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特開2024-125705蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125705
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/103 20210101AFI20240911BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240911BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240911BHJP
   H01M 50/169 20210101ALI20240911BHJP
   H01M 50/166 20210101ALI20240911BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240911BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20240911BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240911BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20240911BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/15
H01M10/04 W
H01M50/169
H01M50/166
H01M10/04 Z
H01M10/058
H01G11/06
H01G11/78
H01G11/84
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033705
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA12
5E078AA14
5E078AB06
5E078AB13
5E078HA05
5E078LA07
5H011AA09
5H011DD06
5H011DD13
5H011FF03
5H011KK01
5H028BB01
5H028BB04
5H028CC12
5H028HH05
5H029AJ14
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ03
5H029CJ05
5H029HJ04
(57)【要約】
【課題】ケースの蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性が高い蓄電デバイス等を提供すること。
【解決手段】蓄電デバイス1は、ケース10とこれに収容された電極体50とを備え、ケース10は、開口21cを有する有底筒状のケース本体部材21と、開口21cを塞ぐ板状の蓋部材31とを有する。ケース本体部材21の開口周縁部21fは、全周にわたり開口21cの内側GH1に湾曲しており、蓋部材31の蓋周縁部31fは、全周にわたり内面31n側に湾曲しており、開口周縁部21fの厚み方向外側IH1に蓋周縁部31fが環帯状範囲SRにわたり積層された状態で、蓋周縁部31fと開口周縁部21fとが気密に接合されてなる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
上記ケース内に収容された電極体と、を備え、
上記ケースは、
開口を有する有底筒状で内部に上記電極体を収容したケース本体部材と、
上記開口を塞ぐ板状の蓋部材と、を有し、
上記蓋部材は、
上記ケース本体部材側を向く内面を含み、
蓋周縁部が上記ケース本体部材の開口周縁部に全周にわたり接合されてなる
蓄電デバイスであって、
上記ケース本体部材の上記開口周縁部は、全周にわたり上記開口の内側に湾曲しており、
上記蓋部材の上記蓋周縁部は、全周にわたり上記内面側に湾曲しており、
上記開口周縁部の厚み方向外側に上記蓋周縁部が全周にかつ上記蓋部材の拡がり方向に拡がる環帯状範囲にわたり積層された状態で、上記蓋周縁部と上記開口周縁部とが気密に接合されてなる
蓄電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電デバイスであって、
前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、全周にわたって連なる一連で環状の環状溶接部により、気密に溶接されてなる
蓄電デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄電デバイスであって、
前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、複数の前記環状溶接部により、気密に溶接されてなる
蓄電デバイス。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の蓄電デバイスであって、
前記ケース本体部材内に収容された前記電極体は、
上記ケース本体部材の深さ方向に見たとき、上記電極体のうち、上記深さ方向に直交する拡がり方向の外側に位置する環状の電極体外周縁部が、全周にわたり上記ケース本体部材の前記開口周縁部に重なる、上記拡がり方向の大きさを有する
蓄電デバイス。
【請求項5】
ケースと、
上記ケース内に収容された電極体と、を備え、
上記ケースは、
開口を有する有底筒状で内部に上記電極体を収容したケース本体部材と、
上記開口を塞ぐ板状の蓋部材と、を有し、
上記蓋部材は、
上記ケース本体部材側を向く内面を含み、
蓋周縁部が上記ケース本体部材の開口周縁部に全周にわたり接合されてなり、
上記ケース本体部材の上記開口周縁部は、全周にわたり上記開口の内側に湾曲しており、
上記蓋部材の上記蓋周縁部は、全周にわたり上記内面側に湾曲しており、

上記開口周縁部の厚み方向外側に上記蓋周縁部が全周にわたり重なった状態で、上記蓋周縁部と上記開口周縁部とが気密に接合されてなる
上記開口周縁部の厚み方向外側に上記蓋周縁部が全周にかつ上記蓋部材の拡がり方向に拡がる環帯状範囲にわたり積層された状態で、上記蓋周縁部と上記開口周縁部とが気密に接合されてなる
蓄電デバイスの製造方法であって、
上記ケース本体部材内に上記電極体を収容する収容工程と、
上記ケース本体部材及びこれに収容された上記電極体の上に上記蓋部材を被せ、
湾曲した上記蓋周縁部を湾曲した上記開口周縁部に全周にわたり重ねて押し付けた状態で、
上記蓋周縁部と上記開口周縁部とを全周にわたり気密に接合して、上記ケースを形成する
接合工程と、を備える
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、全周にわたって連なる一連で環状の環状溶接部により、気密に溶接されてなり、
前記接合工程は、
前記ケース本体部材の深さ方向と反対向きの反深さ方向から上記蓋周縁部に向けてレーザ光を照射し、上記環状溶接部により、上記蓋周縁部を上記開口周縁部に溶接する
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、複数の前記環状溶接部により、気密に溶接されてなり、
前記接合工程は、
上記環状溶接部を複数形成する
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項8】
請求項5~請求項7のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
前記ケース本体部材内に収容された前記電極体は、
上記ケース本体部材の深さ方向に見たとき、上記電極体のうち、上記深さ方向に直交する拡がり方向の外側に位置する環状の電極体外周縁部が、全周にわたり上記ケース本体部材の前記開口周縁部に重なる、上記拡がり方向の大きさを有しており、
前記収容工程は、
湾曲前開口周縁部を有し、前記開口よりも広い開口面積の広面積開口を有する湾曲前ケース本体部材内に、上記広面積開口を通じて上記電極体を収容する工程であり、
上記収容工程の後、前記接合工程の前に、上記電極体を収容した上記湾曲前ケース本体部材の上記湾曲前開口周縁部を、上記広面積開口の内側に湾曲させて、上記開口周縁部を形成する湾曲工程を備える
蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内に電極体が収容された蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直方体箱状のケース内に電極体が収容された角型電池が知られている。従来のケースは、矩形状の開口を有する有底角筒状のケース本体部材に、ケース本体部材の開口を閉塞する形態で、矩形状の蓋部材を溶接することにより形成している。具体的には、例えば、ケース本体部材の開口周縁部の内側に棚部を設け、この棚部の上に蓋部材の蓋周縁部を載せて、ケース本体部材の開口を蓋部材で塞ぐ。そして蓋部材の蓋周縁部とケース本体部材の開口周縁部との境界に、レーザ光を全周にわたり照射して、蓋周縁部と開口周縁部を溶接している。
【0003】
一方、特許文献1(図2図3及び図5参照)では、蓋部材の蓋周縁部を全周にわたってL字状に折り曲げ、この折り曲げた蓋周縁部をケース本体部材の開口周縁部の側方の外側に配置している。そして、側方からレーザ光を蓋周縁部に照射して、蓋周縁部をケース本体部材の開口周縁部に溶接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-038603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の従来技術では、蓋部材の蓋周縁部とケース本体部材の開口周縁部との境界にレーザ光を照射して溶接するために、溶接不良が生じ易い。具体的には、溶接後の蓋周縁部と開口周縁部の間に隙間が形成されることがある。また蓋周縁部と開口周縁部を接着により接合する場合も、接着後の蓋周縁部と開口周縁部の間に隙間が生じ易い。
一方、後者の従来技術では、蓋部材のL字状に折り曲げた蓋周縁部とケース本体部材の開口周縁部との間に、寸法公差上、隙間が生じるため、蓋周縁部を開口周縁部に適切に溶接するのが難しい。また蓋周縁部と開口周縁部を接着により接合する場合も、適切に接合するのが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、ケースの蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性が高い蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するための本発明の一態様は、ケースと、上記ケース内に収容された電極体と、を備え、上記ケースは、開口を有する有底筒状で内部に上記電極体を収容したケース本体部材と、上記開口を塞ぐ板状の蓋部材と、を有し、上記蓋部材は、上記ケース本体部材側を向く内面を含み、蓋周縁部が上記ケース本体部材の開口周縁部に全周にわたり接合されてなる蓄電デバイスであって、上記ケース本体部材の上記開口周縁部は、全周にわたり上記開口の内側に湾曲しており、上記蓋部材の上記蓋周縁部は、全周にわたり上記内面側に湾曲しており、上記開口周縁部の厚み方向外側に上記蓋周縁部が全周にかつ上記蓋部材の拡がり方向に拡がる環帯状範囲にわたり積層された状態で、上記蓋周縁部と上記開口周縁部とが気密に接合されてなる蓄電デバイスである。
【0008】
上述の蓄電デバイスでは、ケース本体部材の湾曲した開口周縁部の厚み方向外側に、蓋部材の湾曲した蓋周縁部が環帯状範囲にわたり積層された状態で、蓋周縁部と開口周縁部が気密に接合されている。このため、蓋周縁部と開口周縁部が確実に接合されており、蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性が高い蓄電デバイスとすることができる。
【0009】
なお、「蓄電デバイス」としては、例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池等の二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタなどが挙げられる。
また蓋部材の蓋周縁部とケース本体部材の開口周縁部との「接合」としては、例えば、溶接や接着などが挙げられる。更に接着としては、例えば、熱や紫外線により硬化する接着剤を用いた接着や、熱可塑性樹脂を用いた接着などが挙げられる。
【0010】
(2)更に(1)に記載の蓄電デバイスであって、前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、全周にわたって連なる一連で環状の環状溶接部により、気密に溶接されてなる蓄電デバイスとすると良い。
【0011】
上述の蓄電デバイスでは、蓋周縁部と開口周縁部が環状溶接部で気密に溶接されているので、特に蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性を高くすることができる。
【0012】
(3)更に(2)に記載の蓄電デバイスであって、前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、複数の前記環状溶接部により、気密に溶接されてなる蓄電デバイスとすると良い。
【0013】
上述の蓄電デバイスでは、蓋周縁部と開口周縁部が複数の環状溶接部で気密に溶接されているので、蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性を更に高くすることができる。
【0014】
(4)更に(1)~(3)のいずれかに記載の蓄電デバイスであって、前記ケース本体部材内に収容された前記電極体は、上記ケース本体部材の深さ方向に見たとき、上記電極体のうち、上記深さ方向に直交する拡がり方向の外側に位置する環状の電極体外周縁部が、全周にわたり上記ケース本体部材の前記開口周縁部に重なる、上記拡がり方向の大きさを有する蓄電デバイスとすると良い。
【0015】
上述の蓄電デバイスでは、電極体として、ケース本体部材の開口を通じては収容できないほどの、拡がり方向に大きな電極体を備えるので、蓄電デバイスの拡がり方向の面積当たりのデバイス容量を大きくすることができる。
【0016】
(5)更に(1)~(4)のいずれかに記載の蓄電デバイスであって、前記ケースは、直方体箱状で、矩形状の第1主壁部、上記第1主壁部に対向する矩形状の第2主壁部、及び、上記第1主壁部と上記第2主壁部との間を結び、ケース厚み方向に延びる矩形状の4つの側壁部を有し、前記ケース本体部材は、上記第2主壁部及び4つの上記側壁部をなし、前記蓋部材は、上記第1主壁部をなす蓄電デバイスとするのが好ましい。
【0017】
上述の蓄電デバイスは、ケースが直方体箱状である。このケースは、第2主壁部及び4つの側壁部をなすケース本体部材に、第1主壁部をなす蓋部材を接合したものであるため、後述するように蓄電デバイスを容易に製造でき、安価な蓄電デバイスとすることができる。
【0018】
(6)また他の態様は、ケースと、上記ケース内に収容された電極体と、を備え、上記ケースは、開口を有する有底筒状で内部に上記電極体を収容したケース本体部材と、上記開口を塞ぐ板状の蓋部材と、を有し、上記蓋部材は、上記ケース本体部材側を向く内面を含み、蓋周縁部が上記ケース本体部材の開口周縁部に全周にわたり接合されてなり、上記ケース本体部材の上記開口周縁部は、全周にわたり上記開口の内側に湾曲しており、上記蓋部材の上記蓋周縁部は、全周にわたり上記内面側に湾曲しており、上記開口周縁部の厚み方向外側に上記蓋周縁部が全周にかつ上記蓋部材の拡がり方向に拡がる環帯状範囲にわたり積層された状態で、上記蓋周縁部と上記開口周縁部とが気密に接合されてなる蓄電デバイスの製造方法であって、上記ケース本体部材内に上記電極体を収容する収容工程と、上記ケース本体部材及びこれに収容された上記電極体の上に上記蓋部材を被せ、湾曲した上記蓋周縁部を湾曲した上記開口周縁部に全周にわたり重ねて押し付けた状態で、上記蓋周縁部と上記開口周縁部とを全周にわたり気密に接合して、上記ケースを形成する接合工程と、を備える蓄電デバイスの製造方法である。
【0019】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、上述のように、接合工程で、蓋周縁部を開口周縁部に押し付けつつ、蓋周縁部と開口周縁部を全周にわたり気密に接合するので、蓋周縁部と開口周縁部を確実に気密に接合できる。従って、蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性が高い蓄電デバイスを製造できる。
【0020】
なお、接合工程で蓋周縁部を開口周縁部に押し付ける前の、蓋周縁部の湾曲の曲率半径Rfと開口周縁部の湾曲の曲率半径Roとは概ね等しく(Rf≒Ro)しておくのが好ましい。曲率半径Rfと曲率半径Roとがほぼ等しい(Rf≒Ro)の場合には、蓋周縁部を開口周縁部に押し付けたときに、蓋周縁部が開口周縁部に環帯状範囲にわたり積層された状態として、両者を適切に接合できる。
また、蓋周縁部の湾曲状態を変化させ得る材質の蓋部材を用いる場合には、蓋周縁部の曲率半径Rfが開口周縁部の曲率半径Roよりも小さい(Rf<Ro)関係とすることもできる。この場合には、蓋周縁部を開口周縁部に押し付けて蓋周縁部の曲率半径Rfを大きくして、開口周縁部の曲率半径Roにほぼ等しく(Rf≒Ro)することで、拡げた蓋周縁部が開口周縁部に環帯状範囲にわたり積層された状態として、両者を適切に接合できる。
【0021】
(7)更に(6)に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、全周にわたって連なる一連で環状の環状溶接部により、気密に溶接されてなり、前記接合工程は、前記ケース本体部材の深さ方向と反対向きの反深さ方向から上記蓋周縁部に向けてレーザ光を照射し、上記環状溶接部により、上記蓋周縁部を上記開口周縁部に溶接する蓄電デバイスの製造方法とすると良い。
【0022】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、蓋周縁部を開口周縁部に押し付けつつ、蓋周縁部にレーザ光を照射して、環状溶接部により蓋周縁部を開口周縁部に溶接するので、特に蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性を高くすることができる。
また特許文献1の手法では、ケース本体部材の側方から蓋周縁部にレーザ光を照射するため、ケースを回しながら1周溶接するか、1辺ずつ4辺を溶接する必要があり(特許文献1の図5等を参照)、生産性が低い。これに対し、上述の製造方法では、上述のように反深さ方向から蓋部材の蓋周縁部に向けてレーザ光を照射するので、容易に全周にわたり蓋周縁部を開口周縁部に溶接できる。
【0023】
なお、上述の溶接を仮溶接と本溶接に分けたり、二重に溶接するなど、溶接を複数回行う場合には、すべての溶接を、蓋周縁部を開口周縁部に押し付けた状態で行ってもよいし、例えば、最初の溶接のみを、蓋周縁部を開口周縁部に押し付けた状態で行い、その後の溶接は、外部の力で蓋周縁部を開口周縁部に押し付けることなく行ってもよい。
【0024】
(8)更に(7)に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、複数の前記環状溶接部により、気密に溶接されてなり、前記接合工程は、上記環状溶接部を複数形成する蓄電デバイスの製造方法とすると良い。
【0025】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、蓋周縁部と開口周縁部を溶接する環状溶接部を複数形成するので、蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性を更に高くすることができる。
【0026】
(9)更に(6)~(8)のいずれかに記載の蓄電デバイスの製造方法であって、前記ケース本体部材内に収容された前記電極体は、上記ケース本体部材の深さ方向に見たとき、上記電極体のうち、上記深さ方向に直交する拡がり方向の外側に位置する環状の電極体外周縁部が、全周にわたり上記ケース本体部材の前記開口周縁部に重なる、上記拡がり方向の大きさを有しており、前記収容工程は、湾曲前開口周縁部を有し、前記開口よりも広い開口面積の広面積開口を有する湾曲前ケース本体部材内に、上記広面積開口を通じて上記電極体を収容する工程であり、上記収容工程の後、前記接合工程の前に、上記電極体を収容した上記湾曲前ケース本体部材の上記湾曲前開口周縁部を、上記広面積開口の内側に湾曲させて、上記開口周縁部を形成する湾曲工程を備える蓄電デバイスの製造方法とすると良い。
【0027】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、まず、湾曲加工前の湾曲前開口周縁部を有し、開口面積の広い広面積開口を有する湾曲前ケース本体部材内に、広面積開口を通じて電極体を収容し、その後に湾曲工程を行って、湾曲した開口周縁部を有し、開口面積の狭い開口を有するケース本体部材を形成している。このため、狭い開口を通じては収容できないほどの、拡がり方向に大きな電極体をケース内に収容した蓄電デバイスを容易に製造できる。
【0028】
なお、湾曲前ケース本体部材の「湾曲前開口周縁部」の形態としては、広面積開口の内側への湾曲が全くない形態のほか、例えば、湾曲工程後の開口周縁部ほど湾曲していないが、既に少し広面積開口の内側へ湾曲している形態でもよい。
【0029】
(10)更に(6)~(9)のいずれかに記載の蓄電デバイスの製造方法であって、前記ケースは、直方体箱状で、矩形状の第1主壁部、上記第1主壁部に対向する矩形状の第2主壁部、及び、上記第1主壁部と上記第2主壁部との間を結び、ケース厚み方向に延びる矩形状の4つの側壁部を有し、前記ケース本体部材は、上記第2主壁部及び4つの上記側壁部をなし、前記蓋部材は、上記第1主壁部をなし、前記収容工程は、上記第2主壁部及び4つの上記側壁部をなす上記ケース本体部材内に、前記開口を通じて上記電極体を収容する蓄電デバイスの製造方法とするのが好ましい。
【0030】
上述の蓄電デバイスは、ケースが直方体箱状であり、収容工程では、第2主壁部及び4つの側壁部をなす有底角筒状のケース本体部材内に、開口を通じて電極体を収容する。このため、第1主壁部、第2主壁部及び3つの側壁部をなす有底角筒状のケース本体部材内に、電極体を収容する場合に比して、ケース本体部材の開口が大きいので、容易にケース本体部材内に電極体を収容でき、容易に蓄電デバイスを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係る電池の斜視図である。
図2】実施形態に係る電池の分解斜視図である。
図3】実施形態に係る電池のケース幅方向及びケース厚み方向に沿う、図1におけるA-A矢視断面図である。
図4】実施形態に係る電池のうち、環状溶接部近傍のケース幅方向及びケース厚み方向に沿う部分拡大断面図である。
図5】実施形態に係る電池のうち、ケース本体部材内に収容された電極体を、ケース本体部材の深さ方向に見た説明図である。
図6】実施形態に係る電極体の斜視図である。
図7】実施形態に係る電池の製造方法のフローチャートである。
図8】実施形態に係る電池の製造方法に関し、湾曲前ケース本体部材内に電極体を収容した様子を示す説明図である。
図9】実施形態に係る電池の製造方法に関し、湾曲前ケース本体部材の湾曲前開口周縁部を湾曲させて、開口周縁部を形成した様子を示す説明図である。
図10】実施形態に係る電池の製造方法に関し、蓋部材の蓋周縁部とケース本体部材の開口周縁部とをレーザ溶接する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に本実施形態に係る電池(蓄電デバイス)1の斜視図を、図2に電池1の分解斜視図を、図3に電池1の断面図を示す。また図4に電池1のうち、環状溶接部10y近傍の部分拡大断面図を示す。また図5にケース本体部材21内に収容された電極体50を、ケース本体部材の深さ方向に見た説明図を示す。また図6に電極体50の斜視図を示す。なお、以下では、ケース高さ方向AH、ケース幅方向BH、ケース厚み方向CH、電極体軸線方向DH、電極体幅方向EH及び電極体厚み方向FHを、図1図6に示す方向と定めて説明する。この電池1は、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、電気自動車等の車両などに搭載される角型(直方体状)で密閉型のリチウムイオン二次電池である。
【0033】
この電池1は、ケース10と、ケース10内に収容された扁平状捲回型の電極体50と、ケース10にそれぞれ支持された正極端子(電極端子)60及び負極端子(電極端子)70等から構成されている。電極体50は、ケース10内で、絶縁フィルムからなる袋状の図示しない絶縁ホルダに覆われている。またケース10内には、電解液3が収容されており、その一部は電極体50内に含浸され、残りはケース10の底壁部である第2側壁部14上に溜まっている。
【0034】
このうちケース10は、金属(本実施形態ではアルミニウム)からなる。このケース10は、直方体箱状であり、各々矩形状をなす第1主壁部11、第2主壁部12及び4つの側壁部13~16(第1側壁部13、第2側壁部14、第3側壁部15及び第4側壁部16)を有する。
第1主壁部11及び第2主壁部12は、側壁部13~16よりも面積が広い。第1主壁部11及び第2主壁部12は互いに対向しており、第1主壁部11がケース厚み方向CHの一方側CH1(図1及び図2中、右手前側、図3中、上側)、第2主壁部12はケース厚み方向CHの他方側CH2(図1及び図2中、左奥側、図3中、下側)に位置する。
【0035】
一方、側壁部13~16は、第1主壁部11と第2主壁部12の間を結んで、ケース厚み方向CHにそれぞれ延びている。第1側壁部13と第2側壁部14は互いに対向しており、第1側壁部13がケース高さ方向AHの上側AH1、第2側壁部14がケース高さ方向AHの下側AH2に位置する。また第3側壁部15と第4側壁部16は互いに対向しており、第3側壁部15がケース幅方向BHの一方側BH1、第4側壁部16がケース幅方向BHの他方側BH2に位置する。
【0036】
ケース10の上壁部でもある第1側壁部13には、ケース10の内圧が開弁圧を超えたときに破断して開弁する安全弁17が設けられている。また第1側壁部13には、ケース10の内外を連通する注液孔13kが設けられており、アルミニウムからなる円板状の封止部材18で気密に封止されている。
更に第1側壁部13のうち、ケース幅方向BHの一方側BH1の端部近傍には、正極端子60が固設されている。具体的には、正極端子60は、アルミニウムからなる複数の金属部材を加締め接続してなり、複数の樹脂部材からなる樹脂部65を介して、第1側壁部13と絶縁された状態で第1側壁部13に固設されている。この正極端子60は、ケース10内で、電極体50の正極集電部50cに接続し導通する一方、第1側壁部13を貫通してケース10外まで延びている。
【0037】
また第1側壁部13のうち、ケース幅方向BHの他方側BH2の端部近傍には、負極端子70が固設されている。具体的には、負極端子70は、銅からなる複数の金属部材を加締め接続してなり、複数の樹脂部材からなる樹脂部75を介して、第1側壁部13と絶縁された状態で第1側壁部13に固設されている。この負極端子70は、ケース10内で、電極体50の負極集電部50dに接続し導通する一方、第1側壁部13を貫通してケース10外まで延びている。
【0038】
このケース10は、矩形状の開口21cを有する有底角筒状で、内部に電極体50を収容したケース本体部材21と、ケース本体部材21の開口21cを塞ぐ矩形状の蓋部材31とから構成されている。このうちケース本体部材21は、前述の第2主壁部12及び4つの側壁部13~16をなしている。一方、蓋部材31は、前述の第1主壁部11をなしており、ケース本体部材21側を向く内面31nと、内面31nの反対側でケース10の外側を向く外面31mとを有する。
【0039】
蓋部材31の蓋周縁部31fとケース本体部材21の開口周縁部21fとは、全周にわたり気密に接合されている。具体的には、ケース本体部材21の開口周縁部21fは、全周にわたり開口21cの内側GH1に湾曲している。また蓋部材31の蓋周縁部31fは、全周にわたり内面31n側に湾曲している。蓋周縁部31fの曲率半径Rfと開口周縁部21fの曲率半径Roとは、概ね等しくなっている(Rf≒Ro)。そして、開口周縁部21fの厚み方向外側IH1に蓋周縁部31fが全周にかつ蓋部材31の拡がり方向LHに拡がる環帯状範囲SRにわたり積層された状態で、蓋周縁部31fと開口周縁部21fが気密に接合されている。詳細には、蓋周縁部31fと開口周縁部21fは、全周にわたって連なる一連で環状の複数(本実施形態では2つ)の環状溶接部10y(第1環状溶接部10y1及び第2環状溶接部10y2)により、二重に溶接されている。
【0040】
次に電極体50について説明する(図6図1図3及び図5参照)。この電極体50は、帯状の正極板(電極板)51と帯状の負極板(電極板)54とを、帯状で樹脂製の多孔質膜からなる一対のセパレータ57を介して互いに重ね、捲回軸線DXの周りに円筒状に捲回した後、扁平状にプレスしたものである。即ち、電極体50は、電極体幅方向EHの両端部にそれぞれ位置する一対の電極R部50rと、これらの間に位置する電極積層部50eとを有する。電極R部50rは、正極板51、負極板54及びセパレータ57が半円筒状に屈曲しつつ重なった半円柱状の部位である。一方、電極積層部50eは、正極板51、負極板54及びセパレータ57が平板状に電極体厚み方向FHに積層された直方体状の部位である。更に電極体50は、捲回軸線DXに沿う電極体軸線方向DHの一方側DH1の端部に、後述する正極集電部50cを、電極体軸線方向DHの他方側DH2の端部に、後述する負極集電部50dを有する。
【0041】
正極板51は、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔52を有する。この正極集電箔52の両主面上には、それぞれリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子を含む正極活物質層53が帯状に形成されている。正極板51のうち、幅方向の片方の端部は、正極集電箔52上に正極活物質層53が存在せず、正極集電箔52が露出している。この正極集電箔52の露出部は、電極体50において、電極積層部50eから電極体軸線方向DHの一方側DH1に渦巻き状をなして突出し、前述の正極集電部50cを形成している。正極集電部50cは、正極端子60と接続している。
【0042】
負極板54は、帯状の銅箔からなる負極集電箔55を有する。この負極集電箔55の両主面上には、それぞれリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質粒子を含む負極活物質層56が帯状に形成されている。負極板54のうち、幅方向の片方の端部は、負極集電箔55上に負極活物質層56が存在せず、負極集電箔55が露出している。この負極集電箔55の露出部は、電極体50において、電極積層部50eから電極体軸線方向DHの他方側DH2に渦巻き状をなして突出し、前述の負極集電部50dを形成している。負極集電部50dは、負極端子70と接続している。
【0043】
電極体50は、電極体軸線方向DHがケース幅方向BHに平行で、電極体幅方向EHがケース高さ方向AHに平行で、電極体厚み方向FHがケース厚み方向CHに平行となる姿勢で、ケース10内に収容されている。この電極体50は、ケース本体部材21の開口21cを通じては収容できないほどの大きさを有する(図5参照)。具体的には、ケース本体部材21内に収容された電極体50をケース本体部材21の深さ方向JH1に見たとき、電極体50のうち、深さ方向JH1に直交する拡がり方向KHの外側KH1に位置する環状の電極体外周縁部50fが、全周にわたりケース本体部材21の湾曲した開口周縁部21fに重なる、拡がり方向KHの大きさを有する。
【0044】
以上で説明したように、電池1は、ケース本体部材21の湾曲した開口周縁部21fの厚み方向外側IH1に、蓋部材31の湾曲した蓋周縁部31fが環帯状範囲SRにわたり積層された状態で、蓋周縁部31fと開口周縁部21fが気密に接合されている。このため、蓋周縁部31fと開口周縁部21fが確実に接合されており、蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性が高い電池1とすることができる。
【0045】
更に電池1では、蓋周縁部31fと開口周縁部21fが環状溶接部10yで気密に溶接されているので、特に蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性を高くすることができる。更に環状溶接部10yが複数形成されているので(第1環状溶接部10y1及び第2環状溶接部10y2)、蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性を更に高くすることができる。
【0046】
また本実施形態では、電極体として、ケース本体部材21の開口21cを通じては収容できないほどの、拡がり方向KHに大きい電極体50を備えるので、電池1の拡がり方向KHの面積当たりの電池容量を大きくすることができる。
また本実施形態では、ケース10が、直方体箱状であり、第2主壁部12及び4つの側壁部13~16をなすケース本体部材21に、第1主壁部11をなす蓋部材31を接合したものであるため、後述するように自己圧縮型の電池1を容易に製造でき、安価な電池1とすることができる。
【0047】
次いで、電池1の製造方法について説明する(図7図10参照)。まず未だ湾曲加工がなされていない湾曲前開口周縁部21Zfを有しており、前述のケース本体部材21の開口21cよりも開口面積が広い広面積開口21Zcを有する湾曲前ケース本体部材21Zを用意する(図8参照)。本実施形態では、湾曲前ケース本体部材21Zの湾曲前開口周縁部21Zfは、広面積開口21Zcの内側GH1への湾曲が全くなく、ケース厚み方向CHに真っ直ぐ延びている。それ以外の部位について、湾曲前ケース本体部材21Zは、ケース本体部材21と同様の形態を有する。そして、この湾曲前ケース本体部材21Zに正極端子60及び負極端子70を固設しておく。
また蓋部材31を用意する。この蓋部材31は、プレス加工(曲げ加工)により、蓋周縁部31fを全周にわたり内面31n側に湾曲させておく(図10参照)。
また電極体50を形成し、電極体50を袋状の絶縁ホルダ(不図示)で包んでおく。
【0048】
そして「収容工程S1」(図7参照)において、正極端子60及び負極端子70を固設した湾曲前ケース本体部材21Z内に、絶縁ホルダで包んだ電極体50を収容する(図8参照)。具体的には、押圧装置500の平坦な載置台510の上に、湾曲前ケース本体部材21Zを、その第2主壁部12が載置台510に当接し、広面積開口21Zcが上方を向く姿勢で載置する。その後、広面積開口21Zcを通じて湾曲前ケース本体部材21Z内に、電極体50を電極体軸線方向DHがケース幅方向BHに平行で、電極体幅方向EHがケース高さ方向AHに平行で、電極体厚み方向FHがケース厚み方向CHに平行となる姿勢で収容する。湾曲前ケース本体部材21Zの広面積開口21Zcは、前述のケース本体部材21の開口21cよりも開口面積が広いため、ケース本体部材21の開口21cを通じては収容できない、拡がり方向KHの大きい電極体50を収容できる。
その後、電極体50の正極集電部50cと湾曲前ケース本体部材21Zに固設された正極端子60とを、レーザ溶接により接続する。また電極体50の負極集電部50dと湾曲前ケース本体部材21Zに固設された負極端子70を、レーザ溶接により接続する。
【0049】
次に「湾曲工程S2」(図7参照)において、電極体50を収容した湾曲前ケース本体部材21Zの湾曲前開口周縁部21Zfを、広面積開口21Zcの内側GH1に湾曲させて、開口周縁部21fを形成する(図9参照)。具体的には、湾曲前開口周縁部21Zfについて、プレス加工(曲げ加工)を行って、広面積開口21Zcの内側GH1に湾曲させて、開口周縁部21fを形成する。この開口周縁部21fの曲率半径Roは、別途用意する蓋部材31の蓋周縁部31fの曲率半径Rfと概ね等しくする(Rf≒Ro)。これにより、開口周縁部21fが湾曲し、広面積開口21Zcよりも開口面積の狭い開口21cを有するケース本体部材21が形成される。
【0050】
次に「接合工程S3」(図7参照)において、ケース本体部材21及びこれに収容された電極体50の上に、蓋部材31を被せる(図10参照)。続いて、湾曲した蓋周縁部31fを湾曲した開口周縁部21fに全周にわたり重ねて押し付ける。具体的には、押圧装置500の押圧部520を蓋部材31がなす第1主壁部11に当接させ、押圧部520と載置台510の間に蓋部材31及びケース本体部材21を挟んで、第1主壁部11及び第2主壁部12に外部の力Faを掛ける。このように蓋周縁部31fを開口周縁部21fに全周にわたり重ねて押し付けることにより、蓋周縁部31fが開口周縁部21fに環帯状範囲SRにわたり積層された状態となる。
【0051】
続いて押圧装置500によって蓋周縁部31fを開口周縁部21fに押し付けた状態で、蓋周縁部31fと開口周縁部21fを全周にわたり気密に接合して、ケース10を形成する。本実施形態では、ケース本体部材21の深さ方向JH1(図10中、下方)と反対向きの反深さ方向JH2(図10中、上方)から蓋周縁部31fに向けてレーザ光LBを照射し、蓋周縁部31f及び開口周縁部21fの全周にわたって連なる一連で環状の第1環状溶接部10y1により、蓋周縁部31fを開口周縁部21fに溶接する。その後に更に、反深さ方向JH2から蓋周縁部31fに向けてレーザ光LBを照射し、全周にわたって連なる一連で環状の第2環状溶接部10y2により、蓋周縁部31fを開口周縁部21fに溶接する。これにより、蓋周縁部31fと開口周縁部21fを確実に気密に接合できる。その後、押圧装置500の押圧部520を蓋部材31から遠ざけて、外部の力Faを解除する。
【0052】
次に「注液・封止工程S4」(図7参照)において、電解液3を注液孔13kを通じてケース10内に注液し、電解液3を電極体50内に含浸させる。その後、注液孔13kを外部から封止部材18で覆い、封止部材18をケース10にレーザ溶接して、封止部材18とケース10の間を気密に封止する。
次に「初充電・エージング工程S5」において、この電池1に充電装置(不図示)を接続して、電池1に初充電を行う。その後、初充電した電池1を所定時間にわたり静置して、電池1をエージングする。かくして、電池1が完成する。
【0053】
本実施形態の電池1の製造方法では、前述のように、接合工程S3で、蓋周縁部31fを開口周縁部21fに押し付けつつ、蓋周縁部31fと開口周縁部21fを全周にわたり気密に接合するので、蓋周縁部31fと開口周縁部21fを確実に気密に接合できる。従って、蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性が高い電池1を製造できる。
【0054】
更に本実施形態では、蓋周縁部31fを開口周縁部21fに押し付けつつ、蓋周縁部31fにレーザ光LBを照射して、環状溶接部10yにより蓋周縁部31fを開口周縁部21fに溶接するので、特に蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性を高くすることができる。また、反深さ方向JH2から蓋周縁部31fに向けてレーザ光LBを照射するので、容易に全周にわたり蓋周縁部31fを開口周縁部21fに溶接できる。また蓋周縁部31fと開口周縁部21fを溶接する環状溶接部10yを複数形成するので(第1環状溶接部10y1及び第2環状溶接部10y2)、蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性を更に高くすることができる。
【0055】
また本実施形態では、まず、湾曲加工前の湾曲前開口周縁部21Zfを有し、開口面積の広い広面積開口21Zcを有する湾曲前ケース本体部材21Z内に、広面積開口21Zcを通じて電極体50を収容し、その後に湾曲工程S2を行って、湾曲した開口周縁部21fを有し、開口面積の狭い開口21cを有するケース本体部材21を形成している。このため、狭い開口21cを通じては収容できないほどの、拡がり方向KHに大きな電極体50をケース10内に収容した電池1を容易に製造できる。
【0056】
また本実施形態では、電池1のケース10が直方体箱状であり、収容工程S1では、第2主壁部12及び4つの側壁部13~16をなす有底角筒状のケース本体部材(湾曲前ケース本体部材21Z)内に、開口(広面積開口21Zc)を通じて電極体50を収容する。このため、第1主壁部11、第2主壁部12及び3つの側壁部(第2側壁部14、第3側壁部15及び第4側壁部16)をなすケース本体部材内に、電極体50を収容する場合に比して、開口(広面積開口21Zc)が大きいので、容易にケース本体部材(湾曲前ケース本体部材21Z)内に電極体50を収容でき、容易に電池1を製造できる。
【0057】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば実施形態では、電極体として、偏平状捲回型の電極体50を例示したが、これに限られない。電極体は、例えば、複数の矩形状の正極板(電極板)と複数の矩形状の負極板(電極板)とを、それぞれ矩形状のセパレータを介して積層した積層型の電極体でもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 電池(蓄電デバイス)
10 ケース
10y 環状溶接部
10y1 第1環状溶接部
10y2 第2環状溶接部
11 第1主壁部
12 第2主壁部
13 第1側壁部(上壁部)
14 第2側壁部(底壁部)
15 第3側壁部
16 第4側壁部
21 ケース本体部材
21c 開口
21f 開口周縁部
21Z 湾曲前ケース本体部材
21Zc 広面積開口
21Zf 湾曲前開口周縁部
31 蓋部材
31n (蓋部材の)内面
31f 蓋周縁部
50 電極体
50e 電極積層部
50f 電極体外周縁部
51 正極板(電極板)
54 負極板(電極板)
60 正極端子(電極端子)
70 負極端子(電極端子)
CH ケース厚み方向
FH 電極体厚み方向
GH1(ケース本体部材の開口の)内側
IH1 (開口周縁部の)厚み方向外側
JH1 (ケース本体部材の)深さ方向
JH2 (ケース本体部材の)反深さ方向
KH (深さ方向に直交する)拡がり方向
KH1 (拡がり方向の)外側
LH (蓋部材の)拡がり方向
SR 環帯状範囲
LB レーザ光
S1 収容工程
S2 湾曲工程
S3 接合工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10