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特開2024-125558表示装置、表示装置の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125558
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】表示装置、表示装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20240101AFI20240911BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033448
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 敬史
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA19
3D344AA20
3D344AB01
3D344AD01
3D344AD13
(57)【要約】
【課題】車両(1)の走行中に表示装置(100)が操作を受け付けたと、運転者(P1)が誤認してしまうことを抑制できるようにする。
【解決手段】表示装置(100)は、表示部(13)と、記憶部(150)と、表示装置(100)に対する操作を検出する検出部(142)と、前記表示部(13)により情報を表示する表示制御部(144)と、を備え、前記表示制御部(144)は、前記車両(1)の走行中に前記検出部(142)が前記操作を検出した場合、前記表示部(13)が表示する情報を前記検出部(142)が検出した前記操作に対応する情報に変更せず、且つ、前記操作に関する注意喚起情報を表示しない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる表示装置であって、
表示部と、
前記表示装置に対する操作を検出する検出部と、
前記表示部により情報を表示する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、
前記車両の走行中に前記検出部が前記操作を検出した場合、前記表示部が表示する情報を前記検出部が検出した前記操作に対応する情報に変更せず、且つ、前記操作に関する注意喚起を示す注意喚起情報を前記表示部により表示しない、
表示装置。
【請求項2】
記憶部を備え、
前記表示制御部は、
前記車両の走行中に前記検出部が前記操作を検出した場合、前記検出部が検出した前記操作を示す操作情報を前記記憶部に記憶させ、
前記記憶部に前記操作情報を記憶させた後に前記車両が特定状態に至った場合、前記表示部が表示する情報を、前記記憶部に記憶させた前記操作情報が示す前記操作に対応する情報に変更する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記特定状態は、前記車両の速度が所定値以下の状態である、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記特定状態は、前記車両の速度が零である状態が所定時間継続した状態である、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記車両の走行中に複数回連続して前記検出部が前記操作を検出した場合、前記操作に関する注意喚起の音声を出力する音声出力部を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記操作を行った前記車両の乗員が運転者か否かを判定する判定部を備え、
前記表示制御部は、
前記操作を行った前記乗員が前記運転者であると前記判定部が判定した場合、前記車両が前記特定状態に至るまで、前記表示部が表示する情報の変更を行わず、
前記操作を行った前記乗員が前記運転者でないと前記判定部が判定した場合、前記車両が前記特定状態に至っていなくても、前記表示部が表示する情報を前記検出部が検出した前記操作に対応する情報に変更する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記車両に設置されるステアリングホイールが把持されているか否か、又は、前記車両の室内を撮影するカメラが撮影した撮影画像に基づいて、前記操作を行った前記車両の乗員が運転者か否かを判定する、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、
前記車両の走行中に前記検出部が前記操作を検出するたびに、前記記憶部が記憶する前記操作情報を更新する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、
前記車両が前記特定状態に至った場合、前記表示部が表示する情報を変更し、且つ、前記注意喚起情報を前記表示部により表示する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
車両に設けられる表示装置の制御方法であって、
前記車両の走行中に前記表示装置に対する操作を検出した場合、表示する情報を、検出した前記操作に対応する情報に変更せず、且つ、前記操作に関する注意喚起を示す注意喚起情報を表示しない、
表示装置の制御方法。
【請求項11】
車両に設けられ、表示部を備える表示装置のプロセッサを、
前記表示装置に対する操作を検出する検出部と、前記表示部により情報を表示する表示制御部と、して機能させ、
前記表示制御部は、
前記車両の走行中に前記検出部が前記操作を検出した場合、前記表示部が表示する情報を前記検出部が検出した前記操作に対応する情報に変更せず、且つ、前記操作に関する注意喚起を示す注意喚起情報を前記表示部により表示しない、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも高齢者や障がい者や子供といった脆弱な立場にある人々にも配慮された持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて、車両の居住性に関する開発を通じて安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。そして、従来から、車両の居住性に係わる技術として、車両が走行中である場合、ナビゲーション装置などの車両に設けられる表示装置の操作制限に係わる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、手動操作入力の制限が有効である場合に手動操作の入力がなされた場合、手動操作入力が制限されていることを示す警告用の画像を表示する車載情報機器を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/163060号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、車両の運転者が周辺視野で警告用の画像を見た際、画像が表示されていることについては認識できるが、その画像が警告用の画像であることまで認識できるとは限らない。そのため、特許文献1では、警告用の画像が表示されるため、車両の走行中に車載情報機器が操作を受け付けたと、車両の運転者が誤認する可能性がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、車両の走行中に表示装置が操作を受け付けたと、車両の運転者が誤認してしまうことを抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、車両に設けられる表示装置であって、表示部と、前記表示装置に対する操作を検出する検出部と、前記表示部により情報を表示する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記車両の走行中に前記検出部が前記操作を検出した場合、前記表示部が表示する情報を前記検出部が検出した前記操作に対応する情報に変更せず、且つ、前記操作に関する注意喚起を示す注意喚起情報を前記表示部により表示しない、表示装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、車両の走行中に表示装置が操作を受け付けたと、車両の運転者が誤認してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、車両の一例を示す図である。
図2図2は、車両の構成を示す図である。
図3図3は、表示装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.車両の構成]
図1は、車両1の一例を示す図である。
【0009】
図1で例示する車両1は、乗車定員5名の四輪車両である。車両1は、運転席10A、助手席10B、リア右席10C、リア中央席10D、及びリア左席10Eを備える。図1の車両1では、運転者P1及び同乗者P2が車両1の乗員Pとして乗車している。図1の車両1では、運転者P1が運転席10Aに着座している状況を示し、同乗者P2が助手席10Bに着座している状況を示している。なお、車両1は、4輪の車両に限定されず、5輪以上の車両でも3輪以下の車両でもよい。また、車両1の乗員定員数は、5名に限定されない。
【0010】
車両1は、右前ドア11A、左前ドア11B、右後ドア11C、左後ドア11D、及び、テールゲート11Eを備える。右前ドア11A、左前ドア11B、右後ドア11C、及び左後ドア11Dを開くことにより車両1の車室空間への出入りが可能となる。テールゲート11Eは、車両1のトランクを開閉する。
【0011】
車両1は、ダッシュボード12を備える。ダッシュボード12は、表示装置100のタッチパネル13、及びスピーカ14が設置される。タッチパネル13は、文字や画像を表示する表示パネルと、表示パネルへの接触を検出するタッチセンサとが重畳或いは一体で構成されている。スピーカ14は、車両1の車室空間に音を出力する。スピーカ14の設置位置および数は任意に変更可能である。
タッチパネル13は、「表示部」の一例である。
【0012】
ダッシュボード12には、ステアリングホイール15が設置される。ステアリングホイール15には、ステアリング把持センサ16が配置されている。ステアリング把持センサ16は、静電容量センサによって実現され、運転者P1が両手でステアリングホイール15を把持しているか否かを検出する。
【0013】
車両1の車室内には、車両1の車室内を撮影するカメラ17が設置される。カメラ17は、いわゆるドライバモニタリングカメラ(DMC)であり、運転席10Aに着座した運転者P1を撮影する。カメラ17の撮影範囲は、運転者P1の頭部を含む範囲に設定される。なお、カメラ17は、運転者P1以外の乗員Pを撮影できる撮影範囲でもよい。
【0014】
車両1の車室内には、運転席10Aの付近にシフトレバー18が設置される。
【0015】
車両1は、表示装置100を備える。表示装置100は、タッチパネル13を備え、例えば、ディスプレイオーディオ(DA)と呼ばれる装置、或いはカーナビゲーション装置として構成される。
【0016】
図2は、車両1の構成を示す図である。
車両1は、表示装置100、スピーカ14、ステアリング把持センサ16、カメラ17、シフト位置センサ19、及び車速センサ20を備える。表示装置100には、スピーカ14、ステアリング把持センサ16、カメラ17、シフト位置センサ19、及び車速センサ20が接続する。なお、表示装置100に接続するデバイスは、これらデバイスに限定されず、他の種類のデバイスが接続してもよい。
【0017】
スピーカ14は、表示装置100の制御に従って、各種音声を出力する。
【0018】
ステアリング把持センサ16は、所定周期で、運転者P1が両手でステアリングホイール15を把持しているか否かを検出し、検出するたびに検出信号を表示装置100に出力する。
【0019】
カメラ17は、撮影画像の画像データを表示装置100に出力する。
【0020】
シフト位置センサ19は、車両1が備えるシフトレバー18のシフト位置を検出する。シフト位置は、例えば、駐停車時に使用されるP(パーキング)、後退時に使用されるR(リバース)、N(ニュートラル)、走行時に使用されるD(ドライブ)等である。シフト位置センサ19は、検出したシフト位置を示す検出信号を表示装置100に出力する。
【0021】
車速センサ20は、車両1の速度を検出する。車速センサ20は、所定周期で車両1の速度を検出し、検出するたびに検出した車両1の速度を示す検出信号を表示装置100に出力する。
【0022】
表示装置100は、車両1に設けられる装置である。表示装置100は、車両1の各部を制御する車両制御装置として機能してもよい。
表示装置100は、表示制御装置110と、タッチパネル13と、操作スイッチ群120と、インターフェース部130とを備える。
【0023】
表示制御装置110は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processor Unit)などのプロセッサ140と、メモリ150と、他の装置やセンサ類を接続するためのインターフェース回路とを備え、表示装置100の各部を制御する。
メモリ150は、「記憶部」の一例である。
【0024】
メモリ150は、プログラムやデータを記憶する記憶装置である。メモリ150は、制御プログラム151、プロセッサ140に処理されるデータを記憶する。メモリ150は、不揮発性の記憶領域を有する。また、メモリ150は、揮発性の記憶領域を備え、プロセッサ140のワークエリアを構成してもよい。メモリ150は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)によって構成される。
制御プログラム151は、「プログラム」の一例である。
【0025】
タッチパネル13は、表示制御装置110の制御に従って、各種情報を表示する。タッチパネル13は、タッチセンサの検出信号を表示制御装置110に出力する。
【0026】
操作スイッチ群120は、表示装置100を操作するための各種の操作スイッチを備える。操作スイッチ群120の操作スイッチの各々は、操作されると操作信号を表示制御装置110に出力する。
【0027】
インターフェース部130は、コネクタや通信回路などのハードウェアを備え、表示装置100と通信接続する各種デバイスと通信する。本実施形態において、インターフェース部130は、スピーカ14、ステアリング把持センサ16、カメラ17、シフト位置センサ19、及び車速センサ20と通信接続する。
【0028】
プロセッサ140は、メモリ150が記憶する制御プログラム151を読み出して実行することにより、車両状態判定部141、検出部142、乗員判定部143、表示制御部144、及び音声出力部145として機能する。
乗員判定部143は、「判定部」の一例である。
【0029】
車両状態判定部141は、車両1の状態を判定する。
車両状態判定部141は、車両1が走行中であるか否かを判定する。車両状態判定部141は、車速センサ20が出力した検出信号が0km/hより大きい速度を示す場合、車両1が走行中であると判定する。
車両状態判定部141は、車両1が特定状態であるか否かを判定する。特定状態とは、車両1の速度が所定値以下の状態であり、より詳細には、車両1の速度が零である状態が所定時間継続した状態である。つまり、特定状態とは、車両1が停車している状態、又は駐車している状態である。車両状態判定部141は、車速センサ20の検出信号が0km/hを示してから所定時間、車速センサ20の検出信号が示す速度が変化しない場合、車両1の状態が特定状態であると判定する。なお、車両状態判定部141は、シフト位置センサ19の検出信号がP(パーキング)のシフト位置を示す場合、車両1が特定状態であると判定してもよい。
【0030】
検出部142は、表示装置100に対する操作(以下、「装置操作」という)を検出する。検出部142は、タッチパネル13からタッチセンサの検出信号が入力された場合、装置操作があったと検出する。また、検出部142は、操作スイッチ群120から操作信号が入力された場合、装置操作があったと検出する。なお、装置操作としては、タッチパネル13が表示する画面の切り替え操作や、目的地の入力操作などが例に挙げられる。
検出部142は、検出した装置操作の操作内容を特定する。検出部142は、タッチセンサの検出信号が示すタッチ位置と、タッチパネル13の表示パネルが表示するアイコンとの対応関係から、タッチパネル13を介した装置操作の操作内容を特定する。また、検出部142は、操作スイッチ群120から出力された操作信号の種類から、操作スイッチを介した装置操作の操作内容を特定する。
【0031】
検出部142は、装置操作を検出すると、装置操作を検出するたびに装置操作を検出したことを表示制御部144、及び音声出力部145に出力する。また、検出部142は、装置操作を検出すると、装置操作を検出するたびに検出した装置操作の操作内容を特定し、特定した操作内容を表示制御部144に出力する。
【0032】
乗員判定部143は、検出部142が検出した装置操作を行った乗員Pが運転者P1であるか否かを判定する。
【0033】
例えば、乗員判定部143は、検出部142が装置操作を検出したタイミング後であって且つ当該タイミングに最も近いタイミングで出力されたステアリング把持センサ16の検出信号に基づいて、装置操作を行った乗員Pが運転者P1であるか否かを判定する。すなわち、乗員判定部143は、ステアリング把持センサ16の検出信号が、運転者P1がステアリングホイール15を両手で把持していることを示す場合、装置操作を行った乗員Pが運転者P1でないと判定する。一方、乗員判定部143は、ステアリング把持センサ16の検出信号が、運転者P1がステアリングホイール15を両手で把持していないことを示す場合、装置操作を行った乗員Pが運転者P1であると判定する。
【0034】
また、例えば、乗員判定部143は、検出部142が装置操作を検出したタイミング後であって且つ当該タイミングに最も近いタイミングでカメラ17の撮影により得られた撮影画像に基づいて、装置操作を行った乗員Pが運転者P1であるか否かを判定する。すなわち、乗員判定部143は、パターンマッチングなどによってカメラ17の撮影画像に写る運転者P1の顔の向きを特定し、特定した顔の向きがタッチパネル13に向かない向きである場合、装置操作を行った乗員Pが運転者P1でないと判定する。一方、乗員判定部143は、特定した顔の向きがタッチパネル13に向く向きである場合、装置操作を行った乗員Pが運転者P1であると判定する。なお、撮影画像における顔の向きと、タッチパネル13に顔が向いているか否かとの対応関係は、事前のテストやシミュレーション等によって予め定められている。
【0035】
表示制御部144は、タッチパネル13により情報を表示する。表示制御部144の動作の詳細については図3を参照して説明する。
【0036】
音声出力部145は、スピーカ14により音声を出力する。音声出力部145の動作の詳細については図3を参照して説明する。
【0037】
[2.表示装置の動作]
次に、表示装置100の動作について説明する。
図3は、表示装置100の動作を示すフローチャートFAである。
【0038】
表示制御部144は、検出部142が装置操作を検出したか否かを判定する(ステップSA1)。
【0039】
表示制御部144は、検出部142が装置操作を検出していないと判定した場合(ステップSA1:NO)、再度、ステップSA1の判定を行う。
【0040】
一方、表示制御部144が、検出部142が装置操作を検出した場合(ステップSA1:YES)、車両状態判定部141は、車両1が走行中であるか否かを判定する(ステップSA2)。
【0041】
車両1が走行中でないと車両状態判定部141が判定した場合(ステップSA2:NO)、表示制御部144は、タッチパネル13により表示する情報を、検出部142が検出した装置操作に対応する情報に変更する(ステップSA3)。
【0042】
一方、車両1が走行中であると車両状態判定部141が判定した場合(ステップSA2:YES)、乗員判定部143は、装置操作を行った乗員Pが運転者P1であるか否かを判定する(ステップSA4)。
【0043】
装置操作を行った乗員Pが運転者P1でないと乗員判定部143が判定した場合(ステップSA4:NO)、表示制御部144は、タッチパネル13により表示する情報を、検出部142が検出した装置操作に対応する情報に変更する(ステップSA3)。
【0044】
一方、装置操作を行った乗員Pが運転者P1であると乗員判定部143が判定した場合(ステップSA4:YES)、表示制御部144は、タッチパネル13により表示する情報を、検出部142が検出した装置操作に対応する情報に変更せず、且つ、注意喚起情報を表示しない(ステップSA5)。注意喚起情報とは、装置操作に関する注意喚起を示す情報であり、より詳細には、車両1の走行中において表示装置100を操作できないことの注意喚起を示す情報である。注意喚起情報としては、例えば「操作できません」との文字列を有する情報である。
【0045】
次いで、表示制御部144は、メモリ150に操作情報を記憶させる(ステップSA6)。操作情報は、検出部142が検出した装置操作を示す情報であり、検出部142が特定した装置操作の操作内容が記録されている。
【0046】
次いで、車両状態判定部141は、車両1の状態が特定状態になったか否かを判定する(ステップSA7)。
【0047】
車両1が特定状態になっていないと車両状態判定部141が判定した場合(ステップSA7:NO)、表示制御部144は、検出部142が装置操作を検出したか否かを判定する(ステップSA8)。
【0048】
表示制御部144が、検出部142が装置操作を検出していないと判定した場合(ステップSA8:NO)、プロセッサ140は、処理をステップSA7に戻し、再度、ステップSA7以降の処理を行う。
【0049】
表示制御部144が、検出部142が装置操作を検出したと判定した場合(ステップSA8:YES)、乗員判定部143は、装置操作を行った乗員Pが運転者P1であるか否かを判定する(ステップSA9)。
【0050】
装置操作を行った乗員Pが運転者P1でないと乗員判定部143が判定した場合(ステップSA9:NO)、表示制御部144は、タッチパネル13により表示する情報を、検出部142が直近で検出した装置操作に対応する情報に変更する(ステップSA3)。
【0051】
一方、装置操作を行った乗員Pが運転者P1であると乗員判定部143が判定した場合(ステップSA9:YES)、表示制御部144は、メモリ150が記憶する操作情報を、検出部142が直近で検出した装置操作を示す操作情報に更新する(ステップSA10)。
【0052】
次いで、音声出力部145は、検出部142が複数回連続して装置操作を検出したか否かを判定する(ステップSA11)。音声出力部145は、所定期間(例えば5秒)内にN(Nは2以上の整数)回以上の装置操作を検出部142が検出した場合、ステップSA11において肯定判定する。
【0053】
音声出力部145は、検出部142が複数回連続して装置操作を検出していないと判定した場合(ステップSA11:NO)、プロセッサ140は、処理をステップSA7に戻し、再度、ステップSA7以降の処理を行う。
【0054】
一方、検出部142が複数回連続して装置操作を検出したと判定した場合(ステップSA11:YES)、音声出力部145は、装置操作に関する注意喚起の音声をスピーカ14により出力する(ステップSA12)。当該音声としては、例えば「操作できません」などの表示装置100の操作ができないことの注意喚起を示す音声である。
【0055】
ステップSA7の説明に戻り、車両1が特定状態になったと車両状態判定部141が判定した場合(ステップSA7:YES)、表示制御部144は、タッチパネル13が表示する情報を、メモリ150が記憶する操作情報が示す装置操作に対応する情報に更新し、且つ、注意喚起情報を表示する(ステップSA13)。
【0056】
なお、ステップSA13で表示される注意喚起情報は、表示が開始されてから所定期間が経過した場合に非表示となることが好ましい。これにより、乗員Pに、注意喚起情報が長期に亘って表示されることの煩わしさを感じさせてしまうことを抑制できる。
【0057】
[3.他の実施形態]
上述した実施形態は、あくまでも一態様を示すものであり任意に変形及び応用が可能である。
【0058】
上述した実施形態では、車両1が特定状態に至った場合に注意喚起情報が表示される構成であるが、他の実施形態では、車両1が特定状態に至った場合に注意喚起情報が表示されない構成としてもよい。
【0059】
上述した実施形態では、車両1の速度が零である状態が所定時間継続した状態を特定状態としている。他の実施形態では、車両1の速度が所定値以下である状態を特定状態としてもよい。この所定値としては、5km/hが例に挙げられる。なお、この他の実施形態において、車両状態判定部141は、車両1の速度が所定値より大きい場合に車両1が走行中であると判定する。
【0060】
上述した実施形態では、「表示部」としてタッチパネル13を例示したが、「表示部」は、タッチセンサを具備しないディスプレイでもよい。
【0061】
プロセッサ140は、単一のプロセッサにより構成されてもよいし、複数のプロセッサにより構成されていてもよい。プロセッサ140は、対応する機能部を実現するようプログラムされたハードウェアでもよい。すなわち、プロセッサ140は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成されてもよい。
【0062】
また、図2に示した車両1の構成は一例であって、具体的な実装形態は特に限定されない。つまり、必ずしも各部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサがプログラムを実行することで各部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上述した実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアとしてもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、車両1の各部の具体的な細部構成についても任意に変更可能である。
【0063】
また、図3に示す動作のステップ単位は、動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、本発明の趣旨に支障のない範囲で適宜に入れ替えてもよい。
【0064】
また、上述した表示装置100の制御方法を、プロセッサ140を用いて実現する場合、プロセッサ140に実行させるプログラムを記録媒体、又はこのプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。すなわち、制御プログラム151は、可搬型の情報記録媒体に制御プログラム151を記録させた状態で実現することも可能である。情報記録媒体は、ハードディスク等の磁気的記録媒体、CD等の光学的記録媒体、USB(Universal Serial Bus)メモリやSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶デバイスが挙げられるが、その他の記録媒体を用いることも可能である。
【0065】
[4.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0066】
(構成1)車両に設けられる表示装置であって、表示部と、前記表示装置に対する操作を検出する検出部と、前記表示部により情報を表示する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記車両の走行中に前記検出部が前記操作を検出した場合、前記表示部が表示する情報を前記検出部が検出した前記操作に対応する情報に変更せず、且つ、前記操作に関する注意喚起を示す注意喚起情報を前記表示部により表示しない、表示装置である。
構成1の表示装置によれば、表示装置に対する操作によって表示部の表示内容が変化しない。そのため、車両の走行中に表示装置が操作を受け付けたと、車両の運転者が誤認してしまうことを抑制できる。
【0067】
(構成2)記憶部を備え、前記表示制御部は、前記車両の走行中に前記検出部が前記操作を検出した場合、前記検出部が検出した前記操作を示す操作情報を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に前記操作情報を記憶させた後に前記車両が特定状態に至った場合、前記表示部が表示する情報を、前記記憶部に記憶させた前記操作情報が示す前記操作に対応する情報に変更する、構成1に記載の表示装置。
構成2の表示装置によれば、車両が特定状態に至った場合に、表示部により表示する情報を操作に対応する情報に変更する。そのため、車両の走行中に表示装置が操作を受け付けたと車両の運転者が誤認することを抑制しつつ、表示装置が表示する情報を操作者が所望する情報に変更できる。
【0068】
(構成3)前記特定状態は、前記車両の速度が所定値以下の状態である、構成2に記載の表示装置。
構成3の表示装置によれば、車両の速度が所定値以下の状態で表示部が表示する情報を変更するため、運転者が安全確認を行える蓋然性の高い状況で表示する情報を変更できる。
【0069】
(構成4)前記特定状態は、前記車両の速度が零である状態が所定時間継続した状態である、構成3に記載の表示装置。
構成4の表示装置によれば、車両の速度が零である状態が所定時間継続した状態で表示装置が表示する情報を変更するため、運転以外に気をとられて運転してしまうこと、すなわち脇見運転の発生を抑制できる。
【0070】
(構成5)前記車両の走行中に複数回連続して前記検出部が前記操作を検出した場合、前記操作に関する注意喚起の音声を出力する音声出力部を備える、構成1から構成4のいずれか一つに記載の表示装置。
構成5の表示装置によれば、車両の走行中に複数回連続して表示装置に対して操作された場合、操作に関する注意喚起の音声が出力されるため、不必要に注意喚起を行ってしまうことを抑制しつつ、車両の走行中における表示装置の操作が注意喚起の対象であることを、表示装置を見ずとも車両の運転者に把握させることができる。よって、不必要な注意喚起による不快感を車両の運転者が抱くことを抑制しつつ、脇見運転の発生を抑制できる。
【0071】
(構成6)前記操作を行った前記車両の乗員が運転者か否かを判定する判定部を備え、前記表示制御部は、前記操作を行った前記乗員が前記運転者であると前記判定部が判定した場合、前記車両が前記特定状態に至るまで、前記表示部が表示する情報の変更を行わず、前記操作を行った前記乗員が前記運転者でないと前記判定部が判定した場合、前記車両が前記特定状態に至っていなくても、前記表示部が表示する情報を前記検出部が検出した前記操作に対応する情報に変更する、技術2から技術5のいずれか一つに記載の表示装置。
構成6の表示装置によれば、表示装置の操作を行った乗員が運転者以外の同乗者であれば、車両の走行中でも表示装置が表示する情報を操作に対応する情報に変更できるため、車両の乗員にとっての利便性を向上できる。
【0072】
(構成7)前記判定部は、前記車両に設置されるステアリングホイールが把持されているか否か、又は、前記車両の室内を撮影するカメラが撮影した撮影画像に基づいて、前記操作を行った前記車両の乗員が運転者か否かを判定する、構成6に記載の表示装置。
構成7の表示装置によれば、表示装置に対する操作を行った乗員が運転者であるか否かを正確に判定できるため、同乗者が表示装置を操作しているにも係わらず表示部の情報が変更されないといった事態の発生を低減できる。よって、乗員にとっての利便性をより向上できる。
【0073】
(構成8)前記表示制御部は、前記車両の走行中に前記検出部が前記操作を検出するたびに、前記記憶部が記憶する前記操作情報を更新する、技術2から技術7のいずれか一つに記載の表示装置。
構成8の表示装置によれば、車両が特定状態に至った場合に、表示部が表示する情報を直近で検出された操作に対応する情報に変更できる。よって、車両が特定状態に至った場合、表示装置の操作者が直近で所望した情報に変更でき、乗員にとっての利便性を向上できる。
【0074】
(構成9)前記表示制御部は、前記車両が前記特定状態に至った場合、前記表示部が表示する情報を変更し、且つ、前記注意喚起情報を前記表示部により表示する、構成2から構成8のいずれか一つに記載の表示装置。
構成9の表示装置によれば、表示部が表示する情報が変更された際、車両の走行中に行った表示装置に対する操作が注意喚起の対象であることを車両の運転者が認識できる。そのため、脇見運転の発生を抑制できる。
【0075】
(構成10)車両に設けられる表示装置の制御方法であって、前記車両の走行中に前記表示装置に対する操作を検出した場合、表示する情報を、検出した前記操作に対応する情報に変更せず、且つ、前記操作に関する注意喚起を示す注意喚起情報を表示しない、表示装置の制御方法。
構成10の表示装置の制御方法によれば、構成1の表示装置と同様の効果を奏する。
【0076】
(構成11)車両に設けられ、表示部を備える表示装置のプロセッサを、前記表示装置に対する操作を検出する検出部と、前記表示部により情報を表示する表示制御部と、して機能させ、前記表示制御部は、前記車両の走行中に前記検出部が前記操作を検出した場合、前記表示部が表示する情報を前記検出部が検出した前記操作に対応する情報に変更せず、且つ、前記操作に関する注意喚起を示す注意喚起情報を前記表示部により表示しない、プログラム。
構成11のプログラムによれば、構成1の表示装置と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0077】
1…車両、13…タッチパネル(表示部)、14…スピーカ、15…ステアリングホイール、16…ステアリング把持センサ、17…カメラ、18…シフトレバー、19…シフト位置センサ、20…車速センサ、100…表示装置、110…表示制御装置、120…操作スイッチ群、130…インターフェース部、140…プロセッサ、141…車両状態判定部、142…検出部、143…乗員判定部(判定部)、144…表示制御部、145…音声出力部、150…メモリ(記憶部)、151…制御プログラム(プログラム)、P…乗員、P1…運転者、P2…同乗者。
図1
図2
図3