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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125600
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】切断装置、および切断方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/20 20060101AFI20240911BHJP
   B26D 1/18 20060101ALI20240911BHJP
   B26D 7/02 20060101ALI20240911BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20240911BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20240911BHJP
   D06H 7/02 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
B26D7/20
B26D1/18
B26D7/02 D
B26D7/06 Z
B41J11/70
D06H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033522
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真
【テーマコード(参考)】
2C058
3B154
3C021
3C027
【Fターム(参考)】
2C058LB05
3B154AA01
3B154AB22
3B154AB27
3B154BA47
3B154BB54
3B154BC31
3B154BC33
3B154BC48
3C021CB03
3C021CB07
3C021GA01
3C021GA04
3C027RR03
3C027RR04
3C027RR09
(57)【要約】
【課題】ウェブのずれを抑えて切断の精度を向上する。
【解決手段】少なくとも堆積された繊維を含むウェブWが搬送される搬送経路に設けられる切断装置90は、ウェブWを切断するカッター91aと、ウェブWの切断時に、ウェブWに突き刺さってウェブWを固定する可動式のニードル111と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも堆積された繊維を含むウェブが搬送される搬送経路に設けられ、前記ウェブを切断する切断装置において、
前記ウェブを切断するカッターと、
前記ウェブの切断時に、前記ウェブに突き刺さって前記ウェブを固定する可動式のニードルと、
を備える切断装置。
【請求項2】
前記ニードルは、前記ウェブの下側に位置し、前記ウェブの切断時に上昇する、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記ニードルは、前記ウェブの上側に位置し、前記ウェブの切断時に下降する、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項4】
前記ウェブを挟んで前記カッターと対向する位置に溝があり、
前記溝に対し、前記ウェブの搬送方向の上流側および下流側の少なくともいずれかに前記ニードルが位置する、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項5】
前記ニードルは、前記溝に対し、前記ウェブの搬送方向の上流側および下流側の両方に設けられる、
請求項4に記載の切断装置。
【請求項6】
非切断時に前記溝を覆う可動式の覆い部材を有する、
請求項4に記載の切断装置。
【請求項7】
前記ウェブの搬送中に、前記カッターおよび前記ニードルを、前記ウェブの搬送方向に移動させるボールねじ機構を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の切断装置。
【請求項8】
少なくとも堆積された繊維を含むウェブが搬送される搬送経路に設けられ、前記ウェブを切断するカッターと、前記ウェブに突き刺し可能な可動式のニードルと、を備える切断装置による切断方法であって、
前記ウェブの切断時に、前記ニードルを前記ウェブに突き刺して前記ウェブを固定する、
切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置、および切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維体が搬送される搬送経路に設けられ、繊維体を切断する切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、繊維を堆積させたウェブからシートを再生する乾式のシート再生技術、および、ウェブを加圧ローラーでシート状に圧縮した後に、切断装置で切断する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-085264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ウェブは柔らかく未圧縮の状態であるので、従来の技術では切断時にウェブがずれやすく、切断の精度が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、少なくとも堆積された繊維を含むウェブが搬送される搬送経路に設けられ、前記ウェブを切断する切断装置において、前記ウェブを切断するカッターと、前記ウェブの切断時に、前記ウェブに突き刺さって前記ウェブを固定する可動式のニードルと、を備える。
【0006】
本開示の一態様は、少なくとも堆積された繊維を含むウェブが搬送される搬送経路に設けられ、前記ウェブを切断するカッターと、前記ウェブに突き刺し可能な可動式のニードルと、を備える切断装置による切断方法であって、前記ウェブの切断時に、前記ニードルを前記ウェブに突き刺して前記ウェブを固定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る切断装置を備えるシート製造装置の概要構成図。
図2】切断装置を第2ウェブの搬送経路と共に示す図。
図3】カッターユニットの動作を時系列順で示す図。
図4】ウェブ固定機構を周辺構成と共に示す断面図。
図5図3に示す断面構造を斜めから示す図。
図6図3に示す断面構造を模式的に示す図。
図7】ウェブ固定機構の動作を時系列順で示す図。
図8図7の続きを示す図。
図9】変形例の説明に供する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0009】
[1.シート製造装置の構成]
図1は、本実施形態に係る切断装置を備えるシート製造装置10の概要構成図である。
シート製造装置10は、繊維を含む原料を解繊した解繊物を堆積させてウェブを形成し、ウェブからシートを再生又は製造する乾式のシート再生処理を行うための装置である。繊維を含む原料は、例えば、紙、パルプ、パルプシート、不織布を含む布、或いは織物等である。なお、ウェブは少なくとも、堆積された繊維からなる繊維体を有する。ウェブは繊維体に加えて、繊維体の上下に設けられる薄膜の保持レイヤーを含んでもよい。また、繊維体の内部に吸湿性能などを持つ機能性粉体を含有させてもよい。
図1に示すように、シート製造装置10は、解繊部20と、選別部40と、第1ウェブ形成部45と、回転体49と、混合部50と、堆積部60と、第2ウェブ形成部70と、切断装置90と、を備えている。
【0010】
切断装置90の下流には、切断装置90によって切断されたウェブを受け取る受け取り部100が設けられる。受け取り部100は、例えば、切断されたウェブからシートを形成するシート形成装置であり、より具体的には、ウェブを加圧および加熱等してシートに成形する装置である。なお、受け取り部100はシート形成装置に限定されない。例えば、シート形成装置を切断装置90から離間した場所に配置する場合、受け取り部100は、ウェブを一時的に保管する保管装置でもよい。
【0011】
解繊部20は、裁断された原料を解繊する。原料は、例えば、大気中等の気中で裁断して細片とされた後に、解繊部20に供給される。原料は、廃棄紙等の使用済みのものであってもよいし、未使用のものであってもよい。廃棄紙とは、いわゆる古紙をいう。
ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。原料とは粗砕片を指し、被解繊物ともいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を繊維から分離させる機能も有する。
【0012】
解繊部20で解繊されたものは「解繊物」に相当する。「解繊物」は、解きほぐされた繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂粒や、インク、トナー等の色剤や、にじみ防止剤、紙力増強剤等の添加剤を含む場合がある。解繊物は、ひも状である。解繊物は、解きほぐされた他の繊維と絡み合っていない状態、すなわち独立した状態で存在してもよいし、解きほぐされた他の繊維と絡み合って塊状となった状態、すなわちダマを形成している状態で存在してもよい。
【0013】
解繊部20は、乾式で解繊を行う。液体中ではなく、大気中等の気中において、解繊や堆積等の処理を行うことを乾式と称する。解繊部20は、例えば、インペラーミルを用いて解繊を行う構成であるが、この構成に限定されるものではない。解繊部20は、細断された原料を吸引し、解繊物を排出するような気流を発生させる機能を有する。これにより、解繊部20は、自ら発生する気流によって、解繊物を排出口24へと搬送する。解繊物は、管3を介して選別部40に移送される。なお、解繊部20から選別部40に解繊物を搬送させるための気流は、解繊部20が発生させる気流に限定されず、ブロアー等の気流発生装置を設け、その気流を利用してもよい。
【0014】
選別部40は、解繊物を導入口42から導入し、繊維の長さによって選別する。選別部40の構成は特に限定されるものではないが、本実施形態の選別部40は、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43と、を有する構成である。ドラム部41には、例えば、モーターによって回転駆動される円筒の篩を用いる。ドラム部41は、網を有し、網の目開きの大きさより小さい繊維または粒子、すなわち網を通過する第1選別物と、網の目開きの大きさより大きい繊維や未解繊片やダマ、すなわち網を通過しない第2選別物とを分けることができる。第1選別物は、管7を介して堆積部60に移送される。第2選別物は、排出口44から管8を介して解繊部20に戻される。
【0015】
第1ウェブ形成部45は、選別部40を通過した第1選別物を、管7に搬送する。図示の例では、第1ウェブ形成部45は、メッシュベルト46と、張架ローラー47と、サクション機構48と、を有した構成であるが、この構成に限定されるものではない。
【0016】
サクション機構48は、選別部40の開口を通過して空気中に分散された第1選別物をメッシュベルト46上に吸引する。第1選別物は、移動するメッシュベルト46上に堆積し、ウェブVを形成する。メッシュベルト46、張架ローラー47、およびサクション機構48の基本的な構成は、後述する第2ウェブ形成部70のメッシュベルト72、張架ローラー74、およびサクション機構76と同様である。
【0017】
ウェブVは、選別部40および第1ウェブ形成部45を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態に形成される。メッシュベルト46に堆積されたウェブVは、管7へ投入され、堆積部60へと搬送される。
【0018】
回転体49は、回転によってウェブVを切断する。回転体49の構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では、基部49aと、基部49aから放射方向に突出する複数の突部49bと、を有する構成である。突部49bは、例えば、板状の羽形状に形成されている。基部49aが図1中の方向Rに回転することにより、突部49bが基部49aを中心に回転し、ウェブVを切断可能である。
【0019】
回転体49は、ウェブVの経路の下流側に位置する張架ローラー47aの近傍に設けられることにより、第1ウェブ形成部45の下流に位置する。回転体49は、突部49bがウェブVと接触可能な位置であって、ウェブVが堆積されるメッシュベルト46と接触しない位置に設けられる。
【0020】
混合部50は、選別部40を通過した第1選別物と、添加物とを混合する。混合部50は、添加物を供給する添加物供給部52と、第1選別物と添加物とを搬送する管54と、ブロアー56と、を有する。添加物は、添加物供給部52からホッパー9を介して管54に供給される。管54は、管7と連続している。
【0021】
混合部50では、ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、第1選別物と添加物とを混合させながら、搬送することができる。なお、第1選別物と添加物とを混合させる構成は特に限定されるものではないが、例えば、高速回転する羽根により攪拌する構成、又は、V型ミキサーのように容器の回転を利用する構成である。
【0022】
添加物供給部52は、例えば、スクリューフィーダーやディスクフィーダーによって添加物を供給する構成であるが、この構成に限定されるものではない。添加物供給部52から供給される添加物は、例えば、複数の繊維を結着させる結着剤である。添加物供給部52から供給される添加物は、製造されるシートの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や添加物の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃え難くするための難燃剤等を含んでもよい。混合部50を通過した混合物は、管54を介して堆積部60に移送される。
【0023】
堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。堆積部60は、解繊物を乾式で堆積させ、柔らかい状態のウェブからなる第2ウェブWを形成する。このように、堆積部60で形成される第2ウェブWは未圧縮の繊維体からなる。
【0024】
さらに、堆積部60は、添加物供給部52から供給される添加物の樹脂が繊維状である場合、絡み合った樹脂をほぐす。これにより、堆積部60は、第2ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
堆積部60の構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では、堆積部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部63と、を有する構成である。ドラム部61には、例えば、モーターによって回転駆動される円筒の篩を用いる。ドラム部61は、網を有し、混合部50を通過した混合物に含まれる、網の目開きの大きさより小さい繊維または粒子を降らせる。
【0025】
なお、ドラム部61の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
【0026】
第2ウェブ形成部70は、堆積部60を通過した通過物が堆積されて第2ウェブWを形成すると共に、第2ウェブWを搬送する搬送経路の少なくとも一部を構成する。第2ウェブ形成部70の構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では、メッシュベルト72と、張架ローラー74と、サクション機構76と、を有する構成である。
【0027】
メッシュベルト72には、堆積部60の開口を通過した通過物が堆積される。メッシュベルト72は、張架ローラー74によって張架され、通過物を通し難く空気を通す構成となっている。メッシュベルト72は、張架ローラー74が自転することによって移動する。メッシュベルト72が連続的に移動しながら、堆積部60を通過した通過物が連続的に降り積もることにより、メッシュベルト72上に、柔らかく未圧縮の状態の第2ウェブWが形成される。
【0028】
サクション機構76は、メッシュベルト72の下方に設けられ、堆積部60により空気中に分散された通過物をメッシュベルト72上に吸引し、第2ウェブWの形成を促進する。これにより、堆積部60からの排出速度を大きくすると共に、混合物の落下経路にダウンフローを形成し、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを防ぐことができる。
【0029】
以上のように、堆積部60および第2ウェブ形成部70を経ることにより、空気を多く含み柔らかく未圧縮の状態の第2ウェブWが形成される。
切断装置90は、第2ウェブWの搬送経路に設けられ、搬送中のウェブWを切断する。なお、シート製造装置10には、解繊物に水分を付与する水分付与部が設けられる場合がある。水分付与部によって第2ウェブWの含水率を所定範囲に調整することで、解繊物に含まれる複数の繊維を水素結合によって結着させることができる。
【0030】
[2.切断装置の構成]
図2は、切断装置90を第2ウェブWの搬送経路と共に示す図である。図2中の符号Dは第2ウェブWの搬送方向を示す。
切断装置90は、カッターユニット91と、ボールねじ機構92と、上流側搬送機構93と、下流側搬送機構94と、ウェブ固定機構110と、切断装置90の動作を制御する制御部95と、を備える。
カッターユニット91は、第2ウェブ切断用のカッター91aと、カッター91aを移動するカッター移動機構91bと、を備え、これらは移動フレーム91cを介して第2ウェブWの上方に支持される。
【0031】
カッター91aは、第2ウェブWを、第2ウェブWの幅方向に沿って切断するために用いられる刃であり、本実施形態では、第2ウェブWの全幅よりも短い直径を有する回転刃である。カッター91aは、移動フレーム91cに支持されたカッター用のモーター91dによって回転駆動される。
カッター移動機構91bは、カッター91aを上下方向および左右方向に移動させる機構である。なお、上下方向および左右方向は、切断装置90を基準にした方向である。上下方向は、カッター91aを第2ウェブW側に進退させる方向に相当し、左右方向は、第2ウェブWの幅方向に相当し、換言すると、第2ウェブWの切断方向に相当する。
【0032】
カッター移動機構91bの構成は特に限定されるものではないが、例えば、ラック&ピニオンを用いた直線往復運動機構、および、直動アクチュエータを用いた機構等の公知の機構を組み合わせて構成される。
移動フレーム91cは、上下方向に延びる柱材、および水平方向に延びる横架材等を組み合わせて構成され、カッターユニット91に加えて、上流側搬送機構93を支持する。この移動フレーム91cは、切断装置90の基台として機能するベースフレーム91fに支持されると共に、ベースフレーム91fに対し、ボールねじ機構92によって第2ウェブWの搬送方向に移動する移動台として機能する。
【0033】
ボールねじ機構92は、第2ウェブWの搬送経路の下方に配置され、ベースフレーム91fに支持される。ボールねじ機構92は、第2ウェブWの搬送方向に延びるボールねじ92aを有し、このボールねじ92aは、ボールねじ92aの一端側に設けられたボールねじ用のモーター92bによって回転駆動される。
なお、移動フレーム91cは、例えば、直動ガイドによって第2ウェブWの搬送方向、および、その逆方向に移動自在に支持されると共に、ボールねじ92aに螺合するナットユニットに連結される。ナットユニットが、ボールねじ92aの回転に応じてボールねじ92aの軸方向、つまり、第2ウェブWの搬送方向又はその逆方向に移動することにより、移動フレーム91cが第2ウェブWの搬送方向又はその逆方向に移動する。ボールねじ92aの回転量、回転方向および回転速度の制御によって、移動フレーム91cの位置、移動方向および移動速度が制御される。図2中の符号STは、移動フレーム91cの移動範囲、換言すると、移動ストロークを示している。
【0034】
上流側搬送機構93は、カッター91aの上流に位置し、第2ウェブWを挟んで対向配置される上下の搬送ローラー93a,93bを備える。上下の搬送ローラー93a,93bの少なくとも一方が回転駆動されることによって、搬送ローラー93a,93b間の第2ウェブWを搬送方向に搬送可能である。各搬送ローラー93a,93bは、第2ウェブWの全幅に渡って延在する回転ローラーに形成される。上側の搬送ローラー93aについては、上下方向に移動する可動ローラーに構成されており、これによって第2ウェブW側に進退自在である。
移動フレーム91cには、カッターユニット91と、上流側搬送機構93と、これらを駆動するための駆動源等が支持されるので、これらは一体的に第2ウェブWの搬送方向、およびその逆方向に移動する。
【0035】
下流側搬送機構94は、カッター91aの下流に位置し、切断装置90のベースフレーム91fに支持される。下流側搬送機構94は、第2ウェブWを狭持する場合の一方側に相当する下方に配置されるベルト機構94aと、第2ウェブWを狭持する場合の他方側に相当する上方に配置される搬送ローラー94bと、を備える。ベルト機構94aは、第2ウェブWの全幅に渡って延在するベルト94cと、ベルト94cを搬送する駆動ローラーおよび従動ローラーからなるローラー群94dを備え、駆動ローラーが回転駆動することによってベルト94cが第2ウェブWの搬送方向に移動する。
【0036】
搬送ローラー94bは、第2ウェブWの全幅に渡って延在する回転ローラーであり、上下方向に移動する可動ローラーに構成され、これによって第2ウェブW側に進退自在である。搬送ローラー94bが下降することによって、搬送ローラー94bとベルト機構94aによって第2ウェブWを挟む。第2ウェブWを挟んだ状態でベルト機構94aおよび搬送ローラー94bが駆動されることによって、ベルト機構94aおよび搬送ローラー94b間の第2ウェブWを搬送方向に搬送できる。
【0037】
ウェブ固定機構110は、カッター91aによる第2ウェブWの切断時に、カッター91a近傍にて第2ウェブWを固定する機構である。本実施形態のウェブ固定機構110は、第2ウェブWを挟んでカッター91aに対向する位置に配置され、つまり、カッター91aの下方、かつ、第2ウェブWの搬送経路の下方に配置される。ウェブ固定機構110は、移動フレーム91cに支持され、カッター91aおよび上流側搬送機構93と一体に第2ウェブWの搬送方向、および、その逆方向に移動する。このウェブ固定機構110の構成については後述する。
【0038】
制御部95は、切断装置90の各部を制御する機能を有し、少なくともカッターユニット91、ボールねじ機構92、上流側搬送機構93、下流側搬送機構94、および、ウェブ固定機構110のそれぞれの駆動源となるモーター等を制御する。制御部95は、プロセッサー95aとメモリー95bと、を備える。
プロセッサー95aは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等を備える演算処理装置である。メモリー95bは、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリー、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の記憶デバイスであり、制御プログラム等のデータを記憶する。
【0039】
制御部95では、プロセッサー95aがメモリー95bに記憶された制御プログラムを実行することにより、第2ウェブWの搬送および切断に関する指示や情報を入力し、公知のモーションコントロール技術を利用して、第2ウェブWの搬送に同期して切断装置90の各部の動きを制御する。
【0040】
プロセッサー95aは、単一のプロセッサーにより構成してもよいし、複数のプロセッサーにより構成してもよい。また、プロセッサー95aは、メモリー95bの一部又は全部や、その他の回路と統合されたSoCにより構成してもよい。また、プロセッサー95aは、プログラムを実行するCPUと、所定の演算処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)との組合せにより構成してもよい。また、プロセッサー95aの機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。
【0041】
[3.カッターユニットの動作]
次に、カッターユニット91の動作について説明する。
前提として、本実施形態では、第2ウェブWは連続送りされる。つまり、切断装置90に向けた第2ウェブWの送りは中断されず、第2ウェブWは予め定めた搬送速度で継続して搬送される。
まず、制御部95は、図2に示すように、カッターユニット91を第2ウェブWから待避した上昇位置に保持すると共に、ボールねじ機構92によりカッターユニット91を移動ストロークSTのうちの上流位置に保持する。
【0042】
図3は、カッターユニット91の動作を時系列順で示す図である。なお、図3は、第2ウェブWが、カッターユニット91でカットを開始するカット開始位置へ搬送された時点からの動作を示している。
図3のステップS1Aに示すように、制御部95は、ボールねじ機構92によりカッターユニット91を第2ウェブWと同速度で搬送方向に移動させるのに同期して、カッターユニット91を下降させて第2ウェブWの切断を開始する。なお、この間、搬送ローラー93aおよび93aは停止している。この場合、制御部95は、カッター91aを回転駆動しながら、図3のステップS1A、S2A、S3Aに示すように、カッター91aを第2ウェブWの幅方向一方側から幅方向他方側へと移動させる。
【0043】
カッター91aで第2ウェブWを切断する間、カッター91aは搬送速度と同速度で移動する。そのため、第2ウェブWの送りを中断することなく、第2ウェブWを幅方向に沿って一直線に切断することができる。この場合、制御部95は、少なくとも第2ウェブWの切断が完了し、カッター91aが上方に退避するまで、少なくとも下流側搬送機構94のベルト機構94aおよび搬送ローラー94bの双方で第2ウェブWの搬送を継続する。これにより、切断された第2ウェブWを、下流に位置する受け取り部100に受け渡すことができる。
【0044】
第2ウェブWの切断が完了すると、制御部95は、カッターユニット91を上昇させて第2ウェブWから待避させ、カッターユニット91を移動ストロークSTのうちの上流位置に戻す。以上がカッターユニット91の動作、つまり、切断動作である。
この切断動作が、第2ウェブWの搬送と同期して所定のタイミングで繰り返し実行されることにより、第2ウェブWが所定の長さ単位で切断される。
【0045】
[4.ウェブ固定機構の構成]
次いで、ウェブ固定機構110の構成について説明する。
図4は、ウェブ固定機構110を周辺構成と共に示す断面図である。図5は、図3に示す断面構造を斜めから示す図である。図6は、図3に示す断面構造を模式的に示す図である。
図4図5に示すように、第2ウェブWの搬送面を構成する板状の搬送面構成部材120には、第2ウェブWを挟んでカッター91aに対向する位置に溝120aが設けられている。この溝120aは、切断位置にあるカッター91aが進入する溝であり、第2ウェブWの幅方向に渡って延在する。この溝120aは、カッター91aと搬送面との物理的な接触を回避するためのカッター通過溝として機能する。
【0046】
図3に示すように、ウェブ固定機構110は、複数のニードル111と、これらニードル111を第2ウェブW側に進退させる昇降機構112と、溝120aを覆う位置に進退自在な可動式の覆い部材113と、を備える。
ニードル111は、カッター91aの近傍かつ搬送方向上流側にて第2ウェブWに突き刺さることが可能な上流側ニードル111aと、カッター91aの近傍かつ搬送方向下流側にて第2ウェブWに突き刺さることが可能な下流側ニードル111bと、を備える。
【0047】
各ニードル111a、111bは、図5に示すように、第2ウェブWの幅方向に間隔を空けて複数設けられる。なお、搬送面構成部材120には、各ニードル111a、111bが通るニードル通過孔120b、120cが設けられる。
昇降機構112は、上流側ニードル111aおよび下流側ニードル111bからなるニードル111をまとめて第2ウェブWに突き刺した状態と、これらニードル111を第2ウェブWから離れた状態と、に移動させる機構である。昇降機構112には、ニードル111を昇降可能な機構を広く適用できる。なお、ニードル111の本数、配置間隔および形状については適宜に設定すればよい。
【0048】
上流側ニードル111aおよび下流側ニードル111bからなるニードル111を第2ウェブWに突き刺すことにより、第2ウェブWの切断箇所を基準にして上流側部分、および下流側部分のそれぞれのずれを規制できる。しかも、各ニードル111が、第2ウェブWの幅方向に間隔を空けて設けられているので、第2ウェブWの幅方向へのずれも規制できる。
したがって、未圧縮の柔らかい繊維体である第2ウェブWのずれを規制しながら、切断することができる。
【0049】
可動式の覆い部材113は、第2ウェブWと、第2ウェブWの搬送面との間を、搬送方向に沿って進退する薄板状の部材であり、第2ウェブWの幅方向に沿ったカッター91aの移動範囲に渡って延在する。覆い部材113は、例えば、板金加工によって製作される。この覆い部材113が、カッター91aが通る溝120aを覆う位置に移動することによって、第2ウェブWが溝120aに引っ掛かる事態が回避される。
また、図4および図5に示すように、覆い部材113が溝120aを覆う位置は、覆い部材113がニードル通過孔120b、120cも覆う位置に設定されている。そのため、第2ウェブWがニードル通過孔120b、120cに引っ掛かる事態も回避される。
【0050】
ここで、図6には、溝120aの上流位置において、搬送面に段差120dを設け、覆い部材113に、段差120dに係止する係止部113dを設けた構成を例示している。この構成によれば、覆い部材113を搬送方向にスライドさせた場合に、係止部113dが段差120dに係止するので、覆い部材113を適正位置、つまり、溝120a、およびニードル通過孔120b、120cを覆う位置に停止させ易くなる。これによって、覆い部材113の停止位置を、溝120a、およびニードル通過孔120b、120cを覆う位置に位置決めし易くなる。
なお、段差120dおよび係止部113dを設けずに、覆い部材113が、溝120aおよびニードル通過孔120b、120cを覆う位置に停止するように覆い部材113の位置を制御してもよい。
【0051】
また、図6には、カッター91aの前後、つまり、カッター91aの搬送方向の上流位置および下流位置に、第2ウェブW側に進退自在なウェブ押さえ130a、130bを設けた構成を例示している。これらウェブ押さえ130a、130bは、移動フレーム91cまたはカッターユニット91に支持され、カッター91aと一体に第2ウェブWの搬送方向、および、その逆方向に移動する。これらウェブ押さえ130a、130bは、カッター91aによる第2ウェブWの切断時に、制御部95の制御によって第2ウェブW側に移動し、第2ウェブWを上方から押さえる。
【0052】
[5.ウェブ固定機構の動作]
続いて、ウェブ固定機構110の動作について説明する。
図7および図8は、ウェブ固定機構110の動作を時系列順で示す図である。
図7に示すステップS1Bは、カッター91aによる第2ウェブWの切断開始前の状態である。ステップS1Bにおいて、制御部95は、ニードル111を第2ウェブWから上方に待避した位置に保持すると共に、覆い部材113を、溝120aおよびニードル通過孔120b、120cを覆う位置に保持する。
【0053】
第2ウェブWの搬送と同期して、カッターユニット91が下降して第2ウェブWの切断を開始する場合、図7のステップS2Bに示すように、制御部95は、覆い部材113を搬送方向上流側に移動させると共に、昇降機構112によりニードル111を第2ウェブWに突き刺す位置に移動する。これにより、ニードル111により第2ウェブWのずれを抑えながら、カッター91aによる第2ウェブWの切断を開始できる。
この場合、制御部95は、ウェブ押さえ130a、130bを第2ウェブW側に移動させることによって、ニードル111の反対側からも第2ウェブWを押さえる。これにより、ニードル111によって第2ウェブWが浮いてしまう事態を避け、ニードル111を第2ウェブWに十分に突き刺すことが可能になる。また、ニードル111およびウェブ押さえ130a、130bによって第2ウェブWのずれを効果的に抑制できる。
【0054】
カッター91aによる第2ウェブWの切断が完了すると、図8のステップS3Bに示すように、制御部95は、昇降機構112によりニードル111を第2ウェブWから待避する位置に移動する。
この場合、図8に符号Cで示す第2ウェブWの切断箇所の一部が、カッター91aにより、又は重力の作用により溝120a側に飛び出し、その状態で第2ウェブWを搬送方向に搬送すると、第2ウェブWの切断箇所Cが溝120a又はニードル通過孔120b、120cに引っ掛かってしまうおそれがある。
【0055】
本実施形態では、図8のステップS4Bに示すように、カッター91aによる切断が終了すると、制御部95が、覆い部材113を搬送方向下流側に移動し、溝120aおよびニードル通過孔120b、120cを覆う位置に移動する。これにより、第2ウェブWが溝120aおよびニードル通過孔120b、120cに引っ掛かる事態が回避される。以上が、ウェブ固定機構110によるウェブ固定動作である。
このウェブ固定動作が、第2ウェブWの搬送および切断動作と同期して所定のタイミングで繰り返し実行されることにより、第2ウェブWのずれを抑えて切断できると共に、第2ウェブWの移動をスムーズにできる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る切断装置90は、繊維を堆積させた第2ウェブWを切断するカッター91aと、第2ウェブWの切断時に、第2ウェブWに突き刺さって第2ウェブWを固定する可動式のニードル111と、を備える。この構成によれば、柔らかく未圧縮の状態の第2ウェブWのずれを抑えて切断でき、切断の精度が向上する。
【0057】
また、ニードル111は、第2ウェブWの下側に位置し、第2ウェブWの切断時に上昇する。この構成によれば、第2ウェブW上方にニードル111を配置しないため、第2ウェブW上方のスペースを確保し易くなり、例えば、第2ウェブW上方にカッター91aの配置スペースを十分に確保し易くなる。
【0058】
但し、ニードル111の位置を適宜に変更してもよく、例えば、図9に示すように、ニードル111を第2ウェブWの上側に位置させ、第2ウェブWの切断時に下降する構成にしてもよい。この構成によれば、第2ウェブWは搬送面によって下方から支持されるので、上方からニードル111を第2ウェブWに突き刺すことによって、ニードル111を第2ウェブWに十分に突き刺し易くなる。これにより、第2ウェブWをずれ難くすることができる。また、第2ウェブW下方にニードル111を配置しないため、第2ウェブW下方のスペースを広く確保し、例えば、ボールねじ機構92の配置スペースを十分に確保し易くなる。さらに、搬送面側にニードル通過孔120b、120cが不要になる。
【0059】
また、第2ウェブWを挟んでカッター91aと対向する位置に溝120aがあり、この溝120aに対し、第2ウェブWの搬送方向の上流側および下流側の両方にニードル111が位置する。この構成によれば、溝120aによってカッター91aとの接触を回避しながら、第2ウェブWのずれをニードルで抑え易くなる。しかも、第2ウェブWの切断箇所を基準にして上流側および下流側で第2ウェブWのずれを抑えることができ、切断の精度向上に有利である。
なお、溝120aに対し、第2ウェブWの搬送方向の上流側および下流側のいずれか一方にニードル111が位置するようにしてもよい。この場合、ニードル111が、第2ウェブWの幅方向に間隔を空けて位置するので、第2ウェブWの幅方向へのずれを効果的に抑えることができ、切断の精度向上に有利である。
【0060】
また、非切断時に溝120aを覆う可動式の覆い部材113を有する。この構成によれば、覆い部材113により、第2ウェブWが溝120a等に引っ掛かる事態を回避し、第2ウェブWの搬送をスムーズにできる。
【0061】
また、第2ウェブWの搬送中に、カッター91aおよびニードル111を、第2ウェブWの搬送方向に移動させるボールねじ機構92を備える。この構成によれば、第2ウェブWの送りを中断させずにカッター91aで第2ウェブWを切断する際の切断の精度を向上できる。したがって、シート製造装置10の高速化および切断性能、といった性能向上に有利である。
【0062】
本実施形態は、一態様を示すものであり。本発明の趣旨に逸脱しない範囲内で任意に変形および応用が可能である。例えば、図1に示すシート製造装置10に使用される切断装置90、および、この切断装置90による切断方法に本発明を適用する場合を説明したが、これに限定されず、繊維を堆積させたウェブを切断する任意の切断装置、および、この切断装置による切断方法に本発明を適用してもよい。
【0063】
例えば、第2ウェブWの送りを中断させずにカッター91aで第2ウェブWを切断する切断装置90、および、この切断装置90による切断方法に本発明を適用する場合を説明したが、第2ウェブWの送りを中断させてカッター91aで第2ウェブWを切断する切断装置、および、この切断装置による切断方法に本発明を適用してもよい。
【0064】
また、切断装置90の各部のレイアウト、および形状等を適宜に変更してもよく、一部の構成を備えていなくてもよい。例えば、第2ウェブWを適切に切断できる範囲で、切断装置90を、上流側搬送機構93、および下流側搬送機構94のいずれかを備えない構成にしてもよい。また、第2ウェブWの送りを中断させてカッター91aで第2ウェブWを切断する切断装置、および、この切断装置による切断方法に本発明を適用してもよい。
【0065】
また、カッター91aが、第2ウェブWを幅方向に沿って切断する場合を説明したが、これに限定されず、カッター91aが、第2ウェブWの搬送方向と交差する方向に切断する構成、例えば、カッター91aが、第2ウェブWを搬送方向に対して傾斜する角度で切断する構成にしてもよい。
また、カッターユニット91、ボールねじ機構92およびウェブ固定機構110を含む各部の動作内容および動作順等を適宜に変更してもよい。また、制御部95は、切断装置90専用の制御部に限定されず、他の装置の制御部が兼ねてもよいし、カッター91aやボールねじ機構92等の動作を制御する制御主体は、適宜に変更可能である。
【0066】
[6.本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)少なくとも堆積された繊維を含むウェブが搬送される搬送経路に設けられ、前記ウェブを切断する切断装置において、前記ウェブを切断するカッターと、前記ウェブの切断時に、前記ウェブに突き刺さって前記ウェブを固定する可動式のニードルと、を備える切断装置。
【0067】
この構成によれば、未圧縮の柔らかい繊維体からなるウェブのずれを抑えて切断でき、切断の精度が向上する。
【0068】
(付記2)前記ニードルは、前記ウェブの下側に位置し、前記ウェブの切断時に上昇する、付記1に記載の切断装置。
【0069】
この構成によれば、ウェブ上方にニードルを配置しないため、ウェブ上方のスペースを確保し易くなる。
【0070】
(付記3)前記ニードルは、前記ウェブの上側に位置し、前記ウェブの切断時に下降する、付記1に記載の切断装置。
【0071】
この構成によれば、ウェブは搬送面によって下方から支持されるので、上方からニードルをウェブに突き刺すことで、ニードルをウェブに十分に突き刺し易くなる。また、ウェブ下方にニードルを配置しないため、ウェブ下方のスペースを確保し易くなる。
【0072】
(付記4)前記ウェブを挟んで前記カッターと対向する位置に溝があり、前記溝に対し、前記ウェブの搬送方向の上流側および下流側の少なくともいずれかに前記ニードルが位置する、付記1から3のいずれか一項に記載の切断装置。
【0073】
この構成によれば、溝によってカッターとの接触を回避しながら、ウェブのずれをニードルで抑え易くなる。また、溝を避けた位置でウェブのずれを抑えるので、ニードルの配置が容易である。
【0074】
(付記5)前記ニードルは、前記溝に対し、前記ウェブの搬送方向の上流側および下流側の両方に設けられる、付記4に記載の切断装置。
【0075】
この構成によれば、ウェブの切断箇所を基準にして上流側および下流側でウェブのずれを抑えることができ、切断の精度向上に有利である。
【0076】
(付記6)非切断時に前記溝を覆う可動式の覆い部材を有する、付記4又は5に記載の切断装置。
【0077】
この構成によれば、覆い部材によりウェブが溝に引っ掛かる事態を回避し、ウェブの搬送をスムーズにできる。
【0078】
(付記7)前記ウェブの搬送中に、前記カッターおよび前記ニードルを、前記ウェブの搬送方向に移動させるボールねじ機構を備える、付記1から6のいずれか一項に記載の切断装置。
【0079】
この構成によれば、ウェブの送りを中断させずにカッターでウェブを切断する際の切断の精度を向上できる。
【0080】
(付記8)少なくとも堆積された繊維を含むウェブが搬送される搬送経路に設けられ、前記ウェブを切断するカッターと、前記ウェブに突き刺し可能な可動式のニードルと、を備える切断装置による切断方法であって、前記ウェブの切断時に、前記ニードルを前記ウェブに突き刺して前記ウェブを固定する、切断方法。
【0081】
この切断方法によれば、未圧縮の柔らかい繊維体からなるウェブのずれを抑えて切断でき、切断の精度が向上する。
【符号の説明】
【0082】
10…シート製造装置、90…切断装置、91…カッターユニット、91a…カッター、91b…カッター移動機構、91c…移動フレーム、91d…カッター用のモーター、91f…ベースフレーム、92…ボールねじ機構、92a…ボールねじ、92b…ボールねじ用のモーター、93…上流側搬送機構、94…下流側搬送機構、95…制御部、100…受け取り部(受け取り側)、110…ウェブ固定機構、111…ニードル、111a…上流側ニードル、111b…下流側ニードル、112…昇降機構、113…覆い部材、120a…溝、120b、120c…ニードル通過孔、C…切断箇所、D…搬送方向、W…第2ウェブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9