(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125681
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20240911BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240911BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240911BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240911BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20240911BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F17/04 A
H01F27/29 P
H01F27/28 104
H01F27/32 140
H01F27/00 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033658
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 由雅
(72)【発明者】
【氏名】豊島 健司
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 克文
【テーマコード(参考)】
5E043
5E044
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E043BA01
5E043BA03
5E043EA05
5E043EB05
5E044CA01
5E044CA09
5E070AA01
5E070AB06
5E070BB03
5E070CB04
5E070CB13
5E070CB17
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】Q値が向上するようにインダクタ配線の設計自由度を向上させる。
【解決手段】インダクタ部品は、素体と、インダクタ配線20と、複数の柱状配線40と、を備えている。素体は、平面状の主面を有している。インダクタ配線20は、素体内において主面と平行に延びている。複数の柱状配線40は、主面に交差する方向に延びている。インダクタ配線20は、当該インダクタ配線20の両端部に位置し、柱状配線40が接続されている一対のパッド部と、一対のパッド部を繋ぐ配線本体と、を有している。主面と直交する方向を向いて透視したとき、複数の柱状配線40から選ばれる1つ以上は、インダクタ配線20の中心線に重ならない箇所で、当該インダクタ配線20に接続している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の主面を有する素体と、
前記素体内において前記主面と平行に延びるインダクタ配線と、
前記主面に交差する方向に延びる複数の柱状配線と、
を備え、
前記インダクタ配線は、当該インダクタ配線の両端部に位置し、前記柱状配線が接続されている一対のパッド部と、一対の前記パッド部を繋ぐ配線本体と、を有し、
前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、複数の前記柱状配線から選ばれる1つ以上は、前記インダクタ配線の中心線に重ならない箇所で、当該インダクタ配線に接続している
インダクタ部品。
【請求項2】
前記主面は長方形状であり、
前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記インダクタ配線の中心線に重ならない箇所で当該インダクタ配線に接続している前記柱状配線は、前記主面の幾何中心を通り前記主面のいずれかの辺に平行な第1中心軸、及び前記主面の幾何中心を通り前記第1中心軸に直交し、前記主面に平行な第2中心軸のいずれにも重ならない
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記素体の外面の一部を覆う外部電極をさらに備え、
前記インダクタ配線は、
前記主面と平行に延びる第1インダクタ配線と、
前記主面に直交する方向において前記第1インダクタ配線とは異なる箇所に位置し、且つ前記主面と平行に延びる接続配線と、を含み、
前記柱状配線は、前記第1インダクタ配線及び前記接続配線を接続するビアと、前記接続配線及び前記外部電極を接続する引出配線と、を含み、
前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記ビアは、前記接続配線の中心線上であって当該接続配線の延び方向の中点と重ならない
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、1つの前記柱状配線の形状は、他のいずれかの前記柱状配線の形状とは異なっている
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記インダクタ配線は、
前記主面と平行に延びる第1インダクタ配線と、
前記主面に直交する方向において前記第1インダクタ配線とは異なる箇所に位置し、且つ前記主面と平行に延びる第2インダクタ配線と、を含み、
前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線は、前記柱状配線を介して直列接続しており、
前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記第2インダクタ配線は、前記第1インダクタ配線のすべてを包含する最小の仮想長方形の範囲内に位置している
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記インダクタ配線は、前記主面に直交する方向において前記第2インダクタ配線と同層に位置し、且つ前記主面と平行に延びる接続配線を含み、
前記第1インダクタ配線及び前記接続配線は、前記柱状配線を介して直列接続しており、
前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記接続配線は、前記仮想長方形の範囲内に位置している
請求項5に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記主面に直交する方向において同一の箇所に存在する前記柱状配線の形状は同じである
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記素体の外面の一部を覆う外部電極をさらに備え、
前記柱状配線は、前記外部電極に接続しないビアと、前記外部電極に接続する引出配線と、を含み、
前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記引出配線の形状は、前記ビアの形状と異なっている
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記素体は、
前記インダクタ配線に対して前記主面側に位置する第1磁性層と、
前記主面に直交する方向において前記インダクタ配線と同層に位置する第2磁性層と、
前記インダクタ配線に対して前記主面とは反対側に位置する第3磁性層と、を有し、
前記柱状配線は、前記主面に直交する方向において前記第3磁性層と同層に位置し、且つ前記第3磁性層と接触しており、
前記柱状配線の前記主面とは反対側の面は、前記素体から露出しており、
前記第3磁性層の前記主面に直交する方向の寸法は、前記第1磁性層の前記主面に直交する方向の寸法よりも小さい
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記素体は、
前記インダクタ配線に対して前記主面側に位置する第1磁性層と、
前記主面に直交する方向において前記インダクタ配線と同層に位置する第2磁性層と、
前記インダクタ配線に対して前記主面とは反対側に位置する第3磁性層と、を有し、
前記第1磁性層における前記インダクタ配線側の面に配置された第1絶縁層と、
前記インダクタ配線における前記第1磁性層とは反対側の面に配置された第2絶縁層と、
前記主面に直交する方向において前記インダクタ配線と同層に位置する側面絶縁層と、をさらに備え、
前記柱状配線は、前記主面に直交する方向において前記第3磁性層と同層に位置し、且つ前記第3磁性層と接触しており、
前記柱状配線の前記主面とは反対側の面は、前記素体から露出しており、
前記インダクタ配線は、前記第1磁性層、前記第2磁性層、及び前記第3磁性層に接触していない
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項11】
前記配線本体は、前記配線本体の中心線に直交する断面の断面積が最大となる最大箇所と、前記配線本体の中心線に直交する断面の断面積が最小となる最小箇所と、を有しており、
前記最大箇所の断面積は、前記最小箇所の断面積に対して2倍以上大きい
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項12】
前記主面に対して直交する方向で前記素体を透視した場合に、一対の前記パッド部のうちの1つである特定パッド部は、前記インダクタ配線の他の部分を間に介することなく前記主面の外縁に隣り合っており、
前記主面に対して直交する方向で前記素体を透視した場合に、前記主面が有する4つの角部のうち、前記特定パッド部に最も近い前記角部を特定角部としたとき、
前記特定角部から前記特定パッド部の外縁までの最短距離は、前記特定角部を除くいずれかの前記角部から前記配線本体までの最短距離未満である
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項13】
前記素体は、磁性材を含み、
前記主面は、直線状の辺を有しており、
前記配線本体は、前記直線状の辺に平行に延び、且つ当該辺に対して前記インダクタ配線の他の部分を間に挟むことなく隣り合う平行部分を有し、
前記配線本体において当該配線本体の中心線に直交し、且つ前記主面に平行な方向の寸法を幅寸法とし、
前記主面に直交する方向から透視した場合での前記辺から前記平行部分までの最短距離を特定距離としたとき、
前記特定距離は、前記平行部分の前記幅寸法よりも小さい
請求項1に記載のインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインダクタ部品は、封止材、支持部材、2つの外部電極及び2つのインダクタ配線を有している。封止材は、略直方体状である。支持部材は、薄板状の絶縁基材である。支持部材は、封止材の内部に位置している。1つの外部電極は、封止材の端面において露出している。もう1つの外部電極は、上述の端面と向かい合う端面において露出している。インダクタ配線のうちの1つは、支持部材の第1主面上を延びている。インダクタ配線のうちのもう1つは、支持部材の第2主面上を延びている。支持部材の第1主面に直交する方向でインダクタ部品を透視したとき、ビアの中心線は、インダクタ配線の中心線上に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のインダクタ部品のように、ビアの中心線がインダクタ配線の中心線上に位置しているという前提の下では、インダクタ配線の配置及び形状に、設計上の制限が生じる。そのため、インダクタ配線の長さを十分に確保できなかったり、インダクタ配線の太さを十分に確保できなかったりするおそれがある。つまり、特許文献1に記載のインダクタ部品は、Q値の向上という点で改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、平面状の主面を有する素体と、前記素体内において前記主面と平行に延びるインダクタ配線と、前記主面に交差する方向に延びる複数の柱状配線と、を備え、前記インダクタ配線は、当該インダクタ配線の両端部に位置し、前記柱状配線が接続されている一対のパッド部と、一対の前記パッド部を繋ぐ配線本体と、を有し、前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、複数の前記柱状配線から選ばれる1つ以上は、前記インダクタ配線の中心線に重ならない箇所で、当該インダクタ配線に接続しているインダクタ部品である。
【0006】
上記構成によれば、柱状配線の位置がインダクタ配線の中心線上に制限されないので、インダクタ配線の設計自由度が向上する。そのため、Q値が向上するようにインダクタ配線を設計できる可能性が高まる。
【発明の効果】
【0007】
Q値が向上するようなインダクタ配線を設計できる可能性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図3は、
図2における3-3線に沿うインダクタ部品の断面図である。
【
図4】
図4は、
図2における4-4線に沿うインダクタ部品の断面図である。
【
図5】
図5は、
図2における5-5線に沿うインダクタ部品の断面図である。
【
図6】
図6は、主面に直交する方向を向いて透視したときのインダクタ配線の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、インダクタ部品について説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものとは異なる場合がある。
【0010】
<全体構成について>
図1に示すように、インダクタ部品10は、全体として略直方体状である。インダクタ部品10は、素体11と、素体11の内部で延びる3つのインダクタ配線20と、素体11から露出する2つの外部電極30と、6つの柱状配線40と、絶縁層60と、を備えている。
【0011】
素体11は、6つの平面状の外面を有している。これら6つの外面のうち、特定の1つの面を主面11Aとする。また、主面11Aと反対側に位置し、主面11Aと平行な面を実装面11Bとする。さらに、主面11Aに垂直な4つの面を側面11Cとする。主面11Aの外形、実装面11Bの外形、及び4つの側面11Cの外形は、いずれも長方形状である。
【0012】
ここで、主面11Aに垂直な軸を第1軸Xとする。また、第1軸Xに直交し、且つ主面11Aの特定の一辺、本実施形態では主面11Aの長辺に平行な軸を第2軸Yとする。さらに、第1軸X及び第2軸Yに垂直な軸を第3軸Zとする。また、第1軸Xに沿う方向のうちの主面11Aが向く方向を第1正方向X1とし、第1正方向X1と反対方向を第1負方向X2とする。また、第2軸Yに沿う方向のうち特定の一方向を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1と反対方向を第2負方向Y2とする。さらに、第3軸Zに沿う方向のうちの特定の一方向を第3正方向Z1とし、第3正方向Z1と反対方向を第3負方向Z2とする。
【0013】
図5に示すように、素体11は、磁性層50として第1磁性層51、第2磁性層52、第3磁性層53、及び第1層間磁性層51A、第2層間磁性層52A、及び第3層間磁性層53Aを有している。これら磁性層50の材質は、金属磁性粉を含有する有機樹脂である。すなわち、素体11は、磁性材を含んでいる。この実施形態では、金属磁性粉は、Fe系合金又はアモルファス合金からなる金属磁性粉である。より具体的には、金属磁性粉は、鉄を含むFeSiCr系金属粉である。なお、金属磁性粉は、例えば、FeSiCr系磁性紛に限らず、FeCo系、FeSiAr系、酸化鉄系、及びこれらの組み合わせでもよい。また、有機樹脂はエポキシ系、イミド系、液晶ポリマー系、アクリル系、フェノール系、及びこれらの組み合わせでもよい。また、有機樹脂において、上記材質に加えて無機フィラーが混在していてもよい。
【0014】
また、金属磁性粉の粒度分布におけるメディアン粒径(D50)は、主面11Aに直交する方向から素体11を透視したときにインダクタ配線20から主面11Aの外縁までの最短距離に対して、10分の1以下である。なお、金属磁性粉のメディアン粒径(D50)は、例えば次のようにして算出する。まず、走査型電子顕微鏡(SEM)によって金属磁性粉をサンプリングして、粒度分布を取得する。次に、当該粒度分布において、最も小さい粒径から大きい粒径にかけて、当該粒径の頻度を積算する。当該積算値が50%となるときの粒径を、メディアン粒径(D50)とする。
【0015】
図2に示すように、インダクタ配線20は、第1インダクタ配線21と、第2インダクタ配線22と、接続配線23と、を含んでいる。各インダクタ配線20の材質は、導電性材料である。本実施形態において、インダクタ配線20の組成は、例えば、銅の比率が99wt%以上で硫黄の比率が0.1wt%以上1.0wt%以下である。なお、インダクタ配線20は、銅を主成分とする導体に限らず、Ag、Al、及びAuを主成分とする導体であってもよい。
【0016】
第1インダクタ配線21、第2インダクタ配線22、及び接続配線23は、素体11内において、主面11Aと平行に延びている。第2インダクタ配線22及び接続配線23は、主面11Aに直交する方向において第1インダクタ配線21とは異なる箇所に位置する。また、第2インダクタ配線22、第1インダクタ配線21、及び接続配線23は、この順番で直列に接続している。
【0017】
外部電極30は、第1外部電極31と、第2外部電極32と、を含んでいる。各外部電極30は、素体11の実装面11B上に位置している。すなわち、各外部電極30は、素体11の外面の一部を覆っている。
【0018】
第1外部電極31は、実装面11B上において、実装面11Bの幾何中心に対して、第2正方向Y1側に位置している。第2外部電極32は、実装面11B上において、実装面11Bの幾何中心に対して、第2負方向Y2側に位置している。
【0019】
各柱状配線40は、主面11Aに交差する方向に延びている。本実施形態では、主面11Aと直交する方向に延びている。各柱状配線40は、第1インダクタ配線21、第2インダクタ配線22、接続配線23、各外部電極30を、第1軸Xに沿う方向において接続している。
【0020】
図5に示すように、インダクタ部品10は、絶縁層60として第1絶縁層61、第2絶縁層62、第3絶縁層63、第1側面絶縁層61A及び第2側面絶縁層62Aを有している。これら絶縁層60の材質は、絶縁性の樹脂である。この実施形態では、例えばポリイミド系樹脂である。
【0021】
図5に示すように、インダクタ部品10は、全体として第1軸Xに沿う方向に8つの層が積層されたような構造になっている。なお、インダクタ部品10の層構造は、SAP(Semi Additive Process:セミアディティブ工法)により当該インダクタ部品10を製造することにより形成される。本実施形態のインダクタ部品10は、第1層L1から第8層L8へと順に形成される。このSAPについては、例えば特開2020-136467号公報に記載されているような公知の製造方法に準じて製造することができる。
【0022】
第1層L1は、第1磁性層51からなる。第1磁性層51の第1正方向X1側の面が、主面11Aである。本実施形態では、第1層L1の主面11Aに直交する方向の寸法は、230μmである。
【0023】
第2層L2は、第1層L1における第1負方向X2側の面に積層されている。本実施形態では、第2層L2の主面11Aに直交する方向の寸法は、10μmである。第2層L2は、第1絶縁層61と、第1層間磁性層51Aと、を有している。第1絶縁層61は、第1層L1における第1負方向X2側の面の一部に積層されている。第1絶縁層61の形成領域は、後述する第1インダクタ配線21及び第1側面絶縁層61Aの位置に対応している。第1層間磁性層51Aは、第2層L2において第1絶縁層61以外の部分を構成している。
【0024】
第3層L3は、第2層L2における第1負方向X2側の面に積層されている。本実施形態では、第3層L3の主面11Aに直交する方向の寸法は、70μmである。第3層L3は、第1インダクタ配線21と、第1側面絶縁層61Aと、第2磁性層52のうちの第1部分P1と、を有している。
【0025】
図4に示すように、第1インダクタ配線21は、主面11Aと平行、且つ渦巻き状に延びている。第1正方向X1側を向いて透視したとき、第1インダクタ配線21は、第1絶縁層61の範囲内に位置している。
図5に示すように、第1インダクタ配線21は、第1シード層21Aを含んでいる。第1シード層21Aは、第1絶縁層61における第1負方向X2を向く側の面に配置されている。第1シード層21Aは、第1絶縁層61に接触している。第1シード層21Aの材質は、銅である。なお、第1シード層21A上に電解銅めっきを行うことで、第1シード層21A上で銅が成長し、第1インダクタ配線21の全体が形成される。このように、第1インダクタ配線21は、第2層L2の第1絶縁層61における主面11Aとは反対側の面に配置されている。また、換言すると、第1磁性層51は、第1インダクタ配線21に対して主面11A側に位置している。
【0026】
図4に示すように、第1インダクタ配線21は、一対の第1パッド部21Pと、第1配線本体21LBと、を有している。一対の第1パッド部21Pは、第1インダクタ配線21の両端部に位置している。一対の第1パッド部21Pのうちの一つを、第1内側パッド部21PIとする。一対の第1パッド部21Pのうちの残りの一つを、第1外側パッド部21POとする。第1内側パッド部21PIは、第1正方向X1を向いて透視したとき、第3層L3の幾何中心に対して第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置している。第1外側パッド部21POは、第1内側パッド部21PIに対して、さらに第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置している。
【0027】
第1配線本体21LBは、一対の第1パッド部21Pを繋いでいる。具体的には、第1正方向X1を向いて第3層L3を視たとき、第1配線本体21LBは、第1内側パッド部21PIから、第1外側パッド部21POに向かって、時計回りに、ターン数が大きくなるほど径が大きくなるように延びている。第1インダクタ配線21のターン数は、1.0ターンである。
【0028】
なお、第1インダクタ配線21のターン数は、仮想ベクトルに基づいて定められている。仮想ベクトルの始点は、第1インダクタ配線21の中心線CL1上に配置されている。そして、仮想ベクトルは、第1負方向X2を向いて視たときに始点を中心線CL1の第1端に配置した状態から中心線CL1の第2端まで移動させたときに、仮想ベクトルの向きが回転した角度が360度のときに、ターン数は1.0ターンとして定められる。ただし、仮想ベクトルの向きが、複数回巻回する場合、連続する同一方向の巻回である場合にターン数が増加するものとする。
【0029】
また、インダクタ配線20の中心線は、以下のようにして定められている。第1正方向X1を向いて透視したとき、インダクタ配線20の縁上の任意の点からその反対側の縁へと引ける線分のうち、最も短い線分を特定する。この特定された線分の中央を通る点を繋いだ線を、第1正方向X1を向いて透視したときのインダクタ配線20の中心線とする。なお、第1配線本体21LBの中心線CL1は、第1インダクタ配線21の中心線CL1と一致している。本実施形態では、第1配線本体21LBの中心線CL1も第1インダクタ配線21の中心線CL1と同じ符号を付している。
【0030】
また、第1正方向X1を向いて透視したときの第1配線本体21LBと第1パッド部21Pとの境界線は、上記中心線CL1に直交する仮想線とする。具体的には、第1正方向X1を向いて透視した状態で、柱状配線40の外縁のうち最も第1配線本体21LB側の点を特定する。そして、当該特定した点の接線であって上記中心線CL1に直交する仮想線を、第1配線本体21LBと第1パッド部21Pとの境界線とする。そして、この境界線から上記柱状配線40を含む側の第1インダクタ配線21の部分が、第1パッド部21Pである。
【0031】
図5に示すように、第1インダクタ配線21の外面のうち、第1正方向X1を向く面及び第1負方向X2を向く面を除いた面を当該第1インダクタ配線21の側面とする。第1側面絶縁層61Aは、第1インダクタ配線21の側面全体を覆っている。また、第1正方向X1を向いて視たとき、第1側面絶縁層61Aは、第2層L2における第1絶縁層61の範囲内に位置している。
【0032】
第1部分P1は、第3層L3のうちの第1インダクタ配線21及び第1側面絶縁層61Aを除く部分を構成している。すなわち、第1部分P1は、素体11のうち、主面11Aに直交する方向において第1インダクタ配線21と同じ層の部分である。また、第1正方向X1を向いて視たとき、第1側面絶縁層61Aは、第2層L2における第1絶縁層61の範囲内に位置している。
【0033】
図5に示すように、第4層L4は、第3層L3における第1負方向X2側の面に積層されている。本実施形態では、第4層L4の主面11Aに直交する方向の寸法は、10μmである。第4層L4は、2つの柱状配線40と、第2絶縁層62と、第2層間磁性層52Aを有している。
【0034】
図2に示すように、第4層L4の2つの柱状配線40は、第1ビア41と、第2ビア42と、である。第1ビア41は、円柱状である。第1ビア41の材質は、インダクタ配線20の材質と同じである。第1ビア41の第1正方向X1側を向く面は、第1内側パッド部21PIに接続している。第2ビア42は、円柱状である。第2ビア42の材質は、インダクタ配線20の材質と同じである。第2ビア42の第1正方向X1側を向く面は、第1外側パッド部21POに接続している。
【0035】
図5に示すように、第2絶縁層62は、第1ビア41及び第2ビア42が位置する部分を除き、第3層L3の第1インダクタ配線21の第1負方向X2を向く面及び第1側面絶縁層61Aの第1負方向X2を向く面を覆っている。すなわち、第2絶縁層62は、第1インダクタ配線21における第1磁性層51とは反対側の面に積層されている。第2層間磁性層52Aは、第4層L4のうちの2つの柱状配線40と、第2絶縁層62を除く部分を構成している。なお、第1正方向X1側を向いて透視したとき、第1絶縁層61の外縁及び第2絶縁層62の外縁は一致している。ただし、ここでいう「一致」とは、製造上の誤差等を許容するものである。具体的には、上記2つの外縁同士に15μm程度のずれを有していたとしても、当該2つの外縁は一致しているものとする。
【0036】
図5に示すように、第5層L5は、第4層L4における第1負方向X2側の面に積層されている。本実施形態では、第5層L5の主面11Aに直交する方向の寸法は、70μmである。第5層L5は、第2インダクタ配線22と、接続配線23と、第2側面絶縁層62Aと、第2磁性層52のうちの第2部分P2と、を有している。
【0037】
図3に示すように、第2インダクタ配線22は、主面11Aと平行、且つ渦巻き状に延びている。第1正方向X1側を向いて透視したとき、第2インダクタ配線22は、第1絶縁層61の範囲内に位置している。
図5に示すように、第2インダクタ配線22は、第2シード層22Aを含んでいる。第2シード層22Aは、第2絶縁層62における第1負方向X2側の面に配置されている。第2シード層22Aは、第2絶縁層62に接触している。第2シード層22Aの材質は、銅である。なお、第2シード層22A上に電解銅めっきを行うことで、第2シード層22A上で銅が成長し、第2インダクタ配線22の全体が形成される。このように、第2インダクタ配線22は、第2絶縁層62における第1インダクタ配線21とは反対側の面に配置されている。
【0038】
図3に示すように、第2インダクタ配線22は、一対の第2パッド部22Pと、第2配線本体22LBと、を有している。なお、第2配線本体22LBと第2パッド部22Pとの境界線の定義は、第1インダクタ配線21と同様である。一対の第2パッド部22Pは、第2インダクタ配線22の両端部に位置している。一対の第2パッド部22Pのうちの一つを、第2内側パッド部22PIとする。一対の第2パッド部22Pのうちの残りの一つを、第2外側パッド部22POとする。第2内側パッド部22PIは、第1正方向X1を向いて透視したとき、第5層L5の幾何中心に対して第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置している。また、第2内側パッド部22PIの第1正方向X1側を向く面は、第1ビア41に接続している。すなわち、第1ビア41は、第1インダクタ配線21及び第2インダクタ配線22を直列接続している。第2外側パッド部22POは、第1正方向X1を向いて透視したとき、第5層L5の幾何中心に対して第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置している。
【0039】
第2配線本体22LBは、一対の第2パッド部22Pを接続している。具体的には、第1正方向X1を向いて第5層L5を視たとき、第2配線本体22LBは、第2内側パッド部22PIから、第2外側パッド部22POに向かって、反時計回りに、ターン数が大きくなるほど径が大きくなるように延びている。第2インダクタ配線22のターン数は、1.5ターンである。すなわち、第1インダクタ配線21のターン数は、第2インダクタ配線22のターン数よりも小さい。
【0040】
なお、第2インダクタ配線22のターン数も同様に、仮想ベクトルに基づいて定められている。仮想ベクトルの始点は、第2インダクタ配線22の中心線CL2上に配置されている。そして、仮想ベクトルは、第1正方向X1を向いて視たとき、始点を中心線CL2上の第1端に配置した状態から中心線CL2の第2端まで移動させたときに、仮想ベクトルの向きが回転した角度が360度のときに、ターン数は1.0ターンとして定められる。ただし、仮想ベクトルの向きが、複数回巻回する場合、連続する同一方向の巻回である場合にターン数が増加するものとする。なお、第2配線本体22LBの中心線CL2は、第2インダクタ配線22の中心線CL2と一致している。本実施形態では、第2インダクタ配線22の中心線CL2も第2配線本体22LBの中心線CL2と同じ符号を付している。
【0041】
接続配線23は、第2インダクタ配線22に対して第2負方向Y2側に位置している。接続配線23は、主面11Aと平行に延びている。接続配線23は、第1正方向X1側を向いて透視したとき、第1絶縁層61の範囲内に位置している。特に、接続配線23は、第1正方向X1側を向いて透視したとき、第1インダクタ配線21の範囲内に位置している。具体的には、接続配線23は、第3軸Zに平行に直線状に延びている。図示は省略するが、接続配線23は、第1インダクタ配線21及び第2インダクタ配線22と同様に、シード層を含んでいる。
【0042】
図3に示すように、接続配線23は、一対の第3パッド部23Pと、接続配線本体23LBと、を有している。なお、接続配線本体23LBと第3パッド部23Pとの境界線の定義は、第1インダクタ配線21と同様である。一対の第3パッド部23Pは、接続配線23の両端部に位置している。一対の第3パッド部23Pのうちの一つを、第3角部側パッド部23PIとする。一対の第3パッド部23Pのうちの残りの一つを、第3中央側パッド部23POとする。第3角部側パッド部23PIは、第1正方向X1を向いて透視したとき、第5層L5の幾何中心に対して第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置している。また、第3角部側パッド部23PIの第1正方向X1側を向く面は、第2ビア42に接続している。すなわち、第2ビア42は、第1インダクタ配線21及び接続配線23を直列接続している。第3中央側パッド部23POは、第1正方向X1を向いて透視したとき、第5層L5の幾何中心に対して第2負方向Y2側に位置している。
【0043】
接続配線本体23LBは、一対の第3パッド部23Pを接続している。具体的には、第1正方向X1を向いて第5層L5を視たとき、接続配線本体23LBは、第3角部側パッド部23PIから、第3中央側パッド部23POに向かって、直線状に延びている。
【0044】
図5に示すように、第2インダクタ配線22の外面のうち、第1正方向X1を向く面及び第1負方向X2を向く面を除いた面を当該第2インダクタ配線22の側面とする。また、接続配線23の外面のうち、第1正方向X1を向く面及び第1負方向X2を向く面を除いた面を当該接続配線23の側面とする。第2側面絶縁層62Aは、第2インダクタ配線22の側面全体及び接続配線23の側面全体を覆っている。また、第2側面絶縁層62Aは、第1正方向X1側を向いて透視したとき、第1絶縁層61の範囲内に位置している。
【0045】
第2部分P2は、第5層L5のうち第2インダクタ配線22、接続配線23及び第2側面絶縁層62Aを除く部分を構成している。すなわち、第2部分P2は、素体11のうち、主面11Aに直交する方向において第2インダクタ配線22と同じ層の部分である。このように、第1部分P1及び第2部分P2を含む第2磁性層52は、主面11Aと直交する方向においてインダクタ配線20と同層に位置している。なお、第1正方向X1を向いて透視したとき、第1部分P1の形状及び第2部分P2の形状が一致している。
【0046】
第6層L6は、第5層L5における第1負方向X2側の面に積層されている。本実施形態では、第6層L6の主面11Aに直交する方向の寸法は、10μmである。第6層L6は、2つの柱状配線40と、第3絶縁層63と、第3層間磁性層53Aと、を有している。
【0047】
図2に示すように、第6層L6の2つの柱状配線40は、第3ビア43と、第4ビア44と、である。第3ビア43は、断面が略楕円状の柱状である。第3ビア43の材質は、インダクタ配線20の材質と同じである。第3ビア43の第1正方向X1側を向く面は、第2インダクタ配線22の第2外側パッド部22POに接続している。第4ビア44は、断面が略楕円状の柱状である。第4ビア44の材質は、インダクタ配線20の材質と同じである。第4ビア44の第1正方向X1側を向く面は、接続配線23の第3中央側パッド部23POに接続している。
【0048】
図5に示すように、第3絶縁層63は、第5層L5における第1負方向X2側の面の一部に積層されている。第3絶縁層63の形成領域は、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第3ビア43及び第4ビア44が位置する部分を除き、第1絶縁層61の位置に対応している。第3層間磁性層53Aは、第6層L6のうちの第3ビア43、第4ビア44、及び第3絶縁層63以外の部分を構成している。
【0049】
第7層L7は、第6層L6における第1負方向X2側の面に積層されている。本実施形態では、第7層L7の主面11Aに直交する方向の寸法は、70μmである。第7層L7は、2つの柱状配線40と、第3磁性層53と、を有している。
【0050】
図1及び
図2に示すように、第7層L7が有する2つの柱状配線40は、第1引出配線45と、第2引出配線46と、である。第1引出配線45は、断面が略楕円状の柱状である。第1引出配線45の長径及び短径は、第3ビア43の長径及び短径よりもわずかに大きくなっている。第1引出配線45の材質は、インダクタ配線20の材質と同じである。第1引出配線45の第1負方向X2側の面は、実装面11Bから露出している。そして、第1引出配線45の第1負方向X2側を向く面は、第1外部電極31に接続している。また、第1引出配線45の第1正方向X1側を向く面は、第3ビア43に接続している。すなわち、第1引出配線45は、第3ビア43を介して第2インダクタ配線22及び第1外部電極31を接続している。
【0051】
第2引出配線46は、断面が略楕円状の柱状である。第2引出配線46の長径及び短径は、第4ビア44の長径及び短径よりもわずかに大きくなっている。第2引出配線46の第1負方向X2側の面は、実装面11Bから露出している。そして、第2引出配線46の第1負方向X2側の面は、第2外部電極32に接続している。また、第2引出配線46の第1正方向X1側を向く面は、第4ビア44に接続している。すなわち、第2引出配線46は、第4ビア44を介して接続配線23及び第2外部電極32を接続している。
【0052】
図5に示すように、第3磁性層53は、第7層L7のうちの第1引出配線45、第2引出配線46を除く部分を構成している。すなわち、第3磁性層53は、第2インダクタ配線22に対して主面11Aとは反対側に位置している。第3磁性層53の第1負方向X2側の面が実装面11Bである。また、第3磁性層53は、2つの柱状配線40の周囲に位置している。そして、第3磁性層53は、これら2つの柱状配線40に接触している。
【0053】
また、上述したように、第7層L7の主面11Aに直交する方向の寸法は、第1層L1の主面11Aに直交する方向の寸法よりも小さい。すなわち、第3磁性層53の主面11Aに直交する方向の寸法は、第1磁性層51の主面11Aに直交する方向の寸法よりも小さい。
【0054】
第8層L8は、第7層L7における第1負方向X2側の面に積層されている。第8層L8は、2つの外部電極30と、ソルダーレジスト70と、を有している。なお、本実施形態では、ソルダーレジスト70の主面11Aに直交する方向の寸法は、10μmである。一方で、本実施形態では、各外部電極30の主面11Aに直交する方向の寸法は、10.1μmである。
【0055】
図2に示すように、2つの外部電極30は、第1外部電極31と、第2外部電極32と、である。各外部電極30は、第1正方向X1を向いて視たとき、略長方形である。2つの外部電極30は同じ形状である。上述したように、第1外部電極31は、第1引出配線45に接続している。第2外部電極32は、第2引出配線46に接続している。第8層L8のうち、2つの外部電極30を除く部分は、ソルダーレジスト70になっている。ソルダーレジスト70は、素体11よりも絶縁性が高くなっている。
【0056】
なお、上述したように、第1絶縁層61は、第1インダクタ配線21の第1正方向X1側の面を覆っている。また、第1側面絶縁層61Aは、第1インダクタ配線21の側面を覆っている。第2絶縁層62は、第1インダクタ配線21の第1負方向X2側の面及び第2インダクタ配線22の第1正方向X1側の面を覆っている。そして、第2側面絶縁層62Aは、第2インダクタ配線22の側面を覆っている。さらに、第3絶縁層63は、第2インダクタ配線22の第1負方向X2側を覆っている。このように、インダクタ配線20の外面のすべては、これらの絶縁層60、及び柱状配線40に覆われている。つまり、インダクタ配線20は、磁性層50にも接触していない。具体的には、インダクタ配線20は、第1磁性層51、第2磁性層52、及び第3磁性層53、第1層間磁性層51A、第2層間磁性層52Aに接触していない。
【0057】
また、素体11の側面11Cのうち、主面11Aの長辺を含む側面11Cを特定側面SP11Cとする。特定側面SP11Cは、第1磁性層51、第2磁性層52、第3磁性層53、第1層間磁性層51A、第2層間磁性層52A及び第3層間磁性層53Aの側面からなる。すなわち、特定側面SP11Cのすべての領域は磁性層である。
【0058】
なお、
図5において各層の境界を仮想的に一点鎖線で示している。その一方で、隣り合う磁性層50同士が一体化していることもある。すなわち、隣り合う磁性層50同士の間に明確な境界はなくてもよい。この点、絶縁層60においても同様で、隣り合う絶縁層60同士の間に明確な境界はなくてもよい。
【0059】
<インダクタ配線の断面積について>
図5に示すように、第1配線本体21LB及び第2配線本体22LBにおいて、中心線に直交する断面において断面視したとき、各配線本体の断面形状は、長方形状である。第1配線本体21LB及び第2配線本体22LBにおいて、中心線に直交し、且つ主面11Aに直交する方向の寸法を厚さ寸法とする。第1配線本体21LBの厚さ寸法は、一定である。また、第2配線本体22LBの厚さ寸法は、一定である。また、
図5に示すように、第3層L3の主面11Aに直交する方向の寸法と、第5層L5の主面11Aに直交する寸法と、は同じである。すなわち、第1配線本体21LBの厚さ寸法は、第2配線本体22LBの厚さ寸法と同じである。
【0060】
また、第1配線本体21LB及び第2配線本体22LBにおいて、中心線に直交し、且つ主面11Aに平行な方向の寸法を幅寸法とする。
図3に示すように、第2配線本体22LBの幅寸法A1は、一定である。上述したように第2配線本体22LBの厚さ寸法も一定であることから、第2配線本体22LBの中心線CL2に直交する断面の断面積は、一定である。なお、幅寸法が一定とは、製造上の誤差を許容するものである。つまり、幅寸法が一定とは、複数箇所の幅寸法の平均値に対し、平均値との差が最大となる値が、当該平均値の20%以下のことである。この点、厚さ寸法も同様である。
【0061】
図4に示すように、第1配線本体21LBにおいて、第1内側パッド部21PI近傍位置の幅寸法よりも、第1外側パッド部21PO近傍位置の幅寸法の方が大きい。具体的には、第1インダクタ配線21の第1内側パッド部21PIを始点として0ターンから0.25ターンまでの幅寸法A2は、第1配線本体21LBのうちで最小の幅寸法である。第1配線本体21LBの幅寸法A2は、第2配線本体22LBの幅寸法A1と同じである。
【0062】
また、第1インダクタ配線21の0.25ターンから0.75ターンまでは、第1配線本体21LBの幅寸法が徐々に大きくなっている。そして、第1インダクタ配線21の0.75ターンから1.0ターンまでの幅寸法A3は、第1配線本体21LBのうちで最大の幅寸法である。第1配線本体21LBの幅寸法の最大値と、第1配線本体21LBの幅寸法の最小値と、の差は2倍以上である。換言すると、第1配線本体21LBの幅寸法の最大値は、第2配線本体22LBの幅寸法の最大値に対して2倍以上である。また、このような幅寸法の関係によれば、第1配線本体21LBの中心線CL1に直交する断面において最大の断面積は、第2配線本体22LBの中心線CL2に直交する断面における最大の断面積に対して2倍以上大きい。
【0063】
第1配線本体21LBは、第1配線本体21LBの中心線CL1に直交する断面及び第2配線本体22LBの中心線CL2に直交する断面において断面積が最大となる最大箇所を有している。最大箇所は、第1配線本体21LBのうち、幅寸法が最大となる箇所と一致している。また、第1配線本体21LBは、第1配線本体21LBの中心線CL1に直交する断面及び第2配線本体22LBの中心線CL2に直交する断面において断面積が最小となる最小箇所を有している。最小箇所は、第1配線本体21LBのうち、幅寸法が最小となる箇所と一致している。また、第1配線本体21LBにおける最小箇所の断面積は、第2配線本体22LBの断面積と一致している。したがって、第2配線本体22LBも、最小箇所を有している。最大箇所の断面積は、最小箇所の断面積に対して2倍以上大きい。
【0064】
図5に示すように、第1配線本体21LBの最大箇所において中心線CL1に直交する断面で断面視したとする。このとき、第1配線本体21LBの最大箇所の第1負方向X2側に第2配線本体22LBの最小箇所が2つ分位置している。すなわち、主面11Aに平行な方向における、第1配線本体21LBの外面のうち主面11Aを向く面の範囲内に、2箇所の第2配線本体22LBが位置している。
【0065】
<柱状配線及びインダクタ配線の中心線の位置関係について>
図3に示すように、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第1ビア41は、第2インダクタ配線22の中心線CL2と重なっている。また、
図4に示すように、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第1ビア41は、第1インダクタ配線21の中心線CL1と重なっている。具体的には、第1ビア41の幾何中心は、第2インダクタ配線22の中心線CL2上、且つ第1インダクタ配線21の中心線CL1上に位置している。
【0066】
図3に示すように、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第2ビア42は、接続配線23の中心線CL3と重なっている。具体的には、第2ビア42の幾何中心は、接続配線23の中心線CL3上に位置している。一方で、
図4に示すように、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第2ビア42は第1インダクタ配線21の中心線CL1に重ならない箇所で、第1インダクタ配線21に接続している。具体的には、第2ビア42の全域が、第1インダクタ配線21の中心線CL1に対して第2負方向Y2側に位置している。
【0067】
また、
図3に示すように、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第3ビア43は、第2インダクタ配線22の中心線CL2と重なっている。具体的には、第3ビア43の幾何中心は、第2インダクタ配線22の中心線CL2上に位置している。主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第4ビア44は、接続配線23の中心線CL3と重なっている。具体的には、第4ビア44の幾何中心は、接続配線23の中心線CL3上に位置している。また、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第1引出配線45は、第2インダクタ配線22の中心線CL2と重なっている。具体的には、第1引出配線45の幾何中心は、第2インダクタ配線22の中心線CL2上に位置している。主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第2引出配線46は、接続配線23の中心線CL3と重なっている。具体的には、第2引出配線46の幾何中心は、接続配線23の中心線CL3上に位置している。
【0068】
ここで、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、主面11Aの幾何中心を通り、主面11Aの短辺に平行な軸を第1中心軸C1とする。また、主面11Aの幾何中心を通り、第1中心軸C1に直交し、且つ主面11Aに平行な軸を第2中心軸C2とする。そして、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第2ビア42は、第1中心軸C1及び第2中心軸C2のいずれにも重ならない。具体的には、第2ビア42は、主面11Aの幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側の角部COの近くに位置している。
【0069】
ここで、
図3に示すように、接続配線23の中心線CL3の延び方向の中点を接続中点CPとする。主面11Aに直交する方向を向いて透視したとき、第2ビア42は、接続中点CPと重なっていない。
【0070】
<柱状配線の形状について>
上述したように、第1ビア41及び第2ビア42は、いずれも円柱状である。換言すると、主面11Aに直交する方向を向いて透視したとき、第1ビア41及び第2ビア42は、正円形状である。また、上述したように、第3ビア43、第4ビア44、第1引出配線45、及び第2引出配線46は、断面が略楕円状の柱状である。第3ビア43及び第4ビア44の大きさは同じである。第1引出配線45及び第2引出配線46の大きさは同じである。
【0071】
このように、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第1引出配線45及び第2引出配線46の形状は、第1ビア41及び第2ビア42の形状と異なっている。換言すると、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、1つ以上の柱状配線40の形状は、他のいずれかの柱状配線40の形状とは異なっている。
【0072】
また、第1ビア41及び第2ビア42は、どちらも第4層L4に位置している。第3ビア43及び第4ビア44は、どちらも第6層L6に位置している。第1引出配線45及び第2引出配線46は、どちらも第7層L7に位置している。すなわち、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、主面11Aに直交する方向において同層に存在する柱状配線40の形状は同じである。
【0073】
<インダクタ配線の位置関係について>
図6に示すように、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第1インダクタ配線21のすべてを包含する最小の仮想長方形VRを引いたとする。本実施形態では、最小の仮想長方形VRの各辺は、主面11Aのいずれかの辺に平行である。具体的には、最小の仮想長方形VRのうち、最も第2正方向Y1側に位置する辺は、第1インダクタ配線21のうち最も第2正方向Y1に位置する箇所から第3軸Zに平行に延びている。最小の仮想長方形VRのうち、最も第2負方向Y2側に位置する辺は、第1インダクタ配線21のうち最も第2負方向Y2に位置する箇所から第3軸Zに平行に延びている。
【0074】
また、最小の仮想長方形VRのうち、最も第3正方向Z1側に位置する辺は、第1インダクタ配線21のうち最も第3正方向Z1に位置する箇所から第2軸Yに平行に延びている。最小の仮想長方形VRのうち、最も第3負方向Z2側に位置する辺は、第1インダクタ配線21のうち最も第3負方向Z2側に位置する箇所から第2軸Yに平行に延びている。
【0075】
主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第2インダクタ配線22は、最小の仮想長方形VRの範囲内に位置している。また、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、接続配線23は、最小の仮想長方形VRの範囲内に位置している。
【0076】
<インダクタ配線と角部との距離について>
図4に示すように、第1正方向X1を向いて素体11を透視したとする。一対の第1パッド部21Pのうち、インダクタ配線20の他の部分を間に介することなく主面11Aの外縁に隣り合っているパッド部を、第1特定パッド部とする。本実施形態において、第1特定パッド部は、第1外側パッド部21POである。なお、以下では、第1外側パッド部21POを第1特定パッド部21POと記載することがある。
【0077】
第1正方向X1を向いて素体11を透視したとする。この場合において、主面11Aが有する4つの角部COのうち、第1特定パッド部21POに最も近い角部COを、第1特定角部SPC1とする。本実施形態において、素体11は略直方体状であるため、4つの角部COは、略直方体状の主面11Aが有する4つの頂点である。したがって、第1特定角部SPC1は、第3層L3の幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COである。
【0078】
第1特定角部SPC1から第1特定パッド部21POの外縁までの最短距離SCL1は、第1特定角部SPC1を除くいずれかの角部COから、第1配線本体21LBまでの最短距離未満である。具体的には、最短距離SCL1は、第3層L3の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第1配線本体21LBまでの最短距離COL1未満である。また、最短距離SCL1は、第3層L3の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COから、第1配線本体21LBまでの最短距離COL2未満である。さらに、最短距離SCL1は、第3層L3の幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第1配線本体21LBまでの最短距離COL3未満である。
【0079】
図3に示すように、第1正方向X1を向いて素体11を透視したとする。一対の第2パッド部22P及び一対の第3パッド部23Pのうち、インダクタ配線20の他の部分を間に介することなく主面11Aの外縁に隣り合っているパッド部を、第2特定パッド部とする。本実施形態において、第2特定パッド部は、第2外側パッド部22PO、又は第3角部側パッド部23PIである。なお、以下では、第2外側パッド部22PO、又は第3角部側パッド部23PIを第2特定パッド部22PO、又は第2特定パッド部23PIと記載することがある。
【0080】
第1正方向X1を向いて素体11を透視したとする。この場合において、主面11Aが有する4つの角部COのうち、第2特定パッド部に最も近い角部COを、第2特定角部SPC2とする。本実施形態において、素体11は略直方体状であるため、4つの角部COは、略直方体状の主面11Aが有する4つの頂点である。したがって、第2外側パッド部22POを第2特定パッド部22POとした場合には、第2特定角部SPC2は、第5層L5の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COである。若しくは、第3角部側パッド部23PIを第2特定パッド部23PIとした場合には、第2特定角部SPC2は、第5層L5の幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COである。
【0081】
第2特定角部SPC2から第2特定パッド部の外縁までの最短距離SCL2は、第2特定角部SPC2を除くいずれかの角部COから、第2配線本体22LBまでの最短距離未満である。本実施形態において、第2外側パッド部22POに最も近い角部COから第2外側パッド部22POまでの最短距離COL6と、第3角部側パッド部23PIに最も近い角部COから第3角部側パッド部23PIまでの最短距離COL8は、同一である。
【0082】
具体的には、最短距離SCL2は、第5層L5の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第2配線本体22LBまでの最短距離COL5未満である。また、最短距離SCL2は、第5層L5の幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第2配線本体22LBまでの最短距離COL7未満である。さらに、第2外側パッド部22POを第2特定パッド部22POとした場合には、最短距離SCL2は、第5層L5の幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COから、接続配線本体23LBまでの最短距離COL8未満である。また、第3角部側パッド部23PIを第2特定パッド部23PIとした場合には、最短距離SCL2は、第5層L5の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COから、第2配線本体22LBまでの最短距離COL6未満である。
【0083】
また、
図3及び
図4に示すように、第1特定角部SPC1から第1特定パッド部21POの外縁までの最短距離SCL1は、第1特定角部SPC1を除くいずれかの角部COから、第1配線本体21LB、第2配線本体22LBおよび接続配線本体23LBまでの最短距離未満である。
【0084】
具体的には、当該最短距離SCL1は、上述したように、第3層L3の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第1配線本体21LBまでの最短距離COL1未満である。且つ、最短距離SCL1は、第5層L5の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第2配線本体22LBまでの最短距離COL5未満である。また、上述したように、最短距離SCL1は、第3層L3の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COから、第1配線本体21LBまでの最短距離COL2未満である。且つ、当該最短距離SCL1は、第5層L5の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COから、第2配線本体22LBまでの最短距離COL6未満である。最短距離SCL1は、第3層L3の幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第1配線本体21LBまでの最短距離COL3未満である。且つ、最短距離SCL1は、第5層L5の幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第2配線本体22LBまでの最短距離COL7未満である。
【0085】
また、
図3及び
図4に示すように、第2特定角部SPC2から第2特定パッド部の外縁までの最短距離SCL2は、第2特定角部SPC2を除くいずれかの角部COから、第1配線本体21LB、第2配線本体22LBおよび接続配線本体23LBまでの最短距離未満である。
【0086】
具体的には、当該最短距離SCL2は、第3層L3の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第1配線本体21LBまでの最短距離COL1未満である。且つ、上述したように、最短距離SCL2は、第5層L5の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第2配線本体22LBまでの最短距離COL5未満である。また、最短距離SCL2は、第3層L3の幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第1配線本体21LBまでの最短距離COL3未満である。且つ、上述したように、最短距離SCL2は、第5層L5の幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3正方向Z1側に位置する角部COから、第2配線本体22LBまでの最短距離COL7未満である。さらに、第2外側パッド部22POを第2特定パッド部22POとした場合に、最短距離SCL2は、第3層L3の幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COから、第1配線本体21LBまでの最短距離COL4未満である。且つ、当該最短距離SCL2は、第5層L5の幾何中心に対して、第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COから、接続配線本体23LBまでの最短距離COL8未満である。また、第3角部側パッド部23PIを第2特定パッド部23PIとした場合には、最短距離SCL2は、第3層L3の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COから、第1配線本体21LBまでの最短距離COL2未満である。且つ、最短距離SCL2は、第5層L5の幾何中心に対して、第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置する角部COから、第2配線本体22LBまでの最短距離COL6未満である。
【0087】
<配線本体の平行部分について>
図4に示すように、第1配線本体21LBは、4つの第1平行部分21PPを有している。第1平行部分21PPは、第1配線本体21LBのうち、中心線CL1が主面11Aの辺に平行に延び、且つ、当該辺に対して、インダクタ配線20の他の部分を間に挟むことなく隣り合う部分である。具体的には、第1平行部分21PPは、第3層L3の幾何中心に対して、第2正方向Y1側と、第2負方向Y2側と、第3正方向Z1側と、第3負方向Z2側と、に合計で4箇所存在する。つまり、第1平行部分21PPのうちの2つは、主面11Aの長辺と平行に延びている。そして、第1平行部分21PPのうちの他の2つは、主面11Aの短辺と平行に延びている。なお、ここでいう「平行」とは、製造上の誤差等を許容するものである。具体的には、主面11Aに直交する方向から素体11を透視した場合に、中心線CL1と主面11Aの辺とがなす角が5度未満であれば、平行であるとみなす。
【0088】
ここで、主面11Aに直交する方向から素体11を透視した場合における、各第1平行部分21PPに対応する辺から、当該第1平行部分21PPまでの最短距離を第1特定距離SPL1とする。4箇所の第1平行部分21PPの第1特定距離SPL1は、略等しくなっている。そして、第1特定距離SPL1は、対応する第1平行部分21PPの幅寸法である第1幅寸法よりも小さい。具体的には、主面11Aの第2正方向Y1側の短辺に対応する第1特定距離SPL1は、当該辺に対応する第1平行部分21PPの第1幅寸法A4の約4分の1である。また、主面11Aの第2負方向Y2側の短辺に対応する第1特定距離SPL1は、当該辺に対応する第1平行部分21PPの第1幅寸法A5の約4分の1である。さらに、主面11Aの第3正方向Z1側の長辺に対応する第1特定距離SPL1は、当該辺に対応する第1平行部分21PPの第1幅寸法A3の約4分の1である。さらに、主面11Aの第3負方向Z2側の長辺に対応する第1特定距離SPL1は、当該辺に対応する第1平行部分21PPの第1幅寸法A2の約2分の1である。
【0089】
第1インダクタ配線21の外縁上の任意の点から、インダクタ配線20を間に挟むことなく、インダクタ配線20の外縁上の他の点に至るまでの最短距離を、当該任意の点での第1インダクタ配線21の第1配線間距離とする。なお、当該2点間を結んだ線分がインダクタ配線20の外縁に一致している場合は、上記「インダクタ配線20を間に挟むこと」に該当する。このとき、第1配線間距離が、第1特定距離SPL1よりも小さい箇所が存在している。具体的には、第1インダクタ配線21のうち、第1内側パッド部21PIから数えて0ターンの箇所と、第1内側パッド部21PIから数えて1.0ターンの箇所と、の第1配線間距離B1は、第1特定距離SPL1よりも小さい。なお、当該第1配線間距離B1の範囲内には、第1側面絶縁層61Aが存在している。その一方で、上記の第1配線間距離が、第1特定距離SPL1よりも大きい箇所も存在している。具体的には、第1インダクタ配線21のうち、第1内側パッド部21PIから数えて0.25ターンの箇所と、第1内側パッド部21PIから数えて0.75ターンの箇所と、の第1配線間距離B2は、第1特定距離SPL1よりも大きい。なお、当該第1配線間距離B2の範囲内には、第2磁性層52の第1部分P1及び、第1側面絶縁層61Aが存在している。
【0090】
図3に示すように、第2配線本体22LBは、3つの第2平行部分22PPを有している。第2平行部分22PPは、第2配線本体22LBのうち、中心線CL2が主面11Aの辺に平行に延び、且つ、当該辺に対して、インダクタ配線20の他の部分を間に挟むことなく隣り合う部分である。具体的には、第2平行部分22PPは、第5層L5の幾何中心に対して、第2正方向Y1側と、第3正方向Z1側と、第3負方向Z2側と、に合計で3箇所存在する。つまり、第2平行部分22PPのうちの2つは、主面11Aの長辺と平行に延びている。そして、第2平行部分22PPのうちの他の1つは、主面11Aの短辺と平行に延びている。なお、第2平行部分22PPは、第1平行部分21PPに対して第1負方向X2側に存在している。
【0091】
ここで、主面11Aに直交する方向から素体11を透視した場合における、各第2平行部分22PPに対応する辺から、当該第2平行部分22PPまでの最短距離を第2特定距離SPL2とする。3箇所の第2平行部分22PPの第2特定距離SPL2は、ほぼ等しくなっている。そして、第2特定距離SPL2は、対応する第2平行部分22PPの幅寸法である第2幅寸法よりも小さい。具体的には、主面11Aの第2正方向Y1側の短辺に対応する第2特定距離SPL2は、当該辺に対応する第2平行部分22PPの第2幅寸法A1の約2分の1である。主面11Aの第3正方向Z1側の長辺に対応する第2特定距離SPL2は、当該辺に対応する第2平行部分22PPの第2幅寸法A1の約2分の1である。主面11Aの第3負方向Z2側の長辺に対応する第2特定距離SPL2は、当該辺に対応する第2平行部分22PPの第2幅寸法A1の約2分の1である。
【0092】
第1平行部分21PPに対応する第1特定距離SPL1と、当該第1平行部分21PPの第1負方向X2側に位置する第2平行部分22PPに対応する第2特定距離SPL2とは、同一である。一方、4つの第1平行部分21PPのうち、主面11Aの第3正方向Z1側の長辺に対応する第1平行部分21PPの第1幅寸法は、第2平行部分22PPの第2幅寸法よりも大きい。また、4つの第1平行部分21PPのうち、主面11Aの両短辺に対応する第1平行部分21PPの第1幅寸法は、第2平行部分22PPの第2幅寸法よりも大きい。したがって、これら3つの第1平行部分21PPの第1幅寸法と、当該第1平行部分21PPに対応する第1特定距離SPL1との比は、第2平行部分22PPの第2幅寸法と、当該第2平行部分22PPに対応する第2特定距離SPL2との比とは異なっている。
【0093】
第2インダクタ配線22の外縁上の任意の点から、インダクタ配線20を間に挟むことなく、インダクタ配線20の外縁上の他の点に至るまでの最短距離を、当該任意の点での第2インダクタ配線22の第2配線間距離とする。このとき、第2配線間距離が、第2特定距離SPL2よりも小さい箇所が存在している。具体的には、第2インダクタ配線22のうち、第2内側パッド部22PIから数えて0.25ターンの箇所と、第2内側パッド部22PIから数えて1.25ターンの箇所と、の第2配線間距離B3は、第2特定距離SPL2よりも小さい。なお、当該第2配線間距離B3の範囲内には、第2側面絶縁層62Aが存在している。その一方で、上記の第2配線間距離が、第2特定距離SPL2よりも大きい箇所も存在している。具体的には、第2インダクタ配線22のうち、第2内側パッド部22PIから数えて0.25ターンの箇所と、第2内側パッド部22PIから数えて0.75ターンの箇所と、の第2配線間距離B4は、第2特定距離SPL2よりも大きい。なお、当該第2配線間距離B4の範囲内には、第2磁性層52の第2部分P2及び、第2側面絶縁層62Aが存在している。
【0094】
図3に示すように、接続配線本体23LBは、第3平行部分23PPを有している。第3平行部分23PPは、接続配線本体23LBのうち、中心線CL3が主面11Aの辺に平行に延び、且つ、当該辺に対して、インダクタ配線20の他の部分を間に挟むことなく隣り合う部分である。具体的には、第3平行部分23PPは、第5層L5の幾何中心に対して、第2負方向Y2側に存在する。つまり、第3平行部分23PPは、主面11Aの短辺と平行に延びている。なお、第3平行部分23PPは、第1平行部分21PPに対して第1負方向X2側に存在する。
【0095】
ここで、主面11Aに直交する方向から素体11を透視した場合における、第3平行部分23PPに対応する辺から、当該第3平行部分23PPまでの最短距離を第3特定距離SPL3とする。そして、第3特定距離SPL3は、対応する第3平行部分23PPの幅寸法である第3幅寸法A6よりも小さい。具体的には、第3特定距離SPL3は、第3平行部分23PPの第3幅寸法A6の約2分の1である。
【0096】
また、接続配線23の外縁上の任意の点から、インダクタ配線20を間に挟むことなく、インダクタ配線20の外縁上の他の点に至るまでの最短距離を、当該任意の点での接続配線23の第3配線間距離とする。このとき、第3配線間距離が、第3特定距離SPL3よりも小さい箇所が存在している。具体的には、第2インダクタ配線22の第2内側パッド部22PIから数えて1.0ターンの箇所と、接続配線23の第3中央側パッド部23POと、の第3配線間距離B5は、第3特定距離SPL3よりも小さい。なお、当該第3配線間距離の範囲内には、第2側面絶縁層62Aが存在している。また、第3配線間距離が、第3特定距離SPL3よりも大きい箇所が存在している。具体的には、第3角部側パッド部23PIの第3負方向Z2側の端点近傍での第3配線間距離B6は、第3特定距離SPL3よりも大きい。
【0097】
<本実施形態の効果>
(1)上記実施形態によれば、柱状配線40の位置がインダクタ配線20の中心線上に制限されない。これにより、インダクタ配線20の設計自由度が向上する。すなわち、上記構成によれば、Q値が向上するようにインダクタ配線20を設計できる可能性が高まる。
【0098】
(2)上記実施形態では、第2ビア42は、第1中心軸C1及び第2中心軸C2のいずれにも重ならない。この構成によれば、素体11内部において空きスペースとなりやすい素体11の角部の近傍に第2ビア42を配置できる。そのため、素体11内部のスペースを有効活用できる可能性が高まる。
【0099】
(3)上記実施形態では、第2ビア42は、接続中点CPと重ならない。この構成によれば、第2ビア42の位置が、接続配線23の接続中点CP上に制限されない。このように柱状配線40の設計自由度の向上により、素体11内部のスペースを有効活用できる可能性が高まる。
【0100】
(4)上記実施形態では、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、1つの柱状配線40の形状は、他のいずれかの柱状配線40の形状とは異なっている。この構成によれば、インダクタ配線20のパッド部の形状等に合わせて、柱状配線40の形状を設定できる。これにより、電流が通過する柱状配線40の断面における断面積を十分大きく確保できる。
【0101】
(5)上記実施形態では、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第2インダクタ配線22は、最小の仮想長方形VRの範囲内に位置している。この構成によれば、第2インダクタ配線22が最小の仮想長方形VRの範囲内に含まれているため、第2インダクタ配線22は、第1インダクタ配線21上に形成される。第1インダクタ配線21上に第2インダクタ配線22を形成することで、第2インダクタ配線22の形成時に形状が崩れにくい。つまり、第2インダクタ配線22の製造上の精度が向上する。
【0102】
(6)上記実施形態では、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、接続配線23は、最小の仮想長方形VRの範囲内に位置している。この構成によれば、接続配線23も最小の仮想長方形VRの範囲内に含まれているため、接続配線23の形成時に当該接続配線23の形状が崩れにくい。
【0103】
(7)主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、主面11Aに直交する方向において同一の箇所に存在する柱状配線40の形状は同じである。この構成によれば、層毎に柱状配線40を同じ手順で形成し得る。したがって、層毎の柱状配線40の形成が平易となる。
【0104】
(8)上記実施形態において、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第1引出配線45及び第2引出配線46の形状は、第1ビア41及び第2ビア42の形状と異なっている。換言すると、第1ビア41及び第2ビア42ビアの形状と異なる形状で、第1引出配線45及び第2引出配線46を設計できる。例えば、上記実施形態では、主面11Aに直交する方向を向いて透視したとき、第1引出配線45が第1ビア41よりも大きい。これにより、第1外部電極31が第1引出配線45から剥離してしまうことを防げる。
【0105】
(9)上記実施形態では、第3磁性層53の主面11Aに直交する方向の寸法は、第1磁性層51の主面11Aに直交する方向の寸法よりも小さい。この構成によれば、第3磁性層53の主面11Aに直交する方向の寸法が第1磁性層51の主面11Aに直交する方向の寸法と同じ場合と比較して、第1引出配線45及び第2引出配線46の主面11Aに直交する方向の寸法を小さくできる。第1引出配線45及び第2引出配線46の積層方向の寸法が長いほど、これらの引出配線の形状が崩れ易くなる。したがって、上記構成によれば、第1引出配線45及び第2引出配線46の製造難易度を低減できる。
【0106】
(10)上記実施形態では、インダクタ配線20は、第1磁性層51、第2磁性層52、及び第3磁性層53に接触していない。換言すると、インダクタ配線20は、絶縁層60に覆われている。これにより、素体11とインダクタ配線20との間の絶縁性を向上できる。また、仮に素体11に変形、温度変化等が生じても、インダクタ配線20を保護できる。
【0107】
(11)上記実施形態によれば、最大箇所の断面積は、最小箇所の断面積に対して2倍以上大きい。インダクタ部品10のインダクタンス値の低下を抑制しつつ、当該インダクタ部品10の直流電気抵抗を低減できる。上記構成によれば、インダクタ部品10のQ値を向上できる。
【0108】
(12)上記実施形態によれば、第1特定角部SPC1から第1特定パッド部21POの外縁までの最短距離は、第1特定角部SPC1を除くいずれかの角部COから第1配線本体21LBまでの最短距離未満である。このように、第1特定パッド部21POは第1特定角部SPC1に寄せて配置されているので、第1パッド部21Pの位置を制限することなく、第1配線本体21LBの形状を設計できる。すなわち、第1配線本体21LBの設計自由度が向上できるので、インダクタ配線20の配線長を長く設計できる。また、第1特定角部SPC1を除くいずれかの角部COから第1配線本体21LBまでの距離として十分な距離が確保されているので、当該角部COの近傍における磁路を十分に確保できる。これらのことから、インダクタ部品10のインダクタンス値として大きな値を取得しやすい。この点、第2特定角部SPC2、第2特定パッド部22POおよび第2特定パッド部23PI、第2配線本体22LBに関しても同様である。
【0109】
(13)上記実施形態によれば、第1特定距離SPL1は、第1平行部分21PPの幅寸法よりも小さい。第1インダクタ配線21のうち第1平行部分21PPの周囲の磁束は、概ね主面11Aに直交する方向に延びる。したがって、第1平行部分21PPと主面11Aの一辺との間の寸法が小さくても、磁束が飽和しにくい。その一方で、第1平行部分21PPと主面11Aの一辺との間の寸法を小さくすることで、素体11の他の部分を、インダクタ配線20を引き回すための部分として利用できる。これにより、直流抵抗を小さくでき、且つインダクタンス値を向上できる。したがって、インダクタ配線20を長く設計しやすくなる。この点、第2特定距離SPL2、第2平行部分22PPに関しても同様である。
【0110】
<変更例>
上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0111】
(全体構成について)
・上記実施形態において、インダクタ部品10は、外部電極30を有していなくてもよい。その場合、インダクタ部品10を基板に搭載する際には柱状配線40の実装面11Bから露出する部分を利用すればよい。
【0112】
・磁性粉の粒度分布において、メディアン粒径(D50)は、主面11Aに直交する方向で素体11を透視したときにインダクタ配線20から主面11Aの外縁までの最短距離に対して、10分の1より大きくてもよい。磁性粉のメディアン粒径が10分の1より大きくても、例えば、インダクタ部品10の外表面を樹脂コーディング等すれば、磁性粉の脱粉を防ぎやすい。
【0113】
・上記実施形態において、インダクタ部品10を構成する各層の第1軸Xに沿う方向の寸法は上記実施形態の例に限定されない。例えば、第1層L1の第1軸Xに沿う方向の寸法は、第7層L7の第1軸Xに沿う方向の寸法よりも小さくてもよい。すなわち、第1磁性層51の第1軸Xに沿う方向の寸法は、第3磁性層53の第1軸Xに沿う方向の寸法よりも小さくてもよい。
【0114】
・上記実施形態において、第8層L8は、第1層L1に対して第1正方向X1側に位置していてもよい。その場合、各インダクタ配線20と外部電極30とを接続する柱状配線40を第1インダクタ配線21に対して第1正方向X1側に設ければよい。
【0115】
・上記実施形態において、インダクタ部品10の製造方法は、SAPに限定されず、他の製造方法であってもよい。その場合、第1インダクタ配線21は、第1シード層21Aを有していなくてもよい。この点、第2インダクタ配線22、及び接続配線23も同様である。
【0116】
・上記実施形態において、各柱状配線40は、主面11Aと直交する方向に限らず、主面11Aと交差する方向に延びていればよい。
・上記実施形態において、主面11Aと直交する方向を向いて透視したときの各柱状配線40の形状は、すべて同じであってもよい。また、主面11Aと直交する方向を向いて透視したときの各柱状配線40の形状は、柱状配線40毎に異なっていてもよい。すなわち、同層に位置する柱状配線40で、形状が異なっていてもよい。
【0117】
・上記実施形態において、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第2ビア42は、接続配線23の接続中点CPと重なっていてもよい。また、第2ビア42、第4ビア44、第2引出配線46のいずれも接続中点CPと重なっていなくてもよい。
【0118】
・上記実施形態において、主面11Aに直交する方向を向いて透視したとき、第2ビア42が第1中心軸C1及び第2中心軸C2のどちらか一方または双方と重なっていてもよい。すなわち、主面11Aに直交する方向を向いて透視したとき、インダクタ配線20の中心線に重ならない箇所でインダクタ配線20に接続する柱状配線40が、第1中心軸C1及び第2中心軸C2と重なっていてもよい。
【0119】
・上記実施形態において、第1特定角部SPC1から第1特定パッド部の外縁までの最短距離は、第1特定角部SPC1を除くいずれかの角部COから第1配線本体21LBまでの最短距離以上であってもよい。この点、第2特定角部SPC2、第2特定パッド部、第2配線本体22LBに関しても同様である。
【0120】
・主面11Aに直交する方向で素体11を透視したときに、第1絶縁層61の外縁及び第2絶縁層62の外縁は一致していなくてもよい。また、第1絶縁層61の外縁及び第2絶縁層62の外縁が一部分でも一致していれば、当該一部分については、第1インダクタ配線21と第2インダクタ配線22との境界部分に、素体11が充填されていない空隙が生じにくいという効果が得られる。
【0121】
・主面11Aに直交する方向で素体11を透視したとき、第1部分P1の形状及び第2部分P2の形状は一致していなくてもよい。また、第1部分P1の形状と第2部分P2の形状が一部分でも一致していれば、当該一部分については、第1インダクタ配線21と第2インダクタ配線22との境界部分に、素体11が充填されていない空隙が生じにくいという効果が得られる。
【0122】
・素体11の特定側面SP11Cは、すべての領域が磁性層でなくてもよい。素体11の特定側面SP11Cにおいて、配線、絶縁層60等が露出していてもよい。
・インダクタ部品10は、6つの外面を有していれば、各平面の境界が曲面状になっていても直方体状とみなす。また、主面11Aに直交する方向から素体11を視たとき、素体11の角が1つの頂点を有していない場合、角部COは以下のようにして定義される。まず、主面11Aに直交する方向から素体11を視たとき、素体11の角を挟む略直線状の2辺を特定する。そして、当該2辺を延長する仮想線を引いたときの交点を特定する。この交点から、インダクタ配線20の配線本体又は特定パッド部までの最短距離を示す仮想線分を引く。このとき、当該仮想線分と素体11の外縁との交点を、角部COとする。
【0123】
(インダクタ配線について)
・上記実施形態において、インダクタ配線20は、第1インダクタ配線21のみであってもよい。すなわち、インダクタ部品10は、1層のインダクタ配線20で構成されていてもよい。また、第1インダクタ配線21、第2インダクタ配線22、及び接続配線23に加えて、さらなるインダクタ配線20を備えていてもよい。
【0124】
・第1インダクタ配線21のターン数が、第2インダクタ配線22のターン数に対して小さくてもよいし、同じであってもよい。また、各インダクタ配線20のターン数が1未満であってもよい。
【0125】
・上記実施形態において、最大箇所を有するインダクタ配線20が第2インダクタ配線22であってもよい。
・上記実施形態において、最大箇所の断面積は、最小箇所の断面積に対して2倍未満であってもよい。
【0126】
・上記実施形態において、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、第2インダクタ配線22は、最小の仮想長方形VRの範囲内に位置していなくてもよい。同様に、主面11Aと直交する方向を向いて透視したとき、接続配線23は、最小の仮想長方形VRの範囲内に位置していなくてもよい。
【0127】
・上記実施形態において、第2インダクタ配線22の幅寸法の一部が一定でなくてもよい。その場合でも、インダクタ配線20の最大箇所の断面積が、インダクタ配線20の最小箇所の断面積に対して2倍以上大きければよい。
【0128】
・上記実施形態において、第1配線本体21LBの幅寸法が一定であってもよい。さらに、第1配線本体21LBの幅寸法が第2配線本体22LBの幅寸法と同じであってもよいし、小さくてもよい。
【0129】
・上記実施形態において、第1配線本体21LBの幅寸法と第2配線本体22LBの幅寸法の関係は、上記実施形態の例に限定されない。すなわち、主面11Aに平行な方向における、第1配線本体21LBの外面のうち主面11Aを向く面の範囲内に、2箇所の第2配線本体22LBが位置していなくてもよい。
【0130】
・上記実施形態において、インダクタ配線20の一部が絶縁層60に覆われておらず、磁性層50と接触していてもよい。
・上記実施形態において、第1配線本体21LBの厚さ寸法と第2配線本体22LBの厚さ寸法は異なっていてもよい。
【0131】
・上記実施形態において、各インダクタ配線20の配線本体の断面形状は長方形状でなくてもよい。
・各配線本体は、平行部分を有していなくてもよい。また、各特定距離は、対応する各平行部分の幅寸法以上であってもよい。
【0132】
・インダクタ配線20は、主面11Aの長辺に平行な平行部分及び主面11Aの短辺に平行な平行部分のうちのいずれか一方のみを有していてもよい。この場合においても、平行部分の幅寸法が対応する特定距離よりも大きければ、直流抵抗を小さくでき、且つインダクタンス値を向上できるという効果が得られる。
【0133】
・平行部分の幅寸法と、当該平行部分に対応する特定距離との比は、平行部分毎に異なっていることが好ましい。これにより、好ましいインダクタンス値が得られるようインダクタ配線の幅、長さ等を設計しやすい。
【0134】
・第1インダクタ配線21の第1配線本体21LBのみが第1平行部分21PPを有していてもよい。換言すれば、第2インダクタ配線22の第2配線本体22LBは、第2平行部分22PPを有していなくてもよい。この場合においても、平行部分を有するインダクタ配線20において、直流抵抗を小さくでき、且つインダクタンス値を向上できるという効果が得られる。
【0135】
・第1配線本体21LBにおける4つの第1平行部分21PPのうち、少なくとも1つの第1平行部分21PPにおいて、当該第1平行部分21PPに対応する第1特定距離SPL1が、当該第1平行部分21PPの幅寸法である第1幅寸法よりも小さければよい。例えば、1つの第1平行部分21PPについてのみ、当該第1平行部分21PPに対応する第1特定距離SPL1が、当該第1平行部分21PPの第1幅寸法よりも小さくてもよい。そして、この場合、当該第1平行部分21PPを除く3つの第1平行部分21PPは、それぞれに対応する第1特定距離SPL1が、3つの第1平行部分21PPそれぞれの第1幅寸法以上であってもよい。この場合においても、平行部分を有するインダクタ配線20において、直流抵抗を小さくでき、且つインダクタンス値を向上できるという効果が得られる。この点、第2配線本体22LBにおける3つの第2平行部分22PPにおいても同様である。
【0136】
・第1平行部分21PPの第1幅寸法と、当該第1平行部分21PPに対応する第1特定距離SPL1との比は、第2平行部分22PPの第2幅寸法と、当該第2平行部分22PPに対応する第2特定距離SPL2との比と同一であってもよい。
【0137】
・第1平行部分21PPに対して主面11Aに直交する方向に、第2平行部分22PPが存在していなくてもよい。平行部分の場所が第1軸X方向においてずれていたとしても、各配線本体が、各特定距離よりも幅寸法が大きい平行部分を有していれば、直流抵抗を小さくでき、且つインダクタンス値を向上できるという効果が得られる。
【0138】
・第1平行部分21PPに対して主面11Aに直交する方向に、第2平行部分22PPが存在している場合、当該第1平行部分21PPに対応する第1特定距離SPL1と、当該第2平行部分22PPに対応する第2特定距離SPL2とは、異なっていてもよい。主面11Aに直交する方向において各特定距離が異なっていても、それぞれの平行部分の幅寸法が、対応する各特定距離よりも大きければ、直流抵抗を小さくでき、且つインダクタンス値を向上できるという効果が得られる。
【0139】
・各第1平行部分21PPに対応する各第1特定距離SPL1は、それぞれ互いに異なっていてもよい。また、各第1特定距離SPL1が異なっていることで、好ましいインダクタンス値が得られるようインダクタ配線20を設計しやすい。
【0140】
・第1配線間距離が第1特定距離SPL1よりも小さい箇所が、存在していなくてもよい。同様に、第2配線間距離が第2特定距離SPL2よりも小さい箇所が、存在していなくてもよい。第3配線間距離が第3特定距離SPL3よりも小さい箇所が、存在していなくてもよい。
【0141】
・第1配線間距離が第1特定距離SPL1よりも大きい箇所が、存在していなくてもよい。同様に、第2配線間距離が第2特定距離SPL2よりも大きい箇所が、存在していなくてもよい。第3配線間距離が第3特定距離SPL3よりも大きい箇所が、存在していなくてもよい。配線間距離が小さいほど、インダクタ配線20の配線長または断面積を大きくしやすい。
【0142】
<付記>
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
[1]平面状の主面を有する素体と、前記素体内において前記主面と平行に延びるインダクタ配線と、前記主面に交差する方向に延びる複数の柱状配線と、を備え、前記インダクタ配線は、当該インダクタ配線の両端部に位置し、前記柱状配線が接続されている一対のパッド部と、一対の前記パッド部を繋ぐ配線本体と、を有し、前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、複数の前記柱状配線から選ばれる1つ以上は、前記インダクタ配線の中心線に重ならない箇所で、当該インダクタ配線に接続しているインダクタ部品。
【0143】
[2]前記主面は長方形状であり、前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記インダクタ配線の中心線に重ならない箇所で当該インダクタ配線に接続している前記柱状配線は、前記主面の幾何中心を通り前記主面のいずれかの辺に平行な第1中心軸、及び前記主面の幾何中心を通り前記第1中心軸に直交し、前記主面に平行な第2中心軸のいずれにも重ならない[1]に記載のインダクタ部品。
【0144】
[3]前記素体の外面の一部を覆う外部電極をさらに備え、前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる第1インダクタ配線と、前記主面に直交する方向において前記第1インダクタ配線とは異なる箇所に位置し、且つ前記主面と平行に延びる接続配線と、を含み、前記柱状配線は、前記第1インダクタ配線及び前記接続配線を接続するビアと、前記接続配線及び前記外部電極を接続する引出配線と、を含み、前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記ビアは、前記接続配線の中心線上であって当該接続配線の延び方向の中点と重ならない[1]または[2]に記載のインダクタ部品。
【0145】
[4]前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、1つの前記柱状配線の形状は、他のいずれかの前記柱状配線の形状とは異なっている[1]~[3]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0146】
[5]前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる第1インダクタ配線と、前記主面に直交する方向において前記第1インダクタ配線とは異なる箇所に位置し、且つ前記主面と平行に延びる第2インダクタ配線と、を含み、前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線は、前記柱状配線を介して直列接続しており、前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記第2インダクタ配線は、前記第1インダクタ配線のすべてを包含する最小の仮想長方形の範囲内に位置している[1]~[4]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0147】
[6]前記インダクタ配線は、前記主面に直交する方向において前記第2インダクタ配線と同層に位置し、且つ前記主面と平行に延びる接続配線を含み、前記第1インダクタ配線及び前記接続配線は、前記柱状配線を介して直列接続しており、前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記接続配線は、前記仮想長方形の範囲内に位置している[5]に記載のインダクタ部品。
【0148】
[7]前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記主面に直交する方向において同一の箇所に存在する前記柱状配線の形状は同じである[1]~[6]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0149】
[8]前記素体の外面の一部を覆う外部電極をさらに備え、前記柱状配線は、前記外部電極に接続しないビアと、前記外部電極に接続する引出配線と、を含み、前記主面と直交する方向を向いて透視したとき、前記引出配線の形状は、前記ビアの形状と異なっている[1]~[7]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0150】
[9]前記素体は、前記インダクタ配線に対して前記主面側に位置する第1磁性層と、前記主面に直交する方向において前記インダクタ配線と同層に位置する第2磁性層と、前記インダクタ配線に対して前記主面とは反対側に位置する第3磁性層と、を有し、前記柱状配線は、前記主面に直交する方向において前記第3磁性層と同層に位置し、且つ前記第3磁性層と接触しており、前記柱状配線の前記主面とは反対側の面は、前記素体から露出しており、前記第3磁性層の前記主面に直交する方向の寸法は、前記第1磁性層の前記主面に直交する方向の寸法よりも小さい[1]~[8]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0151】
[10]前記素体は、前記インダクタ配線に対して前記主面側に位置する第1磁性層と、前記主面に直交する方向において前記インダクタ配線と同層に位置する第2磁性層と、前記インダクタ配線に対して前記主面とは反対側に位置する第3磁性層と、を有し、前記第1磁性層における前記インダクタ配線側の面に配置された第1絶縁層と、前記インダクタ配線における前記第1磁性層とは反対側の面に配置された第2絶縁層と、前記主面に直交する方向において前記インダクタ配線と同層に位置する側面絶縁層と、をさらに備え、前記柱状配線は、前記主面に直交する方向において前記第3磁性層と同層に位置し、且つ前記第3磁性層と接触しており、前記柱状配線の前記主面とは反対側の面は、前記素体から露出しており、前記インダクタ配線は、前記第1磁性層、前記第2磁性層、及び前記第3磁性層に接触していない[1]~[9]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0152】
[11]前記配線本体は、前記配線本体の中心線に直交する断面の断面積が最大となる最大箇所と、前記配線本体の中心線に直交する断面の断面積が最小となる最小箇所と、を有しており、前記最大箇所の断面積は、前記最小箇所の断面積に対して2倍以上大きい[1]~[10]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0153】
[12]前記主面に対して直交する方向で前記素体を透視した場合に、一対の前記パッド部のうちの1つである特定パッド部は、前記インダクタ配線の他の部分を間に介することなく前記主面の外縁に隣り合っており、前記主面に対して直交する方向で前記素体を透視した場合に、前記主面が有する4つの角部のうち、前記特定パッド部に最も近い前記角部を特定角部としたとき、前記特定角部から前記特定パッド部の外縁までの最短距離は、前記特定角部を除くいずれかの前記角部から前記配線本体までの最短距離未満である[1]~[11]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0154】
[13]前記素体は、磁性材を含み、前記主面は、直線状の辺を有しており、前記配線本体は、前記直線状の辺に平行に延び、且つ当該辺に対して前記インダクタ配線の他の部分を間に挟むことなく隣り合う平行部分を有し、前記配線本体において当該配線本体の中心線に直交し、且つ前記主面に平行な方向の寸法を幅寸法とし、前記主面に直交する方向から透視した場合での前記辺から前記平行部分までの最短距離を特定距離としたとき、前記特定距離は、前記平行部分の前記幅寸法よりも小さい[1]~[12]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【符号の説明】
【0155】
CL1…中心線
CL2…中心線
10…インダクタ部品
11…素体
11A…主面
20…インダクタ配線
21…第1インダクタ配線
21LB…第1配線本体
21P…第1パッド部
22…第2インダクタ配線
22LB…第2配線本体
22P…第2パッド部
40…柱状配線