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特開2024-12568出血モニタリングを含むアクセスクロージャー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012568
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】出血モニタリングを含むアクセスクロージャー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240123BHJP
   A61B 5/0538 20210101ALI20240123BHJP
   A61B 17/04 20060101ALI20240123BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61B17/12
A61B5/0538
A61B17/04
A61M25/06
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023192192
(22)【出願日】2023-11-10
(62)【分割の表示】P 2021540104の分割
【原出願日】2020-01-10
(31)【優先権主張番号】62/790,906
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520382868
【氏名又は名称】サラナス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SARANAS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェネルー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】キッパーマン,ロバート エム.
(72)【発明者】
【氏名】ブケ,ケネス エム.
(72)【発明者】
【氏名】サイド,ザファー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】孔が十分に閉じられたか否か、或いは、孔からまだ血液が漏れているか否かを判定することができる血管アクセスクロージャーデバイスを提供する。
【解決手段】血管アクセスクロージャーデバイスは、内側血管壁支持部材102と外側血管壁支持部材104とを含む。クロージャーデバイスは更に、配置部材106と電極120とを含む。配置部材は、血管壁の孔96を塞ぐ際に内側血管壁支持部材及び外側血管壁支持部材が血管壁の両側に配置される場合に、内側血管壁支持部材及び外側血管壁支持部材を互いに向かって引き寄せるように構成されている。電極は、配置部材に取り付けられて、インピーダンスの測定に使用されるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管アクセスクロージャーデバイスであって、
内側血管壁支持部材と、
外側血管壁支持部材と、
血管壁の孔を塞ぐ際に前記内側血管壁支持部材及び前記外側血管壁支持部材が前記血管壁の両側に配置されると、前記内側血管壁支持部材及び前記外側血管壁支持部材を互いに向かって引き寄せるように構成されている配置部材と、
前記配置部材に取り付けられて、インピーダンスの測定に使用されるように構成されている第1の電極と、
を備える血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項2】
前記配置部材は、前記第1の電極に取り付けられた導電性縫合ワイヤを備える、請求項1に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項3】
血管の上の人間の皮膚に配置されるように構成された接着パッチを更に備えており、前記接着パッチは第2の電極を含む、請求項1に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項4】
血管の上の人間の皮膚に配置されるように構成された接着パッチを更に備えており、前記接着パッチは複数の電極を含む、請求項1に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項5】
前記接着パッチは、前記第1の電極と前記接着パッチの複数の電極の1つ以上とを使用して複数のインピーダンス値を測定するように構成された回路を備える、請求項4に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項6】
前記接着パッチは、前記複数のインピーダンス値の1つ以上の視覚的インジケータを備える、請求項4に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項7】
前記接着パッチは長方形の形状を有しており、前記長方形の形状は幅及び長さを有しており、前記複数の電極は、前記長さに沿って配置されている、請求項4に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項8】
前記接着パッチは円形である、請求項4に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項9】
前記接着パッチは、無線信号を送信するように構成された回路を含み、前記無線信号は前記インピーダンスを示す、請求項3に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項10】
前記第1の電極は生体吸収性である、請求項1に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項11】
血管アクセスクロージャーデバイスであって、
血管の孔を塞ぐように構成された縫合ワイヤと、
前記縫合ワイヤに結合しており、配置部材に取り付けられてインピーダンスの測定に使用されるように構成された電極と、
を備える血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項12】
前記血管の上の人間の皮膚に配置されるように構成された接着パッチを更に備えており、前記接着パッチは第2の電極を含む、請求項11に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項13】
前記血管の上の人間の皮膚に配置されるように構成された接着パッチを更に備えており、前記接着パッチは複数の電極を含む、請求項11に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項14】
前記接着パッチは、前記第1の電極と前記接着パッチの複数の電極の1つ以上とを使用して複数のインピーダンス値を測定するように構成された回路を備える、請求項13に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項15】
前記接着パッチは、前記複数のインピーダンス値の1つ以上の視覚的インジケータを備える、請求項13に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項16】
前記接着パッチは長方形の形状を有しており、前記長方形の形状は幅及び長さを有しており、前記複数の電極は、前記長さに沿って配置されている、請求項13に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項17】
前記接着パッチは円形である、請求項13に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項18】
前記接着パッチは、無線信号を送信するように構成された回路を含み、前記無線信号は前記インピーダンスを示す、請求項12に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項19】
血管アクセスクロージャーデバイスであって、
電極を有するガイドワイヤと、
血管の孔を塞ぐために前記ガイドワイヤを受け入れるように構成されたコラーゲンプラグと、
配置部材に取り付けられて、インピーダンスの測定に使用されるように構成されている第1の電極と、
を備える血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項20】
前記第1の電極に結合された回路を更に備えており、前記回路は、前記第1の電極を使用して出血検出のためにインピーダンスを測定する、請求項19に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医療行為には、患者の血管にアクセスするものがある。例えば、カテーテル治療では、血管にカテーテルを挿入して、心臓のような人の他の部位にアクセスする。血管にアクセスするために、最初に針が皮膚から血管に挿入される。その後、ワイヤが針を通して挿入されて、次に、針が抜かれる。イントロデューサーシースなどの他の部品がその後、血管壁の孔から挿入される。血管壁の孔は、自然に塞がる場合があるが、全てがそうなるわけではない。医療行為の終了時には、血管の孔を手動で塞ぐ必要があるが、これには様々な血管アクセスクロージャーデバイス(blood vessel access closure device)や技術が使用される。
【発明の概要】
【0002】
生体インピーダンスを測定する機能を備えた血管アクセスクロージャーデバイスの様々な実施例が開示される。血管の孔が閉じられている部位の周囲の身体のインピーダンスを利用して、孔が十分に閉じられたか否か、或いは、孔からまだ血液が漏れているか否かを判定することができる。
【0003】
ある実施例では、血管アクセスクロージャーデバイスは、内側血管壁支持部材と外側血管壁支持部材とを含む。クロージャーデバイスは更に、配置部材と電極とを含む。配置部材は、血管壁の孔を塞ぐ際に内側血管壁支持部材及び外側血管壁支持部材が血管壁の両側に配置されると、内側血管壁支持部材及び外側血管壁支持部材を互いに向かって引き寄せるように構成される。電極は、配置部材に取り付けられて、インピーダンスの測定に使用されるように構成される。
【0004】
別の実施例では、血管アクセスクロージャーデバイスは、縫合ワイヤと電極とを含む。縫合ワイヤは、血管の孔を塞ぐように構成される。電極は、縫合ワイヤに結合しており、また、配置部材に取り付けられるように、且つ、インピーダンスの測定に使用されるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
様々な実施例を詳細に説明するために、以下の添付図面が参照される。
【0006】
図1図1は、出血を検出するために使用可能な電極を備えたアクセスクロージャーシステムである。
【0007】
図2図2は、出血を検出可能なアクセスクロージャーシステムの別の実施例を示している。
【0008】
図3図3は、出血を検出可能な更に別のアクセスクロージャーシステムを示している。
【0009】
図4図4は、出血を検出するための1又は複数の電極を備えた接着パッチを含んでいるアクセスクロージャーシステムの実施例を示す。
【0010】
図5図5は、例示的な接着パッチの詳細を更に示す。
【0011】
図6図6は、接着パッチがベッドサイドモニタに接続される実施例を示す。
【0012】
図7図7は、接着パッチに含まれており、出血を検出するためにインピーダンスを測定するために動作する電子機器の実施例を示す。
【0013】
図8図8は、複数の電極が線状に配置された接着パッチの実施例を示す。
【0014】
図9図9は、血管の孔をシールするためのコラーゲンプラグと、出血検知のためにインピーダンス測定可能な電極を有するガイドワイヤとを組み合わせて使用した実施例を示す。
【0015】
図10図10は、ガイドワイヤの電極間にわたって、また、ガイドワイヤの電極と表面パッチ電極の間で、複数のインピーダンスゾーンを監視できることを示す。
【0016】
図11図11は、出血モニタリング関連のデータを集中的に収集して、医療従事者に出血アラートを送信するシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
血管アクセスクロージャーシステムは、血管の孔を塞ぐために使用される。しかしながら、アクセスクロージャーデバイスを使用した後でさえ、血管壁の孔から血液が漏れる可能性はある。開示される実施例では、本明細書に記載のアクセスクロージャーシステムは、血管孔周辺の領域で電気インピーダンスを測定する機能を含む。血液のインピーダンスは他の体組織のインピーダンスとは異なっており、閉じられた孔の周辺領域で血管の外側に血液が蓄積することは、アクセスクロージャーデバイスを適用したにも拘わらず、血液が孔からまだ漏れていることを示す。
【0018】
図1は、アクセスクロージャーシステムの一部の実施例を示す。本実施例のアクセスクロージャーシステムは、内側血管壁支持部材102と、外側血管壁支持部材104と、電極120を有する縫合ワイヤ106とを含んでおり、電極120は、縫合ワイヤ106にわたってスライドする。示されているアクセスクロージャーシステムは、血管95の孔96を塞ぐ。電極120は、縫合ワイヤにわたってスライドし、導電性ワイヤを用いて電子機器(後述)に取り付けられる。内側血管壁支持部材102は、孔96にて血管の内側に配置される。外側血管壁支持部材104は、孔96にて内側血管壁支持部材と対向するように配置される。縫合ワイヤ106は一種の配置部材であって、内側血管壁支持部材102及び外側血管壁支持部材104を互いに引き寄せて、それによって孔96をシールするために使用可能である。
【0019】
図2は、人間の脚201を示しており、血管95には塞がれる孔がある。人間の脚201の皮膚に貼られた接着パッチ200が示されている。接着パッチ200は、パッチに組み込まれた回路(例えば、集積回路。図示せず)に接続された1又は複数の電極210を含む。縫合ワイヤの電極120もまた、その回路に接続される。この回路は、電極120とパッチの1又は複数の電極210との間の電気インピーダンスを測定する。このインピーダンス測定値に基づいて、血管95の孔が十分にシールされているか否かを判定することができる。パッチ200は、縫合ワイヤクリップ230を含む。縫合ワイヤクリップ230は縫合ワイヤをつかみ、変形を軽減して、後で取り除くためのアクセスを提供する。
【0020】
図1では、結び目108が縫合ワイヤ106に形成され、結び目108の上方にて縫合ワイヤに電極120が配置される。結び目を縫合ワイヤの下側に移動させると、内側血管壁支持部材102と外側血管壁支持部材104とが互いに引き寄せられる。この実施例では、縫合ワイヤ106自体は導電性でなくてよいが、電極120は導電性であって、別のワイヤ121を介してパッチの回路に接続される。
【0021】
図3は、内側血管壁支持部材及び外側血管壁支持部材を含まないアクセスクロージャーシステムの実施例を示す。代わりに、縫合ワイヤ106を用いて孔96が塞がれる。電極120は、縫合ワイヤ106に結合され、インピーダンスを測定して、起こり得る出血を検出するために使用される。
【0022】
図4は、内側血管壁支持部材及び外側血管壁支持部材を含むアクセスクロージャーシステムの別の実施例を示す。この実施例では、縫合ワイヤ110は電気導電性であるため、別の電極120は含まれていない。インピーダンスは、パッチの電極と導電性縫合ワイヤ110の間にあるパッチの回路によって測定することができる。導電性縫合ワイヤは絶縁されており、導電性ワイヤの一部はワイヤに沿った所定の位置にて露出している。
【0023】
インピーダンスを測定するために、パッチの回路は、一組の電極(血管95の部位の近くにある電極120を含む)を介して所定の大きさの電流を注入し、その結果として得られる電圧を異なる組の電極を用いて測定してよい。それら電極の一方は、電流注入と電圧測定の両方に使用されてよい。電圧と電流の比はインピーダンスに相当する。或いは、この回路は、一対の電極(電極120を含む)を用いて所定の振幅の電圧を印加し、その結果として生じる電流を測定してもよい。電極に印加する電流又は電圧は、交流であっても直流であってもよい。特定の周波数で行われたインピーダンス測定は、他の周波数よりも有用な情報を提供する場合がある。ある周波数では出血の検出が難しく、別の周波数では出血の検出が容易な場合がある。ある実施例では、インピーダンス測定に使用される周波数は、1000Hz乃至200KHzの範囲であるが、異なる周波数範囲も同様に受け入れられてよい。インピーダンス測定に関する更なる情報は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0049359号にある。
【0024】
図5は、接着パッチ200の平面図である。図5の実施例のパッチ200は、1又は複数の視覚的インジケータ240を含んでおり、視覚的インジケータ240は、出血状態が検出されたか否かと、出血状態の重症度とに関する視覚的フィードバックを提供する。例えば、点灯しているインジケータ240の数が多いほど、より深刻な(例えば、より長く続く)出血状態が検出されたことを意味する。接着パッチに含まれる回路は、バッテリで動作するものであってよい。図5のパッチ200は、概ね円形である。ある実施例では、パッチの直径は2乃至3インチである。電極210は、パッチの周縁部に配置される。
【0025】
図6は接着パッチの別の実施例である。この実施例の接着パッチは、ベッドサイドモニタ400にケーブル402を介して接続可能な有線インターフェースを含んでいる。測定されたインピーダンスを示す信号は、モニタのディスプレイに表示されてよい。パッチの回路は、インピーダンスを測定し、インピーダンスの値をベッドサイドモニタに提供してよく、或いは、パッチの回路は、電流値及び電圧値をベッドサイドモニタに提供して、ベッドサイドモニタがインピーダンスを計算してよい。別の実施例では、パッチとベッドサイドモニタの間のインターフェースは、図6に示されるように有線ではなく、無線であってよい。
【0026】
図7は、接着パッチ200に含まれる回路700の実施例を示す。この実施例では、その回路は、コントローラ702、ストレージ704、視覚的インジケータ240、信号発生器710、測定ユニット712、及びトランシーバ720を含む。コントローラ702は、ストレージ704に格納されたソフトウェア706を実行するハードウェアプロセッサであってよい。ストレージ704は、揮発性ストレージ(例えば、ランダムアクセスメモリ)及び/又は不揮発性ストレージ(例えば、リードオンリーメモリ)で構成されてよい。そのパッチの回路に起因する機能は、そのソフトウェア706の実行時にコントローラ702によって実施される。各視覚的インジケータ240は、発光ダイオード(LED)を備えてよい。電極(例えば、電極120、パッチ電極210)は、信号発生器710及び測定ユニット720のうちの1又は複数に結合される。コントローラ702による指令を受けて、信号発生器710は、電極のうちの2つに提供される所定の信号(例えば、電流又は電圧)を発生して、測定ユニット712は、先に説明したように、結果として生じた電圧又は電流を測定する。測定ユニット712が使用する電極の少なくとも1つは、シールされている血管の孔の部位の近くにある電極(例えば、電極120又は導電性縫合ワイヤ110)である。コントローラ702は、外部装置(例えば、ベッドサイドモニタ400)に送信されるインピーダンス値をトランシーバ720に提供してよい。ある実施例では、トランシーバ720は、有線インターフェースを提供する。別の実施例では、トランシーバ720は、無線インターフェースを提供する。無線インターフェースの例としては、Bluetooth(登録商標)が挙げられる。
【0027】
図5の実施例では、接着パッチはほぼ円形である。図8の例では、接着パッチ800はほぼ長方形であって、パッチ800の長方形形状は、幅(W)と長さ(L)を有しており、LはWよりも大きい。ある例では、Wは約1インチ、Lは約6インチである。複数の電極810は、長さLに平行なパッチの軸に沿って(即ち、長方形の長手方向軸に沿って)配置される。パッチ800は、塞がれる血管の孔の部位の近くに配置されて、電極810の何れか又は全てを使用して、その電極の各々と電極120(血管に隣接)との間のインピーダンスを測定することができる。パッチの長手方向軸に沿って複数の電極を設けることで、血管壁の孔の近くに血液が溜まっている場所であるにも拘わらず、確実に出血を検知することができる。
【0028】
別の実施例では、パッチはバッテリを有していない。代わりに、パッチは、外部機器(ハンドヘルドワンドなど)からワイヤレス電力を受信できるワイヤのコイル又は他のタイプのアンテナを有している。外部機器をパッチに近づけると、パッチの回路に電源が入ってインピーダンス測定を開始し、インピーダンスを示す1又は複数の値を外部機器に転送する。
【0029】
別の実施例は、除去されない導電性生体吸収性ポリマーで構成された電極120を含む。電極は、除去されるのではなく、出血を検出するために医療行為中に使用された後、体内に残って、再吸収される。このような電極に適したポリマーは、米国特許第6,696,575号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
図9は、血管95の孔921をシールするためのコラーゲンプラグ920を使用した実施例を示す。図示されているガイドワイヤ910は、患者の皮膚907から、コラーゲンプラグ920を介して血管95に挿入されている。ガイドワイヤ910は、患者のカテーテル挿入中に使用されてよい。ガイドワイヤ910は、電極915を含んでおり、また、同様な追加の電極を含んでよい。電気コネクタ912は、導体(例えば、図示しないワイヤ、又はガイドワイヤ自体)を介して電極915に接続される。実施例の電極915は、血管内のガイドワイヤ上に示されており、電極915と別の電極、例えば、パッチ電極210,810の1又は複数との間のインピーダンスを測定するために使用することができる。コネクタ912は、回路(例えば、回路700)に接続されて、ガイドワイヤの電極と別の電極(例えば、パッチ上の電極、又はガイドワイヤ上の別の電極)とを使用してインピーダンスを測定し、出血を検出することができる。
【0031】
ある実施例では、バスキュラーアクセス処置の終了時に、出血のリスクが十分に低いと判定されるまで出血の合併症を監視するためにガイドワイヤが血管内に残される。医師は、ガイドワイヤ910及び孔921の周囲をシールするように、コラーゲンプラグ920の形態であるアクセスクロージャーデバイスを配置する。出血のリスクが低いと判定された後、医師はその後、コラーゲンプラグ920及び脚部組織を通るように引き抜くことにより、ガイドワイヤ910を除去することができる。コラーゲンプラグ920は所定の位置に留まって、血管壁周囲でシールを維持してよい。
【0032】
図10は、複数の電極1002,1004,1006,1008,1010を有するガイドワイヤ1000の実施例を示す。本実施例では、ガイドワイヤ1000に5つの電極が示されているが、他の実施例では、5つよりも少ない電極又は5つよりも多い電極がガイドワイヤに設けられてよい。(本明細書に記載されているような)示されている接着パッチ1020は、血管95へのアクセスポイントの部位の概ね上方にて患者の皮膚907上にある。電子機器モジュール1030は、パッチ1020上の電極1022に加えて、ガイドワイヤ1000上の電極1002乃至1010にも電気的に接続される。電子機器モジュール1030は、図7に示した構成要素の一部又は全てを含んでいてよい。電子機器モジュール1030は、ガイドワイヤ1000の電極間、或いは、ガイドワイヤ1000の1又は複数の電極とパッチ1020上の1又は複数の電極1022との間のインピーダンスを測定してよい。このように、電極1022と電極1002乃至1010の任意の組合せを用いて、異なる複数のインピーダンス「ゾーン」が測定されてよい。
【0033】
図11は、病院で導入され得るシステムを示す。そのシステムは、1又は複数の出血モニタ1120,1122と、中央制御システム1100と、無線アクセスポイント1110と、携帯デバイス1130,1132とを含む。各出血モニタ1120,1122は、上述した出血検出の実施態様の何れかを含む。各出血モニタ1120,1122は、対応するアクセスポイント1110を介して中央制御システム1100に(例えば、無線で)患者関連の出血情報を送信してよい。患者関連の出血情報には、患者ごとにローカルに生成されたインピーダンス値や出血レベル指標などが含まれる。
【0034】
中央制御システム1110は、プロセッサ1102及びストレージ1104(例えば、メモリ、ハードドライブなど)を含む。ストレージ1104は、受信した患者関連の出血情報と、プロセッサ1102が実行するソフトウェアとを格納してよい。ある実施例では、中央制御システム1110はコンピュータである。中央制御システム1110は、所定の患者についてのアラートを、携帯端末1130,113の一方を携帯するその患者の医師に送信してよい。このようにして、患者の医師は、その医師の患者の状態(例えば、患者が出血を経験しているか否か、出血の重症度など)を把握することができる。
【0035】
記載された実施形態の変更は可能であって、特許請求の範囲内で他の実施形態も可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-11-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管アクセスクロージャーデバイスであって、
電極を有するガイドワイヤと、
血管の孔を塞ぐために前記ガイドワイヤを受け入れるように構成されたコラーゲンプラグと、
備える血管アクセスクロージャーデバイス。
【請求項2】
前記電極に結合された回路を更に備えており、前記回路は、前記電極を使用して出血検出のためにインピーダンスを測定する、請求項に記載の血管アクセスクロージャーデバイス。
【外国語明細書】