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特開2024-125711寝具再生処理装置及び寝具再生処理方法
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  • 特開-寝具再生処理装置及び寝具再生処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125711
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】寝具再生処理装置及び寝具再生処理方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/18 20060101AFI20240911BHJP
   B02C 18/00 20060101ALI20240911BHJP
   B02C 18/06 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
B02C18/18 A
B02C18/00 106B
B02C18/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033712
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】509094230
【氏名又は名称】フロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】内橋 毅
【テーマコード(参考)】
4D065
【Fターム(参考)】
4D065CA06
4D065CB01
4D065CC01
4D065DD05
4D065EB11
4D065EC07
(57)【要約】
【課題】寝具の中材から良質な再生素材を得るのに適した寝具再生処理装置及び寝具再生処理方法を提供する。
【解決手段】
寝具再生処理装置1は、寝具の中材である被破砕物100を破砕して再生する装置であって、被破砕物100の投入口14及び被破砕物100が破砕された破砕物101の排出口15を有する破砕室10と、破砕室10内に設けられ、被破砕物100を破砕する破砕ローラ20とを備え、破砕ローラ20は、回転ロール21と、回転ロール21の外周面の周方向及び軸方向に所定の間隔で配設された複数の破砕刃23を具備する破砕刃群とを有しており、前記破砕刃群は、一定の高さを有する複数の第1の破砕刃23aと、第1の破砕刃23aよりも小さい高さを有する複数の第2の破砕刃23bとを具備している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具の中材を破砕して再生する寝具再生処理装置において、
前記中材の投入口及び前記中材が破砕された破砕物の排出口を有する破砕室と、
前記破砕室内に設けられ、前記中材を破砕する破砕ローラと
を備え、
前記破砕ローラは、回転ロールと、前記回転ロールの外周面の周方向及び軸方向に所定の間隔で配設された複数の破砕刃を具備する破砕刃群とを有しており、
前記破砕刃群は、一定の高さを有する複数の第1の破砕刃と、前記第1の破砕刃よりも小さい高さを有する複数の第2の破砕刃とを具備している、
寝具再生処理装置。
【請求項2】
複数の前記第2の破砕刃は、前記回転ロールの軸方向に対して所定の角度傾斜した方向に配設されている、
請求項1に記載の寝具再生処理装置。
【請求項3】
複数の前記第2の破砕刃の少なくとも一部は欠落している、
請求項1又は2に記載の寝具再生処理装置。
【請求項4】
破砕ローラを用いて寝具の中材を破砕して再生する寝具再生処理方法において、
前記破砕ローラは、回転ロールと、前記回転ロールの外周面の周方向及び軸方向に所定の間隔で配設された複数の破砕刃を具備する破砕刃群とを有し、
前記破砕刃群は、一定の高さを有する複数の第1の破砕刃と、前記第1の破砕刃よりも小さい高さを有する複数の第2の破砕刃とを具備しており、
前記破砕ローラを収容する破砕室内に前記中材を投入する工程と、
前記破砕室内に投入された前記中材を、前記破砕ローラが具備する前記破砕刃群により破砕して再生する工程と
を有する、
寝具再生処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝具の中材を破砕して再生する寝具再生処理装置及び寝具再生処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、布団等の粗大物を破砕する粗大物破砕装置が開示されている。この粗大物破砕装置は、破砕ローラとこれに対向して設けられる固定刃を備え、その破砕ローラは、回転ローラと該回転ローラの周面に間隔をあけて列状に配置される2方向の破砕刃群で構成され、1方向の破砕刃群の間隔部に他方向の破砕刃群の破砕刃が交差角を有するとともに、各破砕刃群の破砕刃同士がその端部において軸心方向に一定のラップ代を有するように回転ロール周面に植設されている。この粗大物破砕装置によれば、被破砕物を効率良く細粒度化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-111333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被破砕物が細かく破砕されると、廃棄は容易になるものの、再生素材として活用することが困難になる場合がある。特に、布団等の寝具の中材を再生してリサイクル糸を製造するような場合、被破砕物である中材を細かくしすぎると紡績が困難になるため、良質なリサイクル糸を得ることができないという問題が生じる。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、寝具の中材から良質な再生素材を得るのに適した寝具再生処理装置及び寝具再生処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様の寝具再生処理装置は、寝具の中材を破砕して再生する寝具再生処理装置において、前記中材の投入口及び前記中材が破砕された破砕物の排出口を有する破砕室と、前記破砕室内に設けられ、前記中材を破砕する破砕ローラとを備え、前記破砕ローラは、回転ロールと、前記回転ロールの外周面の周方向及び軸方向に所定の間隔で配設された複数の破砕刃を具備する破砕刃群とを有しており、前記破砕刃群は、一定の高さを有する複数の第1の破砕刃と、前記第1の破砕刃よりも小さい高さを有する複数の第2の破砕刃とを具備している。
【0007】
前記態様において、複数の前記第2の破砕刃は、前記回転ロールの軸方向に対して所定の角度傾斜した方向に配設されていてもよい。
【0008】
また、前記態様において、複数の前記第2の破砕刃の少なくとも一部は欠落していてもよい。
【0009】
本発明の一の態様の寝具再生処理方法は、破砕ローラを用いて寝具の中材を破砕して再生する寝具再生処理方法において、前記破砕ローラは、回転ロールと、前記回転ロールの外周面の周方向及び軸方向に所定の間隔で配設された複数の破砕刃を具備する破砕刃群とを有し、前記破砕刃群は、一定の高さを有する複数の第1の破砕刃と、前記第1の破砕刃よりも小さい高さを有する複数の第2の破砕刃とを具備しており、前記破砕ローラを収容する破砕室内に前記中材を投入する工程と、前記破砕室内に投入された前記中材を、前記破砕ローラが具備する前記破砕刃群により破砕して再生する工程とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で、寝具の中材から良質な再生素材を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態の寝具再生処理装置の構成を示す概略側面図。
図2】実施の形態の寝具再生処理装置の構成を示す概略側面断面図。
図3図2の破線部分の部分拡大図。
図4】破砕ローラの構成を示す正面図。
図5】破砕ローラの構成を示す正面図。
図6】破砕ローラの構成を示す側面図。
図7】破砕ローラの変形例の構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置及び方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0013】
(寝具再生処理装置の構成)
本実施の形態の寝具再生処理装置は、掛け布団及び敷き布団等の寝具の中材を破砕して再生する装置である。この中材は、羊毛、綿、ポリエステル、及び混綿などで構成され、その破砕物は例えばリサイクル糸などとして再生される。
【0014】
図1は本実施の形態の寝具再生処理装置の構成を示す概略側面図であり、図2はその構成を示す概略側面断面図である。また、図3は、図2の破線部分の部分拡大図である。ただし、図3では、回転ロール及び破砕刃以外の要素は省略されている。さらに、図4及び図5は寝具再生処理装置が備える破砕ローラの構成を示す正面図であり、図6はその破砕ローラの構成を示す側面図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、寝具再生処理装置1は、被破砕物を破砕するための空間を有する破砕室10と、破砕室10内に収容される破砕ローラ20とを備えている。
【0016】
破砕室10は、内部空間を有する中空箱体であって、金属の板状部材などで構成される第1部材11及び第2部材12を備えている。第1部材11と第2部材12との間には内部空間13が形成され、その内部空間13内に破砕ローラ20が収容される。
【0017】
第1部材11は、寝具の中材である被破砕物100を載置する第1の面11a、及び破砕ローラ20の上側を覆う第2の面11bを有している。また、第2部材12は、第1部材11を覆うように外側に配設されており、第1部材11の第1の面11aと所定の間隔離れて対向する第1の面12a、及び破砕ローラ20の下側を覆う第2の面12bを有している。
【0018】
破砕室10は、第1部材11の第1の面11a及び第2部材12の第2の面12a間を介して内部空間13に被破砕物100を投入するための投入口14と、被破砕物100が破砕ローラ20によって破砕されて得られた破砕物101を外部へ排出するための排出口15を有している。
【0019】
破砕ローラ20は、回転ロール21と、回転軸22と、回転ロール21の外周面に配設された複数の破砕刃23とを備えている。回転ロール21は、紙面手前・奥方向に延びる円筒状の金属部材であって、その中心孔に回転軸22が挿通されている。回転ロール21及び回転軸22は、互いに強固に固着されている。
【0020】
回転軸22は、破砕室10内に設けられた軸受(図示せず)に回転可能に支持されている。また、回転軸22の両端は破砕室10を貫通して外方へ突出する突出部221(図1を参照)をそれぞれ有しており、それらの突出部221は図示しない駆動機構に連結されている。この駆動機構によって回転軸22が回転し、それに伴って回転ロール21が図2中の矢印方向に回転する。
【0021】
(破砕刃の構成)
破砕ローラ20が有する複数の破砕刃23のうちの一部は一定の高さ(刃高)を有しており、残りはそれよりも小さい高さを有している。以下、これらの破砕刃23の詳細について、図2乃至図6を参照しながら説明する。
【0022】
図4などに示すように、複数の破砕刃23は、回転ロール21の外周面の周方向及び軸方向に所定の間隔で行列状に配設されている。なお、図6においては、回転ロール21の軸方向の最も手前側の列に含まれる破砕刃23のみが示されている。
【0023】
図6に示すとおり、破砕刃23の各列において、一定の高さを有する2つの破砕刃23(以下、第1の破砕刃23aとも言う)とそれよりも小さい高さを有する破砕刃23(以下、第2の破砕刃23bとも言う)とがこの順で並設されており、これらの3つの破砕刃23(23a,23a,23b)の組が周方向の全体にわたって周期的に形成されている。
【0024】
図5には、図4と同様に回転ロール21の外周面上の破砕刃23が示されているが、そのうちの第2の破砕刃23bに対しては×印が付されている。破砕刃23の隣り合う列に着目すると、第2の破砕刃23bの位置が周方向の一方向に一つずつずれている。そのため、第2の破砕刃23bは、図5に示すとおり、回転ロール21の軸方向に対して所定の角度傾斜した方向に配設されていることになる。
【0025】
図2図3、及び図6に示すとおり、第1の破砕刃23aは側面視で三角形状を有しており、第2の破砕刃23bは側面視で台形状を有している。なお、図2及び図3では、複数の破砕刃23のうち、回転ロール21の軸方向の最も手前側の列に含まれる第1の破砕刃23a及び第2の破砕刃23bと、その列よりも一つ奥側の列に含まれ、当該第2の破砕刃23bと側面視で重なる領域に位置する第1の破砕刃23aの上側部分も示されている。第1の破砕刃23aの方が第2の破砕刃23bよりも高さが大きいため、このように奥側の列の第1の破砕刃23aの上側部分が現れる。
【0026】
上記のように構成される破砕ローラ20は、回転ロール21の外周面上に複数の第1の破砕刃23a及び第2の破砕刃23bを形成することによって得られる。この場合、同一の高さを有する複数の破砕刃23を回転ロール21の外周面上の所定の位置に設けた後、その一部を切削工具などによって所定の形状に変形したり除去したりすることによって第2の破砕刃23bを形成するようにしてもよい。この場合、加工対象とならない残りの破砕刃23が第1の破砕刃23aとなる。
【0027】
以上のように構成された破砕室10及び破砕ローラ20を備える寝具再生処理装置1を使用する場合、上述した駆動機構を作動させることによって破砕ローラ20を回転させるとともに、第1部材11の第1の面11aに載置されている被破砕物100が、破砕室10の投入口14を介して内部空間13内に投入される。このようにして内部空間13内に投入された被破砕物100は、回転する破砕ローラ20の破砕刃23によって破砕され、その結果破砕物101が得られる。このとき、第1の破砕刃23aによって細粒化が図られる一方で、第1の破砕刃23aよりも高さが小さい第2の破砕刃23bによっては細粒化が不十分となる。そのため、破砕物101が細かくなりすぎず、紡績などに適した再生素材が得られる。
【0028】
本実施の形態の場合、第2の破砕刃23bは、回転ロール21の軸方向に対して所定の角度傾斜した方向に配設されている。これにより、細粒化が不十分な破砕物101が偏ることなく生じるため、リサイクル糸などとして再生しやすくなるというメリットがある。
【0029】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、2つの第1の破砕刃23a及び1つの第2の破砕刃23bの組が周期的に形成されているが、これに限定されるわけではなく、種々の態様が実現可能である。例えば、第1の破砕刃23a及び第2の破砕刃23bの割合はこれに限られず、第2の破砕刃23bがより多くまたはより少なくても構わない。また、第1の破砕刃23a及び第2の破砕刃23bが同じ割合で周期的に形成されていなくてもよい。目標となる破砕物101の細粒度などに応じて、適宜の態様を採用可能である。
【0030】
なお、第2の破砕刃23bの数が多ければ多いほど、第1の破砕刃23aの相互間の間隔は大きくなって粗い破砕となる一方で、第2の破砕刃23bの数が少なければ少ないほど、第1の破砕刃23aの相互間の間隔が小さくなって細かい破砕となる。そのため、目標となる破砕物101の細粒度に応じて、第2の破砕刃23bの数、換言すると第1の破砕刃23aの相互間の間隔を決定することが好ましい。
【0031】
また、上記の実施の形態では、第1の破砕刃23aが側面視で三角形状を有し、第2の破砕刃23bが側面視で台形状を有しているが、これに限定されるわけではない。第1の破砕刃23aの方が第2の破砕刃23bよりも大きい高さを有していればよく、第1の破砕刃23a及び第2の破砕刃23bの形状は種々のものを採用することができる。
【0032】
また、上記の実施の形態では、第2の破砕刃23bはすべて同一の形状を有しているが、異なる形状のものが第2の破砕刃23bに含まれていてもよい。例えば、一部の第2の破砕刃23bが台形状であって、残りの第2の破砕刃23bが三角形状であってもよい。また、第2の破砕刃23bのうちの少なくとも一部は高さがゼロ、すなわち欠落していてもよい。図7には、そのような構成を備える破砕ローラ20の変形例の構成が示されている。図6の場合と同様、図7においては、回転ロール21の軸方向の最も手前側の列の破砕刃23のみが示されている。図7に示すように、この列では、すべての第2の破砕刃23bの高さがゼロ、すなわちすべての第2の破砕刃23bが欠落している。
【符号の説明】
【0033】
1 寝具再生処理装置
10 破砕室
11 第1部材
12 第2部材
13 内部空間
14 投入口
15 排出口
20 破砕ローラ
21 回転ロール
22 回転軸
23(23a,23b) 破砕刃
221 突出部
100 被破砕物
101 破砕物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7