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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125694
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】固形物用不透明広口容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/10 20060101AFI20240911BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20240911BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20240911BHJP
   C08L 45/00 20060101ALI20240911BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
B65D1/10
B65D1/00 111
C08L23/04
C08L45/00
C08L65/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033687
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野間 翔太
(72)【発明者】
【氏名】矢野 幸博
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 怜一
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸弘
【テーマコード(参考)】
3E033
4J002
【Fターム(参考)】
3E033AA04
3E033BA14
3E033BA15
3E033BB01
3E033BB08
3E033CA16
3E033CA18
3E033CA19
3E033DA03
3E033DD01
3E033FA02
3E033FA03
3E033GA03
4J002BB02W
4J002BK00X
4J002CE00X
4J002DE136
4J002GG01
(57)【要約】
【課題】透湿度が低く、肉厚のバラツキの少ない不透明な広口容器を提供すること。
【解決手段】高密度ポリエチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)を含む、固形物用不透明広口容器。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度ポリエチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)を含む、固形物用不透明広口容器。
【請求項2】
前記高密度ポリエチレン(A)が、JIS K 7210-1:2014に従い測定されるメルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が0.27~2.0g/10分である高密度ポリエチレン(A1)と、JIS K 7210-1:2014に従い測定されるメルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が2.0g/10分を超え40.0g/10分以下である高密度ポリエチレン(A2)とを含む、請求項1に記載の固形物用不透明広口容器。
【請求項3】
前記環状オレフィン系樹脂(B)のガラス転移温度が50~150℃である、請求項1または2に記載の固形物用不透明広口容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形物用不透明広口容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医薬品や健康食品などの錠剤や試験紙等の固形物は、ガラス製容器または樹脂製容器に収容され、キャップなどで封止された状態で工場から出荷されている。
【0003】
前記固形物用の容器としては、収容物である固形物の取り出しが容易である等のことから、胴部の外径に対する口部の内径の比率が大きい、広口容器が用いられ、近年、樹脂製の広口容器が開発されている。
【0004】
このような樹脂製の広口容器としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン製の広口容器が知られている(例えば、特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実全平03-003539号公報
【特許文献2】特開2015-131685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固形物用の広口容器は、ユーザーによる取り出し易さを良好にするために、口部を広くしており、細口容器に比べて口部から透湿し易くなる。このため、固形物の保護の観点から、広口容器の容器壁は特に、透湿度が低い(水蒸気バリア性に優れる)こと、不透明である(遮光性)ことが求められる。また、樹脂製の広口容器は、容器壁の肉厚の薄い部分から透湿し易くなるため、肉厚のバラツキが少ないことも求められる。
しかしながら、従来の樹脂製の広口容器には、透湿度、遮光性および肉厚のバラツキに関し、これらの少なくともいずれかにおいて、改良の余地があった。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、透湿度が低く、肉厚のバラツキの少ない不透明な広口容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、特定の固形物用不透明広口容器によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成例は以下の通りである。
【0009】
[1] 高密度ポリエチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)を含む、固形物用不透明広口容器。
【0010】
[2] 前記高密度ポリエチレン(A)が、JIS K 7210-1:2014に従い測定されるメルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が0.27~2.0g/10分である高密度ポリエチレン(A1)と、JIS K 7210-1:2014に従い測定されるメルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が2.0g/10分を超え40.0g/10分以下である高密度ポリエチレン(A2)とを含む、[1]に記載の固形物用不透明広口容器。
【0011】
[3] 前記環状オレフィン系樹脂(B)のガラス転移温度が50~150℃である、[1]または[2]に記載の固形物用不透明広口容器。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、透湿度が低く(水蒸気バリア性に優れ)、肉厚のバラツキの少ない不透明な広口容器を提供することができる。このため、本発明に係る固形物用不透明広口容器を用いることで、収容物(固形物)を長期間安定的に保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係る固形物用不透明広口容器の一例を示す写真である。
図2図2は、本発明に係る固形物用不透明広口容器の断面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
≪固形物用不透明広口容器≫
本発明に係る固形物用不透明広口容器(以下「本容器」ともいう。)は、高密度ポリエチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)を含む広口容器であって、固形物を収容するために用いられ、かつ、不透明である広口容器である。
【0015】
広口容器は、通常、図2に示すように、胴部、肩部および口部を有する。
該広口容器は、一般の飲料等の液体を収容する細口容器に対して、胴部の外径に対する口部の内径の比率が大きい、具体的には、胴部の外径に対する口部の内径の比(口部の内径/胴部の外径)が、0.4以上である容器が挙げられ、液体を収容する(細口)容器とは異なる容器である。
【0016】
本容器の底部の形状は特に制限されないが、例えば、円形(楕円状等を含む)、多角形(長方形、ひし形、五角形、六角形等を含む)が挙げられる。
なお、本容器の底部の形状が楕円形の場合、前記口部や胴部の形状も楕円形である場合があるが、この場合の前記外径および内径とは、楕円の長径のことをいう。本容器の底部の形状が多角形の場合、前記口部や胴部の形状も多角形である場合があるが、この場合の前記外径および内径とは、多角形の対角線の長さのことをいう。
【0017】
本容器の口部の内径は特に制限されず、所望の用途に応じた径にすればよいが、固形物の取り出しやすさ等の点から、好ましくは20~100mm、より好ましくは30~60mmである。
本容器の胴部の外径も特に制限されず、所望の用途に応じた径にすればよいが、好ましくは30~120mm、より好ましくは40~70mmである。
【0018】
本容器の胴部の厚さは特に制限されず、所望の用途に応じた厚さにすればよいが、収容物の保存安定性等の点から、好ましくは0.3~5.0mm、より好ましくは0.5~3.0mmである。
本容器の胴部の長さも特に制限されず、所望の用途に応じた長さにすればよいが、好ましくは30~300mm、より好ましくは50~150mmである。
【0019】
本容器は、高密度ポリエチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)を含む層を有すればよく、必要に応じて従来公知の層を有していてもよい。
該従来公知の層としては、例えば、酸素バリア層や、内容物を表示するためや意匠性等のための印刷層(例:デジタルインク層)が挙げられる。
【0020】
本容器は、収容物の保存安定性等の点から、不透明の広口容器である。
該不透明か否かは、前記胴部の波長220~780nmの領域における光の透過率により判断することができ、該光の透過率が低い場合、不透明であるといえる。
前記胴部の光の透過率は、光による収容物の劣化が抑制され、収容物の保存安定性により優れる等の点から、波長220~780nmの領域における光の最大透過率が、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは45%以下である。本容器は、前記胴部の厚さが前記範囲、特に1.0mm以下であっても、このような光の透過率を有することが好ましい。
該光の透過率は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
【0021】
本容器の透湿度は、水蒸気による収容物の劣化が抑制され、収容物の保存安定性により優れる等の点から、好ましくは2.1mg/day以下、より好ましくは2.05mg/day以下、さらに好ましくは2.0mg/day以下である。
該透湿度は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
【0022】
本容器は、バイオマス由来の樹脂の含有量が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である容器であることが望ましい。
バイオマス由来の樹脂の含有量が前記範囲にあっても、透湿度が低く、肉厚のバラツキの少ない広口容器を容易に得ることができる。また、バイオマス由来の樹脂の含有量が前記範囲にあると、従来に比べて化石資源の使用量を大幅に削減することができ、大気中の二酸化炭素濃度の上昇の抑制に寄与し、環境負荷を減らすことに寄与することができる。
【0023】
本容器は、医薬品や食品等の固形物を使用、保存、輸送等するために用いられる。該固形物の好適例としては、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤などの固体状態の製剤や試験紙が挙げられる。
【0024】
<高密度ポリエチレン(A)>
本容器は、高密度ポリエチレン(A)(以下「成分(A)」ともいう。)を含むため、強度に優れ、透湿度が低い広口容器を容易に得ることができる。
本容器に用いる成分(A)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0025】
成分(A)のASTM D 792に従い測定される密度は、透湿度が低い広口容器を容易に得ることができる等の点から、好ましくは0.942g/cm3以上、より好ましくは0.945~0.970g/cm3、さらに好ましくは0.950~0.967g/cm3である。
【0026】
成分(A)のJIS K 7210-1:2014に従い測定されるメルトフローレート(MFR)は、射出成形により前記のような形状を有する広口容器を容易に得ることができる等の点から、好ましくは0.27~40g/10分、より好ましくは0.3~40g/10分である。
【0027】
成分(A)は、透湿度がより低く、成形性により優れ、肉厚のバラツキがより少ない広口容器を容易に得ることができる等の点から、JIS K 7210-1:2014に従い測定されるMFR(190℃、2.16kg荷重)が0.27~2.0g/10分である高密度ポリエチレン(A1)と、JIS K 7210-1:2014に従い測定されるMFR(190℃、2.16kg荷重)が2.0g/10分を超え40.0g/10分以下である高密度ポリエチレン(A2)とを含むことが好ましい。
該高密度ポリエチレン(A1)のMFRは、好ましくは0.3~2.0g/10分である。
該高密度ポリエチレン(A2)のMFRは、好ましくは3.0~40.0g/10分である。
【0028】
成分(A)として、前記高密度ポリエチレン(A1)および(A2)を用いる場合、これらの合計100質量%に対する前記高密度ポリエチレン(A1)の使用量は、透湿度がより低く、肉厚のバラツキがより少ない広口容器を容易に得ることができる等の点から、好ましくは5~95質量%、より好ましくは10~90質量%である。
【0029】
成分(A)としては、エチレンの単独重合体のみならず、エチレンとプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンなどのα-オレフィンとの共重合体であってもよい。
成分(A)は、従来公知の方法で合成することで得ることができる。また、成分(A)としては、市販品を用いてもよい。さらに、成分(A)としては、再生品を使用してもよい。
【0030】
成分(A)は、化石燃料由来の高密度ポリエチレン(石化HDPE)を用いてもよく、バイオマス由来の高密度ポリエチレン(バイオマスHDPE)を用いてもよいが、大気中のCO2量の増加を抑制し、かつ、石油資源の節約にもつながる等の点から、バイオマスHDPEを用いることが好ましい。
これまでのバイオマス由来の原料を用いた広口容器は、耐熱性、水蒸気透過性、脆さ等の機能が制限され、固形物用広口容器への採用は困難であったが、本発明によれば、バイオマスHDPEを用いた場合であっても、石化HDPEとほぼ同様の機能・物性を備える広口容器とすることができ、バイオマスHDPEを用いることで、サステイナブルな社会構築に貢献することができる。
【0031】
前記バイオマスとしては特に制限されないが、サトウキビ(バガスを含む)、とうもろこし、デンプン、ひまし油、畳(使用済みの廃畳)の破砕物、木材チップ、木粉、おが屑、紙屑、草木ソルガム、甜菜の絞りかす、稲わら等の草木質、針葉樹材料、広葉樹材料、非樹木系材料、これら材料の廃棄物等が挙げられる。
【0032】
前記バイオマスHDPEとしては、バイオマス由来のエチレンを原料として得られるHDPEであれば特に制限されないが、具体的には、植物を発酵させて得られたアルコールを原料として合成したエチレンを用いた植物由来のHDPEが挙げられる。
より具体的には、従来公知の方法で、前記バイオマスから得られる糖液やデンプンを、酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在下で加熱し、分子内脱水反応等をさせることで得られたエチレンおよび必要によりα-オレフィン(例:1-ブテン、1-ヘキセン)等を共重合モノマーとして用い、石化HDPEの合成と同様に、慣用の触媒の存在下で(共)重合させることにより得られる、HDPEが挙げられる。
前記共重合モノマーとしては、バイオマス由来のα-オレフィンの他に、従来の高密度ポリエチレンの合成において一般に用いられる化石燃料由来のコモノマーを用いてもよい。
【0033】
本容器中の成分(A)の含有量は、強度に優れ、透湿度が低い広口容器を容易に得ることができる等の点から、成分(A)および環状オレフィン系樹脂(B)の合計100質量%に対し、好ましくは10~90質量%、より好ましくは15~80質量%、さらに好ましくは20~80質量%である。
また、同様の理由から、本容器100質量%中の成分(A)の含有量は、好ましくは10~90質量%、より好ましくは15~80質量%である。
【0034】
<環状オレフィン系樹脂(B)>
前記環状オレフィン系樹脂(B)(以下「成分(B)」ともいう。)は、環状オレフィンに由来する構造単位を含む(共)重合体であれば特に制限されない。
本容器が成分(B)を含むことで、透湿度が低い、特に肉厚を薄くしても透湿度の低い広口容器を容易に得ることができ、偏肉が抑制され、肉厚のバラツキの少ない広口容器を容易に得ることができる。
本容器に用いる成分(B)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0035】
前記成分(B)のガラス転移温度(Tg)は、成形容易性および成分(A)との相容性等の点から、好ましくは50~150℃、より好ましくは60~145℃である。
該Tgは、JIS K 7121:1987に準拠し、昇温速度10℃/分の条件で測定される温度である。2種以上の成分(B)を用いる場合、該Tgは、各成分(B)の加重平均として算出する。
【0036】
成分(B)のISO 1133(260℃、2.16kg荷重)に従い測定されるメルトボリュームレート(MVR)は、射出成形により前記のような形状を有する広口容器を容易に得ることができる等の点から、好ましくは1~40mL/10分、より好ましくは1~35mL/10分である。
【0037】
成分(B)としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加(共)重合体、これら(共)重合体の水素添加物、前記(共)重合体またはその水素添加物を不飽和カルボン酸やその誘導体等で変性したグラフト変性体等が挙げられる。
これらの中でも、環状オレフィンと、該オレフィンと共重合可能なモノマー、特にエチレンやプロピレンなどのα-オレフィンとの共重合体が好ましい。
【0038】
前記環状オレフィンとしては特に限定されず、例えば、ノルボルネン、6-メチルノルボルネン、6-エチルノルボルネン、5-プロピルノルボルネン、6-n-ブチルノルボルネン、1-メチルノルボルネン、7-メチルノルボルネン、5,6-ジメチルノルボルネン、5-フェニルノルボルネン、5-ベンジルノルボルネンなどのノルボルネン系化合物;8-メチルテトラシクロ-3-ドデセン、8-エチルテトラシクロ-3-ドデセン、5,10-ジメチルテトラシクロ-3-ドデセンなどのテトラシクロドデセン系化合物;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンなどのシクロアルケン系化合物;等の特開2005-263287号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0039】
前記環状オレフィンと共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素数2~20のα-オレフィン;1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエンなどの非共役ジエン;が挙げられる。
【0040】
成分(B)としては、例えば、特開昭60-168708号公報、特開昭61-115916号公報、特開昭61-271308号公報、特開平3-14882号公報、特開平3-122137号公報、特開2005-263287号公報に記載されている公知の樹脂や公知の方法などに準じて製造される樹脂を挙げることができる。
【0041】
成分(B)としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、「ZEONOR」シリーズ(日本ゼオン(株)製)、「APEL」シリーズ(三井化学(株)製)、「TOPAS」シリーズ(ポリプラスチックス(株)製)等が挙げられる。
【0042】
成分(B)としては、再生可能資源の利用への意識の高まり等の点から、再生品を用いることが好ましい。再生品を用いることで、石油資源の使用を節約することができるとともに、二酸化炭素の排出量削減による環境への負荷も低減することができる。
成分(B)の再生品としては、例えば、成分(B)の使用済みフィルム、成分(B)のフィルム等を製造する際に生じた端材、成分(B)を(主成分として)含む使用済み成形体、成分(B)を(主成分として)含む成形体(例:TAS-C(大成化工(株)製)を製造する際に生じた端材が挙げられる。
また、成分(B)としては、バイオマス由来の環状オレフィン系樹脂を用いてもよい。
【0043】
本容器中の成分(B)の含有量は、透湿度が低く、肉厚のバラツキの少ない広口容器を容易に得ることができる等の点から、成分(A)および成分(B)の合計100質量%に対し、好ましくは5~95質量%、より好ましくは10~90質量%、さらに好ましくは15~80質量%、特に好ましくは20~80質量%である。
【0044】
<他の成分>
本容器は、必要に応じて、前記成分(A)および(B)以外の他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
【0045】
前記他の成分としては、従来の広口容器に用いられてきた成分等が挙げられ、具体例としては、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤などの安定剤、着色剤、分散剤、充填剤(例:タルク、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、ガラス繊維、紙粉、木粉)、帯電防止剤、滑剤、造核剤が挙げられる。
本容器は、これらのその他の成分を、それぞれ1種単独で含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
【0046】
本容器は、前記着色剤を含むことが好ましい。該着色剤としては、例えば、アゾ系顔料、キナクリドン、イソインドリン、アントラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料が挙げられる。
本容器が前記着色剤を含む場合、該着色剤の含有量は、強度に優れ、透湿度が低く、該着色剤の脱落が起り難い不透明な広口容器を容易に得ることができる等の点から、成分(A)および環状オレフィン系樹脂(B)の合計100質量部に対し、好ましくは0.01~5.0質量部、より好ましくは0.05~3.5質量部である。
【0047】
<本容器の製造方法>
本容器の製造方法は、所望形状の本容器を形成することができれば特に制限されず、従来公知の製造方法で製造すればよいが、所望形状の本容器を容易に形成することができる等の点から、前記成分(A)、成分(B)および必要に応じて前記他の成分を(ドライ)ブレンドし、射出成形、特にダイレクトブロー成形や、インジェクションブロー成形により製造することが好ましい。
特に、口部精度が高く、高い気密性を保つ広口容器を容易に得ることができる等の点から、インジェクションブロー成形により丸型広口容器を製造することや、ダイレクトブロー成形により丸型または角型広口容器を製造することが好ましい。
【0048】
<その他の構成>
本容器は、通常、キャップ内周面を本容器の口部の外周面に嵌合させたり、ネジキャップとして構成して本容器の口部の外周面と螺合させたりして、本容器に対してキャップを取り付けて使用される。
該キャップは、ローレットを有していてもよく、有さなくてもよい。また、該キャップには、チャイルドレジスタント機能および/またはタンパーエビデント機能等の機能を付与してもよい。
【0049】
前記キャップを構成する材料は特に限定されず、従来公知のキャップに使用されてきた材料を使用することができ、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の射出成形可能な熱可塑性樹脂が挙げられる。また、本容器と同じ材料を使用することも可能である。
【0050】
本容器には固形物が収容されるが、該固形物は、ユーザーによる取り出し易さを良好にするために、満杯にではなく容器内に一定の間隙を確保した状態で充填される場合がある。この場合、容器内部の隙間には、移送時や使用時等の振動や衝撃などで該固形物が破損されることがないように、スポンジまたは丸めたフィルムなどの緩衝材を詰め込んでもよい。
【0051】
また、防湿性等をより向上させるため、本容器とキャップとの間等の場所に、従来公知のパッキンや防湿ポリタンクなどの防湿部を設けてもよい。
【実施例0052】
以下、本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されない。
【0053】
<原料>
以下の実施例で用いた原料は以下の通りである。
【0054】
・「HDPE-1」:I'm green SGF4950(Braskem社製、バイオマス高密度ポリエチレン(バージン)、密度(ASTM D 792);0.956g/cm3、MFR(JIS K 7210-1:2014に準拠、190℃、2.16kg荷重);0.34g/10min)
・「HDPE-2」:I'm green SHC7260(Braskem社製、バイオマス高密度ポリエチレン(バージン)、密度(ASTM D 792);0.959g/cm3、MFR(JIS K 7210-1:2014に準拠、190℃、2.16kg荷重);7.20g/10min)
・「HDPE-3」:Hizex 2200J((株)プライムポリマー製、石化高密度ポリエチレン(バージン)、密度(ASTM D 792);0.964g/cm3、MFR(JIS K 7210-1:2014に準拠、190℃、2.16kg荷重);5.20g/10min)
【0055】
・「COC-1」:TOPAS 8007(ポリプラスチックス(株)製、環状オレフィン系樹脂(バージン)、ガラス転移温度;78℃、密度(ASTM D 792);1.020g/cm3、MVR(ISO 1133準拠、260℃、2.16kg荷重);32.00mL/10min)
・「COC-2」:TOPAS 6013(ポリプラスチックス(株)製、環状オレフィン系樹脂(バージン)、ガラス転移温度;138℃、密度(ASTM D 792);1.020g/cm3、MVR(ISO 1133準拠、260℃、2.16kg荷重);14.00mL/10min)
・「COC-3」:APEL 6509T(三井化学(株)製、環状オレフィン系樹脂(バージン)、ガラス転移温度;80℃、密度(ASTM D 792);1.020g/cm3、MFR(260℃、2.16kg荷重);30.00g/10min)
・「TAS-C」:TAS-C 225(大成化工(株)製、オレフィン系混合樹脂層(25μm)/環状オレフィン系樹脂層(200μm)/オレフィン系混合樹脂層(25μm)の3層積層体)を、粉砕機を用いて粉砕した粉砕物(再生品)
【0056】
[実施例1]
30質量部のHDPE-1と、70質量部のCOC-1と、1質量部の酸化チタン(ハンツマン・ジャパン(株)製、平均粒径:0.19μm)と、0.2質量部の分散剤とを混合し、インジェクションブロー成形装置を用い、200℃以上に設定した加熱筒内でスクリューにより溶融混練した。得られた溶融混練物を、該設定した温度で射出成形することで、プリフォームを形成した後、該プリフォームを該設定した温度でブロー成形することで、広口容器(内容量:180mL、口部内径:35.1mm、胴径:53mm、全高:98.1mm、目標肉厚:0.7mm)を製造した。
【0057】
[実施例2~14および比較例1~6]
HDPE-1およびCOC-1の代わりに、表1に示す原料を、表1に示す割合(質量部)で用いた以外は実施例1と同様にして、広口容器を製造した。
【0058】
<透湿度>
試験毎に7本の広口容器を準備し、そのうちの5本の広口容器に、30gの塩化カルシウムを充填し、残りの2本を、塩化カルシウムを充填しないブランクとした。
各広口容器の口部をアルミ箔でシールし、40℃、75%RHの恒温恒湿槽内で半日暴露して状態調節を行った。次いで、恒温恒湿槽から各広口容器を取り出し、23℃、50%RHの恒温恒湿槽で2時間徐冷した後、各広口容器の質量(0日目の質量)を測定した。
その後、40℃、75%RHの恒温恒湿槽内で7日暴露して状態調節を行った。次いで、恒温恒湿槽から各広口容器を取り出し、23℃、50%RHの恒温恒湿槽で2時間徐冷した後、各広口容器の質量(7日目の質量)を測定した。
同様にして、28日目の各広口容器の質量を測定した。
以下の式により透湿度を算出した。結果を表1に示す。
x日目の透湿量[mg]:(x日目の5本の広口容器の質量の平均値-0日目の5本の広口容器の質量の平均値[mg])-(x日目の2本のブランクの広口容器の質量の平均値-0日目の2本のブランクの広口容器の質量の平均値[mg])
透湿度[mg/day]=(28日目の透湿量[mg]-7日目の透湿量[mg])/21[day]
【0059】
<肉厚のバラツキ(標準偏差)>
磁気式厚さ計Magna-Mike(オリンパス(株))を用いて、作製した広口容器の胴部の高さ方向の3カ所(底から88mm、57mm、38mmの位置)において、円周方向の8カ所の部分の厚みを測定し、計24カ所の厚みの標準偏差を算出した。結果を表1に示す。
【0060】
<光の透過率>
製造した広口容器の胴部中央を幅10mm×高50mmに切り出し、測定検体を作製した。作製した測定検体の容器壁の外側を光源側とし、紫外可視分光光度計V-650(日本分光(株)製)を用いて、波長220~780nmの領域の光の最大透過率を測定した。
【0061】
【表1】
【符号の説明】
【0062】
1:(固形物用不透明)広口容器
2:胴部
3:肩部
4:口部
図1
図2