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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125688
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ベビーカー用フロントガード
(51)【国際特許分類】
   B62B 9/24 20060101AFI20240911BHJP
   B62B 7/08 20060101ALI20240911BHJP
   A44B 13/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
B62B9/24 A
B62B7/08
A44B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033671
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】仲田 良
【テーマコード(参考)】
3B100
3D051
【Fターム(参考)】
3B100AB01
3D051AA02
3D051AA16
3D051AA23
3D051BA03
3D051BB03
3D051CA04
3D051CB06
3D051CD06
3D051DD11
(57)【要約】
【課題】可撓性を有するフロントガードでありながら、高い強度を持ちつつ、安価かつ簡易な構成を実現することのできるベビーカー用フロントガードを提供する。
【解決手段】本体12と、本体12の両端に配置された取付手段20とを有し、ベビーカー30の着座部を跨いで配置されるフロントガード10であって、本体12は、可撓性を有すると共に平板状を成し、引張強さが大きい芯材14と、芯材14の少なくとも一方の主面に配置され、芯材14よりも曲げ耐力が大きく、引張強さが小さい緩衝材16と、を有することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体の両端に配置された取付手段とを有し、ベビーカーの着座部を跨いで配置されるフロントガードであって、
前記本体は、可撓性を有すると共に平板状を成し、引張強さが大きい芯材と、
前記芯材の少なくとも一方の主面に配置され、前記芯材よりも曲げ耐力が大きく、引張強さが小さい緩衝材と、を有することを特徴とするベビーカー用フロントガード。
【請求項2】
前記本体には、前記芯材と前記緩衝材を結合させた部材の少なくとも一部を覆う外装材を備えたことを特徴とする請求項1に記載のベビーカー用フロントガード。
【請求項3】
前記芯材は、織物であることを特徴とする請求項1に記載のベビーカー用フロントガード。
【請求項4】
前記本体の両端部には、当該本体の端部を面方向に折り返して固定する事により側方に貫通孔が構成されるループ状の連結部が備えられ、
前記取付手段は、前記連結部のループ部分にピンを挿通させることで、前記本体に連結されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のベビーカー用フロントガード。
【請求項5】
前記取付手段は、前記本体の端部を覆うガイドケースと、前記ベビーカー本体への固定を図るタングとを有し、
前記ピンにより、前記連結部への前記ガイドケースの連結と、前記ガイドケースと前記タングの連結の双方を図る構成としたことを特徴とする請求項4に記載のベビーカー用フロントガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーカーの着座部を跨いで配置されるフロントガードに係り、特に、ベビーカーを折り畳んだ際、持ち手として利用することが可能なフロントガードに関する。
【背景技術】
【0002】
ベビーカーの着座部を跨いで配置されるフロントガードには大別して、形状変形が困難な硬質素材の物と、可撓性を有する軟質素材の物が存在する。近年、ベビーカーを折り畳んだ際、フロントガードを持手として利用可能とする機種も見受けられるようになったが、こうした機種にはもっぱら、可撓性を有するフロントガードが採用されることとなる。ここで、可撓性を有するフロントガードは、特許文献1に開示されているように、軟質部材により構成されたフロントガード本体の両端部に、硬質素材により構成された取付手段を備える構成を基本としている。
【0003】
しかし、このような構成の可撓性を有するフロントガードの場合、フロントガード本体は、可撓性を有する樹脂などによるモールド品により構成されることを基本とするため、大型な型枠を形成する必要が生じるなど、製造コストが嵩むこととなる。また、安全性を確保するための強度を保証するには、素材の厚みを厚くする必要が生じ、重量も増すこととなる。さらに、取付手段との係合部には、ボルトやリベットが用いられ、フロントガード本体に貫通孔が形成されるため、貫通孔周辺の強度を増すために金属等により構成された補強板を介入させる必要が生じ、部品点数も増す事となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6654460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明では、可撓性を有するフロントガードでありながら、高い強度を持ちつつ、安価かつ簡易な構成を実現することのできるベビーカー用フロントガードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るベビーカー用フロントガードは、本体と、前記本体の両端に配置された取付手段とを有し、ベビーカーの着座部を跨いで配置されるフロントガードであって、前記本体は、可撓性を有すると共に平板状を成し、引張強さが大きい芯材と、前記芯材の少なくとも一方の主面に配置され、前記芯材よりも曲げ耐力が大きく、引張強さが小さい緩衝材と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、上記のような特徴を有するベビーカー用フロントガードには、前記本体には、前記芯材と前記緩衝材を結合させた部材の少なくとも一部を覆う外装材を備えるようにすると良い。このような特徴を有する事により、外観の見栄えを向上させることができると共に、持ち手として利用する際の手触りなどを向上させることもできる。
【0008】
また、上記のような特徴を有するベビーカー用フロントガードにおいて前記芯材は、織物とすることが望ましい。このような特徴を有する事により、比較的長尺となる部材であっても、安価に入手する事が可能となる。
【0009】
また、上記のような特徴を有するベビーカー用フロントガードにおいて前記本体の両端部には、当該本体の端部を面方向に折り返して固定する事により側方に貫通孔が構成されるループ状の連結部が備えられ、前記取付手段は、前記連結部のループ部分にピンを挿通させることで、前記本体に連結されるようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、本体と取付手段との連結が、ピンの長手方向に沿った面となるため、接触部にかかる応力を分散することが可能となる。これにより、芯材に補強部材等を配置する事なく荷重を受ける事ができる。
【0010】
さらに、上記のような特徴を有するベビーカー用フロントガードにおける前記取付手段は、前記本体の端部を覆うガイドケースと、前記ベビーカー本体への固定を図るタングとを有し、前記ピンにより、前記連結部への前記ガイドケースの連結と、前記ガイドケースと前記タングの連結の双方を図る構成とすると良い。このような特徴を有する事により、1つのピンで複数部材の連結を実現する事が可能となり、構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0011】
上記のような特徴を有するベビーカー用フロントガードによれば、可撓性を有するフロントガードでありながら、高い強度を持ちつつ、安価かつ簡易な構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るフロントガードの全体構成を示す斜視図である。
図2】実施形態に係るフロントガードにおける端部の構造を説明するための分解斜視図である。
図3】実施形態に係るフロントガードにおける端部の構造を示す部分断面図である。
図4】実施形態に係るフロントガードを配置するベビーカーのフレーム構造の一例を示す斜視図である。
図5図4に示すフレーム構造のベビーカーに配置したフロントガードの一方の端部における係合を解除した状態を示す図である。
図6】ベビーカーを折り畳み、フロントガードを持ち手として利用する場合の形態を示す斜視図である。
図7】芯材の双方の主面に緩衝材を貼付した形態の例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のベビーカー用フロントガードに係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上での好適な形態の一部に過ぎず、その効果を奏する限りにおいて、構成の一部に変更を加えたとしても、本発明の一部とみなすことができる。
【0014】
[構成]
まず、図1から図6を参照して、本実施形態に係るベビーカー用フロントガード(以下、単にフロントガードと称す)を配置するベビーカーの概略構成と、フロントガード自体の構成について説明する。ここで、図1は、実施形態に係るフロントガードの全体構成を示す斜視図である。また、図2は、実施形態に係るフロントガードにおける端部の構造を説明するための分解斜視図である。また、図3は、実施形態に係るフロントガードにおける端部の構造を示す部分断面図である。また、図4は、実施形態に係るフロントガードを配置するベビーカーのフレーム構造の一例を示す斜視図であり、図5は、配置したフロントガードの一方の端部の係合を解除した状態を示す斜視図である。さらに、図6は、ベビーカーを折り畳み、フロントガードを持ち手として利用する場合の形態を示す斜視図である。
【0015】
図4に示すように、本実施形態に係るフロントガード10は、前フレーム32と後フレーム34、及びハンドルフレーム36が交わる連結部38に配置(係合)される。連結部38は、各フレーム32,34,36を回動させる基点となっており、ベビーカー30を折り畳んだ場合には、図6に示すように、フロントガード10が上部に突き出た状態とすることができる。このため、フロントガード10をベビーカー30の持ち手として利用することができるようになる。
【0016】
このような配置形態で用いられる本実施形態に係るフロントガード10は、本体12と、取付手段20とより構成されている。本体12は、芯材14と、緩衝材16、及び外装材18とを有する。芯材14は、詳細を後述する緩衝材16よりも引張強さが大きく、可撓性を有する平板状の部材であると良い。また、引張強さとしては、少なくとも、フロントガード10を持手として使用した際、ベビーカー30の重量が連続的、あるいは断続的に付加されても破断しない強さであれば良い。具体的には、織物、革、など、引張強度は高いものの、単体では水平位置での形状維持が困難となるような高い可撓性を有する素材であると良い。なお、織物としては、自然素材により構成されたものであっても良いが、扱いやすさや保守性の高さから、ポリアミド(PA)やポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など、あるいはこれらの樹脂を主体として構成された化学繊維により構成されたものであると良い。
【0017】
芯材14は上記のような素材により1本のベルト状に形成される。そして、その両端には、それぞれ連結部14aが備えられている。ここでいう連結部14aとは、芯材14の端部を面方向に折り返し、ループ状の空隙を形成するようにして、その折り返された端部を対向する面上に固定することで構成される部位である。なお、連結部14aを構成する際に端部を固定するために用いられる手段は、縫製の他、接着剤や溶着などであっても良い。
【0018】
緩衝材16は、上述した芯材14の配置形態を保つと共に、フロントガード10を持ち手として用いてベビーカー30を持ち上げた際、接触部分に加わる応力を分散させる役割を担う要素である。このため緩衝材16は、芯材14よりも曲げ耐力が大きく、厚みのある部材とすれば良い。また、曲げ耐力が大きい素材であれば、その引張強度は、芯材14よりも小さくても良い。具体的には、発泡素材とすると良く、例えば発泡ポリエチレンフォームなどにより構成すると良い。
【0019】
本実施形態の場合、緩衝材16は、芯材14の一方の主面、より具体的には、フロントガード10をベビーカー30に取付けた際、下面側(着座部(前フレーム32と後フレーム34との間に対向する側))に位置する主面に固定される。芯材14に対して緩衝材16を固定する際の手段については、両者の固定が確実に成されるものであれば限定するものでは無い。例えば、縫製、接着剤、溶着等の手段であれば良い。
【0020】
このようにして、上記のような特性を有する芯材14と緩衝材16とを接合することにより、芯材14の利点と緩衝材16の利点を併せ持つ本体12を構成することができる。すなわち、芯材14の引張強度をもちつつ、緩衝材16の曲げ耐力を備えることとなる。このため、フロントガード10として取り付けた際には、緩衝材16の作用によりアーチ型の形状を維持することができ、持ち手として用いられた際には、芯材14の作用により高い強度を保つことができる。このため、芯材14に対する緩衝材16の配置割合は、芯材14の長さ方向に沿ったほぼ全域となるようにすることが望ましく、芯材14の両端に設けられる連結部14aを構成するループには重ならないようにする。
【0021】
外装材18は、芯材14と、緩衝材16を覆う要素であり、いわゆる化粧素材としての役割を担う。このため、外装材18として用いられる部材については限定するものではないが、肌ざわりが良く、外観的に見栄えの良い素材とすることが望ましい。身近な素材としては、例えば合皮などとすると良い。外装材18による被覆範囲は、芯材14と緩衝材16の一部であっても良いが、望ましくは、詳細を後述する取付手段20を構成するガイドケース22におけるケース本体22aの一部までを覆う範囲とすると良い。
【0022】
取付手段は20、本体12の両端部に配置され、ベビーカー30に対するフロントガード10の係合を担う要素である。本実施形態に係る取付手段20は、ガイドケース22と、タング24とを有する。ガイドケース22は、ケース本体22aとリンク部22bとを有し、その内部には、ケース本体22aとリンク部22bとで連通する空間が構成されている。ケース本体22aには、リンク部22bとの連結部と反対側に内部空間へアクセス可能な開口部が設けられている。また、リンク部22bにはその側面に、詳細を後述するピン26を挿通可能な貫通孔22b1が形成されている。
【0023】
このような構成とすることで、ガイドケース22に本体12の端部を挿入する際、連結部14aをリンク部22bにまで挿入することが可能となる。ここで、ガイドケース22の内部には、連結部14aのループ部分が配置される。そして、ケース本体22aの内部空間に、芯材14と緩衝材16が押し込まれる状態となる。これにより、本体12が幅方向に座屈変形してしまうことを防ぐことが可能となる。よって、ベビーカー30にフロントガード10を取り付けた際、本体12が垂れ下がる事が無くなり、配置状態の安定保持が可能となる。また、図5に示すように、取付手段20と連結部38との係合を片方だけ解除した状態であっても、矢印Bの方向に、フロントガード10が垂れ下がってしまう事を防ぐことができる。
【0024】
タング24は、リンク部24aと挿入部24bとを有する。リンク部24bは、ガイドケース22を構成するリンク部22bとピン結合し、このピン26を基点とした一軸方向(図3における矢印Aの方向)への回動を可能にする要素である。このため、リンク部24aにはその側方に、ピン26を挿通させるための貫通孔24a1が設けられている。一方挿入部24bは、ベビーカー30に設けられた連結部38への係合を図るための要素である。挿入部24bの形態は限定されるものではなく、連結部38に対して確実に固定できる形態であれば良い。
【0025】
このような構成の取付手段20は、ガイドケース22におけるケース本体22aの開口部から本体12の端部を挿入し、リンク部22bの内部空間に連結部14aのループ部分が位置した状態で、タング24のリンク部24aとガイドケース22のリンク部22bを重ね合わせ、貫通孔24a1,22b1に対してピン26を挿通させる。この時、リンク部22bの内部空間を抜けるピン26が、連結部14aにおけるループ部分を抜けるようにすることで、取付手段20に対する本体12の抜け止めを図る事もできる。芯材14の連結部14aに構成されるループ部分にピン26を挿通させる構成としているため、ピン26と芯材14との接触部を面とすることができる。このため、芯材14に対して補強部材を付帯させる事無く、高い引っ張り強度を保つことができる。
【0026】
[作用・効果]
上記のような特徴を有するフロントガード10は、図4に示すように、取付手段20を介してベビーカー30に配置される。ベビーカー30に配置されたフロントガード10の本体12は、緩衝材16の作用により、取付状態であるアーチ状の形態を維持することができる。また、図5に示すように、取付手段20による連結部38に対する係合を片方だけ解除し、本体12を跳ね上げた場合、取付手段20のガイドケース22と緩衝材16の作用により、フロントガード10の本体12が下側(矢印Bに示す方向)に垂れ下がることを防ぐことができるようになる。
【0027】
また、ベビーカー30を図6のように折畳み、フロントガード10を持ち手として利用する場合には、芯材14の作用により高い強度を保つことができる。
このように、本実施形態に係るフロントガード10は、汎用のベルト状部材を芯材14とし、この芯材14に対して汎用の緩衝材16を接合することで本体12のコアを構成している。このため、可撓性を有するフロントガード10でありながら、高い強度を持ちつつ、安価かつ簡易な構成を実現することが可能となる。
【0028】
[応用例]
上記実施形態では、本体12を構成する緩衝材16は、芯材14を構成する平板状の部材の一方の主面に配置する旨記載した。しかしながら緩衝材16は図7に示すように、芯材14を構成する双方の主面に配置するようにしても良い。このような構成とした場合であっても、本発明の効果を奏するにあたり支障は無いからである。
【符号の説明】
【0029】
10………フロントガード、12………本体、14………芯材、14a………連結部、16………緩衝材、18………外装材、20………取付手段、22………ガイドケース、22a………ケース本体、22b………リンク部、22b1………貫通孔、24………タング、24a………リンク部、24a1………貫通孔、24b………挿入部、26………ピン、30………ベビーカー、32………前フレーム、34………後フレーム、36………ハンドルフレーム、38………連結部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7