる。
【0172】
第2追加位置決め部材162は、第1追加位置決め部材161と同様に非伸縮性部材からなり、バンド部材20の第1電極31と第1追加位置決め部材161の中央に設けられた第3固定部165との間にわたされる。これにより、第4電極34と第5電極35の上下方向の位置決めなされる。
【0173】
第1追加位置決め部材161、第2追加位置決め部材162を脱着可能に設けると共に、予め長さの異なる複数種類を用意しておいたり、長さが調整可能な構成とすることで、第4電極34と第5電極35の間隔を調整して所望位置、すなわち適切な電極測定位置(電極位置F7、F8)に設定することができる。
【0174】
≪第3の実施形態≫
図7および
図8を参照し本実施形態の脳波測定装置1を説明する。
図7は頭部99に脳波測定装置1を装着した状態の正面図である。
図8は、第1~第5バンド部材21、22、23、124、125を有する脳波測定装置1の平面図である。なお、
図8では追加位置決め部材160を省略して示している。本実施形態では、第1の実施形態のバンド部材20と第2の実施形態の追加バンド部材120とを一体構成としたものであり、以下では異なる部分に着目して説明し、同様の構成・機能については適宜省略する。
【0175】
本実施形態のバンド部材20は、第1のバンド部材21と、第2のバンド部材22と、第3のバンド部材23と、第4のバンド部材124、第5のバンド部材125とを有する。
【0176】
第4のバンド部材124は、第4分岐部126から分岐し、図示左側下方向に延びる帯状の部材である。第4分岐部126は、第1分岐部26よりも図示で右側に設けられている。第4のバンド部材124の左側端部には、第2の実施形態と同様の構成により、第4電極34が取り付けられる。
【0177】
第5のバンド部材125は、第5分岐部127から分岐し、図示右側下方向に延びる帯状の部材である。第5分岐部127は、第2分岐部27よりも図示で左側に設けられている。第5のバンド部材125の右側端部には、第2の実施形態と同様の構成により、第5電極35が取り付けられる。
【0178】
さらに、第2の実施形態と同様に、第4電極34と第5電極35とは追加位置決め部材160(第1追加位置決め部材161、第2追加位置決め部材162)により、位置決めがなされる。
【符号の説明】
【0179】
1 脳波測定装置
20 バンド部材
21 第1のバンド部材
22 第2のバンド部材
25a、25b 連結部
26 第1分岐部
27 第2分岐部
30 電極
31 第1電極
32 第2電極
33 第3電極
34 第4電極
35 第5電極
51 第1電極装着部
52 左バンド部
53 右バンド部
60、160 位置決め部材
70 補強部
98 正中線
99 頭部
120 追加バンド部材
122 左追加バンド部材
123 右追加バンド部材
124 第3のバンド部材
125 第4のバンド部材
126 第4分岐部
127 第5分岐部
160 追加位置決め部材
161 第1追加位置決め部材
162 第2追加位置決め部材