(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125734
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
D06F39/02 A
D06F39/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033755
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】森田 寛之
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA04
3B166AA05
3B166AA11
3B166AE02
3B166BA16
3B166BA28
3B166BA48
3B166CA01
3B166CB01
3B166CB11
3B166CD01
3B166CD15
3B166DC45
3B166DC47
3B166DE02
3B166FB01
3B166GA02
3B166GA14
3B166JM01
3B166JM02
3B166JM03
(57)【要約】
【課題】処理剤タンク内の清掃が容易で、ユーザの利便性を向上する洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機は、水槽と、洗濯運転複数回分の洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクを有し、水槽に所定量の洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置と、を備える。処理剤タンクは、開口部を有した容器状に形成されたタンク本体と、開口部を着脱可能に閉塞するカバー部材と、カバー部材に設けられた開口である投入口と、タンク本体に設けられた開口である吐出口と、処理剤タンク内の空間を投入口を有する第1領域と吐出口を有する第2領域とに区分するように設けられて洗濯処理剤内の異物を捕捉するフィルタ部材と、を有する。フィルタ部材の下端部はタンク本体の内底面に接しており、フィルタ部材の上端部は直接又は間接的にカバー部材に接している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
洗濯運転複数回分の洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクを有し、前記水槽に所定量の前記洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置と、を備え、
前記処理剤タンクは、開口部を有した容器状に形成されたタンク本体と、前記開口部を着脱可能に閉塞するカバー部材と、前記カバー部材に設けられた開口である投入口と、前記タンク本体に設けられた開口である吐出口と、前記処理剤タンク内の空間を前記投入口を有する第1領域と前記吐出口を有する第2領域とに区分するように設けられて前記洗濯処理剤内の異物を捕捉するフィルタ部材と、を有し、
前記フィルタ部材の下端部は前記タンク本体の内底面に接しており、前記フィルタ部材の上端部は直接又は間接的に前記カバー部材に接している、
洗濯機。
【請求項2】
前記タンク本体は、前記カバー部材の動きを規制する規制部を有し、
前記カバー部材は、内面に上方に向けて窪んで設けられて前記カバー部材が前記タンク本体に装着された状態で前記フィルタ部材の上端部を受け入れる凹部と、前記カバー部材が前記タンク本体に装着された状態で前記規制部に規制される被規制部とを有しており、
前記凹部の深さ寸法は、0mm以上に設定されている前記規制部と前記被規制部との間の隙間の寸法よりも大きく設定されている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記タンク本体は、前記カバー部材の動きを規制する爪形状の規制部を有し、
前記カバー部材は、前記カバー部材が前記タンク本体に装着された状態で前記規制部に嵌合して移動が規制される被規制部を有しており、
前記規制部は、前記タンク本体を水平方向に見た場合前記フィルタ部材と少なくとも一部が重なる位置に設けられている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記処理剤タンクは、弾性を有する部材で構成され、前記カバー部材と前記フィルタ部材との間に配置されて、前記カバー部材と前記フィルタ部材とが前記タンク本体に装着された状態における前記カバー部材と前記フィルタ部材との間の隙間の上下方向の寸法よりも大きく設定された高さ寸法を有する、弾性部材を有する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記タンク本体は、内底面と内側面とのいずれか一方又は両方に前記フィルタ部材を受け入れる溝部を有する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記処理剤タンクは、弾性を有する部材で構成され、前記フィルタ部材の上端部に取り付けられた弾性部材を有し、
前記弾性部材が取り付けられた状態で、前記フィルタ部材の上端部の厚みは、前記溝部の幅よりも大きく設定されている、
請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記処理剤タンクは、前記洗濯処理剤の貯留量に基づいて所定の軌道に従って移動するフロートを有し、
前記フィルタ部材は、前記フロートの前記軌道から離れるように折れ曲がり又は傾斜して形成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記タンク本体又は前記カバー部材は、前記洗濯処理剤の最高許容液面高さを示す指標部を有し、
前記フィルタ部材は、前記タンク本体に取り付けられた状態で、前記指標部よりも上方に、前記第1領域と前記第2領域とを連通する連通部を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記タンク本体は、透明又は半透明の部材で構成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ユーザの利便性向上のために、洗濯処理剤を自動投入用のタンクに予め複数回分貯留しておき、各洗濯運転時に必要量の洗濯処理剤を処理剤タンクから自動的に投入する自動投入装置を備えた洗濯機が開発されている。例えば特許文献1では、処理剤タンクの内部には、洗濯処理剤中に含まれていたごみ等が投入されることを防止するために、網状のフィルタ部材が設けられている。
【0003】
特許文献1では、フィルタ部材は処理剤タンクの底面と背面とに渡すようにして設けられている。この場合、フィルタ部材は全体が洗濯処理剤に浸かることになるため、ユーザが処理剤タンクの清掃時にフィルタ部材を取り外そうとしても、粘性を有する洗濯処理剤によって手指が滑り易く、取り外すことが困難となる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、処理剤タンク内の清掃が容易な、ユーザの利便性を向上する洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の洗濯機は、水槽と、洗濯運転複数回分の洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクを有し、前記水槽に所定量の前記洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置と、を備える。前記処理剤タンクは、開口部を有した容器状に形成されたタンク本体と、前記開口部を着脱可能に閉塞するカバー部材と、前記カバー部材に設けられた開口である投入口と、前記タンク本体に設けられた開口である吐出口と、前記処理剤タンク内の空間を前記投入口を有する第1領域と前記吐出口を有する第2領域とに区分するように設けられて前記洗濯処理剤内の異物を捕捉するフィルタ部材と、を有する。前記フィルタ部材の下端部は前記タンク本体の内底面に接しており、前記フィルタ部材の上端部は直接又は間接的に前記カバー部材に接している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態による洗濯機の一例の構成を概略的に示す図
【
図2】第1実施形態による洗濯機の一例の処理剤タンクの概略構成を示す斜視図
【
図3】第1実施形態による洗濯機の一例のタンク本体の概略構成を示す側面図
【
図4】第1実施形態による洗濯機の一例の処理剤タンクの概略構成を示す平面図
【
図5】第1実施形態による洗濯機の一例の処理剤タンクの概略構成を
図4のV-V線に沿って側面方向から示す縦断面図
【
図6】第1実施形態による洗濯機の一例のフィルタ部材の概略構成を示す正面図
【
図8】
図5の円VIII内を拡大して示す拡大断面図
【
図11】カバー部材がパッキンを有する場合において
図9のx-x線に沿って示す拡大断面図
【
図12】第1実施形態による洗濯機の一例の処理剤タンクについてカバー部材がフィルタ部材に乗り上げた状態を側面方向から示す縦断面図
【
図13】第2実施形態による洗濯機の一例の処理剤タンクの概略構成を側面方向から示す縦断面図
【
図14】第2実施形態による洗濯機の変形例のタンク本体の概略構成を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による洗濯機について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。各実施形態は、
図1に示す横軸または斜め軸型のドラム式洗濯機、及び図示しない縦軸型の洗濯機のいずれにも適用することができる。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1~
図12を参照して説明する。洗濯機10は、
図1に示すように、外箱11、水槽12、回転槽13、回転槽モータ14、給水経路15、給水弁16、排水経路17、排水弁18、注水ケース19、自動投入装置20を備えている。
【0010】
外箱11は、洗濯機10の外殻を構成する物であり、例えば箱状に構成されている。水槽12は、外箱11内に配置されて図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、水槽12内に回転可能に配置されている。この場合、水槽12及び回転槽13は、内部に洗濯物を収容する洗濯槽として機能する。回転槽モータ14は、回転槽13を回転駆動する。
【0011】
給水経路15は、水道の蛇口等、図示しない外部の水源から水槽12に至る水路である。給水弁16は、給水経路15の途中に設けられており、給水経路15を開閉する機能を有する。給水弁16は、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁で構成されており、電磁的な指令に基づいて開閉する。給水弁16は水槽12内に対する給水を制御する。給水弁16の上流側は、水道の蛇口等、図示しない外部の水源に接続される。給水弁16の下流側は、例えば注水ケース19を介して水槽12に繋がっている。
【0012】
排水経路17は、水槽12から機外に至る水路で、水槽12内の水を機外に排水する。排水弁18は、排水経路17の途中に設けられており、排水経路17を開閉する機能を有する。排水弁18は、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁で構成されており、電磁的な指令に基づいて開閉する。排水弁18の上流側は水槽12に接続される。排水弁18の下流側は、外部の例えば排水溝等に接続される。
【0013】
注水ケース19は、例えば樹脂製であって内部に空間を有する箱状に形成されている。注水ケース19は、給水経路15の途中において給水弁16の下流に設けられている。注水ケース19は、例えば1つまたは複数の処理剤収容部191を有して構成することができる。処理剤収容部191は、ユーザが洗濯処理剤を洗濯運転毎に手動で投入する際に使用される。
【0014】
処理剤収容部191は、容器状に形成されて例えば注水ケース19に出し入れ又は着脱可能に構成されており、ユーザから例えば液体又は粉末の洗濯処理剤の投入を受ける。処理剤収容部191に洗濯処理剤が投入された状態で給水弁16が開放されると、処理剤収容部191に投入された洗濯処理剤は、給水弁16から注水ケース19に供給される水と共に水槽12内に流し落とされる。
【0015】
自動投入装置20は、所定量の洗濯処理剤を洗濯運転の所定のタイミングで水槽12内に自動で投入する機能を有する。自動投入装置20は、例えば複数種類の洗濯処理剤を水槽12内へ選択的に自動で投入する。自動投入装置20は、複数この場合2つの処理剤タンク211、212と、選択弁22と、投入ポンプ23と、を有している。
【0016】
処理剤タンク211、212は、例えばそれぞれ複数回の洗濯運転に使用する量の液体の洗濯処理剤を内部に貯留可能に構成されている。各処理剤タンク211、212の形状及び容量は同一であっても良いし異なっていても良い。処理剤タンク211、212は、外箱11内に出し入れ可能、又は着脱可能に構成されている。この場合、外箱11は、タンク収容部111を有している。タンク収容部111は、少なくとも一部が開口した箱状に形成されて例えば外箱11の上部に設けられている。ユーザは各処理剤タンク211、212をタンク収容部111から出し入れ又は着脱することができる。各処理剤タンク211、212は、タンク収容部111の所定の位置に配置された場合に、選択弁22、及び投入ポンプ23を介して給水経路15の途中部分に接続される。なお、以下の説明において、各処理剤タンク211、212を区別する必要がない場合、処理剤タンク21と総称することがある。
【0017】
選択弁22は、例えば電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁で構成されており、各処理剤タンク211、212と投入ポンプ23との間の経路を開閉する機能を有する。選択弁22は、各処理剤タンク211、212と投入ポンプ23とを繋ぐ2つの経路の内の1つを択一的に開く。これにより、投入ポンプ23を駆動させた際に、各処理剤タンク211、212のいずれもから洗濯処理剤が吸い出されて複数種の洗濯処理剤が混ざり合ってしまうことが抑制される、
【0018】
投入ポンプ23は、各処理剤タンク211、212の下流、この場合選択弁22の下流に設けられている。投入ポンプ23は、処理剤タンク211、212から所定量の洗濯処理剤を吸出して水槽12に投入する機能を有する。投入ポンプ23は、例えば電気モータを駆動源としたシリンジポンプで構成することができる。投入ポンプ23は、各処理剤タンク211、212のうち選択弁22によって経路が開かれたものから洗濯処理剤を一定量吸引して給水経路15の下流へ吐出する。
【0019】
なお、洗濯機10は、図示しない液面検知装置を備えている。検知装置は、処理剤タンク21内に貯留された洗濯処理剤の液面を検知することで、洗濯処理剤の貯留量を検知する。例えば検知装置は、処理剤タンク21内に設けられた図示しないフロートの位置又は移動を検知することで、洗濯処理剤の液面を検知する。
【0020】
処理剤タンク21の詳細な構成について、
図2~
図5を参照して説明する。処理剤タンク21は、タンク本体30と、カバー部材40と、フィルタ部材50とを有する。タンク本体30は、処理剤タンク21の外殻を構成しており、上面に開口を有した容器状に形成されている。カバー部材40は、タンク本体30にタンク本体30の開口を開閉する。カバー部材40は、清掃時やメンテナンス時にユーザまたは作業者によってタンク本体30から着脱可能に構成されている。
【0021】
本実施形態の場合、タンク本体30は全体として略直方体状に形成されており、前面部31、左右の側面部32、32、背面部33、底面部34、及び開口部35を有している。前面部31と、左右の側面部32と、背面部33とは、タンク本体30の容器形状の側面を形成する。底面部34は、タンク本体30の容器形状の底面を形成する。開口部35は、上面に形成された開口であり、周囲をタンク本体30の容器形状の側面である前面部31と、左右の側面部32と、背面部33とによって囲まれている。なお、本明細書及び図面において、必要に応じて各面部を表す符号に1を追加して各面部の内面つまり処理剤タンク21の内側に向く面を、各面部を表す符号に2を追加して各面部の外面つまり処理剤タンク21の外側に向く面を表す。例えば、内側面321は側面部32の内側の面を、外側面部322は側面部32の外側の面を、内底面341は底面部34の内側の面を、外底面部342は底面部34の外側の面を表す。タンク本体30は、例えば透明又は半透明の合成樹脂で構成されている。これにより、ユーザは、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の量や、内部の様子を処理剤タンク21の外部から目視で確認し易くなる。
【0022】
タンク本体30は、吐出口36と、管部37と、を有する。吐出口36は、前面部31、左右の側面部32、背面部33、底面部34のいずれかこの場合背面部33を厚み方向に貫通する開口である。吐出口36は、処理剤タンク21の内部と外部とを連通し、洗濯処理剤の処理剤タンク21からの出口となる。管部37は、管状に形成されており、上流側は内底面341の近傍まで延びており、下流側は吐出口36に接続されている。管部37の内部には図示しない漏出防止弁が設けられており、処理剤タンク21がタンク収容部111から取り外された状態で処理剤タンク21内部に貯留された洗濯処理剤が吐出口36から外部に漏れることが防止されている。
【0023】
カバー部材40は、平面視略矩形に形成されている。カバー部材40は、カバー本体41と、蓋部材42とを含んで構成される。カバー本体41は、平面視略矩形の板状に形成されて、カバー部材40の外殻を構成する。カバー本体41は、投入口411を有する。投入口411は、カバー本体41を厚み方向この場合上下方向に貫いて形成された開口であり、カバー部材40がタンク本体30に装着された状態で、処理剤タンク21の内部と外部とを連通する。投入口411は、ユーザによって洗濯処理剤が処理剤タンク21に注入される際に洗濯処理剤の処理剤タンク21への入口となる。投入口411は、カバー部材40がタンク本体30に装着された状態で、吐出口36から水平方向に離れた位置に設けられている。この場合、投入口411は、投入口411の前端部寄りに設けられている。
【0024】
蓋部材42は、図示しないヒンジによって投入口411の外周部この場合投入口411の後外周部に回動可能に固定され、投入口411を開閉する。ユーザは、蓋部材42を開けて投入口411を通してタンク本体30に洗濯処理剤を補充することができる。カバー本体41と蓋部材42とを含むカバー部材40の一部又は全部は、例えば透明、又は半透明の合成樹脂で構成されている。これにより、ユーザは、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の量を、蓋部材42を開けなくても外部から目視で確認し易くなる。
【0025】
図3~
図6等に示すように、処理剤タンク21は更にフィルタ部材50を有する。フィルタ部材50は、略板状に形成されて、タンク本体30内の空間を投入口411寄りの第1領域A1と、吐出口36寄りの第2領域A2とに仕切っている。これにより、フィルタ部材50は、投入口411から処理剤タンク21に補充された洗濯処理剤が、管部37を通して投入ポンプ23によって吐出口36から吸い出される際に、洗濯処理剤に含まれているごみやほこりなどの異物を捕集する。フィルタ部材50は、平面視で、少なくとも一部又は全体が投入口411よりも後方であってかつ少なくとも一部又は全体が吐出口36よりも前方に位置する。本実施形態では、フィルタ部材50は、平面視で、全体が投入口411よりも後方であってかつ全体が吐出口36よりも前方に位置する。
【0026】
図6に示すように、フィルタ部材50は枠部51と、フィルタ部52とを有する。枠部51は、略矩形の枠状に形成されてフィルタ部材50の外殻を構成し、フィルタ部52を取り囲んでいる。枠部51は、フィルタ部材50の外形を維持したり、処理剤タンク21との接点を形成したり、ユーザに保持されたりする部分である。フィルタ部52は、多数の微小孔521を含んで例えば網目状に形成されており、異物を捕集する機能を有する。
【0027】
図4、
図5、
図7及び
図8等に示すように、タンク本体30は、溝部39を有する。フィルタ部材50がタンク本体30に取り付けられると、溝部39は枠部51を受け入れる。溝部39は、内前面部311、左右の内側面321、321、内背面331、及び内底面341のうち少なくともいずれか一つを、厚み方向に外向きに窪ませて形成されている。本実施形態では、溝部39は、左右の内側面321、321と、内底面341とに形成されている。左右の内側面321、321に形成された溝部39を第1溝部391と、内底面341に形成された溝部39を第2溝部392と称する。
【0028】
第1溝部391は、左右の内側面321、321を処理剤タンク21に関して左右方向に外向きに窪ませて形成されて、枠部51の左部と右部とをそれぞれ受け入れる。第1溝部391は、両側を第1リブ391a、391aに挟まれて形成されている。第1リブ391aは、内側面321からタンク本体30の内側に向けて突出して上下方向に延びて形成されている。第1溝部391の底部は、左右の内側面321、321と同一面上であっても良いし、左右の内側面321、321よりも処理剤タンク21に関して内側に位置していても良いし外側に位置していても良い。本実施形態では、第1溝部391の底部は、左右の内側面321、321よりも処理剤タンク21に関してやや外側に位置している。
【0029】
第1溝部391は、左右の内側面321、321の上下方向の全体に亘って形成されていても良いし、部分的に形成されていても良い。本実施形態では、第1溝部391は、左右の内側面321、321の下部寄りに設けられている。例えば、第1溝部391の長さ寸法は、タンク本体30の高さ寸法の約50%~75%に設定することができる。これにより、フィルタ部材50の姿勢を安定的に維持できると共に、フィルタ部材50をタンク本体30に装着する際にある程度の自由度があるため装着し易くなる。
【0030】
第2溝部392は、内底面341を下向きに窪ませて形成されて、枠部51の下部を受け入れる。第2溝部392の底部は、内底面341よりも下方に位置している。第2溝部392は、両側にリブを有していない。そのため、第2溝部392は、処理剤タンク21の底部付近を流れる洗濯処理剤の移動を妨げ難い。
【0031】
第1溝部391の前後方向の長さ寸法つまり幅と、第2溝部392の前後方向の長さ寸法である幅は同一に設定されていても良いし、異なって設定されていても良い。本実施形態では、第1溝部391の幅と第2溝部392の幅は同一に設定されている。溝部391、392の幅を幅W1とする。
【0032】
図5及び
図8に示すように、カバー部材40は凹部45を有する。凹部45は、カバー本体41の下面を上方に向けて窪ませて形成されている。カバー部材40をタンク本体30に装着すると、凹部45は内部にフィルタ部材50の上端部を受け入れる。すなわち、フィルタ部材50は、カバー部材40をタンク本体30に装着した状態で、タンク本体30とカバー部材40とに上下から挟まれるようにして保持される。凹部45は、両側この場合前側と後側に第2リブ451、451を有する。第2リブ451は、カバー本体41の下面から下方に向けて突出して形成されている。凹部45の底部は、カバー本体41の下面よりも上方又は下方に位置していても良いし、カバー本体41の下面と同一面上に位置しても良い。本実施形態では、凹部45の底部はカバー本体41の下面と概ね同一面上に位置している。
【0033】
図8に示すように、凹部45の幅寸法つまり前後方向の寸法を幅W2とする。幅W2は、幅W1よりも大きく設定されている。また、凹部45の凹みの深さ寸法つまり上下方向の寸法を深さD1とする。本実施形態では、深さD1は、第2リブ451の自由端つまり下端部から凹部45の凹みの底部つまり上端部までの寸法として定義される。
【0034】
図5及び
図8等に示すように、処理剤タンク21は、弾性部材60を有する。弾性部材60は、フィルタ部材50とカバー部材40との間に位置し、フィルタ部材50の下端部をタンク本体30に押し付ける機能を有する。弾性部材60は、脱着可能又は不可能にカバー部材40に取付けられていても良いしフィルタ部材50に取り付けられていても良い。本実施形態では、弾性部材60は脱着可能にフィルタ部材50に取り付けられている。
図7に示すように、弾性部材60はフィルタ部材50の上端部を幅方向に亘って上方から覆うように取り付けられている。
【0035】
フィルタ部材50が処理剤タンク21に装着されていない状態で、60の上端からフィルタ部材50の上端までの距離は、フィルタ部材50が処理剤タンク21に装着された状態でのフィルタ部材50の上端から凹部45の底部までの距離よりも大きく設定されている。すなわち、弾性部材60は、フィルタ部材50が処理剤タンク21に装着された状態で上下方向に圧縮される。圧縮により反発力が発生し、弾性部材60はフィルタ部材50を下方に押し返す。これにより、フィルタ部材50の下端部は第2溝部392の底部に向けて押し付けられる。
【0036】
フィルタ部材50は、上下を反転した状態でタンク本体30に装着不可能に設計されている。これにより、フィルタ部材50を上下反転して誤装着してしまうことが回避される。
図7に示すフィルタ部材50の下端部の前後方向の寸法つまり厚み寸法を厚みT1とする。
図8に示す弾性部材60を含めたフィルタ部材50の上端部の前後方向の寸法つまり厚み寸法を厚みT2とする。厚みT1は厚みT2よりも小さく設定されている。そして、厚みT2は、少なくとも溝部391、392のいずれか一方又は両方の幅寸法よりも大きく設定されている。本実施形態では、厚みT2は幅W1よりも大きく設定されている。これにより、フィルタ部材50を上下反転した状態では、フィルタ部材50は少なくとも溝部391、392のいずれか一方又は両方に受け入れられず、タンク本体30の正常な高さ位置に取り付けることができない。
【0037】
一方、厚みT1は、溝部391、392の幅W1より若干小さく設定されている。また、厚みT2は、凹部45の幅W2より若干小さく設定されている。これにより、フィルタ部材50の下端部は溝部391、392に受け入れられ、上端部は凹部45に受け入れられ、タンク本体30にフィルタ部材50が装着された状態でカバー部材40を装着することができる。
【0038】
図5に示すように、カバー部材40は、補充ガイド44を有している。補充ガイド44は、投入口411の外周部の少なくとも一部から下方に向けて延びている。本実施形態では、補充ガイド44は投入口411の後外周部から下方に向けて延びて、前方に向かうほど下降する傾斜面を形成している。補充ガイド44は、ユーザが洗濯処理剤を補充する際に、ユーザの補充動作のガイドとなったり洗濯処理剤の飛散を抑制したりする機能を有する。
【0039】
補充ガイド44は、指標部441を有する。指標部441は、処理剤タンク21に貯留可能な最大量の洗濯処理剤を貯留した状態での液面の高さ位置を示す。すなわち、指標部441の高さ位置は、最高許容液面高さHmaxに一致する。指標部441は、補充ガイド44の傾斜面を突出させて又は窪ませて形成しても良いし、印刷によって視認可能に形成しても良い。本実施形態では、指標部441は補充ガイド44の下端寄り部分の一部を上方に突出させて形成している。
【0040】
なお、本実施形態では、指標部441は補充ガイド44に設けられているが、これに限らない。他の実施形態では、例えばタンク本体30の側壁の内面部例えば左右の内側面321に最高許容液面高さHmaxを示す指標部を有していても良い。
【0041】
図5、
図6、及び
図8に示すように、フィルタ部材50は、連通部53を有している。連通部53は、フィルタ部材50を厚み方向この場合前後方向に貫いて形成されて、第1領域A1と第2領域A2とを連通する。連通部53の開口面積S1は、フィルタ部52の各微小孔521の開口面積S2よりも大きく設定されている。これにより、連通部53は、第2領域A2側から第1領域A1に空気を逃がす機能を有する。
【0042】
連通部53は、例えば枠部51を貫く貫通孔や、枠部51の一部を切り欠いて形成された切欠き又はスリットであっても良い。本実施形態では、連通部53は枠部51の上部の一部を貫通して形成された貫通孔である。連通部53は、最高許容液面高さHmaxよりも上方に形成されている。すなわち、連通部53の下端の高さ位置H1は、最高許容液面高さHmaxよりも高く設定されている。これにより、連通部53は洗濯処理剤に浸かることがないので、処理剤タンク21内の空気は、微小孔521を通り抜けられない場合であっても第1領域A1と第2領域A2とを出入りすることが可能となる。
【0043】
カバー部材40の装着及び取り外し方法について説明する。
図2~
図4及び
図9に示すように、タンク本体30は一又は複数この場合2つの規制部38を有している。カバー部材40は一又は複数この場合2つの被規制部43を有している。規制部38は、カバー部材40がタンク本体30に装着された状態で、規制部38の移動を規制することによって、カバー部材40の移動を規制する。被規制部43は、カバー部材40がタンク本体30に装着された状態で、規制部38によって上方及び又は前後方向への移動が規制される。本実施形態では、2つの規制部38は、タンク本体30の側面この場合左右の側面部32、32にそれぞれ形成されている。2つの被規制部43は、カバー部材40がタンク本体30に装着された状態で規制部38と向かい合う位置この場合カバー部材40の左右側にそれぞれ形成されている。
【0044】
規制部38は、外側面部322の上部から水平方向外側この場合左右に向かって突出して形成された爪部である。規制部38は、水平方向この場合前後方向を長手方向とし、上下方向を短手方向とする略長方形に形成されている。被規制部43は、カバー本体41の端部この場合左右の側端部401から下方に突出して側面視U字状に形成されている。つまり被規制部43は、上端が側端部401に接続されて下方に延びる前部431と後部432と、前部431と後部432の下端に接続されて水平方向この場合前後方向に延びる下部433とを有する。
【0045】
カバー部材40がタンク本体30に装着された状態で、規制部38は、前部431と後部432と下部433とで囲まれている。カバー部材40が上方に引き上げられると下部433の上端が規制部38に当たって、被規制部43ひいてはカバー部材40の上方への移動が規制される。また、カバー部材40が前後方向に動かされると、前部431又は後部432の内端が規制部38に当たって、被規制部43ひいてはカバー部材40の前後方向への移動が規制される。
【0046】
被規制部43は例えば合成樹脂によってカバー本体41と一体成型されており、弾性変形する。カバー部材40をタンク本体30に装着する場合には、カバー部材40をタンク本体30の所定の位置に上から押し付けると、下部433が規制部38に当たって、タンク本体30から離れる方向この場合左右の外側に向けて開くように被規制部43が弾性変形する。下部433が規制部38を乗り越えると、外向きに開いていた被規制部43は元の姿勢に戻る。
【0047】
カバー部材40をタンク本体30から取り外す際には、被規制部43をタンク本体30から離れる方向つまり左右の外側に向けて引っ張りながらカバー部材40を上方に動かすことで、規制部38と被規制部43との嵌合が解消する。このようにして、下部433が規制部38を乗り越えることができるため、カバー部材40をタンク本体30から取り外すことができる。
【0048】
なおこの場合、規制部38が爪形状であって被規制部43が爪を受け入れる構成であるが、被規制部43が爪形状であって、規制部38が爪を受け入れる構成であっても良い。またなおこの場合、規制部38と被規制部43とは嵌合によって互いの相対的な移動を規制するが、これに限らない。他の実施形態では、例えば被規制部43はカバー部材40の周縁部に形成された溝形状であって、規制部38は当該溝形状に嵌り込むことによって、摩擦によってカバー部材40の移動を規制する構成としても良い。
【0049】
図4に示すように、規制部38と被規制部43とは、フィルタ部材50の設置個所の近傍に位置している。フィルタ部材50の厚み方向に垂直な方向つまり側面から見た場合、規制部38と被規制部43とは、少なくとも一部がフィルタ部材50と重なる位置に惚けられている。これにより、例えばフィルタ部材50の下端が内底面341に接していないで所定の位置よりも上方に突出している場合に、カバー部材40を装着しようとしたユーザはフィルタ部材50の位置の異常に気付きやすくなる。
【0050】
カバー部材40がタンク本体30に装着された状態で、規制部38の下端部381と、被規制部43の下部433の上端部433aとは、接触していても良いし、離れていても良い。本実施形態では、
図9及び
図10に示すように、規制部38の下端部381と、被規制部43の下部433の上端部433aとの間には若干の隙間が形成されている。規制部38の下端部381と、被規制部43の下部433の上端部433aとの間の隙間の上下方向の寸法をクリアランスC1とする。クリアランスC1は、凹部45の凹みの深さD1よりも小さく設定されている。すなわち、クリアランスC1は、0mm以上であってかつD1未満に設定されている。
【0051】
なお、
図11に示すように、カバー部材40はパッキン46を有していても良い。パッキン46は、カバー部材40とタンク本体30の側壁の上端部との間に配置されて、処理剤タンク21を水密に封止する。パッキン46は、弾性及び水密性を有する部材で構成されており、カバー部材40がタンク本体30に装着された状態で、自由状態つまりカバー部材40がタンク本体30に装着された状態よりも圧縮されて上下方向の寸法が短くなる。この場合、パッキン46によって下部433の上端部433aと規制部38の下端部381とが近づく方向に押し付けられる。例えば
図11の場合、クリアランスC1=0mmである。この場合も、クリアランスC1は凹部45の凹みの深さD1よりも小さくなる。
【0052】
ここで、
図12に示すように、カバー部材40を装着する際に第2リブ451のいずれか一方がフィルタ部材50の上端部に乗り上げてしまった場合について検討する。つまり、カバー部材40とタンク本体30との相対位置が若干ずれてしまい、フィルタ部材50の上端部の少なくとも一部が溝部391と向かい合っていない状態となっている。タンク本体30とカバー部材40との上下方向の相対位置は、凹部45の凹みの深さD1だけ、正常な取付け位置よりも互いに離れている。この場合、規制部38の下端部381と、被規制部43の下部433の上端部433aとの相対位置も、深さD1だけ正常な位置よりも互いに離れることとなる。その結果、正常な相対位置のクリアランスC1では相殺できないほど互いから離れることとなるため、被規制部43は規制部38を乗り越えることができない。
図11に示すクリアランスC1=0mmの場合においても同様である。したがって、カバー部材40を装着する際に第2リブ451のいずれか一方がフィルタ部材50の上端部に乗り上げてしまった場合、カバー部材40をタンク本体30に装着することができない。
【0053】
以上説明した本実施形態によれば、洗濯機10は、水槽12と、自動投入装置20と、を備える。自動投入装置20は、洗濯運転複数回分の洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンク21を有し、水槽12に所定量の洗濯処理剤を自動で投入する。処理剤タンク21は、開口部35を有した容器状に形成されたタンク本体30と、開口部35を着脱可能に閉塞するカバー部材40と、カバー部材40に設けられた開口である投入口411と、タンク本体30に設けられた開口である吐出口36と、処理剤タンク21内の空間を前記投入口を有する第1領域A1と前記吐出口を有する第2領域A2とに区分するように設けられて洗濯処理剤内の異物を捕捉するフィルタ部材50と、を有する。フィルタ部材50の下端部はタンク本体30の内底面341に接しており、フィルタ部材50の上端部は直接又は間接的にカバー部材40に接している。
【0054】
これによれば、通常使用時は、カバー部材40をタンク本体30に装着することで、フィルタ部材50によって水槽12に供給する洗濯処理剤から予め異物を除去することができる。また、処理剤タンク21の清掃時には、カバー部材40をタンク本体30から外すことで、ユーザは吐出口36の周辺部にもアクセスすることができるため、処理剤タンク21内の清掃が容易となる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0055】
また、フィルタ部材50は、タンク本体30内に着脱可能に設けられている。フィルタ部材50の少なくともカバー部材40に接する上端部は、洗濯処理剤に浸かる可能性が低いため、常時乾いている可能性が高い。したがって、フィルタ部材50を取り外して清掃する際にも洗濯処理剤によって手指が滑って外せない事態の発生が抑制でき、清掃が用意である。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0056】
タンク本体30は、カバー部材40の動きを規制する規制部38を有する。カバー部材40は、内面に上方に向けて窪んで設けられてカバー部材40がタンク本体30に装着された状態でフィルタ部材50の上端部を受け入れる凹部45と、カバー部材40がタンク本体30に装着された状態で規制部38に規制される被規制部43とを有している。凹部45の深さD1は、0mm以上に設定されている規制部38と被規制部43との間の隙間の寸法であるクリアランスC1よりも大きく設定されている。
【0057】
これにより、カバー部材40を装着する際に第2リブ451のいずれか一方がフィルタ部材50の上端部に乗り上げてしまった場合、カバー部材40をタンク本体30に装着することができない。したがって、カバー部材40が正常な位置でなければ規制部38と被規制部43とが嵌合できず、ユーザは装着の異常に気が付きやすくなる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0058】
ここで、カバー部材40は、若干の弾性変形可能な合成樹脂等で形成されている場合、多少の撓りが可能である。そのため、フィルタ部材50と被規制部43とが水平方向に遠く離れている場合には、たとえフィルタ部材50が正常にタンク本体30に装着されず、正しい位置よりも若干上方に突出していたとしても、カバー部材40を撓らせることにより、規制部38と被規制部43とを嵌合させられる可能性がある。
【0059】
これに対して、タンク本体30は、カバー部材40の動きを規制する爪形状の規制部38を有する。カバー部材40は、カバー部材40がタンク本体30に装着された状態で規制部38に嵌合して移動が規制される被規制部を有している。規制部38は、前記タンク本体を水平方向この場合タンク本体30の平面視短手方向である左右方向に見た場合フィルタ部材50と少なくとも一部が重なる位置に設けられている。
【0060】
カバー部材40をタンク本体30に装着しようとすると、規制部38及び被規制部43と、フィルタ部材50とは、互いに近接した位置に設けられていることになる。そのため、たとえ樹脂製のカバー部材40が撓ったとしても、フィルタ部材50が突出している場合に規制部と被規制部との間の相対的な位置関係は、正しい位置関係に比べてずれが発生しやすいため、ユーザが違和感を知覚することができる。そのため、ユーザがフィルタ部材50の装着異常に気が付きやすい。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0061】
ここで、異物が第2領域A2側ひいては投入ポンプ23に入り込むことを防止するため、フィルタ部材50の下端部にゴム製などのパッキンを取り付けることも考えられる。しかし、パッキンは洗剤や柔軟剤等に長期間浸かっていると次第に劣化して例えば弾性を失う虞がある。
【0062】
これに対して、処理剤タンク21は、弾性を有する部材で構成され、カバー部材40とフィルタ部材50との間に配置されて、カバー部材40とフィルタ部材50とがタンク本体30に装着された状態におけるカバー部材40とフィルタ部材50との間の隙間の上下方向の寸法よりも大きく設定された高さ寸法を有する、弾性部材60を有する。
【0063】
これによれば、カバー部材40をタンク本体30に装着すると、フィルタ部材50とカバー部材40との間に挟まれて圧縮された弾性部材60の反発力によって、フィルタ部材50はタンク本体30の内底面341に押し付けられる。したがって、タンク本体30の内底面341とフィルタ部材50の下端部とが密着して、フィルタ部材50の下端部にパッキンを装着しなくても異物が第2領域A2に入り込むことを抑制できる。したがって、フィルタ部材50による異物の捕集が一層確実となる。
【0064】
タンク本体30は、内底面341と内側面321とのいずれか一方又は両方にフィルタ部材50を受け入れる溝部39、391、392を有する。
【0065】
溝部39、391、392は、ユーザがフィルタ部材50をタンク本体30に取付ける際に移動方向のガイドとなる。また、溝部39、391、392にフィルタ部材50が嵌り込むことにより、溝部39、391、392を形成する側壁がフィルタ部材50を支えることができるため、カバー部材40を外した際のフィルタ部材50の転倒防止となる。
【0066】
処理剤タンク21は、弾性を有する部材で構成され、フィルタ部材50の上端部に取り付けられた弾性部材60を有する。弾性部材60が取り付けられた状態で、フィルタ部材50の上端部の前後方向の長さ寸法である厚みT2は、溝部39、391、392の前後方向の長さ寸法である幅W1よりも大きく設定されている。
【0067】
これによれば、例えばユーザが誤ってフィルタ部材50を上下反転して取り付けようとした場合、フィルタ部材50は溝部39、391、392にスムーズに入らないため、ユーザはフィルタ部材50の姿勢の異常に気付きやすくなる。したがって、ユーザの利便性が向上する。
【0068】
ここで、フィルタ部材50のフィルタ部52は異物を捕捉するように網目が細かく、特にフィルタ部52が洗濯処理剤等によって濡れていると空気が微小孔521を通り抜けにくくなる。そのため、洗濯処理剤を投入する際に、第2領域A2に洗濯処理剤が進入し始めると、第2領域A2側で一時的に内圧が高くなり、洗濯処理剤が第2領域A2に移動し難くなることがある。この場合、洗濯処理剤をできるだけ多く注入しようとすると、第2領域A2と第1領域A1との間の内圧が平衡に達することにより液面が同一となるまで待つ必要がある。よって、ユーザは少しずつ洗濯処理剤を注入することになるため、洗濯処理剤の補充に時間がかかる虞がある。
【0069】
これに対して、タンク本体30又はカバー部材40は、洗濯処理剤の最高許容液面高さを示す指標部441を有する。フィルタ部材50は、タンク本体30に取り付けられた状態で、指標部441よりも上方に、第1領域A1と第2領域A2とを連通する連通部53を有する。
【0070】
これによれば、連通部53を通って空気が移動することができるため、平衡に達する時間が短くなり、短期間で洗濯処理剤を補充することができる。したがって、ユーザの利便性が向上する。
【0071】
タンク本体30は、透明又は半透明の部材で構成されている。
【0072】
これによれば、カバー部材40を取り外さなくても、処理剤タンク21内の状況が視認し易くなる。したがって、清掃の必要性等をユーザが認識し易くなり、ユーザの利便性が向上する。
【0073】
(第2実施形態)
図13及び
図14を参照して第2実施形態を説明する。上記実施形態では、フィルタ部材50は平面的な板状に形成されていたが、本実施形態では、フィルタ部材70、80はフロート90の軌道から離れるように直線的又は曲線的に折れ曲がったり傾斜したりしていてもよい。
【0074】
フロート90は、詳細は図示しない液面検知装置の一部を構成する。フロート90は、処理剤タンク21内に設けられて、洗濯処理剤の液面の高さに従って上下方向に移動する。液面検知装置は、例えば近接センサなどを含んで構成されて、フロート90の移動又は位置を検知することで、洗濯処理剤の液面高さを検知する。この場合、フロート90は、処理剤タンク21内の予め決められた軌道に従って移動する。
【0075】
例えば
図13に示す例では、フロート90は、フロート本体91と、移動機構92とを含んで構成される。フロート本体91は、洗濯処理剤に浮くことで液面の高さに連動して移動する。移動機構92は、一端をカバー部材40に回動可能に固定されて他端はフロート本体91に固定されている。この場合、移動機構92の固定端は、カバー本体41の投入口411よりも後方であって凹部45よりも前方に位置しており、フロート本体91は、処理剤タンク21の前寄りにおいて
図13の矢印Yに示すように前後方向及び上下方向に弧を描くように移動する。
【0076】
処理剤タンク21は、フィルタ部材70を有する。フィルタ部材70は、枠部71と、フィルタ部72とを含んで構成される。フィルタ部材70は、直線的に折れ曲がった形状に形成されて、上部が下部よりも後方に位置している。フィルタ部材70は、上面部701と、中面部702と、下面部703とを含む。上面部701と下面部703とは、概ね鉛直方向に延びる面を形成し、中面部702は、上面部701の下端部と下面部703の上端部とを接続して概ね水平方向に延びる面を形成する。上面部701の上端部は、凹部45に受け入れられる。下面部703は溝部39に受け入れられる。下面部703の下端部は、第2溝部392に受け入れられる。上面部701は、下面部703よりも後方に位置している。これにより、フィルタ部材70は、フロート90が移動する処理剤タンク21の前部寄りの領域を回避することにより、フロート90の移動と干渉しない。
【0077】
図14に示す本実施形態の変形例では、処理剤タンク21はフィルタ部材80を有する。フィルタ部材80は、枠部81と、図示しないフィルタ部とを含んで構成される。フロート100は処理剤タンク21の短手方向この場合左右の一方に寄って配置されている。ここでは、フロート100は、処理剤タンク21の左の側面部32寄りに配置されている。フロート100は、
図14の矢印Zに示すように、前後方向及び上下方向に移動する。なお、
図14においてフロート100の移動機構は図示を省略している。
【0078】
フィルタ部材80は、直線的に折れ曲がった形状に形成されて、管部37及び吐出口36を囲むようにフロート90から処理剤タンク21の平面視短手方向この場合左右方向に離れて配置されている。フィルタ部材80は、左面部801と、前面部802と、を含む。左面部801とは、左右方向に垂直な方向に延びる面を形成し、前端部において前面部802の左端部と接続している。前面部802は、前後方向に垂直な面を形成している。
【0079】
この場合、タンク本体30は、左の内側面321に形成された第1溝部391、に代わって、第3溝部393を有する。第3溝部393は、内背面331の一部を後方に向けて窪ませて形成されている。また、タンク本体30は、第2溝部392、に代わって、第4溝部394を有する。第4溝部394は、内底面341の一部を下方に向けて窪ませて形成されている。第4溝部394は、左溝部394aと、前溝部394bとを含んで構成される。左溝部394aは、内背面331から前方に向けて延びる。前溝部394bは、左溝部394aの前端部から、右の内側面321まで左右方向に延びる。フィルタ部材80は、フロート90が移動する処理剤タンク21の左側の領域を避けて配置されることにより、フロート90の移動と干渉しない。
【0080】
本実施形態によれば、処理剤タンク21は、洗濯処理剤の貯留量に基づいて所定の軌道に従って移動するフロート90を有する。フィルタ部材70、80は、フロート90、100の軌道から離れるように折れ曲がり又は傾斜して形成されている。
【0081】
これによれば、フィルタ部材70、80はフロート90、100の移動を妨げ難いため、フロート90、100の移動距離を大きく設定することができ、洗濯処理剤の残量検知の精度を向上することができる。したがって、清掃の必要性等をユーザが認識し易くなり、ユーザの利便性が向上する。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
10…洗濯機、12…水槽、20…自動投入装置、21、211、212…処理剤タンク、30…タンク本体、38…規制部、39…溝部、391…第1溝部(溝部)、392…第2溝部(溝部)、40…カバー部材、411…投入口、43…被規制部、441…指標部、45…凹部、50…フィルタ部材、53…連通部、60…弾性部材、80…フィルタ部材、90…フィルタ部材、90…フロート、100…フロート