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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125685
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】エアータオル装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/48 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
A47K10/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033666
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】516218247
【氏名又は名称】南部 満彦
(71)【出願人】
【識別番号】520175710
【氏名又は名称】株式会社セントラルセブンサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】南部 満彦
(72)【発明者】
【氏名】松岡 美里
(57)【要約】
【課題】手洗い後の濡れた手の水分を速やかに除去して乾燥させると同時に、マイナスイオンを放出させることができるエアータオル装置を提供する。
【解決手段】エアータオル装置1にマイナスイオン発生器5設け、このマイナスイオン発生器は、電極収容部40と、電極収容部内に設けられ負電極と対向電極によって構成された電極部41と、電極部と離間して設けられ該電極部に高電圧を印加する高電圧発生部42とによって構成されている。また、エアータオル装置1のエアー吹出口25の近傍にセンサー4が設けられている。そして、エアー吹出口に手を接近させると、センサーが感知してエアー吹出口から吹き出された温熱空気が手に当たると共に、マイナスイオン発生器からマイナスイオンを発生させてキャビネットの外部に放出されるようにしている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型に形成され下側にエアー吹出口が設けられたキャビネットと、前記キャビネット内に設けられる温風送風手段と、前記キャビネット内に設けられるマイナスイオン発生器と、前記エアー吹出口近傍に設けられるセンサーとを備え、
前記温風送風手段は、空気を加熱するヒーターと、前記ヒーターによって加熱された空気を送り出すファンを有する送風機と、前記送風機を回転させるモーターと、加熱された空気を前記エアー吹出口へと導くエアー導出通路とからなり、
前記マイナスイオン発生器は、電極収容部と、前記電極収容部内に設けられ負電極と対向電極によって構成された電極部と、前記電極部と離間して設けられ該電極部に高電圧を印加する高電圧発生部とからなり、
前記センサーは、前記エアー吹出口の近傍に設けられ、
前記エアー吹出口に手を接近させると、前記センサーが感知して前記エアー吹出口から吹き出された温熱空気が手に当たると共に、前記マイナスイオン発生器からマイナスイオンを発生させて前記キャビネットの外部に放出されるようにしたことを特徴とするエアータオル装置。
【請求項2】
前記キャビネット内に前記マイナスイオン発生器により発生させたマイナスイオンを外部に放出するための送風手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のエアータオル装置。
【請求項3】
前記マイナスイオン発生器のうち、少なくとも電極部が前記エアー導出通路内に配置されていることを特徴とする請求項1記載のエアータオル装置。
【請求項4】
前記マイナスイオン発生器を内部に収容する収容ケース体を設け、前記収容ケース体を前記エアー導出通路の近傍に配置すると共に、該ケース体に形成された開口部が該エアー導出通路に連通していることを特徴とする請求項1記載のエアータオル装置。
【請求項5】
前記負電極と前記対向電極は、電極固定用基板に取り付けられ、前記電極固定用基板がセラミック製基材により形成されていることを特徴とする請求項1記載のエアータオル装置。
【請求項6】
前記対向電極が前記負電極の周りを囲むように配置されていることを特徴とする請求項1記載のエアータオル装置。
【請求項7】
請求項6記載の前記対向電極と前記負電極の間に両者を絶縁遮断する誘電体が設けられていることを特徴とするエアータオル装置。
【請求項8】
前記誘電体が筒状に形成されていると共に、前記対向電極が前記誘電体の外周部に位置する筒状に形成され、前記負電極が前記誘電体の中央部に突出する針状に形成されていることを特徴とする請求項7記載のエアータオル装置。
【請求項9】
前記誘電体がセラミック製基材により形成されていることを特徴とする請求項8記載のエアータオル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアータオル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、例えば、オフィイスビル、工場、病院、その他の施設の建物内の洗面所等で手を洗った場合に、その濡れた手から水分を除去する手段として、エアータオル装置が用いられるようになってきている。このようなエアータオル装置としては、特許文献1に示されているようなもの、すなわち、空気を加熱する加熱装置と、空気を送り出すファンと、ファンの先端部に設けられたエアー吹出口と、エアー吹出口の下方に位置する乾燥部所と、乾燥部所の下方に位置する水受け部とを備え、手洗い後の濡れた手を乾燥部所に差し入れると、ファンに送り出される温風空気がエアー吹出口から流出し、この流出した温風空気によって、手に付着している水分を吹き飛ばしながら乾燥させるようにしたものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-139768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
もっとも、特許文献1に示されているような一般的なエアータオル装置の場合、手を洗った後の濡れた手から水分を除去することはできるものの、それ以外の付加価値を何ら有していない。そこで、本出願の出願人は、エアータオル装置に人の身体に有益な付加価値を付与することができないかを検討していた。ここで、空気中の原子や分子が電子を得てマイナスに帯電したものとしてマイナスイオンが知られているが、このマイナスイオンは、ストレスの軽減、リラックス効果、空気環境の改善、肌の潤いの増加、体内の新陳代謝の促進、免疫力や病気に対する抵抗力の強化といった種々の効果を有している。従って、エアータオル装置がマイナスイオンを放出することができれば、手洗い後の手を乾かすことと同時に先に述べたマイナスイオンが身体にもたらす有益な効果を享受することができる。
【0005】
そこで、本発明は、手洗い後の濡れた手から水分を速やかに除去・乾燥させると同時に、マイナスイオンによる効果を併せて享受することを可能にしたエアータオル装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明は、箱型に形成され下側にエアー吹出口が設けられたキャビネットと、前記キャビネット内に設けられる温風送風手段と、前記キャビネット内に設けられるマイナスイオン発生器と、前記エアー吹出口近傍に設けられるセンサーとを備え、前記温風送風手段は、空気を加熱するヒーターと、前記ヒーターによって加熱された空気を送り出すファンを有する送風機と、前記送風機を回転させるモーターと、加熱された空気を前記エアー吹出口へと導くエアー導出通路とからなり、前記マイナスイオン発生器は、電極収容部と、前記電極収容部内に設けられ負電極と対向電極によって構成された電極部と、前記電極部と離間して設けられ該電極部に高電圧を印加する高電圧発生部とからなり、前記センサーは、前記エアー吹出口の近傍に設けられ、前記エアー吹出口に手を接近させると、前記センサーが感知して前記エアー吹出口から吹き出された温熱空気が手に当たると共に、前記マイナスイオン発生器からマイナスイオンを発生させて前記キャビネットの外部に放出されるようにしたことを特徴としている。
【0007】
また、本発明において、前記キャビネット内に前記マイナスイオン発生器により発生させたマイナスイオンを外部に放出するための送風手段を設けて構成してもよい。
【0008】
さらに、本発明において、前記マイナスイオン発生器のうち、少なくとも電極部が前記エアー導出通路内に配置するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明において、前記マイナスイオン発生器を内部に収容する収容ケース体を設け、前記収容ケース体を前記エアー導出通路の近傍に配置すると共に、該ケース体に形成された開口部が該エアー導出通路に連通しているようにしてもよい。
【0010】
さらに、本発明において、前記負電極と前記対向電極は、電極固定用基板に取り付けられ、前記電極固定用基板がセラミック製基材により形成されるようにしてもよい。
【0011】
さらに、本発明において、前記対向電極が前記負電極の周りを囲むように配置してもよい。
【0012】
また、本発明において、前記対向電極と前記負電極の間に両者を絶縁遮断する誘電体が設けてもよい。
【0013】
また、本発明において、前記誘電体が筒状に形成されていると共に、前記対向電極が前記誘電体の外周部に位置する筒状に形成され、前記負電極が前記誘電体の中央部に突出する針状に形成されていてもよい。
【0014】
さらに、本発明において、前記誘電体がセラミック製基材により形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るエアータオル装置によれば、手洗い後の濡れた手から水分を速やかに除去・乾燥させると同時に、マイナスイオンによる効果を併せて享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】エアータオル装置の外観斜視図。
図2】カバー体を外した状態のエアータオル装置の正面図。
図3】エアータオル装置の側面図。
図4】送風手段の側面図。
図5】電極収容部の斜視図。
図6】電極収容部の正面断面図。
図7】高電圧発生部の模式図。
図8】他の実施例のカバー体を外した状態のエアータオル装置の正面図。
図9】他の実施例のカバー体を外した状態のエアータオル装置の正面図。
図10】電極収容部の他の実施例の斜視図。
図11】電極収容部の他の実施例の横断面図。
図12】電極収容部の他の実施例の縦断面図。
図13】電極収容部の他の実施例の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るエアータオル装置を実施するための最良の形態を図面に従って説明する。図1は本実施形態に係るエアータオル装置の外観斜視図、図2は本実施形態に係るエアータオル装置の正面断面図、図3は本実施形態に係るエアータオル装置の側面図である。本実施形態に係るエアータオル装置1は、箱型に形成されたキャビネット2と、キャビネット2内に設けられる送風手段3とセンサー4とマイナスイオン発生器5と、キャビネット2の下端部に設けられる紫外線殺菌灯6とによって概略構成されている。なお、本実施形態で示される「前」、「正面」、「後」、「背面」、「右」、「左」、「上」、「下」とは、図1に示すエアータオル装置1を基準として説明する。
【0018】
前記キャビネット2は、金属製であり、矩形状箱形の容器本体10と、容器本体10に装着される矩形状箱形のカバー体11を合体させて内部に空間部が形成されるように構成されている。このうち、容器本体10の外形寸法は、縦275mm、横316mm、奥行き40mmに設定されており、カバー体11の外形寸法は、縦280mm、横314mm、奥行き96mmに設定されている。
【0019】
前記キャビネット2の容器本体10には、その右半部に後述する送風手段3が設けられている。また、容器本体10の左半部には、制御基盤12及びモーター基盤13が配置されていると共に、ヒーター切替スイッチ14及びインバーター切替スイッチ15が設けられている。さらに、制御基盤12の左側には、ブザースイッチ16、作動タイマー17、間欠タイマー18、センサー調整19が設けられている。また、容器本体10の左側面上部には、電源コード口20、そのやや下方に電源スイッチ21が設けられており、容器本体10の左側面下部には、風量ボリューム22が設けられている。また、容器本体10の下端部には、上壁部23a、後壁部23b、左右の側壁部23c,23cを有し、前側と下側が開口するように凹ませた灯収容部23が形成されており、ここに紫外線殺菌灯6が配置されている。なお、紫外線殺菌灯6は、ここでは、6Wのものが使用され、ここから照射される紫外線の波長が200~280nm(ナノメーター)の範囲、すなわち、短波紫外線の範囲で設定できるようになっている。この短波紫外線は強い殺菌力を有しており、特に波長253.7nmの紫外線が最も強い殺菌効果を得られることから、常態において、紫外線の波長を253.7nmに設定しておくことが好ましい。
【0020】
前記キャビネット2のカバー体11には、その下端中央部に図1に示されている横長スリット状に開設されたエアー吹出口25が形成されている。また、カバー体11の左右両側面のそれぞれには、空気を流通させるための複数の横長孔26,26・・・が穿設されている。
【0021】
前記送風手段3は、空気を加熱する電熱ヒーター30と、電熱ヒーター30によって加熱された空気を送り出す送風機31と、送風機31を回転させるモーター32と、加熱された空気をエアー吹出口25へと導くエアー導出通路33とによって構成されている。このうち、送風機31は、容器本体10の右半部中央のやや上方に固着された円形状のケース体35内にファン36を設けて形成されており、ここに用いられるファン36は、いわゆるシロッコ型のものが採用されている。また、ファン36の中央にファン36を回転させるモーター32が配置されている。なお、ここで使用されるモーター32は、高圧ブラシレスモータが採用されており、7200rpmの回転数が得られるようになっている。さらに、ケース体35の前面中心部には、円形に開口された吸気口37が形成されていて、ケース体35内に空気を取り込めるようになっている。また、ケース体35の左端部には下向きに連通する第1のエアー導出通路33aが形成されており、この第1のエアー導出通路33aの下端に第2のエアー導出通路33bが接続されている。そして、第2のエアー導出通路33b内に電熱ヒーター30が配設されている。なお、電熱ヒーター30は、前述のヒーター切替スイッチ14によって温度を131℃と115℃のいずれかに切り替えることができる。すなわち、気温の低い季節や場所では131℃に設定し、気温が高い季節や場所では115℃に設定できるようになっている。なお、第2のエアー導出通路33bの下端部は、やや前方に屈曲し、カバー体11に開設されたエアー吹出口25に対向するように位置している。
【0022】
エアー導出通路33の下端前部にセンサー4が固着されている。このセンサー4は、エアー吹出口25に手を接近させた時、その手を感知するようにした光学式電子センサーが採用されている。なお、センサー4は、センサー4が作動する契機となる手との距離を前述のセンサー調整19によって0~20cmの範囲に設定可能になっている。すなわち、エアータオル装置1の設置場所等の状況に応じて、センサー4が感知する手との距離を自由に調整することができる。ちなみに、エアー吹出口25から吹き出される温熱空気の風速は、前述の風量ボリューム22によって、35~65m/sの範囲で設定できるようになっており、通常は50m/sに設定されている。
【0023】
前記マイナスイオン発生器5は、キャビネット2の容器本体10内に設けられている。具体的には、この実施例で示すマイナスイオン発生器5は、送風手段3のケース体35の下端やや下側に設けられている。このマイナスイオン発生器5は、電極収容部40と、電極収容部40内に設けられた電極部41と、電極部41と離間して設けられ該電極部41に高電圧を印加する高電圧発生部42とによって概略構成されている。
【0024】
電極収容部40は、送風手段3のケース体35の下端のやや下方に設けられている。そして、電極収容部40は、図5及び図6に示されているように、内部中空の直方体であり、2つの箱状半体40a,40bを互いに合体させて構成されている。また、この実施例における電極収容部40は、セラミック製の不燃性素材により成形されている。これにより、数千ボルトの高電圧を印加するマイナスイオン発生器5そのものの安全性を高めている。さらに、箱状半体40a,40bを合体させた状態の電極収容部40は、その前面中央から左右両側面のそれぞれに連なるように開放された開口45が形成されている。そして、この電極収容部40の内部に電極部41が設けられている。この電極部41は、矩形板状の電極固定用基板46に負電極47と対向電極48を装着することによって形成されている。このうち、負電極47は、金属板をプレス加工により打ち抜き形成された板状の部材で、その一端側は、その先端を鋭利に尖らせた先鋭突起47aになっており、他端側は、高電圧発生部42と繋がれるリード線49を接続させられるようになっている。また、負電極47の中央両端部のそれぞれに直角に折曲して形成した取付片(不図示)が設けられており、この取付片を電極固定用基板46に穿設されている取付スリット(不図示)に嵌合させることで電極固定用基板46に負電極47を装着している。一方、対向電極48は、負電極47と同様、金属板をプレス加工により打ち抜いて矩形板状に形成された部材で、その下端側に高電圧発生部42と繋がれるリード線50を接続させられるようになっている。また、対向電極48の両側端部のそれぞれに、直角に折曲して形成した取付片(不図示)が形成されており、この取付片を電極固定用基板46に穿設されている取付スリット(不図示)に嵌合させることで電極固定用基板46に対向電極48を装着している。なお、負電極47と対向電極48は、電極固定用基板46において、一定の間隔を離して配置されている。また、負電極47と対向電極48は、電極収容部40の開口45に臨むように位置しているため、負電極47と対向電極48を清掃する必要が生じた場合、開口45にブラシ等を沿わせれば、簡易に清掃することができる。ちなみに、前述した電極固定用基板46は、セラミックにより形成されている。これにより、電極固定用基板46にマイナス電荷が蓄積してしまうといった不都合を回避することができる。
【0025】
なお、上述のとおり、ここでは、好適な例として、電極収容部40と電極固定用基板46の双方をセラミックによって形成した例を示したが、これらは、必ずセラミックによって形成しなければならないわけではない。また、負電極47及び対向電極48は、前述のとおり、金属板を打ち抜き加工により成形すれば、簡易且つ効率的に成形でき、ひいては、製造コストの低減を図ることができるが、他の素材で成形することも、勿論可能である。
【0026】
前記高電圧発生部42は、図2に示されているように、送風手段3のケース体35の下端下方において、前述の電極収容部40と所定距離を離して設けられている。この高電圧発生部42は、高電圧を発生し、それを電極部41の負電極47と対向電極48に印加するものである。なお、高電圧発生部42は、樹脂製の収容体55内に設けられている。ちなみに、この収容体55は、絶縁性を有する樹脂により形成されている。ここで、高電圧発生部42の構成を細かく見ると、図7に示されているように、半波整流回路56と、パルス発生回路57と、トランス58と、ダイオード59とによって概略構成されている。このうち、半波整流回路56は、商用電源の交流100Vを半波整流するもので、パルス発生回路57は、半波整流回路56で整流された後の電流をパルス電流に変換させるものである。さらに、トランス58は、パルス発生回路57によって変換されたパルス電流を高い電圧に変圧するものである。なお、半波整流回路56は、トランス58と電極部41の間に挟むようにして設けられているダイオード59によって実現される。
【0027】
次に、上記のように構成されたエアータオル装置1の使用方法について説明する。まず、エアータオル装置1を使用するにあたっては、キャビネット2の容器本体10左側面に設けられている電源スイッチ21をON動作させる。これによりエアータオル装置1が常時使用できる状態になる。そして、手洗いをした人が、水に濡れた状態の手をエアータオル装置1のエアー吹出口21に接近させると、その手をセンサー4が感知する。これにより、電熱ヒーター30が所定の温度に加熱されると共に、モーター32が駆動してファン36が作動する。その結果、所定温度に熱せられた空気が50m/sの吹出速度でエアー吹出口25から流出して手に当たることになり、濡れている手の水分が風力で吹き飛ばされると共に、熱風によって水分を蒸発させるので、濡れていた手が短時間で乾燥する。
【0028】
また、このエアータオル装置1においては、センサー4の感知により、紫外線殺菌灯6を点灯させると共に、マイナスイオンを発生させるようになっている。すなわち、エアー吹出口25に接近させた手をセンサー4が感知すると、紫外線殺菌灯6が点灯するようになっている。そして、紫外線殺菌灯6が点灯すると、手には、紫外線殺菌灯6から短波紫外線が照射されることになるので、その殺菌力により手に付着している雑菌やウイルスがすべて死滅することになる。なお、上述した使用方法では、人がエアー吹出口21に手を接近させると、それをセンサー4が感知することで紫外線殺菌灯6が点灯する例を示したが、エアータオル装置1の電源スイッチ21をON動作させた後、紫外線殺菌灯6を常時点灯させるように設定することも可能である。この場合、人がエアータオル装置1を使用していなくても、エアータオル装置1の電源スイッチ21がONになっている限り、短波紫外線が周囲に照射されている状態が維持されることになり、エアータオル装置1の周囲に存在している雑菌やウイルスを予め死滅させることができる。また、エアータオル装置1の電源スイッチ21がONになっていることを前提として、紫外線殺菌灯6を一定の時間間隔で点灯させるように設定することも可能である。この場合、紫外線殺菌灯6によって消費される電力を節約しつつ、エアータオル装置1の周囲に存在している雑菌やウイルスを予め死滅させることができる。
【0029】
さらに、センサー4がエアータオル装置1の利用者の手を感知すると、マイナスイオン発生器5が作動して、エアータオル装置1から外部に向けてマイナスイオンを放出させるようになっている。すなわち、センサー4が手を感知すると、マイナスイオン発生器5の高電圧発生部42の半波整流回路56で半波整流された後の電流を受けてパルス発生回路57が作動する。そして、パルス発生回路57によって変換されたパルス電流のもたらす圧電振動による圧力がトランス58に印加され、トランス58から高電圧が発生し、負電極47に数千ボルトの高電圧を発生させる。ここで、対向電極48は、0ボルトに設定されていることから、対向電極48に対し、急激な電位差が生じる。故に、負電極47の先端から対向電極48に向けてマイナスイオンが放出されることになる。すなわち、負電極47の先端部は、鋭利に尖らせた先鋭突起となっていることから、数千ボルトの電圧に達すると空中に放電する。そして、放電した負電荷は空気中の酸素を電離してイオン化し、電極部41の前方に向けてマイナスイオンを噴出する。そして、マイナスイオン発生器5がマイナスイオンを放出すると、当該マイナスイオンは、エアータオル装置1の横長孔26,26・・・等から外部へと放出される。これにより、エアータオル装置1を使用している人の周りの空気中にマイナスイオンが存在することになり、手を乾かすというエアータオル装置1の本来的な効果の他、マイナスイオンによって得られるリラックス効果等を同時に得ることができる。
【0030】
なお、図示はしないが、マイナスイオン発生器5の近傍に送風手段、例えば、モーターによって回転させる羽根を設け、この羽根が生じさせる風をマイナスイオン発生器5の電極部41の方に向けて流すことにより、マイナスイオン発生器5から発生したマイナスイオンを拡散させるようにしてよい。このように構成することで、マイナスイオン発生器5から放出されたマイナスイオンは、容器本体10に効率よく拡散されると共に、カバー体11の横長孔26,26・・・から効率よく放出されることになり、マイナスイオン放出による効果、例えば、リラックス効果等をより享受することができる。
【0031】
図8は、マイナスイオン発生器5の配置箇所に変形を加えた他の実施例である。なお、マイナスイオン発生器5の配置箇所以外については、上記実施例と同一構成であることから、上記実施例と同一符号を用いて説明する。図8に示されている実施例は、上述した実施例のマイナスイオン発生器5によって発生させたマイナスイオンをより効果的に外部へ放出させるようにしている。具体的には、マイナスイオン発生器5における電極部41と高電圧発生部42のうち、電極部41のみが送風手段3の第2のエアー導出通路33b内に位置するように形成されている。すなわち、図8に示されているように、電極収容部40の内部に設けられた電極部41が第2のエアー導出通路33b内であって、電熱ヒーター30の右上方に配置されている。そして、高電圧発生部42は、第2のエアー導出通路33bの外部であり、送風手段3の下方に配置されている。また、電極部41から延出されたリード線49,50が第2のエアー導出通路33bに穿設された挿通孔(不図示)からその外部に導かれて高電圧発生部42に繋がれている。従って、人がエアー吹出口21に手を接近させ、センサー4が感知すると、マイナスイオン発生器5の高電圧発生部42の半波整流回路56で半波整流された後の電流を受けてパルス発生回路57が作動し、パルス発生回路57によって変換されたパルス電流のもたらす圧電振動による圧力がトランス58に印加される。そして、トランス58から高電圧が発生し、負電極47に数千ボルトの高電圧を発生させると共に、対向電極48に対し、急激な電位差を生じさせて、負電極47の先端から対向電極48に向けてマイナスイオンを噴出する。これにより、マイナスイオン発生器5によって発生したマイナスイオンは、第2のエアー導出通路33b内で送風手段3のファン36によって吹き出された空気に運ばれてエアー吹出口25から外部へと放出されることになる。すなわち、この実施例では、送風手段3のファン36の風流を利用しつつエアー吹出口25からマイナスイオンを放出させるので、より効率よくマイナスイオンを外部へ放出させることができる。特に、第2のエアー導出通路33bから運ばれてエアー吹出口25から放出されたマイナスイオンは、エアータオル装置1を利用した人の手に直接あたることになるから、次のような身体に与える有益な効果を期待することができる。具体的には、マイナスイオンは、血液を浄化させる作用があると共に、血液中のガンマグロブリンを増やし、からだの抵抗力・免疫力を高める効果が期待できるとされている。従って、マイナスイオンが直接手にあたれば、これらの効果を享受でき、ひいては、健康増進にも繋がることになる。
【0032】
なお、前段落で述べた実施例では、マイナスイオン発生器5の電極部41のみを送風手段3の導出通路33内に設けた例を示したが、これは可能な限り導出通路33内の空間を広く保って、ファン36から吹き出された空気の通り道を確保することを意図したためである。もっとも、導出通路33内に電極部41のみならず、高電圧発生部42も併せて設けたとしても、本発明の目的自体は達成可能である。すなわち、例えば、送風手段3の導出通路33を拡張し、当該通路33内に高電圧発生部42を配置できるようにすれば、前述の効果を得ることができる。
【0033】
図9は、マイナスイオン発生器5の着脱を簡易になし得るように変形を加えた他の実施例である。なお、本実施例におけるマイナスイオン発生器5は、上記実施例と大部分において構成が共通することから、上記実施例と異なる部分のみ新たな符号を付し、構成が共通する部分については上記実施例と同一符号を用いて説明する。図9に示されている実施例は、マイナスイオン発生器5を収容ケース体65内に設けた例を示している。そして、この収容ケース体65は、送風手段3のケース体35の下端やや下方であり、且つ送風手段3の第2のエアー導出通路33b近傍に着脱自在に設けられている。ここで、収容ケース体65は、内部中空であり、2つの箱状半体を互いに合体させて構成されている。なお、収容ケース65の周囲には、図示はしないが複数の係止部が形成されており、これら係止部に、キャビネット2の容器本体10に形成された係止爪66,66・・・を係止させるとワンタッチ的に容器本体10に装着し得るようになっている。また、収容ケース体65の一方側(図9では左側部分)、具体的には、送風手段3の第2のエアー導出通路33bに位置させる側は細幅部65aになっており、ここに電極収容部40内に格納された電極部41が配置されている。他方、収容ケース65の他方側(図9では右側部分)は、細幅部よりも広幅になっており、ここに収容体55内に格納された高電圧発生部42が配置されている。すなわち、この実施例におけるマイナスイオン発生器5は、キャビネット2の容器本体10とは別に設けた収容ケース体65の右側の細幅部65aに電極部41を設け、収容ケース65の左側の広幅部65bに電極部41から所定の距離を離して高電圧発生部42を設けている。さらに、図示はしないが収容ケース65の細幅部の左端には開口部が開設されていると共に、第2のエアー導出通路33bの右側側部上方には、収容ケース65の開口部と合致する位置に通路開口が開設されており、これら収容ケース65の開口部と第2のエアー導出通路33bの通路開口は互いに連通するようになっている。なお、収容ケース体65細幅部65aに設けられた電極部41は、その負電極47の先端47aが収容ケース体65の開口部に臨むように設けられている。このように、電極部41の負電極47の先端47aが収容ケース体65の開口部に臨むようになっていることから、マイナスイオン発生器5によって発生したマイナスイオンは、収容ケース体65の開口部と連通する第2のエアー導出通路33bの通路開口に向けて放出されて第2のエアー導出通路33bへと導かれ、さらに、第2のエアー導出通路33b内で送風手段3のファン36によって吹き出された空気に運ばれてエアー吹出口25から外部へと放出されることになる。すなわち、この実施例においても、送風手段3のファン36の風流を利用しつつエアー吹出口25からマイナスイオンを放出させるので、効率よくマイナスイオンを外部へ放出させることができると共に、マイナスイオンをエアータオル装置1を利用者の手に直接あてることができる。また、マイナスイオン発生器5を収容ケース体65内に配置するようにしたことから、電極部41に塵等が付着してしまう不都合を低減することができる。さらに、収容ケース体65は、エアータオル装置1の容器本体10に着脱自在に設けられているので、エアータオル装置1を組み立てるにあたって、ユニット構成品のように扱うことができ、エアータオル装置1の製造作業効率を向上させることができる。また、マイナスイオン発生器5の負電極47と対向電極48を清掃する必要が生じた場合には、一旦、収容ケース体65を容器本体10から取り外し、収容ケース体65の開口部67からブラシ等を挿入して容易に清掃することができる。
【0034】
図10乃至図12は、マイナスイオン発生器5の電極部の変形例を示している。この実施例における電極部70は、内部中空の直方体に形成された電極収容部71内に薄板状の電極固定用基板72を装着し、この電極固定用基板72に負電極73と対向電極74,74を設けて形成している。具体的には、図10乃至図12に示されているように、合成樹脂からなる2つの箱状半体71a,71bを互いに合体させることにより、内部中空の直方体形状の電極収容部71を形成している。また、電極収容部71の左側端には、マイナスイオン放出開口75が開設されている。さらに、電極収容部71の内部には、電極収容部71を形成する箱状半体71a,71bに挟持されるようにして電極固定用基板72が固着されている。従って、電極固定用基板72は、電極収容部71の前後方向中央部に位置することになる。なお、この実施例における電極固定用基板72は、セラミックにより形成されており、左側端の中央部が内側に凹状に切り欠かれており、電極固定用基板72の左側端部のうち、凹状の切り欠き以外の部分となるそれぞれの片部が対向電極74,74になっている。そして、電極固定用基板72の凹状に切り欠かれた中央部には、対向電極74,74の間に位置するように針状の負電極73が設けられている。そして、高電圧発生部42によって発生した高電圧を負電極73と対向電極74,74に印加することによってマイナスイオンを発生させ、マイナスイオン放出開口75から放出させるようにしている。なお、図11中の符号76,77は、リード線である。この実施例のようにマイナスイオン発生器5を構成することにより、マイナスイオン発生器5自体の構成を簡素化することができるため、組立てが容易になり、また、製造コストの低減に資するという効果を得ることができる。
【0035】
なお、前述の電極部70を備えたマイナスイオン発生器5は、他の実施例と同様、キャビネット2の容器本体10内において、送風手段3のケース体35の下端のやや下方に設けてもよいし、第2のエアー導出通路33b内に設けることも可能である。また、第2のエアー導出通路33bに前述の通路開口を形成し、電極部70の電極収容部71のマイナスイオン放出開口75を第2のエアー導出通路33bの通路開口に臨ませるように設置することも可能である。
【0036】
図13は、さらに別のマイナスイオン発生器5の電極部の変形例を示している。この実施例における電極部80は、内部が中空であり、且つ左側が開口する箱状に形成された電極収容部81内に電極支持体82を設け、この電極支持体82に負電極83と対向電極84を設けて形成している。具体的には、図13に示されているように、合成樹脂からなる箱状の電極収容部81の右側面内面に有底筒状の電極支持体82の底面が固着されている。従って、固着された電極支持体82は、電極収容部81の開口側が開放された状態になっている。なお、電極支持体82は、絶縁性を備えた合成樹脂、あるいはセラミック等により形成されている。そして、電極支持体82の底面の中心部に負電極83が貫通されて、負電極83の先端が電極収容部81の開口に向かって延出している。なお、この負電極83は、放電抵抗が小さなタングステンで形成されていて、その先端は鋭利に尖らせた先鋭突起83aになっている。また、負電極83の他端側には、高電圧発生部電極部42と繋がれるリード線49が接続されている。さらに、電極支持体82の外周部に対向電極84が装着されている。具体的には、この対向電極84は、リング状に形成されており、その一方端側に複数の突起部84、84・・・が形成されている。そして、対向電極84は、電極支持体82の外周を囲むように電極支持体82に嵌合されている。なお、対向電極84の他端側には、高電圧発生部電極部42と繋がれるリード線50が接続されている。ちなみに、負電極83の先端は、電極支持体82の先端(図14における左側端)よりも内側に位置するようにしている。これは、負電極83と対向電極84が互いにスパークしてしまうことを防ぐためであり、このようにすることで効果的にマイナスイオンを生成することができる。なお、この実施例において、負電極83がタングステンにより形成されている例を示したが、これに限られず他の金属製材料により形成することも勿論可能である。また、対向電極84についても同様で種々の金属製材料を選択することが可能である。
【0037】
なお、前述の電極部80を備えたマイナスイオン発生器5は、他の実施例と同様、キャビネット2の容器本体10内において、送風手段3のケース体35の下端のやや下方に設けてもよいし、第2のエアー導出通路33b内に設けることも可能である。また、第2のエアー導出通路33bに前述の通路開口を形成し、電極部80の電極収容部81の開口を第2のエアー導出通路33bの通路開口に臨ませるように設置することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 エアータオル装置
2 キャビネット
3 温風送風手段
4 センサー
5 マイナスイオン発生器
25 エアー吹出口
30 ヒーター
31 送風機
32 モーター
33 エアー導出通路
36 ファン
40 電極収容部
41 電極部
42 高電圧発生部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
図13