(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125569
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】機材積載装置及び車両
(51)【国際特許分類】
B60P 1/14 20060101AFI20240911BHJP
B60P 1/04 20060101ALI20240911BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20240911BHJP
B60P 1/44 20060101ALI20240911BHJP
B60P 1/43 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
B60P1/14
B60P1/04 S
B60P3/00 Z
B60P1/44 Z
B60P1/43 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033471
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】飯島 拓也
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可搬ポンプ等の機材の積載位置を従来よりも低くできる機材積載装置、及び当該機材積載装置を備えた車両を提供する。
【解決手段】機材積載装置は、車両前後方向に設けられたシャシフレーム5を有する車両1の後部に設置され、機材4を車外へ引き出し可能に積載する装置であって、機材が載置され車上の積載位置と積載位置よりも低い車外の引出位置とに位置を変更可能な載置台と、載置台をシャシフレーム5間に保持する保持材とを備え、車両に設置した状態において、積載位置における載置台の載置面は車両の荷台3の床面よりも低くなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に設けられたシャシフレームを有する車両の後部に設置され、機材を車外へ引き出し可能に積載する装置であって、
前記機材が載置され車上の積載位置と前記積載位置よりも低い車外の引出位置とに位置を変更可能な載置台と、
前記載置台を前記シャシフレーム間に保持する保持材と、を備え、
前記車両に設置した状態において、前記積載位置における前記載置台の載置面は前記車両の荷台の床面よりも低くなることを特徴とする機材積載装置。
【請求項2】
前記シャシフレームに設けられたサブフレームに車両後方側が低くなるように水平に対して斜めに設置されるレール材と、
前記載置台が取り付けられ前記レール材に沿ってスライドするスライド材と、
ドラムに巻回されたワイヤーロープを有するウインチと、
前記スライド材に接続して設けられ前記ワイヤーロープが繋がれるロープ繋止材と、
前記スライド材のスライドをロックするロック材と、を備え、
前記載置台が前記積載位置にあるとき、前記ロープ繋止材に繋がれている前記ワイヤーロープを前記ロック材のロックが解除された状態で前記ドラムから繰り出すと、前記スライド材が斜め下方へスライドすることに伴い前記載置台が前記引出位置へ移動し、
前記載置台が前記引出位置にあるとき、前記ロープ繋止材に繋がれている前記ワイヤーロープを前記ドラムに巻き取ると、前記スライド材が斜め上方へスライドすることに伴い前記載置台が前記積載位置へ移動することを特徴とする請求項1に記載の機材積載装置。
【請求項3】
前記ウインチの先端には、前記ロープ繋止材に着脱自在に接続するフックが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の機材積載装置。
【請求項4】
前記ロープ繋止材に前記フックが掛かっているか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段の検出結果を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の機材積載装置。
【請求項5】
前記ロープ繋止材は、前記載置台の先端側に位置することを特徴とする請求項3に記載の機材積載装置。
【請求項6】
前記載置台は、前記載置面を水平として前記スライド材に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の機材積載装置。
【請求項7】
前記レール材の傾斜角は、5度以上15度以下であることを特徴とする請求項2に記載の機材積載装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の機材積載装置を備えたことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両への可搬ポンプ等の機材の積載に用いる機材積載装置、及び当該機材積載装置を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
消防車に積載したまま使用できる他、道路事情等により火点付近まで消防車が進入できない場合には消防車から降ろし消防隊員が火点付近まで運んで使用することもできる可搬ポンプを積載した消防車が知られている。可搬ポンプは重量物であるため、車両への積み込み及び積み降ろしは装置を利用して行われるのが一般的である。
例えば、特許文献1には、可搬式消防ポンプを搭載可能な荷台を備えた緊急車両において、荷台の前部に設けられて運転席を有するキャビン後部に可搬式消防ポンプを搭載可能な設置部を設け、可搬式消防ポンプは折り畳み式の昇降手段により荷台より昇降可能とした緊急車両が開示されており、昇降手段はレール部材と転輪付き台車を備え、転輪付き台車に連結されたワイヤをウインチ等の牽引手段によって牽引あるいは解放することで、可搬式消防ポンプの積み上げ及び積み降ろしを行うことが記載されている。
また、特許文献2には、車両の荷台床面の上方に固着した固定台と、固定台の上方に配置すると共に可搬式の小型動力ポンプを積載するためのポンプ載せ台を備え、固定台とポンプ載せ台の間にスライド部材を設けた可搬消防ポンプ積載車が開示されている。
また、特許文献3には、昇降搬送台にセルモータ及びリコイルスタータで始動されるエンジンに接続された高圧ポンプからなる消防ポンプを積載した状態で、昇降搬送台の移動を拘束する係止具を外し、水平方向及び垂直方向に搬送、積み降ろしが可能であり、その消防ポンプ搬送車の後部から地上に下ろす消防ポンプに取付けられた複数本の可搬支持棒及びベルトまたは紐で、消防ポンプを下ろし、人力で持ち上げる車載用消防ポンプが開示されている。
また、特許文献4には、ベースフレームに上段スライド部と下段スライド部からなる多段式スライド機構が配備され、下段スライド部に可搬型消防ポンプが脱着自在に積載され、その下段スライド部に油圧シリンダーの動力を受けるリンクが連結され、下段スライド部と上段スライド部は、レールとローラーによって支えられ、油圧シリンダーの伸縮が多段式スライド機構部に伝達されて昇降し、下段スライド部と上段スライド部の各レール端にはストッパーが設けられ、ローラーがストッパーに当たるとスライド作動が規制されてなる車両用可搬型消防ポンプの昇降積み降し装置が開示されている。
また、特許文献5には、トラックの荷台上の前後方向に対の固定道板を固定し、荷台の後方にはヒンジで連結された前半部可動道板と後半部可動道板とからなる対の可動道板を、固定道板へ起倒自在に連結し、巻取り駆動手段により、ワイヤを介して路面上の台車を可動道板から固定道板上の積載位置へ走行させるとき、その後方に追随させて、可動道板を二つ折れ重ね状に起立した状態で荷台上に収容し、台車を荷台から下降させるときその直前に荷台後端部と路面とを傾斜接続するように可動道板を展開させるトラックへの台車揚げ降ろし装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-24462号公報
【特許文献2】登録実用新案第3234575号公報
【特許文献3】特開2020-81719号公報
【特許文献4】特開2015-030324号公報
【特許文献5】特開2002-362214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可搬ポンプ等の機材は車両の荷台上に設置することが一般的であるが、地面からの高さが結構あるため、車両に積載したまま当該機材を使用する際に、あまり背が高くない者にとっては操作しづらいことがある。しかしながら特許文献1~5は、この点を考慮したものではない。
そこで本発明は、可搬ポンプ等の機材の積載位置を従来よりも低くできる機材積載装置、及び当該機材積載装置を備えた車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の機材積載装置は、車両前後方向に設けられたシャシフレーム5を有する車両1の後部に設置され、機材4を車外へ引き出し可能に積載する装置であって、機材4が載置され車上の積載位置と積載位置よりも低い車外の引出位置とに位置を変更可能な載置台10と、載置台10をシャシフレーム5間に保持する保持材70とを備え、車両1に設置した状態において、積載位置における載置台10の載置面は車両1の荷台3の床面よりも低くなることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の機材積載装置において、シャシフレーム5に設けられたサブフレーム6に車両後方側が低くなるように水平に対して斜めに設置されるレール材20と、載置台10が取り付けられレール材20に沿ってスライドするスライド材30と、ドラムに巻回されたワイヤーロープ41を有するウインチ40と、スライド材30に接続して設けられワイヤーロープ41が繋がれるロープ繋止材50と、スライド材30のスライドをロックするロック材60とを備え、載置台10が積載位置にあるとき、ロープ繋止材50に繋がれているワイヤーロープ41をロック材60のロックが解除された状態でドラムから繰り出すと、スライド材30が斜め下方へスライドすることに伴い載置台10が引出位置へ移動し、載置台10が引出位置にあるとき、ロープ繋止材50に繋がれているワイヤーロープ41をドラムに巻き取ると、スライド材30が斜め上方へスライドすることに伴い載置台10が積載位置へ移動することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の機材積載装置において、ウインチ40の先端には、ロープ繋止材50に着脱自在に接続するフック42が設けられていることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の機材積載装置において、ロープ繋止材50にフック42が掛かっているか否かを検知する検知手段80と、検知手段80の検出結果を報知する報知手段81を備えることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項3に記載の機材積載装置において、ロープ繋止材50は、載置台10の先端側に位置することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項2に記載の機材積載装置において、載置台10は、載置面を水平としてスライド材30に取り付けられていることを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項2に記載の機材積載装置において、レール材20の傾斜角は、5度以上15度以下であることを特徴とする。
請求項8記載の本発明の車両1は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の機材積載装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、可搬ポンプ等の機材の積載位置を従来よりも低くできる機材積載装置、及び当該機材積載装置を備えた車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施例による機材積載装置を備えた車両の概略側面図
【
図2】同機材積載装置を備えた車両の後部の概略構成図(載置台が積載位置にある状態)
【
図3】同機材積載装置を備えた車両の後部の概略構成図(載置台が引出位置にある状態)
【
図4】同機材積載装置を備えた車両の後部の概略構成図(ウインチのワイヤーロープで障害物を牽引している状態)
【
図5】同フックの接続に関する安全装置を示すイメージ図
【
図6】同載置台への可搬ポンプの固定方法を示すイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の第1の実施の形態による機材積載装置は、車両前後方向に設けられたシャシフレームを有する車両の後部に設置され、機材を車外へ引き出し可能に積載する装置であって、機材が載置され車上の積載位置と積載位置よりも低い車外の引出位置とに位置を変更可能な載置台と、載置台をシャシフレーム間に保持する保持材とを備え、車両に設置した状態において、積載位置における載置台の載置面は車両の荷台の床面よりも低くなるものである。
本実施の形態によれば、機材の積載高さが床面配置の場合よりも下がるため、載置台に載せたまま機材を操作する際の操作性や計器類の視認性が向上する。
【0009】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による機材積載装置において、シャシフレームに設けられたサブフレームに車両後方側が低くなるように水平に対して斜めに設置されるレール材と、載置台が取り付けられレール材に沿ってスライドするスライド材と、ドラムに巻回されたワイヤーロープを有するウインチと、スライド材に接続して設けられワイヤーロープが繋がれるロープ繋止材と、スライド材のスライドをロックするロック材とを備え、載置台が積載位置にあるとき、ロープ繋止材に繋がれているワイヤーロープをロック材のロックが解除された状態でドラムから繰り出すと、スライド材が斜め下方へスライドすることに伴い載置台が引出位置へ移動し、載置台が引出位置にあるとき、ロープ繋止材に繋がれているワイヤーロープをドラムに巻き取ると、スライド材が斜め上方へスライドすることに伴い載置台が積載位置へ移動するものである。
本実施の形態によれば、傾斜させたレール材とそれに沿ってスライドするスライド材により載置台を移動させることで、可搬ポンプの上げ下ろしの際に、載置位置から引出位置への移動、又は引出位置から載置位置への移動を、それぞれ一つの動作で完了することができる。また、ウインチを用いることで、手動で載置台を昇降させるよりも消防隊員等の負担を軽減することができると共に、載置台の昇降を安全かつ迅速に行うことができる。
【0010】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による機材積載装置において、ウインチの先端には、ロープ繋止材に着脱自在に接続するフックが設けられているものである。
本実施の形態によれば、ウインチを載置台の昇降に用いる他に、障害物の除去などの他作業にも用いることができる。
【0011】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による機材積載装置において、ロープ繋止材にフックが掛かっているか否かを検知する検知手段と、検知手段の検出結果を報知する報知手段を備えるものである。
本実施の形態によれば、フックが掛かっていない状態で消防隊員等がロック材のロックを解除してしまうことを防止できる。
【0012】
本発明の第5の実施の形態は、第3の実施の形態による機材積載装置において、ロープ繋止材は、載置台の先端側に位置するものである。
本実施の形態によれば、ロープ繋止材へのフックの着脱を容易に行うことができる。
【0013】
本発明の第6の実施の形態は、第2の実施の形態による機材積載装置において、載置台は、載置面を水平としてスライド材に取り付けられているものである。
本実施の形態によれば、載置台に載せる機材も水平となるので、載置台に載せた状態での機材の操作等がしやすくなる。
【0014】
本発明の第7の実施の形態は、第2の実施の形態による機材積載装置において、レール材の傾斜角を5度以上15度以下としたものである。
本実施の形態によれば、ウインチの能力をさほど大きいものにせずとも機材を載置台に載せた状態でスライド材をスムーズにスライドさせることができる。また、万が一ウインチに不具合が生じた場合には、機材を載せた載置台を、比較的小さい力で引出位置から積載位置へ手動で押し上げ、また積載位置から引出位置へ安全に引き出すことができる。
【0015】
本発明の第8の実施の形態による車両は、第1から第7のいずれか一つの実施の形態による機材積載装置を備えたものである。
本実施の形態によれば、機材の積載高さが床面配置の場合よりも低いことにより、載置台に載せたまま機材を操作する際の操作性や計器類の視認性に優れた車両を提供できる。
【実施例0016】
以下、本発明の一実施例による機材積載装置、及び当該機材積載装置を備えた車両について説明する。
図1は本実施例による機材積載装置を備えた車両の概略側面図である。なお、
図1では構成を分かり易くするため車両内に配置される部材についても一部示している。
図2~
図4は機材積載装置を備えた車両の後部の概略構成図であり、各図の(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は上面図である。
図2は載置台が積載位置にある状態を示し、
図3は載置台が引出位置にある状態を示し、
図4はウインチのワイヤーロープで障害物を牽引している状態を示している。なお、
図2~
図4では構成を分かり易くするため外板等は省略している。
車両1には、車両前後方向にわたる左シャシフレーム5Aと右シャシフレーム5Bを有するシャシフレーム5が設けられている。本実施例の車両1は消防車であり、キャビン2の後方に設置された荷台(荷室)3の後部には、車両1のシャシフレーム5上に設置したサブフレーム6を利用して機材積載装置が設けられ、機材積載装置に載せた機材(可搬ポンプ)4を車両後方へ引き出せるようになっている。引き出した可搬ポンプ4は機材積載装置から降ろし、火災現場等まで運ぶことが可能である。なお、
図2~
図4では可搬ポンプ4を図示していない。
【0017】
機材積載装置は、可搬ポンプ4を車外へ引き出し可能に積載する装置であって、可搬ポンプ4が載置される載置台10と、サブフレーム6に設置された一対のレール材20と、載置台10が固定されレール材20に沿ってスライドする一対のスライド材30と、ドラムに巻回されたワイヤーロープ41を有しサブフレーム6に設置された電動のウインチ40と、ワイヤーロープ41の先端に設けられたフック42が接続されるロープ繋止材50と、スライド材30がスライドしないようにロックするロック材60と、載置台10をシャシフレーム5間に架け渡した状態で保持する保持材70を備える。
載置台10は、車上の積載位置と、車外であって積載位置よりも低い引出位置とに位置を変更可能であり、上面視で、左シャシフレーム5Aと右シャシフレーム5Bとの間に位置する。左シャシフレーム5Aは車両幅方向中央よりも左側にあり、右シャシフレーム5Bは車両幅方向中央よりも右側にある。
レール材20は、左シャシフレーム5Aの上方に位置する一方のレール材20Aと、右シャシフレーム5Bの上方に位置する他方のレール材20Bからなり、車両後方側が低くなるように取付先の略水平であるサブフレーム6に対して斜めに設置されている。
スライド材30は、一方のレール材20Aに嵌合した一方のスライド材30Aと、他方のレール材20Bに嵌合した他方のスライド材30Bからなる。スライド材30は、複数段の伸縮構造としており、レール材20から突出するにつれて長さが伸びるようになっている。スライド材30は、最も縮小した状態においては車両1の後面よりも後方には突出しない。
【0018】
保持材70として、一方のスライド材30Aと他方のスライド材30Bの先頭段には取付ブラケット71がそれぞれ設けられ、載置台10の左右両端部には固定材72が複数設けられている。取付ブラケット71は、車両前方側となるにつれて下方への突出量が大きくなっている。
固定材72を取付ブラケット71の下部に接続することで、左シャシフレーム5A側と右シャシフレーム5B側に架け渡すように載置台10がスライド材30に取り付けられる。また、これにより一方のスライド材30Aと他方のスライド材30Bが載置台10を介して連結された状態となる。
載置台10を荷台3の床面に配置するのではなくシャシフレーム5間に配置することで、積載位置における載置台10の載置面を車両1の荷台3の床面よりも低くすることができる。これにより、可搬ポンプ4の積載高さ(載置台10が積載位置にあるときの地面からの高さ)が従来の床面配置の場合よりも下がるため、載置台10に載せたまま可搬ポンプ4を操作する際の操作性や計器類の視認性が向上する。なお、載置位置における載置台10の載置面の高さは、シャシフレーム5の上端と略同じか又はそれ以下であることが好ましい。
【0019】
載置台10は、載置面が略水平(シャシフレーム5に対して略平行)となるようにスライド材30に取り付けることが好ましい。それにより載置台10に載せる可搬ポンプ4も略水平となるので、載置台10に載せた状態での可搬ポンプ4の操作がし易くなり、また可搬ポンプ4に設けられている計器類が見易くなる。
載置台10の下方は床面等を設けず開放しており、可搬ポンプ4を積載したままドレンや排気が可能である。さらに、一端を可搬ポンプ4に接続したドレン管や排気管を大気開放として他端はどこにも接続しないようにすれば、可搬ポンプ4を降ろすときにそれら管類の取り外しが不要となり、可搬ポンプ4を迅速に降ろすことができる。
【0020】
ウインチ40は、レール材20よりも下方において、左シャシフレーム5A側と右シャシフレーム5B側に架け渡すようにサブフレーム6に取り付けた架台43に設置している。架台43は、シャシフレーム5の下端よりも下方へ突出しており、車両後部側には後部カバー7がヒンジ接続されている。ウインチ40をこのような配置とすることで、ウインチ40の操作者がワイヤーロープ41の巻回状況等を視認しやすくできる。また、ウインチ40の設置スペースを荷台3上に設けなくてよいため、その分、他の消防資機材を荷台3に積載することが可能となる。なお、ウインチ40の操作は人が有線又は無線のコントローラ等を使用して行う。
載置台10の先端側(車両後方側)にはロープ繋止材50が設けられている。ロープ繋止材50は、ワイヤーロープ41の先端のフック42が掛けられる円環を有しており、この円環にフック42を掛けることでロープ繋止材50にワイヤーロープ41が繋がれる。フック42はロープ繋止材50に着脱自在であり、例えば
図4に示すようにロープ繋止材50から取り外して倒木等の障害物αの撤去に用いるなど、ウインチ40を載置台10の昇降に用いる他に、他作業にも用いることができる。ロープ繋止材50は載置台10の後端側等に設けることも可能であるが、載置台10の先端側に設けることで、ロープ繋止材50へのフック42の着脱を容易に行うことができる。
【0021】
ロック材60は、最も縮小した状態となったときのスライド材30の先端近傍に位置するようにサブフレーム6に設けられている。また、スライド材30の先端には外側方へ突設した固定用バー61を設けている。ロック材60には固定用バー61を受け入れる凹部を設けており、この凹部に固定用バー61が収まった状態でロックすると、スライド材30がスライドできなくなる。これにより、載置台10が積載位置から意図せず引出位置に移動することを防止できる。
【0022】
載置台10はスライド材30に取り付けられているので、載置台10に設けられたロープ繋止材50はスライド材30と間接的に接続されている。よって、ワイヤーロープ41のフック42をロープ繋止材50に掛けてウインチ40を動作させることにより、スライド材30のスライド方向と速度を制御できる。なお、ロープ繋止材50をスライド材30に直接的に接続することも可能である。
積載位置にある載置台10は、ロック材60のロックを解除した状態で、ロープ繋止材50にフック42が掛けられたワイヤーロープ41をドラムから繰り出すと、スライド材30が斜め下方へスライドすることに伴い引出位置へ移動する。
また、引出位置にある載置台10は、ロープ繋止材50にフック42を掛けたワイヤーロープ41をドラムに巻き取ると、スライド材30が斜め上方へスライドすることに伴い積載位置へ移動する。載置台10を積載位置に移動させた後はロック材60でスライド材30をロックする。
このように、レール材20を傾斜させて設け、そのレール材20に沿ってスライドするスライド材30により載置台10を移動させることで、可搬ポンプ4の上げ下ろしの際に、載置位置から引出位置への移動、又は引出位置から載置位置への移動を、それぞれ一つの動作で完了することができる。また、ウインチ40を用いることで、手動で載置台10を昇降させるよりも消防隊員等の負担を軽減することができると共に、載置台10の昇降を安全かつ迅速に行うことができる。
なお、載置台を移動する際は、スライド材30と干渉しないように、ナンバープレート等が配置されている後部カバー7を下方へ回動させて開けた状態とする。
【0023】
レール材20の傾斜角は、5度以上15度以下であることが好ましく、10度程度であることがより好ましい。このような傾斜角とすることにより、ウインチ40の能力をさほど大きいものにせずとも可搬ポンプ4を載置台10に載せた状態でスライド材30をスムーズにスライドさせることができる。また、万が一ウインチ40に不具合が生じた場合には、可搬ポンプ4を載せた載置台10を、比較的小さい力で引出位置から積載位置へ手動で押し上げ、また積載位置から引出位置へ安全に引き出すことが可能である。なお、手動で昇降させる場合は、ウインチ40のクラッチをニュートラルに入れる。
また、後述のように万が一フック42をロープ繋止材50に掛けていない状態でロック材60のロックを解除した場合や、ワイヤーロープ41が弛んだ状態でロック材60のロックを解除した場合は、スライド材30が急にスライドして可搬ポンプ4が滑り出るような形になってしまうが、急傾斜の場合と比べると、その速度を抑制することができる。
【0024】
図5はフックの接続に関する安全装置を示すイメージ図であり、
図5(a)は載置台が引出位置にある状態の下方斜視図、
図5(b)は載置台が積載位置にある状態の上方斜視図である。
前述のようにワイヤーロープ41のフック42はロープ繋止材50から取り外し可能であり、ウインチ40を載置台10の昇降に用いる他に、障害物αの除去などの他作業にも用いることができる。但し、ワイヤーロープ41のフック42は、可搬ポンプ4を載せた載置台10が積載位置にあるときも取り外せるところ、フック42がロープ繋止材50に掛かっていない状態でロック材60のロックを解除すると可搬ポンプ4を載せた載置台10が急に滑り出してしまう。そこで、フック42が掛かっていない状態で消防隊員等がロック材60のロックを解除してしまうことを防止する安全装置として、ロープ繋止材50にフック42が掛かっているか否かを検知する検知手段80と、検知手段80の検出結果を報知する報知手段81を設けることが好ましい。
本実施例では、検知手段80として、ロープ繋止材50の近傍に設置したコの字型光電センサを用い、報知手段81として、ロック材60の近傍に設けた表示器を用いている。光電センサによりロープ繋止材50へのフック42の接続の有無を検知し、フック接続有りの場合は表示器の緑ランプが点灯し、フック接続無しの場合は表示器の赤ランプが点灯する。これにより、ロック材60のロックを解除しようとしている消防隊員等は、フック42がロープ繋止材50に接続されているか否かを容易に判別することができるので、フック42が接続されていない状態でロック材60のロックを解除してしまうことを防止できる。なお、報知手段81は、文字によりフック接続の有無を報せるもの、又は音声や音によりフック接続の有無を報せるものであってもよい。
また、障害物の除去等にウインチ40を使用した後にワイヤーロープ41を巻き取る際は、無負荷であるため乱巻きが起こりやすくワイヤーロープ41が弛んだ状態となる可能性がある。そのようにワイヤーロープ41が弛んだ状態で、載置台10を引出位置へ移動させようとロック材60のロックを解除すると、可搬ポンプ4を載せた載置台10がワイヤーロープ41の弛みがとれる位置まで急に滑り落ちてしまう。そのため、機材積載装置には、ワイヤーロープ41の乱巻きを防止する乱巻き防止装置も設けることが好ましい。
【0025】
図6は載置台への可搬ポンプの固定方法を示すイメージ図であり、
図6(a)は固定前の状態を示す上方斜視図、
図6(b)は固定した状態を示す上方斜視図である。
機材積載装置は、載置台10へ可搬ポンプ4を固定するための部材として、載置台10の左右両端部に一箇所ずつ設けたナットプレート90と、載置台10に載せた可搬ポンプ4の下部を上から抑える固定板91と、ナットプレート90と固定板91を接続する蝶ボルト92を備える。ナットプレート90と固定板91には、蝶ボルト92を通す孔が形成されており、載置台10に可搬ポンプ4を載せ、固定板91の孔がナットプレート90の孔に重なるように固定板91をナットプレート90に係合させて蝶ボルト92で共締めすることにより、可搬ポンプ4が載置台10に固定される。
可搬ポンプ4を載置台10に固定することで、可搬ポンプ4が車両移動中に載置台10からズレることを防止でき、また、ワイヤーロープ41の弛み等により載置台10が急に滑り落ちても可搬ポンプ4が落下しないようにすることができる。