(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125691
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】充放電システム
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20240911BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240911BHJP
B60L 53/31 20190101ALI20240911BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240911BHJP
H02G 11/00 20060101ALN20240911BHJP
【FI】
H02G3/30
H05K7/00 H
B60L53/31
H02J7/00 P
H02G11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033684
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 貴大
(72)【発明者】
【氏名】田端 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】浅井 丈治
【テーマコード(参考)】
4E352
5G363
5G371
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
4E352AA02
4E352AA18
4E352BB03
4E352BB15
4E352CC12
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4E352GG10
5G363AA12
5G363BA01
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5G363DC02
5G371AA01
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5G503FA03
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】本願は、充放電ケーブルの根元の固定部分の強度を向上可能な充放電システムを開示する。
【解決手段】電動式移動体用の充放電システムであって、電動式移動体に接続可能な充放電ケーブルと、充放電ケーブルの端部がU字状の部品によって固定される板金を内蔵した充放電装置本体と、を備え、板金は、充放電ケーブルの端部が接触する接触部が、U字状の部品を留める周辺部よりも充放電ケーブル側に隆起している、充放電システムである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式移動体用の充放電システムであって、
前記電動式移動体に接続可能な充放電ケーブルと、
前記充放電ケーブルの端部がU字状の部品によって固定される板金を内蔵した充放電装置本体と、を備え、
前記板金は、前記充放電ケーブルの端部が接触する接触部が、前記U字状の部品を留める周辺部よりも前記充放電ケーブル側に隆起している、
充放電システム。
【請求項2】
前記接触部は、前記充放電ケーブルの長手方向に対し交差する方向に沿って延在するように隆起する第1隆起部を有する、
請求項1に記載の充放電システム。
【請求項3】
前記接触部は、前記充放電ケーブルの長手方向に沿って延在するように隆起する第2隆起部を有する、
請求項1に記載の充放電システム。
【請求項4】
前記接触部は、長辺が前記充放電ケーブルの長手方向に沿って延在する略長方形に隆起している、
請求項1に記載の充放電システム。
【請求項5】
前記U字状の部品は、前記接触部を跨ぐ位置で前記板金に留められている、
請求項1から4の何れか一項に記載の充放電システム。
【請求項6】
前記充放電ケーブルは、芯線の太さが異なる2種以上のケーブルを束ねたものである、
請求項1に記載の充放電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気モータの動力で駆動する電動式自動車等の各種電動式移動体が普及しつつある。これに伴い、駆動用の電気モータへ給電するバッテリ(「メインバッテリ」或いは「走行用バッテリ」とも呼ばれる)の充電等を司る電気設備の開発も盛んに行われている。
【0003】
電動式移動体へ給電してバッテリの充電を行う充電設備、或いは、バッテリの充電とバッテリから外部への放電(給電)の両方を司る充放電設備(例えば、「V2H(Vehicle to Home)」或いは「V2G(Vehicle to Grid)」とも呼ばれる)といった充放電システムには、電動式移動体に着脱される充放電ケーブルが備わっている。
【0004】
充放電ケーブルは、電動式移動体に接続されない状態においては、例えば、巻いた状態でケーブルホルダに保管される。また、充放電ケーブルは、電動式移動体に接続された状態においては、本体から地面へ垂れ下がった状態で電動式移動体の接続口へ引き回される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
充放電ケーブルは、電動式移動体の周囲に引き回された状態で用いられるので、付近を通行する人の接触等により、充放電ケーブルが引っ張られる可能性がある。充放電ケーブルが引っ張られると、充放電ケーブルの根元の固定部分の変形により、充放電ケーブルが固定部分から外れる可能性がある。
【0007】
そこで、本願は、充放電ケーブルの根元の固定部分の強度を向上可能な充放電システムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、充放電ケーブルの端部が接触する板金の接触部を、U字状の部品を留める周辺部よりも充放電ケーブル側に隆起させることにした。
【0009】
詳細には、電動式移動体用の充放電システムであって、電動式移動体に接続可能な充放電ケーブルと、充放電ケーブルの端部がU字状の部品によって固定される板金を内蔵した充放電装置本体と、を備え、板金は、充放電ケーブルの端部が接触する接触部が、U字状の部品を留める周辺部よりも充放電ケーブル側に隆起している、充放電システムである。
【0010】
このような充放電システムであれば、充放電ケーブルが引っ張られて充放電ケーブルの根元の固定部分に荷重が加わっても、充放電ケーブルの端部が接触している板金の接触部の変形が隆起による補強効果によって可及的に抑制される。このため、充放電ケーブルの根元の固定部分の強度が向上する。
【0011】
なお、接触部は、充放電ケーブルの長手方向に対し交差する方向に沿って延在するよう
に隆起する第1隆起部を有していてもよい。このような充放電システムであれば、充放電ケーブルが引っ張られて充放電ケーブルの根元の固定部分に荷重が加わっても、充放電ケーブルの端部が接触している板金の接触部の、充放電ケーブルの長手方向に対し交差する方向における変形が可及的に抑制される。このため、充放電ケーブルの根元の固定部分の強度が向上する。
【0012】
また、接触部は、充放電ケーブルの長手方向に沿って延在するように隆起する第2隆起部を有していてもよい。このような充放電システムであれば、充放電ケーブルが引っ張られて充放電ケーブルの根元の固定部分に荷重が加わっても、充放電ケーブルの端部が接触している板金の接触部の、充放電ケーブルの長手方向に沿った方向における変形が可及的に抑制される。このため、充放電ケーブルの根元の固定部分の強度が向上する。
【0013】
また、接触部は、長辺が充放電ケーブルの長手方向に沿って延在する略長方形に隆起していてもよい。このような充放電システムであれば、充放電ケーブルが引っ張られて充放電ケーブルの根元の固定部分に荷重が加わっても、充放電ケーブルの端部が接触している板金の接触部の変形が略長方形の隆起によって可及的に抑制される。このため、充放電ケーブルの根元の固定部分の強度が向上する。
【0014】
また、U字状の部品は、接触部を跨ぐ位置で板金に留められていてもよい。このような充放電システムであれば、充放電ケーブルが引っ張られて充放電ケーブルの根元の固定部分に荷重が加わっても、充放電ケーブルの端部が接触している板金の接触部の変形が可及的に抑制される。このため、U字状の部品と接触部との間の広がりが抑制され、充放電ケーブルの根元の固定部分の強度が向上する。
【0015】
また、充放電ケーブルは、芯線の太さが異なる2種以上のケーブルを束ねたものであってもよい。このような充放電システムであれば、充放電ケーブルが固定部分により強固に固定される。
【発明の効果】
【0016】
上記の充放電システムであれば、充放電ケーブルの根元の固定部分の強度を向上可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、充放電システムの外観斜視図である。
【
図2】
図2は、充放電ケーブルが取り付けられる充放電装置本体内部の取付部分付近を示した図である。
【
図3】
図3は、ケーブル取付部を詳細に示した図である。
【
図4】
図4は、充放電ケーブルを固定した状態のケーブル取付部を示した図である。
【
図5】
図5は、充放電ケーブルの固定状態を詳しく示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<適用例>
本発明の適用例として、充放電システムを
図1に示す。本願では、説明の便宜上、「充放電」という文言を用いているが、「充放電」とは、充電と放電の両方が可能であることに限定するものではなく、充電または放電のみが可能であることを含む。よって、充放電システム1とは、充電と放電の両方が可能なものに限定されない。充放電システム1は、充電のみが可能なものであってもよいし、放電のみが可能なものであってもよい。
【0019】
充放電システム1の充放電装置本体2には、充放電ケーブルが設けられる。充放電ケーブルの端部は、
図2に示すような、充放電装置本体2の外装ケース27に内蔵された板金25のケーブル取付部24に固定される。ケーブル取付部24には、
図3を見ると判るように、板金25の平面部分から隆起する接触部24aが形成されている。このため、
図5を見ると判るように、充放電ケーブル64は、ケーブル外装被覆64aの端部付近においてケーブル外装被覆64aを外周側からU字金具24cで包み込むように固定され、ネジ24dによって板金25に留められたU字金具24cが充放電ケーブル64を接触部24aの接触面24a1に押し付ける。これにより、充放電ケーブル64は、ケーブル外装被覆64aの端部付近がU字金具24cと接触部24aの接触面24a1とに拘束された状態となり、充放電ケーブル64に長手方向沿いの引張荷重が加わっても充放電ケーブル64の拘束を維持し、充放電ケーブル64がケーブル取付部24から外れるのを防ぐ。そして、この接触部24aを形成する第1隆起部24a2と第2隆起部24a3は、板金25がU字金具24cの反対側へ隆起するように変形するのを防ぐ梁としての役割を果たす。このため、充放電ケーブル64が強く引っ張られても、ケーブル外装被覆64aの端部付近を拘束するU字金具24cと接触部24aの接触面24a1との間が広がって充放電ケーブル64の拘束が解かれ、充放電ケーブル64がケーブル取付部24から外れるのを防ぐことができる。
【0020】
<実施形態>
以下、実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の内容に限定するものではない。
【0021】
図1は、充放電システムの外観斜視図である。充放電システム1は、電動式移動体用のシステムである。電動式移動体とは、電動式の移動体であり、地上を走行する電動式自動車、水上を進む電動式船舶、空中を飛行する電動式飛行体、その他各種の移動体が挙げられる。移動体は、人が乗降可能な乗り物であってもよいし、或いは、無人で移動するものであってもよい。また、充放電システム1が設置される箇所としては、戸建て住宅や集合住宅、宿泊施設、商業施設、行政関連施設、道路沿いの休憩施設、空港施設、港湾施設等が挙げられる。電動式自動車としては、バッテリの電力のみで走行するBEV(Battery Electric Vehicle)、バッテリと内燃機関を併用するPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、燃料電池の電力で走行するFCV(Fuel Cell Vehicle)、その他各種の電動式自動車
(以下、「EV」という)が挙げられる。充放電システム1は、このような、駆動用の電気モータへ給電するバッテリを内蔵した電動式移動体の充電を行う充電設備、或いは、バッテリの充電とバッテリから外部への充放電の両方を司る充放電設備として利用される。本実施形態では、充放電システム1を充放電する設備という前提で説明するが、充放電システム1は充電専用の設備であってもよい。
【0022】
充放電システム1は、屋外を移動する電動式移動体用の充放電設備であるため、風雨に晒されることを想定した屋外仕様の設計となっている。すなわち、充放電システム1には、充放電装置本体2、充放電装置本体2を壁面に取り付けるための背面筐体3、電動式移動体に接続する充放電ケーブルのコネクタを固定するためのコネクタホルダ4、充放電ケーブルを保管するためのケーブルホルダ5が備わっている。
【0023】
充放電装置本体2は、スイッチングコンバータ等の電力変換装置を内蔵した装置である。電動式移動体への給電は直流電力で行うことを前提とした規格になっているが、電力系統には交流電力が流れている。このため、電力系統と電動式移動体とを繋ぐ充放電システム1の充放電装置本体2は、電力の交直変換を行う。また、充放電装置本体2は、電動式移動体や電力系統が許容する電圧及び電流となるように、電圧の昇降圧や電流制御を行う。
【0024】
充放電装置本体2は、このような電力変換を司るスイッチング素子や制御装置等の電子部品を有するものであるため、電子部品を内蔵する本体筐体21、本体筐体21の開口を塞ぐ正面カバー22、充放電装置本体2を操作するための操作パネル23を有する。本体筐体21と正面カバー22は、
図1に示されるように、略直方体の外観を形成する。そして、操作パネル23は、ユーザが操作しやすいように、充放電装置本体2の正面部分を形成する正面カバー22に配置されている。
【0025】
背面筐体3は、充放電装置本体2を建物の壁面或いは充電ポールに取り付けるための部材である。充放電装置本体2の背面には放熱用のフィン等を備えたヒートシンクが配置されている。このため、充放電装置本体2の背面と充放電装置本体2の取り付け面との間を離間させるために、充放電装置本体2の背面と充放電装置本体2の取り付け面との間に背面筐体3を挟む形態となっている。
【0026】
背面筐体3は、略直方体の外観の充放電装置本体2の背面側に取り付けるものであるため、充放電装置本体2の背面の外観形状に対応した略矩形の部材となっている。そして、背面筐体3は、充放電装置本体2が背面筐体3を介して取り付け面に設置された状態において、背面筐体3の上面や側面、底面が露出する形態となっている。このため、背面筐体3の側面31には、
図1に示されるように、コネクタホルダ4が取り付け可能となっている。また、背面筐体3の上面には、放熱用の通気口32が設けられている。
図1には図示されていないが、背面筐体3の下面にも、通気口32と同様の通気口が設けられている。
【0027】
コネクタホルダ4は、背面筐体3の側面31に取り付け可能なホルダである。コネクタホルダ4は、内部の金具を覆う背面カバー41と正面カバー42、正面カバー42に形成されたコネクタ装着用のコネクタ差込孔43を有する。
【0028】
ケーブルホルダ5は、
図1に示すように、充放電装置本体2の下部に装着されるフック状の部材であり、アーム部51、受け部52、爪部53を有する。ケーブルホルダ5は、アーム部51と受け部52と爪部53によってフック状に形成される部材であるため、巻かれた状態のケーブルを受け部52に吊り下げ状態で架けることができる。よって、受け部52に架かった状態のケーブルは、充放電装置本体2の後方側へはアーム部51により移動が阻まれ、充放電装置本体2の前方側へは爪部53により移動が阻まれる。このため、ケーブルホルダ5は、巻かれた状態のケーブルを落とさないように吊り下げ状態で保持することができる。
【0029】
図2は、充放電ケーブルが取り付けられる充放電装置本体2内部の取付部分付近を示した図である。充放電ケーブルの端部は、充放電装置本体2の外装ケース27に内蔵された板金25のケーブル取付部24に固定される。板金25は、ある程度の強度を有する板金であり、充放電装置本体2が壁面に取り付けられた通常の姿勢の状態において、外装ケース27内の下部付近でケーブルの取り付け面が垂直になるように配置されている。
【0030】
外装ケース27の底面には、充放電ケーブルを挿通するための貫通孔が設けられている。そして、この貫通孔に取り付けられた防水用のケーブルグランド28を通じて、充放電ケーブルの端部が外装ケース27の外から中へ引き込まれるようになっている。そして、充放電ケーブルの端部に設けられたコネクタが、外装ケース27の内部に設けられているコネクタ26c1,26c2,26c3に接続されるようになっている。
【0031】
ケーブル取付部24は、充放電ケーブルの端部が接触する接触部24aが、ネジ24dによってU字金具24cが留められる周辺部24bよりも隆起するようになっているが、基本的には充放電ケーブルをケーブルの長手方向が板金25の取り付け面に沿うようにケーブルを固定する形態となっている。このため、外装ケース27内の下部付近で垂直にな
るように配置されている板金25のケーブル取付部24に固定される充放電ケーブルは、ケーブルの長手方向がケーブル取付部24から真下へ向かうようにしてケーブル取付部24から垂れ下がり、ケーブルグランド28を通じて外装ケース27の外へ通じている。したがって、充放電ケーブルが何らかの理由により引っ張られると、ケーブル取付部24には、充放電ケーブルの長手方向に沿って下方向の引張荷重が加わることになる。
【0032】
図3は、ケーブル取付部24を詳細に示した図である。ケーブル取付部24には、
図3を見ると判るように、板金25の平面部分から隆起する接触部24aが形成されている。接触部24aは、板金25をプレス加工することによって隆起させられている。接触部24aは、長辺がケーブル取付部24に固定される充放電ケーブルの長手方向に沿って延在する略長方形に隆起している。このため、接触部24aの四辺を構成する4つの隆起部のうち、長方形の短辺を構成する2つの第1隆起部24a2,24a2は、ケーブル取付部24に固定される充放電ケーブルの長手方向に対し直交する方向に沿って延在するように隆起している。また、接触部24aの四辺を構成する4つの隆起部のうち、長方形の長辺を構成する2つの第2隆起部24a3,24a3は、ケーブル取付部24に固定される充放電ケーブルの長手方向に沿って延在するように隆起している。
【0033】
図4は、充放電ケーブルを固定した状態のケーブル取付部24を示した図である。
図4では、図示されたケーブルのいくつかが途中で切断されたような状態で図示されているが、これはケーブルの図示を一部省略したものであり、切断されたケーブルを意図したものではない。
【0034】
ケーブル取付部24は、
図4に示すように、充放電ケーブル64の端部をU字金具24cで接触部24aに固定する。充放電ケーブル64は、
図4に示すように、芯線の太さが異なる2種以上のケーブルを束ねたものである。本実施形態では、充放電ケーブル64が、最も太い芯線のケーブル64b1と、ケーブル64b1よりもやや芯線の細いケーブル64b2と、ケーブル64b2よりも芯線の細いケーブル64b3とを有する形態を例に説明するが、充放電ケーブル64は、2種のケーブルを束ねたものであってもよいし、或いは、4種以上のケーブルを束ねたものであってもよい。
【0035】
ケーブル64b1は、電動式移動体のバッテリを充放電するためのケーブルである。このため、ケーブル64b1は、充放電ケーブル64を構成するケーブルの中では、定格電圧と定格電流が共に最も高いケーブルとなっている。
【0036】
ケーブル64b2は、電動式移動体に補機動作用の電力を給電するためのケーブルである。電動式移動体の補機は、一般的には12Vの電圧となっているため、ケーブル64b2はこの程度の電圧に耐えるケーブルとなっている。充放電装置本体2がケーブル64b2を介して電動式移動体へ供給する電力は、例えば、電動式移動体のバッテリ(メインバッテリ)の状態や充放電を管理する制御装置に用いられる。
【0037】
ケーブル64b3は、充放電を行うための通信ケーブルである。充放電装置本体2が電動式移動体のバッテリの充放電を行うには、充放電装置本体2や電動式移動体に定められた規格に従い、充放電装置本体2の制御装置と電動式移動体の制御装置が互いに通信し合う必要がある。ケーブル64b3は、このような通信を行うために用いられる。
【0038】
充放電ケーブル64は、
図4を見ると判るように、ケーブル外装被覆64aの端部がU字金具24cに締め付けられるような状態でケーブル取付部24に固定される。そして、ケーブル外装被覆64aの端部から露出するケーブル64b1の先端のコネクタ64c1がコネクタ26c1に接続され、ケーブル外装被覆64aの端部から露出するケーブル64b2の先端のコネクタ64c2がコネクタ26c2に接続され、ケーブル外装被覆64
aの端部から露出するケーブル64b3の先端のコネクタ64c3がコネクタ26c3に接続される。
【0039】
図5は、充放電ケーブル64の固定状態を詳しく示した図である。
図5では、充放電ケーブル64の固定状態を充放電ケーブル64の長手方向に沿って見た様子を
図5(A)に示し、充放電ケーブル64の固定状態を充放電ケーブル64の長手方向に直交する方向から見た様子を
図5(B)に示している。
【0040】
図5を見ると判るように、充放電ケーブル64は、ケーブル外装被覆64aの端部付近においてケーブル外装被覆64aを外周側からU字金具24cで包み込むように固定され、ネジ24dによって板金25に留められたU字金具24cが充放電ケーブル64を接触部24aの接触面24a1に押し付ける。これにより、充放電ケーブル64は、ケーブル外装被覆64aの端部付近がU字金具24cと接触部24aの接触面24a1とに拘束された状態となり、充放電ケーブル64に充放電ケーブル64の長手方向沿いの引張荷重が加わっても充放電ケーブル64の拘束を維持し、充放電ケーブル64がケーブル取付部24から外れるのを防ぐ。
【0041】
また、充放電ケーブル64は、芯線の太さが異なる2種以上のケーブルを束ねたものであるため、U字金具24cと平らな接触面24a1とに拘束されると、平らな接触面24a1に僅かに馴染むようにケーブルの断面形状が変形する。これにより、周辺部24bよりも隆起している接触部24aが充放電ケーブル64に側面からやや食い込むような形となり、充放電ケーブル64は接触部24aに強固に固定されたような状態になる。
【0042】
そして、
図5に示すように、2つの第1隆起部24a2,24a2は、ケーブル取付部24に固定される充放電ケーブル64の長手方向に対し直交する方向に沿って延在するように隆起している。よって、第1隆起部24a2は、U字金具24cを板金25に留める2つのネジ24dの間の部分で、板金25がU字金具24cの反対側(
図5(A)の白抜き矢印方向)へ隆起するように変形するのを防ぐ梁として機能し、板金25の固定部分を補強する役割を果たす。すなわち、第1隆起部24a2は、
図5(A)において両端に矢印を有する曲線が示すような形に板金25が変形するのを抑制する。また、
図5に示すように、2つの第2隆起部24a3,24a3は、ケーブル取付部24に固定される充放電ケーブル64の長手方向に沿って延在するように隆起している。よって、第2隆起部24a3は、U字金具24cを板金25に留める2つのネジ24dの間で、板金25がU字金具24cの反対側(
図5(B)の白抜き矢印方向)へ隆起するように変形するのを防ぐ梁として機能し、板金25の固定部分を補強する役割を果たす。すなわち、第2隆起部24a3は、
図5(B)において両端に矢印を有する曲線が示すような形に板金25が変形するのを抑制する。このため、充放電ケーブル64に充放電ケーブル64の長手方向沿いの過大な引張荷重が加わっても、板金25のケーブル取付部24付近の変形が可及的に抑制される。したがって、本実施形態の充放電装置本体2であれば、充放電ケーブル64が強く引っ張られても、ケーブル外装被覆64aの端部付近を拘束するU字金具24cと接触部24aの接触面24a1との間が広がって充放電ケーブル64の拘束が解かれ、充放電ケーブル64がケーブル取付部24から離脱するのを防ぐことができる。
【0043】
図6は、比較例を示した図である。
図6に示す比較例は、接触部24aを周辺部24bから隆起させずに、板金25のケーブル取付部24付近を平坦にしたものである。よって、本比較例において、実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付す。
【0044】
図6(A)(B)を見ると判るように、本比較例では、充放電ケーブル64に接触する接触部124aが周辺部124bと同一平面状であり、板金125が平坦になっている。よって、充放電ケーブル64は、ケーブル外装被覆64aの端部付近においてケーブル外
装被覆64aを外周側からU字金具24cで包み込まれるように固定される。また、充放電ケーブル64は、ネジ24dによって板金125に固定されたU字金具24cにより、接触部124aへ押し付けられる。これにより、充放電ケーブル64は、ケーブル外装被覆64aの端部付近がU字金具24cと接触部124aとに拘束された状態となり、充放電ケーブル64に充放電ケーブル64の長手方向沿いの引張荷重が加わっても充放電ケーブル64の拘束を維持し、充放電ケーブル64がケーブル取付部124から外れるのを防ぐ。
【0045】
しかしながら、比較例のケーブル取付部124では、接触部124aが周辺部124bと同一平面状であり、上記実施形態の第1隆起部24a2や第2隆起部24a3に相当するものが存在しないため、充放電ケーブル64が強く引っ張られると、
図6(C)(D)に示すように、U字金具24cが充放電ケーブル64の引張方向へ傾く。本比較例では、第1隆起部24a2に相当するものが無いため、U字金具24cが充放電ケーブル64の引張方向へ傾くと接触部124aが変形し、例えば、
図6(C)の白抜き矢印が示す方向に歪む場合がある。また、本比較例では、第2隆起部24a3に相当するものが無いため、U字金具24cが充放電ケーブル64の引張方向へ傾くと接触部124aが変形し、例えば、
図6(D)の白抜き矢印が示す方向に歪む場合がある。この結果、充放電ケーブル64に加わっていた引張方向の力が無くなり、U字金具24cの傾きが無くなって元の姿勢に戻ると、ケーブル外装被覆64aの端部付近を拘束するU字金具24cと接触部124aとの間が広がったままの状態になる場合がある。ケーブル外装被覆64aの端部付近を拘束するU字金具24cと接触部124aとの間が広がったままの状態になると、充放電ケーブル64の拘束が弱まり、充放電ケーブル64がケーブル取付部124から外れやすい状態となる。
【0046】
この点、上記実施形態の充放電装置本体2であれば、板金25のケーブル取付部24の部分に第1隆起部24a2と第2隆起部24a3が設けられているため、比較例に比べて、充放電ケーブル64を引っ張る力にケーブル取付部24がより耐えることができる。このため、上記実施形態の充放電装置本体2であれば、充放電ケーブル64の根元の固定部分の強度を向上可能であると言える。
【0047】
なお、上記実施形態は、本願で開示する要旨を変更しない範囲で適宜変形可能である。
【0048】
本実施形態では、略長方形の接触部24aを板金25に形成する形態であったが、接触部24aは、略長方形以外の形状であってもよい。例えば、接触部24aが例えば円形の場合であれば、上記実施形態における第1隆起部24a2と第2隆起部24a3は一つの円環形状を呈し、第1隆起部24a2と第2隆起部24a3とを明確に区別できない形態となる。また、接触部24aが例えば六角形の場合であれば、その隆起部は、充放電ケーブル64の長手方向に対し斜めに交差する方向に沿って延在する場合もあり得る。
【0049】
また、上記実施形態では、U字金具24cで充放電ケーブル64を固定していたが、U字金具24cの代わりに樹脂製のU字状部品を用いてもよい。
【0050】
なお、本願は、以下の付記的事項を含む。
<付記1>
電動式移動体用の充放電システム(1)であって、
前記電動式移動体に接続可能な充放電ケーブル(64)と、
前記充放電ケーブルの端部がU字状の部品(24c)によって固定される板金(25)を内蔵した充放電装置本体(2)と、を備え、
前記板金は、前記充放電ケーブルの端部が接触する接触部(24a)が、前記U字状の部品を留める周辺部(24b)よりも前記充放電ケーブル側に隆起している、
充放電システム。
<付記2>
前記接触部は、前記充放電ケーブルの長手方向に対し交差する方向に沿って延在するように隆起する第1隆起部(24a2)を有する、
付記1に記載の充放電システム。
<付記3>
前記接触部は、前記充放電ケーブルの長手方向に沿って延在するように隆起する第2隆起部(24a3)を有する、
付記1又は2に記載の充放電システム。
<付記4>
前記接触部は、長辺が前記充放電ケーブルの長手方向に沿って延在する略長方形に隆起している、
付記1から3の何れか一項に記載の充放電システム。
<付記5>
前記U字状の部品は、前記接触部を跨ぐ位置で前記板金に留められている、
付記1から4の何れか一項に記載の充放電システム。
<付記6>
前記充放電ケーブルは、芯線の太さが異なる2種以上のケーブル(64b1,64b2,64b3)を束ねたものである、
付記1から5の何れか一項に記載の充放電システム。
【符号の説明】
【0051】
1・・充放電システム
2・・充放電装置本体
3・・背面筐体
4・・コネクタホルダ
5・・ケーブルホルダ
24・・ケーブル取付部
25・・板金
64・・充放電ケーブル
24a・・接触部
24b・・周辺部
24c・・U字金具
24a1・・接触面
24a2・・第1隆起部
24a3・・第2隆起部