(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125726
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】管理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20240911BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240911BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/10
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033740
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】長沼 立巳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保成
(72)【発明者】
【氏名】坂野 真聖
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA02
5G503BB01
5G503BB02
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】複数の給電移動体を活用して複数の充電対象装置のバッテリの管理を適切に行うこと。
【解決手段】本発明にかかる管理装置(300)は、設置された充電対象装置(100)の第1の状況情報と、給電能力を有する複数の給電移動体(200-1~200-m)のそれぞれの第2の状況情報とに基づいて、各給電移動体(200-1~200-m)の給電優先度を算出する算出部(344)と、給電優先度に基づき選択された給電移動体に対して、充電対象装置(100)への給電のための移動指示を行う移動指示部(345)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電対象装置の第1の状況情報と、給電移動体の第2の状況情報とに基づいて、給電移動体の給電優先度を算出する算出部と、
前記給電優先度に基づき選択された給電移動体に対して、前記充電対象装置への給電のための移動指示を行う移動指示部と、
を備える管理装置。
【請求項2】
前記第1の状況情報のうち前記充電対象装置における無線通信履歴に基づいて、前記給電優先度の算出基準を選択する選択部をさらに備え、
前記算出部は、前記選択された算出基準に従って給電移動体の給電優先度を算出する
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記選択部は、
前記無線通信履歴に基づき判定される緊急度が所定レベル未満の場合、前記第2の状況情報のうち前記給電移動体が給電可能な給電量を前記算出基準として選択し、
前記無線通信履歴に基づき判定される緊急度が所定レベル以上の場合、前記第2の状況情報のうち前記給電移動体の現在位置から前記充電対象装置の位置までの移動の所要時間を前記算出基準として選択する
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
コンピュータが、
充電対象装置の第1の状況情報と、給電移動体の第2の状況情報とに基づいて、給電移動体の給電優先度を算出する算出ステップと、
前記給電優先度に基づき選択された給電移動体に対して、前記充電対象装置への給電のための移動指示を行う移動指示ステップと、
を行う管理方法。
【請求項5】
充電対象装置の第1の状況情報と、給電移動体のそれぞれの第2の状況情報とに基づいて、給電移動体の給電優先度を算出する算出ステップと、
前記給電優先度に基づき選択された給電移動体に対して、前記充電対象装置への給電のための移動指示を行う移動指示ステップと、
をコンピュータに実行させる管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、可搬設備に搭載されている蓄電池等の電力貯蔵部に対する給電を行う技術が開示されている。特許文献1にかかる給電機は、サーバからの制御信号に応じて可搬設備まで自律走行し、可搬設備に対して給電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年、バッテリを搭載した観測装置を様々な地点に設置し、各観測装置から無線通信により観測データを収集することが行われている。そして、給電用のバッテリを搭載した無人航空機等である給電移動体を利用して、各観測装置へのバッテリの充電を行うことが挙げられる。このとき、各観測装置、すなわち各地に設置された複数の充電対象装置の維持管理を、複数の給電移動体を用いて適切に運用することが求められる。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、複数の給電移動体を活用して複数の充電対象装置のバッテリの管理を適切に行うための管理装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる管理装置は、充電対象装置の第1の状況情報と、給電移動体の第2の状況情報とに基づいて、給電移動体の給電優先度を算出する算出部と、前記給電優先度に基づき選択された給電移動体に対して、前記充電対象装置への給電のための移動指示を行う移動指示部と、を備える。
【0007】
本開示にかかる管理方法は、コンピュータが、充電対象装置の第1の状況情報と、給電移動体の第2の状況情報とに基づいて、給電移動体の給電優先度を算出する算出ステップと、前記給電優先度に基づき選択された給電移動体に対して、前記充電対象装置への給電のための移動指示を行う移動指示ステップと、を行う。
【0008】
本開示にかかる管理プログラムは、充電対象装置の第1の状況情報と、給電移動体の第2の状況情報とに基づいて、給電移動体の給電優先度を算出する算出ステップと、前記給電優先度に基づき選択された給電移動体に対して、前記充電対象装置への給電のための移動指示を行う移動指示ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、複数の給電移動体を活用して複数の充電対象装置のバッテリの管理を適切に行うための管理装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態1にかかる観測装置、給電移動体及び管理装置を含むシステムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態1にかかる観測装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態1にかかる給電移動体の構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態1にかかる管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態1にかかる給電移動体による観測装置への給電の概念を説明するための図である。
【
図6】本実施形態1にかかる管理処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態1にかかる緊急度が平常の場合の算出基準と給電優先度の例を示す図である。
【
図8】本実施形態1にかかる緊急度が平常の場合に選択される給電移動体の例を示す図である。
【
図9】本実施形態1にかかる緊急度が緊急の場合の算出基準と給電優先度の例を示す図である。
【
図10】本実施形態1にかかる緊急度が緊急の場合に選択される給電移動体の例を示す図である。
【
図11】本実施形態2にかかる給電後の給電移動体が引き続き、他の観測装置に給電を行う場合の概念を説明するための図である。
【
図12】本実施形態2にかかる管理処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0012】
<実施形態1>
図1は、本実施形態1にかかる観測装置100-1~100-n、給電移動体200-1~200-m、及び、管理装置300を含むシステムの全体構成を示すブロック図である。尚、「n」は1以上の自然数、「m」は2以上の自然数である。また、観測装置100-1~100-nのそれぞれは、同等の構成及び機能を有し、以下の説明では単に「観測装置100」と総称する場合がある。基地2は、給電移動体200-1~200-mの待機場所の一例である。また、給電移動体200-1~200-mのそれぞれは、同等の構成及び機能を有し、以下の説明では単に「給電移動体200」と総称する場合がある。ここで、給電移動体200とは、管理装置300からの移動指示に基づいて移動する移動能力と、後述する充電対象装置に給電する給電能力とを有する移動体である。観測装置100、給電移動体200及び管理装置300のそれぞれは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。ネットワークNは、無線通信回線網又は携帯電話回線網等を含み、インターネットを含んでも良い。特に、観測装置100及び給電移動体200は、無線通信回線網を接続されている。
【0013】
観測装置100は、人が容易に立ち入ることができない地点である設置場所に設置され、設置場所の周辺環境を観測する装置である。例えば、観測装置100は、野生動物の観察や地域の災害予測のための情報収集を行う。ここで、観測装置100の設置場所は、人が到達するために危険を伴う地点、人や自動車等ではアクセスし難い場所等であり、例えば、森林地帯、山岳地帯、火山の近く、崖、高所、島嶼部等が挙げられる。そして、観測装置100は、電力を供給するための電線の敷設、データ通信のための通信ケーブルの敷設、ソーラーパネルによる充電が難しい地域に設置されているものとする。例えば、観測装置100の設置場所が葉の生い茂った森林の樹上や樹の幹である場合、設置場所には、電線設備の設置が難しく、また、日当たりが悪いため、ソーラーパネルによる安定した充電も困難といえる。例えば、観測装置100が通信機能付きの害獣撮影カメラである場合、観測装置100は、このような設置場所に設置されることが多い。但し、観測装置100の設置場所はこれらに限定されない。そこで、観測装置100は、蓄電池、いわゆるバッテリを搭載し、バッテリの電力により、観測動作と、無線通信による通信とを行う。特に、観測装置100は、観測データやバッテリの残りの容量や充電率等のバッテリ情報を無線通信により管理装置300等へ送信する。また、観測装置100は、いわゆるワイヤレス充電が可能とする。そのため、観測装置100は、充電対象装置の一例といえる。尚、充電対象装置とは、特定の設置場所に設置され、電力を供給する電線の敷設がなく、自身では充電ができないため、充電を必要とする装置である。
【0014】
図2は、本実施形態1にかかる観測装置100の構成を示すブロック図である。観測装置100は、バッテリ110、無線受電部120、無線部130、観測部140、記憶部150、制御部160及びメモリ170を備える。バッテリ110は、蓄電池、二次電池等の電力貯蔵部であり、例えば、リチウムイオンバッテリであるとよい。無線受電部120は、外部から給電される電力を無線で受電し、バッテリ110へ充電を行う回路である。例えば、無線受電部120は、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界結合方式、電波受信方式等の様々なワイヤレス給電方式の少なくともいずれかを採用した回路である。観測装置100のバッテリ110は、無線受電部120を介して後述する給電移動体200から給電される電力を受電することにより充電を可能とする。無線部130は、ネットワークNを介して、システム内、特に管理装置300と無線通信を行う。無線部130は、無線通信のための信号の送受信をするためのアンテナ等や通信インタフェース回路等である。
【0015】
観測部140は、観測装置100が設置された地点の周辺環境を観測し、観測データを制御部160へ出力する。観測部140は、例えば、センサやカメラといったデバイスとであるとよい。そのため、観測部140は、センサにより検出された周辺環境の温度や湿度、カメラにより撮影された画像や映像を観測データとするとよい。また、観測部140は、センサとカメラとを含んでも良い。例えば、観測部140は、センサにより周辺環境に何らかの事象を検出した場合に、カメラによる撮影を開始するか、撮影間隔を通常よりも短くしてもよい。
【0016】
記憶部150は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。メモリ170は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、制御部160の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。記憶部150は、プログラム151、装置情報152、位置情報153、観測日時154及び観測データ155を記憶する。尚、位置情報153、観測日時154及び観測データ155は、一時的にメモリ170に記憶される情報としてもよい。プログラム151は、観測、記録及び通信処理が実装されたコンピュータプログラムである。装置情報152は、観測装置100の識別情報、いわゆる装置IDを少なくとも含む。位置情報153は、観測装置100が設置された地点の位置を示す情報である。位置情報153は、例えば、観測装置100の設置の際に取得されたGPS(Global Positioning System)情報であるか、管理者や設置の作業員等により設定された緯度及び経度を含む位置情報である。観測日時154は、観測部140により観測された日時を示す情報である。観測データ155は、観測日時154において観測部140により観測されたデータである。
【0017】
制御部160は、観測装置100の各構成を制御する制御装置である。制御部160は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等のプロセッサである。制御部160は、記憶部150からプログラム151をメモリ170へ読み込ませ、プログラム151を実行する。これにより、制御部160は、記録部161、送受信部162及び通信制御部163の機能を実現する。尚、記録部161、送受信部162及び通信制御部163の一部又は全ては、制御部160とは別のハードウェア、例えば、半導体装置で実現される汎用又は専用の回路で実現されてもよい。
【0018】
記録部161は、観測部140により観測された観測データ155を観測日時154に対応付けて記憶部150に記録する。尚、記録部161は、観測日時154及び観測データ155を一時的に記憶してもよい。
【0019】
送受信部162は、所定条件を満たす場合に、記憶部150から観測日時154及び観測データ155を読み出し、バッテリ110の残りの容量等のバッテリ情報を測定し、装置情報152、バッテリ情報、観測日時154及び観測データ155を含めた通知情報を、通信制御部163を用いてネットワークNを介して管理装置300へ送信する。尚、送受信部162は、通知情報に位置情報153を含めても良い。所定条件とは、1日に1回といった定期的なタイミングの他、観測部140により特殊な事象が検出された場合や、観測データ155のサイズが一定量を超えた場合、記録回数が一定数を超えた場合等が挙げられる。例えば、送受信部162は、未送信の観測データ155のサイズが送信可能なデータサイズの最大値を超えた場合、都度、その時点で未送信の観測データ155を含めた通知情報を管理装置300へ送信してもよい。また、送受信部162は、バッテリ110の残りの容量が閾値を下回った場合、残りの容量を含めた給電要求を通知情報として管理装置300へ送信してもよい。または、送受信部162は、バッテリ110の残りの容量つまり充電量、使用済みの電力量、又は、充電率もしくは電力の使用率等を、定期的に、通知情報として管理装置300へ送信してもよい。尚、送受信部162は、管理装置300等から送信された情報を、ネットワークNを介して通信制御部163を用いて受信する。
【0020】
通信制御部163は、ネットワークNを介して送受信部162から管理装置300へ、上述した通知情報を送信するための無線通信を行うために、無線部130を制御する。また、通信制御部163は、管理装置300等から送信された情報を、ネットワークNを介して送受信部162が受信するための無線通信を行うために、無線部130を制御する。
【0021】
図1に戻り説明を続ける。給電移動体200は、給電用バッテリを搭載し、ワイヤレス給電が可能な無人航空機、いわゆるドローンである。但し、給電移動体200は、給電能力を有する移動体であればよく、例えば、有人の操作により移動する移動体であってもよい。また、給電移動体200は、車両や船舶等であってもよい。給電移動体200は、給電対象の観測装置の位置情報、給電容量等を含む移動指示を、管理装置300から受け付けた場合、位置情報を目的地として自律飛行して移動し、目的地に設置された観測装置に対して給電用バッテリから給電を行う。
【0022】
図3は、本実施形態1にかかる給電移動体200の構成を示すブロック図である。給電移動体200は、無線部210、カメラ220、記憶部230、メモリ240、飛行部250、制御部260、バッテリ270及び無線給電部280を備える。無線部210は、制御部260の通信制御部261からの指示に応じて、所定の無線通信ネットワークと所定のプロトコルによる無線通信のための信号の送受信をするためのアンテナ等や通信インタフェース回路等である。また、無線部210は、受信した無線信号を通信制御部261へ出力する。
【0023】
カメラ220は、制御部260の撮影制御部262からの指示に応じて、所定の撮影範囲を撮影し、撮影された画像を撮影制御部262へ出力する。カメラ220は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等である。カメラ220は、給電移動体200の周辺を撮影する。尚、カメラ220は、2台以上で異なる方向を撮影してもよい。または、カメラ220は、360度カメラを用いることにより1台で実現してもよい。または、カメラ220は、定期的に撮影方向を切り替えてもよい。
【0024】
記憶部230は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。記憶部230は、プログラム231、装置情報232及び位置情報233を記憶する。プログラム231は、飛行制御処理を含む給電移動体200の制御処理が実装されたコンピュータプログラムである。メモリ240は、RAM等の揮発性記憶装置であり、制御部260の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。装置情報232は、給電移動体200の識別情報、いわゆる装置IDを少なくとも含む。位置情報233は、給電移動体200の現在位置を示す情報であり、例えば、GPS情報等の位置情報である。例えば、位置情報233は、給電移動体200に搭載された図示しない構成であるGPS取得器により定期的に取得されたGPS情報であるとよい。
【0025】
飛行部250は、制御部260の飛行制御部263からの指示に応じて、給電移動体200の飛行を行う。飛行部250は、例えば、複数枚のブレード、つまり羽根と、ブレードを指示するハブその他部品を含むプロペラである。
【0026】
制御部260は、給電移動体200の各構成を制御する制御装置である。制御部260は、例えば、CPU、GPU、FPGA、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等のプロセッサである。制御部260は、記憶部230からプログラム231をメモリ240へ読み込ませ、プログラム231を実行する。これにより、制御部260は、通信制御部261、撮影制御部262、飛行制御部263、給電制御部264及び送受信部265の機能を実現する。尚、通信制御部261、撮影制御部262及び飛行制御部263の一部又は全ては、制御部260とは別のハードウェアにより実現されてもよい。別のハードウェアとは、例えば、半導体装置で実現される汎用又は専用の回路であってもよい。または、通信制御部261、撮影制御部262及び飛行制御部263の一部又は全ての処理は、プログラム231とは別のプログラムに実装されてもよい。本実施形態にかかるプログラム231は、少なくとも給電制御部264及び送受信部265の処理が実装されたものであればよい。
【0027】
通信制御部261は、管理装置300からの移動指示等を、ネットワークNを介して取得し、また、装置情報232と給電移動体200の現在の位置情報233とを、ネットワークNを介して管理装置300へ送信するための無線通信を行うために、無線部210を制御する。
【0028】
撮影制御部262は、給電移動体200の飛行中等に、周辺環境を撮影させるようにカメラ220を制御し、カメラ220による撮影画像を取得し、撮影画像を飛行制御部263へ出力する。
【0029】
飛行制御部263は、移動指示に含まれる観測装置100、つまり、目的地に設置された観測装置100へ向けて給電移動体200を飛行させるように、飛行部250を制御する。また、飛行制御部263は、管理装置300からの帰還指示に応じて基地2へ向けて給電移動体200を飛行させるように、飛行部250を制御する。なお、飛行制御部263は、カメラ220から取得した撮影画像を、周囲の障害物を検出して回避したり、目的地に設置された観測装置100を検出して接近するために使用する。
【0030】
給電制御部264は、移動指示に含まれる観測装置100、つまり、目的地に設置された観測装置100に対して、バッテリ270から指定された給電容量を給電するように、無線給電部280を制御する。
【0031】
送受信部265は、管理装置300から移動指示を受信し、管理装置300に対して給電移動体200の装置情報232及び位置情報233を送信する。
【0032】
バッテリ270は、蓄電池、二次電池等の電力貯蔵部であり、例えば、リチウムイオンバッテリであるとよい。尚、バッテリ270は、外部装置、例えば、観測装置100への給電の専用バッテリであっても良い。その場合、給電移動体200を駆動させるために必要な電力を供給するためのバッテリが別途、内蔵されていてもよい。
【0033】
無線給電部280は、バッテリ270内の電力を無線で外部へ給電する送電回路等である。無線給電部280は、上述した観測装置100と同等のワイヤレス給電方式で給電を行うものである。
【0034】
図1に戻り説明を続ける。管理装置300は、複数の給電移動体200-1から200-mを用いて、複数の観測装置100-1~100-nのバッテリの管理を行うための情報処理装置である。尚、管理装置300は、複数台のコンピュータに冗長化されてもよく、各機能ブロックが複数台のコンピュータで実現されてもよい。または、管理装置300は、機能の全て又は一部が半導体装置等の汎用又は専用の回路で実現されてもよい。
【0035】
図4は、本実施形態1にかかる管理装置300の構成を示すブロック図である。管理装置300は、記憶部310、メモリ320、通信部330及び制御部340を備える。記憶部310は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。記憶部310は、プログラム311、観測装置管理情報312及び給電移動体管理情報313を記憶する。プログラム311は、本実施形態にかかる管理方法の処理が実装されたコンピュータプログラムであり、管理プログラムの一例である。
【0036】
観測装置管理情報312は、複数の観測装置100のそれぞれの観測データやバッテリ状態等を管理するための情報である。そのため、観測装置管理情報312は、観測装置100-1から100-nのそれぞれに対応する、装置情報3121から無線通信履歴3124の組の情報を含む。装置情報3121は、対応する観測装置100の装置情報152に相当する情報であり、少なくとも観測装置100の装置IDを含む。バッテリ情報3122は、対応する観測装置100のバッテリ110の最大容量、残りの容量もしくは充電量、もしくは、使用済みの電力量、又は、充電率もしくは電力の使用率等を含む。または、バッテリ情報3122は、バッテリ110に給電による充電が必要な充電必要量を含んでも良い。位置情報3123は、対応する観測装置100の位置情報153である。尚、位置情報3123は、予め装置情報3121と対応付けられて設定されていてもよい。
【0037】
無線通信履歴3124は、対応する観測装置100と管理装置300との無線通信の履歴情報である。無線通信履歴3124は、例えば、通信日時31241と観測データ31242が対応付けられている。そして、無線通信履歴3124は、通信日時31241と観測データ31242の組が複数、記録されていてもよい。または、無線通信履歴3124は、観測装置100における通信間隔、通信頻度、通信データ量等の通信に関する統計情報を含んでも良い。
【0038】
給電移動体管理情報313は、複数の給電移動体200のそれぞれの現在位置や給電可能量等を管理するための情報である。そのため、給電移動体管理情報313は、給電移動体200-1から200-mのそれぞれに対応する、装置情報3131から給電可能量3134の組の情報を含む。装置情報3131は、対応する給電移動体200の装置情報232に相当する情報であり、少なくとも給電移動体200の装置IDを含む。移動能力情報3132は、対応する給電移動体200における移動能力に関する仕様情報である。移動能力情報3132は、例えば、給電移動体200の平均移動速度等を含んでも良い。位置情報3133は、対応する給電移動体200における現在の位置情報233である。給電可能量3134は、対応する給電移動体200のバッテリ270により外部装置へ給電可能な電力容量を示す情報である。給電可能量3134は、バッテリ270の最大容量、充電量もしくは使用済みの電力量、又は、充電率もしくは電力の使用率等であってもよい。
【0039】
メモリ320は、RAM等の揮発性記憶装置であり、制御部340の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。通信部330は、ネットワークNとの通信インタフェースである。通信部330は、無線通信回線網や携帯電話回線網を介してインターネットと接続してもよい。または、通信部330は、観測装置100や給電移動体200と無線通信を行う。また、通信部330は、有線通信回線網を介してインターネットと接続してもよい。通信部330は、例えば、半導体装置で実現される汎用又は専用の回路で実現されてもよい。
【0040】
制御部340は、管理装置300の各構成を制御するプロセッサつまり制御装置である。制御部340は、例えば、CPU、GPU、FPGA、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等のプロセッサである。制御部340は、記憶部310からプログラム311をメモリ320へ読み込ませ、プログラム311を実行する。これにより、制御部340は、状況情報取得部341、判定部342、選択部343、算出部344及び移動指示部345の機能を実現する。
【0041】
状況情報取得部341は、観測装置100から第1の状況情報を含む通知情報を取得し、記憶部310の観測装置管理情報312に保存する。ここで、「第1の状況情報」は、例えば、観測装置100のバッテリ110の充電量等、観測日時154及び観測データ155の組等を含むと良い。また、状況情報取得部341は、取得した通知情報に含まれる装置情報3121に対応する観測装置管理情報312を参照し、取得元の観測装置100のバッテリ情報3122の最大容量等のスペックや、位置情報3123を特定してもよい。
【0042】
また、状況情報取得部341は、観測装置100から装置情報、バッテリ情報、観測日時及び観測データ等を含む通知情報を取得し、通知情報に含まれる装置情報3121に対応する観測装置管理情報312に、取得したバッテリ情報3122を対応付けて登録してもよい。また、状況情報取得部341は、取得した通知情報に含まれる通信日時31241及び観測データ31242の組を、通知情報に含まれる装置情報3121に対応する無線通信履歴3124へ追加してもよい。また、状況情報取得部341は、観測装置100から充電必要量をバッテリ情報として取得してもよい。または、状況情報取得部341は、通知情報に含まれる充電率もしくは充電量、バッテリ情報3122の最大容量等から、充電必要量を導出してもよい。
【0043】
または、状況情報取得部341は、観測装置100から受信した通知情報と、観測装置100に対応する観測装置管理情報312に基づいて第1の状況情報を導出してもよい。
【0044】
また、状況情報取得部341は、給電移動体200-1から200-mのそれぞれから、第2の状況情報を取得し、記憶部310の給電移動体管理情報313に保存する。ここで、「第2の状況情報」は、例えば、給電移動体200のバッテリ270による給電可能量及び位置情報233を含む。尚、状況情報取得部341は、給電移動体200から取得したバッテリ270の最大容量、充電量もしくは使用済みの電力量、又は、充電率もしくは電力の使用率等から給電可能量を導出してもよい。
【0045】
判定部342は、観測装置100の第1の状況情報から観測装置100における給電の緊急度を判定する。ここで、緊急度とは、無線通信履歴に基づいて設定する充電対象装置における充電の緊急度合いの状況を示すレベルである。具体的には、判定部342は、観測装置100における無線通信履歴3124に基づいて、観測装置100における給電の緊急度を判定する。判定部342は、次のような場合、緊急度を所定レベル未満、つまり平常時のレベルとして判定する。例えば、観測装置100の無線通信の間隔が所定時間以上、つまり、定期的な間隔、一定時間内の無線通信頻度が一定値未満、又は、一定時間内の無線通信データ量が一定値未満等である場合である。一方、判定部342は、次のような場合、緊急度を所定レベル以上、つまり緊急時のレベルとして判定する。例えば、観測装置100の無線通信の間隔が所定時間未満、一定時間内の無線通信頻度が一定値以上、又は、一定時間内の無線通信データ量が一定値以上等である場合である。このような場合、判定部342は、緊急度のレベルを平常時よりも高く判定する。尚、判定部342は、観測装置100の充電必要量等から給電の緊急度を判定してもよい。また、判定部342は、無線通信履歴3124、充電必要量等から総合的に給電の緊急度を判定してもよい。例えば、判定部342は、充電必要量が一定値以上の場合や、充電率が一定値以下の場合に、緊急度のレベルを平常時よりも高く判定してもよい。但し、本実施形態では、判定部342は、無線通信履歴をより重視して緊急度を判定する。例えば、判定部342は、複数の観測装置100において、充電必要量や充電率等が同程度であっても、無線通信の間隔が所定時間未満等の場合に、緊急度をより高く判定する。
【0046】
選択部343は、第1の状況情報のうち観測装置100における無線通信履歴3124に基づいて、各給電移動体200における給電優先度の算出基準を選択する。具体的には、選択部343は、判定部342により判定された緊急度から、給電優先度の算出基準を選択する。ここで、「給電優先度」とは、充電対象装置に向かわせる給電移動体200を選択する優先度である。また、給電優先度とは、充電が必要な充電対象装置の第1の状況情報に応じた、給電用の移動体としての相応しさを示す指標ともいえる。また、「算出基準」とは、給電移動体の給電優先度の算出基準であり、指標や情報の種類、算出式、優先度の閾値等を含む。例えば、観測装置100における給電の緊急度が所定レベル未満の場合、選択部343は、第2の状況情報のうち給電移動体が給電可能な給電量を算出基準として選択する。また、観測装置100における緊急度が所定レベル以上の場合、選択部343は、第2の状況情報のうち給電移動体の現在位置から観測装置100の位置までの移動の所要時間を算出基準として選択する。
【0047】
算出部344は、所定の地点に設置された充電対象装置の第1の状況情報と、給電能力を有する複数の給電移動体のそれぞれの第2の状況情報とに基づいて、各給電移動体の給電優先度を算出する。具体的には、算出部344は、観測装置100の充電必要量と給電移動体200の給電可能量との関係、観測装置100の位置情報3123と給電移動体200の位置情報3133との距離、距離と移動能力情報3132に基づく所要時間等に基づいて、各給電移動体の給電優先度を算出する。特に、算出部344は、選択部343により選択された算出基準に従って各給電移動体の給電優先度を算出するとよい。例えば、算出部344は、緊急度が所定レベル未満の場合、つまり、平常時の場合、給電移動体200の給電可能量が多いほど、給電優先度を高く算出する。具体的には、算出部344は、給電移動体管理情報313を参照し、各給電移動体200の装置情報3131に対応付けられた給電可能量3134に基づいて、給電優先度を算出する。また、算出部344は、緊急度が所定レベル以上の場合、つまり、緊急時の場合、給電移動体200の現在位置から観測装置100の位置までの移動の所要時間が短いほど、給電優先度を高く算出する。具体的には、算出部344は、給電移動体管理情報313を参照し、各給電移動体200の装置情報3131に対応付けられた移動能力情報3132から平均移動速度を導出し、給電移動体200の現在位置から観測装置100の位置までの距離を算出し、距離と平均移動速度から所要時間を算出するとよい。そして、算出部344は、各給電移動体200の所要時間に基づいて、給電優先度を算出する。
【0048】
選択部343は、算出された給電優先度に基づき、観測装置100の給電に向かう給電移動体200を選択する。具体的には、選択部343は、給電優先度が最上位の給電移動体200を選択する。
【0049】
移動指示部345は、給電優先度に基づき選択された給電移動体200に対して、観測装置100への給電のための移動指示を行う。具体的には、移動指示部345は、給電移動体200に対して、観測装置100の位置情報と充電必要量とを含めて移動指示を行う。
【0050】
図5は、本実施形態1にかかる給電移動体200-1による観測装置100-1への給電の概念を説明するための図である。また、
図6は、本実施形態1にかかる管理処理の流れを示すフローチャートである。以下では
図5と
図6を適宜、参照して説明する。
【0051】
まず、観測装置100-1の送受信部162は、所定条件を満たす場合に、装置情報152、バッテリ情報、観測日時154及び観測データ155を含めた通知情報を、ネットワークNを介して管理装置300へ送信する(S101)。これに応じて、管理装置300の状況情報取得部341は、観測装置100-1から、装置情報152、バッテリ情報、観測日時154及び観測データ155を含めた通知情報を受信し、観測装置管理情報312へ記録する(S111)。例えば、状況情報取得部341は、受信した通知情報に含まれる装置情報3121に対応するバッテリ情報3122に、受信したバッテリ情報、例えば、充電量等を追加する。また、状況情報取得部341は、受信した通知情報に含まれる装置情報3121に対応する無線通信履歴3124の中に、受信した通知情報に含まれる通信日時31241及び観測データ31242を追加する。言い換えると、状況情報取得部341は、観測装置100-1における第1の状況情報を観測装置管理情報312に登録するといってもよい。
【0052】
また、給電移動体200-1~200-mの送受信部265のそれぞれは、装置情報、給電可能量及び位置情報を、ネットワークNを介して管理装置300へ送信する(S102-1~S102-m)。尚、給電移動体200-xは、基地2から飛行して移動中又は基地2以外の場所に着陸しているものとする。そこで、給電移動体200-xの送受信部265は、現在の位置情報を取得し、バッテリ270の給電可能量を測定し、自身の装置情報、給電可能量及び位置情報を、ネットワークNを介して管理装置300へ送信する(S102-x)。これらに応じて、管理装置300の状況情報取得部341は、各給電移動体から装置情報、給電可能量及び位置情報等を受信し、給電移動体管理情報313へ記録する(S112)。例えば、状況情報取得部341は、給電移動体200-1から受信した装置情報3131に対応する位置情報3133に、受信した位置情報を追加する。また、状況情報取得部341は、給電移動体200-1から受信した装置情報3131に対応する給電可能量3134に、受信した給電可能量を追加する。同様に、状況情報取得部341は、他の給電移動体200-2から200-m並びに200-xから受信した情報についても給電移動体管理情報313に追加する。言い換えると、状況情報取得部341は、各給電移動体200における第2の状況情報を給電移動体管理情報313に登録するといってもよい。
【0053】
続いて、管理装置300の判定部342は、観測装置100-1における第1の状況情報から、観測装置100-1の緊急度を判定する(S113)。そして、管理装置300の選択部343は、判定された緊急度から給電優先度の算出基準を選択する(S114)。そして、管理装置300の算出部344は、選択された算出基準に従って、各給電移動体の第2の状況情報から、各給電移動体の給電優先度を算出する(S115)。そして、管理装置300の選択部343は、給電優先度が最上位の給電移動体を選択する(S116)。ここでは説明の便宜のため、給電移動体200-1の給電優先度が最上位とし、選択部343は、給電移動体200-1を選択したものとする。その後、管理装置300の移動指示部345は、選択した給電移動体200-1に対して、観測装置100-1への給電のための移動指示を行う(S117)。つまり、移動指示部345は、観測装置100-1の位置情報及び充電必要量を含めた移動指示を、給電移動体200-1へネットワークNを介して送信する。
【0054】
図5に戻り説明を続ける。給電移動体200-1の送受信部265は、管理装置300からネットワークNを介して移動指示を受信する(S103)。これに応じて、給電移動体200-1は、飛行制御部263の制御に応じて、受信した移動指示に含まれる観測装置100-1の位置情報を目的地として、飛行して移動する(S104)。そして、給電移動体200-1は、観測装置100-1の無線受電部120付近に着陸し、給電制御部264及び無線給電部280により、観測装置100-1に向けて、ワイヤレス給電を行う(S105)。すなわち、給電移動体200-1の給電制御部264は、移動指示に含まれる充電必要量を、無線給電部280により、自身のバッテリ270から送電する。そして、観測装置100-1の無線受電部120は、給電移動体200-1から受電した電力を自身のバッテリ110に充電する。
【0055】
続いて、給電優先度の算出基準の具体例を用いて、算出基準により算出される給電優先度及び選択される給電移動体の違いを説明する。尚、以下の説明において給電優先度は、「A」、「B」、「C」の順で上位から下位と判定されるものとする。
【0056】
(緊急度が平常の場合)
図7は、本実施形態1にかかる緊急度が平常の場合の算出基準と給電優先度の例を示す図である。この場合、給電優先度の算出基準は、給電用バッテリの充電率とする。給電移動体200の給電優先度は、バッテリ270の充電率が100%の場合、「A」、充電率が50%~99%の場合、「B」、充電率が20%~49%の場合、「C」と算出されることを示す。尚、充電率が20%未満の場合、給電優先度を「D」とするか、該当する給電移動体200を給電優先度の算出対象外としてもよい。
【0057】
図8は、本実施形態1にかかる緊急度が平常の場合に選択される給電移動体の例を示す図である。ここでは、観測装置100-1の位置を目的地とし、給電移動体200-2、200-3、200-4が異なる場所に存在し、充電率も異なるものとする。領域R1~R3は、目的地からの距離を平面状の同心円で示したものであり、各給電移動体200の平均移動速度が同じと仮定して、目的地までの所要時間の範囲とみなして示したものである。その場合、領域R1は、目的地までの所要時間が30分~1時間未満、領域R2は、所要時間が5分~30分未満、領域R3は、所要時間が5分未満であることを示す。
【0058】
具体的には、給電移動体200-2は、充電率が75%、観測装置100-1までの所要時間が25分とする。給電移動体200-3は、充電率が40%、観測装置100-1までの所要時間が4分とする。給電移動体200-4は、充電率が100%、観測装置100-1までの所要時間が55分とする。この場合、緊急度が平常であり、算出基準が充電率であるため、給電移動体200-2~4のそれぞれの給電優先度は、「B」、「C」、「A」と算出される。そのため、管理装置300は、観測装置100-1から最も所要時間がかかるが、充電率が最も高い給電移動体200-4を選択し、給電移動体200-4に対して移動指示を行う。これにより、観測装置100-1は、給電移動体200-4から十分な量の電力をバッテリ110に充電することができる。
【0059】
(緊急度が緊急の場合)
図9は、本実施形態1にかかる緊急度が緊急の場合の算出基準と給電優先度の例を示す図である。この場合、給電優先度の算出基準は、目的地までの所要時間とする。給電移動体200の給電優先度は、所要時間が5分未満の場合、「A」、所要時間が5分以上かつ30分未満の場合、「B」、所要時間が30分以上かつ1時間未満の場合、「C」と算出されることを示す。尚、所要時間が1時間以上の場合、給電優先度を「D」とするか、該当する給電移動体200を給電優先度の算出対象外としてもよい。
【0060】
図10は、本実施形態1にかかる緊急度が緊急の場合に選択される給電移動体の例を示す図である。尚、目的地、給電移動体200-2~4の位置、充電率、所要時間は、上述した
図8と同様とする。この場合、緊急度が緊急であり、算出基準が所要時間であるため、給電移動体200-2~4のそれぞれの給電優先度は、「B」、「A」、「C」と算出される。そのため、管理装置300は、充電率が最も低いが、観測装置100-1から最も所要時間が短い給電移動体200-3を選択し、給電移動体200-3に対して移動指示を行う。
これにより、観測装置100-1は、給電移動体200-3から迅速に電力を観測装置100に充電することができる。
【0061】
尚、給電優先度が最上位の給電移動体200が複数である場合、管理装置300は、他の指標や情報の種類、算出式、優先度の閾値等を加味して、総合的に最上位の給電移動体200を選択してもよい。例えば、充電率が100%の給電移動体200が複数、存在する場合、管理装置300は、所要時間がより短いものを最上位として選択するとよい。また、所要時間が最小の給電移動体200が複数、存在する場合、管理装置300は、充電率がより高いものを最上位として選択するとよい。または、給電優先度と他の指標や情報の種類、算出式、優先度の閾値等も全て、共通する給電移動体200が複数、存在する場合、管理装置300は、その中から任意の給電移動体200を最上位として選択してもよい。
【0062】
続いて、複数の充電対象装置のバッテリの適切な管理について説明する。まず、観測装置100の設置場所の周辺環境が平常時である場合、観測部140により検出される事象が少ないため、観測部140による観測回数、例えば、カメラによる撮影間隔は基本設定の1日数回程度となり、観測データ155のサイズも最小限となる。そのため、平常時には、送受信部162は、1日に1回といった定期的なタイミングで、通知情報を管理装置300へ送信することとなる。
【0063】
一方、周辺環境が緊急時である場合、例えば、センサにより周辺環境に何らかの異常を検出した場合、観測部140により検出される事象が多くなり、観測部140による観測回数、観測頻度が多くなり、観測データ155の記録回数が多くなる。または、観測データ155のサイズが大きくなる。つまり、カメラによる撮影間隔が平常時より短くなるか、1回の撮影で記録されるフレーム数が多くなる場合もある。そのため、送受信部162は、緊急時には平常時と比べて、頻繁な回数で、通知情報を管理装置300へ送信する。または、送受信部162は、緊急時には平常時と比べて、サイズの大きいデータを通知情報として管理装置300へ送信することになる。
【0064】
このように、平常時には、観測装置100の動作量や無線通信の負荷が相対的に小さいため、バッテリ110の消耗も少なく、バッテリ110の容量が安定的に減少する傾向がある。そのため、観測装置100は、例えば、月に1回程度、バッテリ110を満充電すれば問題なく継続的に稼働することが見込まれる。例えば、バッテリ110がリチウムイオンバッテリの場合、メモリ効果によるバッテリ劣化が起き難いように、所定未満の充電容量、例えば20%未満となった場合に満充電をすることが望ましい。そのため、観測装置100の給電の緊急度が平常である場合、管理装置300は、1回の給電でバッテリ110を満充電可能となる給電可能量を有する給電移動体200の給電優先度を高く算出するとよい。これにより、バッテリの健全な運用が実現できる。
【0065】
また、緊急時には、突発的に検出される事象が極端に多く、観測回数、観測頻度、観測データの記録回数が多く、観測データのサイズも大きくなる。特に、緊急時ほど、観測データの重要性が高いため、通信頻度も多くなり、例えば、1日に60回以上無線通信を行う場合がある。そのため、バッテリ110の消耗が多く、バッテリ110の容量の減少速度も、平常時より極端に速くなる可能性がある。つまり、緊急時には平常時に比べて短期間でバッテリ110の容量を使い切ってしまう可能性が高い。そのため、観測装置100のバッテリ110は、20%未満となるまで待たずに、都度充電することが望ましい。よって、観測装置100の給電の緊急度が緊急である場合、給電移動体200による給電可能量の大小よりも、給電の即時性を優先して、給電に向かわせることが有効である。そこで、管理装置300は、観測装置100まで距離が短い、具体的には移動の所要時間が短い、給電移動体200の給電優先度を高く算出するとよい。これにより、緊急時でも、観測装置100の継続的な稼働を維持できる。
【0066】
以上のことから、本実施形態により、複数の給電移動体を活用して複数の充電対象装置のバッテリの管理を適切に行うことができる。
【0067】
<実施形態2>
図11は、本実施形態2にかかる給電後の給電移動体が引き続き、他の観測装置に給電を行う場合の概念を説明するための図である。また
図12は、本実施形態2にかかる管理処理の流れを示すフローチャートである。以下では
図11と
図12を適宜、参照して説明する。特に、上述した
図5における給電移動体200-1から観測装置100-1へのワイヤレス給電(S105)の後の場合を説明する。
【0068】
まず、観測装置100-2の送受信部162は、装置情報152、バッテリ情報、観測日時154及び観測データ155を含めた通知情報を、ネットワークNを介して管理装置300へ送信する(S201)。これに応じて、管理装置300の状況情報取得部341は、観測装置100-2から、装置情報152、バッテリ情報、観測日時154及び観測データ155を受信し、観測装置管理情報312へ記録する(S211)。
【0069】
また、ステップS201とは独立して、給電移動体200-1の送受信部265は、観測装置100-1への給電を終えた後、バッテリ270の残りの容量つまり給電可能量を含むバッテリ情報を測定する。また、給電移動体200-1の送受信部265は、現在の位置情報を取得する。そして、給電移動体200-1の送受信部265は、観測装置100-1への充電完了の旨と、現在の位置情報と、給電可能量を含むバッテリ情報とを、ネットワークNを介して管理装置300へ送信する(S202)。これに応じて、管理装置300の状況情報取得部341は、給電移動体200-1から装置情報、給電可能量及び位置情報等を受信し、給電移動体管理情報313へ記録する(S212)。
【0070】
続いて、管理装置300の算出部344は、給電移動体200-1の現在位置から観測装置100-2までの移動の所要時間を算出する(S213)。具体的には、算出部344は、給電移動体管理情報313を参照し、給電移動体200-1の装置情報3131に対応付けられた移動能力情報3132から平均移動速度を取得し、給電移動体200-1の装置情報3131に対応付けられた位置情報3133の現在位置から観測装置100-2の装置情報3121に対応付けられた位置情報3123の位置までの距離を算出し、算出した距離と取得した平均移動速度から所要時間を算出するとよい。
【0071】
そして、管理装置300の判定部342は、所要時間が閾値未満であるか否かを判定する(S214)。所要時間が閾値未満である場合(S214でYES)、判定部342は、観測装置100-2の給電必要量より、給電移動体200-1の給電可能量が多いか否かを判定する(S215)。給電必要量より給電可能量が多い場合(S215でYES)、算出部344は給電移動体200-1の給電優先度を最上位として算出し、選択部343は給電移動体200-1を選択する(S216)。尚、給電優先度の算出は、省略してもよい。
【0072】
その後、管理装置300の移動指示部345は、選択した給電移動体200-1に対して、観測装置100-2への給電のための移動指示を行う(S217)。つまり、移動指示部345は、観測装置100-2の位置情報及び充電必要量を含めた移動指示を、給電移動体200-1へネットワークNを介して送信する。
【0073】
一方、ステップS214又はS215のいずれかでNOの場合、移動指示部345は、給電移動体200-1に対して、基地2への帰還指示を行う(S218)。例えば、移動指示部345は、基地2の位置情報を含めた帰還指示を、給電移動体200-1へネットワークNを介して送信する。
【0074】
図11に戻り説明を続ける。ステップS217の後、給電移動体200-1の送受信部265は、管理装置300からネットワークNを介して移動指示を受信する(S203)。これに応じて、給電移動体200-1は、飛行制御部263の制御に応じて、受信した移動指示に含まれる観測装置100-2の位置情報を目的地として、飛行して移動する(S204)。そして、給電移動体200-1は、観測装置100-2の無線受電部120付近に着陸し、電制御部264及び無線給電部280により、観測装置100-2に向けて、ワイヤレス給電を行う(S205)。すなわち、給電移動体200-1の給電制御部264は、移動指示に含まれる充電必要量を、無線給電部280により、自身のバッテリ270から送電する。そして、観測装置100-2の無線受電部120は、給電移動体200-1から受電した電力を自身のバッテリ110に充電する。
【0075】
その後、給電移動体200-1の送受信部265は、再び、給電可能量等を測定し、現在の位置情報を取得する。そして、給電移動体200-1の送受信部265は、観測装置100-2への充電完了の旨と、現在の位置情報と、給電可能量を含むバッテリ情報とを、ネットワークNを介して管理装置300へ送信する(S206)。これに応じて、管理装置300の状況情報取得部341及び算出部344は、上述したステップS212及びS213を行う。ここでは、説明の便宜上、他の観測装置における給電の必要性はないか、給電移動体200-1についてステップS214又はS215でNOと判定されたものとする。そこで、給電移動体200-1の送受信部265は、管理装置300からネットワークNを介して帰還指示を受信する(S207)。これに応じて、給電移動体200-1は、飛行制御部263の制御に応じて、受信した帰還指示に含まれる基地2の位置情報を目的地として、飛行して移動する(S208)。
【0076】
このように、本実施形態により、給電のために移動した給電移動体200を、給電後に引き続き、他の観測装置に給電を行わせることができる。所要時間や給電可能量と給電必要量との関係によっては、複数の観測装置に対する給電のために、1台の給電移動体200を効率的に運用できる。
【0077】
<その他の実施形態>
尚、給電移動体200の給電後に、ステップS202やS206で充電完了等を送信した後、管理装置300は、上述した実施形態1の
図6と同様の処理を行っても良い。つまり、充電が必要な新たな観測装置への給電を行わせるために、管理装置300は、給電移動体200-1から200-mや200-x等、利用可能な複数の給電移動体の中から、緊急度、算出基準、給電優先度を用いて給電用の給電移動体200を選択してもよい。
【0078】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【0079】
尚、上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0080】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0081】
100 観測装置(充電対象装置)、 110 バッテリ、 120 無線受電部、 130 無線部、 140 観測部、 150 記憶部、 151 プログラム、 152 装置情報、 153 位置情報、 154 観測日時、 155 観測データ、 160 制御部、 161 記録部、 162 送受信部、 163 通信制御部、 170 メモリ
200 給電移動体(ドローン)、 210 無線部、 220 カメラ、 230 記憶部、 231 プログラム、 232 装置情報、 233 位置情報、 240 メモリ、 250 飛行部、 260 制御部、 261 通信制御部、 262 撮影制御部、 263 飛行制御部、 264 給電制御部、 265 送受信部、 270 バッテリ、 280 無線給電部、
300 管理装置、 310 記憶部、 311 プログラム、 312 観測装置管理情報、 3121 装置情報、 3122 バッテリ情報、 3123 位置情報、 3124 無線通信履歴、 31241 通信日時、 31242 観測データ、 313 給電移動体管理情報、 3131 装置情報、 3132 移動能力情報、 3133 位置情報、 3134 給電可能量、 320 メモリ、 330 通信部、 340 制御部、 341 状況情報取得部、 342 判定部、 343 選択部、 344 算出部、 345 移動指示部、
2 基地、 N ネットワーク
R1、R2、R3 領域