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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125611
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】精算システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240911BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20240911BHJP
   G01S 13/00 20060101ALI20240911BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240911BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240911BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240911BHJP
【FI】
G07B15/00 L
G08G1/14 A
G01S13/00
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033534
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 涼太
(72)【発明者】
【氏名】川崎 栄嗣
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
5J070
【Fターム(参考)】
3E127AA18
3E127BA01
3E127BA32
3E127CA21
3E127CA24
3E127CA47
3E127EA04
3E127EA18
3E127FA18
3E127FA23
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC12
5H181CC14
5H181DD08
5H181EE10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181KK01
5H181KK03
5H181KK04
5H181KK08
5H181MB05
5H181MC27
5J070AB24
5J070AE01
5J070AF01
(57)【要約】
【課題】比較的簡易な構成で不正出庫の予兆を検知することができる精算システムを提供する。
【解決手段】検知部111は、センサ2から送受信情報を取得し、この送受信情報に基づいて、車両の有無と振動とを検知する。取得部112は、精算機Cから精算情報を取得する。通知部113は、車両Vによる車室Rの利用料金が未精算であり、かつ、車両Vが閾値以上の振動をしていると判断する場合、その旨を車両Vの利用者に通知する。阻止部114は、通知部113が上述した未精算の通知をするときに、フラップ板Fを駆動させて車両Vの出庫を阻止する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室ごとに電磁波を送信し、該電磁波の反射成分を受信するセンサと、
受信した前記反射成分に基づいて前記車室における車両の有無、及び該車室に有る前記車両の振動を検知する検知部と、
前記車両の精算情報を取得する取得部と、
前記精算情報が未精算を示し、かつ、前記車両の閾値以上の振動が検知された場合に、該車両の利用者に未精算であることを通知する通知部と、
を有する精算システム。
【請求項2】
前記センサは、前記電磁波としてミリ波を送信し、
前記検知部は、前記ミリ波の反射成分に基づいて前記振動を検知する
請求項1に記載の精算システム。
【請求項3】
前記精算情報が未精算を示し、かつ、前記振動が検知された場合に、前記車室から前記車両が出ることを阻止する阻止部
を有する請求項1に記載の精算システム。
【請求項4】
前記通知部は、前記精算情報が未精算を示し、前記振動が検知され、かつ、該振動が所定時間以上にわたって続いている場合に、その旨を通知する
請求項1から3のいずれか1項に記載の精算システム。
【請求項5】
車室ごとに電磁波を送信し、該電磁波の反射成分を受信するセンサと、通信可能に接続されたコンピュータを、
前記センサが受信した前記反射成分に基づいて前記車室における車両の有無、及び該車室に有る前記車両の振動を検知する検知部と、
前記車両の精算情報を取得する取得部と、
前記精算情報が未精算を示し、かつ、前記車両の閾値以上の振動が検知された場合に、該車両の利用者に未精算であることを通知する通知部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間貸し制の駐車場等において未精算の車両が出庫する予兆を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時間貸し制の駐車場等には、ループコイルセンサとフラップ板(ロック板ともいう)とを用いたシステムが多く採用されてきた。このシステムは、ループコイルセンサによって、車庫に車両が停車していることを検知し、検知したその停車中の車両をフラップ板によって拘束することで、利用者が未精算のまま車両を出庫する不正行為(不正出庫ともいう)を防止する。
【0003】
従来のこのシステムは、ループコイルセンサ及びフラップ板を設置するための土木工事が必須であるため初期費用が高額になる。また、このシステムは、これらを撤去する際にも費用及び期間がかかる、というデメリットがある。
【0004】
そこで、近年ではいわゆるフラップレスシステムを採用する駐車場等が増加している。このフラップレスシステムは、例えば、各車室の端にカメラを搭載したポールを立て、そのカメラからそれぞれの車室に停車している車両のナンバー(車番ともいう)を撮影する。そして、このフラップレスシステムは、撮影した画像に対して画像認識処理をすることにより、その車番を認識して精算データと紐づける。
【0005】
フラップレスシステムは、フラップ板を設置するための土木工事が不要であるから、その分の初期費用が抑えられる。しかし、フラップ板という「不正出庫を物理的に防止する手段」がないため、不正出庫を監視して事後に請求することでしか料金回収をすることができない。つまり、フラップレスシステムは、例えば、不正出庫の予兆を事前に察知して警告等を行うことで、これを防止することができない。
【0006】
したがって、例えば、駐車場の利用者の中には悪意なく不注意で不正出庫をしてしまう利用者もいるところ、フラップレスシステムは、この利用者に注意喚起して不正出庫を抑止する手段がない。さらに、フラップレスシステムは、車両の満空検知に依然としてループコイルセンサが採用されることが多く、完全に土木工事が不要になるとは限らない。
【0007】
そこで、フラップ板、及びループコイルセンサを用いずに不正出庫の予兆を検知するための技術が開発されている。特許文献1は、駐車場の駐車スペースに駐車された車両の撮影画像に基づいて、その車両のドアの開状態を検出し、その検出結果に基づいて駐車場の利用に関する案内情報を報知する駐車スペースの近傍に配置された報知部で報知する情報処理システム、を開示している。この特許文献1に記載された技術は、ドアの開閉を検知して、その検知結果に応じて利用者への案内を決定する。
【0008】
特許文献2は、駐車場の車室に向けて電波を送信するとともに、送信された電波の反射成分を受信する電波センサと、前記電波センサでの受信結果に基づき車室における車両の有無を検知する車両検知部とを備える駐車場システム、を開示する。この特許文献2に記載された技術は、車両の満空検知をループコイルセンサの代わりに電波センサで行うことで、低廉な費用で駐車場の設置・運用を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2018-120510号公報
【特許文献2】特開2022-54611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、車両のドアは、例えば忘れ物を取りに戻った時、荷物を一旦トランクに収容する時等に、一時的に開閉されることがある。そのため、ドアの開閉を検知したことを以て利用者の不正出庫の意思と見做す特許文献1に記載の技術には、相当量の誤検知の発生が予測される。
【0011】
また、特許文献2に記載の技術は、電波の反射成分を受信して車室における車両の有無を検知するが、車室に有る車両が出庫しようとしているか否かを区別して検知することはできない。
【0012】
本発明の目的の一つは、比較的簡易な構成で不正出庫の予兆を検知することができる精算システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、車室ごとに電磁波を送信し、該電磁波の反射成分を受信するセンサと、受信した前記反射成分に基づいて前記車室における車両の有無、及び該車室に有る前記車両の振動を検知する検知部と、前記車両の精算情報を取得する取得部と、前記精算情報が未精算を示し、かつ、前記車両の閾値以上の振動が検知された場合に、該車両の利用者に未精算であることを通知する通知部と、を有する精算システム、を第1の態様として提供する。第1の態様の精算システムによれば、比較的簡易な構成で不正出庫の予兆を検知することができる。
【0014】
第1の態様の精算システムにおいて、前記センサは、前記電磁波としてミリ波を送信し、前記検知部は、前記ミリ波の反射成分に基づいて前記振動を検出する、という構成が第2の態様として採用されてもよい。第2の態様の精算システムによれば、ミリ波の反射成分に基づいて検出された車両の振動により不正出庫の予兆を検知することができる。
【0015】
第1の態様の精算システムにおいて、前記精算情報が未精算を示し、かつ、前記振動が検知された場合に、前記車室から前記車両が出ることを阻止する阻止部を有する、という構成が第3の態様として採用されてもよい。第3の態様の精算システムによれば、不正出庫の予兆が検知された車両の出庫を阻止することができる。
【0016】
第1から第3のいずれか1の態様の精算システムにおいて、前記通知部は、前記精算情報が未精算を示し、前記振動が検知され、かつ、該振動が所定時間以上にわたって続いている場合に、その旨を通知する、という構成が第4の態様として採用されてもよい。第4の態様の精算システムによれば、例えば、所定時間以上のアイドリング等を通知することができる。
【0017】
本発明は、車室ごとに電磁波を送信し、該電磁波の反射成分を受信するセンサと、通信可能に接続されたコンピュータを、前記センサが受信した前記反射成分に基づいて前記車室における車両の有無、及び該車室に有る前記車両の振動を検知する検知部と、前記車両の精算情報を取得する取得部と、前記精算情報が未精算を示し、かつ、前記車両の閾値以上の振動が検知された場合に、該車両の利用者に未精算であることを通知する通知部として機能させるためのプログラム、を第5の態様として提供する。第5の態様のプログラムによれば、比較的簡易な構成で不正出庫の予兆を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る精算システム9の全体構成の例を示す図。
図2】コンピュータ1の構成の例を示す図。
図3】コンピュータ1の機能的構成の例を示す図。
図4】コンピュータ1の動作の流れの例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
<精算システムの全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る精算システム9の全体構成の例を示す図である。この精算システム9は、駐車料金が未精算のまま出庫する可能性がある車両を見つけ、その利用者に注意を促すシステムである。
【0020】
この精算システム9は、コンピュータ1、及びセンサ2を有する。この精算システム9は、センサ2により車室Rを監視し、コンピュータ1により車室Rの利用に関する精算の情報(精算情報という)を精算機Cから取得する。
【0021】
車室Rは、車両Vを駐車させるためのスペースである。精算システム9がセンサ2により監視する車室Rは一つでもよいが、複数でもよい。複数の車室Rを監視する場合、例えば、センサ2は、これらを時分割で監視すればよい。
【0022】
精算機Cは、例えば、車室Rの近傍に設置されており、車室Rを利用する車両Vの利用者から、利用料金を徴収する装置である。精算機Cは、例えば、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、コンピュータ1から受けた指示に応じて画像を表示する。また、精算機Cは、車両Vの駐車時間をコンピュータ1から取得し、その駐車時間に応じて車室Rの利用料金を算出する。そして、精算機Cは、利用者から硬貨、紙幣等の現金を受付けて入金の額を特定し、精算処理を行う。
【0023】
なお、精算機Cは、現金以外にも、例えば、クレジットカード、二次元バーコード等を用いた入金を受付けてもよい。精算機Cは、通信回線3を経由して、例えば、一般社団法人全国銀行協会により運営される決済システムと接続されてもよい。
【0024】
また、この精算システム9は、コンピュータ1によりフラップ板Fを制御する。フラップ板Fは、車室Rの床に備えられた揺動可能な板である。フラップ板は、コンピュータ1の制御の下、例えば、床に対して傾斜するように立ち上がることで、この車室Rに駐車する車両Vの出庫を阻止する。なお、車両Vの出庫を阻止するための機構(出庫阻止機構ともいう)は、フラップ板Fに限らない。例えば、精算システム9において、コンピュータ1は、出庫阻止機構として、車室Rの出入口に設置されたゲートバーを制御してもよい。
【0025】
コンピュータ1は、通信回線3を利用して外部の各種機器と情報をやり取りしてもよい。例えば、このコンピュータ1は、通信回線3を介して車両Vに乗車している利用者のスマートフォンMと情報をやり取りする。
【0026】
ここで通信回線3は、例えばLAN(Local Area Network)のほか、WAN(Wide Area Network)であってもよいし、インターネットであってもよいし、これらの組合せであってもよい。また、通信回線3は、公衆交換通信網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)、サービス統合デジタル網(ISDN:Integrated Services Digital Network)等を含むものでもよい。
【0027】
センサ2は、監視対象である車室Rに向けて電磁波を送信し、その反射波(反射成分ともいう)を受信する。このセンサ2は、車室ごとに電磁波を送信し、その電磁波の反射成分を受信するセンサの例である。
【0028】
センサ2は、送信部21、受信部22を有する。送信部21は、車室Rに向けて電磁波を送信する送信機である。受信部22は、車室Rから戻ってくる反射波を受信する受信機である。
【0029】
コンピュータ1は、センサ2と通信可能に接続されている。コンピュータ1は、車室Rにおける車両Vについてセンサ2が送受信した電磁波の情報(送受信情報ともいう)を取得する。
【0030】
また、このコンピュータ1は、精算機Cから車両Vの精算情報を取得する。そして、コンピュータ1は、取得した精算情報が未精算を示し、かつ、取得した送受信情報が、車室Rに車両Vが存在していること、その車両Vが閾値以上の振動をしていること、を示していると、車両Vの利用者(運転者ともいう)に、未精算であることを通知する。
【0031】
<コンピュータの構成>
図2は、コンピュータ1の構成の例を示す図である。図2に示すコンピュータ1は、プロセッサ11、メモリ12、通信部13、操作部14、及び表示部15を有する。これらは、バスにより相互に通信可能に接続されている。
【0032】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有し、コンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を記憶する。
【0033】
プロセッサ11は、メモリ12からプログラムを読出して実行することによりコンピュータ1を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。また、プロセッサ11は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)であってもよいし、FPGAを含んでもよい。また、このプロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は他のプログラマブル論理デバイスを有し、これらによって制御を行ってもよい。
【0034】
通信部13は、有線又は無線によりコンピュータ1を、上述した通信回線3、及び、他の外部装置等に接続する通信回路である。この通信部13は、センサ2、精算機C、及びフラップ板Fと接続する。また、この通信部13は、上述した通信回線3を経由してスマートフォンMと接続する。
【0035】
操作部14は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、タッチパネル、マウス等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ11に送る。この操作は、例えば、キーボードに対する押下、タッチパネルに対するジェスチャー等である。
【0036】
表示部15は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、プロセッサ11の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作部14の透明のタッチパネルが重ねて配置されてもよい。なお、コンピュータ1は、操作部14及び表示部15を有しなくてもよい。コンピュータ1は、通信部13を介して外部の装置から操作され、又は外部の装置に情報を提示してもよい。また、コンピュータ1は、通信部13を有しなくてもよい。
【0037】
<コンピュータの機能的構成>
図3は、コンピュータ1の機能的構成の例を示す図である。コンピュータ1のプロセッサ11は、メモリ12に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより、検知部111、取得部112、及び通知部113として機能する。また、図3に示すプロセッサ11は、阻止部114としても機能する。なお、図3において、通信部13、操作部14、及び表示部15は図示されていない。
【0038】
検知部111は、センサ2から送受信情報を取得する。検知部111は、取得したこの送受信情報に基づいて、車両Vの有無と振動とを検知する。この方式には、例えば、FCM(Fast-Chirp Modulation)方式、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave:周波数変調連続波)方式、パルス方式等が採用される。
【0039】
センサ2から取得した送受信情報には、反射波を反射させた物体までの距離の情報が含まれる。この距離は、例えば、ToF(Time of Flight)方式で求められる。ToF方式は、照射した光が対象物に当たって反射光として戻るまでの時間を用いて対象物までの距離を測定する方式である。検知部111は、例えば、所定の距離内に存在する物体から反射波があった場合にだけ、車室Rに車両Vが存在する、と判断する。
【0040】
また、センサ2の送信部21が送信する電磁波の帯域を所定範囲に調整することにより、検知部111は、マイクロメートル単位の微細振動を非接触で高精度に検知することができる。検知部111は、センサ2の送信部21が送信した電磁波と、受信部22が受信した反射波との差分から、車両Vまでの距離の変異を検知し、この距離の変異から位相情報を取得することで車両Vの振動を検知する。
【0041】
すなわち、この検知部111は、受信した反射成分に基づいて車室における車両の有無、及びその車室に有る車両の振動を検知する検知部の例である。
【0042】
ここでセンサ2の送信部21が送信する電磁波は、例えばミリ波である。この場合、このセンサ2は、電磁波としてミリ波を送信するセンサの例である。そして、この場合、検知部111は、ミリ波の反射成分に基づいて振動を検知する検知部の例である。
【0043】
一般にミリ波とは30GHz以上、300GHz未満の周波数の電磁波を言う。ここで送信部21が送信し、受信部22がその反射波を受信するミリ波は、80GHz未満の電磁波が好ましい。例えば、このミリ波は、自動車のADAS(先進自動運転システム)等で用いられている79GHz帯(77GHz以上81GHz未満)である。なお、センサ2は、上述したミリ波に限らず、例えば周波数が30GHz未満の電磁波のうち、24GHz以上の電磁波を用いることもできる。
【0044】
取得部112は、検知部111の検知結果に基づいて、車両Vが車室Rに駐車している時間、つまり、駐車時間を取得する。そして、取得部112は、精算機Cから求められたときに、この駐車時間の情報を精算機Cに供給する。
【0045】
また、取得部112は、精算機Cに精算情報を要求し、精算機Cからこれを取得する。つまり、この取得部112は、車両の精算情報を取得する取得部の例である。
【0046】
通知部113は、検知部111の検知結果に基づいて、車室Rに駐車している車両Vが閾値以上の振動をしているか否かを判断する。また、通知部113は、取得部112が取得した精算情報に基づいて、車室Rに駐車している車両Vの精算が行われているか否かを判断する。そして、通知部113は、車両Vによる車室Rの利用料金が未精算であり、かつ、車両Vが閾値以上の振動をしていると判断する場合、その旨を車両Vの利用者に通知する。例えば、通知部113は、精算機Cに指示を出して、車両Vの利用者に対し未精算であることを表示画面に表示させる。すなわち、この通知部113は、精算情報が未精算を示し、かつ、車両の閾値以上の振動が検知された場合に、その車両の利用者に未精算であることを通知する通知部の例である。
【0047】
なお、例えば通信回線3を経由して、車両Vの利用者の所持するスマートフォンMにコンピュータ1が通信可能に接続している場合、通知部113は、このスマートフォンMに指示を出して、未精算であることを通知してもよい。この場合、精算システム9は、例えば、車両Vが車室Rを利用するときに利用者にスマートフォンMの電話番号等の識別情報を登録させる仕組みを有してもよい。また、コンピュータ1は、通信回線3を経由せず、スマートフォンMと直接、通信可能に接続してもよい。この場合、コンピュータ1とスマートフォンMとは、例えば、ISO/IEC18092(NFCIP-1)、ISO/IEC14443、ISO/IEC15693、IEEE802.15等の近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)の規格に準拠した方式で互いに接続する機能を有していてもよい。
【0048】
阻止部114は、通知部113が上述した未精算の通知をするときに、フラップ板Fを駆動させて車両Vの出庫を阻止する。つまり、この阻止部114は、精算情報が未精算を示し、かつ、車両Vの振動が検知された場合に、車室から車両が出ることを阻止する阻止部の例である。阻止部114は、通知部113が未精算の通知をして所定時間が経過してから、車両Vの出庫を阻止してもよい。
【0049】
<表示装置の動作>
図4は、コンピュータ1の動作の流れの例を示すフロー図である。図4に示す通り、コンピュータ1のプロセッサ11は、センサ2から送受信情報を取得し(ステップS101)、これに基づいて、車室Rにおける車両Vの有無と振動とを検知する(ステップS102)。
【0050】
プロセッサ11は、車室Rに車両Vが存在しているか否かを判断する(ステップS103)。車室Rに車両Vが存在している、と判断する場合(ステップS103;YES)、プロセッサ11は、駐車時間を加算し(ステップS104)、処理をステップS105に進める。プロセッサ11は、例えば、初めて車室Rに車両Vが存在している、と判断するとき、駐車時間を「0」にリセットしてその時刻をメモリ12に記憶させる。そして、プロセッサ11は、二回目以降に車室Rに車両Vが存在している、と判断すると、直前にメモリ12に記憶させた時刻と現在時刻との差分を駐車時間に加算する。
【0051】
一方、車室Rに車両Vが存在していない、と判断する場合(ステップS103;NO)、プロセッサ11は、処理をステップS101に戻す。
【0052】
プロセッサ11は、駐車時間が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS105)。駐車時間が閾値以上である、と判断する場合(ステップS105;YES)、プロセッサ11は、その駐車時間に応じた駐車料金の計算を行い(ステップS106)、処理をステップS107に進める。
【0053】
一方、駐車時間が閾値以上でない、と判断する場合(ステップS105;NO)、プロセッサ11は、処理をステップS101に戻す。
【0054】
プロセッサ11は、車両Vの振動が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS107)。
【0055】
車両Vの振動が閾値以上でない、と判断する場合(ステップS107;NO)、プロセッサ11は、処理をステップS101に戻す。
【0056】
一方、車両Vの振動が閾値以上である、と判断する場合(ステップS107;YES)、プロセッサ11は、精算機Cに精算情報を要求し、これを取得して、車両Vの駐車料金が精算済みであるか否かを判断する(ステップS108)。車両Vの駐車料金が精算済みである、と判断する場合(ステップS108;YES)、プロセッサ11は、処理を終了する。
【0057】
一方、車両Vの駐車料金が精算済みでない、と判断する場合(ステップS108;NO)、プロセッサ11は、アイドリング時間を加算し(ステップS109)、処理をステップS110に進める。アイドリング時間は、車両Vに閾値以上の振動が連続して検知された時間である。
【0058】
プロセッサ11は、アイドリング時間が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS110)。アイドリング時間が閾値以上であることは、すなわち、車両の振動が所定時間以上にわたって続いていることを意味する。
【0059】
アイドリング時間が閾値以上である、と判断する場合(ステップS110;YES)、プロセッサ11は、車室Rに車両Vを駐車させた利用者に向けて、その車両Vのアイドリングを警告(通知)し(ステップS111)、処理をステップS112に進める。すなわち、このプロセッサ11により実現する通知部113(図3参照)は、精算情報が未精算を示し、振動が検知され、かつ、この振動が所定時間以上にわたって続いている場合に、その旨を通知する通知部の例である。
【0060】
一方、アイドリング時間が閾値以上でない、と判断する場合(ステップS110;NO)、プロセッサ11は、アイドリングを警告せずに処理をステップS112に進める。
【0061】
プロセッサ11は、車室Rに車両Vを駐車させた利用者に向けて、車室Rにおける車両Vの利用料金が未精算であることを警告し(ステップS112)、処理をステップS101に戻す。
【0062】
以上の動作により、精算システム9は、例えばループコイルセンサ等を設置する場合とくらべて簡易な構成で不正出庫の予兆を検知することができる。
【0063】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ及び配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。したがって、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0064】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例は組み合わされてもよい。
【0065】
<1>
上述した実施形態において、コンピュータ1は、利用者に未精算を通知するときにフラップ板Fを駆動させて車両Vの出庫を阻止していたが、阻止をしなくてもよい。この場合、フラップ板F等の出庫阻止機構はなくてもよい。
【0066】
<2>
上述した実施形態において、コンピュータ1は、利用者に未精算を通知するときに所定時間にわたって車両Vの振動が続いていることを検知した場合、利用者にアイドリングを警告していたが、この警告は行わなくてもよい。
【0067】
<3>
本発明は、図4に示す各ステップをコンピュータに実行させるように記述されたプログラムとしても観念され得る。すなわち、このプログラムは、車室ごとに電磁波を送信し、この電磁波の反射成分を受信するセンサと、通信可能に接続されたコンピュータを、センサが受信した反射成分に基づいて車室における車両の有無、及びこの車室に有る車両の振動を検知する検知部と、車両の精算情報を取得する取得部と、精算情報が未精算を示し、かつ、車両の閾値以上の振動が検知された場合に、この車両の利用者に未精算であることを通知する通知部として機能させるためのプログラムの例である。
【符号の説明】
【0068】
1…コンピュータ、11…プロセッサ、111…検知部、112…取得部、113…通知部、114…阻止部、12…メモリ、13…通信部、14…操作部、2…センサ、21…送信部、22…受信部、3…通信回線、9…精算システム。
図1
図2
図3
図4