(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125703
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】同意取得装置、同意取得方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240911BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033702
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 穂奈美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茜
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】要支援者以外の第三者を含む関係者の同意を取得する。
【解決手段】病院、学校、支援施設等の関係先装置と、同意取得サーバがネットワークを介して接続する同意取得システムにおいて、要支援者の支援に対する同意を取得するための同意取得サーバ1は、要支援者に関係する第1の関係先で利用される第1の関係先装置から、同意を取得するための第1の関係先装置の利用者の取得要求を受け付ける通信部16、支援の要因となる支援要因についての状況を示すステータスを取得するステータス取得部11、ステータスに応じて、同意の相手先である同意者候補を特定し、特定された同意者候補が利用する第2の関係先装置に対する同意依頼に対する同意結果を取得する同意取得部13および同意結果が支援に対する同意を示す場合、支援を許可することを示すパーミッションチケットを発行し、通信部16を介して第1の関係先装置に送信する連携認可部15を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要支援者である対象者に対する支援のための同意を取得するための同意取得装置において、
前記対象者に関係する第1の関係先で利用される第1の関係先装置から、当該第1の関係先装置の利用者の要求であって、前記同意を取得するための取得要求を受け付ける通信部と、
前記支援の要因となる支援要因についての状況を示すステータスを取得するステータス取得部と、
前記ステータスに応じて、前記同意の相手先である同意者候補を特定し、
特定された前記同意者候補が利用する第2の関係先装置に対する同意依頼を作成し、
前記通信部を介して、前記同意依頼に対する同意結果を取得する同意取得部と、
前記同意結果が前記支援に対する同意を示す場合、前記支援を許可することを示すパーミッションチケットを発行し、前記通信部を介して前記第1の関係先装置に送信する支援認可部を有する同意取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載の同意取得装置において、
前記ステータス取得部は、ネットワークを介して接続される他の装置から前記ステータスを取得する同意取得装置。
【請求項3】
請求項1に記載の同意取得装置において、
前記同意取得部は、取得されたステータスに応じた異なる手順で前記同意依頼に対する回答を取得する同意取得装置。
【請求項4】
請求項3に記載の同意取得装置において、
さらに、代理同意取得部を有し、
前記支援要因は、児童虐待であり、
前記ステータスは、通常、虐待疑惑時、虐待認定時、虐待改善時であり、
前記対象者である児童のステータスが虐待疑惑時の際には、前記代理同意取得部は、複数の同意者候補を仮代理として、当該仮代理が利用する複数の第2の関係先装置に対する代理同意依頼を通知し、当該代理同意依頼に対する同意を示す同意結果の数がしきい値以上の場合、前記仮代理を代理として記録する同意取得装置。
【請求項5】
請求項1に記載の同意取得装置において、
さらに、前記対象者ごとの、前記支援についての同意に関する同意管理情報の集合で構成される同意管理リストを記録する記録部を有し、
前記ステータス取得部は、前記支援に対する拒否を示す同意結果がしきい値以上の場合、前記同意管理リストに含まれるステータスを更新する同意取得装置。
【請求項6】
同意取得装置により実行される、要支援者である対象者に対する支援のための同意を取得するための同意取得方法において、
通信部により、前記対象者に関係する第1の関係先で利用される第1の関係先装置から、当該第1の関係先装置の利用者の要求であって、前記同意を取得するための取得要求を受け付け、
ステータス取得部により、前記支援の要因となる支援要因についての状況を示すステータスを取得し、
同意取得部により、
前記ステータスに応じて、前記同意の相手先である同意者候補を特定し、
特定された前記同意者候補が利用する第2の関係先装置に対する同意依頼を作成し、
前記通信部を介して、前記同意依頼に対する同意結果を取得し、
支援認可部により、前記同意結果が前記支援に対する同意を示す場合、前記支援を許可することを示すパーミッションチケットを発行し、前記通信部を介して前記第1の関係先装置に送信する同意取得方法。
【請求項7】
請求項6に記載の同意取得方法において、
前記ステータス取得部により、ネットワークを介して接続される他の装置から前記ステータスを取得する同意取得方法。
【請求項8】
請求項6に記載の同意取得方法において、
前記同意取得部により、取得されたステータスに応じた異なる手順で前記同意依頼に対する回答を取得する同意取得方法。
【請求項9】
請求項8に記載の同意取得方法において、
前記同意取得装置は、さらに、代理同意取得部を有し、
前記支援要因は、児童虐待であり、
前記ステータスは、通常、虐待疑惑時、虐待認定時、虐待改善時であり、
前記対象者である児童のステータスが虐待疑惑時の際には、前記代理同意取得部により、複数の同意者候補を仮代理として、当該仮代理が利用する複数の第2の関係先装置に対する代理同意依頼を通知し、当該代理同意依頼に対する同意を示す同意結果の数がしきい値以上の場合、前記仮代理を代理として記録する同意取得方法。
【請求項10】
請求項6に記載の同意取得方法において、
前記同意取得装置は、さらに、前記対象者ごとの、前記支援についての同意に関する同意管理情報の集合で構成される同意管理リストを記録する記録部を有し、
前記ステータス取得部により、前記支援に対する拒否を示す同意結果がしきい値以上の場合、前記同意管理リストに含まれるステータスを更新する同意取得方法。
【請求項11】
コンピュータである、要支援者である対象者に対する支援のための同意を取得するための同意取得装置を、
前記対象者に関係する第1の関係先で利用される第1の関係先装置から、当該第1の関係先装置の利用者の要求であって、前記同意を取得するための取得要求を受け付ける通信部と、
前記支援の要因となる支援要因についての状況を示すステータスを取得するステータス取得部と、
前記ステータスに応じて、前記同意の相手先である同意者候補を特定し、
特定された前記同意者候補が利用する第2の関係先装置に対する同意依頼を作成し、
前記通信部を介して、前記同意依頼に対する同意結果を取得する同意取得部と、
前記同意結果が前記支援に対する同意を示す場合、前記支援を許可することを示すパーミッションチケットを発行し、前記通信部を介して前記第1の関係先装置に送信する支援認可部として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記ステータス取得部は、ネットワークを介して接続される他の装置から前記ステータスを取得するプログラム。
【請求項13】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記同意取得部は、取得されたステータスに応じた異なる手順で前記同意依頼に対する回答を取得するプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記同意取得装置は、さらに、代理同意取得部を有し、
前記支援要因は、児童虐待であり、
前記ステータスは、通常、虐待疑惑時、虐待認定時、虐待改善時であり、
前記対象者である児童のステータスが虐待疑惑時の際には、前記代理同意取得部は、複数の同意者候補を仮代理として、当該仮代理が利用する複数の第2の関係先装置に対する代理同意依頼を通知し、当該代理同意依頼に対する同意を示す同意結果の数がしきい値以上の場合、前記仮代理を代理として記録するプログラム。
【請求項15】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記同意取得装置は、さらに、前記対象者ごとの、前記支援についての同意に関する同意管理情報の集合で構成される同意管理リストを記録する記録部を有し、
前記ステータス取得部は、前記支援に対する拒否を示す同意結果がしきい値以上の場合、前記同意管理リストに含まれるステータスを更新するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報連携や代理手続きといった対象者への何らかの支援に対する、関係者の同意の取得を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、児童虐待、DV(Domestic Violence)などの社会問題が顕在化している。このため、虐待児童、貧困児童、DV被害者などの対象者(要支援者)に対する支援の必要性が高まっている。この支援としては、対象者に関する情報連携や代理手続きが想定される。
【0003】
例えば、個人情報の連携を実現するための技術として、特許文献1が提案されている。特許文献1では、医療情報等の「個人情報の第三者提供による同意取得を不要とすること」を課題とする。このために、特許文献1には、「元データを断片化したシェアの状態で複数のサーバに分散保管する処理システムであって、複数のサーバ20A~20Cのそれぞれは、依頼元端末装置30から要求された計算に使用するシェアに対して統計加工を行う統計加工部と、統計加工において変換された統計情報を用いて、依頼元端末装置30から要求された計算を行う計算処理部と、を有する」処理システム100が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1では、個人を特定されない統計情報に変換されるため、「同意」を回避できている(0050段落)。しかしながら、統計情報では、対象者に対する支援を実現することができない。このため、何らかの「同意」が必要となる。また、上述の対象者には、児童、DV被害者や認知症患者が含まれ、本人が「同意」することが困難ないし不可能なことも発生する。
【0006】
そこで、本発明では、個人情報の提供や代理人の委任など支援に関する対象者以外の第三者を含む関係者の同意取得を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明では、要支援者である対象者に対する支援要因の状況を示すステータスに応じて、支援についての同意者を動的に特定する。
【0008】
より具体的には、要支援者である対象者に対する支援のための同意を取得するための同意取得装置において、前記対象者に関係する第1の関係先で利用される第1の関係先装置から、当該第1の関係先装置の利用者の要求であって、前記同意を取得するための取得要求を受け付ける通信部と、前記支援の要因となる支援要因についての状況を示すステータスを取得するステータス取得部と、前記ステータスに応じて、前記同意の相手先である同意者候補を特定し、特定された前記同意者候補が利用する第2の関係先装置に対する同意依頼を作成し、前記通信部を介して、前記同意依頼に対する同意結果を取得する同意取得部と、前記同意結果が前記支援に対する同意を示す場合、前記支援を許可することを示すパーミッションチケットを発行し、前記通信部を介して前記第1の関係先装置に送信する支援認可部を有する同意取得装置である。
【0009】
さらに、本発明には、同意取得装置を用いた同意取得方法や同意取得装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムやこれを格納する記録媒体も含まれる。さらに、同意取得装置を含む同意取得システムやこれを構成する他の装置、サブコンビネーションも本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、支援に関する対象者以外の第三者を含む関係者の同意取得を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態における同意取得システムのシステム構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態における同意取得サーバ1の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態における児童相談所端末20の機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態における病院端末30の機能ブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態における学校端末40の機能ブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態における支援施設端末50の機能ブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態における同意取得サーバ1のハードウエア構成図である。
【
図8】本発明の一実施形態で用いられる同意管理リスト171を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態で用いられる児童状況リスト261を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態におけるステータスの遷移図である。
【
図11】本発明の一実施形態における全体処理シーケンスを示すシーケンス図である。
【
図12】本発明の一実施形態におけるステータス判定処理および同意取得処理の一部を示すシーケンス図である。
【
図13】本発明の一実施形態における通常時の同意取得処理(ステップS14)の詳細を示すシーケンス図である。
【
図14】本発明の一実施形態における虐待疑惑時の同意取得処理(ステップS15)の詳細を示すシーケンス図である。
【
図15】本発明の一実施形態における虐待認定時の同意取得処理(ステップS16)の詳細を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、<概要><構成><情報><処理フロー>に分けて説明する。
【0013】
<概要>
本実施形態では、児童虐待を例とする。この例では、要支援者、つまり、対象者として、虐待の可能性のある児童を用い、支援として児童の個人情報について情報連携(提供、取得、共有等)を用いる。また、関係者・組織(以下、単に関係先)の例として、親権者(親)、教師などの学校関係者、支援施設、児童相談所および医師などの病院関係者を用いる。
【0014】
なお、これらはあくまでも例示であり、本発明にはこれらに限定されない。例えば、児童虐待の他にも、DV被害、認知症やアルコール依存症などの病気、貧困や介護等の各種世話を要する家庭状態といった各種支援要因が対象となり得る。このため、要支援者として、DV被害者、認知症患者、アルコール依存症患者、貧困層、ヤングケアラーといった介護実施者なども含まれる。さらにその支援としては、介護、対象者に代わっての手続き代行、代理人委任、保護、被害防止、避難支援なども含まれる。
【0015】
ここで、本実施形態では、児童の個人情報についての情報連携が必要となる場面について説明する。例えば、病院で児童を診断した場合、痣やけがの状態により、医師が虐待の可能性があると考えることがある。この場合、医師ないしその病院では、虐待の確認や児童相談所や警察などへの通報の要否を判断するために、他の関係先から児童の個人情報を取得することを希望することがある。つまり、虐待について、痣やケガのみでその可能性を判断するのでなく、他の情報も合わせて総合的な判断を行いたいとのニーズが存在する。また、総合的な判断のためには、当該病院で管理する児童の個人情報(例えば、カルテ情報)を開示して連携するニーズも存在する。以上のようなニーズに対応するために、本実施形態では、児童への支援の一例として、その個人情報について情報連携を実現する。
【0016】
<構成>
以下、図面を参照して、本実施形態の構成について説明する。
図1は、本実施形態における同意取得システムのシステム構成図である。本システムにおいて、同意取得サーバ1、児童相談所システム2、病院システム3、学校システム4、支援施設システム5および親端末6がネットワーク7を介して互いに接続されている。
【0017】
以下、これらの各装置の概要について説明し、その後に詳細に説明する。同意取得サーバ1は、本発明の同意取得装置の一例であり、本実施形態における同意取得のための主たる処理を実行する。このために、同意取得サーバ1は、児童相談所システム2、病院システム3、学校システム4、支援施設システム5および親端末6と連携する。
【0018】
次に、児童相談所システム2は、児童の関係先の一例である児童相談所で用いられるシステムであり、本実施形態では児童相談所端末20および児童相談所サーバ200で構成される。児童相談所端末20および児童相談所サーバ200は、それぞれ関係先装置の一例であり、いずれか一方のみで構成してもよいし、複数台設けてもよい。なお、これは児童相談所の職員により利用されることを想定している。
【0019】
また、病院システム3は、児童の関係先の一例である病院、診療所等で用いられるシステムであり、本実施形態では病院端末30および病院サーバ300で構成される。病院端末30および病院サーバ300は、それぞれ関係先装置の一例であり、いずれか一方のみで構成してもよいし、複数台設けてもよい。なお、これは医師などの病院の職員により利用されることを想定している。
【0020】
また、学校システム4は、児童の関係先の一例である学校で用いられるシステムであり、本実施形態では学校端末40および学校サーバ400で構成される。学校端末40および学校サーバ400は、それぞれ関係先装置の一例であり、いずれか一方のみで構成してもよいし、複数台設けてもよい。なお、これは教師などの学校の職員により利用されることを想定している。
【0021】
また、支援施設システム5は、児童の関係先の一例である各種支援施設で用いられるシステムであり、本実施形態では支援施設端末50および支援施設サーバ500で構成される。ここで、支援施設は、いわゆる子ども食堂、児童館等の児童福祉施設など、児童が利用可能な施設である。より望ましくは、支援施設は、児童の保護、支援が可能な施設である。ここで、支援施設端末50および支援施設サーバ500は、それぞれ関係先装置の一例であり、いずれか一方のみで構成してもよいし、複数台設けてもよい。この場合、支援施設自体複数である場合も含まれる。なお、これは支援施設の職員により利用されることを想定している。
【0022】
また、親端末6は、関係先の一例である児童の親権者である親が利用する端末装置であり、スマートフォン、タブレット、PCなどで実現できる。さらに、ネットワーク7は、上述の各装置を接続するもので、インターネットなどで実現できる。またさらに、同意取得サーバ1は、児童相談所など関係先に設けてもよい。この場合、同意取得サーバ1の機能を児童相談所サーバ200のような関係先装置にその機能を設けてもよいし、別装置として実現してもよい。
【0023】
次に、各装置の詳細について説明する。まず、
図2は、本実施形態における同意取得サーバ1の機能ブロック図である。
図2において、同意取得サーバ1は、ステータス取得部11、同意管理リスト作成部12、同意取得部13、代理同意取得部14、連携認可部15、通信部16および記録部17を有する。
【0024】
まず、ステータス取得部11は、支援の要因、つまり、情報連携の要因である児童虐待についての状況を示すステータスを他の装置から取得する。このステータス取得部11は、ステータスを特定するステータス特定部の一例である。このため、同意については、同意取得サーバ1自身で特定してもよい。
【0025】
また、同意管理リスト作成部12は、児童ごとの、情報連携についての同意に関する情報である同意管理リスト171を作成し、これを記録部17に記録する。なお、同意管理リスト171については、後述の<情報>の欄で説明する。
【0026】
また、同意取得部13は、関係先のうち、同意者となり得る同意者候補の同意を取得するための処理を実行する。また、代理同意取得部14は、所定のステータスの場合に、代理同意者となり得る代理同意者候補の同意を取得するための処理を実行する。
【0027】
また、連携認可部15は、支援の一例である情報連携のための処理を実行する。より具体的には、情報連携のためのパーミッションチケットを発行する。また、通信部16は、ネットワーク7を介して、他の装置との通信を実行する。なお、本実施形態では、支援として情報連携を行うため連携認可部15を用いるが、これは支援を認可する支援認可部の一例である。さらに、記録部17は、同意管理リスト171を記録する。
【0028】
次に、
図3は、本実施形態における児童相談所端末20の機能ブロック図である。本例では、児童相談所で利用される関係先装置として、児童相談所端末20を用いるが、児童相談所端末20の機能のうち、少なくとも一部を児童相談所サーバ200で実現してもよい。
【0029】
図3において、児童相談所端末20は、児童状況リスト作成部21、児童状況リスト更新部22、ステータス確認部23、同意部24、通信部25および記録部26を有する。児童状況リスト作成部21は、児童ごとの、支援要因の一例である児童虐待の状況を示す情報である児童状況リスト261を作成し、これを記録部26に記録する。なお、児童状況リスト261については、後述の<情報>の欄で説明する。
【0030】
また、児童状況リスト更新部22は、児童状況リスト261を児童虐待の状況に応じて更新する。また、ステータス確認部23は、児童虐待のステータスを、児童状況リスト261に基づいて確認する。
【0031】
また、同意部24は、同意取得部13と連携して、同意取得のための処理を実行する。また、通信部25は、ネットワーク7を介して、他の装置との通信を実行する。さらに、記録部26は、児童状況リスト261を記録する。
【0032】
次に、
図4は、本実施形態における病院端末30の機能ブロック図である。本例では、病院で利用される関係先装置として、病院端末30を用いるが、病院端末30の機能のうち、少なくとも一部を病院サーバ300で実現してもよい。
【0033】
図4において、病院端末30は、電子カルテ作成部31、連携要求部32、同意確認部33、連携許可部34、代理同意部35、通信部36および記録部37を有する。まず、電子カルテ作成部31は、児童を含む患者ごとの、カルテを示す電子カルテデータ371を作成し、記録部37に記録する。
【0034】
また、連携要求部32は、支援の一例である情報連携を要求する連携要求を、同意取得サーバ1に、後述の通信部36を介して送信する。同意確認部33は、同意取得部13や同意部24等で取得される同意について確認する。
【0035】
また、連携許可部34は、情報連携のための処理を実行する。この際、連携認可部15で発行されるパーミッションチケットに応じてこの処理を実行することになる。
【0036】
また、代理同意部35は、所定のステータスの場合に、当該病院端末30の利用者もしくは病院が代理同意者としての同意についての処理を実行する。通信部36は、ネットワーク7を介して、他の装置との通信を実行する。さらに、記録部37は、電子カルテデータ371を記録する。
【0037】
次に、
図5は、本実施形態における学校端末40の機能ブロック図である。本例では、学校で利用される関係先装置として、学校端末40を用いるが、学校端末40の機能のうち、少なくとも一部を学校サーバ400で実現してもよい。
【0038】
図5において、学校端末40は、学習データ作成部41、連携要求部42、同意確認部43、連携許可部44、代理同意部45、通信部46および記録部47を有する。まず、学習データ作成部41は、児童についての出席日数(含む早退、お休み数)、成績、生活態度などを含む学習や学校生活に関する学習データ471を作成し、記録部47に記録する。
【0039】
また、連携要求部42、同意確認部43、連携許可部44、代理同意部45、通信部46は、それぞれ連携要求部32、同意確認部33、連携許可部34、代理同意部35および通信部36と同様の機能を有する。また、記録部47は、学習データ471を記録する。
【0040】
次に、
図6は、本実施形態における支援施設端末50の機能ブロック図である。本例では、支援施設で利用される関係先装置として、支援施設端末50を用いるが、支援施設端末50の機能のうち、少なくとも一部を支援施設サーバ500で実現してもよい。
【0041】
図6において、支援施設端末50は、活動記録データ作成部51、連携要求部52、同意確認部53、連携許可部54、代理同意部55、通信部56および記録部57を有する。まず、活動記録データ作成部51は、児童についての利用日数、活動内容などを含む支援施設での活動に関する活動記録データ571を作成し、記録部57に記録する。
【0042】
また、連携要求部52、同意確認部53、連携許可部54、代理同意部55、通信部56は、それぞれ連携要求部42、同意確認部43、連携許可部44、代理同意部45および通信部46と同様の機能を有する。また、記録部57は、活動記録データ571を記録する。
【0043】
以上の病院端末30、学校端末40および支援施設端末50においては、それぞれ同様の機能(部)を備えることを妨げない。本実施形態では、病院が情報連携要求元のため、連携要求部32を有し、学校が情報を提供するため、同意確認部43を有すると記載した。また、これらについては、他の端末も有してもよく、情報連携要求元になった際に用いられる。
【0044】
次に、親端末6は、親からの操作に従って、同意取得に関する各種処理を実行し、上述の各装置とネットワーク7を介して、情報の送受信を行う。また、これらの機能は、いわゆるブラウザや専用アプリ(プログラム)で実現可能である。また、これらの機能の実現には、メール、親端末6の専用メッセージ機能やSNS(Social Network Service)サービスを利用してもよい。さらに、親端末6は、児童相談所端末20、病院端末30、学校端末40および支援施設端末50と同様の機能を有してもよい。またさらに、親端末6、児童相談所端末20、病院端末30、学校端末40および支援施設端末50については、それぞれ利用者の入力を受け付ける入力デバイスで実現できる入力部と、各種情報を出力する表示装置で実現できる出力部を有する。
【0045】
次に、同意取得サーバ1の一実現例について説明する。
図7は、本実施形態における同意取得サーバ1のハードウエア構成図である。
図7において、同意取得サーバ1は、CPU101、主記録装置102、ネットワークI/F103、表示I/F104、入力I/F105、補助記録I/F106および補助記録装置107を有し、これらはバス等を介して互いに接続される。
【0046】
まず、CPU101は、処理装置(プロセッサ)の一例であり、後述する補助記録装置107に記録されている各プログラムに従って演算を実行する。また、主記録装置102は、いわゆるメモリであり、補助記録装置107に記録されている各プログラムやCPU101での演算に用いられる情報が展開される。
【0047】
また、ネットワークI/F103は、
図2の通信部16に該当し、ネットワーク7と接続し、他の装置との通信を行うためのインターフェイス機能を有する。表示I/F104は、表示装置81と接続し、これに各種情報を表示するためのインターフェイス機能を有する。また、入力I/F105は、マウスやキーボードといった入力デバイス82と接続し、これらに対する利用者の操作に応じた入力を受け付けるインターフェイス機能を有する。ここで、表示装置81や入力デバイス82は、同意取得サーバ1の一部として構成してもよいし、別装置として構成してもよい。後者の場合、タブレットやPCなどの端末装置で実現してもよい。
【0048】
また、補助記録I/F106は、後述の補助記録装置107と接続するためのインターフェイス機能を有する。そして、補助記録装置107は、いわゆるストレージで実現でき、ステータス取得プログラム108、同意管理リスト作成プログラム109、同意取得プログラム110、代理同意取得プログラム111、連携認可プログラム112および上述の同意管理リスト171を記録する。このため、主記録装置102および補助記録装置107が、
図2の記録部17に該当する。
【0049】
また、補助記録装置107は、外付けのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどの各種記録媒体で実現してもよいし、ファイルサーバのように同意取得サーバ1とは別装置で実現してもよい。
【0050】
ここで、各プログラムについては、各機能の少なくとも一部をモジュールとして実現し、これらを合わせて1以上のプログラムで実現してもよい。
【0051】
また、各プログラムで実現する機能は、
図2の各部と同様である。つまり、CPU101は、上述の各プログラムに従って、ステータス取得部11、同意管理リスト作成部12、同意取得部13、代理同意取得部14および連携認可部15の各機能を実現するための演算を実行する。そして、各プログラムと同一の機能を実行する
図2に示す構成は、以下のとおりである。
ステータス取得プログラム108:ステータス取得部11
同意管理リスト作成プログラム109:同意管理リスト作成部12
同意取得プログラム110:同意取得部13
代理同意取得プログラム111:代理同意取得部14
連携認可プログラム112:連携認可部15
以上で、本実施形態の構成の説明を終わり、続いて、<情報>について説明する。
【0052】
<情報>
まず、
図8は、本実施形態で用いられる同意管理リスト171を示す図である。同意管理リスト171は、児童ごとの、情報連携についての同意に関する同意管理情報の集合で構成される。例えば、
図8に示すように、同意管理情報を識別するNoごとに、氏名、ステータス、同意有無、連携回数および連携拒否回数の各項目を有する。まず、氏名は、対象者である児童の氏名であるが、当該児童を識別できる情報であればよい。なお、上述のNoとして、児童を識別する情報を用いてもよい。
【0053】
また、ステータスは、支援要因である児童虐待の状況を示す。本実施形態では、「通常時」「虐待疑惑時」「虐待認定時」「虐待改善時」を用いる。これらの考え方については、後述の<処理フロー>の欄で説明する。
【0054】
また、同意者は、支援である情報連携、つまり、児童の個人情報の連携について同意する関係者を示す。なお、本欄は、ステータス判定処理や同意取得処理の状態に応じて、動的に変更することが望ましい。その一例としては、初めに初期値として「親」が記録され、ステータスが「虐待疑惑時」「虐待認定時」には「同意者候補」が記録され、同意が取得された場合には「同意者」(含む代理)が記録される。この詳細については、<処理フロー>の欄で詳細に説明する。
【0055】
また、同意の有無は、同意取得処理で同意が取得されているか(有)やされていないか(無)を示す。また、連携回数は、支援である情報連携の回数を示す。さらに連携拒否回数は、情報連携を拒否した回数を示す。なお、これらの各項目はあくまでも例示であり、同意者が管理できればよく、その一部を省略することができる。また、他の項目を追加してもよい。
【0056】
次に、
図9は、本実施形態で用いられる児童状況リスト261を示す図である。児童状況リスト261は、児童ごとの、支援要因の一例である児童虐待の状況を示す児童虐待情報の集合で構成される。例えば、
図9に示すように、児童虐待情報を識別するNoごとに、氏名、住所、生年月日、ステータス、連携回数および連携拒否回数の各項目を有する。
【0057】
まず、氏名は、対象者である児童の氏名であるが、当該児童を識別できる情報であればよい。なお、上述のNoとして、児童を識別する情報を用いてもよい。また、住所、氏名および生年月日は、児童の属性を示す情報である。
【0058】
また、ステータス、連携回数および連携拒否回数は、同意管理リスト171のそれと同様の情報である。なお、これらの各項目は、あくまでも例示であり、ステータスが管理できればよく、その一部を省略することができる。また、他の項目を追加してもよい。
【0059】
なお、電子カルテデータ371、学習データ471および活動記録データ571は、<構成>の欄で説明済であり、その詳細の説明は省略する。以上で、本実施形態で用いられる情報の説明を終わり、続いて、<処理フロー>について説明する。
【0060】
<処理フロー>
まず、処理フローの説明にあたり、この前提となるステータスの考え方について説明する。ステータスは、支援要因である虐待の状況を示す。このため、何らかの対処の実施や状況の確認などで変化、遷移することになる。
【0061】
図10は、本実施形態におけるステータスの遷移図である。児童虐待においては、これが行われていない場合、ステータスは「通常時」となる。そして、児童の服装などで虐待の可能が見いだされると、「通常時」から「虐待疑惑時」にステータスが遷移する。
【0062】
また、児童の状況についての確認が進むと、「虐待疑惑時」から「虐待認定時」にステータスが遷移する。そして、児童相談所などの介入などにより、虐待が改善すると、「虐待認定時」から「虐待改善時」にステータスが遷移する。また、さらに状況が落ち着き、介入等の対策が不要になると、ステータスは「虐待改善時」から「通常時」に遷移する。
【0063】
なお、これらステータスおよびその遷移は、上述の例に限定されない。例えば、これら以外のステータスを追加してもよいし、一部を削除してもよい。また、遷移については、「虐待疑惑時」において、虐待が確認されない場合、「通常時」に遷移してもよい。またさらに、「通常時」において、虐待の事実が確認された場合、「虐待疑惑時」をスキップし、「虐待認定時」に遷移してもよい。このように、遷移は
図8の例に限定されず、スキップや逆方向への遷移も含まれる。さらに、このステータスとは、支援の必要性の程度を示す指標としても用いることができる。
図8の例では、「通常時」「虐待改善時」「虐待疑惑時」「虐待認定時」の順に、支援の必要性が低いとも定義できる。
【0064】
また、これらステータスは虐待についての対策を行う児童相談所で管理することが望ましい。このため、本実施形態では、児童相談所端末20の児童状況リスト261で管理する。但し、これについて、同意取得サーバ1で管理してもよい。
【0065】
以上で、ステータスの考え方、特に、その遷移についての説明を終わり、処理フローの詳細について説明する。
図11は、本実施形態における全体処理シーケンスを示すシーケンス図である。まず、この処理の前提として、病院において、児童の診察が行われ、そのケガにより医師が虐待の可能性があると考えたものとする。この場合、ステップS301において、病院端末30の入力部が、医師等の病院職員から該当の児童についての情報連携についての連携要求指示を受け付ける。そして、通信部36が、同意取得サーバ1に、連携要求を送信する。この連携要求には、児童の氏名などの識別情報および情報連携を希望する旨の情報が含まれる。
【0066】
また、ステップS101において、同意取得サーバ1の通信部16が、連携要求を受け付ける。また、ステップS102において、同意管理リスト作成部12が、受け付けた連携要求に応じて、同意管理リスト171への登録を行う。このために、同意管理リスト作成部12は、連携要求の対象である児童についての同意管理情報が同意管理リスト171に含まれるかを判定する。
【0067】
この結果、含まれていない場合、同意管理リスト作成部12は、同意管理リスト171に新たにレコードを作成し、氏名の欄に該当の児童の氏名を記録する。また、児童についての同意管理情報が含まれている場合、該当のレコード(同意管理情報)の初期化を行う。つまり、同意管理リスト作成部12は、ステータス、同意者および同意有無の各項目の記録を消去する。この際、連携回数や連携拒否回数も消去してもよい。また、初期化においては、同意管理リスト作成部12は、同意者として親を記録してもよい。またさらに、同意管理情報が含まれている場合、この同意管理情報を流用してもよい。この場合、同意管理情報にステータスを含めて、これを用いてステータス判定を行ってもよい。この場合、後述のステータス判定処理は省略できる。
【0068】
なお、本実施形態では、児童についての同意管理情報が同意管理リスト171に含まれているかを判定しているが、この処理は省略できる。この場合、同意管理情報が含まれているかに寄らず、同意管理リスト作成部12は、同意管理リスト171に新たにレコードを作成することになる。
【0069】
また、ステップS10において、ステータス判定処理が実行され、ステップS20において、同意取得処理が実行される。まず、ステップS10において、同意取得サーバ1および児童相談所端末20が連携して対象者である児童のステータスを判定する。また、ステップS20において、同意取得サーバ1および関係先装置が連携して同意者を特定する。以下、これらの具体例を、
図12~
図15を用いて説明する。
図12は、本実施形態におけるステータス判定処理および同意取得処理の一部を示すシーケンス図である。
【0070】
まず、ステップS11において、同意取得サーバ1のステータス取得部11が、通信部16を介して児童相談所端末20に、対象者である児童のステータスの確認依頼を送信する。この確認依頼には、ステータスを確認する旨および児童を識別する識別情報が含まれる。
【0071】
また、ステップS21において、児童相談所端末20の通信部25が、ステータスの確認依頼を受け付ける。これを受けて、ステップS22において、ステータス確認部23が、児童状況リスト261を確認し、受け付けられた確認依頼の児童の識別情報に対応する児童確認情報を特定する。
【0072】
また、ステータス確認部23は、特定された児童状況情報に含まれるステータスを抽出する。そして、ステップS23において、ステータス確認部23が、通信部25を介して同意取得サーバ1に、抽出されたステータスを通知する。なお、児童状況リスト261に該当の児童の管理情報が含まれない場合、ステータス確認部23は、ステータスを「通常時」と判定する。これは、支援の必要性が最も低いステータスと判定することを意味する。但し、これはあくまでも一例であり、ステータス確認部23は、予め定められたステータスと判定してもよい。
【0073】
また、ステップS12において、同意取得サーバ1のステータス取得部11が、通知されたステータスを、同意管理リスト171のうち該当のレコードに登録する。以上により、ステータス判定処理(ステップS10)が終了することになる。以下、同意取得処理(ステップS20)が実行される。
【0074】
まず、ステップS13において、同意取得部13が、同意管理リスト171に記録された対象者である児童のステータスを判定する。この結果、ステータスが「通常時」の場合、ステップS14に遷移する。また、ステータスが「虐待疑惑時」の場合、ステップS15に遷移する。また、ステータスが「虐待認定時」の場合、ステップS16に遷移する。また、ステータスが「虐待改善時」の場合、ステップS17に遷移する。以上のように、本実施形態では、取得されたステータスに応じて、異なる手順で同意取得処理を実行し、同意依頼に対する回答を取得する。
【0075】
また、ステップS14では、通常時の同意取得処理が実行される。この詳細は、
図13を用いて後述する。また、ステップS15では、虐待疑惑時の同意取得処理が実行される。この詳細は、
図14を用いて後述する。また、ステップS16では、虐待認定時の同意取得処理が実行される。この詳細は、
図15を用いて後述する。
【0076】
さらに、ステップS17において、同意取得部13が、同意者を「親」に特定し、同意管理リスト171の同意者の欄に登録する。なお、初期値として「親」が記録されている場合、同意取得部13は、初期値のままとする。
【0077】
そして、ステップS18において、同意取得部13が、通信部16を介して病院端末30に、児童の虐待のステータスが、虐待改善時であること、つまり、改善されている旨を通知する。
【0078】
ここで、ステップS17では、同意者を「親」に特定しているが、これを同意者候補として、以下に示す処理で同意者として特定してもよい。このために、同意取得部13は、通信部16を介して、親端末6に情報連携についての連携同意依頼を通知する。この連携同意依頼には、同意を依頼する旨、児童の氏名および対象の個人情報の範囲を示す情報が含まれる。ここで、本実施形態においては、対象の個人情報としては、病院の電子カルテデータ371に含まれる対象者の電子カルテとなる。
【0079】
そして、親端末6から同意する旨の回答を通信部16が受け付けた場合、同意取得部13は、同意管理リスト171の連携回数に1加算し、これを更新する。また、同意管理リスト171の同意者に記録された「親」を同意者候補から同意者に確定する処理を行う。
【0080】
また、親端末6から同意しない旨の回答を通信部16が受け付けた場合、同意取得部13は、同意管理リスト171の連携拒否回数に1加算し、これを更新する。また、同意取得部13は、同意管理リスト171の同意者に記録された同意者候補である「親」を削除する。さらに、ステップS18以降では、ステップS14と同様の処理で同意取得を実行してもよい。
【0081】
以上で、
図12の説明を終わり、以下、ステップS14~ステップS16のそれぞれの詳細を説明する。まず、
図13は、本実施形態における通常時の同意取得処理(ステップS14)の詳細を示すシーケンス図である。まず、ステップS140において、同意取得部13が、ステップS17と同様に、同意管理リスト171の同意者を「親」と設定する。より望ましくは、上述のように、同意取得部13は、「親」を同意者候補とする。
【0082】
また、ステップS141において、同意取得部13が、通信部16を介して親端末6に、連携同意依頼を通知する。なお、連携同意依頼には、他の関係先(本例では、学校)に対する連携要求について同意するかを確認も含まれる。本例では、連携要求として児童の個人情報の要求が用いられる。
【0083】
また、ステップS640において、親端末6の入力部が、連携同意依頼に対する確認結果を受け付ける。つまり、同意可否を示す情報が受け付けられる。そして、ステップS641において、親端末6が、同意取得サーバ1に、同意可否を示す情報を通知する。なお、この情報には、他の関係先(本例では、学校)に対する連携要求の一例である児童の個人情報の要求についての同意の有無も含まれる。
【0084】
そして、ステップS142において、同意取得サーバ1の通信部16が、同意可否を示す情報を受け付ける。これを受けて、ステップS143において、同意取得部13が、受け付けられた情報が同意か(可および否のいずれか)を判定する。この結果、同意しない場合(NO)、ステップS144に遷移する。また、同意の場合(YES)、ステップS145に遷移する。
【0085】
また、ステップS144において、同意取得部13が、同意管理リスト171の連携拒否回数に1加算し、これを更新する。また、ステップS145において、同意取得部13が、同意管理リスト171の同意に「有」を記録する。
【0086】
また、ステップS146において、同意取得部13が、同意可否を示す情報を用いて、他の関係先(本例では、学校)に対する連携要求についての同意の有無を確認する。有る場合(YES)、ステップS148に遷移する。無い場合(NO)、ステップS147に遷移する。
【0087】
また、ステップS147において、同意取得部13が、同意管理リスト171の連携拒否回数に1加算し、これを更新する。また、ステップS148において、同意取得部13が、通信部16を介して学校端末40に、連携同意要求を通知する。ここで、連携同意要求には、同意者である親および学習データ471の提供を要求する情報が含まれる。
【0088】
また、本例では、上述のように、他の関係先として学校を用いるため、本ステップの通期先は学校端末40となるか、通知先は他の装置を加えてもよいし、学校端末40に代えて他の装置としてもよい。
【0089】
また、ステップS440において、学校端末40の同意確認部43が、連携同意要求の内容を出力する。これを受けて、学校端末40同意確認部43が、利用者から同意者に対する確認結果および連携要求の可否を受け付ける。そして、ステップS441において、通信部46が、同意取得サーバ1に、ステップS440で受け付けられた連携要求の可否を通知する。
【0090】
また、ステップS149において、同意取得サーバ1の通信部16が、ステップS440で通知された連携可否を受け付ける。以上で、
図13の説明を終わるが、以降は
図11のステップS103に遷移する。なお、このステップS103の説明の前に、ステップS15の詳細について、
図14を用いて説明する。
【0091】
図14は、本実施形態における虐待疑惑時の同意取得処理(ステップS15)の詳細を示すシーケンス図である。まず、ステップS150において、同意取得部13が、同意管理リスト171の同意者を「仮代理」と設定する。より望ましくは、上述のように、同意取得部13は、「仮代理」を同意者候補とする。本例では、この「仮代理」として、親以外の学校や支援施設が特定されるとする。このように、本実施形態では、複数の関係先が特定されることになる。
【0092】
また、ステップS151において、代理同意取得部14が、通信部16を介して学校端末40および支援施設端末50に、代理同意依頼を通知する。これら各端末は、特定された複数の関係先の関係先装置である。これを受けて、ステップS40において、代理同意部45および代理同意部55が、該当の組織で所有するデータを確認する。このデータとは、学校端末40の学習データ471および支援施設端末50の活動記録データ571である。また、これらのうち、該当の児童の分のデータが確認される。
【0093】
このために、代理同意部45および代理同意部55のそれぞれは、それぞれ自身のデータを出力部に出力する。この結果、各利用者が出力されたデータを確認し、同意が可能かを判断できる。また、入力部は、利用者の判断結果の入力を受け付けることになる。
【0094】
そして、ステップS50において、代理同意部45および代理同意部55のそれぞれが、通信部46および通信部56を介して同意取得サーバ1に、ステップS40で受け付けられた判断結果を通知する。
【0095】
また、ステップS152において、同意取得サーバ1の代理同意取得部14が、通知された判断結果のうち、同意する旨の判断結果の数が予め記録されたしきい値以上かを判定する。この結果、しきい値未満の場合(NO)、ステップS153に遷移する。また、しきい値以上の場合(YES)、ステップS154に遷移する。なお、しきい値は、対象者や支援要因等に応じたケースに合わせて、例えば、1以上であっても良い。
【0096】
また、ステップS153において、代理同意取得部14が、同意管理リスト171の連携拒否回数に1加算し、これを更新する。また、ステップS154において、代理同意取得部14が、同意管理リスト171の同意者を「仮代理」から「代理」に更新する。ここで、代理とは、特定の関係先を示すのでなく、上述の複数の関係先全体を同意者として管理することを意味する。
【0097】
以下、ステップS155~ステップS158において、ステップS145~ステップS148と同様の処理を実行する。ここで、本例では、ステップS158での連携同意要求の通知先を学校端末40としている。これは、ステップS50において同意する旨の判断結果を通知した関係先装置である。但し、この連携同意要求の通知先はあくまでも一例であり、同意しない関係先装置を通知先としてもよい。以下、ステップS450~ステップS159において、ステップS440~ステップS149と同様の処理を実行する。以上で、
図14の説明を終わるが、以降は
図11のステップS103に遷移する。なお、このステップS103の説明の前に、ステップS16の詳細について、
図15を用いて説明する。
【0098】
図15は、本実施形態における虐待認定時の同意取得処理(ステップS16)の詳細を示すシーケンス図である。まず、ステップS160において、同意取得部13が、同意管理リスト171の同意者を「児童相談所」と設定する。より望ましくは、上述のように、同意取得部13は、「児童相談所」を同意者候補とする。
【0099】
また、ステップS161において、同意取得部13が、通信部16を介して児童相談所端末20に、連携同意依頼を通知する。なお、連携同意依頼は、ステップS141で通知されるものと同様の内容である。
【0100】
また、ステップS260において、同意部24が、児童状況リスト261のうち、該当の児童状況情報を確認する。このために、同意部24は、該当の児童状況情報を出力部に出力する。この結果、各利用者が出力されたデータを確認し、同意が可能かを判断できる。また、入力部は、利用者の判断結果の入力を受け付けることになる。
【0101】
そして、ステップS261において、同意部24が、通信部25を介して同意取得サーバ1に、ステップS260で受け付けられた判断結果を通知する。以降、ステップS162~ステップS169について、ステップS142~ステップS149と同様の処理を実行することになる。以上で、
図15の説明を終わり、
図11に戻りステップS103以降の処理について説明する。
【0102】
ステップS103において、連携認可部15が、支援の一例である情報連携が可能かを判定する。このために、連携認可部15は、ステップS149、ステップS159およびステップS169で受け付けられた連携可否の通知を用いる。この結果、情報連携が可能である場合(YES)、ステップS105に遷移する。また、情報連携が可能でない場合(NO)、ステップS107に遷移する。
【0103】
また、ステップS104において、連携認可部15が、同意管理リスト171の連携回数に1加算し、これを更新する。また、ステップS105において、連携認可部15が、パーミッションチケットを発行する。このパーミッションチケットとは、支援である情報連携を許可することを示す情報である。このパーミッションチケットとは、支援である情報連携を許可することを示す情報である。パーミッションチケットの一実装例として、アクセス管理のプロトコルであるUWA(User-Managed Access)仕様で定義されたトークンが挙げられる。また、支援が情報連携の場合、情報連携が許可される範囲は、該当の児童の情報である。このように、パーミッションチケットとは、支援について、該当の対象者に限定的な処理を許可するための情報である。このため、パーミッションチケットには、対象者を識別する情報および支援を許可することを示す情報が含まれる。
【0104】
そして、ステップS106において、連携認可部15が、通信部16を介して情報連携要求元の関係元装置である病院端末30に、パーミッションチケットを送信する。
【0105】
また、ステップS302において、病院端末30の通信部25が、送信されたパーミッションチケットを受信する。これを受けて、ステップS303において、連携要求部32が、パーミッションチケットを用いて、情報連携先となるデータベースに対するアクセス要求を行う。ここで、情報連携先となるデータベースとは、学校端末40の記録部47であり、より具体的には学習データ471のうち、該当の児童のデータとなる。
【0106】
また、ステップS401において、学校端末40の連携許可部44が、ステップS303で用いられたパーミッションチケットを検証する。この検証は、例えば、公開鍵暗号方式などの技術を用いて実現できる。この結果、検証されると、ステップS402において、連携許可部44がアクセス要求されたデータ、つまり、児童のデータを、病院端末30に対して開示する。つまり、アクセスを許可する。
【0107】
また、ステップS304において、病院端末30の連携要求部32が、自身の出力部にアクセスが許可されたデータを出力する。この結果、病院端末30の利用者が、データを閲覧できる。
【0108】
そして、ステップS305において、病院端末30の入力部が、閲覧されたデータに対する整理、検討の結果を受け付け、連携要求部32がこれを記録部37に記録する。
【0109】
ここで、ステップS103でNOの場合に戻り、説明を行う。この場合、ステップS107において、連携認可部15が、同意管理リスト171の連携拒否回数に1加算し、これを更新する。ここで、本ステップは、ステップS144、ステップS147、ステップS153、ステップS157、ステップS164およびステップS167から遷移されるように処理してもよい。
【0110】
なお、同意取得サーバ1のステータス取得部11ないしステータス確認部23は、ステップS144、ステップS147、ステップS153、ステップS157、ステップS164およびステップS167で更新される連携拒否回数に応じて、ステータスを更新してもよい。この場合、ステータス取得部11は、同意管理リスト171のステータスを、必要性のより高い方向に更新する。そして、ステータス取得部11は、児童相談所端末20に、通信部16を介してステータスの更新結果を通知する。この結果、ステータス確認部23は、児童状況リスト261のステータスを同様に更新する。また、逆に、ステータス確認部23が先に児童状況リスト261のステータスを更新し、同意取得サーバ1に通知し、同意管理リスト171を更新してもよい。ここで、必要性のより高い方向へ更新とは、
図10の例では、通常時もしくは虐待改善時-疑惑虐待時-虐待認定時の順位を意味する。言い換えると、支援要因の蓋然性が高いことを意味する。
【0111】
そして、ステップS108において、連携認可部15が、通信部16を介して、病院端末30に、連携が拒否されたことを示す連携拒否を通知する。これを受けて、病院端末30の利用者は、記録部37に記録された児童の電子カルテについて、検討することになる。そして、このように遷移したステップS305において、病院端末30の入力部が、この検討の結果を受け付け、連携要求部32がこれを記録部37に記録する。
【0112】
また、ステップS306において、病院端末30の入力部が、利用者から児童に対する虐待に対する通報要求および/または相談要求を受け付ける。そして、通信部36が、児童相談所端末20に、これを通知する。この通報要求および/または相談要求には、通報する旨および/または相談を希望する旨および児童を識別する情報が含まれる。
【0113】
この結果、児童相談所では、対象の児童に対する対処である安全確認できる。そして、ステップS201において、児童相談所端末20の入力部が、安全確認の結果、つまり、虐待のステータスを含む状況を受け付ける。また、ステップS202において、児童状況リスト更新部22が、受け付けた状況を反映するように、児童状況リスト261を更新する。
【0114】
以上で、本実施形態の処理フローの説明を終わるが、本発明は記載した内容に限定されない。例えば、同意者や同意者候補を、第三者以外の関係者としてもよい。例えば、対象者本人としてもよいし、これらを省略(不要)としてもよい。また、同意管理リスト171ないしこれを構成する同意管理情報については、一定時間後に無効化してもよいし、永年保持として管理されてもよい。前者の場合、同意管理リスト作成部12が、同意管理リスト171ないしこれを構成する同意管理情報の作成時期や更新時期から一定期間を検知し、無効化処理を行うことで実現できる。
【0115】
またさらに、ステップS140、ステップS150およびステップS160での同意者の特定は、予め同意管理リスト171に設定されていてもよい。さらに、同意管理リスト171における児童の氏名やステータスについても予め設定されていてもよい。なお、同意者の特定や児童の氏名やステータスについては、同意取得サーバ1が、児童相談所端末20から取得してもよい。
【符号の説明】
【0116】
1…同意取得サーバ、11…ステータス取得部、12…同意管理リスト作成部、13…同意取得部、14…、代理同意取得部、15…連携認可部、16…通信部、17…記録部、171…同意管理リスト、2…児童相談所システム、20…児童相談所端末、21…児童状況リスト作成部、22…児童状況リスト更新部、23…ステータス確認部、24…同意部24、25…通信部、26…記録部、261…児童状況リスト、200…児童相談所サーバ、3…病院システム、30…病院端末、31…電子カルテ作成部、32…連携要求部、33…同意確認部、34…連携許可部、35…代理同意部、36…通信部36、37…記録部、300…病院サーバ、4…学校システム、40…学校端末、41…学習データ作成部、42…連携要求部、43…同意確認部、44…連携許可部、45…代理同意部、46…通信部、47…記録部、471…学習データ、400…学校サーバ、5…支援施設システム、50…支援施設端末、51…活動記録データ作成部、52…連携要求部、53…同意確認部、54…連携許可部、55…代理同意部、56…通信部、57…記録部57、571…活動記録データ、500…支援施設サーバ、6…親端末6