(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125658
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20240911BHJP
【FI】
G06Q10/0631
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033621
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】吉原 真哉
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】 情報を提供する者と、作業者などの情報提供対象者とが離れている場合であっても、状況に合った情報を情報提供対象者に提供する。
【解決手段】 情報提供装置40の取得部41は、情報提供対象者が用いる端末装置から位置情報を含む状況情報を取得する。推定部42は、取得された状況情報を解析することにより、情報提供対象者の状況を推定する。生成部43は、状況に応じた提供用の情報を含む参照情報と、情報提供対象者の推定された状況とを用いて、情報提供対象者に提供する提供情報を生成する。出力部44は、生成された提供情報を出力する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供対象者が用いる端末装置から位置情報を含む状況情報を取得する取得部と、
取得された状況情報を解析することにより、情報提供対象者の状況を推定する推定部と、
状況に応じた提供用の情報を含む参照情報と、情報提供対象者の推定された状況とを用いて、情報提供対象者に提供する提供情報を生成する生成部と、
生成された提供情報を出力する出力部と
を備える情報提供装置。
【請求項2】
情報提供対象者が用いる端末装置は撮影機能を備えており、前記取得部が取得する状況情報は、端末装置の撮影機能による撮影画像をさらに含み、
前記推定部は、状況情報に含まれている撮影画像を画像解析することにより当該撮影画像から情報提供対象者の状況を表す情報を抽出し、当該抽出した情報をも用いて情報提供対象者の状況を推定する
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
情報提供対象者の状況に関する情報の提供を要求する閲覧者が用いる端末装置、又は、情報提供対象者の用いる端末装置から情報提供が要求された場合に、前記生成部は、さらに、要求に応じた情報を含む応答情報を生成し、
前記出力部は、その生成された応答情報を要求元の端末装置に出力する
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記取得部は、閲覧者のプレゼンス情報をさらに取得し、
前記生成部は、情報提供対象者の用いる端末装置からプレゼンス情報が要求された場合に、閲覧者のプレゼンス情報を含む応答情報を生成し、
前記出力部は、その生成された応答情報を要求元の端末装置に出力する
請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
参照情報は、情報提供対象者の状況および属性に応じた提供用の情報を含み、
前記生成部は、参照情報と、情報提供対象者の予め与えられている属性情報とを用いて、情報提供対象者の状況および属性に応じた提供情報を生成する
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記取得部は、情報提供対象者の周囲環境に関する周囲情報を有する情報源から周囲情報をさらに取得し、
前記推定部は、状況情報および周囲情報を解析することにより、情報提供対象者の状況を推定する
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項7】
コンピュータによって、
情報提供対象者が用いる端末装置から位置情報を含む状況情報を取得し、
取得された状況情報を解析することにより、情報提供対象者の状況を推定し、
状況に応じた提供用の情報を含む参照情報と、情報提供対象者の推定された状況とを用いて、情報提供対象者に提供する提供情報を生成し、
生成された提供情報を出力する情報提供方法。
【請求項8】
情報提供対象者が用いる端末装置から位置情報を含む状況情報を取得する処理と、
取得された状況情報を解析することにより、情報提供対象者の状況を推定する処理と、
状況に応じた提供用の情報を含む参照情報と、情報提供対象者の推定された状況とを用いて、情報提供対象者に提供する提供情報を生成する処理と、
生成された提供情報を出力する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監督者や指示者が近くにいない状況でも作業者に作業内容などの情報が提供される技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リモートワークでの働き方が広がることにより、例えば、プラントの運転員は作業を行う現場に居り、一方、運転員に指示を出す指示者はオフィスや在宅勤務により自宅に居るという如く、運転員と指示者が離れている状況は増加傾向にある。
【0003】
なお、特許文献1には、プラント内において、離れている複数の者たちに迅速に情報を共有させるために、それぞれが所持する端末から情報をプラント情報共有装置に収集し当該プラント情報共有装置を用いて情報を共有する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オフィスや在宅勤務により自宅に居る指示者が、離れた現場に居る運転員(以下、作業者とも称する)の状況を正確に把握できていない場合があり、このような場合には、指示者は、状況に合った的確な指示を作業者に与えることができないことがある。換言すれば、作業者は、指示者から的確な作業内容の指示を受けることができない場合がある。このような状況は、作業者の業務の遂行に支障を来す。
【0006】
本発明は上記課題を解決するために考え出された。すなわち、本発明の主な目的は、情報を提供する者と、作業者などの情報提供対象者とが離れている場合であっても、状況に合った情報を情報提供対象者に提供可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る情報提供装置は、その一態様として、
情報提供対象者が用いる端末装置から位置情報を含む状況情報を取得する取得部と、
取得された状況情報を解析することにより、情報提供対象者の状況を推定する推定部と、
状況に応じた提供用の情報を含む参照情報と、情報提供対象者の推定された状況とを用いて、情報提供対象者に提供する提供情報を生成する生成部と、
生成された提供情報を出力する出力部と
を備える。
【0008】
また、本発明に係る情報提供方法は、その一態様として、
コンピュータによって、
情報提供対象者が用いる端末装置から位置情報を含む状況情報を取得し、
取得された状況情報を解析することにより、情報提供対象者の状況を推定し、
状況に応じた提供用の情報を含む参照情報と、情報提供対象者の推定された状況とを用いて、情報提供対象者に提供する提供情報を生成し、
生成された提供情報を出力する。
【0009】
さらに、本発明に係るコンピュータプログラムは、その一態様として、
情報提供対象者が用いる端末装置から位置情報を含む状況情報を取得する処理と、
取得された状況情報を解析することにより、情報提供対象者の状況を推定する処理と、
状況に応じた提供用の情報を含む参照情報と、情報提供対象者の推定された状況とを用いて、情報提供対象者に提供する提供情報を生成する処理と、
生成された提供情報を出力する処理と
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、情報を提供する者と、作業者などの情報提供対象者とが離れている場合であっても、状況に合った情報を情報提供対象者に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の情報提供装置の構成を説明する図である。
【
図3】端末装置に提供された提供情報の表示態様の一例を表す図である。
【
図4】端末装置に提供された応答情報の表示態様の一例を表す図である。
【
図5】第1実施形態の情報提供装置における動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図6】本発明に係るその他の実施形態の情報提供装置の構成を説明するブロック図である。
【
図7】その他の実施形態の情報提供装置における動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る第1実施形態の情報提供装置を備えた情報提供システムの構成を説明する図である。この情報提供システム1は、情報提供装置2を備えている。情報提供装置2は、状況に応じた情報を情報提供対象者(以下、略して、対象者とも称する)5に提供することにより、対象者5の作業の遂行を支援する装置である。情報提供対象者(対象者)5とは、ここでは、情報提供装置2が情報を提供する対象者であり、具体例を挙げると、プラントや会社などで作業を行う作業者が挙げられる。また、第1実施形態では、情報提供装置2は、閲覧者7にも情報を提供する機能を備えている。閲覧者7とは、情報提供対象者(対象者)5の状況に関する情報の提供を要求する者であり、閲覧者7の具体例としては、例えば、対象者(作業者)5を監督する監督者や指示を与える指示者が挙げられる。閲覧者7は、作業者の近くに居るとは限らず、オフィスや在宅勤務により自宅に居る場合がある。
【0014】
情報提供装置2は、対象者5が用いる端末装置4や閲覧者7が用いる端末装置8と情報通信網を介して接続されており、端末装置4,8によって情報を対象者5や閲覧者7に提供する。なお、情報提供装置2に接続される端末装置4,8の数は、ここでは限定されない。
【0015】
端末装置4,8は、コンピュータ装置であり、情報提供装置2と通信する通信機能と、情報を報知する報知機能(例えば、情報を表示する表示機能や、情報を音(音声も含む)により報知する機能)とを備える。端末装置4,8の具体例としては、スマートフォン、タブレット、AR(Augmented Reality、拡張現実)ゴーグル型やリストバンド型などのウェアラブルデバイス、パソコン(パーソナルコンピュータ)などが挙げられる。ただし、ここでは、作業者である対象者5は動くことが多いことを考慮し、対象者5が用いる端末装置4は、携帯可能な可搬型の端末装置(例えば、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス)であるとする。さらに、対象者5が用いる端末装置4は、第1実施形態では、通信機能と報知機能に加えて、撮影機能および位置情報取得機能をも備えているとする。撮影機能とは、いわゆるカメラ機能であり、カメラにより端末装置4の周囲を撮影可能な機能である。位置情報取得機能とは、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて端末装置4の位置を表す情報(位置情報)を算出する機能である。また。閲覧者7は、オフィスや自宅などで着席していることが多いことから、閲覧者7が用いる端末装置8は、例えば、ノート型パソコンや、ディスクトップパソコン、タブレットなどが具体例として挙げられる。
【0016】
情報提供装置2は、端末装置4,8と連携することによって対象者5や閲覧者7に関わる情報を取得したり、対象者5や閲覧者7に情報を提供したりする。情報提供装置2が端末装置4,8と連携する手法の一つとしては、情報提供装置2と連携する機能を端末装置4,8に持たせるためのアプリケーションプログラム(アプリ)を用いる手法がある。
【0017】
情報提供装置2は、コンピュータ装置であり、演算装置20と、記憶装置30とを備えている。記憶装置30は、データや、コンピュータプログラム(以下、プログラムとも称する)31を記憶する記憶媒体を備えている。記憶装置には、磁気ディスク装置や、半導体メモリ素子などの複数の種類があり、さらに、半導体メモリ素子には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの複数の種類があるというように、多数の種類がある。情報提供装置2が備える記憶装置30の種類や数は限定されず、その説明は省略される。また、情報提供装置2に複数種の記憶装置が備えられる場合には、それらをまとめて記憶装置30と記すこととする。
【0018】
演算装置20は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサにより構成される。演算装置20は、記憶装置30に記憶されているプログラム31を読み出して実行することにより、プログラム31に基づいた様々な機能を持つことができる。ここでは、演算装置20は、情報提供システム1に関わる機能部として、取得部21と、推定部22と、生成部23と、出力部24とを有している。
【0019】
取得部21は、対象者5が用いる端末装置4から状況情報を取得する。状況情報とは、対象者5の状況を表す情報であり、位置情報取得機能により算出された位置情報を少なくとも含む。第1実施形態では、対象者5が作業開始により端末装置4を起動してから作業終了により端末装置4を停止するまでの期間、端末装置4は、予め定められた時間間隔ごとに、位置情報を含む状況情報を情報提供装置2に発信する構成となっている。また、端末装置4は、撮影機能により撮影された撮影画像と位置情報を含む状況情報を対象者5の操作によって情報提供装置2に発信する構成も備えている。このように端末装置4から発信される状況情報には、発信元の端末装置4を識別する端末識別情報や、端末装置4を用いている対象者5を識別する対象者識別情報が関連付けられている。取得部21は、そのような端末装置4から発信された状況情報を取得する。
【0020】
第1実施形態では、さらに、端末装置4,8は、対象者5や閲覧者7のプレゼンス情報を予め設定された時間間隔ごとに情報提供装置2に発信する構成を備えている。プレゼンス情報とは、例えば、離席中、連絡可能、連絡不可というような対象者5や閲覧者7との連絡ができるか否かを表す情報である。端末装置4,8から発信されるプレゼンス情報には、当該プレゼンス情報に対応する対象者識別情報、又は、閲覧者識別情報が関連付けられている。取得部21は、端末装置4,8から発信された対象者5や閲覧者7のプレゼンス情報も取得する。取得部21により取得されたプレゼンス情報は、対象者識別情報、又は、閲覧者識別情報を用いて、対象者5や閲覧者7ごとに記憶装置30に上書き格納される。
【0021】
推定部22は、取得部21により取得された状況情報を解析することにより、当該状況情報に対応する対象者(作業者)5の状況を推定する。対象者5の状況を推定する手法は、ここでは限定されるものではないが、推定手法の例を次に述べる。例えば、記憶装置30には、対象者5の状況を推定する際に用いる状況推定関連情報が予め登録されている。状況推定関連情報の内容は、対象者5が作業を行う現場に応じた内容であって様々であるが、状況推定関連情報の具体例としては、対象者5が作業を行う現場の地図情報が挙げられる。この現場の地図情報は、例えば、作業者の進入禁止エリアや危険エリアや複数の作業エリアなどのエリア情報を含む。作業者の属性に応じて立ち入りが制限されるエリアがある場合には、エリア情報には、そのような立ち入り制限に関する情報が関連付けられる。また、地図情報は、設備の位置を表す設備位置情報が含まれる。
【0022】
さらに、記憶装置30には、対象者5の属性(例えば、職位や、所属や、担当業務、聴覚障害有り、視覚障害有りなど)を表す属性情報が対象者識別情報に関連付けられて登録されている。このような記憶装置30に登録されている対象者5の属性情報と、上述したような状況推定関連情報(地図情報)と、端末装置4から取得した状況情報とを用いて、推定部22が対象者5の状況を推定する。例えば、対象者5が“○○設備”の前に居る、対象者5の属性では進入が許可されない制限エリアに入ってしまっているというような対象者5の状況が推定部22により推定される。
【0023】
さらに、記憶装置30に対象者5の作業予定情報が格納されている場合がある。この作業予定情報は、対象者5が作業を行う予定の場所の情報と、作業内容を表す情報とが時間情報に関連付けられて含まれている。推定部22は、対象者5の位置情報と、作業予定情報とを照合することにより、対象者5の所在位置が予定通りの場所である、又は、予定とは違う場所であるというような対象者5の状況を推定する。
【0024】
さらに、状況情報に撮影画像が含まれる場合には、推定部22は、状況情報に含まれている撮影画像を画像解析することにより、撮影画像から予め定められた状況の情報を抽出する。抽出する情報としては、例えば、設備が警報ランプを点灯させている状況が撮影画像に撮影されている場合には、警報発令中という状況の情報である。また、状況情報の撮影画像に流量計のメータが撮影されている場合には、流量計により計測されている値の情報が状況の情報として撮影画像から抽出される。さらに、設備の配管などが撮影画像に撮影されている場合に配管に亀裂が生じている場合には、その配管の亀裂が状況の情報として撮影画像から抽出される。
【0025】
推定部22は、状況情報に撮影画像が含まれる場合には、上述したように撮影画像から抽出された状況の情報をも用いて対象者5の状況を推定する。例えば、推定部22により、“△△△異常”を知らせる警報発令中の“○○設備”の近くに対象者5が居るというような状況が推定される。
【0026】
さらに、推定部22は、対象者5の位置情報の時間的な変化を用いて、対象者5が移動中であるか否かの情報や、移動方向の情報を対象者5の状況として推定する。さらに、対象者5の作業予定情報が予め与えられている場合には、当該作業予定情報と、地図情報と、対象者5の移動方向とを用いて、対象者5の移動の目的地を推定部22は推定する。さらに、この場合には、推定部22は、対象者5の状況として、例えば、対象者5が目的地である“◇◇◇設備”に向けて移動中であるというような状況が推定される。
【0027】
さらに、例えば、対象者5が作業を行う現場の設備の稼働状況や監視カメラによる現場の状況を監視している監視装置を情報源9として、情報提供装置2の取得部21が、現場の状況を表す情報(換言すれば、対象者5の周囲環境に関する周囲情報)を取得することが考えられる。この場合には、推定部22は、端末装置4から取得した状況情報と、情報源9から取得した周囲情報とを用いて、対象者5の状況を推定する。例えば、情報源9からの情報に基づいて現場に火災などの緊急事態の発生を検知している場合に、端末装置4からの位置情報に基づいて移動しない対象者5が検知された場合に、当該対象者5は何らかの原因により避難できない状況にあると推定部22は推定する。
【0028】
上述のように推定部22により推定された対象者5の状況を表す情報や位置情報は対象者5の行動履歴情報として時間情報が関連付けられて記憶装置30に格納される。なお、上述したような推定部22による推定手法は一例であって、推定部22により推定される対象者5の状況やその推定手法は、対象者5が行う作業内容や作業場所に応じて適宜に設定されるものであり、上述した例に限定されない。つまり、推定部22は、対象者5の状況の推定に、上述したような撮影画像や情報源9の情報を用いない場合も有り得る。
【0029】
生成部23は、対象者5の推定された状況と、予め与えられている参照情報とを用いて、対象者5に提供する提供情報を生成する。参照情報は、記憶装置30に予め登録される情報であり、例えば、
図2に表されるような状況と当該状況に応じた提供用の情報の内容との関係データである。
図2のような参照情報が情報提供装置2に与えられている場合には、例えば、記憶装置30には、設備の操作手順書(マニュアル)や、設備の稼働状況に応じた設備操作の指示内容(設定値の情報など)などの対象者5に提供する情報が予め登録される。具体例を挙げると、生成部23は、対象者5の推定された状況が、“○○設備”の前に来たという状況である場合には、参照情報を参照することにより、“○○設備”のマニュアルを記憶装置30から読み出し、当該マニュアルを含む提供情報を生成する。又は、生成部23は、“○○設備”のマニュアルの登録場所を表すアドレス情報(リンク情報)を含む提供情報を生成する。
【0030】
また、生成部23は、対象者5の推定された状況が、次の作業場所に向けて移動中であるという状況である場合には、対象者5の目的地までの経路の情報を含む提供情報を生成する。その経路の情報は、予め記憶装置30に格納されている情報であってもよいし、対象者5の所在位置と、目的地の位置情報と、所在位置から目的地までの経路の状況とを用いて生成部23が算出した経路であってもよい。
【0031】
さらに、生成部23は、対象者5の推定された状況が、作業予定情報の予定とは異なる状況であったり、進入してはいけないエリアに入っている状況であったりする場合には、アラーム情報を含む提供情報を生成する。
【0032】
さらに、対象者5が教示して欲しい事項がある場合に、対象者5の操作により教示要求を情報提供装置2に発信する機能を端末装置4が備えている場合には、生成部23は、対象者5の推定された状況と、教示要求とに基づいて、次のような提供情報を生成する。例えば、対象者5の推定された状況が“○○設備”の前に居るという状況であって、教示要求を受けた場合には、生成部23は、対象者5に向けて“○○設備”の操作に関する対処方法を含む提供情報を生成する。また、記憶装置30には、“○○設備”の操作の熟練者の連絡先の情報が登録されており、生成部23は、その熟練者の連絡先の情報を提供情報に含ませる。
【0033】
さらに、参照情報が、対象者5の状況だけでなく対象者5の属性をも考慮された提供用の情報を含む場合には、生成部23は、対象者5の推定された状況だけでなく、対象者5の属性情報をも参照して提供情報を生成する。例えば、対象者5が属性情報により視覚障害を持つ方であることが検知された場合には、生成部23は、音声により情報提供される態様の提供情報を生成する。
【0034】
また、生成部23は、閲覧者(監督者など)7の端末装置8から対象者5の状況に関する情報の提供を要求された場合には、要求された対象者5の状況に関する情報を記憶装置30から読み出し、当該読み出した情報を含む応答情報を生成する。ここでは、対象者5の状況に関する情報とは、対象者5のプレゼンス情報や、推定部22により推定された対象者5の状況や、対象者5の行動履歴情報などである。また、そのように生成される応答情報は、要求に応じて複数の対象者5の状況に関する情報を含む場合もある。
【0035】
さらに、生成部23は、対象者5の端末装置4から閲覧者(指示者や監督者)7のプレゼンス情報が要求された場合には、情報が要求された閲覧者7のプレゼンス情報を記憶装置30から読み出し、当該プレゼンス情報を含む応答情報を生成する。応答情報は、要求に応じて、複数の閲覧者7のプレゼンス情報を含む場合もある。
【0036】
なお、生成部23は、対象者5の推定された状況と、参照情報とを用いて、対象者5に提供する提供情報を生成する構成を備えていればよく、生成部23により生成される提供情報の内容は上述した内容に限定されない。また、生成部23が上述したような応答情報を生成するか否かはシステム設計者により適宜に設定されてよい。さらに、生成部23が提供情報を生成するタイミングは、例えば、推定部22により推定された対象者5の状況に応じて定まる予め設定されたタイミングである。
【0037】
出力部24は、生成された提供情報を、当該提供情報に対応する端末装置4(つまり、対象者5)に出力する。提供情報を受けた端末装置4においては、提供情報の内容に応じた予め定められた表示態様でもって提供情報を表示する。例えば、設備の操作情報を含む提供情報を受けた端末装置4は、例えば
図3に表されるように操作情報を文字や画像により表示装置に表示する。また、避難経路を含む提供情報を受けた端末装置4は、地図を表示装置に表示し、さらに、その地図に避難経路を重畳させて表示する。さらに、警告や避難指示を含む提供情報を受けた端末装置4は、警告を文字や画像により表示装置に表示し、また、警告を音声により報知する。
【0038】
さらに、対象者5が用いる端末装置4がARゴーグル型ウェアラブルデバイス(以下、略してARゴーグルとも称する)である場合には、提供情報は、そのARゴーグルに応じた表示態様でもって表示されることにより、対象者5に提供される。例えば、ARゴーグルにおいて見えている実空間の像に、対象者5に向けての指示を表す画像や文字が重畳されて表示される。さらに、対象者5の端末装置4に、例えば設備操作の熟練者の連絡先が通知された場合には、対象者5は端末装置4から知ることができて連絡先を用いて熟練者と直接的に連絡することが可能である。
【0039】
また、出力部24は、生成部23により生成された応答情報を、当該情報を要求した要求元の端末装置4又は端末装置8に出力する。例えば、閲覧者7によって現場の対象者(作業者)5の状況の情報(位置情報)の提供が要求され、当該要求に応じて応答情報が生成部23により生成された場合には、出力部24は、その生成された応答情報を要求元の閲覧者7の端末装置8に出力する。このような応答情報を受けた端末装置8は、表示装置に応答情報を例えば
図4に表されるように表示する。
図4の例では、端末装置8の表示装置には、現場の地図に、対象者(作業者)5の位置を表す情報が重畳表示されている。さらに、そのように表示装置に表示される地図には、場所の名称や、設備の名称などの情報が重畳表示されてもよい。
【0040】
情報提供装置2は上述したような構成を備えている。以下に、情報提供装置2における情報提供に係る動作の一例を、
図5を用いて説明する。
図5は、情報提供装置2における情報提供に係る動作の一例を説明するフローチャートである。
【0041】
例えば、取得部21が対象者5の端末装置4から状況情報を取得する(
図5におけるステップ101)。取得された状況情報に含まれている位置情報などの情報は、対象者5ごとに記憶装置30に格納される。その後、推定部22が、取得した状況情報を解析することにより、対象者5の状況を推定する(ステップ102)。推定された対象者5の状況を表す情報や位置情報は対象者5の行動履歴情報として時間情報が関連付けられて記憶装置30に格納される。
【0042】
然る後に、対象者5の推定された状況によって定まる提供情報の生成タイミングでもって、生成部23が、対象者5の推定された状況と、参照情報とを用いて、対象者5に提供する提供情報を生成する(ステップ103)。そして、生成された提供情報を出力部24が対象者5の端末装置4に出力する(ステップ104)。
【0043】
一方、端末装置4,8から情報提供の要求を受けた場合には、生成部23が要求に応じた応答情報を生成し、生成された応答情報を出力部24が要求元の端末装置4又は端末装置8に出力する。
【0044】
第1実施形態の情報提供装置2は上述したように構成されている。これにより、情報提供装置2は、情報を提供する者(例えば指示者や監督者)と、対象者(作業者)5とが離れている場合であっても、状況に合った情報を対象者(作業者)5に提供できる。これにより、対象者5は、状況に合った情報を取得することができるので、状況に合っていない情報が提供されてしまうことに因る悪影響を受けずに業務(作業)を遂行できる。また、指示者や監督者が休暇であるというような場合においても、対象者(作業者)5は、状況に合った情報を得ることができて業務(作業)を遂行できる。
【0045】
さらに、情報提供装置2は端末装置4に情報を提供することにより、当該端末装置4により情報を映像でもって対象者5に提供することが可能となる。これにより、対象者5に分かり易く設備の操作手法などの提供が行われることとなり、対象者(作業者)5が高度なスキルや技術を持っていなくとも設備の操作を行うことが可能となることが期待される。
【0046】
さらに、情報提供装置2は、対象者5の位置情報を考慮した提供情報を生成して対象者5に提供することができる。このため、情報提供装置2は、例えば、同じような装置が並んでいる場合に、操作対象の装置ではなくその隣の装置を対象者5が操作しようとしているというような状況の推定が可能である。このような場合には、情報提供装置2から対象者5の端末装置4に警告を含む提供情報が出力されることにより、対象者5が操作対象ではない別の装置を操作してしまうという誤操作が防止される。
【0047】
さらに、情報提供装置2は、対象者5の位置情報に基づいた警告や避難指示を対象者5に提供することができるので、対象者5の安全を図ることができる。さらに、情報提供装置2は、対象者5の位置情報を用いて目的地までの経路を提供できるので、対象者5の移動を支援することができる。
【0048】
さらに、情報提供装置2は、対象者5の位置情報や閲覧者7のプレゼンス情報を対象者5や閲覧者7に提供できるので、対象者(作業者)5と閲覧者(指示者や監督者)7との間で連絡する際に対象者5や閲覧者7は有効な情報を得ることができる。さらに、閲覧者7が他の閲覧者7のプレゼンス情報を情報提供装置2によって得ることができるので、例えば、閲覧者7が他の閲覧者7に電話を転送する場合などに便利である。
【0049】
さらに、情報提供装置2は、端末装置4から取得した撮影画像を用いて対象者5の状況を推定できるので、対象者5の推定できる状況の幅を広げることができ、対象者5に提供する提供情報の更なる展開を図ることを容易にする。さらに、情報提供装置2は、対象者5の行動履歴情報を記憶装置30に保持するので、例えば、閲覧者(監督者など)の勤務管理業務を支援することができる。
【0050】
さらに、情報提供装置2は、次のような更なる展開を図ることができる。すなわち、情報提供装置2が設備の操作手法を含む提供情報を対象者(作業者)5の端末装置4に送信した場合に、対象者5がその設備の操作の熟練者と連絡をとる。その設備が遠隔操作できるものである場合には、熟練者が設備を遠隔操作しながら、対象者5に設備の操作を教示する。対象者5は、情報提供装置2から提供された操作手法の情報を見ながら、熟練者の教えを受けることができる。
【0051】
<その他の実施形態>
本発明は、第1実施形態に限定されず、様々な実施の態様を採り得る。例えば、第1実施形態では、対象者5が用いる端末装置4は撮影機能を備えているが、対象者5の状況の推定に撮影画像を用いなくともよいと考えられる場合には端末装置4は撮影機能を持たなくともよい。また、第1実施形態では、端末装置4は位置情報取得機能を備えているが、例えば、端末装置4の撮影機能による撮影画像から位置を特定できる場合には、端末装置4は位置情報取得機能を備えていなくともよい。すなわち、端末装置4が位置情報取得機能を備えていなくとも、情報提供装置2は、位置情報を含む状況情報として撮影画像を含む状況情報を端末装置4から取得できる。
【0052】
また、情報提供装置2は、例えば、対象者5の端末装置4から、対象者5自身が予定通りの作業場所に居るか否かの問合せを受け付け、作業予定情報を用いてその問合せに回答する機能をさらに備えていてもよい。
【0053】
さらに、情報提供装置2は、複数の現場(水力、火力、原子力、揚水式、風力、太陽光等の異なる発電形式の発電所など)の状況を表す情報を収集し、複数の現場を集中管理する管理者(閲覧者)に、収集した情報を提供する構成を備えていてもよい。そして、管理者(閲覧者)が提供された情報を用いて、複数の現場を管理してもよい。例えば、電気の使用状況と、複数の発電所のそれぞれの状況とを考慮して、それぞれの発電所の発電量が制御される。
【0054】
図6は、本発明に係るその他の実施形態の情報提供装置の構成を説明する図である。この情報提供装置40は、例えばコンピュータ装置であり、コンピュータプログラムを実行することにより実現される機能部である取得部41と推定部42と生成部43と出力部44を備える。取得部41は、情報提供対象者が用いる端末装置から位置情報を含む状況情報を取得する。推定部42は、取得された状況情報を解析することにより、情報提供対象者の状況を推定する。生成部43は、状況に応じた提供用の情報を含む参照情報と、情報提供対象者の推定された状況とを用いて、情報提供対象者に提供する提供情報を生成する。出力部44は、生成された提供情報を出力する。
【0055】
次に、情報提供装置40における情報提供に係る動作の一例を、
図7を用いて説明する。
図7は、情報提供装置40における情報提供に係る動作の一例を説明するフローチャートである。例えば、取得部41が情報提供対象者の端末装置から位置情報を含む状況情報を取得する(ステップ201)。そして、推定部42が、取得された状況情報を解析することにより、情報提供対象者の状況を推定する(ステップ202)。然る後に、生成部43が、情報提供対象者の推定された状況と、参照情報とを用いて、提供情報を生成する(ステップ203)。そして、生成された提供情報を出力部44が出力する(ステップ204)。
【0056】
情報提供装置40は上述したように構成されているので、情報を提供する者と、作業者などの情報提供対象者とが離れている場合であっても、状況に合った情報を情報提供対象者に提供できる。
【符号の説明】
【0057】
2,40 情報提供装置
4,8 端末装置
5 情報提供対象者
21,41 取得部
22,42 推定部
23,43 生成部
24,44 出力部