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特開2024-125737遠隔監視制御システム、遠隔監視制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125737
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】遠隔監視制御システム、遠隔監視制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240911BHJP
   G06F 11/30 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
G06F11/07 193
G06F11/07 140A
G06F11/30 140A
G06F11/30 155
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033759
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 宇辰
(72)【発明者】
【氏名】池田 和史
(72)【発明者】
【氏名】稲田 稔
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GA12
5B042GB06
5B042KK17
(57)【要約】
【課題】工場内の各種の設備を、高度な観点で遠隔制御することが可能であり、設備の各種の状態に応じて、各設備に対して適切な監視や制御等の対応を柔軟に実行し得る遠隔監視システムを提供する。
【解決手段】複数の監視対象の状態を遠隔監視するリモートセンター部を備える。また監視対象の状態レベルを判定する状態レベル判定手段を備える。自動制御手段は、前記判定が異常判定の場合、他の前記監視対象への影響範囲、監視対象種別、指標の何れかと状態レベルの組み合わせに基づき、該当の前記監視対象に対して制御リクエストを通知する。データベースは、前記制御リクエストに対応する処理パターンを定義した処理モデルを有する。そして、システムは、前記自動制御手段から通知した前記制御リクエストに対応する前記処理モデルに従って前記監視対象をコントロール、又は状態レベル判定、又は停止処理をする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の監視対象の状態を遠隔監視するリモートセンター部を備え、
監視条件に基づき状態レベルを判定する状態レベル判定手段と、
前記状態レベル判定手段で異常判定の場合、他の前記監視対象への影響範囲、監視対象種別、指標の何れかと状態レベルの組み合わせに基づき、該当の前記監視対象に対して制御コマンドまたは制御リクエストを通知する自動制御手段と、
前記制御コマンドまたは前記制御リクエストに対応する処理パターンを定義した処理モデルを格納する記憶手段を備え、
前記自動制御手段から通知した前記制御コマンドまたは前記制御リクエストに対応する前記処理モデルに従って前記監視対象をコントロール、又は状態レベル判定、又は停止処理をすることを特徴とする遠隔監視制御システム。
【請求項2】
前記リモートセンター部による監視対象に対する監視を繰り返し実行し、監視結果に応じて、前記自動制御手段より通知する前記制御コマンドまたは前記制御リクエストおよび前記処理モデルを動的に変化させることを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視制御システム。
【請求項3】
前記処理モデルは、所定の処理を順次実行するシーケンス処理モデル、複数の監視対象を対象に所定の処理を実行する複合処理モデル、人の支援を通して監視対象で所定の処理を実行するマンマシン処理モデルを含むことを特徴とする請求項1または2記載の遠隔監視制御システム。
【請求項4】
設備の稼働状態に応じた最適な動作制御を行うシステムであって、
前記設備を監視し稼働状況を設備状態データとして常時出力する設備状態検出部と、
前記稼働状況をモニタリングしリモートから前記設備に対してリモート制御を行うリモートセンター部と、
前記設備状態データを前記リモートセンター部に送信する設備状態データ送信部と、
前記設備状態データを解析する設備状態データ解析部と、
前記リモートセンター部は、前記設備状態データ解析部の結果に基づいて、
前記設備に最適なリクエスト制御データを作成するリクエスト制御データ生成部を備え、
前記リクエスト制御データを受信した前記設備は制御結果をレスポンスデータとしてリモートセンター部に送信するレスポンスデータ送信部と、
を備えることを特徴とする遠隔監視制御システム。
【請求項5】
前記設備及びリモートセンター部は2以上のレイヤからなること
を特徴とする請求項4に記載の遠隔監視制御システム。
【請求項6】
前記設備は前記レイヤのうち上位ノードからのリクエスト制御データを受信し、上位ノードにレスポンスデータを送信すること
を特徴とする請求項5に記載の遠隔監視制御システム。
【請求項7】
前記設備状態データ解析部と状態レベルの判定手段は、前記設備状態データに基づき対応すべき緊急度合いである緊急度を決定することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の遠隔監視制御システム。
【請求項8】
前記設備状態データ解析部を全てのレイヤに備え、
前記緊急度に基づき、緊急度が既定の閾値以上の場合は同じ下位ノードで制御を実行し、
緊急度が既定の閾値以下の不急側の場合は、上位ノードからの前記リクエスト制御データの受信を待ち処理を行う
ことを特徴とする請求項7に記載の遠隔監視制御システム。
【請求項9】
前記リクエスト制御データは、シーケンス処理を行うシーケンス型と、他のノードと連携しながら処理を行うスター型、および人と機械が協働して処理を行うMM協働型の制御パターンモデルを有する
ことを特徴とする請求項4記載の遠隔監視制御システム。
【請求項10】
前記リクエスト制御データ生成部は、前記レスポンスデータに基づき次のリクエスト制御データを生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の遠隔監視制御システム。
【請求項11】
前記リクエスト制御データ生成部は、複数の前記設備からの設備監視データに基づきリクエスト制御データを生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の遠隔監視制御システム。
【請求項12】
前記リクエスト制御データ生成部は、前記設備または設備系が有するKPIに基づき、
リクエスト制御データを生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の遠隔監視制御システム。
【請求項13】
前記設備として、製造設備と動力設備が存在し、前記状態レベルの判定部の判定に基づいて前記リクエスト制御データを生成する場合、前記動力設備を上位レイヤとし、製造設備を下位レイヤとして、緊急時の判定では、前記上位レイヤを優先して制御し、不急時の判定では前記下位レイヤの制御を優先する、請求項4記載の遠隔監視制御システム。
【請求項14】
マニュアル操作が可能な特定の設備に対しては、前記リクエスト制御データ生成部の出力はマニュアル操作自動化装置を介して前記リクエスト制御データに基づく制御を行う、
ことを特徴とする請求項4に記載の遠隔監視制御システム。
【請求項15】
前記リモートセンター部と設備との間に、最適化アルゴリズム処理器が配置されており、
前記最適化アルゴリズム処理器は、少なくとも前記設備状態データと、前記リクエスト制御データと、前記レスポンスデータとを管理しており、リクエスト制御データに対する前記リレスポンスデータの変化を蓄積して相関をとり、次の前記リクエスト制御データの生成するための学習機能を備える、
ことを特徴とする請求項4に記載の遠隔監視制御システム。
【請求項16】
複数の設備のリモート監視を行うシステムにおいて、
前記複数の設備から設備状態データを取得する取得部と、
前記設備状態データ、および前記設備を管理するための設備管理データに基づいて、設備が異常か否かを判定する判定部と、
前記判定部により異常と判定された設備の設備状態データ、設備管理データおよび当該設備ごとの緊急度(優先度、重要度)に基づいて、当該設備に対する異常時処理を行う遠隔監視制御システム。
【請求項17】
設備種と緊急度と指標(終了基準)とを含むデータを備え、
前記指標に基づいて、異常時の処理を終了する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
異常処理が処理途中の場合に、当該異常より緊急度が高い異常が発生した場合に、当該異常処理を停止するか否かを判定する請求項16に記載システム。
【請求項19】
前記設備管理データには、影響範囲を含み、前記設備に対する異常処理を実行する際に、当該設備における影響範囲に基づく処理も実行し、
前記影響範囲に基づく処理は、前記影響範囲より緊急度が高い処理がない場合に実行する請求項16に記載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この実施形態は、例えば工場の各種の設備(動力設備、製造設備、物流設備などを含む)を遠隔制御するための遠隔監視制御システム、遠隔監視制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から工場の設備を改善する技術は多数開発されている。その技術の種類は、多肢、多種に渡る。また、近年は工場の設備の各所に、センサと接続されたIoT(Internet of Things)を配置すること、そしてIoTの出力を利用して、工場設備の機能や稼働状況を把握可能とした監視装置を設けることは、通常に行われている。
【0003】
また、現実空間の工場設備の動作状況を、IoTの出力であるデジタルデータをクラウド(サーバ)に送信し、モニタリングすることも行われている。サーバに蓄積されたデータは、デジタルツインとも称される。このようにコンピュータデータにより表される仮想(Cyber)空間と、現実(Physical)空間とを有するシステムは、サイバーフィジカルシステム(以下CPS略称する)と称される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5752525号公報
【特許文献2】特許第6187704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、工場の設備は逐次開発、改良されている。また工場の設備の中で、同じものを製造する製造設備であるが、旧バージョンと新バージョンが存在する場合もある。そして、旧バージョの設備と新バージョンの設備とでは、互いの制御項目が相違したり、制御タイプが相違したり、処理速度が異なる場合もある。制御タイプの相違として、人が介在しマニュアル操作を必要とするタイプと、自動化されたタイプがある。
【0006】
さらに多種多様の工場が存在し、種々の製造技術に関する熟練者の減少、作業員を確保するための人口の減少、自然環境の変動、エネルギー源の不足など多くの対処すべき課題が生じている。
【0007】
そこで本実施形態は、工場内の各種の設備を、高度な観点で遠隔制御することが可能であり、設備の各種の状態に応じて、各設備に対して適切な監視や制御等の対応を柔軟に実行し得ることで、省人化、省エネルギー化に寄与し得る、遠隔監視制御システム、遠隔監視制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、
複数の監視対象の状態を遠隔監視するリモートセンター部を備え、
監視条件に基づき状態レベルを判定する状態レベル判定手段と、
前記状態レベル判定手段で異常判定の場合、他の前記監視対象への影響範囲、監視対象種別、指標の何れかと状態レベルの組み合わせに基づき、該当の前記監視対象に対して制御コマンドまたは制御リクエストを通知する自動制御手段と、
前記制御コマンドまたは前記制御リクエストに対応する処理パターンを定義した処理モデルを格納する記憶手段つまりデータベースを備え、
前記自動制御手段から通知した前記制御コマンドまたは前記制御リクエストに対応する前記処理モデルに従って前記監視対象をコントロール、又は状態レベル判定、又は停止処理をすることを特徴とする遠隔監視制御システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明に係る他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
図3】本発明に係るさらに他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
図4A】本発明に係るまた他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
図4B図4Aの構成のさらなる詳細を説明するためのブロック図である。
図5】本発明に係る実施形態において、最適化アルゴリズム処理部を取り出して示すブロック図である。
図6A】本発明で採用されている制御タイプの特徴を説明する説明図である。
図6B】上記の制御タイプの利用形態を大まかに分類して説明する説明図である。
図7】本システムにおいて、設備や機器などの初期設定を行う場合の設定処理の流れを説明する説明図である。
図8】エッジ装置E900において、このエッジ装置E900が管轄している設備や機器・機能に対して複数のアルゴリズムを予め準備可能とする機能を説明するためのシステム概要を示す図である。
図9A】本システムの設備・機器の状態データを判定した判定(診断)結果と、その判定要因又は判定結果に応じて対応すべきアクション機能を説明する図である。
図9B】解析・判定ブロック3001と設備1000との関係を取り出して示す図である。
図9C】本システムの特に設備状態データの検出方法とその構成の要部を説明するための図である。
図9D】設備がリクエストに対してレスポンスを行う場合、設備状態データ解析部が、コマンドに対応するレスポンスデータを正確に取り込むための仕組みの一例を説明する図である。
図9E】システムのデータ送受信機能において利用される通信データフォーマットの基本的な一例を示す図である。
図9F】本システムで用いられるリクエスト制御データのテーブルの例を示す図である。
図10】シーケンス型SEQTのプログラム、スター型STATのプログラム、人機械協働型MMCTのプログラムが、制御データ処理用として採用されている設備の例と、当該設備と当該設備において生じるイベントとの関係の一例を示す説明図である。
図11】シーケンス型SEQTのプログラム、スター型STATのプログラム、人機械協働型MMCTのプログラムが、制御データ処理用として採用されている設備の例と、当該設備と当該設備において生じるイベントとの関係のさらに他の例を示す説明図である。
図12】設備・機器の状態データを判定した診断結果に基づき、システム全体が制御される様子を概略的に示すフローチャートである。
図13A】本システムにおける監視対象の設備の状態が、緊急度が高レベルであることを意味する「高B01」と判断されたときの設備状況、また当該設備状況に対する本システムによるアクションやそのタイミングなどをまとめて示す図である。
図13B図13Aの続きを示す図である。
図13C図13Bの続きを示す図である。
図14A】本システムにおける監視対象の設備の状態が、緊急度が中レベルであることを意味する「中B02」と判断されたときの設備状況、また当該設備状況に対する本システムによるアクションやそのタイミングなどをまとめて示す図である。
図14B図14Aの続きを示す図である。
図15】本システムにおける監視対象の設備の状態が、緊急度が低レベルの不急と判断されたときの本システムによるアクションやそのタイミングなどをまとめて示す図である。
図16】本システムの上位レイヤ、下位レイヤと上流と下流の概念を説明する図である。
図17A】工業製品の製造処理において、複数の処理工程が時間経過に沿って実行される様子を示し、緊急事態が生じた場合の一例を示す図である。
図17B】工業製品の製造処理において、複数の処理工程が時間経過に沿って実行される様子を示し、緊急事態が生じた場合の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、遠隔監視制御システム、遠隔監視制御方法の一実施形態の構成例を示している。監視対象を含む第1、第2の設備1000、2000、監視対象を遠隔で監視制御を行うリモートセンター部5001で構成される。
【0011】
第1の設備1000、第2の設備2000は、下流の設備と上流の設備を代表して示している。本実施形態では、下流の設備を製造設備、上流の設備を動力設備として説明する。これらの設備1000、2000は、監視対象と称されてもよい。
【0012】
第1の設備1000は、下流の監視対象設備に該当し、監視対象の製造設備1001、製造設備1001の状態を検出する設備状態検出部1002、設備状態検出部1002で検出した状態データをリモートセンター部5001に送信する設備状態データ送信部1003、リモートセンター部5001から製造設備1001に対する制御データを受信する受信部1004、リモートセンター部5001からの制御データに基づき制御された製造設備1001から出力されるデータ(レスポンスデータ)をリモートセンター部5001に送信するレスポンスデータ送信部1005を備えている。
第2の設備2000は、上流の監視対象設備に該当し、監視対象の動力設備2001、動力設備2001の状態を検出する設備状態検出部2002、設備状態検出部2002で検出した状態データをリモートセンター部5001に送信する設備状態データ送信部2003、リモートセンター部5001から動力設備2001に対する制御データを受信する受信部2004、リモートセンター部5001からの制御データに基づき制御された動力設備2001から出力されるデータ(レスポンスデータ)をリモートセンター部5001に送信するレスポンスデータ送信部2005を備えている。
【0013】
リモートセンター部5001は、第1、第2の設備1000、2000から受信した各設備の状態データを解析、判定して、第1、第2の設備1000、2000に対して所定の制御を行う解析・判定ブロック3001、4001、第1、第2の設備1000、2000の状態をモニタリングするモニタ装置3011、4011、第1、第2の設備1000、2000に対して実行する制御データを生成するリクエスト制御データ生成部5002、第1、第2の設備1000,2000を最適な状態に制御する最適化アルゴリズム処理器6000、を備えている。
【0014】
解析・判定ブロック3001、4001は、設備状態データ送信部1003、2003から受信した状態データを解析する設備状態データ解析部3002、4002、解析の結果から状態を判定する状態レベル判定部3005、4005、判定の結果に基づき必要となる制御を行うための制御信号の生成を行うリクエスト制御データ生成部5002への指示、および第1の設備1000、第2の設備2000の各設備に対してリクエスト制御データを送信する自動制御部3006、4006、制御実行の際の処理パターンを記憶するデータベースDB1、DB2を備えている。
【0015】
設備の状態データは、設備内の機器、センサ、カメラなどで取得された検出信号に基づくデータであり、1つあるいは複数のデータから設備の状態を判断することが可能である。状態を判断するとは、設備の状態を診断することであり、診断の程度は内容に応じて緊急から不急の範囲に渡る。
【0016】
製造設備1001は、工場が目的とする具体的な製品や物を製造する1つの単位としての製造ラインであり、この製造ラインは複数の装置(例えば搬入機構、プレス装置、取り出し装置などを含む)で構成される。動力設備2001は、製造設備1001を駆動するための動力源となるもの、或は製造設備1001の製造環境を構築する設備である。したがって動力設備2001は、付帯設備と称される場合もある。
動力設備2001は、電力設備(電力(電気)関連設備))、水処理設備、石油、石炭、ガス関連設備を含む。また発電器、モータ、電線、配管、ケーブル、ワイヤなども動力設備2001に含まれる。さらにまた付帯設備としては、コンプレッサ、ボイラ、冷凍機、空調機などが含まれる。
【0017】
製造設備は、特に現場における環境設備、実動設備、検査(或は監視と称してもよい)設備を含む。環境設備は、エアコン、クリーナ、照明、消火器、温度計、湿度計、圧力計・・・などの装置を含み、実動設備は、ロボット、コンベア、切削装置、成型装置、梱包装置、搬送装置、ダイカスト装置、基板実装装置、マウンターなどを含む。検査設備は、現場に配置される各種センサ、計器類、カメラなどの装置を含む。
【0018】
本実施形態では、製造設備1001を下流の設備、動力設備2001を上流の設備としているが、実際には複数の製造設備が、上流から下流に存在し、かつ、上流から下流までの製造(又は処理)段階が複数存在するので、設備単位での上流、下流の定義のみでなく、更に、これらの各製造(又は処理)段階をシーケンスとして定義してもよい。
【0019】
設備状態検出部1002、2002は、製造設備1001、2001の各設備の状態を検出する。具体的には、設備を構成している各装置や機器などの種々の場所に設置された各種センサより状態検出を行う。
【0020】
設備状態検出部1002、2002で検出された設備状態検出データは、設備状態検出データ送信部1003、2003により、リモートセンター部5001に送信される。
【0021】
リモートセンター部5001は、遠隔より、設備1001、2001を監視するための、下流の解析・判定ブロック3001と、上流の解析・判定ブロック4001を備えている。下流の解析・判定ブロック3001は、下流の設備1000から受信したデータを利用して解析、判定を行う。上流の解析・判定ブロック4001は、上流の設備2000から受信したデータを利用して解析、判定を行う。
【0022】
上記の設備状態検出データ送信部1003から送信された設備状態検出データは、設備状態解析部3002に送信される。設備状態検出データは、送信される途中、ネットワーク及び又はデジタルサイバー空間NETを介してもよい。
【0023】
本システムでは、設備1000、2000側を下位ノード(下位レイヤ)、リモートセンター部5001側を上位ノード(上位レイヤ)と称する場合もある。
本システムでは、例えば設備1000を「当該レイヤ」としたとき、設備1000で問題が生じた場合、設備1000で解決できる場合は、その問題は「当該レイヤ」の問題と称する。問題としては、例えば現場で制御可能な温度の低下、搬送速度の低下などがある。しかし、設備1000で生じた問題がこの設備の制御システムでは解決できないような場合、例えばこの設備で加工或は処理する部品や材料の供給量の不足、或は製造中の製品の不具合(変形や不良)が生じた場合は、上位レイヤにこの状態を伝え解決策の伺いを必要とする場合がある。この場合は、「上位レイヤ」と連携した問題であると称する。また、設備1000で発生した問題が、「当該レイヤ」で解決できず、「上位レイヤ」に問題が通知されたのち、「上位レイヤ」は、問題解決のために上流の設備2000を制御することもある。例えば、下流の設備1000において、例えば電力供給不足やコンプレッサによるエアー供給量などの低下が生じることがある。このような場合、「上位レイヤ」は、上流の設備を制御し、発電量のパワーアップや、コンプレッサのパワーアップ制御を行うこともある。
【0024】
設備状態データ解析部3002で解析された設備状態(イベントと称してもよい)データは、状態レベル判定部3005により、設備の状態データを用いた設備診断がなされ緊急度(或は重要度或は状態レベル)が判定される。つまり、このデータに対する応答(アクション)は、極めて急を要するのか、やや急を要するのか、通常の対応でよいのか、ゆっくりでよいのか等の判定がなされる。この場合の応答(アクション)は、上流設備や下流設備に影響を及ぼすのかどうか、つまり影響範囲も判断された結果により実行される。なお、当然、監視対象(制御対象でもある設備)の種別によって応答(アクション)内容が異なってくる。また、当該監視対象には、状態の正常/異常或いは計画に対する実績の達成度を判定するための指標が各々設定されている。
【0025】
上記の応答(アクション)の発生の境界となる閾値は、システム設計者や熟練者、さらには学習結果により設定されている。この結果、「応答」というシステムの動作事象に関しては、イベントが監視対象へ与える影響範囲、当該監視対象の種別、指標の何れかと、イベントデータの異常レベル(判定又は診断レベル)との組み合わせが考慮されていると言える。
【0026】
状態レベル判定部3005の判定結果を受けた自動制御部3006は、リクエスト制御データ生成部5002に対して、設備状態データの内容に対応して、かつ適切なリクエスト制御データを生成させる。このリクエスト制御データは、種々のタイプがあり、対象設備を直接コントロールするための制御コマンドや、対象設備に対して所定のデータ要求や、所定の操作をした結果(操作後の状態やデータ)を要求するための制御リクエストを含む。
【0027】
例えば、設備状態データが、急激な温度上昇を示し、設備が危険であると判定された場合、自動制御部3006は、リクエスト制御データ生成部5002に対して、関連個所に対してアラーム信号を送信し、設備を緊急停止するように指示する。
【0028】
あるいは、設備状態データが製造ラインの速度の低下を示し部品製造効率が低下していると判定された場合、自動制御部3006は、リクエスト制御データ生成部5002に対して、製造ラインの速度低下の要因を調べるように指令を出す。また、速度低下の要因が判明した場合、その要因の除去を行い製造ラインの速度を上げるための指令をリクエスト制御データ生成部5002が出力するように、自動制御部3006は、リクエスト制御データ生成部5002を制御する。
【0029】
なお上記の状態レベル判定部3005と自動制御部3006は、一体化された制御部であってもよい。
【0030】
リクエスト制御データ生成部5002が出力した制御データは、製造設備1001の受信部1004で受信される。これにより、製造設備1001は、リクエスト制御データに基づく動作を実行することになる。
【0031】
リクエスト制御データに基づく処理が実行されると、当然、製造設備1001からは今までとは異なるセンサ出力が得られる。このセンサ出力をレスポンスデータと称する。このレスポンスデータは、レスポンスデータ送信部1005を介してリモートセンター部5001へ返還される。レスポンスデータは、設備状態データ解析部3002を介して、或は直接、最適化アルゴリズム処理器6000に取り込まれる。
【0032】
最適化アルゴリズム処理器6000は、レスポンスデータの内容をチェックすることで、設備の状態を判定することができる。例えば、設備が緊急停止してアラーム信号が現場で出力されたかどうかを判断することができる。或は、製造ラインの速度低下が改善されているかどうかなどを判断することができる。
【0033】
設備のレスポンスデータと、リクエスト制御データ生成部5002が出力したリクエスト制御データは、互いに相関性をもつので最適化アルゴリズム処理器6000では、以下のように利用される。つまり制御データは、参照データとして図示しないデータファイルに記録され、制御データ(制御コマンドまたは前記制御リクエスト)の再構築や更新を行う際の学習用として利用される。即ち、本システムは、制御データを更新したり、再構成する際の学習機能を備えていると言える。
【0034】
最適化アルゴリズム処理器6000は、単純に1回のレスポンスデータを受取って、設備の制御を終えるのではなく、常時、設備の状態を監視し、上記したような制御ルーチンを繰り返し、重ねることで、例えば工場全体の生産性を上げるように働くことができる。なお、レスポンスデータが予め設定している目的値(製造設備の速度、製品製造量、製造物の品質などの目的地)に到達した場合、最適化アルゴリズム処理器6000は、その後、安定した制御状態を維持する。
【0035】
さらに、最適化アルゴリズム処理器6000は、複数又は1つの設備の状態レベル(診断結果)に応じて、当該設備にふさわしい制御パターンを選択組み合わせて、組み合わせられたリクエスト制御データを作成することができる。そして、リクエスト制御データ生成部5002を介して、設備に対して、適切なタイミングで、組み合わせリクエスト制御データによる制御シーケンスを設定することができる。
【0036】
この場合、上記した、リモートセンター部5001による監視対象に対する監視を繰り返し実行し、監視結果に応じて、前記自動制御部3006、4006による制御のもと、リクエスト制御データ生成部5002より通知する制御コマンドまたは制御リクエストおよび処理モデルを動的に変化させることになる。即ち、フィードバック処理の結果に基づき動的に次のフィードバック処理に変化を与えることが可能である。この場合は、先に述べた学習機能の学習結果が活用される。
【0037】
上記した構成及び動作において、自動制御部3006は、リクエスト制御データ生成部5002に対して、設備状態データの内容や状況に対応し、適切なリクエスト制御データを生成させると説明したが、リクエスト制御データを生成する際の仕組みについて簡単に説明する。
【0038】
本実施形態における本システムは、予め制御パターンを分類した複数の処理モデルを活用している。分類した基本の制御パターンを、この明細書では、人機械協働型MMCT、スター型STAT、シーケンス型SEQTと称している。人機械協働型MMCTは、人が介在する操作が生じる制御タイプであり、すべてを自動制御で賄うのには、困難が伴うような環境がある場合に採用される。スター型STATは、所定の中央ノード(中央装置又は機器)を中心として、複数の周辺ノード(周辺装置又は機器)が存在するタイプである。このタイプは、中央ノードが、複数の周辺ノードに対して指令(制御コマンド)を与え、周辺ノードからのレスポンスを収集するタイプである。シーケンス型SEQTは、複数のノード(装置又は機器)を順序正しく連続的に制御するタイプである。したがって、最初のノードが制御を受けて、レスポンスを出力したら、次のノードが制御を受けてレスポンスを出力するタイプである。
【0039】
この分類は、工場等の設備を自動制御する場合、設備を構成する装置や機構の動作順序、動作レベルの調整順序、速度や温度の設定順序などは、予めそのシーケンスが特定されることが多いところに着目しているからである。
【0040】
このようにプログラムのシーケンスのタイプを分類して、各タイプのシーケンスの設計や作成を容易化している。これにより、設備の制御シーケンスを設計する際、シーケンスパターンが意識されていないときに比べ、設計者の負担が軽減できる。またこのように分類したパターンが準備されることにより、最適化アルゴリズムを生成したり修正する場合に、誤ったシーケンス生成や修正を行いにくくしている。
【0041】
そこで、本システムは、上記の制御コマンド又は制御リクエストに対応する処理パターンの制御データを処理モデルとして上記したデータベースD1に予め格納している。そして、自動制御部3006の制御により、データベースD1から所望の処理モデルが読み出されてリクエスト制御データ生成部5002に設定されたり、また、最適化アルゴリズム処理6000に設定されたりする。
【0042】
上記した処理モデルのシーケンスのタイプは、その他に、以下のように活用される。
ある設備の制御シーケンスがシーケンス型SEQTであったとする、そして、例えば製造ラインにおいて、設備を構成する装置A→装置B→装置Cが、次々と制御(シーケンス型SEQT)されるものとする。この場合、各装置の状態チェックも、装置Aの状態→装置Bの状態→装置C状態と、次々と制御結果が反映されているかどうかをシーケンス型SEQTによりチェックした方が効率的である。このため、本システムでは、基本的には、各装置の状態データの取得とそのデータチェックのタイプも、制御シーケンスに追従して、シーケンス型SEQTが使用される。さらにまたある設備の制御シーケンスがシーケンス型SEQTであった場合、当該設備を構成している複数の装置の非常時の停止シーケンスのタイプもシーケンス型SEQTが採用されるほうが好ましい。他のタイプも基本的には同様な使用方法で利用される。この方法により、各設備に対する、制御、状態データ検出及びチェック処理、停止制御などに一貫性があり不要な事故が発生しにくい。また、制御システム・チェックシステムの設計者にとっても、設計作業の効率がよい。しかし、制御シーケンスと、状態チェックシーケンスとが、必ずしも絶対的に同じでなければならないというものではなく、例外もあることを許容すべきである。
【0043】
またこれらのシーケンスタイプの混合型が用意されてもよい。このプログラムシーケンスの特徴などについては、さらに後述する。
【0044】
勿論、リモートセンター部5001においては、技術者、監督者、管理責任者など設備に関する専門家が、制御データの設計、調整、更新、監視などを行うことができる。この場合、専門家は、特定のパスワードを利用しモニタ装置3011を起動し、設備の状態データやその目標値を見て適切かどうかを検討することも可能である、そして、専門家は、必要に応じて、目標値などを手動で調整することもできる。
またモニタ装置3011に、制御中の制御パターンが可視化された画像(シーケンス型SEQTやスター型STATなど示すパターン画像)を表示させ、このパターン画像上にリアルタイムで、制御の進捗状況に応じて移動するマークや変化する色などを表示させて、設備の動作状況を画像上で見ることができる。例えば、時計の秒針が移動するように、又はカップに水が時々刻々と溜まっていくような、画像表示を行うことができる。このような画像処理を行うアルゴリズムがモニタ装置3011に搭載されている。そのため、設備のテスト中に、モニタ装置3011を見ることにより、管理者は、制御の進捗が計画した時間のスケジュールで行われているかどうかを判断することも可能である。判断結果に応じて、装置の速度調整(具体的には制御データのパラメータの調整)なども行ことが可能である。このような調整が行われた場合、最適化アルゴリズム処理器は、調整された制御データを学習機能によりメモリに格納することができ、最適制御データとして、使用することができる。最適化アルゴリズム処理器6000により、例えば設備1000に対する制御データが最適(効率の良い)なデータに修正された場合、その時の制御データ(パラメータ等)は、データベースDB1に更新制御データあるいは学習制御データとして格納される。
【0045】
上記では、設備1000と、リモートセンター部5001との関係を説明したが、第2の設備2000と、リモートセンター部5000との関係も同様である。したがって、上記の通り動力設備2001も、設備状態検出部2002、設備状態送信部2003、受信部2004、レスポンスデータ送信部2005を含む。また、リモートセンター部5001には、上流としての解析・判定ブロック4001が存在する。この解析・判定ブロック4001は、設備状態データ解析部4002、状態レベル判定部4005、自動制御部4006、データベースDB2を含む。またリモートセンター部5001には、モニタ装置4011も含まれている。
【0046】
なお、リクエスト制御データ生成部5002も、下流用と、上流用が別々に設けられていてもよい。
上記した図1の実施形態は、リモートセンター部5001と、設備1000、2000とが、ネットワーク及び又はサイバーデジタル空間NETを介して接続されている構成例である。なお、本発明のシステムの実施形態は図1の構成に限定されるものではなく、種々の構成例が可能である。
【0047】
図2は、本発明の第2の実施形態の構成例である。図1の構成と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。図2のシステムの構成例は、解析・判定ブロック3001、4001と設備1000、2000とが一体化した構成例である。つまり、解析・判定ブロック3001、4001は、設備1000、2000のエッジ装置として配置されている構成例である。したがって解析・判定ブロック3001、4001は、エッジ装置と称されてもよいし、エージェントと称されてもよい。この解析・判定ブロック3001、4001は、ネットワークを介して、リモートセンター部5001と接続された状態である。
【0048】
したがって、この構成の場合は、リモートセンター部5001が、リクエスト制御データ生成部5002、最適化アルゴリズム処理器6000、モニタ装置3011、4011などを含むことになる。なお、リクエスト制御データ生成部5002と最適化アルゴリズム処理器6000とは一体化された構成であってもよい。
【0049】
図2のシステムの基本的な動作は、図1で説明したシステムと同様である。この構成の場合は、解析・判定ブロック3001、4001は、解析・判定エッジ装置として、工場内に配置されることが多い。このため、解析・判定エッジ装置の設備に対する反応と応答が即座に得られ、緊急度の高い事象(製品不良、ガス漏れ、火災など)が生じた場合の設備に対する対応処理が早くなる。解析・判定エッジ装置(解析・判定ブロック3001、4001)は、工場内に位置し外部のリモートセンター部5001との間で、ネットワークを介して相互通信を行う通信部34、35を備えている。
【0050】
図3は、本発明の第3の実施形態の構成例である。図1図2の構成と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。図3の構成例は、図2に示した記憶部のデータベースDB1、DB2、最適化アルゴリズム処理器6000が、ネットワーク(図示せず)を介してサイバー空間CYで構築された例を示す実施形態である。したがって、このシステムでは、リモートセンター部5001が、ネットワーク(図示せず)を介してサイバー空間のデータベースD1、D2、解析・判定ブロック3001、4001に接続される。
【0051】
この場合も基本的な動作は、図1で説明したシステムと同様である。
即ち、本システムは、複数の監視対象(第1の設備、第2の設備1000、2000)の状態を遠隔監視するリモートセンター部5001を備える。状態レベル判定部3005、4005は、監視条件に基づき状態(状態/緊急)レベルを判定する(緊急度判定)。そして、自動制御部3006、4006は、状態レベル判定部3005,4005で異常(状態/緊急)と診断がなされた場合、他の前記監視対象への影響範囲、監視対象種別、指標の何れかと診断レベルの組み合わせに基づき、該当の前記監視対象に対して制御コマンドまたは制御リクエストを通知する(緊急度+他の判断基準に基づくフィードバック)。さらにまた、記憶手段のデータベースDB1、DB2は、前記制御コマンドまたは前記制御リクエストに対応する処理パターンを定義した処理モデルを格納している(シーケンス型、スター型、MM協働型)を適用したフィードバック処理の実行に有効活用される)。
【0052】
そして、自動制御部3006、4006から通知した前記制御コマンドまたは前記制御リクエストに対応する前記処理モデルに従って前記監視対象をコントロール、又は状態レベル判定、又は停止処理を実行している。
【0053】
このように、本システムは、設備1000、2000の稼働状態に応じた最適な動作制御を行うシステムである。
【0054】
さらに前記設備を監視し稼働状況を設備状態データとして常時出力する設備状態検出部1001、2002と、前記稼働状況をモニタリングしリモートから前記設備に対してリモート制御を行うリモートセンター部5001を備える。
【0055】
設備側には、前記設備状態データを前記リモートセンター部5001に送信する設備状態データ送信部1003、2003を有する。受信側には、前記設備状態データを解析する設備状態データ解析部3002、4002を備える。そして、リモートセンター部5001は、前記設備状態データ解析部3002、4002の解析結果に基づいて、前記設備に最適なリクエスト制御データを作成するリクエスト制御データ生成部5002を備え、前記リクエスト制御データを受信した前記設備は制御結果をレスポンスデータとしてリモートセンター部に送信するレスポンスデータ送信部1005、2005を備える。
【0056】
さらにまた、本システムは、複数の設備のリモート監視を行う。本システムは、前記複数の設備から設備状態データを取得する取得部と、前記設備状態データ、および前記設備を管理するための設備管理データに基づいて、設備が異常か否かを判定する判定部(診断部とも称される)とを備える。
【0057】
そして、前記判定部により異常と判定された設備の設備状態データ、設備管理データおよび当該設備ごとの緊急度(優先度、重要度など)に基づいて、当該設備に対する異常時処理を行う。
【0058】
図4A図4Bは、上記実施形態に適用されている最適化アルゴリズム処理器6000を独立させて示すシステムブロック図である。最適化アルゴリズム処理器6000は、1つの解析・判定ブロック3001を相互コミュニケーション対象とするだけでなく、複数の解析・判定ブロック4001、3A01、3B01、・・・を相互コミュニケーション対象にする。また最適化アルゴリズム処理器6000は、外部からの様々な情報を取り込んで、思考制御(学習用)の要素として用いている。
【0059】
図4Aは、図1図2図3にて説明した最適化アルゴリズム処理器6000を取り出してサイバー空間に配置した例を示している。そして、図1図2図3にて説明した解析・判定ブロック3001と解析・判定ブロック4001を、それぞれ第1の設備1000と第2の設備2000内に配置した例を示している。
【0060】
このように構成した場合、解析・判定ブロック3001と解析・判定ブロック4001は、外部の最適アルゴリズム処理器6000と通信機器を介して相互にデータのやり取りを行なうように構成される。したがって、解析・判定ブロック3001と解析・判定ブロック4001とは、それぞれの設備1000、2000の解析・判定エッジ装置として機能する。
【0061】
実際の工場では、第1の設備1000は、1つではなく、複数の設備1A00、1B00・・・が並列的或は直列的に存在する。例えば自動車の製造工場であると、シャーシを製造するライン(設備)、ボディーを製造するライン(設備)、ボディーとシャーシを組み立てるライン(設備)、塗装するライン(設備)・・・などが存在する。
【0062】
上記の第1の設備1A00、1B00・・・に対しても、それぞれ解析・判定エッジブロック3A01、3B01・・・が対応する。これらに対して、第2の設備2000(動力設備又は付帯設備)は、共通に利用される。第2の設備2000に対しては、専用の解析・判定ブロック4001が配備されている。第2の設備2000は、複数の第1の設備1A00、1B00・・・に対して電源(電力)、燃料、エアー、水、温水、液体材料(塗料、接着剤など)を供給している。
【0063】
そして、最適化アルゴリズム処理器6000は、各第1の設備1000、1A00、1B00・・・に対しても、通信機器を介して接続されており、各設備を並列的に制御することができる。
【0064】
図4Bは、図4Aに示した第1の設備1000の内部を代表して示しており、特に最適化アルゴリズム処理器6000と関連する部分を取り出して示している。他の第1の設備1A00、1B00・・・の内部は省略している。また、第2の設備2000の内部には、解析判定ブロック4001が統括する、制御対象1a、1b、1c・・・を示している。
【0065】
第1の設備1000は、制御対象2a、2b、2c、・・・2nを含む。ここで例えば制御装置2aと2nには、センサとして音声センサ装置3a、3nが付随している。この音声センサ装置3a、3nは、設備が稼働している時の音を集音しデジタル化し、音の周波数帯域の変化を監視する。音声センサ装置3a、3nの音声デジタル出力は、解析・判定ブロック3001に取り込まれる。解析・判定ブロック3001は、例えば装置が通常動作しているときの音声周波数帯域とは異なる帯域の音声が発生するような場合は、異常動作が生じていると判断することが可能である。
【0066】
なお、各制御対象と解析・判定ブロック3001とのデータ系路は、マイクロサービスMSのブロックを介在してもよい。マイクロサービスMSは、メーカが異なる場合や使用言語(或は使用コード)が異なる場合であっても相互の装置間の制御命令の橋渡しを行う命令及びデータ変換機能を備えている。このマイクロサービスMSは、いわゆる管理シェル(AAS)として構築されてもよい。管理シェルであると、複数の制御対象をまとめて管理することが可能である。また加えて管理シェルの階層構造の機能を利用すると、上位と下位の階層間でデータ変換やデータ復元が容易になり、各種の制御対象と解析・判定ブロック3001との間での円滑なデータ交換が可能となる。このことは本システムが極めて汎用性(部品交換、センサ交換、装置の性能アップに有効な要素)を持ち得るということである。
【0067】
解析・判定ブロック3001は、予め各設備(制御対象)に対する制御アルゴリズム部DB3(図2のデータベースDB1,DB2に相当)を備えており、通常はこのデータベースに格納されているアルゴリズムに従って、各制御対象を制御する。
【0068】
各設備からのレスポンスデータは、常時、最適化アルゴリズム処理器6000によりモニタされ、チェックされている。最適化アルゴリズム処理器6000は、解析・判定ブロック3001からの設備の状態データをデータ部K111に取り込み、解析部K112で設備の状態データを解析し、解析結果に基づいて、オペレーション部K113により制御リクエスト(リクエスト制御データ)を解析・判定ブロック3001にフィードバックする。したがって、ここでは最適化アルゴリズム処理器6000は、先のリクエスト制御データ生成部5002と一体化されている。
【0069】
最適化アルゴリズム処理器6000は、図4A図4Bでは図示していないがリモートセンター部のモニタ装置3001と接続されている。モニタ装置3001は、最適化アルゴリズム処理器6000を必要に応じて制御する機能を備えており、最適化アルゴリズム処理器6000に対して、各種のデータを供給したり、また、最適化アルゴリズム処理器6000の制御機能を調整したり、メンテナンスするため機能を有する。
【0070】
このために、最適化アルゴリズム処理器6000は、リモートセンター部のような外部システムから与えられる生産計画情報KK11、動力利用計画情報KK12、気象予測情報KK13、過去の動力供給・利用実績情報KK14、設備状態情報KK15を参照することができる。
【0071】
また、設備スペック情報KK16、各種の指標、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指数)、目的関数などの情報KK17を参照し、設備に対する最適なリクエスト制御データを生成している。
【0072】
従って、外部からの影響により、最適アルゴリズム処理器6000で生成する制御データ(つまり設備に対してフィードバックする制御データ)の内容が変化する場合がある。
【0073】
最適化アルゴリズム処理器6000からの、1つの解析・判定ブロックに対する制御は、単純に1回のレスポンスデータを受取って制御を終えるのではなく、常時、設備の状態を監視し、制御を繰り返し実行して、例えば工場全体の生産性を上げるようにする必要がある。なお、複数のレスポンスデータが、それぞれ設定している目的値に到達した場合、最適化アルゴリズム処理器6000は、その後、安定した制御状態を維持する。
【0074】
さらに、最適化アルゴリズム処理器6000は、複数又は1つの設備の状態データに応じた診断を行い、当該設備にふさわしい制御パターンを選択組み合わせて、組み合わせリクエスト制御データを作成することができる。そして、例えば設備に対して、適切なタイミングで、組み合わせリクエスト制御データによる制御シーケンスを設定することができる。
【0075】
このときは、上記した、リモートセンター部5001による監視対象に対する監視を繰り返し実行し、監視結果に応じて、前記自動制御部3006、4006より通知する制御コマンドまたは制御リクエストおよび処理モデルを動的に変化させることができる。即ち、フィードバック処理の結果に基づき動的に次のフィードバック処理を変化させることが可能となる。このときは、先に述べた学習機能の学習結果が活用されている。したがって、最適アルゴリズム処理器6000には、定期実行機能、若しくは、イベント発生の都度実行機能(計画・予測と実績に差が生じた場合の実行機能)、又は人間系による判断に基づく実行機能、およびこれらの組み合わせ機能が備えられている。
【0076】
図5は、図3の構成ブロックを単純化すると共に、さらに他の実施形態としての要素を含むブロック図である。したがって、図3の構成ブロックに対応するブロックには、図3と同じ符号を付している。
【0077】
図5では、現実空間PH内では、先の実施形態の解析・判定ブロック(解析・判定エッジ装置と称してもよい)3001と4001がまとめて示されている。
【0078】
解析・判定ブロック3001、4001は、制御対象の設備1000、2000を予め設定されているプログラムのシーケンスに基づいて制御している。解析・判定ブロック3001、4001は、設備1000、2000の状態データを常に監視し、設備の状態データを判定し(診断を下し)ており、緊急事態の場合は、即座に設備1000、2000を緊急制御することができる。
【0079】
また、この実施形態では、解析・判定ブロック3001、4001と、制御対象の設備2000との間には、マニュアル操作自動化装置120が配置されている。このマニュアル操作自動化装置120は、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)とも称される。仮に制御対象の設備2000の一部が、マニュアル操作を必要としていても、前記マニュアル操作(例えば押し釦などの操作)を、例えば制御信号により動くロボット(例えば電磁石スイッチなどの複合体)により、当該マニュアル操作をこの自動化装置120が実現するのである。勿論、設備2000は作業者121により操作、或は制御されることも可能である。また、マニュアル操作自動化装置120は、RPAと組み合わせたタッチパネルエミュレータの機能を備えてもよい。この機能は、操作用タッチパネルに表示されている操作ボタンの座標位置を、RPAの制御シーケンスに基づき自動的なカーソル制御を行うことで、操作用タッチパネルから操作信号を出力させることができるものである。このRPAとタッチパネルエミュレータの機能を組み合わせたマニュアル操作自動化装置120を用いると、例えば設備2000が旧式の操作システムであっても、設備を無駄にすることなく利用し続けることが可能である。
【0080】
なお上記のマニュアル操作自動化装置120は、その他のシステムに対しても接続可能である。
上記設備1000、設備2000の状態データ(センサ出力データ、製品検査データなど)、作業者121の状態データ(作業者の操作に基づく制御データ)は、サイバー空間CYに形成(写像)された仮想の設備1000C、設備2000C、仮想の作業者121Cを通してモニタされている。現実空間PHと仮想空間CYとの間の通信系路(ネットワークNET)の一部には、管理シェルAASが配置されてもよい。この管理シェルAASの配置位置には、各装置からの送信データあるいは受信データが存在する。このためこの位置に配置される管理シェルAASは、各装置の送受信データを個別に並列的に送受信するのではなく、各装置の送受信データをチェック(或は確認する必要性)の優先度の高い順に階層構造のデータフォーマットにまとめて送受信するタイプの管理シェルが望ましい。
【0081】
サイバー空間CYには、先の実施形態で説明したデータベースDB1、DB2、リクエスト制御データ、最適化アルゴリズム処理器6000を含むブロックが設けられている。このブロックは常時、現場の解析・判定ブロック3001,4001と通信を行い、解析・判定ブロックの判断結果に応じて解析・判定ブロック3001、4001に対してリクエスト制御データや、更新データを指示用として送信している。リクエスト制御データは、解析・判定ブロック3001,4001による設備状態データ解析の結果に基づいて送信されるもので、前記設備に最適なリクエスト制御データである。リクエスト制御データを受信した設備は制御結果をレスポンスデータとして、サイバー空間CYに送信するとともに、解析・判定ブロック3001、4001を介してリモートセンター部5001に送信する。
【0082】
この例では、リモートセンター部5001は、3つの遠隔監視・制御コンソール5011、5012、5013を有するが、必ずしもその数が限定されるものではない。各設備に応じて、或は設備の一部の装置や機器に応じて適切な遠隔監視・制御コンソールが準備されてもよい。これは、設備や設備の一部は、改良や機能アップに基づきその制御シーケンスや制御レベルなどが変わることがあるからである。このような場合、設備メーカや装置メーカの専門家が任意に制御シーケンスや制御レベルを調整していることがあるので、1つの設備に対する遠隔監視・制御コンソールの数の増減が生じることもある。
【0083】
このため、遠隔監視・制御コンソール5011、5012、5013は、それぞれ、リクエスト制御データ生成部5002a、5002b、5002cを含む。そして、リクエスト制御データ生成部5002a、5002b、5002cで予め想定している制御データは、事前に、解析・判定ブロック3001,4001を介して、データベースDB1、DB2に格納されている。この構成により、設備を構成する装置や機器が交換されたり、バージョンアップされたとしても、本システムは制御システムとして柔軟な対応が可能であることを意味する。
【0084】
遠隔監視・制御コンソール5011、5012、5013から解析・判定ブロック3001、4001に対する矢印11a、12a、13aが制御リクエスト(リクエスト制御データ)の系路であり、矢印11b、12b、13bがレスポンスデータの系路である。
【0085】
制御データが、更新された場合には、解析・判定ブロック3001,4001は、データベースDB1、DB2内の対応する制御データを更新する機能を備える。
【0086】
設備が運転されているときは、解析・判定ブロック3001,4001で設備の状態データが解析され、その解析結果に応じて、解析・判定ブロック3001,4001によりデータベースDB1、DB2内のリクエスト制御データが読み出されて、対応する設備に与えられる。リクエスト制御データにより制御された設備の制御結果を示すデータ(レスポンスデータ)は、対応する遠隔監視・制御コンソールに送信される。遠隔監視・制御コンソール5011、5012、5013は、それぞれ、レスポンスデータを可視化し表示する表示装置を備えており、技術者は、その可視化されたグラフや数値などを見ることで、設備の状態を認識することができる。状態とは、装置や材料の適正温度、材料などの適正量、コンベアなどの適正速度、製品の品質などがある。
【0087】
ここで、本システムにテストモードが設定された場合を説明する。このモードでは、遠隔監視・制御コンソール5011、5012、5013は、ユーザ操作に基づいて、管理下にある設備と、当該設備のためのリクエスト制御データのタイプ(処理タイプ又は処理モデル又は基本モデルと称してもよい)とを表示器に表示する。ユーザは、コンソールを介してテストしたい設備を選択する。また、処理モデルに設定されているパラメータ(制御レベル、閾値、数値、出力レベルなど)を可変して「実行」操作を行う。これにより、設備が起動した場合の設備の状態データを収集することができる。
【0088】
上記のテストモードは、設備の設置時は、仮想空間のデジタルデータで行うシミュレーションを設備の上流から下流に向かって順次行う事が望ましい。パラメータなどは、上限値や下限値を試してみて、パラメータの可変範囲の制限値を設けることが望ましい。シミュレーション用のプログラムは、予め作成されているテスト用の制御データに対する設備側の仮想(理想的な)のレスポンスデータを利用する。そしてシミュレーション用のプログラムは、テスト用の制御データを現実の設備に与えたとき、その現実のレスポンスデータが理想のレスポンスデータと整合するかどうかを確認する。現実のレスポンスデータが理想のレスポンスデータとずれている場合は、制御データに含まれるパラメータの調整、或は現実の設備の機能の調整などが専門の技術者により実施される。
【0089】
上記のシミュレーションが完了した時点で問題がなければ、実際の試作品を製造する実験を行う。この実験の間に、パラメータなどを含む具体的な処理モデルの制御データが、解析・判定ブロック3001,4001を介してデータベースBD1、BD2に格納される。
【0090】
図6Aは本システムで採用されている制御タイプ(アルゴリズム或は処理モデルと称してもよい)の特徴を説明する説明図である。
図6Aの2次元のブロックにおいて、列Y1の図面上の上から順番のブロック(X1,Y1)(X2,Y1)(X3,Y1)(X4,Y1)内には、人機械協働型、シーケンス型、スター型、複合型のプログラムシーケンスのマークを示し、列Y2において図面上の上から順番のブロック(X1,Y2)(X2,Y2)(X3,Y2)(X4,Y2)内には、プログラムシーケンスの当該マークの記述文字例MMCT、SEQT、STAT、MIXTを示している。さらに列Y3において図面上の上から順番のブロック(X1,Y3)(X2,Y3)(X3,Y3)(X4,Y3)内には、対応するアルゴリズムの特徴を説明している。
【0091】
X1,Y3(人機械協働型タイプ)・・・設備の一部の機械或は装置などを人間が手動的に取り扱う形態を含みながら制御が実行されるアルゴリズムである。ここでは人手による清掃、スイッチ操作なども含む。
X2,Y3(シーケンス型タイプ)・・・設備を構築している複数の機械或は装置を予め決まっている順番で制御するアルゴリズムである。
X3,Y3(スター型タイプ)・・・設備を構築している複数の機械或は装置を、中心となる装置(例えば解析・判定ブロック)が一挙に、或はランダムに、或は順番に相手の反応を確認しながら制御するアルゴリズムである。
X4,Y3(複合型タイプ)・・・上記した人機械協働型、シーケンス型、スター型のアルゴリズムが複合しているタイプのアルゴリズムである。
【0092】
図6Bは上記の制御タイプの利用形態を大まかに分類した説明図である。
図6Bの2次元のブロックにおいて、列TY1には、MMCT(人機械協働型タイプ)により制御される設備のアクション例を示し、列TY2には、SEQT(シーケンス型タイプ)やSTAT(スター型タイプ)により制御される設備のアクション例を示している。
【0093】
上記アクションのトリガの種類としては、列TY0に記述している。この例ではトリガの種類を大きく分けて、EV1(イベント)とPL1(プラン)に分けている。
EV1(イベント)・・・異常事態など緊急度が高いイベントの発生時に立ち上がり実行される制御である。このイベント発生時に、MMCT(人機械協働型タイプ)により制御される設備や機能は、監視により検出したアラートに対応して人が介在しながらの制御が必要な設備や機能である(EV11)。また、このイベント発生時にSEQT(シーケンス型タイプ)やSTAT(スター型タイプ)により制御される設備や機能は、当該アラートに対する対応方法(手順)が予め決まっており、当該対応方法に基づいて制御される設備や機能である。このときの制御は自動的に実行される傾向にある(EV12)。
PL1(プラン)・・・計画に基づいて立ち上がる又は運転される制御である。この時、MMCT(人機械協働型タイプ)による制御が適用される設備や機能は、例えばPLC:Programable Logic Control等のリモートメンテナンス時、初期設定時のときに適用される設備や機能である(PL11)。また、この時にSEQT(シーケンス型タイプ)やSTAT(スター型タイプ)により制御される設備や機能は、運転計画に基づく制御が適用される設備や機能である(PL12)。
【0094】
なお運転計画は、設備やその機能の製造メーカや技術者が予め平常時(不急時)の運転、異常時(緊急時)の運転や運転変更などのプログラムを作成し設備や機能に設定している。特に設備に対する平常運転時における制御データの変化パターンと、このとき監視(センサ)により取得した前記設備の状態データの変化パターンは、同じパターン或は特定の相関性を持つパターンであることが望ましい。
【0095】
上記したように本システムでは、各設備や機能に対して制御タイプを分類して、各設備や機能に対する制御順序となる制御パターンを把握し整理している。そのため、点検修理を行うときの制御時、安定動作しているときの制御時、緊急度の高いときの制御時のそれぞれにおいて、設備全体の動作パターンを、プログラム(制御タイプ)から把握し想定することが可能となる。例えば、設備内の一部のパーツを交換したときに全体の性能に変化があった場合、プログラムによる制御パターンから、前記一部のパーツの動作(応答速度や温度変化)が影響しているのか否かを把握しやすくなる。また、交換した前記一部のパーツの制御パラメータを調整する場合も、制御パターン内で、交換した前記一部のパーツに対応するステップのパラメータを調整すればよく作業が容易になる。
【0096】
上記では3つの制御タイプについて説明したが、本実施形態においては、制御タイプは、制御プログラムのみならず、「状態データの収集プログラムのタイプ」としても適用されている。即ち、人機械協働型により設備を制御した場合、その制御結果の設備状態データの収集も同じく人機械協働型により収集される。同様にシーケンス型により設備を制御した場合、その制御結果の設備状態データの収集も同じくシーケンス型により収集される。同様にスター型により設備を制御した場合、その制御結果の設備状態データの収集も同じくスター型によりにより収集される。つまり、制御順序に応じて、制御結果に基づいて発生する状態データが収集されるように設計されている。制御に応答した状態データが、制御順に同期して収集される。
【0097】
この方法により、複数の設備や機能を制御した結果、応答時間が異なる設備や機能が存在したとしても、設備状態データの収集順序が入れ替わることがなく、誤った判定(診断)を防止できる。つまり、シーケンス型でA、B、C、Dの装置或は機能が制御された場合、その装置或は機能の状態データも同じくシーケンス型の状態データ収集プログラムにより、収集されるもので、例えばBの制御応答時間が長い場合でもCの状態データは、Bの状態データが収集された後で収集される。
【0098】
上記では、制御タイプ(複数の制御コマンドを順次出力するタイプ)に対して相対的に同期して被制御部(設備)の状態データが収集されることを説明している。つまり本実施形態における制御タイプは、複数の制御コマンドが時間差を以て順次被制御部(設備)に与えられることを想定している。
【0099】
しかし、さらに細かい時間単位でみると、1つのコマンドで、1つの被制御部(設備)において複数のアクションがあり、各アクションを監視する複数のセンサからの複数の状態データが収集される場合がある。この場合、複数のセンサから出力される各状態データが安定するまでに時間差が生じることがある。そのために、1つのコマンドが被制御部に与えられた後、各センサの出力データを同時点で同時に保持して(レジスタに取り込んで)、これを状態データとして扱うことにすると、不正確な状態データを取得する結果になることになる。このための対策は、後の図9A図9Fで説明することにする。
図7は、本システムにおいて、設備や機器などの初期設定を行う場合の設定処理の流れを説明する説明図である。リモートセンター部5001(ステップF1)からクラウドサーバの例えば最適化アルゴリズム処理器6000(ステップF2)を介して、解析・判定ブロック(例えば3001)(ステップF3)に各種の制御パターンの制御データを設定する場合の手順を示している。なおこの場合、ステップF2とF3とは順序が入れ替わってもよい。
【0100】
解析・判定ブロックのデータベースには、この、解析・判定ブロック3001が担当する設備の装置、機器あるいは機能を制御するための制御データが格納される。また最適化アルゴリズム処理器6000には、この最適化アルゴリズム処理器6000が管轄している複数の解析・判定ブロック3001を制御するための制御データが格納されている。
【0101】
そして解析・判定ブロック3001は、担当している装置、機器あるいは機能に対して、対応する制御データをセットすることができる(ステップF4)。
【0102】
上記のリモートセンター部5001では、ユーザは、各設備に対して、図6Bで説明したプランに対応する制御方法の策定を行うことが可能であり、またイベント等に対応する対応方法を策定することが可能である(F11)。この策定に基づいて、各プランやイベントに対応する制御データが作成される。つまり、この制御データは、設備に対して命令を行うため、またスケジュールを設定するためものであるし、さらにイベント、アラートに対して設備の自動応答などを行わせるためのものである。この制御データは、先に図6A図6Bで説明した制御タイプのアルゴリズムに属するものが利用されており(F21)、各設備のそれぞれのアルゴリズムは、各設備に適切なタイプが選択されている。
【0103】
そして、クラウドサーバの最適化アルゴリズム処理器6000に対しては、上記の制御データが設定される(F2)。
【0104】
次に解析・判定ブロック3001は、サーバから受け取ったフォーマットのアルゴリズムを制御対象である装置や機器にセットする(F3、F31)。なお、ここで、制御タイプのアルゴリズムに基づく制御データ(コマンドなど)は、設備内の装置や機器の固有フォーマットに変換してもよい。この変換は、例えば制御データの命令形式・命令コードなどであり、制御内容は変化せず制御には影響しない変換である。この変換処理は、図5で示したマニュアル操作自動化装置120で行われてもよい。
【0105】
次に装置や機器は、アルゴリズムに沿ったスケジュール運転を実行する。また上位のレイヤへ、ジョブ情報や状態データなどを通知する。上位のレイヤとしては、例えばクラウドサーバ、上流設備の解析・判定ブロック(或はエッジ装置)などがある(F41)。
【0106】
上記したように本システムにおいては、リモート制御アルゴリズムを、幾つかの型(制御タイプ)に分類して、各設備に基本的に適合する制御タイプを特定できる方法を採用している。このように設備に適合する制御タイプを特定すると、制御対象である設備に対する制御アルゴリズムの設計や修正が管理面で容易となる。
例えばアルゴリズムの制御タイプを示す属性データを用意することで、アルゴリズムの識別を容易にすることができる。また属性データを利用して、アルゴリズムの区分整理、アルゴリズムの選択・指定作業を容易化することで、アルゴリズムの組み合わせ作業も容易にすることが可能である。さらには、設計中のアルゴリズムの制御タイプが、属性とは異なるタイプに構築されていることを検出し(あり得ないタイプに構築されていることを検出し)、設計誤り検出を行う事も可能となる。
【0107】
図8は、例えば解析・判定ブロック3001において、この解析・判定ブロック3001が管轄している設備1000内の装置や機器に対して複数のアルゴリズムを予め準備可能とする機能を説明するためのシステム概要を示す図である。
【0108】
工場においては、解析・判定ブロック3001が管轄している装置や機器の機能をテストし正常運転が行われるかどうかを点検する必要がある。
【0109】
この解析・判定ブロック3001は、メイン制御部E903、設備・機能制御部E904を含むが、これらは、図1から図3で示した、設備状態データ解析部3002、自動制御部3006、状態レベル判定部3005、リクエスト制御データ生成部5002に相当する。特にメイン制御部E903と設備・機能制御部E904は、先に説明した自動制御部3006とリクエスト制御データ生成部5002を構築している。
【0110】
解析・判定ブロック3001は、工場の設備、機器、製造品に異常が生じた場合、アラートを通知する必要があり、例えば、製造ラインの非常停止などを含む。
【0111】
そのために解析・判定ブロック3001には、各種のアルゴリズムを準備する必要がある。各種のアルゴリズムはデータベースDB1に格納されている。アルゴリズムとしては、同じ設備内の複数の装置又は機器に対しても同じ制御タイプ(例えばスター型)の複数のアルゴリズムが用意されることがある。この同じ制御タイプの複数のアルゴリズムであっても、例えば設定されているパラメータが異なるものや、コマンドが一部異なるものがある。これらのアルゴリズムは、全体の生産効率が可変された場合、或は同じ機能を有する装置が第1の装置から第2の装置に切り替えられた場合に利用される。
【0112】
また同じ制御タイプであっても、非常停止用のアルゴリズムが用意されている場合もある。このアルゴリズムは、非常時には、設備・機能制御部E904により選択され、設備1000に与えられる。
【0113】
上記の設備・機能制御部E904は、クラウドサーバからの通知、或はリモートセンター部5000からの指示にも応答して動作する。設備・機能制御部E904は、メイン制御部E903、送受信部E902を介して、リモートセンター部5000に接続可能である。
【0114】
リモートセンター部5000は、解析・判定ブロック3001を遠隔制御することができ、また複数のモードを備えている。1つ目のモードは、ライン立ち上げモードで、このライン立ち上げモードにおいては、リモートセンター部5000は解析・判定ブロック3001と協働して、各制御対象に対して適切なアルゴリズムの選択と設定を行うことができる。このアルゴリズムは、装置の設計メーカにより予め提供されており、リモートセンター部5000は、当該アルゴリズムを対応する解析・判定ブロックのデータベースDB1に登録することができる。
【0115】
2つ目のモードは試運転モードで、この試運転モードでは、解析・判定ブロック、及びサーバ、リモートセンター部5000は、設備の動作状態をモニタすることができる。このモニタにおいて、所定の設備状態データが得られているかどうかをチェックすることができる。
【0116】
試運転モードにおいて、所定の設備状態データが得られていない場合、リモートセンター部5000は、フィードバック制御として、対応する設備のアルゴリズムのパラメータを調整する。この調整により設備状態データが得られた場合には、リモートセンター部5000は、この時のパラメータを有するアルゴリズムを基準のアルゴリズムとして、データベースDB1に格納する。
【0117】
この試運転モードでは、点検者が装置や機器に対して故意に油圧を下げる、温度を変化させる、などして異常検出が正常に働くかどうかを点検することができる。また、この時の応答時間の遅延も、例えばモニタ装置で確認可能であり、遅延時間が所定の要件を満たしている場合は異常検出アルゴリズムは正常であると判断する。
【0118】
装置や機器の稼働中は、例えば天気予報により、曇り・雨が数時間後に訪れると予測されている場合には太陽光発電量が低下するため、その対策を実施する必要がある。そこで点検者は、故意に電力を低下させて予備の発電が起動するかどうか、又は、設備全体の消費電力軽減機能が作動するかどうかの点検を行うこともできる。
【0119】
また、設備によっては、他の工場や別の場所の製造設備で製造された部品を利用するなど連携している設備も存在する。このような場合、他の工場や別の場所の製造設備から該当の設備までの輸送路での事故などにより、予定している組み立て部品を入手できない場合がある。その対策を実施する必要があるが、本システムでは、上記した解析・判定ブロック3001のデータベースDB1に蓄積されているアルゴリズムを切り替えることで、一部製造ラインの停止や製造速度の可変を行うように設定することも可能である。
図9Aは、本システムの設備・機器の状態データの判定に基づく診断内容(診断レベルと称してもよい)およびその判定要因又は判定結果に応じて対応すべきアクション機能を説明する図である。
【0120】
本システムにおいては、設備の状態データは、設備状態データ解析部3002(4002)、状態レベル判定部3005(4005)により、常時監視されている。設備・機器から受信した状態データを状態データ解析部3002で分析し、その結果に基づき状態レベル判定部3005で状態レベルを判定する。つまり診断を行う(診断レベル20a)。
ここで、状態レベルには、複数の段階があり、例えば、正常運転のため対応が不要な「不急」から異常内容に応じて緊急で対応が必要な「緊急」まであり、各状態レベルに応じた設備に対応する制御を行う。状態レベル判定部3005(4005)により「不急状態」と判定された場合、設備に対する運転制御プログラムは、全体設備の最適運転制御、製造ラインの製造効率の制御、生産性の良否の判定、総エネルギーコストの計算、Co2排出量の計算などが実行される。このような運転制御は、先に説明した最適化アルゴリズム処理器6000に委ねられる。この運転制御は、状況に応じて工場単位で行われる必要があり、その際は、1つの解析・判定ブロック3001からの情報に基づく制御ではなく、複数の設備の解析・判定ブロックからの情報も利用して制御が行われる(21a)。なお、状態データの判定結果(診断結果)は、モニタ装置3011、4011(図1図2図3に示される)より確認できる。
【0121】
状態レベル判定部3005(4005)により、設備・機器の状態が、「強不急」から「緊急」(弱不急)へ移行したと判断された場合は、個別設備の最適運転状態がチェックされ、各個別設備へのフィードバックが実行される。このような場合、先に図8で説明したように、同じ制御タイプの複数のアルゴリズムの中から適切なものが選択されて、設備へフィードバックされる。これにより個別設備の最適運転が行われる(21b)。
【0122】
状態レベル判定部3005(4005)により、設備の状態が「強不急」から「弱緊急」へ移行したと判断された場合の例としては、動力系、製造系のパフォーマンスが低下(21c)したような場合が該当する。この場合は、動力系、製造系のラインのバランスをとる制御、平準化を行う制御が必要である。アンバランスや非平準化としては、連続する設備間での処理時間のアンマッチング、或は処理量のアンマッチングなどがあるため、解析・判定ブロックにおいて即座にフィードバック制御が行われる。フィードバック制御を実行した結果、系が安定化しない場合は、アラームの発生や人が介在する制御など、適切なアルゴリズムを利用して制御を行い、系全体の安定化が図られる。
【0123】
状態レベル判定部3005(4005)により、設備の状態が、「中緊急」へ移行したと判断された場合の例としては、動力系、製造系などの設備単体のパフォーマンスが低下(21d)したような場合が該当する。このような場合も先に図8で説明したように、同じ制御タイプの複数のアルゴリズムの中から適切なものが選択されて、設備へフィードバックされる。この処理は、現場の解析・判定ブロックにより実行されることが望ましい。この場合もパフォーマンスの低下が改善されない場合は、アラームの発生や人が介在する制御など、適切なアルゴリズムを利用して制御を行い改善が図られる。
【0124】
状態レベル判定部3005(4005)により、設備の状態が、「強緊急」へ移行したと判断された場合の例としては、災害が生じた、安全性がなくなった(ガス噴出、液体漏れ、動力エネルギーの低減など)、ある設備が停止(21e)したような場合が該当する。この場合は、アラームの発生や人の作業が介在する制御データが使用される。
【0125】
なお、状態レベル判定部3005(4005)に基づく不急、緊急の判定基準は上記に限定されるものではなく、さらに細かいレベルを設定しても良い。例えば、弱緊急事態、中緊急事態が生じている時間帯においては、次に使用すると予測されるフィードバック(制御データ)の準備期間としても活用可能である。
【0126】
図9B図9C図9Dは、本システムにおいて、設備を制御するためのコマンドを自動制御部3006から製造設備(被制御部)1001に与えた場合の特徴を説明する図である。
【0127】
図9Bは、解析・判定ブロック3001と設備1000の関係を代表して示している。先に説明したように、設備1000に対して何等かの制御が必要な場合、自動制御部3006から出力される制御コマンドまたは制御リクエストは、設備1000の受信部1004により受信されて設備内の被制御部に与えられる。この場合、コマンドは単一であったり、複数が同時であったりする。また被制御部も単一であったり、複数であったりする。
【0128】
設備1000の内部では、受信部1004で受信されたコマンドが設備内の被制御部に与えられると、被制御部がコマンドに応じて動作する。コマンドに基づき動作した被制御部の状態は、設備状態検出部1002が検出する。
【0129】
コマンドに応じて動作した設備の状態変化を示す状態データは、レスポンスデータ送信部1005により設備状態データ解析部3002に送信される。状態データには、設備の状態変化のみならず、製造品の状態変化を示す状態データも含まれる場合がある。
【0130】
なお本システムでは、レスポンスデータ送信部1005は、特にリクエスト制御データに対して制御された設備の状態データをレスポンスデータとして送出するものとしている。これに対して設備状態データ送信部1003は、設備が安定状態にあるときに、設備の状態データを定常的に送出するものとしている。しかし、これらは一体のものとして構成されてもよいことは勿論である。
【0131】
図9Cは、上記のシステムを単純化し、且つ設備(被制御部)1001の複数個所にセンサが設けられ、各センサの検出信号を設備状態検出部1002が検出する様子を示している。図に示すように、被制御部の状態が、3つのセンサ1,2,3により検出されるものとする。実際には、種々のセンサからの種々の出力(温度、湿度、材料の量や重量、画像データ、液体量の変化など)があり、センサグループは、製造設備に応じて異なる。
【0132】
リクエスト制御データに含まれる1つのコマンドに応じて変化するセンサ1,2,3の出力は、レスポンスデータ送信部1005を介して設備状態データ解析部3002に送信される。センサ1,2,3の出力が安定しているときは、設備状態データ送信部1003を介して、設備状態データ解析部3002に送信される。
【0133】
図9Dは、受信部1004が1つのリクエスト制御データ(1つあるいは複数のコマンドを含む)を受信してから、レスポンスデータ送信部1005が、当該コマンドに対応するレスポンスデータを送信するまでのタイミングチャートの例を示している。センサは、コマンドに応答する対象(装置の部位や装置の機能)の状態を検出する。しかし、装置の複数の部位や装置の複数の機能が、それぞれコマンドが与えられた瞬間に一斉に応答するものではない。装置の部位や装置の機能にコマンドが同時に与えられたとしても、この装置の部位や設備の機能は、反応(応答)時間が異なることが多い。また複数のセンサの特性により、一斉に与えられたコマンドに対して複数のセンサの応答時間が異なる場合がある。
【0134】
例えば、制御データに含まれるコマンドが設備のモータの回転数を調整するパラメータと、洗浄液槽の液体量を調節するためのパラメータとを含む場合、コマンド受信時からモータの回転数が目標値に達成するまでの時間と、コマンド受信時から液体量が目標値に達成するまでの時間には差が生じる。その他、コマンドとしては、スイッチのオン、オフ制御用、温度の上げ、下げ制御用などがある。
【0135】
図9Dに示すように、例えば1つの設備内の各所(それぞれ異なる機能部)にセンサ1、2、3が取り付けられているものとする。ここで設備に対してリクエスト制御データが与えられ、制御データ内の各コマンドがそれぞれ異なる機能部に与えられたとする。
【0136】
時点TS1に対して、複数の設備の部位や機能の応答状態が安定する時点TS2までの時間TSを予め試験により測定してレスポンスデータ送信部1005に記憶しておく。そして、コマンドが受信部1004で受信され、設備の部位や設備の機能に与えられた時点TS1から時間TSが経過したときに、各センサ出力を設備状態検出部1002から受け取り、レスポンスデータとして設備状態データ解析部3002に送信する。これにより、設備状態が状態レベル判定部3005により正確に把握される。
【0137】
上記説明では、レスポンスデータを設備状態データ解析部3002に送信するための時間管理をレスポンスデータ送信部1005が行うものとして説明している。即ち、複数の設備の部位や機能の応答状態が安定する時点TS2までの時間TSを、レスポンスデータ送信部1005が記憶している。しかし、この時間管理を設備状態検出部1002が行ってもよい。つまり、1つのコマンドを受信部1004が受信した時点TS1から、複数のセンサの検出データを送出する時点TS2までの時間TSを設備状態検出部1002が管理してもよい。
上記のように、例えば設備を起動するために1つのコマンドで起動すると、設備内の複数の区分の装置が一斉にオンする。しかし、各設備により、立ち上がり時間が異なる(起動時から準備が整うまでに時間が異なる)。そこで、予め、設備内の全ての装置の準備が整うまでの最大時間TSを予め測定しておき、図9Dの時点TS2で全ての装置の状態検出センサの出力を検出している。
【0138】
図9Eは、本システムのデータ送受信機能において利用される通信データフォーマットの基本的な一例を示す図である。
【0139】
まず本システムでは、上記したコマンドに識別データ(コマンドID)を追加し、センサ出力をレスポンスデータとして設備状態解析部3002に送信するときに、レスポンスデータにコマンドID(属性データ)を付加する。これにより、レスポンスデータを解析した場合、このレスポンスデータのレスポンス要因となったコマンドが分かるようにしている。このようにすることで、設備状態データ解析部3002がレスポンスデータを解析する場合に、自動制御部3006が送信したコマンドに対応するレスポンスデータを正確に収集して解析することができる。
【0140】
図9Eの(a)は、解析・判定ブロック(図9Bの3001、図5の3001、4001)或は最適化アルゴリズム処理器(図5の6000)から、リクエスト用として送出される通信データのデータ部の基本構成である。データの先頭には、リクエスト用ヘッダーTa1が記述されると共に、ここには発生源IDも含まれている。発生源IDとは、例えばリクエスト制御データ生成部5002の識別データである。次に、制御対象となる設備の識別データIDTa2が記述されている。次に処理モデルの識別データIDTa3が記述され、次に、これから送られる制御対象となる対象個所の数を示す制御対象数と、先に説明したコマンドIDTa4が記述されている。以降は、制御対象個所IDと制御内容を示すコマンドTa5が記述される。この制御対象個所IDと制御内容を示すコマンドTa5,Ta6、・・・・Tanは、処理モデルに沿った順序で配列されている。そしてデータの最後にはENDデータが記述されている。
【0141】
図9Eの(b)は、上記のリクエストに応答して制御された設備(図9Bの1000、図5の1a~2n)から送られてくるレスポンスデータの基本構成を示している。データの先頭には、レスポンスデータ用ヘッダーTb1が記述されると共に、ここには発生源IDも含まれている。ここでの発生源IDも、リクエスト制御データ生成部5002の識別データである。次に、レスポンスを行う設備の識別データIDTb2が記述され、次に制御に使用された処理モデルの識別データIDTb3が続いている。また次に制御された制御対象数及び、先に説明したコマンドIDTb4が記述されている。そしてその後は、上記リクエストデータと同じ順序の制御対象個所IDと、この制御対象個所から得られたセンサ出力つまり、状態データ(1つとは限らず複数の場合もあるTb5,Tb6・・・Tbn)が、配列されている。そしてデータの最後にはENDデータが記述されている。状態データは1つとは限らず複数の場合もあるが、これは、制御対象個所を、各種センサやIoTが監視しているからである。
【0142】
上記のレスポンスデータは、設備に与えられたコマンドIDを含む。したがって、設備状態データ解析部3002がレスポンスデータを受信したとき、どのコマンドに応答して得られたレスポンスデータであるのかを、設備状態データ解析部3002が検出することが可能である。しかも、先に説明したように、各センサからのレスポンスデータの正確な値が得られるまでの時間にタイムラグがあっても(コマンドが与えられた時点TS1から正確な値が得られるまでの時間が各センサ間でずれていても)、本システムでは、全てのセンサの検出状態が安定した状態におけるレスポンスデータを取り扱うことができる。
【0143】
図9Eの(c)は、リモートセンター部5001からユーザが直接、設備或はその一部を遠隔制御する場合に利用されるデータフォーマットの一例を示している。データの先頭には、リモート操作用ヘッダーTc1が記述されると共に、ここには発生源IDも含まれている。次に、制御対象となる設備の識別データIDTc2が記述されている。次に続くコマンドは、個別制御であることを示す個別制御IDTc3が記述されている。したがって、このデータを認識した解析判定ブロック(図4Bの3001)は、制御する装置(図4Bの1a~2n)とその制御対処個所のみを制御することを認識する。次に、制御対象個所の識別IDとコマンドTc4が記述されている。よって解析・判定ブロック(図5の3001)は、指定されている制御対象個所のみをリモート制御する。
【0144】
上記のシステムでは、自動制御部3006と設備状態データ解析部3002は、互いにコマンドIDの処理機能(処理回路)を備えている。また、この処理機能(処理回路)は、自動制御部3006がリクエスト制御データを送信したときのコマンドIDと、設備状態データ解析部3002がレスポンスデータを受信したときのコマンドIDとを比較する機能を備える。そして、送信時のコマンドIDと受信時のコマンドIDとが一致した場合に、送信したコマンドに対応するレスポンスデータであることを判定している。
【0145】
上記の処理機能(処理回路)は、受信部1004と、レスポンスデータ送信部1005及び設備状態データ送信部1003との間に構成されていてもよい。つまり、この処理回路は、受信時のコマンドIDと送信準備時のコマンドIDとが一致した場合に、受信したコマンドに対応するレスポンスデータであることを判定している。この判定に基づきレスポンスデータを、設備状態解析部3002に送信している。
【0146】
なお上記のデータフォーマットは一例であり、この形態に限定されるものではなく、各種データの配置順序や、各種の変形例が可能である。
【0147】
上記したように本システムは、設備の複数の被制御部それぞれに対する各コマンドを、外部から一斉に受信する受信部を有する。また前記複数の被制御部が前記各コマンドに応答した動作を検出する複数のセンサを備える。そして、前記複数のセンサの出力をレスポンスデータとして外部に送出するレスポンスデータ送信部を備える。ここで、前記レスポンスデータ送信部は、前記レスポンスデータに、前記コマンド識別データである、コマンドIDを付加して送信する。
【0148】
また、設備状態検出部は、センサが取り付けられている前記被制御部の応答特性に応じて、個々の前記センサ出力のキャッチタイミングを設定している。そのため、前記複数のセンサの出力は、設定されたタイミングで設備状態検出部により収集(キャッチ)され、前記レスポンスデータ送信部に入力される。
【0149】
図9Fは、状態データ解析部3002が解析した結果である診断レベル20aに応じて使用する、リクエスト制御データのテーブルを示している。このテーブルDB3Tは、例えば図8のDB3に準備されている。
【0150】
リクエスト制御データは、設備の制御対象個所1、2・・・nに応じて準備されている。即ちテーブルDB3Tは、緊急から不急の間を数値化した診断(判定)レベルを図の左側の斜め方向に示している。図の診断レベル20aは、1つしか示されていないが、図の左側に上下方向に示した設備1から設備nのそれぞれの診断レベルが存在する。
【0151】
設備1から設備nは、それぞれ制御対象個所1、2、・・・nを備える。それぞれの制御対象個所に対して、リクエスト制御データを準備することが可能である。
【0152】
またリクエスト制御データは、シーケンス型SEQT、スター型STAT、人機械協働型MMCTのいずれか、又はこれらの複合型であり、予め複数を準備することが可能である。図においてSEQT(1,1)は、設備1の制御対象個所1のために用意可能なリクエスト制御データ(シーケンス型)のメモリ領域(格納個所)を意味し、STAT(1,1)は、設備1の制御対象個所1に用意可能なリクエスト制御データ(スター型)のメモリ領域を意味し、MMCT(1,1)は、設備1の制御対象個所1のために用意可能なリクエスト制御データ(人機械協働型)のメモリ領域を意味する。これらの格納個所の全てにリクエスト制御データが準備されるわけではなく、制御対象個所1に必要な制御データを準備可能である。
【0153】
さらに、同じく制御対象個所1に対して、別の候補のシーケンス型SEQT、スター型STAT、人機械協働型MMCTのリクエスト制御データを準備可能なメモリ領域も確保されている。図の例では、SEQT(1,m)、STAT(1,m)、MMCT(1,m)の領域が示されており、m個のリクエスト制御データを準備することが可能である。勿論、全ての領域に制御データを格納する必要はなく、制御データが不要な領域は空となる。
【0154】
いずれのリクエスト制御データが採用されるかは、設備1が、緊急から不急のいずれの状態にあるかに応じて自動制御部3006或は最適化アルゴリズム処理器6000の判定結果に基づいて判定される。
【0155】
上記では、設備1の制御対象個所1に対するリクエスト制御データの準備方法について説明したが、制御対象個所2,3、・・・nに関しても制御対象個所1の場合と同様である。さらにまた、他の設備2、3、・・・nに関しても、設備1の制御対象個所1の場合と同様である。
【0156】
上記したフォーマットのデータベースを用意することで、各設備の部位や機能に対する制御データの管理がしやすくなる。勿論、上記したテーブルは、メンテナンスを可能とするために、各リクエスト制御データの格納個所にアドレスが付されている。また、モニタ上でユーザが目視可能であり、制御データ内のコマンドやパラメータを調整することが可能である。
【0157】
なお、上記のテーブルDB3Tは、1つの制御対象個所に対して、複数のリクエスト制御データの記述領域を有し、複数のリクエスト制御データを準備することができる。しかし、必ずしも全ての領域を埋める必要はなく、利用方法は、設備の設計者により適宜設定できるように構成されている。
【0158】
上記した図9A図9F図8の説明で理解できるように、本システムでは、同じシーケンス型SEQTのプログラムであっても、不急時に使用されるものと、緊急時に使用されるものとが存在する。スター型STATのプログラム、人機械協働型MMCTのプログラムも同様であり、不急時に使用されるものと、緊急時に使用されるものとが存在する。また、同じシーケンス型SEQTのプログラムも、不急時に使用されるものであっても、制御レベル(制御強度)の異なるものが複数存在する場合がある。スター型STATのプログラム、人機械協働型MMCTのプログラムも同様である。
【0159】
したがって、解析・判定ブロック3001の設備・機能制御部E904(図8に示す)は、設備からのレスポンスの内容に応じて、データベースの中から適切なシーケンスのリクエスト制御データを選択し、設備或は装置にフィードバックすることができる。
【0160】
図10は、シーケンス型SEQTのプログラム、スター型STATのプログラム、人機械協働型MMCTのプログラムが基本的な制御データとして採用されている設備の例と、当該設備において生じるイベントとの関係の一例を示している。また状態レベル判定部3005、4005によるイベントに対する状態レベル判定結果(異常NG又は正常G)とそのシナリオの例を説明している。
【0161】
列42には、各プログラムのタイプを示し、列43には遠隔監視設備、制御対象設備を示し、列44には、監視対象、制御対象の設備において生じる課題(イベント等)を記載しており、当該課題(イベント)が生じているときの状態レベル判定結果(異常NG,正常G)を示している。
まず、シーケンス型SEQTのプログラムにより設備を制御する例を説明する。この例は、設備1000が汎用設備、ダイカストマシンを備えるものとして想定している。今、シーケンス型SEQTが、汎用設備(搬送ベルト、製品チェック装置等)43a、ダイカストマシン43bの運転制御に適用されており、イベントとして汎用設備が品質異常を検出(44a)したとする。この場合、状態レベル判定部3005は異常NGと判定する。
この場合のシステムにおけるシナリオは、例えば、プロセスデータの異常検知により、品質異常を知らせるアラートを発報し、次にプロセス条件による不良分析が実行される。
また別のイベントとして、ダイカストマシン43bに対して金型温度の適正化制御が行われ、金型温度が適切な温度に制御されたとする。この場合は状態レベル判定部3005、による判定結果は正常Gとなる。
この場合のシステムにおけるシナリオとしては、型閉じ前の金型温度が一定の範囲にならないと次の生産が始まらないので、このための温度適正化制御が該当する。このように設備・機器に対する制御を所定のプロセスで行う場合にシーケンス型SEQTプログラムを適用して制御する。
【0162】
次に、例えば設備1002をスター型STATのプログラムにより制御する例を説明する。この例は、今スター型STATが、汎用設備43c、施設管理設備43dの運転制御に適用されており、イベントとして、汎用設備43cが複数の周辺設備のスケジューリングを実行し(44c)、特に問題なかったとする。この場合は、状態レベル判定部4005は正常Gと判定する。
この場合のシステムにおけるシナリオは、例えば設備の遠隔監視により、複数の設備に対して適切なメンテナンスタイミングを提示する。
また別のイベントとして、施設管理設備43dが、例えば電力使用量と生産計画の連携状態をチェックし、このチェック結果に基づき設備運用の工夫がなされる(44d)。この場合、状態レベル判定結果は正常Gとなる。
この場合のシステムにおけるシナリオとしては、例えば、電力使用量の30分毎の予測値と、建屋における製品生産計画に対する生産実績を監視する。そして、生産実績が目的とする範囲に収まるように、電力使用量の増減対策を実行する(46d)。電力使用量の増減対策としては、種々の対策があり、発電量の制御、使用電力の増減制御などがある。
【0163】
次に、設備1000を人機械協働型MMCTのプログラムにより制御する例を説明する。今、設備1000が、基板実装製造ライン43e,汎用設備の工程診断43f、ダイカストマシン43gを備えるものとする。イベントとして、基板実装製造ライン43eにおいて、不良の検知(凹凸)、しわ、半田の濡れ不良、部品などの位置ずれなどの、不良が単発、散発或は連続であったとする(44e)。この場合、状態レベル判定部3005は異常NGと判定する。
【0164】
このようなシナリオとしては、例えば、発生した問題に対応する不良改善モジュール(予め想定してモジュールが準備されている)を適用し、リモートセンター部5001から、現場などに対処を指示するシナリオとなる。そして、現場の作業の結果がダッシュボードへ反映され、これをオペレータが確認するシナリオである。
【0165】
別のイベントとして、汎用設備の工程診断43fにおけるイベントがある。このイベントでは、例えば先の基板実装製造ラインにおいてNGとなったイベントに対して、人と機械による協働制御が実施される。協働制御実施後の監視・検査データ(温度、湿度、現場の写真、動画など)が、リモートセンター部5001に送信されて正常・異常が判定される。(ここでは、正常Gと判断されたとする。)
この場合のシナリオとしては、例えば、作業台上の写真、動画などがリモートセンター部5001のモニタ装置に表示され、技術者により、正常(OK)の判断入力がなされるシナリオとなる。
【0166】
また別のイベントとして、ダイカストマシン43gにおけるイベントがある。例えば、金型の状態に不良が生じたようなイベントである(44g)。この場合、状態レベル判定部3005、4005は異常NGと判定する。この場合のシナリオとしては、不良が生じた段階ごとに、例えば、以下のようなシナリオとなる。
金型を取り外ししてから、次の量産に移る段取りの段階のシナリオ、金型の冷却状態から温度を上げてから量産体制に移る立ち上げの段階のシナリオ、軽微な不良に対して量産中に現場などの判断で温度などの設定値を変えて修正する条件調整時のシナリオ、軽微な金型不良に対して、ダイカストマシンに取り付けた状態で金型の修正を行う金型修理時のシナリオ、ダイカストマシンの一部にトラブルが生じた場合のマシン修理時のシナリオ、 新規部品を採用した場合、その条件の設定を行い試しに製品を試作してみる試しを行うシナリオ、スケジュールに空きが生じた場合に設備の停止を実行させる生産計画のシナリオなどである。
【0167】
図11は、他の例である。シーケンス型SEQTのプログラムを、製品製造ライン43hのための監視・制御に利用した例である。ここでイベントとしてライン品質改善のリクエストがあるものとする(44h)。このリクエストは、正常系でも異常系でも存在し得る。
この場合のシナリオとしては、リモートセンター部5001又は最適アルゴリズム処理器6000は、(製造実績データ+品質情報データ)の検出及び入力に対して、複数のアルゴリズムを活用し状況分析を行う。そして分析結果に基づいて、対処方法(リクエスト制御データ)を、解析・判定ブロックを介して設備に与える。また分析結果をダッシュボードなどで可視化してユーザが確認あるいは判断し易いように振る舞う。ここでは、ライン品質の劣化要因別でそれぞれのアルゴリズムの組み合わせ分析が行われるが、その分析結果を制御データして反映する場合には、基本的にはシーケンス型SEQTのプログラムが採用される。
【0168】
他の例として、スター型STATのプログラムを、サプライヤ診断ツールの監視・制御43jに利用した例である。この場合、診断用のリクエストは、サプライヤの質と製造された製品の質の両方を可視化する(44j)。このイベントは、状態レベル判定の結果、正常系Gと判断されている場合のイベントである。
この場合のシナリオとしては、サプライヤの質も含めた工程診断を行う場合のシナリオが適合する。
【0169】
次に、人機械協働型MMCTのプログラムの他の適用例を説明する。この例は、射出成型43kを行う設備の制御に適用されており、この時の制御には、生産計画や実績管理44kの情報がイベントの発生として採用されるものとする。この制御は、状態レベル判定の結果、設備環境が正常系Gと判断されている場合に採用される。
この場合のシナリオとしては、設備が生産可能となった場合(例えばダイカストの金型温度が適切な値となり製造準備が完了した場合)、作業員による手動による実起動がなされる。なおこの場合、生産計画、実績管理は所定の手順で処理される(シーケンス型SEQTによる制御である)。ケースによっては、全てシーケンス型SEQTによる制御で満たされる場合もある。
【0170】
他の人機械協働型MMCTのプログラムの適用例として、射出成型43mを行う設備の制御に適用される例を説明する。この例は、状態レベル判定の結果、異常系NGと判断されており、イベントとしてメンテナンス44mが実施される例である。
この場合のシナリオとしては、例えば、設備状態(配管の汚れなど)に基づくアラートが発生し、メンテナンスが実施されるシナリオがある。そしてメンテナンス後は、設備状態が再度チェックされる。
【0171】
図11は、さらに他の例を示している。人機械協働型MMCTのプログラムを、正常時の製品と新たに製造された製品との乖離が見えるかを行う監視機能或はシステム43nに適用した例である。この例は、状態レベル判定の結果、異常系NGが判断され、イベントとして、いつどこでどのような異常が起きているかの判断44nを実行する例である。
この場合のシナリオとしては、製品の良否ではなく、各ショットにおける生産状態において、「いつもとの違い」を発見する場合のシナリオである。
【0172】
さらに他の例として、人機械協働型MMCTのプログラムを、射出成型を行う設備の制御43pに適用した例である。この例は、状態レベル判定の結果、正常系Gと判断され、イベントとしては、エネルギーの効率化を狙うイベントの例である。監視対象は、施設・設備管理の効率化43pが判断される。設備が効率的に運転されているか否かの判定方法は、施設や設備に応じて種々の形態が存在する。また外部からのエネルギー供給量とその許容値によっても判定基準が異なる場合がある。
シナリオとしては、製造ラインによる製品生産量とエネルギー消費との関連調査を行い生産量が多くエネルギー消費が少ないポイントを検出する場合がある。また工場の建屋毎の利用状況の把握と、製品生産量との関係から、建屋の利用状況が適切であるかどうかの判定がある。さらにまた、生産ラインの省エネが実現されているかを設備・機器に設けられたIoT検出データに基づき判定する場合方法もある。
【0173】
図12は、上記した状態レベル判定部3005、及び又は、4005による判定20aに基づき動作する本システムの動作ステップの例を概要的に示している。この動作ステップには、以下の様なステップがある。
・設備及び又は設備群の運転が開始される(ステップSA1)と、本システムにおいて状態監視が行われ、各部の状態データの取り込みのその解析が実施される(ステップSA2)。
【0174】
・システムは現在復旧処理中か否かが判定される(ステップSC1)。復旧処理中ではない場合は、ステップSA3の処理に移る。現在復旧処理中の場合は、後で説明するステップSC2に移る。
【0175】
・解析結果が判定(診断)機能により、システムの状態が不急~緊急レベルのどの位置にあるかが判定される(ステップSA3)、ここで不急と判定された場合、予め各設備及び設備群に設定されている制御タイプSEQT(シーケンス型)、STAT(スター型)又はMMCT(人機械協働型)により、設備及び設備群を制御する(ステップSA4)、次に同じく、設定されている上記の制御タイプと同じタイプの収集プログラムで検査データを取得する(ステップSA5)。そして、ステップSA2に戻り、システムが不急状態であればSA2-SA5のルーチンが繰り替えされる。なお、図示していないが、途中で製造ラインのパフォーマンスを上げる、或は、Co2低減対策を実行するなどの処理が含まれる。
【0176】
ステップ(SA3)において緊急と判定される場合は、ステップSB5、SB6などの処理に移行する。
【0177】
ステップ(SB5)では、強い緊急判定が得られた場合、設備及び設備群を予め設定されている順序をもつ制御タイプで自動的に一旦停止する。そして、リモートセンター部5001で、今までの状態データの解析結果を診断し、緊急レベルの発生要因を特定する。さらに当該発生要因に対して予め設定されている制御タイプにより、緊急対応を開始する。したがって、この場合の制御タイプは、必ずしも、不急時の制御タイプとタイプが同じとは限らない。
【0178】
続いてステップ(SB6)において、緊急対応用のプログラム(MMCT、SEQT、STAT)が使用される。このプログラムは、必ずしも不急時に用いられるプログラムと同じタイプではない。この緊急対応が行われているときは、設備、設備群、製品の仕上がり状態の各状態データは、可視化されてリモートセンター部5001のモニタ装置で、ユーザにより監視される。またリモートセンター部5001のユーザは、設備復旧のための指示や操作を行う。
【0179】
これにより、ステップSA2で取り込む各部の状態データが変化する。そしてステップSC1では、現在は復旧中の処理であることが判定される。するとステップSC2において、状態データから設備及び又は設備群が復旧したか否かの判定がなされる。
【0180】
ここで依然として復旧していない場合は、ステップSB5に移行し、復旧している場合は、ステップSC3に移る。そしてステップSC3では、システムを再稼働し、予め設定されている制御タイプで対応する設備及び又は設備群を制御する。
【0181】
図13Aから図15は、図12に示す状態レベル判定部3005又は4005による判定結果に基づく動作の具体例を説明している。
【0182】
図13A図13Cは、本システムにおける状態レベル判定において、緊急度が高レベルであることを意味する「高B01」が判断されたときの状況、また当該状況に対する本システムによるアクションやそのタイミングなどを表としてまとめている。つまり、「高B01」の時は、各設備とその周囲でどのような影響(トリガ)が発生し、このトリガに対してアクションとしてどのようなシステム応答があるのかをまとめたものである。
【0183】
緊急度が高レベルとは、例えば、災害や安全面で設備の停止を要する場合で、設備のパフォーマンスが著しく低下している場合などの緊急性を要する場合が該当する。
【0184】
図において、行の方向へ、対象設備E00、E01、これら設備E00、E01に対する状態監視内容E02、異常判定時の影響範囲E03、設備に対する指標E04を示している。さらに設備が異常時となった場合のシステムの第1アクションをアクション(1)E05として示し、アクション(1)の実行タイミングE06、第2のアクションをアクション(2)E07と示し、アクション(2)の実行タイミングE08を、それぞれ明細書内で例えば説明F1、説明G1、説明H1、説明J1、説明K1、説明L1、説明M1などで記述している。また、第1アクション、第2アクションを実行する際に適用する、当該設備の異常発生に対するシステムの各種の振る舞いや、対策を説明した制御モデルの型をE06’、E08’として示している。処理モデルは3つあり、スター型をSTRT、シーケンス型をSEQT,人機械協働型をMMCTで示している。
【0185】
図左の列には、列方向に番号を付して、番号の右側に各種の設備を示している。
【0186】
また、以下に説明する各項目に記載の処理は、それぞれ図1に示す次の構成で実行される。
【0187】
状態監視内容E01は、図1に示す設備状態検出部1002、2002で設備の状態が検出され、設備状態データ送信部1003、2003を介してリモートセンター部5001の設備状態解析部3002、4002、状態レベル判定部3005、4005で解析、状態レベルが判定された結果である。
【0188】
影響範囲E03は、上記の通り、設備の状態がリモートセンター部5001の最適化アルゴリズム6000で分析されることにより特定される。
指標E04は、図4に示すように外部より最適化アルゴリズム6000に入力されることで、監視対象に対する指標が特定される。これら指標と、判定された設備の状態レベルとの関係に基づき所定のタイミングで適切なアクションが実行される。設備に対する制御(アクション実行)は、図1に示す自動制御部3006、4006、受信部1004、2004を介して行われる。
【0189】
以下に具体例を説明する。
No.1・・・設備がコンプレッサ(付帯設備に属するが製造設備の一部としてもよい)の異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、高圧空気量の監視で(説明F1)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(説明G1)。
・高圧空気の供給量が指標であり(説明H1)、
・アクション(1)は指標に基づき、設備単体でなく、系統内設備出力に対する調整要求を行うこと、この要求タイミングは、現場の解析・判定ブロックに対して、調整リクエストとして実行するときであり(アクション説明J1,並びにタイミング説明K1)、スター型STATの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)のリクエスト結果に基づき、リモートセンター部から現場利用者に対する通知(設備設定見直し要求)で、そのアクション実行のタイミングとしては即時に実行であり(アクション説明L1、並びにタイミング説明M1)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0190】
上記の説明文において、(説明F1,G1,H1、J1、K1、L1、M1)が付加されている説明文は、図13Aにおいて、同じく説明F1,G1,H1、J1、K1、L1、M1が記述されているブロックに位置する説明文である。これからの説明も同様に、明細書の説明文に付された符号と、対応する図のブロック内に記述されている符号とは、対応関係にある。
【0191】
No.2・・・同じくコンプレッサの異常の場合であって、状態監視が次のような場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、設備稼働において異常な発熱や振動の監視で(状態監視説明F2)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響範囲説明G2)。
・正常稼働の状態維持が指標であり(指標説明H2)、
・アクション(1)は、指標に基づき稼働が制御され、停止、或は低負荷モード運転制御であり、そのアクション実行のタイミングとしては即時に実行で(アクション説明J2、並びにタイミング説明K2)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、動力管理者へメンテナンス要求通知を即時に行うことであり(アクション説明L2、並びにタイミング説明M2)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0192】
No.3・・・設備がボイラの異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、温水流量や温水温度の監視で(状態監視説明F3)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(監視説明G3)。
・温水供給量・共有品質が指標であり(指標説明H3)、
・アクション(1)は、指標に基づき、設備単体でなく、系統内の設備出力の調整要求を現場の解析・判定ブロックに対して行うこと、タイミングは、調整リクエスト要求として実行したときであり(アクション説明J3,並びにタイミング説明K3)、スター型STATの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)のリクエスト結果に基づき、リモートセンター部から現場利用者に対する通知(設備設定見直し要求)であり、そのアクション実行のタイミングは即時に実行で(アクション説明L3、並びにタイミング説明M3)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0193】
No.4・・・同じく設備がボイラの異常の場合で他の状態の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、設備稼働において異常な発熱や振動の監視で(監視説明F4)、その影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G4)。
・正常稼働の状態維持が指標であり(指標説明H4)、
・アクション(1)は、指標に基づき稼働が制御され、停止、或は低負荷モード運転制御であり、アクション実行のタイミングは即時に実行で(アクション説明J4、並びにタイミング説明K4)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、動力管理者へメンテナンス要求することであり、タイミングはその要求通知を即時に行うことで(アクション説明L4、並びにタイミング説明M4)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0194】
No.5・・・設備が冷凍機の異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、温水流量や温水温度の監視で(監視説明F5)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明G5)。
・温水供給量・共有品質が指標であり(指標説明H5)、
・アクション(1)は、指標に基づき、設備単体でなく、系統内の設備出力の調整要求を現場の解析・判定ブロックに対して行うこと、タイミングは、調整リクエスト要求を実行したときで(アクション説明J5、並びにタイミング説明K5)、スター型STAの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)のリクエスト結果に基づき、リモートセンター部から現場利用者に対する通知(設備設定見直し要求)の即時実行で(アクション説明L5、並びにタイミング説明M5)。シーケンス型SEQTと、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0195】
No.6・・・同じく設備が冷凍機の異常の場合で他の状態の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、冷水効率の監視で(監視説明F6)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G6)。
・正常稼働の状態維持が指標であり(指標説明6)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御、出力パラメータなどの変更の即時実行で(アクション説明J6、並びにタイミング説明L2)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、リモートセンター部から現場利用者に対する通知(設備設定見直し要求)即時実行で(アクション説明L6、並びにタイミング説明M6)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0196】
No.7・・・同じく設備が冷凍機の異常の場合で、さらに他の状態の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、設備稼働において異常な発熱や振動の監視で(監視説明F7)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G7)。
・正常稼働の状態維持が指標であり(指標説明H7)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御、停止、或は低負荷モード運転制御の即時で(アクション説明J7、並びにタイミング説明K7)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、動力管理者へのメンテナンス要求通知の即時実行であり(アクション説明L7、並びにタイミング説明M7)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0197】
No.8・・・設備が空調設備であり、その異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、空調機の出口の温度の監視で(監視説明F8)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明G8)。
・温度・湿度の維持が指標であり(指標説明H8)、
・アクション(1)は、指標に基づき、設備単体でなく、系統内の設備出力の調整を現場の解析・判定ブロックに対して、調整リクエスト要求として実行すること、その実行タイミングは要求の時であり(アクション説明J8、並びにタイミング説明K8)、スター型STATの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)のリクエスト結果に基づき、リモートセンター部から現場利用者に対する通知(設備設定見直し要求)即時実行であり(アクション説明L8、並びにタイミング説明M8)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0198】
No.9・・・設備が空調設備であり、上記とは異なる原因による異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、冷媒残量の監視で(監視説明F9)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G9)。
・正常稼働の状態維持が指標であり(指標説明H9)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御、出力パラメータなどの変更の即時実行であり(アクション説明J9、並びにタイミング説明K9)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、リモートセンター部から現場利用者に対する通知(設備設定見直し要求)の即時実行であり(アクション説明L9、並びにタイミング説明M9)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0199】
No.10・・・設備が空調設備であり、上記とはさらに異なる原因による異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視が、温度変換効率の低下の監視で(監視説明F10)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G10)。
・正常稼働の状態維持が指標であり(指標説明H10)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御、出力アップするためのパラメータなどの変更の即時実行であり(アクション説明J10、並びにタイミング説明K10)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、リモートセンター部から現場利用者に対する通知(設備設定見直し要求)の即時実行であり(アクション説明L10、並びにタイミング説明M10)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0200】
No.11・・・設備が空調設備であり、上記とはさらにまた異なる原因による異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、設備稼働において異常な発熱や振動の監視であり(監視説明F11)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G11)。
・正常稼働の状態維持が指標であり(指標説明H11)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御、停止、或は低負荷モード運転制御の即時実行であり(アクション説明J11,並びにタイミング説明K11)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、動力管理者へのメンテナンス要求通知の即時実行で(アクション説明L11、並びにタイミング説明M11)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0201】
No.12・・・設備が電力設備であり、当該設備が異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、電力の出力低下の監視であり(監視説明F12)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明G12)。
・電力供給の安定が指標であり(指標説明H12)、
・アクション(1)は、指標に基づき、設備単体でなく、系統内の設備出力の調整要求を解析・判定ブロックに対して、調整リクエスト要求して実行することであり(アクション説明J12、並びにタイミング説明L12)、スター型STATの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)のリクエスト結果に基づき、リモートセンター部から現場利用者に対する通知(設備設定見直し要求)の即時行するであり(アクション説明、並びにタイミング説明M12)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0202】
No.13・・・設備が電力設備であり、当該設備が他の要因に基づく異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、負荷の上昇の監視で(監視説明F13)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明G13)。
・系統内の電力使用のバラシングが指標であり(指標説明H13)、
・アクション(1)は、指標に基づき、設備単体でなく、系統内の設備出力の調整要求を解析・判定ブロックに対して、調整リクエスト要求して実行することであり(アクション説明J13、並びにタイミング説明L13)、スター型STATの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)のリクエスト結果に基づき、動力管理者へメンテナンス要求通知の即時実行で(アクション説明L13、並びにタイミング説明M13)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0203】
No.14・・・設備が電力設備であり、当該設備がさらに他の要因に基づく異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、設備稼働において異常な発熱の監視で(監視説明F14)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G14)。
・正常稼働の状態維持が指標であり(指標説明H14)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御、停止、或は低負荷モード運転制御の即時実行で(アクション説明J14、並びにタイミング説明K14)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、動力管理者へのメンテナンス通知の即時実行で(アクション説明L14、並びにタイミング説明M14)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0204】
図13Bを参照して説明する。
No.15・・・設備が水処理設備であり、当該設備が異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、処理品質の監視で(影響説明F15)、影響範囲は、当該設備単体だけでなく同じ系統に属する他の設備(上流レイヤ)にも影響する(影響説明G15)。
・正常稼働の状態維持が指標であり(指標説明H15)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御で、例えば水放出の停止などの制御の即時実行であり(アクション説明J15、並びにタイミング説明K15)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、動力管理者への設備設定の見直し要求の即時実行で(アクション説明L14、並びにタイミング説明M14)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0205】
No.16・・・同じく設備が水処理設備であり、当該設備が他の要因で異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、薬品残量の監視で(監視説明F16)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G16)。
・正常稼働の状態維持が指標であり(指標説明H16)、
・設備に対する制御などのアクション(アクション(1))はなく、アクション(2)は、指標に基づき、動力管理者へ設備設定の見直し要求通知の即時実行で(アクション説明L16、タイミグ説明M16)。人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0206】
No.17・・・同じく設備が水処理設備であり、当該設備がまた他の要因で異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、設備の汚れやポンプ動作などの監視で(監視説明F17)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G17)。
・正常稼働の状態維持が指標であり(指標説明H17)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御で、例えば自動清掃機能や自動復旧プログラムによる制御の即時実行であり、タイミングは即時で(アクション説明J17、並びにタイミング説明K17)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、動力管理者へのメンテンナンス要求通知の即時実行であり(アクション説明L17、並びにタイミング説明M17)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0207】
No.18・・・設備が溶解炉・保持炉であり、当該設備が異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、溶湯温度の監視で(監視説明F18)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明G18)。
・正常時の品質(品質データ)が指標であり(指標説明H18)、
・アクション(1)は、指標に基づく設備内の稼働の制御で、例えば制御データのパラメータ等の変更の即時実行であり(アクション説明J18、並びにタイミング説明K18)、スター型STATの制御モデルからシーケンス型SEQTの制御モデルに切替え実行する。
・アクション(2)は上位レイヤのシステムに品質情報のフィードバック、改善要求であり、タイミングは改善の要求時で(アクション説明L18、並びにタイミング説明M18)、
シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
【0208】
No.19・・・設備が溶解炉・保持炉であり、当該設備が上記と異なる要因で異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、装置の安全装置の監視で(監視説明F19)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G19)。
・安全操業時と同じ操業の維持が指標となり(指標説明H19)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御で、例えば運転停止(起動停止)などの処置の即時実行であり(アクション説明J19、並びにタイミング説明K19)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、現場のユーザへの操作の是正要求通知の即時実行であり(アクション説明L19、並びにタイミング説明M19)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0209】
No.20・・・設備がダイカストであり、当該設備が異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、金型温度の監視で(監視説明F20)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明G20)。
・正常時の品質(品質データ)が指標であり(指標説明H20)、
・アクション(1)は、指標に基づく設備内の稼働の制御で、例えば制御データのパラメータ等の変更の即時実行であり(アクション説明J20、並びにタイミング説明K20)、スター型STATの制御モデルからシーケンス型SEQTの制御モデルに切替え実行する。
・アクション(2)は、上位レイヤのシステムに品質情報のフィードバック、品質改善の要求であり、タイミングは、上記の改善の要求時で(アクション説明L20、並びにタイミング説明M20)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
【0210】
No.21・・・設備がダイカストであり、当該設備が他の要因で異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、ダイカストの所定個所での圧力の監視で(監視説明F21)、影響範囲は、装置単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明)。
・正常時の品質(品質データ)が指標であり(指標説明H21)、
・アクション(1)は、指標に基づく設備内の稼働の制御で、例えば制御データのパラメータ等の変更の即時実行であり(アクション説明J21、並びにタイミング説明K21)、スター型STATの制御モデルからシーケンス型SEQTの制御モデルに切替え実行する。
・アクション(2)は、上位レイヤのシステムに品質情報のフィードバック、品質改善の要求で、そしてそのタイミングは、上記の改善の要求時であり(アクション説明L21、並びにタイミング説明M23)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
【0211】
No.22・・・設備がダイカストであり、当該設備がさらに他の要因で異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、ダイカストにおける注入速度の監視で(監視説明F22)、影響範囲は、当該設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上流レイヤ)にも影響する(影響説明G22)。上流設備における合金の注入速度の制御が必要となる。
・正常時の品質(品質データ)が指標であり(指標説明H22)、
・アクション(1)は、指標に基づく設備内の稼働の制御、例えば制御データのパラメータ等の変更の即時実行であり(アクション説明J22、並びにタイミング説明K22)、スター型STATの制御モデルからシーケンス型SEQTの制御モデルに切替え実行する。
・アクション(2)は、上位レイヤのシステムに品質情報のフィードバック、品質改善の要求で、そしてそのタイミングは、上記の改善の要求時であり(アクション説明L22、並びにタイミング説明M22)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
【0212】
No.23・・・設備がダイカストであり、当該設備がさらにまた他の要因で異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、装置の安全装置の監視で(監視説明F23)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G23)。
・安全操業時と同じ操業の維持が指標であり(指標説明H23)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御で、例えば運転停止(起動停止)などの処置の即時実行であり(アクション説明J23、並びにタイミング説明K23)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、現場のユーザへ操作の是正要求通知の即時実行であり(アクション説明L23、並びにタイミング説明M23)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0213】
No.24・・・設備がX線検査装置あり、当該設備が異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、判定結果の不良率の監視で(監視説明F24)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明G24)。
・安定時と同じ状態の維持が指標であり(指標説明H24)、
・アクション(1)は、指標に基づき、製品の破棄、X線検査装置のデータの不採用・制御及び調整パラメータの見直し要求の即時実行であり(アクション説明J24、並びにタイミング説明K24)、スター型STATの制御モデルからシーケンス型SEQTの制御モデルに切替え実行する。
・アクション(2)は、上位レイヤのシステムに検査品質情報のフィードバック、検査品質改善の要求であり、そのタイミングは、上記の改善の要求時で(アクション説明L24、並びにタイミング説明M24)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
【0214】
No.25・・・同じく設備がX線検査装置あり、当該設備が他の要因で異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、装置の安全装置の監視で(監視説明F25)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G25)。
・安全操業時と同じ操業の維持が指標であり(指標説明H25)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御で、例えば運転停止(起動停止)などの処置の即時実行であり(アクション説明J25、並びにタイミング説明K25)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、現場のユーザへ操作の是正要求通知の即時実行であり(アクション説明L25、並びにタイミング説明M25)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0215】
図13Cに移り説明する。
No.26・・・設備がコンベアであり、当該設備が異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、運搬速度の監視で(監視説明F26)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明G26)。
・生産効率が指標であり(指標説明H26)、
・アクション(1)は、指標に基づき、例えば運搬速度の制御データのパラメータ等の変更の即時実行であり(アクション説明J26、並びにタイミング説明K26)、スター型STATの制御モデルからシーケンス型SEQTの制御モデルに切替え実行する。
・アクション(2)は、設備内のラインや他施設の稼働の調整要求で、そのタイミングは、上記の調整の要求時であり(アクション説明L26、並びにタイミング説明M26)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
【0216】
No.27・・・同じく設備がコンベアであり、当該設備が上記と異なる他の要因で異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、製造(運搬)状態で例えば振動などの異常監視で(監視説明F27)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G27)。
・安全操業時と同じ状態が指標であり(指標説明H27)、
・設備に対する制御などのアクション(アクション(1))はなく、アクション(2)は、指標に基づき、現場のユーザへ操作の是正要求通知の即時実行で(アクション説明L27、並びにタイミング説明M27)。人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0217】
No.28・・・同じく設備がコンベアであり、当該設備が上記と異なるさらに他の要因で異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、コンベアの安全装置の異常監視で(監視説明F28)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響範囲説明G28)、
・指標は、安全操業時と同じ状態が指標である(指標説明H28)。
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御で、例えば運転停止(起動停止)などの処置の即時実行であり(アクション説明J28、並びにタイミング説明K28)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、現場のユーザへ操作の是正要求通知の即時実行であり(アクション説明L28、並びにタイミング説明M28)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0218】
No.29・・・設備がマウンターであり、当該設備が異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、製品の加工数、加工時間などの監視で(監視説明F29)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明G29)。
・設定されている或は予定されている生産効率が指標であり(指標説明H29)、
・アクション(1)は、指標に基づく設備内の稼働の制御で、例えば制御データのパラメータ等の変更の即時実行であり(アクション説明J29、並びにタイミング説明K29)、スター型STATの制御モデルからシーケンス型SEQTの制御モデルに切替え実行する。
・アクション(2)は、設備内のラインや他施設の稼働の調整要求で、そのタイミングは、上記の調整の要求時であり(アクション説明L29、並びにタイミング説明M29)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
【0219】
No.30・・・同じく設備がマウンターであり、当該設備が他の要因で異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、装置の安全装置の監視で(監視説明F30)、影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明G30)。
・安全操業時と同じ操業の維持が指標であり(指標説明H30)、
・アクション(1)は、指標に基づく稼働の制御で、例えば運転停止(起動停止)などの処置の即時実行であり(アクション説明J30、並びにタイミング説明K30)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)の制御と共に、現場のユーザへ操作の是正要求通知の即時実行であり(アクション説明L30、並びにタイミング説明M30)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0220】
No.31・・・設備が検査装置であり、当該設備が異常の場合は、以下のような対応となる。
・状態監視は、例えば製品(設備でもよい)の機能や品質の判定結果・不良率などの監視で(監視説明F31)、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明G31)。
・生産品質の維持が指標であり(指標説明H31)、
・アクション(1)は、指標に基づき、製品の破棄、データの不採用・制御及び調整パラメータの見直し要求の即時実行であり(アクション説明J31、並びにタイミング説明K31)、スター型STATの制御モデルからシーケンス型SEQTの制御モデルに切替え実行する。
・アクション(2)は上位レイヤのシステムに検査品質情報のフィードバック、検査品質改善の要求で、そのタイミングは、上記の改善の要求時であり(アクション説明L31、並びにタイミング説明M31)、シーケンス型SEQTの制御モデルで実行する。
【0221】
上記した中で、緊急度が高い場合、特に、運転(起動)停止が実行される場合がある。この運転(起動)停止が実行される場合は、例えばNo.2、No.4、No.7,No.11,No.14、No.15、No.19,No.23,No.25No.28,No.30に記載したアクション(1)の内容である。特に停止が実行される場合は、その複数の制御対象(装置や機器)に応じて、問題が生じた設備の当該レイヤの装置の停止制御のみで十分な場合や、当該設備とは異なる上流の設備まで停止や制御が必要な場合がある。例えばNo.15のダイカストの説明J15のアクションの場合、上流の設備の合金注入速度の制御或は停止が要求される。
【0222】
つまり、アクションを実行するプログラムは、設備の優先順位を以て「停止」などの制御を実行するように設計されている。この例では、緊急時の影響範囲が監視対象設備単体でなく、監視対象設備と同じ系列に属する他の設備の上流レイヤからの影響があるためである。ここで示した例は一例であり、複合した設備の全体構成(複数レイヤ構造を備える)においても、上位レイヤや下位レイヤ、及び又は上流レイヤや下流レイヤへの影響も考慮システムが構成されている。つまり、いずれから順番に停止を実行していくかのアクションの実行順序は、予め設計要件の中に含まれる。そして、データベースに格納されている緊急時における処理パターンが、最適化アルゴリズム処理器により選択される。なお、これらの処理パターンは、解析・判定ブロックに予め準備されていても良い。
【0223】
その他、アクション順序を考慮する必要がある例として、同じ設備の監視状態において、程度が異なる問題が発生する場合も該当する。本システムはこの程度が異なる問題に対して、問題発生レイヤに応じた回復対策(アクション)を行っている。
【0224】
監視対象が水処理設備の例で詳細を説明する。No.15からNo.17が水処理設備の例である。
【0225】
No.15の例では、処理品質の状態監視で、監視対象と同じ系統に属する他の設備の上位レイヤにも影響する状況であり、指標に基づく稼働制御、例えば放出の停止などのアクション(アクション(1))が実行される。
【0226】
No.16の例では、薬品残量の状態監視で、監視対象設備単体の当該レイヤに直接影響がある状況であり、指標に基づき動力管理者へ設備設定の見直し要求の通知のアクション(アクション(2))が実行される。
【0227】
さらにNo.17の例では、設備の汚れやポンプ動作などが状態監視され、監視対象設備単体の当該レイヤに直接影響がある状況であり、指標に基づき稼働が制御され、例えば、自動清掃機能や自動復旧プログラムによる制御のアクション(アクション(1))が実行される。また、アクション(1)の制御と共に、動力管理者へメンテナンス要求が通知される(アクションクション(2))。
【0228】
上記3つの同じ水処理装置の監視における影響範囲は、No.15は、監視対象と同じ系列に属する他の設備の上位のレイヤへの影響であり、No.16、No.17は、監視対象設備の当該レイヤの影響である。
【0229】
上記の3つが同時に又は時間差(数分程度)を以て発生した場合、システムは上位のレイヤに於いて設定されている対策(アクション)を優先して行う。つまり本システムは、同じ設備に対して問題が発生した場合、影響範囲が上位或は上流のレイヤに及ぶ場合の解決対策を実行する仕組みである。製造ラインを構成する複数の製造設備においても、製品製造工程の上流の制御が優先されるように構築されている。これにより、事故や被害の拡散を抑制することができる。また、複数設備を駆動するための電力供給設備は、上流側の設備から順次電力供給の停止を行うケースが多くなる。
【0230】
図14A図14Bは、本システムにおける状態レベル判定において、緊急度が中レベルであること意味する「中B02」が判断されたときの各設備の状況、また当該状況に対する本システムによるアクションやそのタイミングなどを表としてまとめている。つまり、「中B02」の時は、各設備とその周囲でどのような影響(トリガ)が発生し、このトリガに対してアクションとしてどのようなシステム応答があるのかをまとめたものである。
【0231】
ここで、緊急度が中レベルとは、例えば、系列を同じくする複数の設備のパフォーマンスが系列全体として低下している場合や、設定されている最適化運転状態と乖離している場合など、緊急度は高めではあるものの、安全面への影響が比較的低い場合が該当する。
【0232】
図において、行の方向へ、対象設備E00、E01、これら設備E00、E01に対する状態監視内容E02、異常判定時の影響範囲E03、設備に対する指標E04を示している。更に設備が異常時となった場合のシステムの第1アクションをアクション(1)E05として示し、アクション(1)の実行タイミングE06、第2のアクションをアクション(2)E07と示し、アクション(2)の実行タイミングE08を、それぞれ明細書内の例えば説明N1、説明P1、説明Q1、説明R1、説明S1、説明T1、説明U1などで記述している。また、第1アクション、第2アクションを実行する際に適用する、当該設備の異常発生に対するシステムの各種の振る舞いや、対策を説明した制御モデルの型を制御モデルE06´、制御モデルE08´として示している。処理モデルは3つあり、スター型をSTRT、シーケンス型をSEQT,人機械協働型をMMCTで示している。
図左の列には、列方向に番号を付して、番号の右側に各種の設備を示している。
緊急度が中レベルB02の判定は、設備のパフォーマンスの低下・個別設備の最適運転状態からの乖離C02が判断要素となる。
【0233】
尚、以下に説明の各項目の処理は、上記緊急度が高レベルの場合の説明と同じ処理部で実行される。
【0234】
No.1・・・設備がコンプレッサであり、当該設備の状態(緊急度の中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、高圧空気総出力の監視であり(監視説明N1)、監視結果の影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明P1)。
・生産に必要な高圧量を供給することが指標であり(指標説明Q1)、
・アクション(1)は、監視による設備状態および指標に基づき、監視対象設備と同じ系統に属する上位動力計画の見直し要求、そのタイミングは、上記の要求時であり(アクション説明R1、並びにタイミング説明S1)、スター型STATの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、動力管理者への通知で、このときは上位へのリクエスト内容が承認されている状態で、通知のタイミングは、即日で(アクション説明T1、並びにタイミング説明U1)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0235】
No.2・・・同じく設備がコンプレッサであり、この設備が上記とは異なる状態である場合、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、各コンプレッサの稼働状態、負荷状態が監視されている場合であり(監視説明N2)、監視結果の影響範囲は、監視対象設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明P2)。
・設備のバンランシングの維持が指標であり(指標説明Q2)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づき、設備単体でなく、系統内の設備の運転計画を見直して現場へフィードバック、最適化運転を目指すなどの処置が即日または月単位など計画的な実行で(アクション説明R2、並びにタイミング説明S2)、スター型STATの制御モデルと、シーケンス型SEQTの制御モデルを併用して実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)での見直し計画の動力管理者へ通知、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T2、並びにタイミング説明U2)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0236】
No.3・・・設備がボイラであり、当該設備の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、総温水出力の監視で(監視説明N3)、監視結果による、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明P3)。
・生産に必要な温水の供給量が指標であり(指標説明Q3)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づく、上位動力計画の見直し要求、そのタイミングは、上記の要求時であり(アクション説明R3、並びにタイミング説明S3)、スター型STATの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)で見直した上位動力計画の動力管理者へ通知で、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T3、並びにタイミング説明U1)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0237】
No.4・・・設備が冷凍機であり、当該設備の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、総冷水出力の監視で(監視説明N4)、監視結果の影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明P4)。
・生産に必要な冷水の供給量が指標であり(指標説明Q4)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づく、上位動力計画の見直し要求、そのタイミングは、上記の要求時であり(アクション説明R4、並びにタイミング説明S4)、スター型STATの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)で見直した上位動力計画の動力管理者への通知、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T4、並びにタイミング説明U1)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0238】
No.5・・・同じく設備が冷凍機であり、当該設備の他の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、熱源発熱量の監視であり(監視説明N5)。監視結果の影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明P5)。
・最適運転時の状態の維持が指標であり(指標説明Q5)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づき、設備単体でなく、系統内の設備の運転計画を見直して現場へフィードバック、最適化運転を目指すなどの処置の即日または月単位など計画的実行で(アクション説明R5、並びにタイミング説明S5)、スター型STATの制御モデル、シーケンス型SEQTの制御モデルを併用して実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)での見直し計画の動力管理者への通知、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行で(アクション説明T5、並びにタイミング説明U5)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0239】
No.6・・・同じく設備が冷凍機であり、当該設備のさらに他の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、各冷凍機の稼働状態とその負荷の監視で(監視説明N6)、監視結果の影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明P6)。
・設備のバランシングが良好な状態の維持が指標であり(指標説明Q6)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づき、設備単体でなく、系統内の設備の運転計画を見直して現場へフィードバック、最適化運転を目指すなどの処置の即日または月単位など計画的実行であり(アクション説明R6、並びにタイミング説明S6)、スター型STATの制御モデル、シーケンス型SEQTの制御モデルを併用して実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)での見直し計画の動力管理者への通知、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T6、並びにタイミング説明U6)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0240】
No.7・・・設備が電力設備であり、当該設備の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、電力総出力で(監視説明N7)、監視結果の影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明P7)。
・生産に必要な温水の供給量が指標であり(指標説明Q7)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づく動力計画の見直し要求、そのタイミングは、上記の要求時であり(アクション説明R7、並びにタイミング説明S7)、スター型STATの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)で見直した動力計画の動力管理者への即日通知であり(アクション説明T7、並びにタイミング説明U7)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0241】
No.8・・・同じく設備が電力設備であり、当該設備の他の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、各分電盤、幹線設備の稼働状況、設備の出力負荷などの監視で(監視説明N8)、監視結果の影響範囲は、監視対象の設備単体(当該レイヤ)に直接影響する(影響説明P8)。
・設備のバランシングが良好な状態の維持が指標であり(指標の説明Q8)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づき、設備単体でなく、系統内の設備の運転計画を見直して現場へフィードバック、最適化運転を目指すなどの処置の即日または月単位など計画的実行であり(アクション説明R8、並びにタイミング説明S8)、スター型STATの制御モデル、シーケンス型SEQTの制御モデルを併用して実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)での見直し計画の動力管理者への通知、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T8、並びにタイミング説明U8)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0242】
No.9・・・設備がダイカストであり、当該設備の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、ダイカスト生産ラインの生産高が監視されている(監視説明N9)。監視結果の影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明P9)。
・生産高KPIが指標であり(指標説明Q9)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づく、ライン内生産計画、設備稼働計画を見直し現場へフィードバック、最適化運転を目指すなどの処置の即日または月単位など計画的実行であり(アクション説明R9、並びにタイミング説明S9)、スター型STATの制御モデル、シーケンス型SEQTの制御モデルを併用して実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)での見直し計画の生産管理者への通知、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T9、並びにタイミング説明U8)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0243】
No.10・・・同じく設備がダイカストであり、当該設備の他の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、ダイカスト生産ラインの設備の稼働率の監視で(監視説明N10)、監視結果の影響範囲は、監視対象の設備単体(該当レイヤ)に直接影響する(監視説明P7)。
・設備稼働率KPIが指標であり(指標説明Q10)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づく、ライン内生産計画、設備稼働計画を見直し現場へフィードバック、最適化運転を目指すなどの処置の即日または月単位など計画的実行であり(アクション説明R10、並びにタイミング説明S10)、スター型STATの制御モデル、シーケンス型SEQTの制御モデルを併用して実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)での見直し計画の生産管理者への通知、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T10、並びにタイミング説明U10)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0244】
No.11・・・同じく設備がダイカストであり、当該設備のさらに他の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、ダイカスト生産ラインでの不良率の監視で(監視説明N11)、監視結果の影響範囲は、監視対象の設備単体(該当レイヤ)に直接影響する(影響説明P11)。
・不良率KPIが指標であり(指標説明Q11)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づく、ライン内設備のパラメータを再計算、現場へフィードバック、最適化運転を目指すなどの処置の即日または月単など計画的実行であり(アクション説明R11、並びにタイミング説明S11)、スター型STATの制御モデル、シーケンス型SEQTの制御モデルを併用して実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)で見直したパラメータの生産管理者への通知、見直しパラメータ値承認後、見直しパラメータ値に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T11、並びにタイミング説明U11)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0245】
No.12・・・同じく設備がダイカストであり、当該設備のさらにまた他の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、ダイカスト生産ラインで電力使用量の監視で(監視説明N12)、監視結果の影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)に影響する(影響説明P12)。
・省エネKPIが指標であり(指標説明Q12)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づく、生産計画見直し、動力計画見直しの上位に対する要求であり(アクション説明R12、並びにタイミング説明S12)、スター型STATの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)での見直し計画の動力管理者への通知し、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T12、並びにタイミング説明U12)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0246】
No.13・・・設備が基板実装生産ラインであり、当該設備の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、基板実装生産ラインでの生産高の監視で(監視説明N13)、監視結果の影響範囲は、生産高KPIに影響する(影響説明P13)。
・生産高KPIが指標であり(指標説明Q13)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づく、ライン内生産計画、設備稼働計画を見直し現場へフィードバック、最適化運転を目指すなどの処置を即日または月単位など計画的実行であり(アクション説明R13、並びにタイミング説明S13)、スター型STATの制御モデル、シーケンス型SEQTの制御モデルを併用して実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)での見直し計画の生産管理者への通知、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T13、並びにタイミング説明U13)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0247】
No.14・・・設備が基板実装生産ラインであり、当該設備の他の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、基板実装生産ラインでの設備稼働率の監視で(監視説明N14)、監視結果の影響範囲は、設備稼働率KPIに影響する(影響説明P14)。
・設備稼働率KPIが指標であり(指標説明Q14)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づく、ライン内生産計画、設備稼働計画を見直し現場へフィードバック、最適化運転を目指すなどの処置の即日または月単位など計画的実行であり(アクション説明R14、並びにタイミング説明S14)、スター型STATの制御モデル、シーケンス型SEQTの制御モデルを併用して実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)での見直し計画の生産管理者への通知、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T14、並びにタイミング説明U14)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0248】
No.15・・・設備が基板実装生産ラインであり、当該設備のさらに他の状態(緊急度の中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、基板実装生産ラインでの不良率の監視で(監視説明N15)、監視結果の影響範囲は、監視対象の設備単体(該当レイヤ)に直接影響する(影響説明P15)。
・不良率KPIが指標であり(指標説明Q15)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づき、ライン内設備のパラメータを再計算、現場へフィードバック、最適化運転を目指すなどの処置の即日または月単位など計画的実行であり(アクション説明R15、並びにタイミング説明S15)、スター型STATの制御モデル、シーケンス型SEQTの制御モデルを併用して実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)で見直したパラメータの生産管理者への通知、見直しパラメータ値承認後、見直しパラメータ値に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T15、並びにタイミング説明U15)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0249】
No.16・・・設備が基板実装生産ラインであり、当該設備のさらにまた他の状態(緊急度中レベル)と、その状態が及ぼす影響、アクション等は以下のような対応となる。
・状態監視は、基板実装生産ラインで電力使用量の監視で(監視説明N16)、監視結果に基づく、影響範囲は、設備単体でなく同じ系統に属する他の設備(上位レイヤ)にも影響する(影響説明P12)。
・省エネKPIが指標であり(指標説明Q12)、
・アクション(1)は、監視結果および指標に基づく、生産計画見直し、動力計画見直しの上位に対する要求で、この要求時が要求タイミングであり(アクション説明R16、並びにタイミング説明S16)、スター型STATの制御モデルで実行する。
・アクション(2)は、アクション(1)での見直し計画の動力管理者への通知、見直し計画承認後、見直し計画に基づく制御の即日実行であり(アクション説明T16、並びにタイミング説明U16)、人機械協働型MMCTの制御モデルで実行する。
【0250】
図15は、本システムにおける状態レベル判定において、緊急度が極めて低いレベルであること意味する「低B03」(不急状態)が判断されたときの設備の状況、また当該状況に対する本システムによるアクションやそのタイミングなどを表としてまとめている。
ここで、緊急度が極めて低いレベルとは、例えば工場全体など、複数の設備を有する複数の系列で構成される全体設備の運転状態が設定されている最適運転と乖離している場合など、緊急性を要しないが最適運転などの観点より対応を要する場合が該当する。
【0251】
図において、行の方向へ、対象設備E00、E01、これら設備E00、E01に対する状態監視内容E02、設備に対する指標E04を示している。更に設備に対するシステムアクションE05アクションの実行タイミングE06、アクション実行の際に適用する、当該設備に対するシステムの各種の振る舞いや、対策を説明した制御モデルの型を制御モデルE06´を、それぞれ明細書内の例えば説明V1、説明W1、説明X1、説明Y1で記述している。図左の列には、列方向に番号を付して、番号の右側に上記の説明を明細書内で記述する。
尚、以下に説明の各項目の処理は、上記緊急度が高レベル、中レベルの場合の説明と同じ処理部で実行される。
【0252】
No.1・・・設備は全社設備の状態が対象となる。
状態監視は、全社の生産性・生産高の監視で(監視説明V1)、指標は、生産性・生産高の向上であり、目標データが存在する(指標説明W1)。アクションは、生産計画の策定があり、ここでは経営判断の支援も取り込まれる。アクションの実行タイミングは、中長期のプランで実施され(アクション説明X1、並びにタイミング説明Y1)、スター型STATの制御モデルと人機械協働型MMCTの制御モデルを併用して実行する。
【0253】
No.2・・・設備は全社設備の状態が対象となる。状態監視は、全社のエネルギー利用状況、Co2排出量などの監視で(監視説明V2)、指標は、全社のエネルギー利用、Co2排出量の削減である(指標説明W2)。アクションは、省エネ計画の策定があり、ここでも経営判断の支援も取り込まれる。アクションの実行タイミングは、中長期のプランで実施され(アクション説明X2、並びにタイミング説明Y2)、スター型STATの制御モデルと人機械協働型MMCTの制御モデルを併用して実施する。
【0254】
なお上記の説明において、「緊急」を用いたが「緊張」或は「不穏」と称してもよい、また「不急」を用いたが「弛緩」或は「平穏」を用いてもよい。
【0255】
図16は、本システムの、上流、下流、上位レイヤ、下位レイヤの概念を示している。図面上のX軸方向の左側が上流であり、右側が下流である。また本システムでは、物理空間と、デジタル空間の方向、つまりY軸の方向が定義され、図面上の上側が上位レイヤであり、下側が下位レイヤとしている。さらに、X軸、Y軸と直交する方向Z軸が定義されている。
【0256】
物理レイヤにおいて、上流には、資源レイヤ2001dが存在する。資源レイヤとして例えば、エネルギー資源(石油、石炭、ガス、・・等)、環境資源(水、空気、酸素・・・等)が存在する。
【0257】
資源レイヤ2001dの下流には、動力設備2001e,環境設備2001fが存在する。動力設備2001e,環境設備2001fの下流には、各種の設備1001が配備されており、各設備1001は、動力設備2001e,環境設備2001fから送られてくる動力エネルギー、環境制御エネルギーを使用する。
【0258】
各設備の解析・判定ブロックからの各種情報(設備状態データ、解析・判定ブロックのジョブ情報等)は、ネットワークを介して最適化アルゴリズム処理器6000に送信されるものがある。
【0259】
最適化アルゴリズム処理器6000とリモートセンター部5001とは、協働してリクエスト制御データを生成して、各解析・判定ブロックに送信する。したがって最適化アルゴリズム処理器6000とリモートセンター部5001とは、各解析・判定ブロックの例えばIPアドレス(送り先情報)などを管理している。
【0260】
また、最適化アルゴリズム処理器6000とリモートセンター部5001とは、解析・判定ブロックから送られてきた各種情報に応じて、先に図9Fで説明したテーブルから任意に制御タイプの制御データを読み出して、所望の解析・判定ブロックのデータベース部に送信することができる。
【0261】
また最適化アルゴリズム処理器6000は、3次元的(上流、下流、上位レイヤ、下位レイヤ)に各設備の解析・判定ブロックのアドレスを把握している。このため、一部の製造ラインにおいて材料の不足が生じるような場合、他の製造ラインに代替材料がある場合、このことをリモートセンター部5001に通知することができる。
【0262】
また、先に説明したように本システムでは、状態データの緊急・不急のレベルに応じて、影響範囲(当該レイヤで問題対応が可能であること、或は上流及び又は下流への影響があること、上位レイヤへの通知が必要であることなど)を判断することができ、上位レイヤへの情報通知や上位レイヤへの制御も含めた問題対応を行うことができる。
【0263】
制御内容によっては、一回の状態データの収集とその解析結果とに応じて、一回のリクエスト制御データを問題個所にフィードバックするのではなく、フィードバック情報を変更しながら複数回繰り返すことがある。
図9Aで説明した緊急・不急の判定機能は、各設備の解析・判定ブロックに含まれている。この判定機能の初期設定は、各解析・判定ブロックが対応する具体的な設備に応じて設定されている。例えば、初期設定は、各設備が正常に動作することを前提として設定されている。またデジタル空間上の各解析・判定ブロックにおける状態データは、物理空間の上位レイヤと同様に初期設定されている。
図9Aから図15の説明において表現した緊急・不急の判断(判定)機能は、各設備の解析・判定ブロックが装備している。
【0264】
設備が稼働を開始した後、解析・判定ブロックが状態レベルを判定し、緊急を検出した場合は、この解析・判定ブロックは、該当レイヤ(下位レイヤ)と上位レイヤ(デジタル空間)に制御データを発生させるためのアクション(通知)を行うことになる。
【0265】
図17Aは、工業製品の製造処理において、複数の処理工程が時間経過に沿って行われて実行される様子を示している。各工程には、解析・判定ブロックを含む設備が存在する。ここでは、複数の設備の配列を分かり易くするために、図面を簡素化して示している。
【0266】
下位レイヤ9001には、設備2001d、2001e、2001fをまとめて示している。さらに下位レイヤ9001には、複数の製造装置1001a、製造装置1001b、・・・装置1001nを示している。各設備100a、設備100b、・・・設備100nは、それぞれ解析・判定ブロックを備える。
【0267】
ここで、本システムでは、工業製品を製造処理する複数の処理工程において、先の工程で処理する設備を上流の設備とし、後の工程で処理する設備を下流の設備とすることで、複数の工程を上流と下流とで区別している。
【0268】
上位レイヤ9002は、最適アルゴリズム処理器6000、リクエスト制御データ生成部5002を含む。上位レイヤ9002は、下位レイヤ9001からの情報を解析し、下位レイヤの適切な工程の設備にフィードバック(リクエスト制御データ)を与える。
【0269】
リクエスト制御データは、予め設定されている各設備に適切なタイプ(シーケンス型SEQTのプログラム、スター型STATのプログラム、人機械協働型MMCTのプログラム)の制御データを与える。
【0270】
図17Aの一例は、上流の例えば動力設備2001において、状態レベルとして緊急が検出された様子を示している。この場合の緊急情報は、下位(当該)レイヤ9001の解析・判定ブロックが応答(ST1)すると共に、上位レイヤの解析・判定ブロックも応答(ST2)する。
【0271】
例えば緊急情報が、水或や薬剤の欠乏であったとすると、下位レイヤの上流では、水処理装置における水源確保又は応急処置、薬剤処理装置に対する薬品補充などが行われ、下位レイヤの下流の設備に対して、稼働停止などの指令(ST3・・・STn)がフィードバック(通知)される。そして、最後に、下流の各設備に対して電気系統に関する指令(Ste)がフィードバック(通知)される。下流装置の停止状態を電気的な制御で行うため電気系統の指令(STe)を最後としている。
【0272】
図17Bは、下流の設備1000を形成している装置2a、2b、2cにおいて、例えば最後の装置2cの状態レベルの判定の結果、緊急が検出された様子を示している。
【0273】
例えば緊急情報が、薬剤の塗布不足により接着或は結合強度が不十分と言う検出に基づいているものとする。
【0274】
この場合の緊急情報に対しては、下位レイヤ9001の解析・判定ブロックが最初に応答(ST1)すると共に、上位レイヤの解析・判定ブロックも応答(ST2、ST3、ST4、ST5の順序の応答)を行う。
【0275】
即ち、該当レイヤの装置2cが稼働停止されるとともに、上位レイヤ9002を介して、設備2001における薬剤供給設備、並びに装置2aの洗浄機能、さらに次の装置2bの薬剤塗布機能に対しても稼働停止処理が実行される。そして、最後に、下流の各装置に対して電気系統に関する指令(Ste)がフィードバック(通知)される。このように下流装置の停止状態を電気的な制御で行うため電気系統の指令(STe)を最後としている。
【0276】
<上記したシステムは以下のような特徴を含むものである>
A1)処理モデルを利用して監視結果に基づき制御実行・リクエスト指示を行う。即ち、複数の監視対象1000、2000の状態を遠隔監視するリモートセンター部5001を備え、監視条件に基づき状態レベルを判定する状態レベル判定手段3005、4005備える。前記状態レベル判定手段3005,4005で異常判定の場合、他の前記監視対象への影響範囲、監視対象種別、指標の何れかと状態レベルの組み合わせに基づき、該当の前記監視対象に対して制御コマンドまたは制御リクエストを通知する自動制御部3006、4006とを備える。また前記制御コマンドまたは前記制御リクエストに対応する処理パターンを定義した処理モデルを格納する記憶手段DB1、DB2を備える。そして、前記自動制御部3006、4006から通知した前記制御コマンドまたは前記制御リクエストに対応する前記処理モデルに従って前記監視対象をコントロール、又は状態レベル判定、又は停止処理をすることを特徴とする遠隔監視制御システムである。
【0277】
A2)本システムは、監視結果に基づき処理モデル(実行処理)を動的に変更することができる、即ち、上記A1)のシステムにおいて、前記リモートセンター部5001による監視対象に対する監視を繰り返し実行し、監視結果に応じて、前記自動制御部3006、4006より通知する前記制御コマンドまたは前記制御リクエストおよび前記処理モデルを動的に変化させることを特徴とする。
【0278】
A3)本システムは、3つの処理モデルを有する、即ち上記A1)又はA2)のシステムにおいて、前記処理モデルは、所定の処理を順次実行するシーケンス処理モデル、複数の監視対象を対象に所定の処理を実行する複合処理モデル、人の支援を通して監視対象で所定の処理を実行するマンマシン処理モデルを含むことを特徴とする。
【0279】
B1)また本システムは、最適化アルゴリズム器を備え、最適な制御を行う。即ち、設備1000,2000の稼働状態に応じた最適な動作制御を行うシステムであって、前記設備を監視し稼働状況を設備状態データとして常時出力する設備状態検出部1001,2002と、前記稼働状況をモニタリングしリモートから前記設備に対してリモート制御を行うリモートセンター部5001と、を備える。さらに、前記設備状態データを前記リモートセンター部5001に送信する設備状態データ送信部1003、2003と、前記設備状態データを解析する設備状態データ解析部3002,4002とを備える。そして前記リモートセンター部5001は、前記設備状態データ解析部3002,4002の結果に基づいて、前記設備(装置や機能を含む)に最適なリクエスト制御データを作成するリクエスト制御データ生成部5002を備え、
前記リクエスト制御データを受信した前記設備は制御結果をレスポンスデータとしてリモートセンター部に送信するレスポンスデータ送信部1005,2005を備える、遠隔監視制御システムである。
【0280】
B2)また本システムはレイヤの概念を含むもので、上記B1)において、前記設備1000,2000及びリモートセンター部5001は2以上のレイヤからなる。
【0281】
B3)レイヤを含む場合、B2)の設備(下位装置)と上位装置とのデータ送信(リクエスト/レスポンス)において、
前記設備1000は前記レイヤのうち上位レイヤからのリクエスト制御データを受信し、上位レイヤにレスポンスデータを送信する。
【0282】
B4)本システムは、緊急度判定機能をもつ、即ち、上記B1)乃至B3)のいずれかにおいて、前記設備状態データ解析部3002、4002と前記状態レベル判定手段3005、4005は、前記設備状態データに基づき対応すべき緊急度合いである緊急度を決定する。
【0283】
B5)上記B4)のシステムは緊急度に応じた制御処理を実行するもので、前記設備状態データ解析部を全てのレイヤ及び設備に備え、前記緊急度に基づき、緊急度が既定の閾値以上の場合は同じ下位レイヤで制御を実行し、緊急度が既定の閾値以下の不急側の場合は、上位レイヤからの前記リクエスト制御データの受信を待ちリクエストに応じた処理を行う。
【0284】
B6)上記したリクエスト制御データは3つのモデルに対応しており、前記リクエスト制御データは、シーケンス処理を行うシーケンス型と、他のノードと連携しながら処理を行うスター型、および人と機械が協働して処理を行うMM協働型の制御パターンモデルを有する。
【0285】
B7)上記したシステムは、制御処理を動的に変更する具体的な仕組み(リクエスト/レスポンス)を備えるものであり、前記リクエスト制御データ生成部5002は、前記レスポンスデータに基づき次のリクエスト制御データを生成する。
【0286】
B8)上記のリクエスト制御データ生成のタイミングは、設備から収集したデータに基づくものであり、前記リクエスト制御データ生成部は、複数の前記設備からの前記設備監視データに基づきリクエスト制御データを生成する。
【0287】
B9)上記リクエスト制御データ生成のタイミングはKPIに基づくものであり、前記リクエスト制御データ生成部は、前記設備または設備系が有するKPIに基づきリクエスト制御データを生成する。
【0288】
B10)製造設備と動力設備による判断分岐を行うものであり、
前記設備として、製造設備と動力設備が存在し、前記状態レベル判定部の判定に基づいて前記リクエスト制御データを生成する場合、前記動力設備を上流とし、製造設備を下流として、緊急時の判定では、前記上流を優先して制御し、不急時の判定では前記下流の制御を優先することができる。
【0289】
B11)マニュアル操作自動化装置との連携(現場での画面モニタリング)が可能であり、マニュアル操作が可能な特定の設備に対しては、前記リクエスト制御データ生成部の出力はマニュアル操作自動化装置を介して前記リクエスト制御データに基づく制御を行うことができる。
【0290】
B12)上記システムは学習機能をもつことができるもので、前記リモートセンター部と設備との間に、最適化アルゴリズム処理器6000が配置されており、前記最適化アルゴリズム処理器は、少なくとも前記設備状態データと、前記設リクエスト制御データと、前記リレスポンスデータとを管理しており、リクエスト制御データに対する前記リレスポンスデータの変化を蓄積して相関をとり、次の前記リクエスト制御データ生成のための学習機能を備える。
【0291】
C1)さらに、本発明のシステムは複数の設備のリモート監視を行うシステムを提供するもので、前記複数の設備から設備状態データを取得する取得部と、前記設備状態データ、および前記設備を管理するための設備管理データに基づいて、設備が異常か否かを判定する判定部と、
前記判定部により異常と判定された設備の設備状態データ、設備管理データおよび当該設備ごとの緊急度(優先度、重要度)に基づいて、当該設備に対する異常時処理を行う遠隔監視制御システムと言える。
【0292】
C2)上記遠隔監視制御システムは、制御の終了タイミグを示す場合、設備と緊急度と指標(終了基準)とを含むデータを備え、前記指標に基づいて、前記異常時の処理を終了する制御システムであると言える。
【0293】
C3)また上記システムは処理の優先度付けを可能とするもので、異常処理が処理途中の場合に、当該異常より緊急度が高い異常が発生した場合に、当該異常処理を停止するか否かを判定する手段を含んでもよい。
【0294】
C4)処理の優先度付けとしては、次のパターンもある、即ち、前記設備管理データには、影響範囲を含み、前記設備に対する異常処理を実行する際に、当該設備における影響範囲に基づく処理も実行し、前記影響範囲に基づく処理は、前記影響範囲より緊急度が高い処理がない場合に実行されるものである。
【0295】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また、複数の実施形態を組み合わせてもよく、この組み合わせで構成される実施例も発明の範疇である。
【0296】
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0297】
1001,2001・・・・設備、1002、2002・・・設備状態検出部、1003、2003・・・設備状態データ送信部、1004、2004・・・受信部、1005、2005・・・レスポンスデータ送信部、NET・・・ネットワーク、3001、4001・・・エッジ装置、3002、4002・・・設備状態データ解析部、3005、4005・・・状態レベル判定部、3006,4006・・・自動制御部、5002・・・リクエスト制御データ生成部、6000・・・最適化アルゴリズム処理器、3011、4011・・・モニタ装置。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B