(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125706
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/103 20210101AFI20240911BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240911BHJP
H01M 50/131 20210101ALI20240911BHJP
H01M 50/169 20210101ALI20240911BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240911BHJP
H01M 50/166 20210101ALI20240911BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20240911BHJP
H01G 11/06 20130101ALI20240911BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240911BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20240911BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/131
H01M50/169
H01M10/04 W
H01M50/166
H01M10/04 Z
H01M10/058
H01G11/06
H01G11/78
H01G11/84
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033706
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA12
5E078AA14
5E078AB06
5E078AB13
5E078HA05
5E078LA07
5H011AA09
5H011DD06
5H011DD13
5H011FF03
5H028BB04
5H028BB05
5H028CC08
5H028CC12
5H028CC24
5H029AJ14
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ03
5H029CJ05
5H029DJ02
(57)【要約】
【課題】ケースの蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性が高い蓄電デバイス等を提供すること。
【解決手段】蓄電デバイス1は、直方体箱状のケース10とこれに収容された電極体50とを備える。ケース10のケース本体部材21の開口周縁部21fは、開口21cの内側GH1に湾曲しており、蓋部材31の蓋周縁部31fは、内面31n側に湾曲しており、開口周縁部21fの厚み方向外側IH1に蓋周縁部31fが環帯状範囲SRにわたり積層された状態で、蓋周縁部31fと開口周縁部21fとが気密に接合されてなる。またケース10が有する弾性により、ケース10の第1主壁部11と第2主壁部12とで、電極体50の電極積層部50eを電極体厚み方向FHに弾性的に圧縮してなる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体箱状のケースと、
上記ケース内に収容された電極体と、を備え、
上記ケースは、
矩形状の第1主壁部、上記第1主壁部に対向する矩形状の第2主壁部、及び、上記第1主壁部と上記第2主壁部との間を結び、ケース厚み方向に延びる矩形状の4つの側壁部を有し、
上記ケースは、
上記第2主壁部及び4つの上記側壁部をなし、矩形状の開口を有する有底角筒状で、内部に上記電極体を収容したケース本体部材と、
上記第1主壁部をなし、上記開口を塞ぐ矩形状の蓋部材と、を有し、
上記蓋部材は、
上記ケース本体部材側を向く内面を含み、
蓋周縁部が上記ケース本体部材の開口周縁部に全周にわたり接合されてなり、
上記電極体は、
電極板が電極体厚み方向に積層された直方体状の電極積層部を有し、
上記電極体厚み方向が上記ケース厚み方向に平行となる姿勢で上記ケース本体部材内に収容されてなる
蓄電デバイスであって、
上記ケース本体部材の上記開口周縁部は、全周にわたり上記開口の内側に湾曲しており、
上記蓋部材の上記蓋周縁部は、全周にわたり上記内面側に湾曲しており、
上記開口周縁部の厚み方向外側に上記蓋周縁部が全周にかつ上記蓋部材の拡がり方向に拡がる環帯状範囲にわたり積層された状態で、上記蓋周縁部と上記開口周縁部とが気密に接合されてなり、
上記ケースが有する弾性により、上記第1主壁部と上記第2主壁部とで、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に弾性的に圧縮してなる
蓄電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電デバイスであって、
前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、全周にわたって連なる一連で環状の環状溶接部により、気密に溶接されてなる
蓄電デバイス。
【請求項3】
直方体箱状のケースと、
上記ケース内に収容された電極体と、を備え、
上記ケースは、
矩形状の第1主壁部、上記第1主壁部に対向する矩形状の第2主壁部、及び、上記第1主壁部と上記第2主壁部との間を結び、ケース厚み方向に延びる矩形状の4つの側壁部を有し、
上記ケースは、
上記第2主壁部及び4つの上記側壁部をなし、矩形状の開口を有する有底角筒状で、内部に上記電極体を収容したケース本体部材と、
上記第1主壁部をなし、上記開口を塞ぐ矩形状の蓋部材と、を有し、
上記蓋部材は、
上記ケース本体部材側を向く内面を含み、
蓋周縁部が上記ケース本体部材の開口周縁部に全周にわたり接合されてなり、
上記電極体は、
電極板が電極体厚み方向に積層された直方体状の電極積層部を有し、
上記電極体厚み方向が上記ケース厚み方向に平行となる姿勢で上記ケース本体部材内に収容されてなり、
上記ケース本体部材の上記開口周縁部は、全周にわたり上記開口の内側に湾曲しており、
上記蓋部材の上記蓋周縁部は、全周にわたり上記内面側に湾曲しており、
上記開口周縁部の厚み方向外側に上記蓋周縁部が全周にかつ上記蓋部材の拡がり方向に拡がる環帯状範囲にわたり積層された状態で、上記蓋周縁部と上記開口周縁部とが気密に接合されてなり、
上記ケースが有する弾性により、上記第1主壁部と上記第2主壁部とで、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に弾性的に圧縮してなる
蓄電デバイスの製造方法であって、
上記ケース本体部材内に上記電極体を収容する収容工程と、
上記ケース本体部材及びこれに収容された上記電極体の上に上記蓋部材を被せ、
上記蓋部材がなす上記第1主壁部と上記ケース本体部材の上記第2主壁部との間を狭めて、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に圧縮すると共に、湾曲した上記蓋周縁部を湾曲した上記開口周縁部に全周にわたり重ねて押し付けた状態で、
上記蓋周縁部と上記開口周縁部とを全周にわたり気密に接合して、上記ケースを形成する
接合工程と、を備える
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、全周にわたって連なる一連で環状の環状溶接部により、気密に溶接されてなり、
前記接合工程は、
前記ケース本体部材の深さ方向と反対向きの反深さ方向から上記蓋周縁部に向けてレーザ光を照射し、上記環状溶接部により、上記蓋周縁部を上記開口周縁部に溶接する
蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直方体箱状のケース内に電極体が収容された角型の蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直方体箱状のケース内に電極体が収容された角型電池が知られている。従来のケースは、矩形状の開口を有する有底角筒状のケース本体部材に、ケース本体部材の開口を閉塞する形態で、矩形状の蓋部材を溶接することにより形成している。具体的には、例えば、ケース本体部材の開口周縁部の内側に棚部を設け、この棚部の上に蓋部材の蓋周縁部を載せて、ケース本体部材の開口を蓋部材で塞ぐ。そして蓋部材の蓋周縁部とケース本体部材の開口周縁部との境界に、レーザ光を全周にわたり照射して、蓋周縁部と開口周縁部を溶接している。
【0003】
一方、特許文献1(
図2、
図3及び
図5参照)では、蓋部材の蓋周縁部を全周にわたってL字状に折り曲げ、この折り曲げた蓋周縁部をケース本体部材の開口周縁部の側方の外側に配置している。そして、側方からレーザ光を蓋周縁部に照射して、蓋周縁部をケース本体部材の開口周縁部に溶接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の従来技術では、蓋部材の蓋周縁部とケース本体部材の開口周縁部との境界にレーザ光を照射して溶接するために、溶接不良が生じ易い。具体的には、溶接後の蓋周縁部と開口周縁部の間に隙間が形成されることがある。また蓋周縁部と開口周縁部を接着により接合する場合も、接着後の蓋周縁部と開口周縁部の間に隙間が生じ易い。
一方、後者の従来技術では、蓋部材のL字状に折り曲げた蓋周縁部とケース本体部材の開口周縁部間に、寸法公差上、隙間が生じるため、蓋周縁部を開口周縁部に適切に溶接するのが難しい。また蓋周縁部と開口周縁部を接着により接合する場合も、適切に接合するのが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、ケースの蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性が高い蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するための本発明の一態様は、直方体箱状のケースと、上記ケース内に収容された電極体と、を備え、上記ケースは、矩形状の第1主壁部、上記第1主壁部に対向する矩形状の第2主壁部、及び、上記第1主壁部と上記第2主壁部との間を結び、ケース厚み方向に延びる矩形状の4つの側壁部を有し、上記ケースは、上記第2主壁部及び4つの上記側壁部をなし、矩形状の開口を有する有底角筒状で、内部に上記電極体を収容したケース本体部材と、上記第1主壁部をなし、上記開口を塞ぐ矩形状の蓋部材と、を有し、上記蓋部材は、上記ケース本体部材側を向く内面を含み、蓋周縁部が上記ケース本体部材の開口周縁部に全周にわたり接合されてなり、上記電極体は、電極板が電極体厚み方向に積層された直方体状の電極積層部を有し、上記電極体厚み方向が上記ケース厚み方向に平行となる姿勢で上記ケース本体部材内に収容されてなる蓄電デバイスであって、上記ケース本体部材の上記開口周縁部は、全周にわたり上記開口の内側に湾曲しており、上記蓋部材の上記蓋周縁部は、全周にわたり上記内面側に湾曲しており、上記開口周縁部の厚み方向外側に上記蓋周縁部が全周にかつ上記蓋部材の拡がり方向に拡がる環帯状範囲にわたり積層された状態で、上記蓋周縁部と上記開口周縁部とが気密に接合されてなり、上記ケースが有する弾性により、上記第1主壁部と上記第2主壁部とで、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に弾性的に圧縮してなる蓄電デバイスである。
【0008】
上述の蓄電デバイスでは、ケース本体部材の湾曲した開口周縁部の厚み方向外側に、蓋部材の湾曲した蓋周縁部が環帯状範囲にわたり積層された状態で、蓋周縁部と開口周縁部が気密に接合されている。このため、蓋周縁部と開口周縁部が確実に接合されており、蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性が高い蓄電デバイスとすることができる。
更に上述の蓄電デバイスは、ケースが有する弾性により、ケースの第1主壁部と第2主壁部とで、電極体の電極積層部を電極体厚み方向に弾性的に圧縮している。即ち、この蓄電デバイスは、蓄電デバイス自身によって電極体の電極積層部を弾性的に圧縮している自己圧縮型である。このため、蓄電デバイスの使用に際して別途、拘束部材を用いなくて済む、或いは、簡易な拘束部材による外部拘束で足りる。
またケースが、第2主壁部及び4つの側壁部をなすケース本体部材に、第1主壁部をなす蓋部材を接合したものであるため、後述するように自己圧縮型の蓄電デバイスを容易に製造でき、安価な蓄電デバイスとすることができる。
【0009】
なお、「蓄電デバイス」としては、例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池等の二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタなどが挙げられる。
また蓋部材の蓋周縁部とケース本体部材の開口周縁部との「接合」としては、例えば、溶接や接着などが挙げられる。更に接着としては、例えば、熱や紫外線により硬化する接着剤を用いた接着や、熱可塑性樹脂を用いた接着などが挙げられる。
また上述の蓄電デバイスにおいて、ケースの第1主壁部と電極体の電極積層部との間や、ケースの第2主壁部と電極体の電極積層部との間に、金属製や樹脂製の、平板や波板などからなる介在部材が介在していてもよい。
【0010】
(2)更に(1)に記載の蓄電デバイスであって、前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、全周にわたって連なる一連で環状の環状溶接部により、気密に溶接されてなる蓄電デバイスとすると良い。
【0011】
上述の蓄電デバイスでは、蓋周縁部と開口周縁部が環状溶接部で気密に溶接されているので、特に蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性を高くすることができる。
【0012】
(3)更に(2)に記載の蓄電デバイスであって、前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、複数の前記環状溶接部により、気密に溶接されてなる蓄電デバイスとするのが好ましい。
【0013】
上述の蓄電デバイスでは、蓋周縁部と開口周縁部が複数の環状溶接部で気密に溶接されているので、蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性を更に高くすることができる。
【0014】
(4)また他の態様は、直方体箱状のケースと、上記ケース内に収容された電極体と、を備え、上記ケースは、矩形状の第1主壁部、上記第1主壁部に対向する矩形状の第2主壁部、及び、上記第1主壁部と上記第2主壁部との間を結び、ケース厚み方向に延びる矩形状の4つの側壁部を有し、上記ケースは、上記第2主壁部及び4つの上記側壁部をなし、矩形状の開口を有する有底角筒状で、内部に上記電極体を収容したケース本体部材と、上記第1主壁部をなし、上記開口を塞ぐ矩形状の蓋部材と、を有し、上記蓋部材は、上記ケース本体部材側を向く内面を含み、蓋周縁部が上記ケース本体部材の開口周縁部に全周にわたり接合されてなり、上記電極体は、電極板が電極体厚み方向に積層された直方体状の電極積層部を有し、上記電極体厚み方向が上記ケース厚み方向に平行となる姿勢で上記ケース本体部材内に収容されてなり、上記ケース本体部材の上記開口周縁部は、全周にわたり上記開口の内側に湾曲しており、上記蓋部材の上記蓋周縁部は、全周にわたり上記内面側に湾曲しており、上記開口周縁部の厚み方向外側に上記蓋周縁部が全周にかつ上記蓋部材の拡がり方向に拡がる環帯状範囲にわたり積層された状態で、上記蓋周縁部と上記開口周縁部とが気密に接合されてなり、上記ケースが有する弾性により、上記第1主壁部と上記第2主壁部とで、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に弾性的に圧縮してなる蓄電デバイスの製造方法であって、上記ケース本体部材内に上記電極体を収容する収容工程と、上記ケース本体部材及びこれに収容された上記電極体の上に上記蓋部材を被せ、上記蓋部材がなす上記第1主壁部と上記ケース本体部材の上記第2主壁部との間を狭めて、上記電極体の上記電極積層部を上記電極体厚み方向に圧縮すると共に、湾曲した上記蓋周縁部を湾曲した上記開口周縁部に全周にわたり重ねて押し付けた状態で、上記蓋周縁部と上記開口周縁部とを全周にわたり気密に接合して、上記ケースを形成する接合工程と、を備える蓄電デバイスの製造方法である。
【0015】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、上述のように、接合工程で、蓋周縁部を開口周縁部に重ねて押し付けつつ、蓋周縁部と開口周縁部を気密に接合するので、蓋周縁部と開口周縁部を確実に気密に接合できる。従って、蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性が高い蓄電デバイスを製造できる。
また従来の角型電池では、ケースの第1主壁部、第2主壁部及び3つの側壁部をなす有底角筒状のケース本体部材と、1つの側壁部をなす蓋部材とにより、ケースを構成している。このような形態の電池では、自己圧縮型の電池を製造するのが難しい。ケース本体部材の第1主壁部と第2主壁部の間隙は、組立後の電池において電極体を押圧し圧縮するべく、電極体の厚み、或いは前述の介在部材がある電池では、電極体及び介在部材を合わせた厚みよりも狭くするため、ケース本体部材内に電極体等を挿入するのが難しいからである。
これに対し、上述の蓄電デバイスの製造方法では、収容工程で、まず第2主壁部及び4つの側壁部をなす有底角筒状のケース本体部材内に、電極体を収容するので、容易にケース本体部材内に電極体を収容できる。そしてその後、上述の接合工程を行うことにより、蓄電デバイス自身によって電極体の電極積層部を弾性的に圧縮した自己圧縮型の蓄電デバイスを、容易に製造できる。
【0016】
なお、接合工程で蓋周縁部を開口周縁部に押し付ける前の、蓋周縁部の湾曲の曲率半径Rfと開口周縁部の湾曲の曲率半径Roとは概ね等しく(Rf≒Ro)しておくのが好ましい。曲率半径Rfと曲率半径Roとがほぼ等しい(Rf≒Ro)の場合には、蓋周縁部を開口周縁部に押し付けたときに、蓋周縁部が開口周縁部に環帯状範囲にわたり積層された状態として、両者を適切に接合できる。
また、蓋周縁部の湾曲状態を変化させ得る材質の蓋部材を用いる場合には、蓋周縁部の曲率半径Rfが開口周縁部の曲率半径Roよりも小さい(Rf<Ro)関係とすることもできる。この場合には、蓋周縁部を開口周縁部に押し付けて蓋周縁部の曲率半径Rfを大きくして、開口周縁部の曲率半径Roにほぼ等しく(Rf≒Ro)することで、拡げた蓋周縁部が開口周縁部に環帯状範囲にわたり積層された状態として、両者を適切に接合できる。
【0017】
(5)更に(4)に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、全周にわたって連なる一連で環状の環状溶接部により、気密に溶接されてなり、前記接合工程は、前記ケース本体部材の深さ方向と反対向きの反深さ方向から上記蓋周縁部に向けてレーザ光を照射し、上記環状溶接部により、上記蓋周縁部を上記開口周縁部に溶接する蓄電デバイスの製造方法とすると良い。
【0018】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、蓋周縁部を開口周縁部に押し付けつつ、蓋周縁部にレーザ光を照射して、環状溶接部により蓋周縁部を開口周縁部に溶接するので、特に蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性を高くすることができる。
また特許文献1の手法では、ケース本体部材の側方から蓋周縁部にレーザ光を照射するため、ケースを回しながら1周溶接するか、1辺ずつ4辺を溶接する必要があり(特許文献1の
図5等を参照)、生産性が低い。これに対し、上述の製造方法では、上述のように反深さ方向から蓋部材の蓋周縁部に向けてレーザ光を照射するので、容易に全周にわたり蓋周縁部を開口周縁部に溶接できる。
【0019】
なお、上述の溶接を仮溶接と本溶接に分けたり、二重に溶接するなど、溶接を複数回行う場合には、すべての溶接を、蓋周縁部を開口周縁部に押し付けた状態で行ってもよいし、例えば、最初の溶接のみを、蓋周縁部を開口周縁部に押し付けた状態で行い、その後の溶接は、外部の力で蓋周縁部を開口周縁部に押し付けることなく行ってもよい。
【0020】
(6)更に(5)に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、前記蓋周縁部と前記開口周縁部とは、複数の前記環状溶接部により、気密に溶接されてなり、前記接合工程は、上記環状溶接部を複数形成する蓄電デバイスの製造方法とするのが好ましい。
【0021】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、蓋周縁部と開口周縁部を溶接する環状溶接部を複数形成するので、蓋部材とケース本体部材の封止の信頼性を更に高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】実施形態に係る電池のケース幅方向及びケース厚み方向に沿う、
図1におけるA-A矢視断面図である。
【
図4】実施形態に係る電池のうち、環状溶接部近傍のケース幅方向及びケース厚み方向に沿う部分拡大断面図である。
【
図6】実施形態に係る電池の製造方法のフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る電池の製造方法に関し、ケース本体部材内に電極体を収容した様子を示す説明図である。
【
図8】実施形態に係る電池の製造方法に関し、蓋部材を被せ、電極体を電極体厚み方向に押圧する様子を示す説明図である。
【
図9】実施形態に係る電池の製造方法に関し、蓋部材の蓋周縁部とケース本体部材の開口周縁部とをレーザ溶接する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1に本実施形態に係る電池(蓄電デバイス)1の斜視図を、
図2に電池1の分解斜視図を、
図3に電池1の断面図を示す。また
図4に電池1のうち、環状溶接部10y近傍の部分拡大断面図を示す。また
図5に電極体50の斜視図を示す。なお、以下では、ケース高さ方向AH、ケース幅方向BH、ケース厚み方向CH、電極体軸線方向DH、電極体幅方向EH及び電極体厚み方向FHを、
図1~
図5に示す方向と定めて説明する。この電池1は、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、電気自動車等の車両などに搭載される角型(直方体状)で密閉型のリチウムイオン二次電池である。
【0024】
この電池1は、ケース10と、ケース10内に収容された扁平状捲回型の電極体50と、ケース10にそれぞれ支持された正極端子(電極端子)60及び負極端子(電極端子)70等から構成されている。電極体50は、ケース10内で、絶縁フィルムからなる袋状の図示しない絶縁ホルダに覆われている。またケース10内には、電解液3が収容されており、その一部は電極体50内に含浸され、残りはケース10の底壁部である第2側壁部14上に溜まっている。
【0025】
このうちケース10は、金属(本実施形態ではアルミニウム)からなる。このケース10は、直方体箱状であり、各々矩形状をなす第1主壁部11、第2主壁部12及び4つの側壁部13~16(第1側壁部13、第2側壁部14、第3側壁部15及び第4側壁部16)を有する。
第1主壁部11及び第2主壁部12は、側壁部13~16よりも面積が広い。第1主壁部11及び第2主壁部12は互いに対向しており、第1主壁部11がケース厚み方向CHの一方側CH1(
図1及び
図2中、右手前側、
図3中、上側)、第2主壁部12はケース厚み方向CHの他方側CH2(
図1及び
図2中、左奥側、
図3中、下側)に位置する。
【0026】
一方、側壁部13~16は、第1主壁部11と第2主壁部12の間を結んで、ケース厚み方向CHにそれぞれ延びている。第1側壁部13と第2側壁部14は互いに対向しており、第1側壁部13がケース高さ方向AHの上側AH1、第2側壁部14がケース高さ方向AHの下側AH2に位置する。また第3側壁部15と第4側壁部16は互いに対向しており、第3側壁部15がケース幅方向BHの一方側BH1、第4側壁部16がケース幅方向BHの他方側BH2に位置する。
【0027】
ケース10の上壁部でもある第1側壁部13には、ケース10の内圧が開弁圧を超えたときに破断して開弁する安全弁17が設けられている。また第1側壁部13には、ケース10の内外を連通する注液孔13kが設けられており、アルミニウムからなる円板状の封止部材18で気密に封止されている。
更に第1側壁部13のうち、ケース幅方向BHの一方側BH1の端部近傍には、正極端子60が固設されている。具体的には、正極端子60は、アルミニウムからなる複数の金属部材を加締め接続してなり、複数の樹脂部材からなる樹脂部65を介して、第1側壁部13と絶縁された状態で第1側壁部13に固設されている。この正極端子60は、ケース10内で、電極体50の正極集電部50cに接続し導通する一方、第1側壁部13を貫通してケース10外まで延びている。
【0028】
また第1側壁部13のうち、ケース幅方向BHの他方側BH2の端部近傍には、負極端子70が固設されている。具体的には、負極端子70は、銅からなる複数の金属部材を加締め接続してなり、複数の樹脂部材からなる樹脂部75を介して、第1側壁部13と絶縁された状態で第1側壁部13に固設されている。この負極端子70は、ケース10内で、電極体50の負極集電部50dに接続し導通する一方、第1側壁部13を貫通してケース10外まで延びている。
【0029】
ケース10の第1主壁部11は、第1主壁部11の周囲部11sを除く、第1主壁部11の中央部分に平面視矩形状の押圧凸部11eを有する。この押圧凸部11eは、その全体がケース厚み方向CHの厚み方向内側CH3に向けて(電極体50の電極積層部50eに向けて)突出しており、ケース10の第1主壁部11及び第2主壁部12による弾性的な圧縮により、電極体50の電極積層部50eを電極体厚み方向FHに押圧している。
またケース10の第2主壁部12は、第2主壁部の周囲部12sを除く、第2主壁部12の中央部分に平面視矩形状の押圧凸部12eを有する。この押圧凸部12eは、その全体がケース厚み方向CHの厚み方向内側CH3に向けて(電極体50の電極積層部50eに向けて)突出しており、ケース10の第1主壁部11及び第2主壁部12による弾性的な圧縮により、電極体50の電極積層部50eを電極体厚み方向FHに押圧している。
【0030】
このケース10は、矩形状の開口21cを有する有底角筒状で、内部に電極体50を収容したケース本体部材21と、ケース本体部材21の開口21cを塞ぐ矩形状の蓋部材31とから構成されている。このうちケース本体部材21は、前述の第2主壁部12及び4つの側壁部13~16をなしている。一方、蓋部材31は、前述の第1主壁部11をなしており、ケース本体部材21側を向く内面31nと、内面31nの反対側でケース10の外側を向く外面31mとを有する。
【0031】
蓋部材31の蓋周縁部31fとケース本体部材21の開口周縁部21fとは、全周にわたり気密に接合されている。具体的には、ケース本体部材21の開口周縁部21fは、全周にわたり開口21cの内側GH1に湾曲している。また蓋部材31の蓋周縁部31fは、全周にわたり内面31n側に湾曲している。蓋周縁部31fの曲率半径Rfと開口周縁部21fの曲率半径Roとは、概ね等しくなっている(Rf≒Ro)。そして、湾曲した開口周縁部21fの厚み方向外側IH1に、湾曲した蓋周縁部31fが全周にかつ蓋部材31の拡がり方向LHに拡がる環帯状範囲SRにわたり積層された状態で、蓋周縁部31fと開口周縁部21fが気密に接合されている。詳細には、蓋周縁部31fと開口周縁部21fは、全周にわたって連なる一連で環状の複数(本実施形態では2つ)の環状溶接部10y(第1環状溶接部10y1及び第2環状溶接部10y2)により、二重に溶接されている。
【0032】
次に電極体50について説明する(
図5及び
図1~
図3参照)。この電極体50は、帯状の正極板(電極板)51と帯状の負極板(電極板)54とを、帯状で樹脂製の多孔質膜からなる一対のセパレータ57を介して互いに重ね、捲回軸線DXの周りに円筒状に捲回した後、扁平状にプレスしたものである。即ち、電極体50は、電極体幅方向EHの両端部にそれぞれ位置する一対の電極R部50rと、これらの間に位置する電極積層部50eとを有する。電極R部50rは、正極板51、負極板54及びセパレータ57が半円筒状に屈曲しつつ重なった半円柱状の部位である。一方、電極積層部50eは、正極板51、負極板54及びセパレータ57が平板状に電極体厚み方向FHに積層された直方体状の部位である。更に電極体50は、捲回軸線DXに沿う電極体軸線方向DHの一方側DH1の端部に、後述する正極集電部50cを、電極体軸線方向DHの他方側DH2の端部に、後述する負極集電部50dを有する。
【0033】
電極体50は、電極体軸線方向DHがケース幅方向BHに平行で、電極体幅方向EHがケース高さ方向AHに平行で、電極体厚み方向FHがケース厚み方向CHに平行となる姿勢で、ケース10内に収容されている。また電極体50は、電極体厚み方向FH(ケース厚み方向CH)に圧縮された状態で、ケース10内に収容されている。即ち、電池1は、自己圧縮型の電池であり、ケース10が弾性変形し、ケース10の第1主壁部11と第2主壁部12で、電極体50の電極積層部50eを電極体厚み方向FHに弾性的に圧縮している。
【0034】
正極板51は、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔52を有する。この正極集電箔52の両主面上には、それぞれリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子を含む正極活物質層53が帯状に形成されている。正極板51のうち、幅方向の片方の端部は、正極集電箔52上に正極活物質層53が存在せず、正極集電箔52が露出している。この正極集電箔52の露出部は、電極体50において、電極積層部50eから電極体軸線方向DHの一方側DH1に渦巻き状をなして突出し、前述の正極集電部50cを形成している。正極集電部50cは、正極端子60と接続している。
【0035】
負極板54は、帯状の銅箔からなる負極集電箔55を有する。この負極集電箔55の両主面上には、それぞれリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質粒子を含む負極活物質層56が帯状に形成されている。負極板54のうち、幅方向の片方の端部は、負極集電箔55上に負極活物質層56が存在せず、負極集電箔55が露出している。この負極集電箔55の露出部は、電極体50において、電極積層部50eから電極体軸線方向DHの他方側DH2に渦巻き状をなして突出し、前述の負極集電部50dを形成している。負極集電部50dは、負極端子70と接続している。
【0036】
以上で説明したように、電池1は、ケース本体部材21の湾曲した開口周縁部21fの厚み方向外側IH1に、蓋部材31の湾曲した蓋周縁部31fが環帯状範囲SRにわたり積層された状態で、蓋周縁部31fと開口周縁部21fが気密に接合されている。このため、蓋周縁部31fと開口周縁部21fが確実に接合されており、蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性が高い電池1とすることができる。
更に電池1は、ケース10が有する弾性により、ケース10の第1主壁部11と第2主壁部12で、電極体50の電極積層部50eを電極体厚み方向FHに弾性的に圧縮している。即ち、この電池1は、電池1自身によって電極体50の電極積層部50eを弾性的に圧縮している自己圧縮型である。このため、電池1の使用に際して別途、拘束部材を用いなくて済む、或いは、簡易な拘束部材による外部拘束で足りる。
またケース10が、第2主壁部12及び4つの側壁部13~16をなすケース本体部材21に、第1主壁部11をなす蓋部材31を接合したものであるため、後述するように自己圧縮型の電池1を容易に製造でき、安価な電池1とすることができる。
【0037】
更に本実施形態では、蓋周縁部31fと開口周縁部21fが環状溶接部10yで気密に溶接されているので、特に蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性を高くすることができる。更に環状溶接部10yが複数形成されているので(第1環状溶接部10y1及び第2環状溶接部10y2)、蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性を更に高くすることができる。
【0038】
次いで、電池1の製造方法について説明する(
図6~
図9参照)。まずケース本体部材21及び蓋部材31を用意する。ケース本体部材21は、プレス加工(曲げ加工)により、開口周縁部21fを全周にわたり開口21cの内側GH1に湾曲させておく(
図7参照)。また蓋部材31は、プレス加工(曲げ加工)により、蓋周縁部31fを全周にわたり内面31n側に湾曲させておく(
図8参照)。開口周縁部21fの曲率半径Roと蓋部材31の蓋周縁部31fの曲率半径Rfとは、概ね等しくする(Rf≒Ro)。そしてケース本体部材21に正極端子60及び負極端子70を固設しておく。また電極体50を形成し、電極体50を袋状の絶縁ホルダ(不図示)で包んでおく。
【0039】
そして「収容工程S1」(
図6参照)において、正極端子60及び負極端子70を固設したケース本体部材21内に、絶縁ホルダで包んだ電極体50を収容する(
図7参照)。具体的には、押圧装置500の平坦な載置台510の上に、ケース本体部材21を、その第2主壁部12が載置台510に当接し、開口21cが上方を向く姿勢で載置する。その後、開口21cを通じてケース本体部材21内に、電極体50を電極体軸線方向DHがケース幅方向BHに平行で、電極体幅方向EHがケース高さ方向AHに平行で、電極体厚み方向FHがケース厚み方向CHに平行となる姿勢で収容する。その後、電極体50の正極集電部50cとケース本体部材21に固設された正極端子60とを、レーザ溶接により接続する。また電極体50の負極集電部50dとケース本体部材21に固設された負極端子70を、レーザ溶接により接続する。
【0040】
次に「接合工程S2」(
図6参照)において、ケース本体部材21及びこれに収容された電極体50の上に、蓋部材31を被せる(
図8参照)。続いて、蓋部材31がなす第1主壁部11とケース本体部材21の第2主壁部12との間を狭めて、電極体50の電極積層部50eを電極体厚み方向FHに圧縮すると共に、湾曲した蓋周縁部31fを湾曲した開口周縁部21fに全周にわたり重ねて押し付ける(
図9参照)。具体的には、押圧装置500の押圧部520を蓋部材31がなす第1主壁部11に当接させ、押圧部520と載置台510の間に蓋部材31及びケース本体部材21を挟んで、第1主壁部11及び第2主壁部12に外部の力Faを掛ける。そして電極体50の電極積層部50eを電極体厚み方向FHに押圧し圧縮すると共に、蓋周縁部31fを開口周縁部21fに全周にわたり重ねて押し付ける。このように押し付けることにより、蓋周縁部31fが開口周縁部21fに環帯状範囲SRにわたり積層された状態となる。
【0041】
続いて押圧装置500により、電極体50を圧縮すると共に、蓋周縁部31fを開口周縁部21fに押し付けた状態で、蓋周縁部31fと開口周縁部21fを全周にわたり気密に接合して、ケース10を形成する。本実施形態では、ケース本体部材21の深さ方向JH1(
図9中、下方)と反対向きの反深さ方向JH2(
図9中、上方)から蓋周縁部31fに向けてレーザ光LBを照射し、蓋周縁部31f及び開口周縁部21fの全周にわたって連なる一連で環状の第1環状溶接部10y1により、蓋周縁部31fを開口周縁部21fに溶接する。その後に更に、反深さ方向JH2から蓋周縁部31fに向けてレーザ光LBを照射し、全周にわたって連なる一連で環状の第2環状溶接部10y2により、蓋周縁部31fを開口周縁部21fに溶接する。これにより、蓋周縁部31fと開口周縁部21fを確実に気密に接合できる。
【0042】
その後、押圧装置500の押圧部520を蓋部材31から遠ざけて、外部の力Faを解除する。その際、既にケース10が形成されているため、圧縮された電極体50は、元の状態(厚み)には戻らない。外部の力Faを解除した後は、ケース10が有する弾性により、第1主壁部11と第2主壁部12で、電極体50の電極積層部50eを弾性的に圧縮した状態となる。
【0043】
次に「注液・封止工程S3」(
図6参照)において、電解液3を注液孔13kを通じてケース10内に注液し、電解液3を電極体50内に含浸させる。その後、注液孔13kを外部から封止部材18で覆い、封止部材18をケース10にレーザ溶接して、封止部材18とケース10の間を気密に封止する。
次に「初充電・エージング工程S4」において、この電池1に充電装置(不図示)を接続して、電池1に初充電を行う。その後、初充電した電池1を所定時間にわたり静置して、電池1をエージングする。かくして、電池1が完成する。
【0044】
本実施形態の電池1の製造方法では、前述のように、接合工程S2で、蓋周縁部31fを開口周縁部21fに重ねて押し付けつつ、蓋周縁部31fと開口周縁部21fを全周にわたり気密に接合するので、蓋周縁部31fと開口周縁部21fを確実に気密に接合できる。従って、蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性が高い電池1を製造できる。
【0045】
また従来の角型電池では、第1主壁部11、第2主壁部12及び3つの側壁部(第2側壁部14、第3側壁部15及び第4側壁部16)をなす有底角筒状のケース本体部材と、第1側壁部13をなす蓋部材とにより、ケース10を構成している。このような形態の電池では、自己圧縮型の電池を製造するのが難しい。ケース本体部材の第1主壁部11と第2主壁部12の間隙は、組立後の電池において電極体50を押圧し圧縮するべく、電極体50の厚みよりも狭くするため、ケース本体部材内に電極体50を挿入するのが難しいからである。
これに対し、前述の電池1の製造方法では、収容工程S1で、まず第2主壁部12及び4つの側壁部13~16をなす有底角筒状のケース本体部材21内に、電極体50を収容するので、容易にケース本体部材21内に電極体50を収容できる。そしてその後、接合工程S2を行うことにより、電池1自身によって電極体50の電極積層部50eを弾性的に圧縮した自己圧縮型の電池1を、容易に製造できる。
【0046】
更に本実施形態では、蓋周縁部31fを開口周縁部21fに押し付けつつ、蓋周縁部31fにレーザ光LBを照射して、環状溶接部10yにより蓋周縁部31fを開口周縁部21fに溶接するので、特に蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性を高くすることができる。また、反深さ方向JH2から蓋周縁部31fに向けてレーザ光LBを照射するので、容易に全周にわたり蓋周縁部31fを開口周縁部21fに溶接できる。また蓋周縁部31fと開口周縁部21fを溶接する環状溶接部10yを複数形成するので(第1環状溶接部10y1及び第2環状溶接部10y2)、蓋部材31とケース本体部材21の封止の信頼性を更に高くすることができる。
【0047】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば実施形態では、電極体として、偏平状捲回型の電極体50を例示したが、これに限られない。電極体は、例えば、複数の矩形状の正極板(電極板)と複数の矩形状の負極板(電極板)とを、それぞれ矩形状のセパレータを介して積層した積層型の電極体でもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 電池(蓄電デバイス)
10 ケース
10y 環状溶接部
10y1 第1環状溶接部
10y2 第2環状溶接部
11 第1主壁部
12 第2主壁部
13 第1側壁部(上壁部)
14 第2側壁部(底壁部)
15 第3側壁部
16 第4側壁部
21 ケース本体部材
21c 開口
21f 開口周縁部
31 蓋部材
31n (蓋部材の)内面
31f 蓋周縁部
50 電極体
50e 電極積層部
51 正極板(電極板)
54 負極板(電極板)
60 正極端子(電極端子)
70 負極端子(電極端子)
CH ケース厚み方向
FH 電極体厚み方向
GH1(ケース本体部材の開口の)内側
IH1 (開口周縁部の)厚み方向外側
JH1 (ケース本体部材の)深さ方向
JH2 (ケース本体部材の)反深さ方向
LH (蓋部材の)拡がり方向
SR 環帯状範囲
LB レーザ光
S1 収容工程
S2 接合工程