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特開2024-125561長尺杭打込み用中間チャッキング装置および当該装置を用いた長尺杭の施工方法
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  • 特開-長尺杭打込み用中間チャッキング装置および当該装置を用いた長尺杭の施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125561
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】長尺杭打込み用中間チャッキング装置および当該装置を用いた長尺杭の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/18 20060101AFI20240911BHJP
   E02D 13/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
E02D7/18
E02D13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033453
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000179915
【氏名又は名称】ジェコス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】後藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】酒▲徳▼ 直人
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050AA12
2D050AA13
2D050CA00
2D050CB32
2D050EE04
2D050EE14
2D050EE19
(57)【要約】
【課題】バイブロハンマ杭打機による長尺杭の施工時に用いられる長尺杭用中間チャッキング装置及び当該装置を用いた長尺杭の施工方法を提供する。
【解決手段】リーダ3と、リーダ3の側部に建て込まれた長尺杭イを地中に押し込むバイブロハンマ5を備えたバイブロハンマ杭打機1による長尺杭イの施工時に用いる。長尺杭イの側部に添え付けられ、バイブロハンマ5のチャック12が掴むチャッキング部3と、チャッキング部13を長尺杭イの側部に固定する固定部14を有する。チャッキング部13はチャッキングプレート13aとチャッキングプレート13aの両側縁端部に形成され、チャッキングプレート13aを補強する一対の補強プレート13,13bからなる。固定部14は長尺杭イの両側部に添え付けられた一対の挟持プレート4a,14aと長尺杭イの両側部において挟持プレート14a,14a同士を連結する複数の締付けボルト14b,14bからなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直に立設されたリーダと、前記リーダに設置され、前記リーダの側部に建て込まれた長尺杭に振動を与えながら前記リーダの側部を下降するバイブロハンマを備えたバイブロハンマ杭打機による杭の施工に用いられる長尺杭打込み用中間チャッキング装置であって、前記長尺杭の側部に配置され、前記バイブロハンマが備えるチャックが掴むチャッキング部と、前記チャッキング部と一体に形成され、前記チャッキング部を前記長尺杭の側部に固定する固定部とを備え、前記チャッキング部は前記長尺杭に沿って立ち上がるチャッキング部本体と、前記チャッキング部本体の両端部に形成され、前記チャッキング部本体を補強する一対の補強部を備え、前記固定部は前記長尺杭の両側部に設置された一対の挟持部材と、前記一対の挟持部材間に設置され、前記一対の挟持部材を介して前記長尺杭を挟持する複数の締付け部材を備えていることを特徴とする長尺杭打込み用中間チャッキング装置。
【請求項2】
鉛直に立設されたリーダと、前記リーダに設置され、前記リーダの側部に建て込まれた長尺杭に振動を与えながら前記リーダの側部を下降するバイブロハンマを備えたバイブロハンマ杭打機による長尺杭の施工に用いられる長尺杭打込み用中間チャッキング装置であって、前記長尺杭の側部に設置され、前記バイブロハンマが備えるチャックが掴むチャッキング部と、前記チャッキング部と一体に形成され、かつ前記長尺杭の側部に設置された固定プレートと、前記長尺杭と前記固定プレートの縁端部に設置され、前記長尺杭の縁端部と前記固定プレートの縁端部を挟持する複数の締結金具を備えていることを特徴とする長尺杭打込み用中間チャッキング装置。
【請求項3】
請求項2記載の長尺杭打込み用中間チャッキング装置において、前記チャッキング部と固定プレートとの間に補強治具が設置されていることを特徴とする長尺杭打込み用中間チャッキング装置。
【請求項4】
請求項1,2または3記載の長尺杭打込み用中間チャッキング装置において、前記バイブロハンマ杭打機は、前記リーダを前記バイブロハンマと共に下降させて前記長尺杭を地中に押し込む押込み用シリンダーを備えていることを特徴とする長尺杭打込み用中間チャッキング装置。
【請求項5】
鉛直に立設されたリーダと、前記リーダに設置され、前記リーダの側部に建て込まれた長尺杭に振動を与えながら前記リーダの側部を下降するバイブロハンマを備えたバイブロハンマ杭打機と、前記長尺杭の側部に設置され、前記バイブロハンマが備えるチャックが掴むチャッキング部と、前記チャッキング部を前記長尺杭の側部に固定する固定部とを備えた長尺杭打込み用中間チャッキング装置を用いる長尺杭の施工方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする長尺杭の施工方法。
(1)前記リーダの側部に前記長尺杭を建て込む工程。
(2)前記長尺杭の側部に前記長尺杭打込み用中間チャッキング装置を取り付ける工程。
(3)前記長尺杭打込み用中間チャッキング装置のチャッキング部を前記バイブロハンマが備えるチャックに掴ませる工程。
(4)前記バイブロハンマを作動させ、前記長尺杭と共に下降させることにより前記長尺杭を地中に所定長押し込む工程。
(5)前記バイブロハンマが備えるチャックを前記チャッキング部から解放して、前記長尺杭打込み用中間チャッキング装置を取り外し、撤去する工程。
(6)前記バイブロハンマを前記長尺杭の上端部の高さまで上昇させる工程。
(7)前記長尺杭の上端部を前記バイブロハンマが備えるチャックに掴ませる工程。
(8)前記バイブロハンマを作動させ、前記リーダに沿って下降させて前記長尺杭を地中に押し込む工程。
【請求項6】
請求項5記載の長尺杭の施工方法において、前記長尺杭の施工に先行して短杭を押し込むことにより前記長尺杭を打ち込む位置の地盤を解す工程を含むことを特徴とする長尺杭の施工方法。
【請求項7】
請求項5または6記載の長尺杭の施工方法において、前記リーダを前記バイブロハンマと共に下降させて前記長尺杭を地中に押し込む工程を含むことを特徴とする長尺杭の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイブロハンマ杭打機を用いてH形鋼杭やシートパイル等で、特に長い杭(以下「長尺杭」)を地中に打ち込むのに用いられる長尺杭打込み用中間チャッキング装置および当該装置を用いたバイブロハンマ杭打機による長尺杭の施工方法に関し、特に杭打機が備えるリーダより長い長尺杭の施工や杭打機の据付け位置より高い地盤での杭打ち施工を効率的に行えるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
バイブロハンマを用いて鋼杭を地中に打ち込む方法として、通常、バイブロハンマが備えるチャックによって鋼杭の上端部を掴み、バイブロハンマによって振動を与えながら鋼杭を地中に押し込む方法が一般に知られている。
【0003】
ところで、杭打機のリーダより長い長尺杭の施工や杭打機の据付け位置より高い位置にH形鋼杭やシートパイルを鋼杭の施工が必要となることがある。
【0004】
このような場合、これまでは、複数の短杭を用い先に打ち込んだ短杭の上端部に後から打込む短杭を順に継いで打ち込む方法が用いられていた。
【0005】
また、例えば、特許文献1には、特に長いシートパイルやH鋼杭の施工、或いは杭打機の据付け位置より高い地点における施工を効率的に実施できるようにした杭打装置および杭打方法の発明が開示されている。
【0006】
説明すると、ベースマシンのフロントに取付けられ、杭把み用の垂直チャック装置を有するバイブロハンマを備えた杭打装置において、前記垂直チャック装置に把持される被チャック部と、該被チャック部に対して偏芯して設けられた杭横把み用水平チャック装置とを有する杭横把み装置を備え、かつ前記被チャック部と一体をなす固定フレームと該固定フレームに対して回動自在に取り付けられた回動フレームとを備え、前記水平チャック装置は、固定フレームと回動フレームとにより構成され、前記水平チャック装置は対をなすチャック用爪を有し、対向するチャック用爪を閉じた際に双方の爪の両側にスペースが形成されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4-131425号公報
【特許文献2】特開平6-10349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、複数の短杭を順に継ぎながら打込む方法は、杭どうしを一々接合する必要があり、また、その都度打込み作業を中断する必要があるため、労力、コストが共に嵩む上に作業効率が非常悪い等の課題があった。また、継手部の周囲地山との摩擦抵抗により打ち込みがスムーズにできないという課題もあった。
【0009】
一方、特許文献1の発明は、矢板を把持する横掴み装置が油圧を利用した水平チャック装置によって矢板の両側部(ウェブの両側部)を挟持するように構成され、かつ被チャック部が水平チャック装置に対し偏心して取り付けられているため、被チャック部を杭把み用の垂直チャック装置で掴んで矢板を下方に強く押し込んだ際に、横掴み装置が水平チャック装置の爪部を軸に回転して、矢板が傾き垂直に押込めない恐れがあった。
【0010】
また、押込み中の矢板を垂直にガイドするリーダが設置されていないことからも、特に硬質地盤における施工には困難を強いられることが推測される。
【0011】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、杭打ち機が備えるリーダより長い長尺杭の施工や杭打機の据付け位置より高い地盤に設置される杭もきわめて効率的にかつ確実に打ち込める長尺杭打込み用中間チャッキング装置および当該装置を用いた長尺杭の施工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、鉛直に立設されたリーダと、前記リーダに設置され、前記リーダの側部に建て込まれた長尺杭に振動を与えながら前記リーダの側部を下降するバイブロハンマを備えたバイブロハンマ杭打機による杭の施工に用いられる長尺杭打込み用中間チャッキング装置であって、前記長尺杭の側部に配置され、前記バイブロハンマが備えるチャックが掴むチャッキング部と、前記チャッキング部と一体に形成され、前記チャッキング部を前記長尺杭の側部に固定する固定部とを備え、前記チャッキング部は前記長尺杭に沿って立ち上がるチャッキング部本体と、前記チャッキング部本体の両端部に形成され、前記チャッキング部本体を補強する一対の補強部を備え、前記固定部は前記長尺杭の両側部に設置された一対の挟持部材と、前記一対の挟持部材間に設置され、前記一対の挟持部材を介して前記長尺杭を挟持する複数の締付け部材を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
前記挟持部材と締付け部材をそれぞれ挟持プレートと締付けボルトとし、前記挟持プレートの縁端部に前記締付けボルトのボルト孔を形成すると共に、当該ボルト孔を長尺杭の軸直角方向に長い長孔とするか、或は前記長尺杭の軸直角方向に間隔をおいて複数形成することで、径の異なる長尺杭の打込みにも対応することができる。
【0014】
また、前記チャッキング部と固定部は溶接などにより一体に形成されてもよく、或いは接合ボルト等によって接合することにより離脱可能に形成されてもよい。
【0015】
また、前記固定部に代えて前記チャッキング部と一体に形成され、かつ前記長尺杭の側部に添え付けられる固定プレートと、前記長尺杭と前記固定プレートの縁端部に設置され、前記長尺杭の縁端部と前記固定プレートの縁端部を強力に挟持する複数の締結金具を備えてもよい。
【0016】
締結金具としては、例えば対向する二つの口金部間に前記固定プレートと長尺杭の縁端部を挟み込み、締付けボルトを締め付けることにより強い締結力をもって固定プレートの縁端部と長尺杭の縁端部を挟み込むように構成されたものが好ましい。
【0017】
また、前記チャッキング部と固定プレートとの間に補強治具を設置することにより、特に長尺杭の設置地盤が固く大きな押込み力で施工する場合でも、杭打機の押込み力を長尺杭に確実に伝達することができる。
【0018】
補強治具の径と高さ(長さ)、固定プレートの横幅と高さは長尺杭の径に応じて決定し、特に長尺杭の径が大きく、大きな力で押し込む必要があるときは、それに応じた大きさの補強治具と固定プレートを設置すればよい。
【0019】
補強治具の形状は特に限定されるものではなく、十分な強度(剛性)を有する物であればよく、例えば平面視H形状や矩形断面の筒状に形成されたもの等であればよい。
【0020】
さらに、前記リーダを前記バイブロハンマと共に下降させて前記長尺杭を地中に押し込むことにより、長尺杭の打込みをさらに効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、特に長尺杭打込み用中間チャッキング装置は、長尺杭の両側に添え付けられた一対の挟持部材と、当該挟持部材間をその両側縁端部において連結する複数の締付け部材によって長尺杭の中間部を挟持するように構成されているため、チャッキンング部がバイブロハンマによって下方に強く押し込まれたとしても、長尺杭が傾いてしまうようなことはなく、長尺杭を地中に確実に打ち込むことができる。
【0022】
また、杭打機が備えるリーダをリーダ昇降用油圧シリンダーによってバイブロハンマと共に下降させることにより、少々の硬質な地盤においても前記長尺杭を確実に打ち込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】長尺杭打込み用中間チャッキング装置の一実施形態を図示したものであり、図(a)は長尺杭(H形鋼杭)の中間部に取り付けられた長尺杭打込み用中間チャッキング装置の側面図、図(b)はその取付け手順を示す説明図である。
図2】(a)~(d)は、本発明で用いられるバイブロハンマ杭打機および長尺杭打込み用中間チャッキング装置の動作を示す説明図である。
図3】長尺杭打込み用中間チャッキング装置の他の実施形態を図示したものであり、図(a)は長尺杭(H形鋼杭)の中間部に取り付けられた長尺杭打込み用中間チャッキング装置の側面図、図(b)は横断面図である。
図4】長尺杭打込み用中間チャッキング装置の他の実施形態を図示したものであり、図(a)は長尺杭(H形鋼杭)の中間部に取り付けられた長尺杭打込み用中間チャッキング装置の側面図、図(b)は横断面図である。
図5】(a)~(f)は、バイブロハンマ杭打機および長尺杭打込み用中間チャッキング装置による長尺杭の施工方法の手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1,2は、バイブロハンマ杭打機が備えるリーダの側部に立て付けられた鋼杭(H形鋼杭等)に振動を与えながらリーダの側部を下降することにより、前記鋼杭を地中に強制的に押し込んで打ち込むバイブロハンマ杭打機と、バイブロハンマ杭打機を用いて長尺杭を地中に打ち込むのに用いられる長尺杭打込み用中間チャッキング装置(以下「中間チャッキング治具」)を図示したものである。
【0025】
図において、バイブロハンマ杭打機1は、自走式のベースマシン2と、ベースマシン2の進行方向側部(以下「フロント部」)に設置されたリーダ3と、ベースマシン2のフロント部に取り付けられ、リーダ3を支持する支持アーム4と、リーダ3にリーダ3の側部を昇降可能に据え付けられ、長尺杭イに振動を与えるバイブロハンマ5とを備えている。
【0026】
リーダ3は、支持アーム4の後述するリンク4cの側部に上下ブラケット6,6を介して取り付けられ、かつリンク4cの側部をリンク4cの軸方向にスライドするように取り付けられている。
【0027】
支持アーム4は、ベースマシン2とリーダ3との間にベースマシン2の進行方向に順に配置されたリンク4a,4bおよび4cを備え、リンク4a,4bおよび4cの上下両側部に複数のリーダ操作用油圧シリンダー7が設置されている。
【0028】
リンク4a,4bおよび4cは、それぞれ上下方向に互いに回転自在に連結され、かつリンク4aのベースマシン2側端部は、ベースマシン2のフロント部に上下方向に回転自在に連結されている。また、リンク4cはリーダ3の側部にリーダ3に沿って平行に設置されている。
【0029】
また、リーダ3とリンク4cとの間に、リーダ昇降用シリンダー8がリーダ3およびリンク4cの軸方向に沿って設置され、リーダ昇降用シリンダー8の下端部はリンク4bとリンク4cとの連結部に連結され、上端部はリーダ3の上端側部に連結されている。
【0030】
さらに、リーダ3内にバイブロハンマ5を昇降させる昇降用油圧シリンダー(図省略)を備えたバイブロハンマ昇降装置9が設置されている。
【0031】
そして、ベースマシン2が備える操作室10において、リーダ操作用油圧シリンダー7を操作することにより、支持アーム4のリンク機構によってリーダ3は、ベースマシン2のフロント部に鉛直に起立し、また、ベースマシン2の進退方向および側方向に自由に傾斜し、かつ上下方向に自由に移動する。
【0032】
また、操作室10においてリーダ昇降用油圧シリンダー8を操作することにより、リーダ3はリンク4cに沿って昇降し、また、リーダ3内に設置されたバイブロハンマ昇降装置9を操作することにより、リーダ3の側部をバイブロハンマ5が昇降する。
【0033】
このようなリーダ3およびバイブロハンマ5の動作により、鋼杭イはバイブロハンマ5の本来の機能と、バイブロハンマ5とリーダ3が下降することによる大きな押込み力によって地中に確実に打ち込むことができる。
【0034】
中間チャッキング治具11は、長尺杭イの中間部における側部に位置し、バイブロハンマ5が備えるチャック12が掴むチャッキング部13と、チャッキング部13と一体に形成され、チャッキング部13を長尺杭イの中間部における側部に固定する固定部14を備えている。
【0035】
チャッキング部13は、長尺杭イの側面にほぼ直角に、かつ長尺杭イの上方に配置されたチャッキング部本体(以下「チャッキングプレート」)13aと、チャッキングプレート13aの長尺杭イ側およびその反対側の縁端部にそれぞれ位置し、チャッキングプレート13aを補強する一対の補強部(以下「補強プレート」)13b,13bを有し、平面視略H形状に形成されている。
【0036】
また、長尺杭イ側に位置する補強プレート13bは、固定部14の後述する挟持部材(以下「挟持プレート」)14aに重ねて配置され、かつ挟持プレート14aに溶接などによって一体に接合されている。
【0037】
固定部14は、長尺杭イの中間部におけるチャッキング部13側とその反対側の側部に対称に添え付けられた一対の挟持プレート14a,14aと、長尺杭イの中間部における長尺杭イの両側部に長尺杭イの軸直角方向に配置され、挟持プレート14a,14aの縁端部どうしを連結する複数の締付け部材(以下「締付けボルト」)14b,14bを備えている。
【0038】
各締付けボルト14bの両端部は、挟持プレート14a,14aの縁端部に形成された連結孔14c,14cをそれぞれ貫通している。そして、各締付けボルト14bの両端部に締付けナット14d,14dが締め付けられることにより、固定部14は長尺杭イの中間部に脱着可能に固定されている。
【0039】
なお、実施形態では、長尺杭イ側の補強プレート13bとこれに対向する挟持プレート14aとの間に剛性プレート15が介在されている。これによりチャッキング部13と固定部14間の接合部の剛性が著しく高められ、これによりバイブロハンマ5とリーダ3が下降することによる大きな押込み力が長尺杭イに確実に伝達される。
【0040】
なお、挟持プレート14a、14aは、長尺杭イの径および長さに応じて横幅と高さが最適寸法に設定されたものが用いられ、同様に締付けボルト14bも最適径および最適長さのものが用いられ、かつ最適本数が用いられている。
【0041】
図3は、図1に図示する中間チャッキング治具の変形例を図示したものであり、チャッキングプレート13aの、チャック12が把持する位置に補強プレート13c,13cが取り付けられている。また、片方の補強プレート13bにラフタークレーン等によって治具のみを吊り上げるとき等に、吊りワイヤーを結束するための吊り部13d,13dが形成されている。
【0042】
補強プレート13c,13cはチャッキングプレート13aの両側部に対称に取り付けられ、吊り金具13d,13dは間隔をおいて複数取り付けられている。
【0043】
図4は、同じく中間チャッキング装置の他の実施形態を図示したものであり、特に複数の締結金具を用いて長尺杭イの側部に取り付けられるように構成されている。
【0044】
具体的に説明すると、中間チャッキング治具16は、バイブロハンマ5が備えるチャック12が掴むチャッキング部13と、チャッキング部13の長尺杭イ側の端部に配置された補強治具17および添接板18と複数の締結金具19を備えている。
【0045】
チャッキング部13には図1および図3に図示するチャッキンヤグ部13と共通するものが用いられている。
【0046】
補強治具17は、特に長尺杭イを地中に押し込むのに大きな押込み力を必要とする場合に設置され、チャッキング部13のチャッキングプレート13aと同一鉛直面内に位置するウェブプレート17aとウェブプレート17aの長尺杭イ側およびチャッキング部13側の端部にそれぞれ位置する一対のフランジプレート17b,17bを有し、平面視略H形状に形成されている。
【0047】
なお、補強治具17としては、チャッキング部13のチャッキングプレート13aと同一鉛直面内に位置するウェブプレート17aとウェブプレート17aの長尺杭イ側およびチャッキング部13側の端部にそれぞれ位置する一対のフランジプレート17b,17bを有し、平面視略矩形断面の筒状に形成されていてもよい。
【0048】
また、チャッキング部13より長尺杭イの軸方向に長く形成されている。さらに、チャッキング部13側のフランジプレート17bはチャッキング部13の補強プレート13cに、長尺杭イ側のフランジプレート17bは固定プレート18にそれぞれ重ねて配置され、かつそれぞれ互いに溶接等によって接合されている。
【0049】
固定プレート18は長尺杭イの軸方向に長い矩形板状に形成され、かつ長尺杭イの側部に添え付けられている。また、固定プレート18の横幅は長尺杭イの横幅とほぼ同一幅に形成され、長さは補強軸17と同一若しくは補強治具17より長く形成されている。
【0050】
締結金具19は、互に重ねられた固定プレート18と長尺杭イの両側の縁端部に、長尺杭イの軸方向に間隔をおいて複数脱着可能に取り付けられている。そして、各締結金具19を強く締め付けることにより固定プレート18と長尺杭イの縁端部間が接合されている。
【0051】
締結金具19としては、例えば、図示するように対向する二つの口金部19a,19a間に固定プレート18と長尺杭イの縁端部を挟み込み、締付けボルト19bを締め付けることにより強い締結力をもって固定プレート18の縁端部と長尺杭イの縁端部どうしを挟み付けられるように構成されたものが用いられる。
【0052】
なお、補強治具17の径と高さ、固定プレート18の横幅と高さは長尺杭イの径に応じて決定され、特に長尺杭イの径が大きく、大きな力で押し込む必要があるときは、それに応じた大きさの補強治具17と固定プレート18が用いられている。
【0053】
次に、中間チャッキング治具11を用いたバイブロハンマ杭打機1による長尺杭イの施工手順を図5(a)-(f)に基いて説明する。
(1)最初に、バイブロハンマ杭打機1を用い、通常の打設方法によって長尺杭イより短い短杭ロ(先行杭)を長尺杭イの打設位置に打ち込む。そして、短杭ロの打込みと引抜きを一定長繰り返すことにより、長尺杭イを打設する位置を中間チャッキング治具11によって打設する深さまでほぐす。また、長尺杭イの側部に中間チャッキング治具11を取り付ける。なお、短杭ロは地盤のほぐしが完了したら撤去する。
(2)次に、中間チャッキング治具11を取り付けた長尺杭イをラフタークレーンハによって吊り上げて、打設位置に吊り込み杭打機1のリーダ3の側部に垂直に立て付ける。
(3)次にチャッキング部13のチャッキングプレート13aをバイブロハンマ5が備えるチャック12に掴ませる。
【0054】
(4)次に、バイブロハンマ5を作動させ、長尺杭イと共に下降させて長尺杭イを地中に所定長押し込む。
(5)次に、バイブロハンマ5のチャック12をチャッキング部13のチャッキングプレート13aから解放し、そして、中間チャッキング治具11を長尺イの側部から取り外し、ラフタークレーンハで吊り撤去する。
(6)次に、バイブロハンマ昇降装置10を作動させてバイブロハンマ5を長尺杭イの上端部の高さまで上昇させる。
(7)次に、長尺杭イの上端部をバイブロハンマ5のチャック12に掴ませる。そして、バイブロハンマ5を作動させ、リーダ3に沿って下降させることにより長尺杭イを通常の打設工法によって地中に押し込んで打ち込む。
【0055】
なお、地盤が固いときは、リーダ3をバイブロハンマ5と共に下降させて長尺杭イを地中に強制的に押し込むことにより長尺杭イを効率的に打ち込むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、鋼杭を地中に押し込んで設置するバイブロハンマ杭打機によって長尺杭を施工する際に、長尺杭の中間側部を掴む中間チャッキング治具を用いることにより、杭打機が備えるリーダより長い長尺杭の施工や杭打機の据付け位置より高い地盤での施工を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1バイブロハンマ杭打機、2 自走式のベースマシン、
3 リーダ、4 支持アーム、4a,4b,4c リンク
5 バイブロハンマ、6 ブラケット、
7 リーダ操作用油圧シリンダー、
8 リーダ昇降用油圧シリンダー、
9 バイブロハンマ昇降装置、10 操作室
11 中間チャッキング治具(長尺杭用中間チャッキング装置)、
12 チャック、13 チャッキング部、
13a チャッキングプレート(チャッキング部本体)
13b 補強プレート(補強部)、14 固定部
14a 挟持プレート(挟持部材)、
14b 締付けボルト(締付け部材)、
14c 連結孔、14d 締結ナット、
15 剛性プレート、16 中間チャッキング治具、
17 補強治具、17a ウェブプレート、
17b フランジプレート、18 固定プレート、
19 締結金具、19a 口金部、19b 締付けボルト、
イ 長尺杭、ロ 短杭、 ハ ラフタークレーン
図1
図2
図3
図4
図5