(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125704
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】密閉型蓄電デバイス及びその製造方法並びにその分解方法、ケース再利用密閉型蓄電デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/166 20210101AFI20240911BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240911BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240911BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240911BHJP
H01M 50/16 20210101ALI20240911BHJP
H01M 50/627 20210101ALI20240911BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240911BHJP
H01M 10/54 20060101ALI20240911BHJP
H01M 50/553 20210101ALI20240911BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240911BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20240911BHJP
【FI】
H01M50/166
H01M50/119
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/16
H01M50/627
H01M50/342 101
H01M10/54
H01M50/553
H01G11/78
H01G11/84
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033703
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友紀
(72)【発明者】
【氏名】江原 強
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H012
5H023
5H031
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA15
5E078AB02
5E078HA12
5E078HA13
5E078HA25
5H011AA09
5H011CC02
5H011CC06
5H011DD12
5H011KK04
5H012AA07
5H012BB11
5H023AA03
5H023AS05
5H031AA08
5H031RR01
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
(57)【要約】
【課題】金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイス及びその製造方法、並びにその分解方法、更には、解体したケース本体と蓋体とを利用したケース再利用密閉型蓄電デバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】密閉型蓄電デバイス10は、電極体1と、開口部2を有し、電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体2と、電極体に電気的に接続された外部接続端子3と、外部接続端子及び当該外部接続端子を介して電極体を保持し、金属ケース本体の開口部を封口する樹脂蓋体4と、を備えている。また、樹脂蓋体と金属ケース本体の開口部とは、樹脂蓋体の環状の周縁部41を介して、全周に亘り気密に結合されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体と、
前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、
前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持し、前記金属ケース本体の前記開口部を封口する樹脂蓋体と、を備え、
前記樹脂蓋体と前記金属ケース本体の前記開口部とは、前記樹脂蓋体の環状の周縁部を介して、全周に亘り気密に結合されてなる
密閉型蓄電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記樹脂蓋体は、耐熱温度が200℃以上で、溶融温度が前記金属ケース本体及び前記外部接続端子の溶融温度より低い熱可塑性樹脂で形成された
密閉型蓄電デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記金属ケース本体の前記開口部は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する本体側処理面を有し、
前記樹脂蓋体の前記周縁部は、全周に亘り、前記本体側処理面に気密に密着してなる
密閉型蓄電デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記樹脂蓋体は、
前記金属ケース本体の前記開口部と結合された前記周縁部の本体側樹脂部と、
前記外部接続端子を保持する蓋本体部に接続する前記周縁部の蓋側樹脂部と、
前記蓋側樹脂部と前記本体側樹脂部との間に位置し、前記蓋側樹脂部と前記本体側樹脂部とを、分離容易とする分離容易化部と、を有する
密閉型蓄電デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記樹脂蓋体は、
前記金属ケース本体の前記開口部と結合された前記周縁部と、
前記外部接続端子を保持する蓋本体部と、
前記蓋本体部に対する前記周縁部側の境界部分を含む領域に存在し、前記周縁部と前記蓋本体部とを、分離容易とする分離容易化部と、を有する
密閉型蓄電デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記樹脂蓋体の前記周縁部における外周面は、熱光線を吸収し易くした光吸収容易化部を有する
密閉型蓄電デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記外部接続端子の外周面は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する端子側処理面を有し、
前記樹脂蓋体の端子保持孔は、全周に亘り、前記端子側処理面に気密に密着してなる
密閉型蓄電デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記外部接続端子は、前記電極体の正極集電部に電気的に接続された正極外部接続端子と、前記電極体の負極集電部に電気的に接続された負極外部接続端子と、を備え、
前記樹脂蓋体を平面視したとき、
前記金属ケース本体の前記開口部の開口範囲に重なる前記樹脂蓋体の樹脂部平面積は、前記正極外部接続端子の端子平面積と、前記負極外部接続端子の端子平面積と、の算術和に比べて、小さく形成してなる
密閉型蓄電デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記正極外部接続端子及び前記負極外部接続端子のいずれかは、注液孔を有する注液孔一体端子である
密閉型蓄電デバイス。
【請求項10】
請求項8に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記正極外部接続端子及び前記負極外部接続端子のいずれかは、安全弁を有する安全弁一体端子である
密閉型蓄電デバイス。
【請求項11】
電極体と、
開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体と、
前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、
前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持し、前記金属ケース本体の前記開口部を封口する樹脂蓋体と、を備え、
前記樹脂蓋体と前記金属ケース本体の前記開口部とは、前記樹脂蓋体の環状の周縁部を介して、全周に亘り気密に結合されてなる
密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、
前記開口部を通じて前記金属ケース本体内に、前記電極体を収容する収容工程と、
前記樹脂蓋体によって前記開口部を封口する封口工程と、を備える
密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、
前記封口工程は、
前記樹脂蓋体の前記周縁部を、前記金属ケース本体の前記開口部に直接、気密に結合する開口部結合工程である
密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、
前記封口工程は、
前記樹脂蓋体の前記周縁部における周縁上部と、予め前記金属ケース本体の前記開口部に気密に結合させた前記周縁部における周縁下部と、を気密に結合して前記周縁部を形成する周縁部形成工程である
密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項14】
請求項11に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、
前記封口工程は、
前記樹脂蓋体の前記外部接続端子を保持する蓋本体部と、予め前記金属ケース本体の前記開口部に気密に結合させた前記樹脂蓋体の前記周縁部と、を気密に結合する周縁部結合工程である
密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、
前記樹脂蓋体を、前記金属ケース本体の前記開口部に気密に結合する前記周縁部における周縁下部及び前記周縁部全体のいずれかと、少なくとも前記外部接続端子を保持する蓋本体部が残存する樹脂蓋体主要部と、に分割する分割工程と、
前記開口部を通じて前記金属ケース本体内に収容された前記電極体を取り出す取出工程と、を備える
密閉型蓄電デバイスの分解方法。
【請求項16】
請求項15に記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、
前記分割工程は、
前記樹脂蓋体の周縁部のうち、前記金属ケース本体から離間した溶融分離部を、溶融させつつ、又は溶融させた後に、前記樹脂蓋体主要部と前記金属ケース本体とを離間方向に相対移動させて分割する溶融分割工程である
密閉型蓄電デバイスの分解方法。
【請求項17】
請求項15に記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、
前記分割工程は、
前記樹脂蓋体の前記周縁部のうち、前記金属ケース本体から離間した切断分離部を全周に亘って切断して分割する切断分割工程である
密閉型蓄電デバイスの分解方法。
【請求項18】
電極体と、
開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体であって、前記開口部の全周に亘り環状の周縁部における周縁下部が結合した樹脂枠付き金属ケース本体と、
前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、
前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持した樹脂蓋体のうち、
前記外部接続端子を保持する蓋本体部に接続する前記周縁部における周縁上部を有して、前記樹脂枠付き金属ケース本体の開口部を封口する樹脂蓋体主要部と、を備え、
前記樹脂枠付き金属ケース本体の前記開口部と前記樹脂蓋体主要部とは、
前記周縁上部と前記周縁下部とが結合した複合周縁部を介して、全周に亘り気密に結合されてなる
ケース再利用密閉型蓄電デバイスであって、
前記樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体である、
及び、
前記樹脂蓋体主要部は、再利用樹脂蓋体主要部である、
の少なくともいずれかである
ケース再利用密閉型蓄電デバイス。
【請求項19】
電極体と、
開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体であって、前記開口部の全周に亘り環状の周縁部が結合した樹脂枠付き金属ケース本体と、
前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、
前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持した樹脂蓋体のうち、
前記外部接続端子を保持する蓋本体部を有して、前記樹脂枠付き金属ケース本体の開口部を封口する樹脂蓋体主要部と、を備え、
前記樹脂枠付き金属ケース本体の前記開口部と前記樹脂蓋体主要部とは、
前記蓋本体部と前記周縁部とが全周に亘り気密に結合されてなる
ケース再利用密閉型蓄電デバイスであって、
前記樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体である、
及び、
前記樹脂蓋体主要部は、再利用樹脂蓋体主要部である、
の少なくともいずれかである
ケース再利用密閉型蓄電デバイス。
【請求項20】
請求項18又は請求項19に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、
前記開口部を通じて、前記金属ケース本体内に、前記電極体を収容する収容工程と、
前記樹脂枠付き金属ケース本体と前記樹脂蓋体主要部とを気密に結合して、前記開口部を気密に封口する封口工程と、を備える
ケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法において、
前記樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体であり、
前記収容工程に先立ち、
前記金属ケース本体の前記開口部に結合した前記周縁下部及び前記周縁部のいずれかを、予め定めた形状に整形する樹脂枠整形工程を備える
ケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項22】
請求項20に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法において、
前記樹脂蓋体主要部は、前記再利用樹脂蓋体主要部であり、
前記収容工程に先立ち、
前記周縁上部及び前記蓋本体部のいずれかを、予め定めた形状に整形する樹脂蓋整形工程を備える
ケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型蓄電デバイス及びその製造方法並びにその分解方法、ケース再利用密閉型蓄電デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)等の普及に伴い、リチウムイオン電池等を含む密閉型蓄電デバイスが増加し、これを有効に再資源化する技術の必要性が高まっている。例えば、特許文献1には、使用済みのリチウムイオン電池の再資源化処理方法が開示されている。上記特許文献1の方法は、リチウムイオン電池を所定の条件で放電させた後、リチウムイオン電池を解体して、各種金属材料を回収する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたリチウムイオン電池の再資源化処理方法には、以下のような課題があった。
すなわち、リチウムイオン電池は、一般に、正極及び負極からなる電極体が金属製(例えば、アルミニウム合金製)のケース本体内に収容された状態で、ケース本体の開口部が電極端子を外部に突出した金属製の蓋体によって封口されている。そのため、リチウムイオン電池を解体する際、金属製のケース本体と蓋体とを分離、解体(以下、両者を含めて「分解」とも言う。)させる必要がある。ところが、通常、ケース本体と蓋体とが溶接等によって接合されているので、ケース本体と蓋体とを分解させる方法として、例えば、ケース本体と蓋体との接合部付近をエンドミル等の刃具で切断する方法、又はレーザ光等で溶断する方法が考えられる。しかし、そのいずれの方法でも、ケース本体又は蓋体を切断等する際に微細な金属粉が発生し、この金属粉が電極体に混入して、電極体は、再利用しにくくなるという課題があった。また、切断又は溶断したケース本体や蓋体は、元の状態を維持できないので、その再利用方法も課題であった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイス及びその製造方法、並びにその分解方法、更には、解体したケース本体と蓋体とを利用したケース再利用密閉型蓄電デバイス及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するための本発明の一態様は、電極体と、開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体と、前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持し、前記金属ケース本体の前記開口部を封口する樹脂蓋体と、を備え、前記樹脂蓋体と前記金属ケース本体の前記開口部とは、前記樹脂蓋体の環状の周縁部を介して、全周に亘り気密に結合されてなる密閉型蓄電デバイスである。
【0007】
この密閉型蓄電デバイスでは、樹脂蓋体と金属ケース本体の開口部とが、樹脂蓋体の環状の周縁部を介して、全周に亘り気密に結合されている。そのため、密閉型蓄電デバイスを再利用するため、金属ケース本体と樹脂蓋体とを分解する際には、金属ケース本体から離間した位置で、樹脂枠体の環状の周縁部を周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と樹脂蓋体とを簡単に分離、解体させることができる。また、樹脂蓋体の周縁部を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体が切断又は溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくく、電極体を再利用しやすい。更に、樹脂蓋体の周縁部を切断又は溶融等させても、金属ケース本体と樹脂蓋体の蓋本体部を元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体と樹脂蓋体とを再利用しやすい。
【0008】
よって、本発明によれば、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイスを提供することができる。
【0009】
(2)(1)に記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記樹脂蓋体は、耐熱温度が200℃以上で、溶融温度が前記金属ケース本体及び前記外部接続端子の溶融温度より低い熱可塑性樹脂で形成された密閉型蓄電デバイスが良い。
【0010】
この密閉型蓄電デバイスでは、樹脂蓋体は、耐熱温度が200℃以上であるので、密閉型蓄電デバイスの内部温度が200℃まで上昇しても、ケース内の気密性を確保することができる。また、一般に、密閉型蓄電デバイスは、内部温度が200℃まで上昇する以前に、熱暴走を防止する安全機構が作動するので、密閉型蓄電デバイスの使用状態において、樹脂蓋体が変形又は破損することを回避できる。
【0011】
また、樹脂蓋体は、溶融温度が金属ケース本体及び外部接続端子の溶融温度より低い熱可塑性樹脂で形成されているので、樹脂蓋体を、金属ケース本体及び外部接続端子の溶融温度より低い温度で加熱、溶融した状態で、金属ケース本体と接合した後に、冷却することによって、金属ケース本体を、樹脂蓋体を介して、簡単に、気密に結合させることができる。また、樹脂蓋体は、外部接続端子を型内にインサートして射出成形(インサート成形)することもでき、樹脂蓋体と外部接続端子との結合を、樹脂蓋体の成形と同時に簡単に行うことができる。そのため、より簡単で、安全かつ信頼性の高い密閉型蓄電デバイスを提供できる。
【0012】
(3)(1)又は(2)に記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記金属ケース本体の前記開口部は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する本体側処理面を有し、前記樹脂蓋体の前記周縁部は、全周に亘り、前記本体側処理面に気密に密着してなる密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0013】
この密閉型蓄電デバイスでは、金属ケース本体の開口部は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する本体側処理面を有し、樹脂蓋体の周縁部は、全周に亘り、本体側処理面に気密に密着しているので、金属ケース本体の開口部と樹脂蓋体との結合力を、より一層高めることができる。ここで、本体側処理面には、例えば、樹脂蓋体の周縁部に対する金属ケース本体の開口部の当接面の面積を増大させて主に静的荷重に対する結合力を強化した処理面、上記当接面を複数の方向で形成して主に動的荷重に対する結合力を強化した処理面、及び上記両処理面を複合して静的荷重及び動的荷重に対する結合力を強化した処理面等が含まれる。
【0014】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記樹脂蓋体は、前記金属ケース本体の前記開口部と結合された前記周縁部の本体側樹脂部と、前記外部接続端子を保持する蓋本体部に接続する前記周縁部の蓋側樹脂部と、前記蓋側樹脂部と前記本体側樹脂部との間に位置し、前記蓋側樹脂部と前記本体側樹脂部とを、分離容易とする分離容易化部と、を有する密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0015】
この密閉型蓄電デバイスでは、樹脂蓋体は、上記構成の本体側樹脂部と蓋側樹脂部と分離容易化部と、を有するので、分離容易化部を切断又は溶融等することによって、金属ケース本体と樹脂蓋体とをより一層迅速かつ簡単に分解させることができる。ここで、分離容易化部には、例えば、樹脂基材に熱伝導率の良い黒鉛系の粒子又は炭素系の繊維等を分散配置した溶融容易化部や、外周に凹溝が形成された切り欠き形状部等を含む。
【0016】
また、分解した金属ケース本体には、本体側樹脂部が結合され、分解した樹脂蓋体には、蓋側樹脂部が結合されているので、本体側樹脂部と蓋側樹脂部とを整形して加熱、溶着させ、金属ケース本体と樹脂蓋体とを、本体側樹脂部及び蓋側樹脂部を介して、簡単に再結合させることができる。そのため、金属ケース本体と樹脂蓋体とを有効に再利用することができる。
【0017】
(5)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記樹脂蓋体は、前記金属ケース本体の前記開口部と結合された前記周縁部と、前記外部接続端子を保持する蓋本体部と、前記蓋本体部に対する前記周縁部側の境界部分を含む領域に存在し、前記周縁部と前記蓋本体部とを、分離容易とする分離容易化部と、を有する密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0018】
この密閉型蓄電デバイスでは、樹脂蓋体は、上記構成の周縁部と蓋本体部と分離容易化部と、を有するので、分離容易化部を切断又は溶融等することによって、金属ケース本体と樹脂蓋体とをより一層迅速かつ簡単に分解させることができる。ここで、分離容易化部には、例えば、樹脂基材に熱伝導率の良い黒鉛系の粒子又は炭素系の繊維等を分散配置した溶融容易化部や、外周に凹溝が形成された切り欠き形状部等を含む。なお、分離容易化部は、蓋本体部に対する周縁部側の境界部分のみの領域に存在するものと、蓋本体部に対する周縁部側の境界部分の領域と、周縁部に対する蓋本体部側の境界部分の領域との、両方を合わせた領域に存在するものと、が含まれる。
【0019】
また、分解した金属ケース本体には、周縁部が結合され、分解した樹脂蓋体には、蓋本体部が残存しているので、周縁部と蓋本体部とを整形して加熱、溶着させ、金属ケース本体と樹脂蓋体とを、周縁部及び蓋本体部を介して、簡単に再結合させることができる。そのため、金属ケース本体と樹脂蓋体とを有効に再利用することができる。
【0020】
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記樹脂蓋体の前記周縁部における外周面は、熱光線を吸収し易くした光吸収容易化部を有する密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0021】
この密閉型蓄電デバイスでは、樹脂蓋体の周縁部における外周面は、熱光線を吸収し易くした光吸収容易化部を有するので、樹脂蓋体の周縁部の外方から光吸収容易化部に対して、レーザ光や遠赤外線等の熱光線を照射することによって、樹脂蓋体の周縁部の外周面を迅速に溶融させることができる。また、レーザ光や遠赤外線等の熱光線は、固体より液体の方が高分子の運動が促進されて光吸収性が良くなるため、熱光線によって外周面の光吸収容易化部が先行して溶融されると、樹脂蓋体の周縁部の内部まで速く溶融でき、金属ケース本体と樹脂蓋体との分解をより迅速に行うことができる。ここで、光吸収容易化部には、例えば、微細な凹凸形状部や、黒色系に着色した着色部等を含む。
【0022】
(7)(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記外部接続端子の外周面は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する端子側処理面を有し、前記樹脂蓋体の端子保持孔は、全周に亘り、前記端子側処理面に気密に密着してなる密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0023】
この密閉型蓄電デバイスでは、外部接続端子の外周面は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する端子側処理面を有し、樹脂蓋体の端子保持孔は、全周に亘り、端子側処理面に気密に密着しているので、外部接続端子と樹脂蓋体との結合力を、より一層高めることができる。ここで、端子側処理面には、例えば、樹脂蓋体の端子保持孔に対する外部接続端子の当接面の面積を増大させて主に静的荷重に対する結合力を強化した処理面、上記当接面を複数の方向で形成して主に動的荷重に対する結合力を強化した処理面、及び上記両処理面を複合して静的荷重及び動的荷重に対する結合力を強化した処理面等が含まれる。
【0024】
(8)(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記外部接続端子は、前記電極体の正極集電部に電気的に接続された正極外部接続端子と、前記電極体の負極集電部に電気的に接続された負極外部接続端子と、を備え、前記樹脂蓋体を平面視したとき、前記金属ケース本体の前記開口部の開口範囲に重なる前記樹脂蓋体の樹脂部平面積は、前記正極外部接続端子の端子平面積と、前記負極外部接続端子の端子平面積と、の算術和に比べて、小さく形成してなる密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0025】
この密閉型蓄電デバイスでは、樹脂蓋体を平面視したとき、金属ケース本体の開口部の開口範囲に重なる樹脂蓋体の樹脂部平面積は、正極外部接続端子の端子平面積と、負極外部接続端子の端子平面積と、の算術和に比べて、小さく形成したので、金属ケース本体の開口部の開口範囲における樹脂蓋体の内、外部接続端子が占める平面積が増加し、樹脂蓋体の樹脂部が占める平面積が減少する。また、外部接続端子が占める平面積が増加したことによって、他の密閉型蓄電デバイスの外部接続端子等に接続するバスバー(導体板)の接続スペースを拡大でき、大容量の電流を効率的に供給することができる。また、樹脂蓋体の樹脂部が占める平面積が減少することによって、樹脂蓋体は、強度が向上する。そのため、金属ケース本体の開口部を、より強固に封口することができる。その結果、より利便性が高く、安全かつ信頼性の高い密閉型蓄電デバイスを提供できる。
【0026】
(9)(8)に記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記正極外部接続端子及び前記負極外部接続端子のいずれかは、電解液を注入する注液孔を有する注液孔一体端子である密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0027】
この密閉型蓄電デバイスでは、正極外部接続端子及び負極外部接続端子のいずれかは、電解液を注入する注液孔を有する注液孔一体端子であるので、金属製の注液孔を正極外部接続端子又は負極外部接続端子の一部(例えば、端子接続部以外の空きスペース)に形成することができる。そのため、注液孔における必要な強度を確保しやすく、金属製の注液孔を独自に形成して樹脂蓋体に装着する場合の手間を省くことができる。
【0028】
(10)(8)に記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記正極外部接続端子及び前記負極外部接続端子のいずれかは、安全弁を有する安全弁一体端子である密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0029】
この密閉型蓄電デバイスでは、正極外部接続端子及び負極外部接続端子のいずれかは、安全弁を有する安全弁一体端子であるので、金属製の安全弁を正極外部接続端子又は負極外部接続端子の一部(例えば、端子接続部以外の空きスペース)に形成することができる。そのため、安全弁における必要な強度を確保しやすく、金属製の安全弁を独自に形成して樹脂蓋体に装着する場合の手間を省くことができる。
【0030】
(11)上記課題を解決するための本発明の他の一態様は、電極体と、開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体と、前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持し、前記金属ケース本体の前記開口部を封口する樹脂蓋体と、を備え、前記樹脂蓋体と前記金属ケース本体の前記開口部とは、前記樹脂蓋体の環状の周縁部を介して、全周に亘り気密に結合されてなる密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、前記開口部を通じて前記金属ケース本体内に、前記電極体を収容する収容工程と、前記樹脂蓋体によって前記開口部を封口する封口工程と、を備える密閉型蓄電デバイスの製造方法である。
【0031】
この密閉型蓄電デバイスの製造方法では、開口部を通じて金属ケース本体内に、電極体を収容する収容工程と、樹脂蓋体によって開口部を封口する封口工程と、を備えるので、電極体を内部に収容した金属ケース本体と外部接続端子を保持する樹脂蓋体とが、樹脂蓋体の環状の周縁部を介して、気密に結合したコンパクトで安全性の高い密閉型蓄電デバイスを簡単に製造することができる。
【0032】
また、密閉型蓄電デバイスを分解する際には、樹脂蓋体の環状の周縁部を、金属ケース本体から離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と樹脂蓋体とを簡単に分離、解体させることができる。また、樹脂蓋体の周縁部を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体が切断又は溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくく、電極体を再利用しやすい。更に、樹脂蓋体の周縁部を切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と、少なくとも外部接続端子を保持する蓋本体部が残存する樹脂蓋体主要部と、を元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体と樹脂蓋体とを再利用しやすい。
【0033】
よって、他の態様に係る本発明によれば、密閉型蓄電デバイスを簡単に製造することができると共に、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイスの製造方法を提供することができる。
【0034】
(12)(11)に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、前記封口工程は、前記樹脂蓋体の前記周縁部を、前記金属ケース本体の前記開口部に直接、気密に結合する開口部結合工程である密閉型蓄電デバイスの製造方法でも良い。
【0035】
この密閉型蓄電デバイスの製造方法では、封口工程は、樹脂蓋体の周縁部を、金属ケース本体の開口部に直接、気密に結合する開口部結合工程であるので、樹脂蓋体の周縁部を、そのままの形状で結合すれば良く、製造前の準備作業を軽減又は不要にでき、作業の簡素化を図ることができる。
【0036】
(13)(11)に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、前記封口工程は、前記樹脂蓋体の前記周縁部における周縁上部と、予め前記金属ケース本体の前記開口部に気密に結合させた前記周縁部における周縁下部とを、気密に結合して前記周縁部を形成する周縁部形成工程である密閉型蓄電デバイスの製造方法でも良い。
【0037】
この密閉型蓄電デバイスの製造方法では、封口工程は、上記構成の周縁上部と周縁下部とを、気密に結合して周縁部を形成する周縁部形成工程であるので、互いに樹脂からなる周縁上部と周縁下部とを結合する同材質結合であり、樹脂と金属とを結合する異材質結合の場合に比べて、周縁上部と周縁下部とを、より安定して気密に結合することができる。また、周縁下部は、例えば、型内に金属ケース本体の開口部をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属ケース本体の開口部に確実に気密に結合させることができる。そのため、より安全性の高い密閉型蓄電デバイスを簡単に製造することができる。
【0038】
(14)(11)に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、前記封口工程は、前記樹脂蓋体の前記外部接続端子を保持する蓋本体部と、予め前記金属ケース本体の前記開口部に気密に結合させた前記樹脂蓋体の前記周縁部と、を気密に結合する周縁部結合工程である密閉型蓄電デバイスの製造方法でも良い。
【0039】
この密閉型蓄電デバイスの製造方法では、封口工程は、上記構成の蓋本体部と周縁部と、を気密に結合する周縁部結合工程であるので、互いに樹脂からなる蓋本体部と周縁部とを結合する同材質結合であり、樹脂と金属とを結合する異材質結合の場合に比べて、蓋本体部と周縁部とを、より安定して気密に結合することができる。また、周縁部は、例えば、型内に金属ケース本体の開口部をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属ケース本体の開口部に確実に気密に結合させることができる。そのため、より安全性の高い密閉型蓄電デバイスを簡単に製造することができる。
【0040】
(15)上記課題を解決するための本発明の更なる他の一態様は、(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、樹脂蓋体を、前記金属ケース本体の前記開口部に気密に結合する前記周縁部における周縁下部及び前記周縁部全体のいずれかと、少なくとも前記外部接続端子を保持する蓋本体部が残存する樹脂蓋体主要部と、に分割する分割工程と、前記開口部を通じて前記金属ケース本体内に収容された前記電極体を取り出す取出工程と、を備える密閉型蓄電デバイスの分解方法である。
【0041】
この密閉型蓄電デバイスの分解方法では、樹脂蓋体を、上記構成の周縁下部及び周縁部全体のいずれかと、樹脂蓋体主要部と、に分割する分割工程を備えるので、樹脂蓋体の周縁部の一部(蓋本体部に対する周縁部の分離部を含む)を、金属ケース本体から離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と樹脂蓋体主要部とを簡単に分離、解体させることができる。また、金属ケース本体から離間した位置で、樹脂蓋体の周縁部の一部を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体が切断又は溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくい。更に、樹脂蓋体の周縁部の一部を切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と樹脂蓋体主要部とを元の状態に維持できる。
【0042】
また、開口部を通じて金属ケース本体内に収容された電極体を取り出す取出工程を備えるので、電極体は、樹脂蓋体主要部に保持された状態で、金属ケース本体内から取り出され、樹脂蓋体主要部から簡単に分離できる。そのため、金属ケース本体と樹脂蓋体と電極体とを、再利用しやすい状態で分解できる。
【0043】
よって、更なる他の態様に係る本発明によれば、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイスの分解方法を提供することができる。
【0044】
(16)(15)に記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、分割工程は、前記樹脂蓋体の周縁部のうち、前記金属ケース本体から離間した溶融分離部を、溶融させつつ、又は溶融させた後に、前記樹脂蓋体主要部と前記金属ケース本体とを離間方向に相対移動させて分割する溶融分割工程である密閉型蓄電デバイスの分解方法でも良い。
【0045】
この密閉型蓄電デバイスの分解方法では、分割工程は、上記構成の溶融分離部を、溶融させつつ、又は溶融させた後に、樹脂蓋体主要部と金属ケース本体とを離間方向に相対移動させて分割する溶融分割工程であるので、樹脂蓋体の溶融分離部を溶融温度に加熱することによって、周縁下部又は周縁部全体が結合された金属ケース本体と、少なくとも蓋本体部が残存する樹脂蓋体主要部とに、簡単に分解できる。また、溶融分離部を溶融させる際には、金属ケース本体が溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくい。更に、溶融分離部を溶融させることによって、金属ケース本体と樹脂蓋体主要部とを元の状態に維持できる。なお、溶融分離部を溶融温度に加熱する方法は、溶融分離部に加熱した薄板状の熱刃を押圧する方法、又はレーザ光等を照射させる方法が好ましい。
【0046】
(17)(15)に記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、前記分割工程は、前記樹脂蓋体の前記周縁部のうち、前記金属ケース本体から離間した切断分離部を全周に亘って切断して分割する切断分割工程である密閉型蓄電デバイスの分解方法でも良い。
【0047】
この密閉型蓄電デバイスの分解方法では、分割工程は、上記構成の切断分離部を全周に亘って切断して分割する切断分割工程であるので、樹脂蓋体の切断分離部を切断することによって、周縁下部又は周縁部全体が結合された金属ケース本体と、少なくとも蓋本体部が残存する樹脂蓋体主要部とに、簡単に分解できる。また、切断分離部を切断する際には、金属ケース本体が溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくい。更に、切断分離部を切断することによって、金属ケース本体と樹脂蓋体主要部とを元の状態に維持できる。なお、樹脂蓋体の切断分離部を切断する方法は、切断分離部に鋸刃状の切削刃又はドリル状のエンドミル等を食い込ませて切断する方法等が好ましい。
【0048】
(18)上記課題を解決するための本発明の更なる他の一態様は、電極体と、開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体であって、前記開口部の全周に亘り環状の周縁部における周縁下部が結合した樹脂枠付き金属ケース本体と、前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持した樹脂蓋体のうち、前記外部接続端子を保持する蓋本体部に接続する前記周縁部における周縁上部を有して、前記樹脂枠付き金属ケース本体の開口部を封口する樹脂蓋体主要部と、を備え、前記樹脂枠付き金属ケース本体の前記開口部と前記樹脂蓋体主要部とは、前記周縁上部と前記周縁下部とが結合した環状の複合周縁部を介して、全周に亘り気密に結合されてなるケース再利用密閉型蓄電デバイスであって、前記樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体である、及び、前記樹脂蓋体主要部は、再利用樹脂蓋体主要部である、の少なくともいずれかであるケース再利用密閉型蓄電デバイスである。
【0049】
ここで、上記の「再利用樹脂枠付き金属ケース本体」及び「再利用樹脂蓋体主要部」としては、金属ケース本体と樹脂蓋体とを備え、金属ケース本体の開口部と樹脂蓋体の環状の周縁部とが、全周に亘り気密に結合された、製造済みの密閉型蓄電デバイスの樹脂蓋体の周縁部を、金属ケース本体の開口部に結合する周縁部における環状の周縁下部と、樹脂蓋体の周縁部における環状の周縁上部とに分割して得たものが挙げられる。また、「再利用樹脂枠付き金属ケース本体」及び「再利用樹脂蓋体主要部」としては、製造済みの上述のケース再利用密閉型蓄電デバイスの複合周縁部を、金属ケース本体の開口部に結合する周縁部における環状の周縁下部と、樹脂蓋体の周縁部における環状の周縁上部とに分割して得たものが挙げられる。
【0050】
このケース再利用密閉型蓄電デバイスでは、開口部の全周に亘り環状の周縁部における周縁下部が結合した樹脂枠付き金属ケース本体と、電極体に電気的に接続された外部接続端子と、外部接続端子及び当該外部接続端子を介して電極体を保持した樹脂蓋体であって、外部接続端子を保持する蓋本体部に接続する周縁部における周縁上部が残存して、樹脂枠付き金属ケース本体の開口部を封口する樹脂蓋体主要部と、を備えている。樹脂枠付き金属ケース本体の開口部と樹脂蓋体主要部とは、周縁上部と周縁下部とが結合した環状の複合周縁部を介して、全周に亘り気密に結合されている。また、樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体である、及び、樹脂蓋体主要部は、再利用樹脂蓋体主要部である、の少なくともいずれかであるので、製造済みの密閉型蓄電デバイスの環状の周縁部又は製造済みのケース再利用密閉型蓄電デバイスの環状の複合周縁部を、分割して得た再利用樹脂枠付き金属ケース本体及び/又は再利用樹脂蓋体主要部を、有効に活用することができる。
【0051】
また、本ケース再利用密閉型蓄電デバイスでは、樹脂枠付き金属ケース本体の開口部に結合された周縁部における周縁下部と、樹脂蓋体主要部の蓋本体部に接続された周縁部における周縁上部とは、周縁下部と周縁上部とが結合した環状の複合周縁部を介して、全周に亘り気密に結合されている。そのため、金属ケース本体と樹脂蓋体とを再度分解する際には、環状の複合周縁部を周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と樹脂蓋体とを簡単に分離、解体させることができる。また、複合周縁部を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体が切断又は溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくく、電極体を再利用しやすい。更に、複合周縁部を切断又は溶融等させても、金属ケース本体と樹脂蓋体主要部とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体と樹脂蓋体主要部とを再利用しやすい。
【0052】
よって、更なる他の態様に係る本発明によれば、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易なケース再利用密閉型蓄電デバイスを提供することができる。
【0053】
(19)上記課題を解決するための本発明の更なる他の一態様は、電極体と、開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体であって、前記開口部の全周に亘り環状の周縁部が結合した樹脂枠付き金属ケース本体と、前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持した樹脂蓋体のうち、前記外部接続端子を保持する蓋本体部を有して、前記樹脂枠付き金属ケース本体の開口部を封口する樹脂蓋体主要部と、を備え、前記樹脂枠付き金属ケース本体の前記開口部と前記樹脂蓋体主要部とは、前記蓋本体部と前記周縁部とが全周に亘り気密に結合されてなるケース再利用密閉型蓄電デバイスであって、前記樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体である、及び、前記樹脂蓋体主要部は、再利用樹脂蓋体主要部である、の少なくともいずれかであるケース再利用密閉型蓄電デバイスである。
【0054】
ここで、上記の「再利用樹脂枠付き金属ケース本体」及び「再利用樹脂蓋体主要部」としては、金属ケース本体と樹脂蓋体とを備え、金属ケース本体の開口部と樹脂蓋体の環状の周縁部とが、全周に亘り気密に結合された、製造済みの密閉型蓄電デバイスの樹脂蓋体を、金属ケース本体の開口部に結合する環状の周縁部と、樹脂蓋体の外部接続端子を保持する蓋本体部とに分割して得たものが挙げられる。また、「再利用樹脂枠付き金属ケース本体」及び「再利用樹脂蓋体主要部」としては、製造済みの上述のケース再利用密閉型蓄電デバイスの樹脂蓋体を、樹脂枠付き金属ケース本体の開口部に結合する環状の周縁部と、樹脂蓋体主要部の外部接続端子を保持する蓋本体部とに分割して得たものが挙げられる。
【0055】
このケース再利用密閉型蓄電デバイスでは、開口部の全周に亘り環状の周縁部が結合した樹脂枠付き金属ケース本体と、電極体に電気的に接続された外部接続端子と、外部接続端子及び当該外部接続端子を介して電極体を保持した樹脂蓋体であって、外部接続端子を保持する蓋本体部が残存して、樹脂枠付き金属ケース本体の開口部を封口する樹脂蓋体主要部と、を備えている。樹脂枠付き金属ケース本体の開口部と樹脂蓋体主要部とは、蓋本体部と周縁部とが全周に亘り気密に結合されている。また、樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体である、及び、樹脂蓋体主要部は、再利用樹脂蓋体主要部である、の少なくともいずれかであるので、製造済みの密閉型蓄電デバイス又は製造済みのケース再利用密閉型蓄電デバイスを、樹脂蓋体の蓋本体部に対する周縁部の境界部で分割して得た再利用樹脂枠付き金属ケース本体及び/又は再利用樹脂蓋体主要部を、有効に活用することができる。
【0056】
また、本ケース再利用密閉型蓄電デバイスでは、樹脂枠付き金属ケース本体の開口部に結合された周縁部と、樹脂蓋体主要部の蓋本体部とは、全周に亘り気密に結合されている。そのため、金属ケース本体と樹脂蓋体とを再度分解する際には、樹脂蓋体の蓋本体部に対する周縁部の境界部を周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と樹脂蓋体とを簡単に分離、解体させることができる。また、樹脂蓋体の蓋本体部に対する周縁部の境界部を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体が切断又は溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくく、電極体を再利用しやすい。更に、樹脂蓋体の蓋本体部に対する周縁部の境界部を切断又は溶融等させても、金属ケース本体と樹脂蓋体主要部とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体と樹脂蓋体主要部とを再利用しやすい。
【0057】
よって、更なる他の態様に係る本発明によれば、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易なケース再利用密閉型蓄電デバイスを提供することができる。
【0058】
(20)上記課題を解決するための本発明の更なる他の一態様は、(18)又は(19)に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、前記開口部を通じて、前記金属ケース本体内に、前記電極体を収容する収容工程と、前記樹脂枠付き金属ケース本体と前記樹脂蓋体主要部とを気密に結合して、前記開口部を気密に封口する封口工程と、を備えるケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法である。
【0059】
このケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法では、開口部を通じて、金属ケース本体内に、電極体を収容する収容工程と、樹脂枠付き金属ケース本体と樹脂蓋体主要部とを気密に結合して、開口部を気密に封口する封口工程と、を備えるので、電極体を内部に収容した金属ケース本体と外部接続端子を保持する樹脂蓋体とが、気密に結合したケース再利用密閉型蓄電デバイスを簡単に製造することができる。
【0060】
また、ケース再利用密閉型蓄電デバイスを再度分解する際には、樹脂枠付き金属ケース本体と樹脂蓋体主要部とを、例えば、樹脂蓋体の環状の周縁部における周縁上部と周縁下部との境界部又は蓋本体部に対する周縁部の境界部で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と樹脂蓋体とを、再度、簡単に分離、解体させることができる。また、上記境界部を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体が切断又は溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくく、電極体を再利用しやすい。更に、上記境界部を切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と樹脂蓋体主要部とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体と樹脂蓋体とを再利用しやすい。
【0061】
よって、更なる他の態様に係る本発明によれば、ケース再利用密閉型蓄電デバイスを簡単に製造することができると共に、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易なケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を提供することができる。
【0062】
(21)(20)に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法において、前記樹脂枠付き金属ケース本体は、前記再利用樹脂枠付き金属ケース本体であり、前記収容工程に先立ち、前記金属ケース本体の前記開口部に結合した前記周縁下部及び前記周縁部のいずれかを、予め定めた形状に整形する樹脂枠整形工程を備えるケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法でも良い。
【0063】
このケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法では、樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体であり、収容工程に先立ち、金属ケース本体の開口部に結合した周縁下部及び周縁部のいずれかを、予め定めた形状に整形する樹脂枠整形工程を備えるので、密閉型蓄電デバイス又はケース再利用密閉型蓄電デバイスを再利用するため、金属ケース本体の開口部に結合した周縁部における周縁上部と周縁下部との境界部、及び、蓋本体部に対する周縁部の境界部のいずれかを、周方向に沿って切断又は溶融等させたときに、周縁上部から分離された周縁下部に生じる凹凸形状を、又は、蓋本体部から分離された周縁部に生じる凹凸形状を、正規の形状に整形することができる。そのため、封口工程において、正規の形状に整形した周縁下部と周縁上部とを精度良く結合でき、又は、正規の形状に整形した周縁部と蓋本体部とを精度良く結合できる。その結果、金属ケース本体の開口部を樹脂蓋体によって、より一層気密に封口することができる。
【0064】
(22)(20)又は(21)に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法において、前記樹脂蓋体主要部は、前記再利用樹脂蓋体主要部であり、前記収容工程に先立ち、前記周縁上部及び前記蓋本体部のいずれかを、予め定めた形状に整形する樹脂蓋整形工程を備えるケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法でも良い。
【0065】
このケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法では、樹脂蓋体主要部は、再利用樹脂蓋体主要部であり、収容工程に先立ち、周縁上部及び蓋本体部のいずれかを、予め定めた形状に整形する樹脂蓋整形工程を備えるので、密閉型蓄電デバイス又はケース再利用密閉型蓄電デバイスを再利用するため、金属ケース本体の開口部に結合した周縁部における周縁上部と周縁下部との境界部、及び、蓋本体部に対する周縁部の境界部のいずれかを、周方向に沿って切断又は溶融等させたときに、周縁下部から分離された周縁上部に生じる凹凸形状を、又は、周縁部から分離された蓋本体部に生じる凹凸形状を、正規の形状に整形することができる。そのため、封口工程において、正規の形状に整形した周縁上部と周縁下部とを精度よく結合でき、又は、正規の形状に整形した蓋本体部と周縁部とを精度良く結合できる。その結果、金属ケース本体の開口部を樹脂蓋体によって、より一層気密に封口することができる。
【発明の効果】
【0066】
本発明によれば、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイス及びその製造方法、並びにその分解方法、更には、解体したケース本体と蓋体とを利用したケース再利用密閉型蓄電デバイス及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】本実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの一態様及びケース再利用密閉型蓄電デバイスの一態様の斜視図である。
【
図2】
図1に示す密閉型蓄電デバイス及びケース再利用密閉型蓄電デバイスの分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
【
図4】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの他の態様におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
【
図5】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様1におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
【
図6A】
図5に示すC部における変形例1の拡大断面図である。
【
図6B】
図5に示すC部における変形例2の拡大断面図である。
【
図7A】
図5に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様1における樹脂との接合力を強化する処理面(本体側処理面、端子側処理面)の一例の施工方法を表す模式的断面図である。
【
図7B】
図7Aに示す施工方法で形成した処理面(本体側処理面、端子側処理面)に樹脂蓋体を結合した状態の模式的断面図である。
【
図8A】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様2におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
【
図8B】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様2の他の態様におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
【
図9A】
図8Aに示す密閉型蓄電デバイスの変形例1におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
【
図9B】
図8Bに示す密閉型蓄電デバイスの変形例1におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
【
図10A】
図9Aに示すD部における更なる変形例2の拡大断面図である。
【
図10B】
図9Aに示すD部における更なる変形例3の拡大断面図である。
【
図11】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様3の斜視図である。
【
図12】
図11に示す密閉型蓄電デバイスのG-G部分断面図(H-H部分断面図)である。
【
図13A】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す基本タイプの工程図である。
【
図13B】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例1の工程図である。
【
図13C】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例2の工程図である。
【
図13D】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例3の工程図である。
【
図15】
図13Cに示す封口工程(周縁部形成工程)に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図である。
【
図16】
図13Dに示す封口工程(周縁部結合工程)に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図である。
【
図17A】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す基本タイプの工程図である。
【
図17B】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す変形例1の工程図である。
【
図17C】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す変形例2の工程図である。
【
図18】
図1に示す密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図(B-B部分断面図)であって、
図17A~
図17Cに示す分解方法で分解する以前の断面図である。
【
図19】
図1に示す密閉型蓄電デバイスの他の態様のA-A部分断面図(B-B部分断面図)であって、
図17A~
図17Cに示す分解方法で分解する以前の断面図である。
【
図20】
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
【
図21】
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの変形態様1のA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
【
図22A】
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す基本タイプの工程図である。
【
図22B】
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例1の工程図である。
【
図22C】
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例2の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
<本実施形態に係る密閉型蓄電デバイス>
次に、本発明の実施形態に係る密閉型蓄電デバイス10の一態様について、
図1~
図4を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの一態様の斜視図を示す。
図2に、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解斜視図を示す。
図3に、
図1に示す密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。
図4に、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの他の態様におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。以下の説明では、説明の便宜上、
図2に示す矢印の方向によって密閉型蓄電デバイスの方向を説明することがある。具体的には、矢印Uは上方を示し、矢印Dは下方を示し、矢印Rは右方を示し、矢印Lは左方を示し、矢印Fは前方を示し、矢印Rrは後方を示す。ただし、上記矢印の方向は、密閉型蓄電デバイスの設置態様等を限定するものではない。
【0069】
本実施形態に係る密閉型蓄電デバイス10、10Bの一態様は、
図1~
図4に示すように、電極体1と、開口部21を有し、電極体1を収容する有底筒状の金属ケース本体2と、を備えている。ここで、密閉型蓄電デバイス10、10Bは、密閉されたケース内に電極体1が収容され、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス全般を意味し、例えば、一次電池、二次電池、電気二重層キャパシタ等を含むものである。電極体1は、図示しない正極シートと負極シートとがセパレータシートを挟んで偏平に巻回されたもので構成されているが、これに限らず、例えば、正極シートと負極シートとがセパレータシートを挟んで交互に積層したものでも良い。また、金属ケース本体2は、例えば、アルミニウム製又はアルミニウム合金製で偏平な直方体状の容器として形成されているが、アルミニウム等以外の金属で形成しても良い。
【0070】
また、本密閉型蓄電デバイス10、10Bは、電極体1に電気的に接続された外部接続端子3と、外部接続端子3及び当該外部接続端子3を介して電極体1を保持し、金属ケース本体2の開口部21を封口する樹脂蓋体4、4Bと、を備えている。ここで、外部接続端子3は、電極体1の正極シートにおける正極集電部11と接続された正極外部接続端子3Aと、電極体1の負極シートにおける負極集電部12と接続された負極外部接続端子3Bとから構成されている。
【0071】
また、正極外部接続端子3A及び負極外部接続端子3Bには、それぞれ金属ケース本体2内で電極体1と接続される内部端子32と、上端部が樹脂蓋体4、4Bの外部へ突出した外部端子34とを備えている。外部端子34の上端部は、樹脂蓋体4、4Bの端子保持孔42より外周側へ拡張形成されている。外部端子34の下端部は、図示しないネジ等を介して内部端子32の上端部31と結合されている。内部端子32と外部端子34との結合構造は、特に限定されるものではなく、例えば、超音波接合や摩擦圧接等による結合構造でも良い。
【0072】
また、樹脂蓋体4、4Bは、樹脂製であって、外部接続端子3(正極外部接続端子3A、負極外部接続端子3B)を保持する蓋本体部40と、蓋本体部40の外周側で蓋本体部40に接続する環状の周縁部41、41Bを備えている。環状の周縁部41、41Bには、例えば、
図3に示すように、蓋本体部40の下面401から下方(金属ケース本体2側)へ突出して環状に形成された周縁部41、又は、
図4に示すように、蓋本体部40の下面401に形成された凹溝43Mを挟み、蓋本体部40の下面401から下方へ突出せずに環状に形成された周縁部41Bが、含まれる。なお、ここでは、凹溝43Mは、金属ケース本体2の開口部21の内壁面211の延長上に、所定の幅、深さで環状に形成されている。
【0073】
また、樹脂蓋体4、4Bの蓋本体部40における左右方向の両端部近傍には、正極外部接続端子3Aと負極外部接続端子3Bとを保持する端子保持孔42が形成されている。正極外部接続端子3Aは、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、負極外部接続端子3Bは、例えば、銅又は銅合金で形成されている。また、樹脂蓋体4、4Bの端子保持孔42は、矩形状に形成され、外部端子34の外周面33を嵌合可能に形成されている。また、樹脂蓋体4、4Bには、公知の安全弁43と電解液を注入する注液孔44とが形成されている。注液孔44は、図示しない栓部材によって封止されている。安全弁43は、熱暴走等に対する安全機構として機能する。なお、安全弁43及び注液孔44は、樹脂蓋体4、4Bとは別に金属で形成しても良い。
【0074】
ここでは、樹脂蓋体4、4Bは、外部接続端子3である正極外部接続端子3A及び負極外部接続端子3Bを直接保持しているが、図示しない絶縁部材を介して保持しても良い。この場合、正極外部接続端子3Aと負極外部接続端子3Bとの間で発生する電気的短絡を、絶縁部材によって、より確実に回避できる。なお、絶縁部材は、その溶融温度が樹脂蓋体4、4Bの溶融温度より高いものが望ましい。後述するように、密閉型蓄電デバイス10、10Bを分解する際、樹脂蓋体4、4Bの周縁部41、41Bを加熱溶融する場合に、樹脂蓋体4、4Bが外部接続端子3を保持している状態でも、外部接続端子3の脱落や位置ズレ等を防止できるからである。
【0075】
また、本密閉型蓄電デバイス10、10Bでは、金属ケース本体2の開口部21と樹脂蓋体4、4Bの環状の周縁部41、41Bとは、全周に亘り気密に結合されている。ここで、金属ケース本体2の開口部21と樹脂蓋体4、4Bの周縁部41、41Bとの結合構造は、特に限定しない。例えば、接着剤を介して結合しても良いし、機械的な嵌合構造を介して結合しても良い。また、樹脂蓋体4、4Bの周縁部41、41Bは、金属ケース本体2の開口部21に結合した状態で、環状に形成されていれば良い。例えば、別々に分割された周縁部(例えば、
図15、
図18に示す周縁下部41Kと周縁上部41S)を用いて、金属ケース本体2の開口部21と樹脂蓋体4、4Bとを気密に結合しても良い。また、樹脂蓋体4、4Bは、複数の同一種類の樹脂又は異なる種類の樹脂が積層されたものでも良い。なお、
図3、
図4では、金属ケース本体2の開口部21の結合面21Tの形状と、樹脂蓋体4、4Bの周縁部41、41Bの結合面41Tの形状は、それぞれ平坦面に形成されているが、後述するように、平坦面に限定する必要はない。
【0076】
上述した密閉型蓄電デバイス10、10Bでは、金属ケース本体2の開口部21と樹脂蓋体4、4Bの周縁部41、41Bとが、全周に亘り気密に結合されている。そのため、使用済の密閉型蓄電デバイス10、10Bを再利用するため、金属ケース本体2と樹脂蓋体4、4Bとを分解する際には、金属ケース本体2から離間した位置で、樹脂蓋体4、4Bの周縁部41、41Bを周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と樹脂蓋体4とを簡単に分離、解体させることができる。
【0077】
また、樹脂蓋体4、4Bの周縁部41、41Bを切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体2が切断又は溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくく、電極体1を再利用しやすい。更に、樹脂蓋体4、4Bの周縁部41、41Bを切断又は溶融等させても、金属ケース本体2と樹脂蓋体4、4Bの蓋本体部40を元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体2と樹脂蓋体4、4Bとを再利用しやすい。
【0078】
よって、本実施形態の密閉型蓄電デバイス10、10Bによれば、金属製のケース本体2と蓋体4、4Bとの分解が簡単にでき、その分解の際に電極体1に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体2と蓋体4、4Bと電極体1の再利用が容易な密閉型蓄電デバイス10、10Bを提供することができる。
【0079】
また、本密閉型蓄電デバイス10、10Bにおいては、樹脂蓋体4、4Bは、耐熱温度が200℃以上で、溶融温度が金属ケース本体2及び外部接続端子3の溶融温度より低い熱可塑性樹脂で形成されたことが好ましい。ここで、「耐熱温度」とは、連続的に使用できる最高温度を意味する。
【0080】
この場合、樹脂蓋体4、4Bは、耐熱温度が200℃以上であるので、密閉型蓄電デバイス10、10Bの内部温度が200℃まで上昇しても、ケース内の気密性を確保することができる。また、一般に、密閉型蓄電デバイスは、内部温度が200℃まで上昇する以前に、熱暴走を防止する安全機構(例えば、安全弁43等)が作動するので、樹脂蓋体4、4Bの耐熱温度が200℃以上であれば、本密閉型蓄電デバイス10、10Bの使用状態において、樹脂蓋体4、4Bが変形又は破損することを回避できる。
【0081】
また、樹脂蓋体4、4Bは、溶融温度が金属ケース本体2及び外部接続端子3の溶融温度より低い熱可塑性樹脂で形成されているので、樹脂蓋体4、4Bを、金属ケース本体2及び外部接続端子3の溶融温度より低い温度で加熱、溶融した状態で、金属ケース本体2の開口部21と接合した後に、冷却することによって、金属ケース本体2及び外部接続端子3の熱変形を最小限に抑えつつ、金属ケース本体2と樹脂蓋体4、4Bとを、精度良く、気密に結合させることができる。また、樹脂蓋体4、4Bは、外部接続端子3を型内にインサートして射出成形(インサート成形)することもでき、樹脂蓋体4、4Bと外部接続端子3との結合を、樹脂蓋体4、4Bの成形と同時に簡単に行うことができる。そのため、より精度良く、安全かつ信頼性の高い密閉型蓄電デバイス10、10Bを、低コストで提供できる。
【0082】
より具体的には、樹脂蓋体4、4Bは、耐熱性、耐薬品性、絶縁性、耐久性、寸法安定性等に優れた結晶性樹脂で形成することが好ましく、例えば、ポリアリーレンサルファイド(PAS:Poly Arylene Sulfide)樹脂の代表例であるポリフェニレンサルファイド(PPS:Poly Phenylene Sulfide)樹脂を用いることができる。結晶性樹脂であるPPS樹脂は、耐熱温度が220~240℃であり、溶融温度が280~290℃であって、当該溶融温度が金属ケース本体2や正極外部接続端子3Aに用いる金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金)の溶融温度(500~600℃程度)及び負極外部接続端子3Bに用いる金属(例えば、銅又は銅合金)の溶融温度(1000~1100℃程度)より低い熱可塑性樹脂である。
【0083】
また、PPS樹脂は、ガラス繊維等の強化繊維を含有させることによって、耐衝撃性をも向上させることができる。そのため、自動車等の移動体に使用する密閉型蓄電デバイス10、10Bでは、走行時における路面からの振動や衝突事故等に対する耐久性、安全性を高めるため、樹脂蓋体4,4Bをガラス繊維等の強化繊維を含有させたPPS樹脂によって形成すると良い。なお、蓋本体部40を強化繊維を含有させたPPS樹脂によって形成し、周縁部41、41Bを複雑な形状でも溶融成形ができるフッ素系樹脂であるPFA樹脂(パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)とテトラフルオロエチレン(TFE)との2元共重合体)によって形成しても良い。PFA樹脂は、耐熱温度が260℃程度であり、溶融温度が280~320℃程度である。
【0084】
<本密閉型蓄電デバイスの変形態様1>
上述した本密閉型蓄電デバイス10、10Bは、発明の要旨を変更しない範囲で、各種の変形態様に変化させることができる。以下に、本密閉型蓄電デバイス10を代表例にして、その変形態様1について、
図5~
図7Bを参照しながら説明する。
図5に、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様1におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。
図6Aに、
図5に示すC部における変形例1の拡大断面図を示す。
図6Bに、
図5に示すC部における変形例2の拡大断面図を示す。
図7Aに、
図5に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様1における樹脂との接合力を強化する処理面(本体側処理面、端子側処理面)の一例の施工方法を表す模式的断面図を示す。
図7Bに、
図7Aに示す施工方法で形成した処理面(本体側処理面、端子側処理面)に樹脂蓋体を結合した状態の模式的断面図を示す。
【0085】
変形態様1の密閉型蓄電デバイス10Cでは、
図5~
図7Bに示すように、金属ケース本体2の開口部21は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する本体側処理面21Kを有し、樹脂蓋体4Cの周縁部41Cは、全周に亘り、本体側処理面21Kに気密に密着している。この本体側処理面21Kには、例えば、樹脂蓋体4Cの周縁部41Cに対する金属ケース本体2の開口部21の当接面の面積を増大させて主に静的荷重に対する結合力を強化した処理面、上記当接面を複数の方向で形成して主に動的荷重に対する結合力を強化した処理面、及び上記両処理面を複合して静的荷重及び動的荷重に対する結合力を強化した処理面等が含まれる。
【0086】
この密閉型蓄電デバイス10Cでは、金属ケース本体2の開口部21は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する本体側処理面21Kを有し、樹脂蓋体4Cの周縁部41Cは、全周に亘り、本体側処理面21Kに気密に密着しているので、金属ケース本体2の開口部21と樹脂蓋体4Cとの結合力を、より一層高めることができる。ここで、本体側処理面21Kには、例えば、樹脂蓋体4Cの周縁部41Cに対する金属ケース本体2の開口部21の当接面における面積を拡大させて接合力を強化した面積拡大処理面21K1と、上記当接面において係合効果を有する凹凸形状を形成して結合力を強化した凹凸形状処理面21K2とが含まれ、上記両処理面を複合的に形成しても良い。
【0087】
例えば、
図5に示すように、変形態様1の密閉型蓄電デバイス10Cの本体側処理面21Kは、樹脂蓋体4Cの周縁部41Cとの当接面における金属ケース本体2の開口部21の断面形状を、階段状に形成して、樹脂蓋体4Cの周縁部41Cに対する金属ケース本体2の開口部21の当接面における平坦面の面積を拡大させて、接合力を強化した面積拡大処理面21K1である。この場合、単位面積当たりの接合力は変わらないが、全体としての接合力を増大できる。また、上記面積拡大処理面21K1の全体に、係合効果を有する微細な凹凸形状を形成して接合力を強化した凹凸形状処理面21K2を形成しても良い。この場合、単位面積当たりの接合力も増加して、全体としての接合力をより一層増大できる。なお、ここでは、面積拡大処理面21K1として、金属ケース本体2の開口部21の断面形状を、階段状に形成した例を示したが、これに限定されるものではない。
【0088】
また、
図6Aに示すように、変形態様1の密閉型蓄電デバイス10Cの本体側処理面21Kは、樹脂蓋体4Cの周縁部41Cとの当接面における金属ケース本体2の開口部21の断面形状を、階段状に形成して、複数の平坦面を有する面積拡大処理面21K1と、平坦面の一部に係合効果を有する微細な凹凸形状を形成して結合力を強化した凹凸形状処理面21K2と、を複合的に形成した変形例1でも良い。この場合、面積拡大処理面21K1と凹凸形状処理面21K2がそれぞれの役割を果たしながら協働して、静的荷重と動的荷重の両方に対して、有効に作用することができる。例えば、密閉型蓄電デバイス10Cに対して、衝撃的な動的荷重が作用した場合でも、主に面積拡大処理面21K1がその動的荷重を受け止めることによって、凹凸形状処理面21K2の微細な凹凸形状の損傷、破壊を抑制できる。特に、後述する本体側処理面21Kにおけるナノメートルオーダの樹林状の超微細な凹凸形状JR(
図7A、
図7B参照)は、衝撃荷重に対して損傷しやすく、これを保護する上で、有効である。
【0089】
また、
図6Bに示すように、変形態様1の密閉型蓄電デバイス10Cの本体側処理面21Kは、樹脂蓋体4Cの周縁部41Cとの当接面における金属ケース本体2の開口部21の断面形状を、先端側より基端側を幅広くした台形溝21Mを隙間を空けて複数形成した面積拡大処理面21K1と、台形溝21Mの先端側に連接する平坦面に係合効果を有する微細な凹凸形状を形成して結合力を強化した凹凸形状処理面21K2と、を複合的に形成した変形例2でも良い。この場合、特に、ケース内の圧力が上昇して、金属ケース本体2の開口部21から樹脂蓋体4Cを引き剥がす方向の荷重が作用した場合にも、台形溝21Mに形成した面積拡大処理面21K1の傾斜面が、上記荷重に対して有効に抵抗して、金属ケース本体2の開口部21と樹脂蓋体4Cとの分離を回避することができる。
【0090】
なお、
図6Bでは、台形溝21Mを金属ケース本体2の開口部21の周方向に沿って形成したが、台形溝21Mを金属ケース本体2の開口部21の内外方向に沿って形成しても良い。この場合、例えば、
図15に示す周縁下部41Kを成形する際、金属ケース本体2の開口部21を型内にインサートして射出成形(インサート成形)することによって、周縁下部41Kと金属ケース本体2の開口部21とを、本体側処理面21Kを介して気密に結合させることができる。
【0091】
また、凹凸形状処理面21K2の微細な凹凸形状は、サンドブラストやケミカルエッチング等によって形成しても良いが、ナノメートルオーダの超微細な凹凸形状JRは、
図7Aに示す方法で形成することが好ましい。すなわち、
図7Aに示すように、金属ケース本体2の開口部21の表面に、パルス状のレーザ光LZを照射して、微細な霧状の金属蒸気を発散させる。霧状の金属蒸気の粒子は、空中に浮遊しながら、金属ケース本体2の開口部21の表面に樹林状に堆積する。この樹林状に堆積した金属蒸気の粒子が固まって、凹凸高さ及び粒子径がナノメートルオーダ(例えば数ナノメートルから数百ナノメートルの大きさ)の超微細な凹凸形状JRを形成する。その後、
図7Bに示すように、樹脂蓋体4Cの当接面を溶融した状態で、金属ケース本体2の開口部21の表面に接合する。このとき、樹脂蓋体4Cの溶融した樹脂が、樹林状の超微細な凹凸形状JRの隙間に浸入して固まり、金属ケース本体2の開口部21の表面に樹脂蓋体4Cを気密に結合させることができる。
【0092】
しかし、樹林状に堆積した超微細な凹凸形状JRは、衝撃的な外力(引張応力)が働くと、金属ケース本体2の開口部21の表面から離脱しやすい性質がある。そのため、金属ケース本体2の開口部21の表面に、ショットピーニング等を行って圧縮層ASを形成した後に、パルス状のレーザ光LZを照射することが望ましい。この場合、樹林状に堆積した超微細な凹凸形状JRに外力(引張応力)が作用しても、圧縮層ASに内在する圧縮応力によって外力(引張応力)が打ち消され、超微細な凹凸形状JRの離脱、損傷を抑制することができる。また、金属ケース本体2の開口部21の表面に、ショットピーニング等を行うことによって、表面の不純物を除去して、超微細な凹凸形状JRの金属ケース本体2の開口部21の表面に対する接合力を高めることができる。
【0093】
また、この変形態様1の密閉型蓄電デバイス10Cでは、
図5に示すように、外部接続端子3(正極外部接続端子3A、負極外部接続端子3B)の外周面33は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する端子側処理面33Kを有し、樹脂蓋体4Cの端子保持孔42は、全周に亘り、端子側処理面33Kに気密に密着してなる密閉型蓄電デバイス10Cでも良い。この端子側処理面33Kには、例えば、樹脂蓋体4Cの端子保持孔42に対する外部接続端子3の当接面の面積を増大させて主に静的荷重に対する結合力を強化した処理面、上記当接面を複数の方向で形成して主に動的荷重に対する結合力を強化した処理面、及び上記両処理面を複合して静的荷重及び動的荷重に対する結合力を強化した処理面等が含まれる。
【0094】
ここでは、端子側処理面33Kは、外部接続端子3の外部端子34の外周面33において、蓋本体部40の上面402に当接する上端拡張下面まで、L字状断面に形成されている。そして、この端子側処理面33Kは、上述した金属ケース本体2の開口部21の本体側処理面21Kと同様に、面積拡大処理面と凹凸形状処理面とを有することが望ましい。この場合も、上記本体側処理面21Kと同様の理由で、外部接続端子3(3A、3B)の外周面33と樹脂蓋体4Cの端子保持孔42との結合力を、より一層高めることができる。
【0095】
<本密閉型蓄電デバイスの変形態様2>
次に、上述した本密閉型蓄電デバイス10の変形態様2について、
図8A~
図10Bを参照しながら説明する。
図8Aに、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様2におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。
図8Bに、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様2の他の態様におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。
図9Aに、
図8Aに示す密閉型蓄電デバイスの変形例1におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。
図9Bに、
図8Bに示す密閉型蓄電デバイスの変形例1におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。
図10Aに、
図9Aに示すD部における更なる変形例2の拡大断面図を示す。
図10Bに、
図9Aに示すD部における更なる変形例3の拡大断面図を示す。
【0096】
変形態様2の密閉型蓄電デバイス10D、10Eでは、
図8A、
図9Aに示すように、樹脂蓋体4D、4Eは、金属ケース本体2の開口部21と結合された周縁部41D、41Eの本体側樹脂部411と、外部接続端子3を保持する蓋本体部40に接続する周縁部41D、41Eの蓋側樹脂部412と、蓋側樹脂部412と本体側樹脂部411との間に位置し、蓋側樹脂部412と本体側樹脂部411とを、分離容易とする分離容易化部413,414と、を有する。この分離容易化部413、414には、本体側樹脂部411と蓋側樹脂部412とに比べて、溶融又は切断等が容易な部材又は形状等が含まれ、例えば、樹脂基材に熱伝導率の良い黒鉛系の粒子又は炭素系の繊維等を分散配置した溶融容易化部413や、外周に凹溝が形成された切欠き形状部414等を含まれる。なお、金属ケース本体2の開口部21には、上述した本体側処理面21Kが形成されていることが望ましい。
【0097】
例えば、
図8Aに示す変形態様2の密閉型蓄電デバイス10Dでは、樹脂蓋体4Dにおける本体側樹脂部411と蓋側樹脂部412と分離容易化部413とが、それぞれ別体に形成され、かつ連結されている。分離容易化部413は、溶融容易化部として、本体側樹脂部411と蓋側樹脂部412との間に挟まれて層状に形成されている。ここで、溶融容易化部としての分離容易化部413には、本体側樹脂部411と蓋側樹脂部412とに比べて、溶融温度が低い樹脂で形成されたもの、又は、本体側樹脂部411及び蓋側樹脂部412と同一の樹脂で形成されているが、分離容易化部413の樹脂基材に熱伝導率の良い黒鉛系の粒子又は炭素系の繊維等を分散配置したもの等が含まれる。なお、黒鉛系の粒子には、アセチレンブラック(AB)等の微粒子を用いることができ、炭素系の繊維には、短繊維状に切断された炭素繊維等を用いることができる。
【0098】
この密閉型蓄電デバイス10Dにおいて、金属ケース本体2と樹脂蓋体4Dとを分解するため、溶融容易化部としての分離容易化部413を加熱したとき、本体側樹脂部411及び蓋側樹脂部412を溶融させずに、溶融しやすい分離容易化部413だけを先行して溶融させることができる。そのため、金属ケース本体2と樹脂蓋体4Dの蓋本体部40を含む樹脂蓋体主要部4DZとを、元の形状を維持しつつ、より迅速かつ簡単に分解させることができる。また、分解した金属ケース本体2と樹脂蓋体主要部4DZは、元の形状を維持しているので、簡単に再利用することもできる。
【0099】
また、例えば、
図9Aに示す変形態様2の変形例1に係る密閉型蓄電デバイス10Eでは、樹脂蓋体4Eにおける本体側樹脂部411と蓋側樹脂部412とが、一体に形成され、分離容易化部414は、一体に形成された本体側樹脂部411と蓋側樹脂部412との中間部の外周面に凹溝状に形成された切欠き形状部414として形成されている。ここで、切欠き形状部414は、円弧状断面の凹溝が1つ形成されているが、これに限定する必要はなく、V字状断面やコの字状断面の凹溝でも良く、これらを複数形成しても良い。
【0100】
この密閉型蓄電デバイス10Eにおいて、金属ケース本体2と樹脂蓋体4Eとを分解するため、本体側樹脂部411及び蓋側樹脂部412を残して、分離容易化部(切欠き形状部)414だけを簡単に切断させることができる。そのため、金属ケース本体2と、樹脂蓋体4Eの蓋本体部40を含む樹脂蓋体主要部4EZと、を元の形状を維持しつつ、より迅速かつ簡単に分解させることができる。また、分解した金属ケース本体2と樹脂蓋体主要部4EZは、元の形状を維持しているので、簡単に再利用することもできる。
【0101】
さらに、切欠き形状部として形成された分離容易化部414は、本体側樹脂部411及び蓋側樹脂部412に比べて伸縮しやすいので、使用状態において密閉型蓄電デバイス10Eが電気化学反応に伴って熱膨張しても、伸縮しやすい分離容易化部414が主にこの熱膨張を吸収して、金属ケース本体2と本体側樹脂部411との結合部に対する負荷を低減できる。
【0102】
なお、変形態様2の密閉型蓄電デバイス10D、10Eでは、
図8B、
図9Bに示すように、樹脂蓋体4D、4Eは、金属ケース本体2の開口部21と結合された周縁部41DB、41EBと、外部接続端子3を保持する蓋本体部40と、蓋本体部40に対する周縁部41DB、41EB側の境界部分を含む領域に存在し、周縁部41DB、41EBと蓋本体部40とを、分離容易とする分離容易化部413B,414Bと、を有するものでも良い。
図8Bに示す分離容易化部413Bは、上述した溶融容易化部に相当し、
図9Bに示す分離容易化部414Bは、上述した切欠き形状部に相当する。なお、分離容易化部413B、414Bは、蓋本体部40に対する周縁部41DB、41EB側の境界部分のみの領域に存在するものと、蓋本体部40に対する周縁部41DB、41EB側の境界部分の領域と、周縁部41DB、41EBに対する蓋本体部40側の境界部分の領域との、両方を合わせた領域に存在するものと、が含まれる。
【0103】
この
図8B、
図9Bに示す密閉型蓄電デバイス10D、10Eでも、分離容易化部413,414を切断又は溶融等することによって、周縁部41DB、41EBが結合された金属ケース本体2と、蓋本体部40を有する樹脂蓋体主要部4DZ、4EZとに、簡単に分解させることができる。また、分解した金属ケース本体2には、周縁部41DB、41EBが結合され、分解した樹脂蓋体主要部4DZ、4EZには、蓋本体部40が残存しているので、周縁部41DB、41EBと蓋本体部40とを整形して加熱、溶着させ、金属ケース本体2の周縁部41DB、41EBと樹脂蓋体主要部4DZ、4EZの蓋本体部40とを、簡単に再結合させることができる。そのため、金属ケース本体2と樹脂蓋体4D、4Eとを有効に再利用することができる。
【0104】
さらに、変形態様2の変形例2、3に係る密閉型蓄電デバイス10Fでは、
図10A、
図10Bに示すように、樹脂蓋体4Fの周縁部41Fにおける外周面は、熱光線を吸収し易くした光吸収容易化部414B1、414B2を有するものでも良い。ここで、光吸収容易化部414B1、414B2は、上述した切欠き形状部414、414Bではなく、例えば、
図10Aに示す微細な凹凸形状部414B1(変形例2)や、
図10Bに示す黒色系に着色した着色部414B2(変形例3)等に形成されている。微細な凹凸形状部414B1は、凸部が鋭角状に形成されているものが、反射する熱光線を外部へ逃しにくいので、望ましい。この微細な凹凸形状部414B1や着色部414B2には、例えば、CO2レーザ光(波長:10.6μm)に対する光吸収率の高いポリイミド(PI: Polyimide)樹脂や、窒化ケイ素等を含有させても良い。なお、
図9BのE部に示す分離容易化部414Bについても、上記の光吸収容易化部414B1、414B2に変形しても良い。
【0105】
この場合、金属ケース本体2と樹脂蓋体4Fとを分解するため、樹脂蓋体4Fの外方から光吸収容易化部414B1、414B2に対して、レーザ光や遠赤外線等の熱光線を照射することによって、樹脂蓋体4Fの周縁部41Fの外周面を迅速に溶融させることができる。また、レーザ光や遠赤外線等の熱光線は、固体より液体の方が樹脂蓋体4Fの高分子の運動が促進されて光吸収性が良くなるため、熱光線によって外周面の光吸収容易化部414B1、414B2が先に溶融されると、樹脂蓋体4Fの周縁部41Fの内部まで速く溶融でき、金属ケース本体2と樹脂蓋体4Fとの分解をより迅速に行うことができる。
【0106】
<本密閉型蓄電デバイスの変形態様3>
次に、上述した本密閉型蓄電デバイス10の変形態様3について、
図11、
図12を参照しながら説明する。
図11に、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様3の斜視図を示す。
図12に、
図11に示す密閉型蓄電デバイスのG-G部分断面図(H-H部分断面図)を示す。
【0107】
変形態様3の密閉型蓄電デバイス10Gは、
図11、
図12に示すように、外部接続端子3は、電極体1の正極集電部11に電気的に接続された正極外部接続端子3Cと、電極体1の負極集電部12に電気的に接続された負極外部接続端子3Dと、を備え、樹脂蓋体4Gを平面視(矢印F視)したとき、金属ケース本体2の開口部21の開口範囲21Qに重なる樹脂蓋体4Gの樹脂部平面積Q3は、正極外部接続端子3Cの端子平面積Q1と、負極外部接続端子3Dの端子平面積Q2と、の算術和(Q1+Q2)に比べて、小さく形成してなる密閉型蓄電デバイス10Gでも良い。
【0108】
この密閉型蓄電デバイス10Gでは、上記構造に形成されたので、金属ケース本体2の開口部21の開口範囲21Qに重なる樹脂蓋体4Gの内、外部接続端子3が占める平面積(Q1+Q2)が増加し、樹脂蓋体4Gの樹脂部が占める樹脂部平面積Q3が減少する。そして、外部接続端子3が占める平面積(Q1+Q2)が増加したことによって、図示しない他の機器又は他の密閉型蓄電デバイス10の外部接続端子3等に接続する図示しないバスバー(導体板)の接続スペースを拡大でき、大容量の電流を効率的に供給することができる。また、樹脂蓋体4Gの樹脂部平面積Q3が減少することによって、樹脂蓋体4Gは、強度が向上して、金属ケース本体2の開口部21を、より強固に封口することができる。そのため、より利便性が高く、安全かつ信頼性の高い密閉型蓄電デバイス10Gを提供できる。
【0109】
また、この変形態様3の密閉型蓄電デバイス10Gにおいて、正極外部接続端子3C及び負極外部接続端子3Dのいずれかは、電解液を注入する注液孔44Bを有する注液孔一体端子3C1であっても良い。
図11には、正極外部接続端子3Cを、注液孔44Bを有する注液孔一体端子3C1とした例が示されているが、負極外部接続端子3Dを、注液孔44Bを有する注液孔一体端子としても良い。なお、密閉型蓄電デバイス10Gの使用時には、注液孔44Bは、図示しない栓部材によって封止されている。
【0110】
この密閉型蓄電デバイス10Gでは、正極外部接続端子3C及び負極外部接続端子3Dのいずれかは、電解液を注入する注液孔44Bを有する注液孔一体端子3C1であるので、正極外部接続端子3C又は負極外部接続端子3Dと同一の金属で形成した注液孔44Bを正極外部接続端子3C又は負極外部接続端子3Dの一部(例えば、端子接続部以外の空きスペース)に形成することができる。そのため、注液孔44Bにおける必要な強度を確保しやすく、金属製の注液孔44Bを独自に形成して樹脂蓋体4Gに装着する場合の手間を省くことができる。
【0111】
また、変形態様3の密閉型蓄電デバイス10Gにおいて、正極外部接続端子3C及び負極外部接続端子3Dのいずれかは、安全弁43Bを有する安全弁一体端子3C2であっても良い。
図11には、正極外部接続端子3Cを、安全弁43Bを有する安全弁一体端子3C2とした例が示されているが、負極外部接続端子3Dを、安全弁43Bを有する安全弁一体端子としても良い。
【0112】
この密閉型蓄電デバイス10Gでは、正極外部接続端子3C及び負極外部接続端子3Dのいずれかは、安全弁43Bを有する安全弁一体端子3C2であるので、正極外部接続端子3C又は負極外部接続端子3Dと同一の金属で形成した安全弁43Bを正極外部接続端子3C又は負極外部接続端子3Dの一部(例えば、端子接続部以外の空きスペース)に形成することができる。そのため、安全弁43Bにおける必要な強度を確保しやすく、金属製の安全弁43Bを独自に形成して樹脂蓋体4Gに装着する場合の手間を省くことができる。なお、
図11に示すように、正極外部接続端子3C及び負極外部接続端子3Dのいずれかは、安全弁43Bと注液孔44Bの両方を有する安全弁・注液孔一体端子であっても良い。
【0113】
また、この密閉型蓄電デバイス10Gでは、金属ケース本体2の開口部21は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する本体側処理面21Kを有し、樹脂蓋体4Gの周縁部41Gは、全周に亘り、本体側処理面21Kに気密に密着している。本体側処理面21Kは、上述した面積拡大処理面21K1と凹凸形状処理面21K2とを有することが望ましい。また、外部接続端子3(正極外部接続端子3C、負極外部接続端子3D)の外周面33Bは、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する端子側処理面33Kを有し、樹脂蓋体4Gの端子保持孔42Bは、全周に亘り、端子側処理面33Kに気密に密着している。これによって、金属ケース本体2の開口部21と樹脂蓋体4Gとの結合力を、より一層高めることができ、外部接続端子3(正極外部接続端子3C、負極外部接続端子3D)と樹脂蓋体4Gとの結合力を、より一層高めることができる。なお、端子側処理面33Kは、上述した金属ケース本体2の開口部21の本体側処理面21Kと同様に、面積拡大処理面と凹凸形状処理面とを有することが望ましい。
【0114】
<本他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの製造方法>
次に、本他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの製造方法の一態様について、
図3、
図13A~
図16を参照しつつ説明する。
図3に、
図1に示す密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。
図13Aに、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す基本タイプの工程図を示す。
図13Bに、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例1の工程図を示す。
図13Cに、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例2の工程図を示す。
図13Dに、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例3の工程図を示す。
図14に、
図13A及び
図13Bに示す封口工程に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図を示す。
図15に、
図13Cに示す封口工程(周縁部形成工程)に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図を示す。
図16に、
図13Dに示す封口工程(周縁部結合工程)に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図を示す。
【0115】
本他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの製造方法の一態様は、
図3、
図13A~
図16に示すように、電極体1と、開口部21を有し、電極体1を収容する有底筒状の金属ケース本体2と、電極体1に電気的に接続された外部接続端子3と、外部接続端子3及び当該外部接続端子3を介して電極体1を保持し、金属ケース本体2の開口部21を封口する樹脂蓋体4と、を備え、樹脂蓋体4と金属ケース本体2の開口部21とは、樹脂蓋体4の環状の周縁部41を介して、全周に亘り気密に結合されてなる密閉型蓄電デバイス10の製造方法であって、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する収容工程S1と、樹脂蓋体4によって開口部21を封口する封口工程S2と、を備える密閉型蓄電デバイス10の製造方法である。ここでは、本実施形態に係る密閉型蓄電デバイス10の製造方法を代表例として説明する。
【0116】
この製造方法では、以下の装置を備えている。例えば、
図14に示すように、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する樹脂蓋体4の環状の周縁部41と、金属ケース本体2の開口部21とを、それぞれ加熱する2つの環状の加熱装置X(X1、X2)を備えている。環状の加熱装置X(X1、X2)は、セラミックスヒータ等を用いることができる。また、樹脂蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置と、互いに当接する結合位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、加熱装置X(X1、X2)は、上記環状の加熱装置に限らず、各種形態の加熱装置を用いることができる。例えば、樹脂蓋体4と金属ケース本体2とを一体に収容して加熱する加熱炉や、樹脂蓋体4と金属ケース本体2との接合部のみを照射するレーザ装置等でも良い。
【0117】
そして、加熱装置X1は、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する樹脂蓋体4の周縁部41の下面を樹脂蓋体4の溶融温度まで加熱する。また、加熱装置X2は、金属ケース本体2の開口部21の上面を樹脂蓋体4の溶融温度まで加熱する。各加熱装置X(X1、X2)は、被加熱部を所定の温度に加熱した後、待機位置へ移動する。
【0118】
その後、搬送装置が作動して、樹脂蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置から、互いに当接する結合位置へ搬送する。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する(収容工程S1)。結合位置へ搬送された金属ケース本体2の開口部21と樹脂蓋体4の周縁部41は、接合された後に冷却されることによって、互いに気密に結合され、樹脂蓋体4によって開口部21を封口する(封口工程S2)。
【0119】
ここでは、収容工程S1にて、外部接続端子3(3A、3B)の内部端子32と外部端子34とを接続した状態で、電極体1を金属ケース本体2内に収容したが、内部端子32と外部端子34とを分離した状態で、予め電極体1を金属ケース本体2内に収容しても良い。この場合は、封口工程S2にて、内部端子32と外部端子34とを接続する必要がある。
【0120】
以上のように、この密閉型蓄電デバイス10の製造方法では、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する収容工程S1と、樹脂蓋体4によって開口部21を封口する封口工程S2と、を備えるので、電極体1を内部に収容した金属ケース本体2と外部接続端子3を保持する樹脂蓋体4とが、気密に結合した密閉型蓄電デバイス10を簡単に製造することができる。
【0121】
また、使用済みの密閉型蓄電デバイス10を、再利用するため、これを解体する際には、樹脂蓋体4の周縁部41を、金属ケース本体2から離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と樹脂蓋体4とを簡単に分離、解体させることができる。また、樹脂蓋体4の周縁部41を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体2が切断又は溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくく、電極体1を再利用しやすい。更に、樹脂蓋体4の周縁部41を切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と樹脂蓋体4の蓋本体部40とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体2と樹脂蓋体4とを再利用しやすい。
【0122】
よって、本他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイス10の製造方法によれば、密閉型蓄電デバイス10を簡単に製造することができると共に、金属製のケース本体2と蓋体4との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体1に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体2と蓋体4と電極体1の再利用が容易な密閉型蓄電デバイスの製造方法を提供することができる。
【0123】
なお、上述した本密閉型蓄電デバイス10の製造方法は、前述した各変形態様の密閉型蓄電デバイス10B、10C、10D、10E、10F、10Gにも適用でき、また、発明の要旨を変更しない範囲で、各種の態様に変化させることができる。以下に、その変形例1~3を説明する。
【0124】
(変形例1)
変形例1の密閉型蓄電デバイス10の製造方法では、例えば、
図13B、
図14に示すように、封口工程S2は、樹脂蓋体4の周縁部41を、金属ケース本体2の開口部21に直接、気密に結合する開口部結合工程S21である。
【0125】
この製造方法では、例えば、
図14に示すように、樹脂蓋体4の周縁部41と、金属ケース本体2の開口部21と、をそれぞれ加熱する2つの環状の加熱装置X(X1、X2)を備えている。また、樹脂蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置と、互いに当接する結合位置と、へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、加熱装置X(X1、X2)は、上記環状の加熱装置に限らず、各種形態の加熱装置を用いることができる。
【0126】
そして、加熱装置X1は、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する樹脂蓋体4の周縁部41の下面をその溶融温度まで加熱する。また、加熱装置X2は、金属ケース本体2の開口部21の上面を樹脂蓋体4の溶融温度まで加熱する。各加熱装置X(X1、X2)は、被加熱部を所定の温度に加熱した後、待機位置へ移動する。
【0127】
その後、搬送装置が作動して、樹脂蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置から、互いに当接する結合位置へ搬送する。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する(収容工程S1)。結合位置へ搬送された金属ケース本体2と樹脂蓋体4は、開口部21と周縁部41とが直接接合され、互いに加圧された状態で冷却されることによって、気密に結合される(開口部結合工程S21)。
【0128】
この場合、封口工程S2は、樹脂蓋体4の周縁部41を、金属ケース本体2の開口部21に直接、気密に結合する開口部結合工程S21であるので、樹脂蓋体4の周縁部41を、そのままの形状で結合すれば良く、製造前の準備作業を軽減又は不要にでき、作業の簡素化を図ることができる。
【0129】
(変形例2)
変形例2の密閉型蓄電デバイス10の製造方法では、例えば、
図13C、
図15に示すように、封口工程S2は、樹脂蓋体4の周縁部41における周縁上部41Sと、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた周縁部41における周縁下部41Kと、を気密に結合して周縁部41を形成する周縁部形成工程S22である。なお、樹脂蓋体4の周縁部41における周縁下部41Kは、予め周縁部41における周縁上部41Sから分離しておくか、周縁部41における周縁上部41Sとは別々に成形する。また、周縁上部41Sと周縁下部41Kとは、結合したときに、環状の周縁部41を形成するものであれば良く、それぞれ略同一の形状に形成しても、異なる形状に形成しても良い。
【0130】
この製造方法では、例えば、
図15に示すように、樹脂蓋体4の周縁部41における周縁上部41Sと、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた周縁部41における周縁下部41Kと、をそれぞれ加熱する2つの環状の加熱装置X(X1、X2)を備えている。また、樹脂蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置と、互いに当接する結合位置と、へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、加熱装置X(X1、X2)は、上記環状の加熱装置に限らず、各種形態の加熱装置を用いることができる。
【0131】
そして、加熱装置X1は、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する樹脂蓋体4の周縁部41における周縁上部41Sの下面を、その溶融温度まで加熱する。また、加熱装置X2は、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた周縁部41における周縁下部41Kの上面を、その溶融温度まで加熱する。各加熱装置X(X1、X2)は、被加熱部を所定の温度に加熱した後、待機位置へ移動する。
【0132】
その後、搬送装置が作動して、樹脂蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置から、互いに当接する結合位置へ搬送する。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する(収容工程S1)。結合位置へ搬送された金属ケース本体2と樹脂蓋体4は、周縁上部41Sと周縁下部41Kとが接合(溶着)されることによって周縁部41を形成して、気密に結合される(周縁部形成工程S22)。
【0133】
この密閉型蓄電デバイス10の製造方法では、封口工程S2は、樹脂蓋体4の周縁部41における周縁上部41Sと、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた周縁部41における周縁下部41Kと、を気密に結合して周縁部41を形成する周縁部形成工程S22であるので、互いに樹脂からなる周縁上部41Sと周縁下部41Kとを結合する同材質結合であり、樹脂と金属とを結合する異材質結合の場合に比べて、周縁上部41Sと周縁下部41Kとを、より安定して気密に結合することができる。また、周縁下部41Kは、例えば、型内に金属ケース本体2の開口部21をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属ケース本体2の開口部21に確実に気密に結合させることができる。そのため、より安全性の高い密閉型蓄電デバイス10を簡単に製造することができる。
【0134】
(変形例3)
変形例3の密閉型蓄電デバイス10の製造方法では、例えば、
図13D、
図16に示すように、封口工程S2は、樹脂蓋体4の外部接続端子3を保持する蓋本体部40と、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた樹脂蓋体4の周縁部41と、を気密に結合する周縁部結合工程S23である。なお、樹脂蓋体4の周縁部41は、予め蓋本体部40から分離しておくか、蓋本体部40とは別々に成形する。
【0135】
この製造方法では、例えば、
図16に示すように、樹脂蓋体4の蓋本体部40と、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた樹脂蓋体4の周縁部41と、をそれぞれ加熱する2つの環状の加熱装置X(X1、X2)を備えている。また、樹脂蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置と、互いに当接する結合位置と、へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、加熱装置X(X1、X2)は、上記環状の加熱装置に限らず、各種形態の加熱装置を用いることができる。
【0136】
そして、加熱装置X1は、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する蓋本体部40の外周側の下面をその溶融温度まで加熱する。また、加熱装置X2は、予め金属ケース本体2の開口部21に結合された樹脂蓋体4の周縁部41の上面を、その溶融温度まで加熱する。各加熱装置X(X1、X2)は、被加熱部を所定の温度に加熱した後、待機位置へ移動する。
【0137】
その後、搬送装置が作動して、樹脂蓋体4の蓋本体部40と、樹脂蓋体4の周縁部41が結合された金属ケース本体2と、を互いに離間した加熱位置から、互いに当接する結合位置へ搬送する。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する(収容工程S1)。結合位置へ搬送された金属ケース本体2の開口部21と樹脂蓋体4とは、周縁部41と蓋本体部40とが接合(溶着)されることによって、気密に結合される(周縁部結合工程S23)。
【0138】
この密閉型蓄電デバイス10の製造方法では、封口工程S2は、樹脂蓋体4の外部接続端子3を保持する蓋本体部40と、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた樹脂蓋体4の周縁部41と、を気密に結合する周縁部結合工程S23であるので、互いに樹脂からなる蓋本体部40と周縁部41とを結合する同材質結合であり、樹脂と金属とを結合する異材質結合の場合に比べて、蓋本体部40と周縁部41とを、より安定して気密に結合することができる。また、周縁部41は、例えば、型内に金属ケース本体2の開口部21をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属ケース本体2の開口部21に確実に気密に結合させることができる。そのため、より安全性の高い密閉型蓄電デバイス10を簡単に製造することができる。
【0139】
<更なる他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの分解方法>
次に、更なる他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの分解方法の一態様について、
図17A~
図19を参照しつつ説明する。
図17Aに、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す基本タイプの工程図を示す。
図17Bに、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す変形例1の工程図を示す。
図17Cに、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す変形例2の工程図を示す。
図18に、
図1に示す密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図(B-B部分断面図)であって、
図17A~
図17Cに示す分解方法で分解する以前の断面図を示す。
図19に、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの他の態様のA-A部分断面図(B-B部分断面図)であって、
図17A~
図17Cに示す分解方法で分解する以前の断面図を示す。
【0140】
本他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの分解方法の一態様は、
図17A~
図19に示すように、上述した密閉型蓄電デバイス10の分解方法であって、樹脂蓋体4を、金属ケース本体2の開口部21に気密に結合する周縁部41における周縁下部41K及び周縁部41全体のいずれかと、少なくとも外部接続端子3を保持する蓋本体部40が残存する樹脂蓋体主要部4Zと、に分割する分割工程T1と、開口部21を通じて金属ケース本体2内に収容された電極体1を取り出す取出工程T2と、を備える密閉型蓄電デバイス10の分解方法である。ここでは、本実施形態に係る密閉型蓄電デバイス10の分解方法を代表例として説明する。
【0141】
この分解方法では、例えば、
図18に示すように、樹脂蓋体4の周縁部41における周縁上部41Sと、金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた周縁部41における周縁下部41Kと、を両者の境界部に位置する分離部41Qに沿って分割させる分割装置Yを備えている。又は、
図19に示すように、樹脂蓋体4の蓋本体部40に対する境界部に位置し、金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた周縁部41の分離部40Qに沿って分割させる分割装置Yを備えている。また、樹脂蓋体4と金属ケース本体2とを、分割位置から保管位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。そして、分割装置Yは、樹脂蓋体4を、金属ケース本体2の開口部21に気密に結合する周縁部41における周縁下部41K及び周縁部41全体のいずれかと、少なくとも外部接続端子3を保持する蓋本体部40が残存する樹脂蓋体主要部4Zとに、分離部41Q、40Qに沿って分割する(分割工程T1)。分割装置Yは、樹脂蓋体4を分割した後、待機位置へ移動する。
【0142】
その後、搬送装置が作動して、周縁部41における周縁下部41K及び周縁部41全体のいずれかが結合された金属ケース本体2と、少なくとも外部接続端子3を保持する蓋本体部40が残存する樹脂蓋体主要部4Zと、を分割位置から保管位置へ搬送する。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内の電極体1を取り出す(取出工程T2)。取り出した電極体1は、樹脂蓋体主要部4Zから分離して、正極シートと負極シートに分解する。
【0143】
この密閉型蓄電デバイス10の分解方法では、樹脂蓋体4を、周縁下部41K及び周縁部41全体のいずれかと、樹脂蓋体主要部4Zと、に分割する分割工程T1を備えるので、樹脂蓋体4の周縁部41の一部(周縁上部41Sと周縁下部41Kとの分離部41Q、又は、蓋本体部40に対する周縁部41の分離部40Q)を、金属ケース本体2から離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と樹脂蓋体主要部4Zとを簡単に分離、解体させることができる。また、金属ケース本体2から離間した位置で、樹脂蓋体4の周縁部41の一部を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体2が切断又は溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくい。更に、樹脂蓋体4の周縁部41の一部を切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と樹脂蓋体主要部4Zとを元の状態に維持できる。
【0144】
また、開口部21を通じて金属ケース本体2内に収容された電極体1を取り出す取出工程T2を備えるので、電極体1は、樹脂蓋体主要部4Zに保持された状態で、金属ケース本体2内から取り出され、樹脂蓋体主要部4Zから簡単に分離できる。そのため、金属ケース本体2と樹脂蓋体4と電極体1とを、再利用しやすい状態で分解できる。
【0145】
よって、更なる他の態様に係る密閉型蓄電デバイス10の分解方法によれば、金属製のケース本体2と蓋体4との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体1に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体2と蓋体4と電極体1の再利用が容易な密閉型蓄電デバイス10の分解方法を提供することができる。
【0146】
なお、上述した本密閉型蓄電デバイス10の分解方法は、前述した各変形態様の密閉型蓄電デバイス10B、10C、10D、10E、10F、10Gにも適用でき、また、発明の要旨を変更しない範囲で、各種の態様に変化させることができる。以下に、その変形例1、2を説明する。
【0147】
(変形例1)
変形例1の密閉型蓄電デバイス10の分解方法では、例えば、
図17B、
図18、
図19に示すように、分割工程T1は、樹脂蓋体4の周縁部41のうち、金属ケース本体2から離間した溶融分離部41QY、40QYを、溶融させつつ、又は溶融させた後に、樹脂蓋体主要部4Zと金属ケース本体2とを離間方向に相対移動させて分割する溶融分割工程T11である。
【0148】
この分解方法では、例えば、
図18、
図19に示すように、溶融分離部41QY、40QYに沿って溶融させる加熱溶融装置Y1を備えている。加熱溶融装置Y1は、例えば、加熱した薄板状の熱刃又はレーザ光等を照射する装置を用いることができる。また、分割した樹脂蓋体主要部4Zと金属ケース本体2とを、分割位置から上下方向へ離間させ、保管位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、加熱溶融装置Y1は、上記装置に限らず、各種形態の加熱溶融装置を用いることができる。
【0149】
そして、加熱溶融装置Y1が、樹脂蓋体4の溶融分離部41QY、40QYを、溶融させつつ、又は溶融させた後に、搬送装置が作動して、樹脂蓋体主要部4Zと金属ケース本体2とを、上下方向へ離間させる(溶融分割工程T11)。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内の電極体1を取り出す(取出工程T2)。取り出した電極体1は、樹脂蓋体主要部4Zから分離して、正極シートと負極シートに分解する。
【0150】
この場合、分割工程T1は、樹脂蓋体4の周縁部41のうち、金属ケース本体2から離間した溶融分離部41QY、40QYを、溶融させつつ、又は溶融させた後に、樹脂蓋体主要部4Zと金属ケース本体2とを離間方向に相対移動させて分割する溶融分割工程T11であるので、樹脂蓋体4の溶融分離部41QY、40QYを溶融温度に加熱することによって、周縁下部41K及び周縁部41全体のいずれかが結合された金属ケース本体2と、少なくとも蓋本体部40が残存する樹脂蓋体主要部4Zとに、簡単に分解できる。また、溶融分離部41QY、40QYを溶融させる際には、金属ケース本体2が溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくい。更に、溶融分離部41QY、40QYを溶融させることによって、金属ケース本体2と樹脂蓋体主要部4Zとを元の状態に維持できる。
【0151】
(変形例2)
変形例2の密閉型蓄電デバイス10の分解方法では、例えば、
図17C、
図18、
図19に示すように、分割工程T1は、樹脂蓋体4の周縁部41のうち、金属ケース本体2から離間した切断分離部41QS、40QSを全周に亘って切断して分割する切断分割工程T12である。
【0152】
この分解方法では、例えば、
図18、
図19に示すように、切断分離部41QS、40QSに沿って切断させる切断装置Y2を備えている。切断装置Y2は、例えば、鋸刃状の切削刃又はドリル状のエンドミル等を用いることができる。また、分割した樹脂蓋体主要部4Zと金属ケース本体2とを、分割位置から上下方向へ離間させ、保管位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、切断装置Y2は、上記装置に限らず、各種形態の切断装置を用いることができる。
【0153】
そして、切断装置Y2が、樹脂蓋体4の切断分離部41QS、40QSを、切断した後に、搬送装置が作動して、樹脂蓋体主要部4Zと金属ケース本体2とを、上下方向へ離間させる(切断分割工程T12)。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内の電極体1を取り出す(取出工程T2)。取り出した電極体1は、樹脂蓋体主要部4Zから分離して、正極シートと負極シートに分解する。
【0154】
この場合、分割工程T1は、樹脂蓋体4の周縁部41のうち、金属ケース本体2から離間した切断分離部41QS、40QSを全周に亘って切断して、樹脂蓋体主要部4Zと金属ケース本体2とに分割する切断分割工程T12であるので、樹脂蓋体4の切断分離部41QS、40QSを切断することによって、周縁下部41K及び周縁部41全体のいずれかが結合された金属ケース本体2と、少なくとも蓋本体部40が残存する樹脂蓋体主要部4Zとに、簡単に分解できる。また、切断分離部41QS、40QSを切断させる際には、金属ケース本体2が溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくい。更に、切断分離部41QS、40QSを切断させることによって、金属ケース本体2と樹脂蓋体主要部4Zとを元の状態に維持できる。
【0155】
<更なる他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイス>
次に、更なる他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイスの一態様について、
図1、
図2、
図18~
図21を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの一態様及び他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイスの一態様の斜視図を示す。
図2に、
図1に示す密閉型蓄電デバイス及びケース再利用密閉型蓄電デバイスの分解斜視図を示す。
図18に、
図1に示す密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図(B-B部分断面図)であって、
図17A~
図17Cに示す分解方法で分解する以前の断面図を示す。
図19に、
図1に示す密閉型蓄電デバイスの他の態様のA-A部分断面図(B-B部分断面図)であって、
図17A~
図17Cに示す分解方法で分解する以前の断面図を示す。
図20に、
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。
図21に、
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの変形態様1のA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。
【0156】
本他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの一態様は、
図1、
図2、
図18、
図20に示すように、電極体1と、開口部21を有し、電極体1を収容する有底筒状の金属ケース本体2であって、開口部21の全周に亘り環状の周縁部41における周縁下部41KJが結合した樹脂枠付き金属ケース本体2Jと、電極体1に電気的に接続された外部接続端子3と、外部接続端子3及び当該外部接続端子3を介して電極体1を保持した樹脂蓋体4のうち、外部接続端子3を保持する蓋本体部40に接続する周縁部41における周縁上部41SJを有して、樹脂枠付き金属ケース本体2Jの開口部21Jを封口する樹脂蓋体主要部4ZJと、を備え、樹脂枠付き金属ケース本体2Jの開口部21Jと樹脂蓋体主要部4ZJとは、周縁上部41SJと周縁下部41KJとが結合した環状の複合周縁部41Jを介して、全周に亘り気密に結合されてなるケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hであって、樹脂枠付き金属ケース本体2Jは、再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JSである、及び、樹脂蓋体主要部4ZJは、再利用樹脂蓋体主要部4ZJSである、の少なくともいずれかであるケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hである。
【0157】
ここで、上記の「再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JS」及び「再利用樹脂蓋体主要部4ZJS」としては、金属ケース本体2と樹脂蓋体4とを備え、金属ケース本体2の開口部21と樹脂蓋体4の環状の周縁部41とが、全周に亘り気密に結合された、製造済みの密閉型蓄電デバイス10の樹脂蓋体4の周縁部41を、金属ケース本体2の開口部21に結合する周縁部41における環状の周縁下部41Kと、樹脂蓋体4の周縁部41における環状の周縁上部41Sと、に分割して得たものが挙げられる(
図18参照)。また、「再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JS」及び「再利用樹脂蓋体主要部4ZJS」としては、製造済みの上述のケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの複合周縁部41Jを、金属ケース本体2の開口部21に結合する周縁部41における環状の周縁下部41KJと、樹脂蓋体4の周縁部41における環状の周縁上部41SJと、に分割して得たものが挙げられる(
図20参照)。
【0158】
なお、密閉型蓄電デバイス10は、上述した各変形態様の密閉型蓄電デバイス10B、10C、10D、10E、10F、10Gに置き換えることもできる。ここでは、密閉型蓄電デバイス10及び各変形態様の密閉型蓄電デバイス10B、10C、10D、10E、10F、10Gの詳細については、重複するため、その説明は原則として割愛し、主に、ケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hに特有の事項に絞って説明する。
【0159】
このケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hは、開口部21の全周に亘り環状の周縁部41における周縁下部41KJが結合した樹脂枠付き金属ケース本体2Jと、外部接続端子3を保持する蓋本体部40に接続する周縁部41における周縁上部41SJを有して、樹脂枠付き金属ケース本体2Jの開口部21Jを封口する樹脂蓋体主要部4ZJと、を備えている。
【0160】
また、樹脂枠付き金属ケース本体2Jの開口部21Jと樹脂蓋体主要部4ZJとは、周縁上部41SJと周縁下部41KJとが結合した環状の複合周縁部41Jを介して、全周に亘り気密に結合されている。また、樹脂枠付き金属ケース本体2Jは、再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JSである、及び、樹脂蓋体主要部4ZJは、再利用樹脂蓋体主要部4ZJSである、の少なくともいずれかであるので、製造済みの密閉型蓄電デバイス10の環状の周縁部41又は製造済みのケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの環状の複合周縁部41Jにおける周縁上部41SJと周縁下部41KJとの境界部に位置する分離部41Qを、分割して得た再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JS及び/又は再利用樹脂蓋体主要部4ZJSを、再度有効に活用することができる。
【0161】
また、本ケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hでは、樹脂枠付き金属ケース本体2Jの開口部21Jに結合された周縁部41における周縁下部41KJと、樹脂蓋体主要部4ZJの蓋本体部40に接続された周縁部41における周縁上部41SJとは、周縁下部41KJと周縁上部41SJとが結合した環状の複合周縁部41Jを介して、全周に亘り気密に結合されている。そのため、金属ケース本体2と樹脂蓋体4とを再度分解する際には、環状の複合周縁部41Jの分離部41Qを周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、樹脂枠付き金属ケース本体2Jと樹脂蓋体主要部4ZJとを簡単に分離、解体させることができる。また、分離部41Qを切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体2が切断又は溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくく、電極体1を再利用しやすい。更に、分離部41Qを切断又は溶融等させても、金属ケース本体2と樹脂蓋体主要部4ZJとを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体2と樹脂蓋体主要部4ZJとを再利用しやすい。
【0162】
よって、更なる他の態様に係る本ケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hによれば、金属製のケース本体2と蓋体4との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体1に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体2と蓋体4と電極体1の再利用が容易なケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hを提供することができる。なお、ケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hは、以下のように変形することができる。
【0163】
(変形態様1のケース再利用密閉型蓄電デバイス)
変形態様1のケース再利用密閉型蓄電デバイス10HBは、
図1、
図2、
図19、
図21に示すように、電極体1と、開口部21を有し、電極体1を収容する有底筒状の金属ケース本体2であって、開口部21の全周に亘り環状の周縁部41が結合した樹脂枠付き金属ケース本体2JBと、電極体1に電気的に接続された外部接続端子3と、外部接続端子3及び当該外部接続端子3を介して電極体1を保持した樹脂蓋体4のうち、外部接続端子3を保持する蓋本体部40を有して、樹脂枠付き金属ケース本体2JBの開口部21JBを封口する樹脂蓋体主要部4ZJBと、を備え、樹脂枠付き金属ケース本体2JBの開口部21JBと樹脂蓋体主要部4ZJBとは、蓋本体部40と周縁部41とが全周に亘り気密に結合されてなるケース再利用密閉型蓄電デバイス10HBであって、樹脂枠付き金属ケース本体2JBは、再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JBSである、及び、樹脂蓋体主要部4ZJBは、再利用樹脂蓋体主要部4ZJBSである、の少なくともいずれかであるケース再利用密閉型蓄電デバイス10HBである。
【0164】
ここで、上記の「再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JBS」及び「再利用樹脂蓋体主要部4ZJBS」としては、金属ケース本体2と樹脂蓋体4とを備え、金属ケース本体2の開口部21と樹脂蓋体4の環状の周縁部41とが、全周に亘り気密に結合された、製造済みの密閉型蓄電デバイス10の樹脂蓋体4を、金属ケース本体2の開口部21に結合する環状の周縁部41と、樹脂蓋体4の外部接続端子3を保持する蓋本体部40と、に分割して得たものが挙げられる(
図19参照)。また、「再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JBS」及び「再利用樹脂蓋体主要部4ZJBS」としては、製造済みの上述のケース再利用密閉型蓄電デバイス10HBの樹脂蓋体4を、樹脂枠付き金属ケース本体2JBの開口部21に結合する環状の周縁部41と、樹脂蓋体主要部4ZJBの外部接続端子3を保持する蓋本体部40と、に分割して得たものが挙げられる(
図21参照)。
【0165】
このケース再利用密閉型蓄電デバイス10HBでは、開口部21の全周に亘り環状の周縁部41が結合した樹脂枠付き金属ケース本体2JBと、外部接続端子3を保持する蓋本体部40を有して、樹脂枠付き金属ケース本体2JBの開口部21JBを封口する樹脂蓋体主要部4ZJBと、を備えている。樹脂枠付き金属ケース本体2JBの開口部21JBと樹脂蓋体主要部4ZJBとは、蓋本体部40と周縁部41とが全周に亘り気密に結合されている。また、樹脂枠付き金属ケース本体2JBは、再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JBSである、及び、樹脂蓋体主要部4ZJBは、再利用樹脂蓋体主要部4ZJBSである、の少なくともいずれかであるので、製造済みの密閉型蓄電デバイス10又は製造済みのケース再利用密閉型蓄電デバイス10HBを、樹脂蓋体4の蓋本体部40に対する境界部に位置する周縁部41の分離部40Qで分割して得た再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JBS及び/又は再利用樹脂蓋体主要部4ZJBSを、再度有効に活用することができる。
【0166】
また、本ケース再利用密閉型蓄電デバイス10HBでは、樹脂枠付き金属ケース本体2JBの開口部21に結合された周縁部41と、樹脂蓋体主要部4ZJBの蓋本体部40とは、全周に亘り気密に結合されている。そのため、金属ケース本体2と樹脂蓋体4とを再度分解する際には、樹脂蓋体4の蓋本体部40に対する境界部に位置する周縁部41の分離部40Qを周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、樹脂枠付き金属ケース本体2JBと樹脂蓋体主要部4ZJBとを簡単に分離、解体させることができる。また、分離部40Qを切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体2が切断又は溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくく、電極体1を再利用しやすい。更に、分離部40Qを切断又は溶融等させても、金属ケース本体2と樹脂蓋体主要部4ZJBとを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体2と樹脂蓋体主要部4ZJBとを再利用しやすい。
【0167】
よって、変形態様1のケース再利用密閉型蓄電デバイス10HBによれば、金属製のケース本体2と蓋体4との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体1に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体2と蓋体4と電極体1の再利用が容易なケース再利用密閉型蓄電デバイス10HBを提供することができる。
【0168】
<更なる他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法>
次に、更なる他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法の一態様について、
図20~
図23を参照しつつ説明する。
図20に、
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。
図21に、
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの変形態様1のA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。
図22Aに、
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す基本タイプの工程図を示す。
図22Bに、
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例1の工程図を示す。
図22Cに、
図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例2の工程図を示す。
図23に、
図22A~
図22Cに示す封口工程に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図を示す。
【0169】
本ケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBの製造方法の一態様は、
図20~
図23に示すように、上述したケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBの製造方法であって、開口部21J、21JBを通じて、金属ケース本体2内に、電極体1を収容する収容工程S1Sと、樹脂枠付き金属ケース本体2J、2JBと樹脂蓋体主要部4ZJ、4ZJBとを気密に結合して、開口部21J、21JBを気密に封口する封口工程S2Sと、を備えるケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBの製造方法である。
【0170】
この製造方法では、例えば、
図23に示すように、樹脂枠付き金属ケース本体2Jの開口部21Jに結合された周縁部41における周縁下部41KJ又は周縁部41と、樹脂蓋体主要部4ZJの周縁部41における周縁上部41SJ又は蓋本体部40とを、それぞれ加熱する2つの環状の加熱装置X(X1、X2)を備えている。また、樹脂蓋体主要部4ZJ、4ZJBと樹脂枠付き金属ケース本体2J、2JBとを、互いに離間した加熱位置と、互いに当接する結合位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、加熱装置X(X1、X2)は、上記環状の加熱装置に限らず、各種形態の加熱装置を用いることができる。
【0171】
そして、加熱装置X1は、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する樹脂蓋体主要部4ZJ、4ZJBの周縁部41における周縁上部41SJの下面、又は蓋本体部40の外周側の下面を、その溶融温度まで加熱する。また、加熱装置X2は、金属ケース本体2の開口部21に結合された周縁部41における周縁下部41KJの上面、又は周縁部41の上面を、その溶融温度まで加熱する。各加熱装置X(X1、X2)は、被加熱部を所定の温度に加熱した後、待機位置へ移動する。
【0172】
その後、搬送装置が作動して、樹脂蓋体主要部4ZJ、4ZJBと樹脂枠付き金属ケース本体2J、2JBとを、互いに離間した加熱位置から、互いに当接する結合位置へ搬送する。その際、開口部21J、21JBを通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する(収容工程S1S)。結合位置へ搬送された樹脂枠付き金属ケース本体2J、2JBと樹脂蓋体主要部4ZJ、4ZJBとは、金属ケース本体2の開口部21に結合された周縁部41における周縁下部41KJと、樹脂蓋体主要部4ZJ、4ZJBの周縁部41における周縁上部41SJとが、互いに気密に結合されることによって、又は、金属ケース本体2の開口部21に結合された周縁部41と、樹脂蓋体主要部4ZJ、4ZJBの蓋本体部40とが、互いに気密に結合されることによって、開口部21J、21JBを気密に封口する(封口工程S2S)。
【0173】
ここでは、収容工程S1Sにて、外部接続端子3である内部端子32と外部端子34とを接続した状態で、電極体1を金属ケース本体2内に収容したが、内部端子32と外部端子34とを分離した状態で、予め電極体1を金属ケース本体2内に収容しても良い。この場合は、封口工程S2Sにて、内部端子32と外部端子34とを接続する必要がある。
【0174】
このケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBの製造方法では、開口部21J、21JBを通じて、金属ケース本体2内に、電極体1を収容する収容工程S1Sと、樹脂枠付き金属ケース本体2J、2JBと樹脂蓋体主要部4ZJ、4ZJBとを気密に結合して、開口部21J、21JBを気密に封口する封口工程S2Sと、を備えるので、電極体1を内部に収容した金属ケース本体2と外部接続端子3を保持する樹脂蓋体4とが、気密に結合したケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBを簡単に製造することができる。
【0175】
また、ケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBを再度分解する際には、樹脂枠付き金属ケース本体2J、2JBと樹脂蓋体主要部4ZJ、4ZJBとを、例えば、樹脂蓋体4の環状の周縁部41における周縁上部41Sと周縁下部41Kとの境界部(分離部41Q)で、又は周縁部41と蓋本体部40との境界部(分離部40Q)で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と樹脂蓋体4とを、再度、簡単に分離、解体させることができる。また、分離部41Q、40Qを切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体2が切断又は溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくく、電極体1を再利用しやすい。更に、分離部41Q、40Qを切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と樹脂蓋体主要部4ZJ、4ZJBとを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体2と樹脂蓋体4とを再利用しやすい。
【0176】
よって、更なる他の態様に係るケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBの製造方法によれば、ケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBを簡単に製造することができると共に、金属製のケース本体2と蓋体4との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体1に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体2と蓋体4と電極体1の再利用が容易なケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBの製造方法を提供することができる。
【0177】
なお、上述した本ケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBの製造方法は、上述した各変形態様の密閉型蓄電デバイス10B、10C、10D、10E、10F、10Gにも適用でき、また、発明の要旨を変更しない範囲で、各種の態様に変化させることができる。以下に、その変形例1、2を説明する。
【0178】
(変形例1)
変形例1のケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBの製造方法では、例えば、
図20、
図21、
図22Bに示すように、樹脂枠付き金属ケース本体2Jは、再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JSであり、収容工程S1Sに先立ち、金属ケース本体2の開口部21に結合した周縁下部41KJ及び周縁部41のいずれかを、予め定めた形状に整形する樹脂枠整形工程S11Sを備える。
【0179】
このケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBの製造方法では、密閉型蓄電デバイス10又はケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBを再利用するため、樹脂蓋体4の環状の周縁部41における周縁上部41SJと周縁下部41KJとの境界部(分離部41Q)で、又は、周縁部41と蓋本体部40との境界部(分離部40Q)で、周方向に沿って切断又は溶融等したときに、周縁下部41KJに生じる凹凸形状を、又は、周縁部41に生じる凹凸形状を、正規の形状に整形することができる。そのため、封口工程S2Sにおいて、正規の形状に整形した周縁下部41KJと周縁上部41SJとを精度良く結合でき、又は、正規の形状に整形した周縁部41と蓋本体部40とを精度良く結合できる。その結果、金属ケース本体2の開口部21を樹脂蓋体4によって、より一層気密に封口することができる。
【0180】
ここで、周縁下部41KJ又は周縁部41を、予め定めた形状に整形する方法には、周縁下部41KJ及び周縁部41のいずれかの結合面(上面)における凹凸形状を切削、研削、又は溶融等することによって正規の形状に整形する方法や、当該凹凸形状に他の樹脂を充填することによって正規の形状に整形する方法等が含まれる。
【0181】
(変形例2)
変形例2のケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBの製造方法では、例えば、
図20、
図21、
図22Cに示すように、樹脂蓋体主要部4ZJ、4ZJBは、再利用樹脂蓋体主要部4ZJS、4ZJBSであり、収容工程S1Sに先立ち、周縁上部41SJ及び蓋本体部40のいずれかを、予め定めた形状に整形する樹脂蓋整形工程S12Sを備える。
【0182】
このケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBの製造方法では、密閉型蓄電デバイス10又はケース再利用密閉型蓄電デバイス10H、10HBを再利用するため、樹脂蓋体4の環状の周縁部41における周縁上部41SJと周縁下部41KJとの境界部(分離部41Q)で、又は、周縁部41と蓋本体部40との境界部(分離部40Q)で、周方向に沿って切断又は溶融等したときに、周縁上部41SJに生じる凹凸形状を、又は、蓋本体部40に生じる凹凸形状を、正規の形状に整形することができる。そのため、封口工程S2Sにおいて、正規の形状に整形した周縁上部41SJと周縁下部41KJと精度良く結合でき、又は、正規の形状に整形した蓋本体部40と周縁部41とを精度良く結合できる。その結果、金属ケース本体2の開口部21を樹脂蓋体4によって、より一層気密に封口することができる。
【0183】
ここで、周縁上部41SJ又は蓋本体部40を、予め定めた形状に整形する方法には、周縁上部41SJ及び蓋本体部40のいずれかの結合面(下面)における凹凸形状を切削、研削、又は溶融等することによって正規の形状に整形する方法や、当該凹凸形状に他の樹脂を充填することによって正規の形状に整形する方法等が含まれる。
【符号の説明】
【0184】
1 電極体
2 金属ケース本体
2J、2JB 樹脂枠付き金属ケース本体
2JS、2JBS 再利用樹脂枠付き金属ケース本体
3 外部接続端子
3A、3C 正極外部接続端子
3B、3D 負極外部接続端子
3C1 注液孔一体端子
3C2 安全弁一体端子
4、4B、4C、4D、4E、4F、4G 樹脂蓋体
4Z、4DZ、4EZ、4ZJ、4ZJB 樹脂蓋体主要部
4ZJS、4ZJBS 再利用樹脂蓋体主要部
10、10B、10C、10D、10E、10F、10G 密閉型蓄電デバイス
10H、10HB ケース再利用密閉型蓄電デバイス
11 正極集電部
12 負極集電部
21、21J、21JB 開口部
21K 本体側処理面
21Q 開口範囲
33、33B 外周面
33K 端子側処理面
40 蓋本体部
41、41B、41C、41D、41DB、41E、41EB、41F、41G 周縁部
41J 複合周縁部
41K、41KJ 周縁下部
41S、41SJ 周縁上部
41Q、40Q 分離部
41QY、40QY 溶融分離部
41QS、40QS 切断分離部
42、42B 端子保持孔
43、43B 安全弁
44、44B 注液孔
411 本体側樹脂部
412 蓋側樹脂部
413、413B、414,414B 分離容易化部
414B1、414B2 光吸収容易化部
Q1、Q2 端子平面積
Q3 樹脂部平面積
S1、S1S 収容工程
S2、S2S 封口工程
S21 開口部結合工程
S22 周縁部形成工程
S23 周縁部結合工程
S11S 樹脂枠整形工程
S12S 樹脂蓋整形工程
T1 分割工程
T11 溶融分割工程
T12 切断分割工程
T2 取出工程