IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

特開2024-125692充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム
<>
  • 特開-充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム 図1
  • 特開-充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム 図2
  • 特開-充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム 図3
  • 特開-充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム 図4
  • 特開-充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム 図5
  • 特開-充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム 図6
  • 特開-充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム 図7
  • 特開-充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム 図8
  • 特開-充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム 図9
  • 特開-充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム 図10
  • 特開-充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125692
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033685
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 貴大
(72)【発明者】
【氏名】篠田 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】田端 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】坪田 和幸
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】本願は、ホルダの姿勢に応じたラッチ部品のホルダへの取り付け作業を、容易に精度よく行うことが可能な充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システムを開示する。
【解決手段】本発明は、電動式移動体用の充放電システムの充放電コネクタ用ホルダであって、充放電ケーブルのコネクタが嵌合される嵌合孔を有する嵌合部と、嵌合部を充放電コネクタ用ホルダの取付箇所に応じた複数の姿勢で嵌め込み可能な開口部分を有する基部と、基部に対し着脱可能に固定される、コネクタを係合するためのラッチ部品と、を備え、開口部分は、ラッチ部品を位置合わせするための被当接部分を、複数の姿勢の各々に対応する複数の箇所に有する、充放電コネクタ用ホルダである。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式移動体用の充放電システムの充放電コネクタ用ホルダであって、
充放電ケーブルのコネクタが嵌合される嵌合孔を有する嵌合部と、
前記嵌合部を前記充放電コネクタ用ホルダの取付箇所に応じた複数の姿勢で嵌め込み可能な開口部分を有する基部と、
前記基部に対し着脱可能に固定される、前記コネクタを係合するためのラッチ部品と、を備え、
前記開口部分は、前記ラッチ部品を位置合わせするための被当接部分を、前記複数の姿勢の各々に対応する複数の箇所に有する、
充放電コネクタ用ホルダ。
【請求項2】
前記開口部分は、
前記嵌合部を少なくとも前記充放電コネクタ用ホルダの取り付け対象物の右側面と左側面の何れにも対応する姿勢で嵌め込み可能であり、
前記充放電コネクタ用ホルダを前記取り付け対象物の右側面に取り付ける場合に前記ラッチ部品を位置合わせするための第1被当接部分と、
前記充放電コネクタ用ホルダを前記取り付け対象物の左側面に取り付ける場合に前記ラッチ部品を位置合わせするための第2被当接部分と、を有する、
請求項1に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
【請求項3】
前記開口部分は、
前記嵌合部を前記充放電コネクタ用ホルダの取り付け対象物の正面にも対応する姿勢で嵌め込み可能であり、
前記充放電コネクタ用ホルダを前記取り付け対象物の正面に取り付ける場合に前記ラッチ部品を位置合わせするための第3被当接部分を更に有する、
請求項2に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
【請求項4】
前記被当接部分は、前記開口部分の複数箇所で互いに点対称に形成されている、
請求項1に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
【請求項5】
前記被当接部分は、前記開口部分の縁に形成される切り欠きである、
請求項1に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
【請求項6】
前記切り欠きは、
前記ラッチ部品の第1方向における固定位置を規定する第1の直線状の縁と、
前記ラッチ部品の第2方向における固定位置を規定する第2の直線状の縁と、を有する、
請求項5に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
【請求項7】
前記ラッチ部品は、前記開口部分に嵌め込まれた状態の前記嵌合部の前記嵌合孔の方に突出する爪を有する、
請求項1に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の充放電コネクタ用ホルダを備える充放電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気モータの動力で駆動する電動式自動車等の各種電動式移動体が普及しつつある。これに伴い、駆動用の電気モータへ給電するバッテリ(「メインバッテリ」或いは「走行用バッテリ」とも呼ばれる)の充電等を司る電気設備の開発も盛んに行われている。
【0003】
電動式移動体へ給電してバッテリの充電を行う充電設備、或いは、バッテリの充電とバッテリから外部への放電(給電)の両方を司る充放電設備(例えば、「V2H(Vehicle to Home)」或いは「V2G(Vehicle to Grid)」とも呼ばれる)といった充放電装置には、電動式移動体に着脱される充放電ケーブルが備わっている。充放電ケーブルは、電動式移動体に接続されない状態においては、例えば、巻いた状態でケーブルホルダに保管される。
【0004】
電動式移動体用の充放電装置は、通常、屋外に設置される。よって、電動式移動体に着脱される充放電ケーブルのコネクタは、少なくとも電極の部分が風雨に晒されないように保管されることが望ましい。そこで、電動式移動体用の充放電装置には、例えば、充放電ケーブルのコネクタを着脱可能なホルダが設けられることがある(例えば、特許文献1-4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08-033121号公報
【特許文献2】特開平10-117405号公報
【特許文献3】特開2010-263665号公報
【特許文献4】特開2013-093918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
充放電ケーブルのコネクタを保持するホルダは、利用者の利便性を考慮した箇所に設置されることが好ましい。しかしながら、通常、充放電ケーブルのコネクタには脱落防止用のラッチ機構が存在し、コネクタを保持するホルダにもコネクタのラッチ機構に係合させるための係合部分が用意される。よって、ホルダを様々な箇所に設置可能にするためには、ホルダの姿勢の変化に対応できるように、係合部分をホルダに着脱可能な別部品(以下、「ラッチ部品」という)とし、当該ラッチ部品をホルダに複数の取り付けパターンで取り付け可能にすることが考えられる。
【0007】
ところで、ラッチ部品はコネクタのラッチ機構に係合させるものなので、ホルダに対して精度よく取り付けられる必要がある。しかし、利用者の利便性を考慮したホルダの設置箇所の決定は、多くの場合、充放電装置の設置時に行われる。よって、ホルダの姿勢に応じたラッチ部品のホルダへの取り付け作業も、充放電装置が設置される箇所で実施される。
【0008】
そこで、本願は、ホルダの姿勢に応じたラッチ部品のホルダへの取り付け作業を、容易に精度よく行うことが可能な充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明では、ラッチ部品を位置合わせするための被当接部分を、複数の姿勢の各々に対応する複数の箇所に設けることにした。
【0010】
詳細には、本発明は、電動式移動体用の充放電システムの充放電コネクタ用ホルダであって、充放電ケーブルのコネクタが嵌合される嵌合孔を有する嵌合部と、嵌合部を充放電コネクタ用ホルダの取付箇所に応じた複数の姿勢で嵌め込み可能な開口部分を有する基部と、基部に対し着脱可能に固定される、コネクタを係合するためのラッチ部品と、を備え、開口部分は、ラッチ部品を位置合わせするための被当接部分を、複数の姿勢の各々に対応する複数の箇所に有する、充放電コネクタ用ホルダである。
【0011】
このような充放電コネクタ用ホルダであれば、充放電ケーブルのコネクタが嵌合される嵌合部を、充放電コネクタ用ホルダの取付箇所に応じた複数の姿勢で嵌め込み可能な開口部分に、ラッチ部品を位置合わせするための被当接部分が複数の姿勢の各々に対応する複数の箇所に設けられている。このため、ホルダの姿勢に応じたラッチ部品のホルダへの取り付け作業を、容易に精度よく行うことが可能となる。
【0012】
なお、開口部分は、嵌合部を少なくとも充放電コネクタ用ホルダの取り付け対象物の右側面と左側面の何れにも対応する姿勢で嵌め込み可能であり、充放電コネクタ用ホルダを取り付け対象物の右側面に取り付ける場合にラッチ部品を位置合わせするための第1被当接部分と、充放電コネクタ用ホルダを取り付け対象物の左側面に取り付ける場合にラッチ部品を位置合わせするための第2被当接部分と、を有するものであってもよい。
【0013】
このような充放電コネクタ用ホルダであれば、ラッチ部品を位置合わせするための被当接部分が、充放電コネクタ用ホルダを取り付け対象物の左側面と右側面の何れに取り付ける場合にも対応して設けられている。このため、ホルダを取り付け対象物の右側面と左側面の何れに取り付ける場合であっても、ラッチ部品のホルダへの取り付け作業を、容易に精度よく行うことが可能となる。
【0014】
また、開口部分は、嵌合部を充放電コネクタ用ホルダの取り付け対象物の正面にも対応する姿勢で嵌め込み可能であり、充放電コネクタ用ホルダを取り付け対象物の正面に取り付ける場合にラッチ部品を位置合わせするための第3被当接部分を更に有するものであってもよい。
【0015】
このような充放電コネクタ用ホルダであれば、ラッチ部品を位置合わせするための被当接部分が、充放電コネクタ用ホルダを取り付け対象物の正面に取り付ける場合にも対応して設けられている。このため、ホルダを取り付け対象物の正面に取り付ける場合であっても、ラッチ部品のホルダへの取り付け作業を、容易に精度よく行うことが可能となる。
【0016】
また、被当接部分は、開口部分の複数箇所で互いに点対称に形成されていてもよい。このような充放電コネクタ用ホルダであれば、基部がどのような姿勢であっても、同じような手さばきでラッチ部品の取り付け作業を行うことができる。
【0017】
また、被当接部分は、開口部分の縁に形成される切り欠きであってもよい。このような充放電コネクタ用ホルダであれば、ラッチ部品を切り欠きに押し当てて位置決めすることができる。
【0018】
また、切り欠きは、ラッチ部品の第1方向における固定位置を規定する第1の直線状の縁と、ラッチ部品の第2方向における固定位置を規定する第2の直線状の縁と、を有するものであってもよい。このような充放電コネクタ用ホルダであれば、ラッチ部品を切り欠
きの第1の直線状の縁と第2の直線状の縁に押し当てて位置決めすることができる。
【0019】
また、ラッチ部品は、開口部分に嵌め込まれた状態の嵌合部の嵌合孔の方に突出する爪を有するものであってもよい。このような充放電コネクタ用ホルダであれば、嵌合孔に嵌合された充放電ケーブルのコネクタを、ラッチ部品の爪で係合することができる。
【0020】
また、本発明は、充放電システムの側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、上記充放電コネクタ用ホルダを備える充放電システムであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
上記の充放電コネクタ用ホルダ及び充放電システムであれば、ホルダの姿勢に応じたラッチ部品のホルダへの取り付け作業を、容易に精度よく行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、充放電システムの外観斜視図である。
図2図2は、コネクタホルダを示した第1の図である。
図3図3は、コネクタホルダを示した第2の図である。
図4図4は、金具を示した図である。
図5図5は、背面カバーを示した図である。
図6図6は、正面カバーを取り外した状態のコネクタホルダを示した図である。
図7図7は、コネクタが装着された状態のコネクタホルダを示した図である。
図8図8は、ラッチ金具の取付位置の変更方法を示す第1の図である。
図9図9は、ラッチ金具の詳細図である。
図10図10は、ラッチ金具の取付位置の変更方法を示す第2の図である。
図11図11は、壁面取付時に好適なカバーの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<適用例>
本発明の適用例として、充放電システムを図1に示す。本願では、説明の便宜上、「充放電」という文言を用いているが、「充放電」とは、充電と放電の両方が可能であることに限定するものではなく、充電または放電のみが可能であることを含む。よって、充放電システム1とは、充電と放電の両方が可能なものに限定されない。充放電システム1は、充電のみが可能なものであってもよいし、放電のみが可能なものであってもよい。
【0024】
充放電システム1には、充放電ケーブルのコネクタが装着されるコネクタホルダ4が備わっている。本適用例では、このコネクタホルダ4を、充放電装置本体2の右側に配置する形態の他に、充放電装置本体2の左側に配置したり、或いは、壁面に配置したりすることを可能にするべく、コネクタホルダ4が以下のように構成されている。
【0025】
すなわち、コネクタホルダ4には、図6に示すように、コネクタを係合するためのラッチ金具45が内蔵されるが、コネクタホルダ4を充放電装置本体2の左側や右側、或いは壁面といった様々な箇所に取り付け可能にするには、様々な取り付け状態の姿勢変化に対応するために、金具44に対するラッチ金具45の取付位置を変更可能にする必要がある。
【0026】
そこで、本適用例では、図10に示されるように、金具44の複数の姿勢に対応するような形で、金具44の複数箇所にラッチ金具45を位置合わせするための被当接部分44f1,44f2,44f3を設けている。これにより、コネクタホルダ4の取付位置に応じて金具44の姿勢が異なっても、ラッチ金具45を金具44に対し容易に精度よく取り付け可能となる。
【0027】
<実施形態>
以下、実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の内容に限定するものではない。
【0028】
図1は、充放電システムの外観斜視図である。充放電システム1は、電動式移動体用のシステムである。電動式移動体とは、電動式の移動体であり、地上を走行する電動式自動車、水上を進む電動式船舶、空中を飛行する電動式飛行体、その他各種の移動体が挙げられる。移動体は、人が乗降可能な乗り物であってもよいし、或いは、無人で移動するものであってもよい。また、充放電システム1が設置される箇所としては、戸建て住宅や集合住宅、宿泊施設、商業施設、行政関連施設、道路沿いの休憩施設、空港施設、港湾施設等が挙げられる。電動式自動車としては、バッテリの電力のみで走行するBEV(Battery Electric Vehicle)、バッテリと内燃機関を併用するPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、燃料電池の電力で走行するFCV(Fuel Cell Vehicle)、その他各種の電動式自動車
(以下、「EV」という)が挙げられる。充放電システム1は、このような、駆動用の電気モータへ給電するバッテリを内蔵した電動式移動体の充電を行う充電設備、或いは、バッテリの充電とバッテリから外部への充放電の両方を司る充放電設備として利用される。本実施形態では、充放電システム1を充放電する設備という前提で説明するが、充放電システム1は充電専用の設備であってもよい。
【0029】
充放電システム1は、屋外を移動する電動式移動体用の充放電設備であるため、風雨に晒されることを想定した屋外仕様の設計となっている。すなわち、充放電システム1には、充放電装置本体2、充放電装置本体2を壁面に取り付けるための背面筐体3、電動式移動体に接続するコネクタを固定するためのコネクタホルダ4、充放電ケーブルを保管するためのケーブルホルダ5が備わっている。
【0030】
充放電装置本体2は、スイッチングコンバータ等の電力変換装置を内蔵した装置である。電動式移動体への給電は直流電力で行うことを前提とした規格になっているが、電力系統には交流電力が流れている。このため、電力系統と電動式移動体とを繋ぐ充放電システム1の充放電装置本体2は、電力の交直変換を行う。また、充放電装置本体2は、電動式移動体や電力系統が許容する電圧及び電流となるように、電圧の昇降圧や電流制御を行う。
【0031】
充放電装置本体2は、このような電力変換を司るスイッチング素子や制御装置等の電子部品を有するものであるため、電子部品を内蔵する本体筐体21、本体筐体21の開口を塞ぐ正面カバー22、充放電装置本体2を操作するための操作パネル23を有する。本体筐体21と正面カバー22は、図1に示されるように、略直方体の外観を形成する。そして、操作パネル23は、ユーザが操作しやすいように、充放電装置本体2の正面部分を形成する正面カバー22に配置されている。
【0032】
背面筐体3は、充放電装置本体2を建物の壁面或いは充電ポールに取り付けるための部材である。充放電装置本体2の背面には放熱用のフィン等を備えたヒートシンクが配置されている。このため、充放電装置本体2の背面と充放電装置本体2の取り付け面との間を離間させるために、充放電装置本体2の背面と充放電装置本体2の取り付け面との間に背面筐体3を挟む形態となっている。
【0033】
背面筐体3は、略直方体の外観の充放電装置本体2の背面側に取り付けるものであるため、充放電装置本体2の背面の外観形状に対応した略矩形の部材となっている。そして、背面筐体3は、充放電装置本体2が背面筐体3を介して取り付け面に設置された状態において、背面筐体3の上面や側面、底面が露出する形態となっている。このため、背面筐体
3の側面31には、図1に示されるように、コネクタホルダ4が取り付け可能となっている。また、背面筐体3の上面には、放熱用の通気口32が設けられている。図1には図示されていないが、背面筐体3の下面にも、通気口32と同様の通気口が設けられている。
【0034】
コネクタホルダ4は、背面筐体3の側面31に取り付け可能なホルダである。コネクタホルダ4は、内部の金具を覆う背面カバー41と正面カバー42、正面カバー42に形成されたコネクタ装着用のコネクタ差込孔43を有する。コネクタホルダ4の詳細については後述する。
【0035】
ケーブルホルダ5は、図1に示すように、充放電装置本体2の下部に装着されるフック状の部材であり、アーム部51、受け部52、爪部53を有する。ケーブルホルダ5は、アーム部51と受け部52と爪部53によってフック状に形成される部材であるため、巻かれた状態のケーブルを受け部52に吊り下げ状態で架けることができる。よって、受け部52に架かった状態のケーブルは、充放電装置本体2の後方側へはアーム部51により移動が阻まれ、充放電装置本体2の前方側へは爪部53により移動が阻まれる。このため、ケーブルホルダ5は、巻かれた状態のケーブルを落とさないように吊り下げ状態で保持することができる。
【0036】
図2は、コネクタホルダ4を示した第1の図である。また、図3は、コネクタホルダ4を示した第2の図である。コネクタホルダ4は、上述したように、コネクタホルダ4の構造材となる金具44を、化粧用の背面カバー41や、コネクタが嵌る正面カバー42で覆うように形成されたホルダである。コネクタホルダ4に装着されるコネクタは、電動式移動体の充放電設備に定められた規格の電圧と電流に耐えるものであるため、ある程度の重量がある。また、コネクタホルダ4に装着されるコネクタにはケーブルが繋がっているため、何らかの理由により、コネクタホルダ4に装着されているコネクタのケーブルが引っ張られる可能性もある。このため、コネクタホルダ4には、このような荷重にある程度耐える強度を有している必要がある。そこで、本実施形態では、コネクタが装着されるコネクタ差込孔43の部分を形成する正面カバー42を金属製の金具44で支持すると共に、金具44を背面カバー41で後方から覆い隠すような形態を採用している。
【0037】
正面カバー42は、全体的に略矩形の形態を有する樹脂製の部材であり、中心部分にコネクタ差込孔43が形成されている。コネクタ差込孔43は、正面カバー42の中央部をやや窪ませた窪み42cの中心部分を陥没させるような形で、差込孔形成部分43dによって形成されている。コネクタ差込孔43は、コネクタの差込部分と略同一径の開口部43aを有しており、略円形の窪みとなっている。開口部43aには、コネクタに設けられたラッチ用の爪を通すためのラッチ通し溝43bが設けられている。また、コネクタ差込孔43の内周面には、コネクタの差込部分に形成されているリブ状の突起に嵌合する位置決め溝43cが形成されており、コネクタを正しい姿勢で差し込まないとコネクタがコネクタ差込孔43に入らないようになっている。なお、正面カバー42は、ネジ孔42aを通じて金具44にネジ止めされる。
【0038】
背面カバー41は、金具44を納めることが可能な大きさを有する樹脂製の部材であり、金具44を後方から覆い隠すような形状となっている。背面カバー41は、ネジ孔41aを通じて金具44にネジ止めされる。
【0039】
金具44は、背面筐体3の側面31に直接取り付けられる部品である。このため、金具44には、背面筐体3の側面31の縁に位置合わせするための爪44aや、側面31に設けられた孔に位置合わせされるネジ通し孔44bが、背面筐体3の側面31に当接される固定側板面44cから突出するような形態で設けられている。
【0040】
図4は、金具44を示した図である。金具44は、板金をプレス加工して形成された金具であり、図4に示すように、正面カバー42が装着される正面部分の中央部に、コネクタ差込孔43を形成する差込孔形成部分43dを嵌め込み可能な開口部分44fを有する。また、開口部分44fの周囲には、正面カバー42を固定するためのネジが螺合されるネジ孔44hが設けられている。また、金具44の正面方向に対し側方に位置する非固定側板面44eには、背面カバー41を固定するためのネジが螺合されるネジ孔44jが設けられている。
【0041】
ところで、コネクタホルダ4は、図1に示したような背面筐体3の右側の側面31のみならず、背面筐体3の左側の側面にも取り付け可能となっている。充放電システム1の利用者は、通常、コネクタを利き手で把持する。このため、充放電システム1の主な利用者の利き手が右手であれば、コネクタホルダ4は、充放電装置本体2の正面から見て右側に設置される方が便利である。しかし、充放電システム1の主な利用者の利き手が左手であれば、コネクタホルダ4は、充放電装置本体2の正面から見て左側に設置される方が便利である。また、電動式移動体と充放電装置本体2との位置関係によっては、利用者の利き手が何れであるかに関わりなく、コネクタホルダ4を充放電装置本体2の正面から見て左側に設置する方が便利な場合もある。このため、コネクタホルダ4は、充放電システム1の設置工事の際や供用開始後に、コネクタホルダ4を背面筐体3の右側面と左側面の何れにも取り付け可能となっている。よって、金具44は、図4においては、背面筐体3の右側面に取り付ける際の姿勢で図示されているが、姿勢を180度転換することにより、背面筐体3の左側面に取り付けることもできる。このため、金具44の正面には、金具44の取付方向の姿勢を確認するための取付方向表示44i1,44i3が刻印されている。取付方向表示44i1は、金具44を背面筐体3の右側面に取り付ける姿勢にした場合に正しく読み取れる向きで「R」の英字を表示する。また、取付方向表示44i3は、金具44を背面筐体3の左側面に取り付ける姿勢にした場合に正しく読み取れる向きで「L」の英字を表示する。充放電システム1の設置や保守を行う施工業者は、充放電システム1の設置者が指定する取付位置となるようにコネクタホルダ4を取り付けるに際し、金具44に刻印された取付方向表示44i1や取付方向表示44i3の英字の向きを確認することで、金具44の正しい姿勢を用意に確認することができる。
【0042】
本実施形態では、コネクタホルダ4を背面筐体3の右側面と左側面の何れへも取り付け可能とするために、金具44が上記の通り形成されている。一方、コネクタホルダ4に装着されるコネクタの向きは、コネクタホルダ4が背面筐体3の右側面と左側面の何れに設けられていても同じである。このため、金具44の正面に固定される正面カバー42は、金具44が背面筐体3の右側面と左側面の何れに取り付けられる場合であっても、コネクタのラッチ用の爪を通すためのラッチ通し溝43bが上側となるような姿勢で金具44に固定可能となっている。また、金具44に取り付けられる後述のラッチ用金具も、金具44に固定された正面カバー42のラッチ通し溝43bに対応する箇所へ取り付け可能なように、ラッチ用金具を位置合わせするための被当接部分44f1,44f2,44f3や、ラッチ用金具を固定するための複数のネジ孔44gが設けられている。
【0043】
被当接部分44f1は、コネクタホルダ4を背面筐体3の右側面に取り付ける際にラッチ用の金具を位置合わせするための部分である。また、被当接部分44f3は、コネクタホルダ4を背面筐体3の左側面に取り付ける際にラッチ用の金具を位置合わせするための部分である。また、被当接部分44f2は、コネクタホルダ4を壁面に取り付ける際にラッチ用の金具を位置合わせするための部分である。被当接部分44f1,44f2,44f3の使い方については後述する。
【0044】
図5は、背面カバー41を示した図である。背面カバー41は、コネクタホルダ4を背面筐体3の右側面と左側面の何れに取り付けてもコネクタホルダ4の外観が変わらないよ
うにするために、図5の紙面において上下対称となっている。このため、背面カバー41を金具44に取り付けた場合に非固定側板面44eに対向する外装板面41bは、コネクタホルダ4が背面筐体3の右側面と左側面の何れに取り付けられた場合であっても、コネクタホルダ4の側面の外観形状が変わらないように、図5の紙面において上下対称の形状となっている。コネクタホルダ4の背面の外観を形成する外装板面41cも外装板面41bと同様に上下対称である。また、図5の紙面において上側に位置する外装板面41dと、図5の紙面において下側に位置する外装板面41eも、各々がコネクタホルダ4の上面と下面の何れを形成する場合であってもコネクタホルダ4の外観形状が変わらないように、図5の紙面において上下対称の形状となっている。背面カバー41は、このように形成されているため、コネクタホルダ4が背面筐体3の右側面と左側面の何れに取り付けられる場合であっても、コネクタホルダ4が同じような外観となるように金具44を覆い隠すことができる。
【0045】
図6は、正面カバー42を取り外した状態のコネクタホルダ4を示した図である。金具44には、図6に示すように、背面カバー41の他にラッチ金具45が取り付けられる。ラッチ金具45は、コネクタホルダ4に装着されるコネクタを係合するための金具である。図6では、コネクタホルダ4を背面筐体3の右側面に取り付けることを想定した様子を図示しているため、ラッチ金具45は、被当接部分44f1に位置合わせされた状態で、ネジ孔44gに螺合されたネジで固定されている。
【0046】
図7は、コネクタが装着された状態のコネクタホルダ4を示した図である。コネクタホルダ4に装着される充放電コネクタ6は、図7に示すように、充放電を担う電力線及び通信を担う通信線の端子やラッチ機構を内蔵した充放電コネクタ本体61と、充放電コネクタ6を把持するためのグリップ62と、ラッチの解除操作を行うためのリリースボタン63と、充放電装置本体2に繋がるケーブル64とを有する。充放電システム1のユーザは、グリップ62を把持した状態で、コネクタホルダ4への充放電コネクタ6の着脱や電動式移動体の接続口への着脱を行う。充放電コネクタ本体61の内部には、ユーザが充放電コネクタ6を電動式移動体から誤って取り外すのを防ぐための安全装置、すなわち、ユーザがリリースボタン63を誤って押してもラッチ機構の解除を無効化する電磁的機構が内蔵されていてもよい。
【0047】
図7に示すように、充放電コネクタ6は、コネクタホルダ4に装着される充放電コネクタ本体61の装着方向に対し、グリップ62がやや下に傾くような形態となっている。このため、充放電コネクタ6が装着されるコネクタホルダ4が背面筐体3の右側面と左側面の何れに設けられる場合であっても、充放電コネクタ6を同じ正しい姿勢で装着可能にする必要がある。この点、コネクタホルダ4は、金具44に取り付けるラッチ金具45の取付位置や、金具44に取り付ける正面カバー42の向きを変更するだけで、背面筐体3の右側面と左側面の何れに取り付ける場合であっても充放電コネクタ6を同じ正しい姿勢で装着可能にすることができる。
【0048】
図8は、ラッチ金具45の取付位置の変更方法を示す第1の図である。コネクタホルダ4の取付位置を変更したい場合、ラッチ金具45を金具44に固定しているネジを外す。これにより、図8に示すように、金具44に固定されているラッチ金具45を金具44から取り外すことができる。そして、金具44に対するラッチ金具45の取付位置を自在に変更することが可能となる。
【0049】
なお、図8では、ラッチ金具45を被当接部分44f2に位置合わせして取り付ける様子が図示されている。しかし、充放電装置本体2は、ラッチ金具45を被当接部分44f2に位置合わせして固定可能にする形態に限定されるものではない。充放電装置本体2は、壁面取付に対応しない形態、すなわち、ラッチ金具45を被当接部分44f2に位置合
わせして固定できない形態であってもよい。
【0050】
図9は、ラッチ金具45の詳細図である。図9(A)ではラッチ金具45を側方から見た様子が図示され、図9(B)ではラッチ金具45を上方から見た様子が図示され、図9(C)ではラッチ金具45を正面から見た様子が図示されている。ラッチ金具45は、板金をプレス加工して形成される部材であり、図9に示すように、金具44への取り付け面である当接面45eを形成する平らなベース45aと、ベース45aの中心部を通るように隆起するリブ45bと、を有する。リブ45bの端部は、充放電コネクタ6のラッチ機構と係合させるためにベース45aから突き出しており、ラッチ機構に係合するラッチ用爪45cを形成する。また、ラッチ金具45は、ベース45aの縁沿いに、当接面45eから突出する爪45dを有する。ラッチ金具45には、このような爪45dが設けられているため、被当接部分44f1,44f2,44f3に爪45dを突き当てることで、ラッチ金具45を金具44に対し精度よく位置決めした状態で固定することができる。
【0051】
図10は、ラッチ金具45の取付位置の変更方法を示す第2の図である。充放電コネクタ6の充放電コネクタ本体61が嵌るコネクタ差込孔43は、正面カバー42に形成されている。一方、充放電コネクタ本体61のラッチ機構に係合するラッチ金具45は、強度を確保する都合で、樹脂部品の正面カバー42ではなく金属部品の金具44へ固定する形態を採っている。よって、コネクタ差込孔43に対するラッチ金具45の相対的な位置関係の精度は、金具44に対するラッチ金具45の取付位置に依存する。そして、充放電コネクタ本体61のラッチ機構に対するラッチ金具45の接触具合は、ラッチ(係合)及びデラッチ(係合解除)のスムーズな動作に大きく影響する。このため、本実施形態のコネクタホルダ4では、金具44に対するラッチ金具45の取付位置を高精度に行うことが肝要である。
【0052】
そこで、金具44に対するラッチ金具45の着脱を行う際は、次のようにして行う。すなわち、図10の部分拡大図に示すように、被当接部分44f2には、ラッチ金具45の第1方向における固定位置を規定する第1の直線状の縁Aと、ラッチ金具45の第2方向における固定位置を規定する第2の直線状の縁Bが、開口部分44fの縁を切り欠くように形成されている。被当接部分44f1と被当接部分44f3についても同様である。ここでは、第1方向を、ラッチ金具45においてベース45aから突出しているラッチ用爪45cの突出方向に対し直交し、且つ、当接面45eの平面方向に沿う方向とする。また、第2方向を、ラッチ金具45においてベース45aから突出しているラッチ用爪45cの突出方向とする。よって、第1方向と第2方向は、互いに直交する関係となる。
【0053】
第1方向を上記のように定義する場合、第1の直線状の縁Aは、開口部分44f内へのラッチ金具45の突出量を決定付けることになる。開口部分44f内へのラッチ金具45の突出量は、コネクタ差込孔43に嵌め込まれた充放電コネクタ本体61のラッチ機構に対するラッチ金具45の突き当て量に影響する。充放電コネクタ本体61のラッチ機構に対するラッチ金具45の突き当て量が大きすぎる場合には、充放電コネクタ本体61のラッチ機構またはラッチ金具45に過大な荷重が加わる。また、充放電コネクタ本体61のラッチ機構に対するラッチ金具45の突き当て量が小さすぎる場合には、充放電コネクタ本体61のラッチ機構にラッチ金具45のラッチ用爪45cが十分に係合せず、コネクタホルダ4が充放電コネクタ6を確実に保持できない可能性がある。しかし、ラッチ金具45を金具44へ固定する際、ラッチ金具45の爪45dを第1の直線状の縁Aへ押し当てるように位置合わせすれば、開口部分44f内へのラッチ金具45の突出量が適正になるようにラッチ金具45を位置決めすることができる。
【0054】
また、第2方向を上記のように定義する場合、第2の直線状の縁Bは、コネクタ差込孔43に嵌め込まれた充放電コネクタ本体61のラッチ機構に対するラッチ金具45の横方
向の位置を決定付けることになる。充放電コネクタ本体61のラッチ機構に対するラッチ金具45の横方向の位置ずれが大きいと、コネクタ差込孔43に嵌め込まれた充放電コネクタ本体61のラッチ機構に対するラッチ金具45の係合に影響する。例えば、充放電コネクタ本体61のラッチ機構に対するラッチ金具45の横方向の位置ずれが大きすぎる場合には、ラッチ金具45のラッチ用爪45cが充放電コネクタ本体61のラッチ機構に接触しない。ラッチ金具45のラッチ用爪45cが充放電コネクタ本体61のラッチ機構に接触しないと、コネクタホルダ4が充放電コネクタ6を確実に保持できない可能性がある。しかし、ラッチ金具45を金具44へ固定する際、ラッチ金具45の爪45dを第2の直線状の縁Bへ押し当てるように位置合わせすれば、充放電コネクタ本体61のラッチ機構に対するラッチ金具45の横方向の位置が適正になるようにラッチ金具45を位置決めすることができる。
【0055】
更に、図10の(A)~(C)を見比べると判るように、第2の直線状の縁Bは、被当接部分44f1と被当接部分44f2と被当接部分44f3の何れへラッチ金具45を位置合わせする場合であっても、第1の直線状の縁Aの右側に位置するように配置されている。すなわち、被当接部分44f1と被当接部分44f2と被当接部分44f3は、何れも開口部分44fの複数箇所で互いに点対称に形成されている。このため、充放電システム1の設置や保守を行う施工業者は、背面筐体3或いは壁面に固定した金具44に正対した状態で、ラッチ金具45を左手で掴んで爪45dが第1の直線状の縁Aと第2の直線状の縁Bの両方に突き当たるようにラッチ金具45を押して位置決めしたまま、右手で掴んでいる工具を使ってラッチ金具45を金具44にネジで固定することができる。したがって、充放電システム1の設置や保守を行う施工業者は、金具44がどのような姿勢であっても、同じような手さばきでラッチ金具45を容易に位置決めした状態で金具44に固定することができる。
【0056】
以上に述べたとおり、本実施形態のコネクタホルダ4によれば、金具44に対するラッチ金具45の取付位置の変更を精度よく取り付けることができる。このため、コネクタホルダ4を背面筐体3の右側面、左側面、或いは壁面の何れへ取り付ける場合であっても、金具44に対するラッチ金具45の取付位置の変更を適正に行うことが容易である。よって、コネクタホルダ4を背面筐体3の右側面、左側面、或いは壁面の何れへ取り付ける場合であっても、充放電コネクタ6のラッチ機構に対するラッチ金具45の係合具合が不適切になる可能性を可及的に抑制することができる。
【0057】
なお、コネクタホルダ4を背面筐体3の右側面や左側面ではなく、建物の外壁や塀、充電ポールといった壁面に取り付ける場合には、金具44の爪44aや固定側板面44cをカバーで覆い隠すことが好ましい。図11は、壁面取付時に好適なカバーの一例である。コネクタホルダ4を壁面に取り付ける際は、例えば、図11に示すように、正面カバー42や金具44全体を覆い隠すような壁面取付用外装カバー46を用いると、利用者に違和感を与えない外観を形成することができる。
【0058】
壁面取付用外装カバー46は、全体的に丸みを帯びた略直方体の箱のような形態の外装カバー本体46aを有している。外装カバー本体46aは、正面カバー42を取り付けた金具44を格納可能な大きさを有する。外装カバー本体46aの正面中央部には、コネクタ差込孔43を露出させるためのコネクタ通し孔46bが貫通形成されている。また、コネクタ通し孔46bの周囲には、正面カバー42のネジ孔42aを通じて金具44のネジ孔44hへ螺合させるネジを挿通するためのネジ孔46cが設けられている。
【0059】
このような壁面取付用外装カバー46を用いる場合、まず、金具44を壁面に固定するための金具を用いて金具44を壁面に固定する。金具44を背面側から覆い隠す背面カバー41は不要である。次に、壁面に取り付けた金具44を壁面取付用外装カバー46で覆
い隠すように壁面取付用外装カバー46を配置する。そして、ネジ孔46cにネジを差し込んで壁面取付用外装カバー46を金具44に固定する。これにより、コネクタホルダ4の壁面への取り付け作業が完了する。
【0060】
なお、上記実施形態は、本願で開示する要旨を変更しない範囲で適宜変形可能である。コネクタホルダ4は、例えば、充放電装置本体2のような電力変換装置の代わりに、電動式移動体に付属の小型充電ケーブル用のコネクタホルダとして用いられてもよい。電動式移動体に付属の小型充電ケーブルは、通常、建物の壁面或いは充電ポールに設置された普通充電器用のコンセント(配線用差込接続器)へ着脱自在に接続される。よって、コネクタホルダ4を小型充電ケーブルのコネクタホルダとして用いる場合、コネクタホルダ4の設置箇所付近には、充放電装置本体2のような装置は設置されない。このため、コネクタホルダ4を小型充電ケーブル用のコネクタホルダとして用いる場合は、壁面取付用外装カバー46を併用してコネクタホルダ4を建物の壁面或いは角型の充電ポールの正面に設置するか、または、背面筐体3の右側面や左側面に取り付けるのと同様な形態で角型の充電ポールの右側面または左側面に設置する。
【0061】
また、上記実施形態では、充放電装置本体2の正面側からコネクタホルダ4へ充放電コネクタ6を着脱する形態を例示していたが、上記のコネクタホルダ4は、例えば、充放電装置本体2の背面側へコネクタ差込孔43を向けた状態で背面筐体3の側面31に取り付けてもよい。充放電システム1が外壁面ではなくポールに設置されるような場合であれば、設置箇所によってはこのような取り付け形態のコネクタホルダ4の方が利用者に便利な場合もある。
【0062】
なお、本願は、以下の付記的事項を含む。
<付記1>
電動式移動体用の充放電システム(1)の充放電コネクタ用ホルダ(4)であって、
充放電ケーブルのコネクタ(6)が嵌合される嵌合孔(43)を有する嵌合部(43d)と、
前記嵌合部を前記充放電コネクタ用ホルダの取付箇所に応じた複数の姿勢で嵌め込み可能な開口部分(44f)を有する基部(44)と、
前記基部に対し着脱可能に固定される、前記コネクタを係合するためのラッチ部品(45)と、を備え、
前記開口部分は、前記ラッチ部品を位置合わせするための被当接部分(44f1,44f2,44f3)を、前記複数の姿勢の各々に対応する複数の箇所に有する、
充放電コネクタ用ホルダ。
<付記2>
前記開口部分は、
前記嵌合部を少なくとも前記充放電コネクタ用ホルダの取り付け対象物の右側面と左側面の何れにも対応する姿勢で嵌め込み可能であり、
前記充放電コネクタ用ホルダを前記取り付け対象物の右側面に取り付ける場合に前記ラッチ部品を位置合わせするための第1被当接部分(44f1)と、
前記充放電コネクタ用ホルダを前記取り付け対象物の左側面に取り付ける場合に前記ラッチ部品を位置合わせするための第2被当接部分(44f3)と、を有する、
付記1に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
<付記3>
前記開口部分は、
前記嵌合部を前記充放電コネクタ用ホルダの取り付け対象物の正面にも対応する姿勢で嵌め込み可能であり、
前記充放電コネクタ用ホルダを前記取り付け対象物の正面に取り付ける場合に前記ラッチ部品を位置合わせするための第3被当接部分(44f2)を更に有する、
付記2に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
<付記4>
前記被当接部分は、前記開口部分の複数箇所で互いに点対称に形成されている、
付記1から3の何れか一項に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
<付記5>
前記被当接部分は、前記開口部分の縁に形成される切り欠きである、
付記1から4の何れか一項に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
<付記6>
前記切り欠きは、
前記ラッチ部品の第1方向における固定位置を規定する第1の直線状の縁(A)と、
前記ラッチ部品の第2方向における固定位置を規定する第2の直線状の縁(B)と、を有する、
付記5に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
<付記7>
前記ラッチ部品は、前記開口部分に嵌め込まれた状態の前記嵌合部の前記嵌合孔の方に突出する爪(45d)を有する、
付記1から6の何れか一項に記載の充放電コネクタ用ホルダ。
<付記8>
付記1から7の何れか一項に記載の充放電コネクタ用ホルダを備える充放電システム(1)。
【符号の説明】
【0063】
1・・充放電システム
2・・充放電装置本体
3・・背面筐体
4・・コネクタホルダ
5・・ケーブルホルダ
6・・充放電コネクタ
41・・背面カバー
42・・正面カバー
43・・コネクタ差込孔
44・・金具
45・・ラッチ金具
46・・壁面取付用外装カバー
44f1,44f2,44f3・・被当接部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11