特開 2024-125612 アプリケーションプログラム、決済サーバ、および決済方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024125612

(43)【公開日】2024-09-19

(54)【発明の名称】アプリケーションプログラム、決済サーバ、および決済方法

(51)【国際特許分類】

   G06Q 20/08 20120101AFI20240911BHJP

【ＦＩ】

G06Q20/08

【審査請求】有

【請求項の数】10

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023033539

(22)【出願日】2023-03-06

(11)【特許番号】

(45)【特許公報発行日】2023-11-28

(71)【出願人】

【識別番号】519110124

【氏名又は名称】ＰａｙＰａｙ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100149548

【弁理士】

【氏名又は名称】松沼 泰史

(74)【代理人】

【識別番号】100154852

【弁理士】

【氏名又は名称】酒井 太一

(74)【代理人】

【識別番号】100181124

【弁理士】

【氏名又は名称】沖田 壮男

(74)【代理人】

【識別番号】100194087

【弁理士】

【氏名又は名称】渡辺 伸一

(72)【発明者】

【氏名】山田 康太

(72)【発明者】

【氏名】チン リンサイ

(72)【発明者】

【氏名】市川 聡美

【テーマコード（参考）】

5L020

5L055

【Ｆターム（参考）】

5L020AA22

5L055AA22

(57)【要約】

【課題】電子商取引の利便性を向上させることができるアプリケーションプログラム、決済サーバ、および決済方法を提供すること。
【解決手段】電子決済サービスの加盟店の利用者の端末装置で実行され、前記加盟店のＥＣ（Electronic Commerce）サーバと協働して前記利用者に電子商取引サービスを提供するアプリケーションプログラムであって、前記電子商取引サービスにおける商品購入の際の支払い方法の選択肢として、予め設定された優先順位に基づいて複数の支払い方法の中から自動的に選択する決済方法である優先順位決済を提示するものであり、前記電子決済サービスの運営者が提供するＡＰＩ（Application Program Interface）を実行することにより、前記電子決済サービスを提供する決済サーバと協働して前記優先順位決済による電子決済を行う、アプリケーションプログラム。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

電子決済サービスの加盟店の利用者の端末装置で実行され、前記加盟店のＥＣ（Electronic Commerce）サーバと協働して前記利用者に電子商取引サービスを提供するアプリケーションプログラムであって、
前記電子商取引サービスにおける商品購入の際の支払い方法の選択肢として、予め設定された優先順位に基づいて複数の支払い方法の中から自動的に選択する決済方法である優先順位決済を提示するものであり、
前記電子決済サービスの運営者が提供するＡＰＩ（Application Program Interface）を実行することにより、前記電子決済サービスを提供する決済サーバと協働して前記優先順位決済による電子決済を行う、
アプリケーションプログラム。

【請求項2】

前記電子決済サービスでは、前記電子決済における支払い方法として、電子決済口座にチャージされた金額の残高で支払いを行うチャージ残高払いと、後払いと、前記優先順位決済とが使用可能であり、
利用者が前記決済サーバに対して前記後払いの利用設定を実施済みであり、且つ前記利用者が前記決済サーバに対して前記優先順位決済に関する前記優先順位の設定を未実施である場合、前前記電子決済サービスに係る記利用者の決済履歴に基づいて前記優先順位決済で使用する支払い方法を選択する、
請求項１に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項3】

前記利用者が、前記決済サーバに対して前記後払いの利用設定を実施済みで、且つ前記決済サーバに対して前記優先順位決済に関する前記優先順位の設定を未実施であり、
前記利用者が直前の電子決済で使用した支払い方法が後払いである場合、
前記優先順位決済で使用する支払い方法として前記後払いを選択する、
請求項２に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項4】

前記利用者が、前記決済サーバに対して前記後払いの利用設定を実施済みで、且つ前記決済サーバに対して前記優先順位決済に関する前記優先順位の設定を未実施であり、
前記利用者について前記決済履歴が存在しない場合、
前記優先順位決済で使用する支払い方法として前記後払いを選択する、
請求項２に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項5】

前記電子商取引サービスにおける商品購入の際に、支払い方法の選択肢として、前記優先順位決済を含む選択肢を提示する画面を表示させ、前記画面に対して所定の操作が行われた場合に、前記優先順位決済における支払い方法について前記利用者が設定した前記優先順位の設定内容を前記画面に表示させる、
請求項１に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項6】

前記所定の操作は前記画面に表示された前記優先順位決済の選択順位に対するマウスオーバー操作である、
請求項５に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項7】

前記利用者が設定した前記優先順位の内容を前記画面にツールチップの態様で表示させる、
請求項５に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項8】

前記所定の操作が行われたことに応じて前記ＡＰＩを実行することにより、前記利用者が設定した前記優先順位の設定内容を前記決済サーバから取得する、
請求項５に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項9】

電子決済サービスの加盟店の利用者の端末装置で実行され、前記加盟店のＥＣ（Electronic Commerce）サーバと協働して前記利用者に電子商取引サービスを提供するアプリケーションプログラムと協働して前記利用者に前記電子決済サービスを提供する決済サーバであって、
前記電子商取引サービスにおける商品購入の際の支払い方法の選択肢として、予め設定された優先順位に基づいて複数の支払い方法の中から自動的に選択する決済方法である優先順位決済について、前記優先順位の設定情報を記憶する記憶部と、
前記電子決済サービスに係る電子決済を実現するための決済処理を実行する決済処理部と、
を備え、
前記アプリケーションプログラムは、前記電子決済サービスの運営者が提供するＡＰＩ（Application Program Interface）を実行することにより、前記決済サーバに対して前記優先順位決済による電子決済の実行を要求するものであり、
前記決済処理部は、前記優先順位決済による電子決済の実行要求を受け付けた場合、前記電子決済に使用する支払い方法を、前記利用者が予め設定した優先順位の設定に基づいて複数の支払い方法の中から自動的に選択する、
決済サーバ。

【請求項10】

電子決済サービスの加盟店の利用者の端末装置で実行され、前記加盟店のＥＣ（Electronic Commerce）サーバと協働して前記利用者に電子商取引サービスを提供するアプリケーションプログラムと協働して前記利用者に前記電子決済サービスを提供する決済サーバであって、
前記電子商取引サービスにおける商品購入の際の支払い方法の選択肢として、予め設定された優先順位に基づいて複数の支払い方法の中から自動的に選択する決済方法である優先順位決済について、前記優先順位の設定情報を記憶した前記決済サーバが、
決済処理を実行することにより前記電子決済サービスに係る電子決済を実現する決済方法であって、
前記アプリケーションプログラムは、前記電子決済サービスの運営者が提供するＡＰＩ（Application Program Interface）を実行することにより、前記決済サーバに対して前記優先順位決済による電子決済の実行を要求するものであり、
前記決済サーバが、前記優先順位決済による電子決済の実行要求を受け付けた場合、前記電子決済に使用する支払い方法を、前記利用者が予め設定した優先順位の設定に基づいて複数の支払い方法の中から自動的に選択する、
決済方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、アプリケーションプログラム、決済サーバ、および決済方法に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、電子商取引を活発化させることを目的とした情報配信技術の研究が進められている。例えば、特許文献１には、Ｗｅｂブラウザにより表示された広告コンテンツに対してマウスオーバー操作が行われた場合に、当該広告コンテンツに関する追加情報を情報提供サーバから取得してＷｅｂブラウザに表示させる技術について記載されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】国際公開第２０１２／００２３５１号

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

従来の技術は、広告コンテンツに関する追加情報を表示させることで電子商取引を活発化させようとしたものであるが、このような方法では、商品に関する利用者の関心を高めることはできても、電子商取引の利便性を高めることで電子商取引を活発化させることにはつながらない場合があった。

【0005】

本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、電子商取引の利便性を向上させることができるアプリケーションプログラム、決済サーバ、および決済方法を提供することを目的の一つとする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の一態様は、電子決済サービスの加盟店の利用者の端末装置で実行され、前記加盟店のＥＣ（Electronic Commerce）サーバと協働して前記利用者に電子商取引サービスを提供するアプリケーションプログラムであって、前記電子商取引サービスにおける商品購入の際の支払い方法の選択肢として、予め設定された優先順位に基づいて複数の支払い方法の中から自動的に選択する決済方法である優先順位決済を提示するものであり、前記電子決済サービスの運営者が提供するＡＰＩ（Application Program Interface）を実行することにより、前記電子決済サービスを提供する決済サーバと協働して前記優先順位決済による電子決済を行う、アプリケーションプログラムである。

【発明の効果】

【0007】

本発明の一態様によれば、電子商取引の利便性を向上させることができるアプリケーションプログラム、決済サーバ、および決済方法を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。

【図2】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図（その１）である。

【図3】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図（その２）である。

【図4】ＥＣ決済における電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図（その１）である。

【図5】ＥＣ決済における電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図（その２）である。

【図6】第１実施形態に係る決済サーバ１００の構成図である。

【図7】利用者情報１７２の内容の一例を示す図である。

【図8】加盟店／店舗情報１７６の内容の一例を示す図である。

【図9】第１ペイメントにおける支払い方法選択画面の一例（その１）を示す図である。

【図10】第１ペイメントにおける支払い方法選択画面の一例（その２）を示す図である。

【図11】第２ペイメントにおける支払い方法選択画面の一例を示す図である。

【図12】優先順位決済において選択すべき支払い方法を、支払い方法優先順位の設定内容および決済履歴に基づいて決定する方法の一例を示す図である。

【図13】ＥＣアプリ３０が商品の購入手続画面に対する利用者のマウス操作に応じて支払い方法優先順位の設定内容を表示する処理の流れの一例を示すフローチャートである。

【図14】第２ペイメントにおける購入手続画面の一例を示す図（その１）である。

【図15】第２ペイメントにおける購入手続画面の一例を示す図（その２）である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、図面を参照し、本発明のアプリケーションプログラム、決済サーバ、および決済方法の制御方法の実施形態について説明する。アプリケーションプログラムと決済サーバおよび提携クレジットカード会社サーバは、協働して電子決済サービスを提供する。以下の説明ではアプリケーションプログラムを決済アプリと称する。また、決済サーバと提携クレジットカード会社サーバを合わせたものを決済管理システムと称する場合がある。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗（実店舗）であるが、電子商取引の仮想店舗を含んでもよい。仮想店舗は、電子決済サービスの運営者（以下「決済事業者」ともいう。）とは異なる主体によって提供されるものを含んでもよい。その場合、仮想店舗における買い物の決済の際に、電子決済サービスのインターフェース画面に遷移するように制御される。電子決済サービスにおいて、店舗は、例えば加盟店（ブランド）に属するものとして扱われ、店舗において購買行動が行われた際の決済などの処理は、主として利用者と加盟店の間で行われる。これに代えて、決済などの処理が利用者と店舗との間で行われてもよい。

【0010】

＜第１の実施形態＞
［電子決済サービス］
図１は、電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ１００を中心として実現される。決済サーバ１００は、利用者が加盟店の店舗を訪れて決済する店舗決済において電子決済サービスを提供する場合、例えば、一以上の利用者端末装置１０、一以上の第１店舗端末装置５０、及び一以上の第２店舗端末装置７０のそれぞれとネットワークＮＷを介して通信する。また、決済サーバ１００は、利用者が加盟店のＥＣ（Electronic Commerce）サイトを訪れて決済するＥＣ決済において電子決済サービスを提供する場合、例えば、一以上の利用者端末装置１０、及びＥＣサーバ２００のそれぞれとネットワークＮＷを介して通信する。ネットワークＮＷは、例えば、インターネット、ＬＡＮ（Local Area Network）、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。

【0011】

利用者端末装置１０は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置１０は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、ＣＰＵ（Central Processing Unit）等と称する。利用者端末装置１０では、ＣＰＵ等のプロセッサにより決済アプリ２０が実行されることで、決済サーバ１００と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ２０は、主に店舗決済向けの機能を提供するアプリケーションプログラムである。決済アプリ２０は、例えば、アプリケーションストアから利用者端末装置１０にインストールされ、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。

【0012】

また、利用者端末装置１０は、ＣＰＵ等のプロセッサによりＥＣアプリ３０が実行されることで、ＥＣサーバ２００および決済サーバ１００と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。ＥＣアプリ３０は、電子決済サービスの加盟店が利用者に対して自社商品のＥＣ機能を提供するアプリケーションプログラムであり、例えば、アプリケーションストアから利用者端末装置１０にインストールされ、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。ＥＣアプリ３０は、決済アプリ２０を介して決済サーバ１００と連携することで電子決済を実現する「第１ペイメント」の機能と、決済サーバ１００と直接的に連携することで電子決済を実現する「第２ペイメント」の機能とを有する。第１ペイメントおよび第２ペイメントの詳細については後述する。

【0013】

第１店舗端末装置５０は、例えば、店舗に設置される。第１店舗端末装置５０は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。第１店舗端末装置５０は、いわゆるＰＯＳ（Point of Sale）装置を含み、ＰＯＳ装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像６０は、店舗に置かれ、ＱＲコード（登録商標）等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像６０は、店舗に置かれたディスプレイ（スマートフォンなどの端末装置のディスプレイでもよい）によって表示されてもよい。図１に示されるディスプレイＤ１は店舗に置かれたディスプレイの一例であり、ＰＯＳ装置付近に設置可能な程度の大きさの小型の立て看板に店舗コード画像６０を印字または貼付したものである。

【0014】

第２店舗端末装置７０は、加盟店の運営者（以下単に「加盟店」という場合もある。）によって使用される。第２店舗端末装置７０は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。第２店舗端末装置７０では、加盟店向けインターフェース７２が動作する。加盟店向けインターフェース７２は、加盟店向けアプリであってもよいし、ブラウザであってもよい。加盟店向けインターフェース７２は、加盟店の運営者によるクーポンの設定等を受け付け、決済サーバ１００に送信する。スマートフォンである第２店舗端末装置７０は、加盟店向けアプリを実行することで、店舗コード画像に相当するコード画像を表示したり、利用者端末装置１０が表示するコード画像を読み取ったりする機能を有する。

【0015】

決済サーバ１００は、利用者端末装置１０または第１店舗端末装置５０から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。第１店舗端末装置５０は、ＰＯＳ装置と加盟店サーバを含む場合があり、その場合、ＰＯＳ装置から加盟店サーバを介して決済情報が決済サーバ１００に送信される。以下の説明では、これを特に区別せず、第１店舗端末装置５０から決済情報が送信されるものとする。

【0016】

［店舗決済］
図２および図３は、店舗決済における電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図である。店舗決済における電子決済には、パターン１とパターン２の二つが存在してよい。

【0017】

図２に示すパターン１（以下、ユーザスキャンと称する）の場合、決済アプリ２０が起動した状態の利用者端末装置１０が、光学読取機能によって店舗コード画像６０をデコードする（Ｓ１）。店舗コード画像６０には、店舗ＵＲＬ（Uniform Resource Locator）の情報が含まれている。この店舗ＵＲＬは、電子決済サービスのドメインに対して店舗を識別可能な情報が付加されたものであり、決済サーバ１００において加盟店ＩＤや店舗ＩＤ等との対応付けがなされている（後述）。決済アプリ２０は、店舗ＵＲＬとアカウントＩＤを含む第１決済情報を決済サーバ１００に送信する（Ｓ２）。決済サーバ１００は、店舗ＵＲＬに対応する加盟店ＩＤ、店舗ＩＤから、店舗情報（後述）を検索して加盟店名と店舗名の情報を取得し（Ｓ３）、決済アプリ２０に送信する（Ｓ４）。利用者は、加盟店名や店舗名が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置１０に入力する（Ｓ５）。そして、利用者端末装置１０は、少なくとも決済金額を含む第２決済情報を生成し、決済サーバ１００に送信する（Ｓ６）。決済サーバ１００は、受信した第２決済情報に基づいて電子決済を行う（Ｓ７）。そして、決済サーバ１００は、決済完了通知（決済完了画面を表示するための情報）を決済アプリ２０に送信し（Ｓ８）、決済アプリ２０は決済完了画面を表示する（Ｓ９）。なお、店舗コード画像６０が店舗に置かれたディスプレイによって表示される場合、店舗コード画像６０には、店舗ＵＲＬだけでなく決済金額の情報が含まれる場合がある。この場合、利用者が決済金額を入力する手順が省略され、第１決済情報に決済金額の情報が含められて決済サーバ１００に送信される。加盟店名や店舗名の情報は、決済完了画面に含めて表示されてよい。

【0018】

図３に示すパターン２（以下、ストアスキャンと称する）の場合、決済アプリ２０の起動時、決済アプリ２０において支払う操作が行われたとき、自動更新のタイミング（例えば１分おき）になったとき、およびその他のタイミングで、決済アプリ２０はワンタイムコードの発行要求を決済サーバ１００に送信する（Ｓ１１）。決済サーバ１００はワンタイムコードを生成し（Ｓ１２）、決済アプリ２０に送信する（Ｓ１３）。決済アプリ２０は、ワンタイムコードに基づいて生成した、ＱＲコードやバーコード等のコード画像を表示する（Ｓ１４）。利用者は利用者端末装置１０の表示面を第１店舗端末装置５０に翳し（提示し）、第１店舗端末装置５０は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、ワンタイムコード等を取得する（Ｓ１５）。そして、第１店舗端末装置５０は、ワンタイムコード、決済金額、加盟店ＩＤ、店舗ＩＤ等を含む決済情報を生成し、決済サーバ１００に送信する（Ｓ１６）。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ１００は、受信した情報に基づいて、ワンタイムコードに対応する利用者を特定し、電子決済を行う（Ｓ１７）。そして、決済サーバ１００は、決済完了通知を決済アプリ２０に送信し（Ｓ１８）、決済アプリ２０は決済完了画面を表示する（Ｓ１９）。

【0019】

なお、上記のいずれか一方のみのパターンで電子決済が行われてもよい。また、図２で説明した「アカウントＩＤ」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報（例えば電話番号）であってもよい。また、ストアスキャンにおいてワンタイムコードの発行が省略され、決済アプリ２０は、利用者のアカウントＩＤに基づいて生成したコード画像を表示してもよい。その場合、決済サーバ１００は、ワンタイムコードに対応する利用者を特定するのに代えて、アカウントＩＤに対応する利用者を特定する。

【0020】

［ＥＣ決済］
図４および図５は、ＥＣ決済における電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図である。ＥＣ決済における電子決済には、上述のとおり、第１ペイメントと第２ペイメントの二つが存在してよい。

【0021】

図４に示す第１ペイメントでは、まず利用者端末装置１０で動作するＥＣアプリ３０が加盟店のＥＣサイトへのログイン操作を受け付ける（Ｓ２０１）。ＥＣアプリ３０は、ログイン操作により利用者ＩＤやパスワードなどの認証情報の入力を受け付け、入力された認証情報をＥＣサーバ２００に送信することにより、ＥＣサーバ２００に対して当該ＥＣサイトへのログイン要求を行う（Ｓ２０２）。ＥＣサーバ２００は、利用者端末装置１０から受信された認証情報をもとに当該利用者の認証処理を行い（Ｓ２０３）、認証完了通知をＥＣアプリ３０に通知する（Ｓ２０４）。以上のように、利用者は加盟店のＥＣサイトにログインした状態となることにより、ＥＣアプリ３０を介して加盟店のＥＣサイトで販売される商品の購買を行うことができる状態となる。なお、利用者が加盟店ＥＣサイトにログインするタイミングは図４の例に限定されない。例えば、利用者は商品の購入手続きにおいてＥＣサイトにログインするものであってもよい。

【0022】

続いて、ＥＣアプリ３０は、利用者が購入する対象の商品について購入手続きに進む操作を受け付けると（Ｓ２０５）、支払い方法の選択画面を表示させ、利用者による支払い方法（以下「決済方法」ともいう。）の選択操作を受け付ける（Ｓ２０６）。続いて、ＥＣアプリ３０は、選択された支払い方法による支払い画面を決済アプリ２０から呼び出す（Ｓ２０７）。なお、外部のアプリケーションプログラムから決済アプリ２０を呼び出す際の仕様等の情報は決済アプリ２０の提供者（すなわち決済事業者）によって予め開示されており、加盟店の運営者はこのような仕様に則って作成したＥＣアプリ３０を予め利用者に配布するものとする。利用者は、このように作成・配布されたＥＣアプリ３０を利用者端末装置１０に予めインストールしているものである。

【0023】

続いて、決済アプリ２０が、支払い画面に対する支払い実行の操作を受け付けて（Ｓ２０８）、電子決済に必要な決済情報を生成して決済サーバ１００に送信することにより、決済サーバ１００に対して決済要求を行う（Ｓ２０９）。決済サーバ１００は、この決済要求を受け付けて決済処理を実行し（Ｓ２１０）、要求元の利用者端末装置１０（決済アプリ２０）に対して決済完了通知を送信する（Ｓ２１１）。

【0024】

一方、図５に示す第２ペイメントは、利用者端末装置１０の処理主体が完全にＥＣアプリ３０となる点が図４の第１ペイメントの場合と異なる。具体的には、Ｓ３０１～Ｓ３０６の処理の流れは図４と同じであり、Ｓ３０７において、ＥＣアプリ３０が、決済アプリ２０を介さずに支払い実行の操作を受け付けて（Ｓ３０７）決済サーバ１００に決済要求を行い（Ｓ３０８）、この決済要求に応じて決済サーバ１００が決済処理を実行し（Ｓ３０９）、要求元の利用者端末装置１０（ＥＣアプリ３０）に対して決済完了通知を送信する（Ｓ３１０）。

【0025】

なお、第２ペイメントにおいて、ＥＣアプリ３０が直接的に決済サーバ１００に対して決済要求を行う機能は、決済事業者が提供する専用のＡＰＩ（以下「ネイティブＡＰＩ」という。）によって実現される。加盟店の運営者は、ネイティブＡＰＩを使用してＥＣアプリ３０を作成・配布するものであり、利用者は、このように作成・配布されたＥＣアプリ３０を利用者端末装置１０に予めインストールしているものである。

【0026】

以上、ＥＣ決済の流れについて説明したが、第１ペイメントおよび第２ペイメントのいずれの場合も加盟店のＥＣサーバ２００に電子決済に必要な利用者の情報が予め登録されているものとする。この場合、利用者がＥＣサイトにログインすることにより、ＥＣアプリ３０は当該利用者の登録情報にアクセス可能となり、当該利用者の電子決済サービスの利用に関して決済情報を生成することが可能となるものとする。なお、第１ペイメントの場合には、決済アプリ２０を呼び出した時点で決済サーバ１００にログインし、電子決済に必要な情報を決済サーバ１００から取得するようにしてもよい。

【0027】

［決済サーバ］
図６は、第１実施形態に係る決済サーバ１００の構成図である。決済サーバ１００は、例えば、通信部１１０と、決済コンテンツ提供部１２０と、決済処理部１３０と、情報管理部１４０と、記憶部１７０とを備える。通信部１１０および記憶部１７０以外の構成要素は、例えば、ＣＰＵなどのハードウェアプロセッサがプログラム（ソフトウェア）を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、ＬＳＩ（Large Scale Integration）やＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）、ＦＰＧＡ（Field-Programmable Gate Array）、ＧＰＵ（Graphics Processing Unit）などのハードウェア（回路部；circuitryを含む）によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めＨＤＤ（Hard Disk Drive）やフラッシュメモリなどの記憶装置（非一過性の記憶媒体を備える記憶装置）に格納されていてもよいし、ＤＶＤやＣＤ－ＲＯＭなどの着脱可能な記憶媒体（非一過性の記憶媒体）に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。

【0028】

記憶部１７０は、ＨＤＤやフラッシュメモリ、ＲＡＭ（Random Access Memory）などである。記憶部１７０は、決済サーバ１００がネットワークを介してアクセス可能なＮＡＳ（Network Attached Storage）装置であってもよい。記憶部１７０には、利用者情報１７２、決済コンテンツ情報１７４、加盟店／店舗情報１７６などの情報が格納される。

【0029】

通信部１１０は、ネットワークＮＷに接続するための通信インターフェースである。通信部１１０は、例えばネットワークインターフェースカードである。

【0030】

決済コンテンツ提供部１２０は、例えば、Ｗｅｂサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報（コンテンツ）を利用者端末装置１０に提供する。決済コンテンツ提供部１２０は、決済コンテンツ情報１７４から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置１０に提供する。利用者端末装置１０は、決済アプリ２０によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ１００に送信する。

【0031】

決済処理部１３０は、利用者端末装置１０または第１店舗端末装置５０により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部１３０は、利用者情報１７２を参照しながら決済処理を行う。

【0032】

図７は、利用者情報１７２の内容の一例を示す図である。利用者情報１７２は、利用者の登録情報の一例である。利用者情報１７２は、例えば、利用者ＵＲＬ、アカウントＩＤ、電話番号、パスワードの他、メールアドレス、利用者ＩＤ、氏名・住所・生年月日、登録日、チャージ残高、後払い設定、後払い枠、後払い利用額、後払い利用可能額、決済方法設定、銀行口座、クレジットカード番号、チャージ履歴情報、決済履歴情報、および支払い方法優先順位などの情報が対応付けられたものである。利用者ＵＲＬは、利用者間の送金処理に使用される。電子決済サービスへの新規登録時には、電話番号およびパスワードの登録が必須となる。アカウントＩＤは、決済サーバ１００によって利用者に発行されるものであり、利用者ＩＤは、利用者が任意に設定できる（設定しなくてもよい）ＩＤである。メールアドレス、および氏名・住所・生年月日も同様に、利用者が任意に設定できる（設定しなくてもよい）情報である。登録日とは利用者が電子決済サービスに登録した日（アカウントを作成した日）である。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス（電子決済口座）のことをアカウントと称する。

【0033】

チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者（銀行）のＡＴＭ（Automatic Teller Machine）からの送金、登録された銀行口座からの送金などがある。後払い設定は、後払いによる電子決済を可能とするための設定が済んでいるか否かを示す情報であり、「済」と「未」のいずれかに設定される。後払い枠は月ごとに利用可能な後払いの限度額であり、後払い利用額は、当月に既に利用された後払いの金額であり、後払い利用可能額は、後払い枠から後払い利用額を差し引いて求められる、当月に利用可能な後払いの金額である。図では後払い枠を一つだけ示しているが、実際には更に日ごとの上限額などが存在し、それらの低い方が後払い枠に設定されてよい。後払いの更なる詳細については後述する。決済方法設定は、その時点において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。銀行口座とクレジットカード番号のそれぞれは、電子決済サービスに入金可能な銀行口座またはクレジットカード番号の情報（口座番号、カード番号）である。チャージ履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳（日時、購買行動が行われた店舗の店舗ＩＤ、決済金額、決済方法など）を、決済ごとに示す情報である。

【0034】

支払い方法優先順位は、ＥＣ決済で使用する支払い方法を、予め設定された優先順位に基づいて複数の支払い方法の中から自動的に選択する決済方法（以下「優先順位決済」という。）において、上記複数の支払い方法に適用される優先順位の設定情報である。図７の例は、アカウントＩＤが“００１”の利用者について、優先順位の第１位に後払いが設定され、優先順位の第２位にチャージ残高払いが設定された場合を表しており、アカウントＩＤが“００２”の利用者について、優先順位の第１位にチャージ残高払いが設定され、優先順位の第２位に後払いが設定された場合を表している。優先順位決済は、上述の第１ペイメントおよび第２ペイメントにいずれに適用されてもよい。

【0035】

支払い方法優先順位の設定は、例えば決済アプリ２０を介して行われる。決済アプリ２０が支払い方法優先順位の設定内容を決済サーバ１００に通知することにより、その設定内容が利用者情報１７２の支払い方法優先順位の項目に保存される。図７は、支払い方法優先順位の設定情報が決済サーバ１００に保存される場合の例である。これに代えて、支払い方法優先順位の設定情報はＥＣサーバ２００において管理されてもよい。この場合、支払い方法優先順位の設定は、例えばＥＣアプリ３０を介して行われてもよい。また、この場合、ＥＣアプリ３０が設定内容をＥＣサーバ２００に通知することにより、その設定内容が加盟店側の利用者情報に対応づけて管理されてもよい。

【0036】

図８は、加盟店／店舗情報１７６の内容の一例を示す図である。加盟店／店舗情報１７６は、例えば、店舗ＵＲＬに対して加盟店ＩＤと店舗ＩＤが対応付けられた第１テーブル１７６Ａと、加盟店ＩＤに対して加盟店名と売上金（前述）が対応付けられた第２テーブル１７６Ｂと、店舗ＩＤに対して店舗ＩＤが対応付けられた第３テーブル１７６Ｃとを含む。加盟店／店舗情報１７６には、これらの情報の他、加盟店または店舗のカテゴリ、店舗の所在地、決済パターン等の情報が含まれてもよい。

【0037】

情報管理部１４０は、利用者端末装置１０や第２店舗端末装置７０から取得した情報に基づいて、利用者情報１７２および加盟店／店舗情報１７６を管理する。情報管理部１４０は、利用者情報１７２および加盟店／店舗情報１７６について新規レコードの追加、編集、削除などを行う。

【0038】

［電子決済］
決済処理部１３０は、利用者端末装置１０または第１店舗端末装置５０から決済情報が取得されると、利用者情報１７２を参照して当該利用者の「決済方法設定」を取得する。決済処理部１３０は、「決済方法設定」が「チャージ残高」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。決済処理部１３０は、例えば、利用者ＩＤに対応付けて管理しているチャージ残高を減少させ、加盟店の売上金の項目値を増加させることで、電子決済を行う。加盟店の売上金の項目値は、例えば、それ自体が電子マネーとして使用されるものでは無く、加盟店と電子決済サービスとの取り決めに応じたサイクルで、売上金の項目値に対応する金額が銀行口座に送金される。

【0039】

決済処理部１３０は、「設定情報」が「後払い」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。後払いとは、電子決済サービスの運営者とは別主体であるクレジットカード会社との連携による「クレジット払い」とは別枠で設定されるものであり、電子決済サービスの運営者が与信者となって、後払い枠の範囲内でチャージ残高に依存しない電子決済を許容するものである。なお後払いサービスを受けるために、電子決済サービスの運営者が提供するクレジットカードの取得が要求されてよい。後払いで利用された金額は、一か月分まとめて翌月の支払日に、例えば銀行口座からの引き落としによって決済される。この場合、決済処理部１３０は、後払い利用額に決済金額を加算し、後払い利用可能額から同額を差し引くことで暫定決済を行い、締め日になると上記のように当月分の決済を翌月の支払い日に引き落とすための処理を行う。なお暫定決済の時点で決済金額が後払い利用可能額を超える場合は、エラー通知が決済アプリケーション２０に返信される。

【0040】

［優先順位決済］
優先順位決済は、上述のとおり、ＥＣ決済において、利用者が予め設定した支払い方法の優先順位に基づいて、電子決済に使用する支払い方法を自動的に選択するものである。図９および図１０は第１ペイメントにおける支払い方法選択画面の一例を示すものである。図９はＥＣアプリ３０の支払い方法選択画面Ｇ１１において、クレジットカード、チャージ残高払い、後払いの３つの支払い方法が提示され、そのうちチャージ残高払いが選択された状態でボタンＢ１１が操作されたことにより、決済アプリ２０の支払い画面Ｇ２１が呼び出された状況を表している。一方、図１０はＥＣアプリ３０の支払い方法選択画面Ｇ１２において、支払い方法（決済方法）の選択肢としてクレジットカードおよび優先順位決済が提示され、そのうち優先順位決済が選択された状態でボタンＢ１２が操作されたことにより、決済アプリ２０の支払い画面Ｇ２２が呼び出された状況を表している。支払い画面Ｇ２２は、予め優先順位が設定された支払い方法（例えば、チャージ残高払いおよび後払い）のうち後払いが自動的に選択された状況を表している。この場合、決済アプリ２０がＥＣアプリ３０から呼び出されたタイミングで決済サーバ１００から支払い方法優先順位の設定情報を取得することにより、最も優先順位の高い支払い方法が後払いであることを認識することができる。また、支払い方法優先順位の設定情報がＥＣサーバ２００で管理されている場合には、ＥＣアプリ３０が当該設定情報をＥＣサーバ２００から取得して設定内容を決済アプリ２０に通知してもよい。

【0041】

図１１は、第２ペイメントにおける支払い方法選択画面の一例を示すものである。支払い方法選択画面Ｇ３１は、図９の支払い方法選択画面１１と同様に、クレジットカード、チャージ残高払い、後払いの３つの支払い方法を提示するものである。また、支払い方法選択画面Ｇ３２は、図１０の支払い方法選択画面１２と同様に、クレジットカードおよび優先順位決済を提示するものである。第２ペイメントでは、ＥＣアプリ３０が決済アプリ２０を介さずに決済サーバ１００に決済要求を行うので、各画面において支払い実行ボタンＢ２１およびＢ２２が操作されると、選択された支払い方法に基づく決済情報がＥＣアプリ３０によって生成され、決済サーバ１００に送信される（決済要求）。このとき、支払い方法選択画面Ｇ３２により決済要求が行われた場合、決済サーバ１００は、対象利用者について利用者情報１７２の支払い方法優先順位を参照することにより、その決済要求に対して使用すべき支払い方法を認識することができる。

【0042】

なお、決済サーバ１００は、このような優先順位に基づく支払い方法の自動選択において、支払い方法優先順位の設定内容に加えて、対象利用者の決済履歴情報を加味するように構成されてもよい。図１２は、優先順位決済において選択すべき支払い方法を、支払い方法優先順位の設定内容および決済履歴に基づいて決定する方法の一例を示す図である。例えば、図１２は、後払いの設定状況と、支払い方法優先順位の設定状況と、優先順位の一位に設定された支払い方法と、直前の決済で使用された支払い方法との組み合わせをもとに、優先順位決済において選択すべき支払い方法を決定する方法を示すものである。このような方法によれば、例えば、後払い設定が設定済みであり、支払い方法優先順位が未設定である場合においても、直前の決済で使用された支払い方法が後払いである場合や、決済履歴がない場合（初回決済待ち）などにおいて後払いが優先的に選択されるようにすることができる。

【0043】

一般に、チャージ残高払いを有する電子決済システムでは、複数の支払い方法のうちチャージ残高払いがデフォルトの支払い方法として取り扱われる場合がある。この場合、後払い設定がなされていない場合や、支払い方法優先順位が設定されていない場合には、デフォルトのチャージ残高払いが適用されるケースが多くなり、後払いが使用される頻度が低くなることが想定される。これに対して、図１２のような方法によれば、決済サーバ１００は、後払い設定や支払い方法優先順位の設定がなされていない状況であっても、直前の決済履歴を参考にして支払い方法を自動的に選択することができるので、例えば、後払いの使用頻度を向上させることができる。

【0044】

以上説明した第１の実施形態によれば、決済サーバ１００が、利用者が予め設定した支払い方法の優先順位に基づいて、電子決済に使用する支払い方法を自動的に選択して決済処理を実行することにより、電子商取引の利便性を向上させることができる。

【0045】

＜第２の実施形態＞
第１の実施形態ではＥＣサイトでの電子決済において、予め設定された支払い方法の優先順位に基づいて決済サーバ１００が電子決済に使用する支払い方法を自動的に選択する方法について説明した。これに対し、第２の実施形態では、設定済みの支払い方法優先順位の内容を利用者に通知する方法について説明する。設定済みの支払い方法優先順位の内容が利用者に通知されることで、利用者は、優先順位決済を使用可能な状況において、優先順位決済を使用すべきか否かの判断を容易に行うことができるようになる。また、その結果、優先順位決済が使用される頻度を向上させることができる。

【0046】

図１３は、ＥＣアプリ３０が商品の購入手続画面に対する利用者のマウス操作に応じて支払い方法優先順位の設定内容を表示する処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、ＥＣアプリ３０がウェブブラウザであり、ＥＣサーバ２００からコンテンツデータを取得して再生することにより購入手続画面を表示する場合について説明する。簡単のため、ここでは図１３の処理フローの開始時点おいて、ＥＣアプリ３０がＥＣサイトにログイン済みの状態であるものとする。この場合、まず、ＥＣアプリ３０が、対象商品の購入手続画面を表示する操作を受け付ける（Ｓ４０１）。ここでの購入手続画面は、支払い方法の選択肢の一つとして優先順位決済の表示を含む画面の一例である。ＥＣアプリ３０は、Ｓ４０１の操作を受けてＥＣサーバ２００に対し購入手続画面を表示するためのコンテンツデータを要求する（Ｓ４０２）。ＥＣサーバ２００は、この要求を受けてコンテンツデータを作成し（Ｓ４０３）、作成したコンテンツデータを要求元の利用者端末装置１０に送信する（Ｓ４０４）。ＥＣアプリ３０は、取得したコンテンツデータを再生することにより利用者端末装置１０に購入手続画面を表示させる（Ｓ４０５）。

【0047】

図１４は、第２ペイメントにおける購入手続画面の一例を示す図である。図１４の購入手続画面Ｇ４０は、例えば、購入対象商品の配送予定日に関する情報ＩＦ４１と、購入対象商品に関する情報ＩＦ４２と、注文内容に関する情報ＩＦ４３と、および支払い方法に関する情報ＩＦ４４とを含む。ＥＣアプリ３０は、ＥＣサーバ２００から提供されるコンテンツデータを再生することにより購入手続画面Ｇ４０を表示することができる。購入手続画面Ｇ４０に表示される情報のうち、情報ＩＦ４４には当該加盟店のＥＣサイトで使用可能な支払い方法の選択肢が表示される。図１４は、加盟店のＥＣサイトにおいて、決済事業者が提供する「優先順位決済」と、クレジットカード払いとが支払い方法として使用可能である場合を例示するものである。加盟店は、電子決済の事業者との提携状況に応じて、情報ＩＦ４４に表示する支払い方法を適宜設定してよい。

【0048】

図１３に戻る。図１４に示した購入手続画面Ｇ４０の例のように、支払い方法の選択肢に優先順位決済が含まれる場合、利用者は優先順位決済を選択した場合にどのような優先順位で支払い方法が選択されるのかを、購入手続画面Ｇ４０の表示内容から認識することができない。このことに鑑み、第２の実施形態のＥＣアプリ３０は、以下の動作を行うように構成され、または制御される。まず、ＥＣアプリ３０は、ＥＣサーバ２００から提供されるコンテンツデータにより、購入手続画面に対して所定の操作が行われた（Ｓ４０６）ことに応じてネイティブＡＰＩを実行する（Ｓ４０７）。これにより決済サーバ１００に対して対象利用者の優先順位決済に関する情報提供要求がなされる（Ｓ４０８）。この提供要求に応じて、決済サーバ１００は、対象利用者により設定された支払い方法優先順位の設定情報を取得して利用者端末装置１０に送信する（Ｓ４０９）。ＥＣアプリ３０は、決済サーバ１００から受信された設定情報の内容を購入手続画面Ｇ４０に表示させる（Ｓ４１０）。

【0049】

例えば、図１５の例では、ＥＣアプリ３０は、購入手続画面Ｇ４０における優先順位決済の選択肢の表示領域に対してマウスオーバー操作ＭＭが行われたことに応じてネイティブＡＰＩを実行するように制御される。また、この場合、例えばＥＣアプリ３０は、ネイティブＡＰＩの実行によって決済サーバ１００から取得された支払い方法優先順位の設定内容を、いわゆるツールチップＴＣの態様で購入手続画面Ｇ４０に表示させるように制御される。このように、第２ペイメントにおいて、支払い方法の選択肢として優先順位決済を提示する画面において、所定の操作に応じて支払い方法優先順位の設定内容が表示されることにより、利用者は、優先順位決済を使用可能な状況において、優先順位決済を使用すべきか否かの判断を容易に行うことができるようになる。また、その結果、優先順位決済が使用される頻度を向上させることができる。

【0050】

なお、上記のマウスオーバー操作は、購入手続画面に対する上記所定の操作の一例であって、これに限定されない。例えば、所定の操作は、クリック操作やタップ操作であってもよいし、各選択肢が選択可能な状態で表示される場合には選択肢の選択操作であってもよい。また、ＥＣアプリ３０は、ウェブブラウザに代えて、専用のアプリケーションプログラムとして構成されてもよい。また、この場合、ＥＣアプリ３０は、購入手続画面Ｇ４０のコンテンツデータをＥＣサーバ２００から取得してウェブビューに表示するように構成されてもよいし、コンテンツデータのうちの固定データをアプリ内に含み、可変データをＥＣサーバ２００から取得するように構成されてもよい。また、図１５の例は、優先順位第１位の支払い方法を表示した例であるが、ＥＣアプリ３０は、第２位以下の支払い方法も併せて表示するように構成されてもよい。

【0051】

以上説明した第２の実施形態によれば、ネイティブＡＰＩを組み込んだＥＣアプリ３０が、優先順位決済の選択肢に対して、利用者が予め設定した支払い方法の優先順位の設定内容を補足して表示することにより、電子商取引の利便性を向上させることができる。

【0052】

以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。

【符号の説明】

【0053】

１０…利用者端末装置、２０…決済アプリ、３０…ＥＣアプリ、５０…第１店舗端末装置、６０…店舗コード画像、７０…第２店舗端末装置、７２…加盟店向けインターフェース、１００…決済サーバ、１１０…通信部、１２０…決済コンテンツ提供部、１３０…決済処理部、１４０…情報管理部、１７０…記憶部、１７２…利用者情報、１７４…決済コンテンツ情報、１７６…店舗情報、１７６Ａ…第１テーブル、１７６Ｂ…第２テーブル、１７６Ｃ…第３テーブル、２００…ＥＣサーバ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【手続補正書】

【提出日】2023-08-17

【手続補正1】

【補正対象書類名】特許請求の範囲

【補正対象項目名】全文

【補正方法】変更

【補正の内容】

【特許請求の範囲】

【請求項1】

電子決済サービスの加盟店の利用者の端末装置で実行され、前記加盟店のＥＣ（Electronic Commerce）サーバと協働して前記利用者に電子商取引サービスを提供するアプリケーションプログラムであって、
前記電子商取引サービスにおける商品購入の際の代金の支払いに関し、前記代金の支払い方法または前記支払い方法の決定方法についての選択肢を提示するものであり、
前記選択肢には、利用者が予め設定した優先順位に基づいて、使用する支払い方法を複数の支払い方法の中から自動的に選択する優先順位決済が前記決定方法として含まれ、
前記電子決済サービスの運営者が提供するＡＰＩ（Application Program Interface）を実行することにより、前記電子決済サービスを提供する決済サーバと協働して前記優先順位決済による電子決済を行う、
アプリケーションプログラム。

【請求項2】

前記電子決済サービスの運営者が前記加盟店向けに提供するＡＰＩ（Application Program Interface）であって、前記加盟店の前記アプリケーションプログラムから前記電子決済サービスを利用可能とするＡＰＩを含んで構成され、
前記ＡＰＩを実行することにより、前記電子決済サービスを提供する決済サーバと協働して前記優先順位決済による電子決済を行う、
請求項１に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項3】

前記電子商取引サービスにおける商品購入の際に、前記支払い方法の選択肢の一つとして前記優先順位決済を提示する画面を表示させ、
前記画面に対して所定の操作が行われたことに応じて前記ＡＰＩを実行することにより、前記利用者が設定した前記優先順位の設定内容を前記決済サーバから取得し、
取得した前記優先順位の設定内容を前記画面に重畳して表示させる、
請求項１に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項4】

前記電子決済サービスでは、前記電子決済における支払い方法として、電子決済口座にチャージされた金額の残高で支払いを行うチャージ残高払いと、後払いと、前記優先順位決済とが使用可能であり、
利用者が前記決済サーバに対して前記後払いの利用設定を実施済みであり、且つ前記利用者が前記決済サーバに対して前記優先順位決済に関する前記優先順位の設定を未実施である場合、前前記電子決済サービスに係る記利用者の決済履歴に基づいて前記優先順位決済で使用する支払い方法を選択する、
請求項１に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項5】

前記利用者が、前記決済サーバに対して前記後払いの利用設定を実施済みで、且つ前記決済サーバに対して前記優先順位決済に関する前記優先順位の設定を未実施であり、
前記利用者が直前の電子決済で使用した支払い方法が後払いである場合、
前記優先順位決済で使用する支払い方法として前記後払いを選択する、
請求項４に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項6】

前記利用者が、前記決済サーバに対して前記後払いの利用設定を実施済みで、且つ前記決済サーバに対して前記優先順位決済に関する前記優先順位の設定を未実施であり、
前記利用者について前記決済履歴が存在しない場合、
前記優先順位決済で使用する支払い方法として前記後払いを選択する、
請求項４に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項7】

前記所定の操作は前記画面に表示された前記優先順位決済の選択順位に対するマウスオーバー操作である、
請求項３に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項8】

前記利用者が設定した前記優先順位の内容を前記画面にツールチップの態様で表示させる、
請求項３に記載のアプリケーションプログラム。

【請求項9】

電子決済サービスの加盟店の利用者の端末装置で実行され、前記加盟店のＥＣ（Electronic Commerce）サーバと協働して前記利用者に電子商取引サービスを提供するアプリケーションプログラムと協働して前記利用者に前記電子決済サービスを提供する決済サーバであって、
前記電子商取引サービスにおける商品購入の際の代金の支払いに関し、前記代金の支払い方法または前記支払い方法の決定方法についての選択肢を提示するための設定情報を記憶する記憶部と、
前記電子決済サービスに係る電子決済を実現するための決済処理を実行する決済処理部と、
を備え、
前記選択肢には、利用者が予め設定した優先順位に基づいて、使用する支払い方法を複数の支払い方法の中から自動的に選択する優先順位決済が前記決定方法として含まれ、
前記設定情報は前記優先順位の設定を含み、
前記アプリケーションプログラムは、前記電子決済サービスの運営者が提供するＡＰＩ（Application Program Interface）を実行することにより、前記決済サーバに対して前記優先順位決済による電子決済の実行を要求するものであり、
前記決済処理部は、前記優先順位決済による電子決済の実行要求を受け付けた場合、前記電子決済に使用する支払い方法を、前記利用者が予め設定した優先順位の設定に基づいて複数の支払い方法の中から自動的に選択する、
決済サーバ。

【請求項10】

電子決済サービスの加盟店の利用者の端末装置で実行され、前記加盟店のＥＣ（Electronic Commerce）サーバと協働して前記利用者に電子商取引サービスを提供するアプリケーションプログラムと協働して前記利用者に前記電子決済サービスを提供する決済サーバであって、
前記電子商取引サービスにおける商品購入の際の代金の支払いに関し、前記代金の支払い方法または前記支払い方法の決定方法についての選択肢を提示するための設定情報を記憶した前記決済サーバが、
決済処理を実行することにより前記電子決済サービスに係る電子決済を実現する決済方法であって、
前記選択肢には、利用者が予め設定した優先順位に基づいて、使用する支払い方法を複数の支払い方法の中から自動的に選択する優先順位決済が前記決定方法として含まれ、
前記設定情報は前記優先順位の設定を含み、
前記アプリケーションプログラムは、前記電子決済サービスの運営者が提供するＡＰＩ（Application Program Interface）を実行することにより、前記決済サーバに対して前記優先順位決済による電子決済の実行を要求するものであり、
前記決済サーバが、前記優先順位決済による電子決済の実行要求を受け付けた場合、前記電子決済に使用する支払い方法を、前記利用者が予め設定した優先順位の設定に基づいて複数の支払い方法の中から自動的に選択する、
決済方法。