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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125738
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】端子およびコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/55 20110101AFI20240911BHJP
   H01R 12/72 20110101ALI20240911BHJP
【FI】
H01R12/55
H01R12/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033760
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 正訓
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB20
5E223BA07
5E223BA08
5E223BA27
5E223BA28
5E223BB12
5E223CB07
5E223CB22
5E223CB29
5E223CB31
5E223CB38
5E223CB63
5E223CD01
5E223CD02
5E223CD12
5E223DA05
5E223DB01
5E223DB09
5E223DB21
5E223DB22
5E223DB25
5E223EA03
(57)【要約】
【課題】基板に設けられた接点にスライドして取り付けられる際に損傷しにくい端子およびコネクタを提供する。
【解決手段】基板300に設置される端子10であって、接点部11と、梁状の接触ばね部12と、梁状の接触防止ばね部13と、を備える。接点部11は、基板300の一面に形成された接点310に、物理的に接触することにより該接点310に電気的に接続される。接触ばね部12は、接点部11を支持し、基板300の一面に沿った方向に延在して配置可能で、接点部11を接点310に押し付けて接触させる。接触防止ばね部13は、接触ばね部12に係合する係合部14と、基板300の一面に向けて突出して形成された突出部16と、を有し、突出部16が基板300の表面から離れる方向に押圧されると撓み、係合部14を介して、接点部11が基板300の一面から離れる方向に接触ばね部12を変形させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設置される端子であって、
前記基板の一面に形成された接点に、物理的に接触することにより該接点に電気的に接続される接点部と、
前記接点部を支持し、前記基板の一面に沿った方向に延在して配置可能で、前記接点部を前記接点に押し付けて接触させる梁状の接触ばね部と、
前記接触ばね部に係合する係合部と、前記基板の一面に向けて突出して形成された突出部と、を有し、前記突出部が前記基板の表面から離れる方向に押圧されると撓み、前記係合部を介して、前記接点部が前記基板の一面から離れる方向に前記接触ばね部を変形させる梁状の接触防止ばね部と、
を備える端子。
【請求項2】
基板に設置される端子であって、
前記基板の一面に形成された接点に、物理的に接触することにより該接点に電気的に接続される接点部と、
前記接点部を支持し、前記基板の一面に沿った方向に延在して配置可能で、前記接点部を前記接点に押し付けて接触させる梁状の接触ばね部と、
前記接触ばね部における、前記接点部に対して、前記接触ばね部が延在する方向と前記基板の一面に垂直な方向とに直交する方向に離れた位置であって、前記接触ばね部に前記基板の一面に向けて突出して形成され、前記基板の一面から力を受けると、前記接触ばね部を撓ませて前記接点部を前記基板の一面から離れる方向に変位させる突出部と、
を備える端子。
【請求項3】
前記突出部が前記基板の一面に当接することにより押圧されて前記接点部が前記基板の一面から離間した状態で、前記接点部が前記接点に対向する位置までスライドされて、前記突出部が前記基板に形成された穴に落ち込むことで、前記接点部が前記基板の一面に近づく方向に変位して前記接点に接触する、
請求項1または2に記載の端子。
【請求項4】
前記端子が前記基板の一面に沿ってスライドされて、前記接点部が前記接点に対向する位置に配置されるまで、前記接点部が前記基板の一面と非接触状態になるように、前記接触ばね部は、前記突出部の変位に連動して前記基板の一面から離れる方向に変位する、
請求項1または2に記載の端子。
【請求項5】
前記突出部は、前記接触防止ばね部における、前記接点部に対して、前記接触ばね部が延在する方向と前記基板の一面に垂直な方向とに直交する方向に離れた位置に形成される、
請求項1に記載の端子。
【請求項6】
前記突出部は、前記接触ばね部の自由端部に形成される、
請求項2に記載の端子。
【請求項7】
請求項1または2に記載の端子と、
前記端子を収容するハウジングと、
を備える、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子およびコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板を含む基板の端部に設けられた接点に直接接触して電気的に接続される端子が知られている。
【0003】
特許文献1は、底壁の両側縁から左右一対の側壁を立ち上げ、底壁の前端から弾性接触片を斜め後上方へ延出させ、その弾性接触片における接触相手との接触部を側壁よりも上方へ突出させてなり、弾性接触片が斜め下後方へ向かって弾性撓みする端子金具を開示する。この端子金具は、プリント基板に取り付けられる際に、プリント基板の接点まで弾性接触片がプリント基板の表面を摺動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-007369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された端子金具は、プリント基板に取り付けられる際に、弾性接触片がプリント基板に乗り上げるため、プリント基板の角部に接触して、接触した箇所に損傷を生じさせる場合があるという問題がある。また、弾性接触片が接点に接続するまでプリント基板の表面を摺動するため、プリント基板の表面に損傷を生じさせる場合があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述の事情の下になされたものであり、基板に設けられた接点にスライドして取り付けられる際に損傷しにくい端子およびコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る端子は、
基板に設置される端子であって、
前記基板の一面に形成された接点に、物理的に接触することにより該接点に電気的に接続される接点部と、
前記接点部を支持し、前記基板の一面に沿った方向に延在して配置可能で、前記接点部を前記接点に押し付けて接触させる梁状の接触ばね部と、
前記接触ばね部に係合する係合部と、前記基板の一面に向けて突出して形成された突出部と、を有し、前記突出部が前記基板の表面から離れる方向に押圧されると撓み、前記係合部を介して、前記接点部が前記基板の一面から離れる方向に前記接触ばね部を変形させる梁状の接触防止ばね部と、
を備える。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る端子は、
基板に設置される端子であって、
前記基板の一面に形成された接点に、物理的に接触することにより該接点に電気的に接続される接点部と、
前記接点部を支持し、前記基板の一面に沿った方向に延在して配置可能で、前記接点部を前記接点に押し付けて接触させる梁状の接触ばね部と、
前記接触ばね部における、前記接点部に対して、前記接触ばね部が延在する方向と前記基板の一面に垂直な方向とに直交する方向に離れた位置であって、前記接触ばね部に前記基板の一面に向けて突出して形成され、前記基板の一面から力を受けると、前記接触ばね部を撓ませて前記接点部を前記基板の一面から離れる方向に変位させる突出部と、
を備える。
【0009】
前記突出部が前記基板の一面に当接することにより押圧されて前記接点部が前記基板の一面から離間した状態で、前記接点部が前記接点に対向する位置までスライドされて、前記突出部が前記基板に形成された穴に落ち込むことで、前記接点部が前記基板の一面に近づく方向に変位して前記接点に接触するとよい。
【0010】
前記端子が前記基板の一面に沿ってスライドされて、前記接点部が前記接点に対向する位置に配置されるまで、前記接点部が前記基板の一面と非接触状態になるように、前記接触ばね部は、前記突出部の変位に連動して前記基板の一面から離れる方向に変位するとよい。
【0011】
前記突出部は、前記接触防止ばね部における、前記接点部に対して、前記接触ばね部が延在する方向と前記基板の一面に垂直な方向とに直交する方向に離れた位置に形成されるとよい。
【0012】
前記突出部は、前記接触ばね部の自由端部に形成されるとよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るコネクタは、
前記端子と、
前記端子を収容するハウジングと、
を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基板に設けられた接点にスライドして取り付けられる際に損傷しにくい端子およびコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係るコネクタを示す分解図である。
図2】本発明の実施の形態に係る端子を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る端子および基板を示す側面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る端子および基板を示す上面図である。
図5】本発明の実施の形態に係るコネクタを示す断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る端子を示す展開図である。
図7】本発明の実施の形態に係る接続途中の端子および基板を示す側面図である。
図8】本発明の実施の形態に係る接続途中の端子および基板を示す拡大図である。
図9】本発明の実施の形態に係る接続途中の端子および基板を示す上面図である。
図10】本発明の実施の形態に係る接続したコネクタおよび基板を示す断面図である。
図11】本発明の実施の形態に係る接続したコネクタを示す断面斜視図である。
図12】変形例に係る端子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態に係る端子およびコネクタを、図面を参照しながら説明する。
【0017】
本実施の形態に係るコネクタ100は、電気製品または自動車に装備される電子回路の部品として用いられるものであり、図1に示すように、絶縁性のハウジング200と、ハウジング200に配置される端子10と、を備える。コネクタ100は、基板300に設置され、基板300とFPC(Flexible printed circuits)400とを電気的に接続するものである。
【0018】
理解を容易にするために、端子10が基板300に挿入される方向をx軸方向、並んで配置される端子10同士を結ぶ方向をy軸方向、x軸方向およびy軸方向に垂直な方向をz軸方向とする直交座標系を設定し、適宜参照する。
【0019】
端子10は、図2および図3に示すように、金属板などの導電性部材を曲げ加工して形成され、基板300の一面に形成された接点310に電気的に接続される接点部11と、接点部11を支持する梁状の接触ばね部12と、接点部11を基板300の一面から離す方向に変形させる梁状の接触防止ばね部13と、図1に示すハウジング200に取り付ける取付部21と、取付部21に接続された基部22と、FPC400を取り付けるFPC取付部23と、を備える。
【0020】
接点部11は、接触ばね部12により基板300の一面に押し付けられて、接点310に物理的に接触することにより接点310に電気的に接続されるものである。接点部11は、接触ばね部12をy軸方向から見てV字形状にプレス成型することで形成されている。
【0021】
接触ばね部12は、基部22から略+x方向に延伸されて形成されている。これにより、端子10を基板300に取り付けた際に、基板300の一面に沿った方向に(例えば、基板300の一面に平行な方向に)延在して配置可能で、接点部11を接点310に押し付けて接触させるものである。また、接触ばね部12の自由端部には、接触防止ばね部13に設けられた係合部14に係合する被係合部15が設けられている。これにより、接触防止ばね部13が+z方向に撓むと、係合部14が被係合部15を+z方向に押圧し、接触ばね部12も+z方向に撓む。
【0022】
接触防止ばね部13は、基部22から+x方向に延伸されて形成され、接触ばね部12に係合する係合部14と、基板300の一面に向けて突出して形成された突出部16と、を有する。また、突出部16は、接点部11より-z方向に突出している。この構成により、接触防止ばね部13は、突出部16が基板300の表面から離れる+z方向に押圧されると撓み、係合部14を介して、接点部11が基板300の一面から離れる+z方向に接触ばね部12を変形させることができる。また、突出部16が接点部11より-z方向に突出する距離D1は、好ましくは、基板300に形成された接点310の厚みT1より大きい。これにより、端子10が+x方向にスライドされて、接点部11が接点310に接触する位置に移動する際に、接点部11が接点310に接触しないようにできる。また、突出部16には、コネクタ100を基板300に取り付ける際に、突出部16が基板300に乗り上げる乗上部17が設けられている。乗上部17は、端子10が+x方向に移動すると、基板300の端部320に接触して、基板300に乗り上げることが可能な傾斜面を有する。また、突出部16は、図4に示すように、接点部11に対して-y方向に離れた位置に形成されている。端子10が+x方向にスライドされて、接点部11が接点310に接触する位置に移動する際に、突出部16は、接点310からずれた位置にスライドする。このため、突出部16が、接点310を傷つけることを防止できる。
【0023】
取付部21は、図5に示すように、ハウジング200の固定部220に取り付ける部分であり、x軸方向に伸びる梁状の形状を有し、固定部220の内面に食い込む凸部21aを備える。凸部21aは、固定部220の内面に食い込むことで、取付部21が固定部220に固定される。
【0024】
基部22は、取付部21から+z方向に伸びる梁状の形状を有し、接触ばね部12と接触防止ばね部13とを支持するものである。基部22には、接触ばね部12の一端部と接触防止ばね部13の一端部とが接続されている。
【0025】
FPC取付部23は、図1に示すFPC400を取り付ける部分であり、基部22から-x方向に伸びる1対の梁23a、23bと、FPC400を挟持する突起23cと、を有する。1対の梁23a、23bの間には、FPC400が嵌まるスリットが形成される。
【0026】
ハウジング200は、図1および図5に示すように、樹脂などの誘電体から構成され、収容室210と、固定部220と、第1の開口230と、第2の開口240と、を有する。収容室210は、端子10を収容する空間である。固定部220は、端子10の取付部21を固定するものである。端子10の取付部21が固定部220に固定されることで、端子10が固定されてハウジング200に取り付けられる。第1の開口230は、収容室210の一端部に設けられ、接続相手である基板300が挿入される挿入孔である。第2の開口240は、収容室210の他端部に設けられ、接続相手であるFPC400が挿入されるスリット状の挿入孔である。
【0027】
基板300は、図3に示すように、電気回路が形成されたプリント基板であって、接点310と、穴330と、が形成されている。接点310は、銅または銅合金から構成され、接点部11に電気的に接続される部分である。穴330は、接触防止ばね部13に形成された突出部16が落ち込む貫通穴である。突出部16が基板300に形成された穴330に落ち込むことで、接点部11が基板300の一面に近づく-z方向に変位して接点310に接触する。
【0028】
図1に示すFPC400は、薄い樹脂などの誘電体から構成され、曲げることができる構造のプリント基板であり、接点410を備える。
【0029】
つぎに、端子10の作成方法について図面を参照しながら説明する。
【0030】
まず、図6に示すように、金属板をプレス加工により金属片500を作成する。金属片500には、梁状の接触ばね部12と、梁状の接触防止ばね部13と、取付部21と、基部22と、FPC取付部23と、が形成されている。接触ばね部12は、一端部が基部22に接続され、他端部には被係合部15が設けられている。接触防止ばね部13は、一端部が基部22に接続され、他端部には突出部16が形成されている。
【0031】
つぎに、接触ばね部12の中心部分に形成された折り線L1を山折りに折り曲げる。これにより、図2に示す接点部11が形成される。つぎに、接触ばね部12の一端部に形成された折り線L2を谷折りに折り曲げる。
【0032】
つぎに、基部22の一端部に形成された折り線L3を谷折りに90°折り曲げる。これにより、図2に示す端子10が得られる。以上のように、プレス加工とプレス成型により容易に端子10を得ることができる。
【0033】
つぎに、コネクタ100の組立方法について図面を参照しながら説明する。
【0034】
図5に示す、端子10を収容する収容室210と端子10の取付部21を固定する固定部220とが形成されているハウジング200を準備する。つぎに、ハウジング200の収容室210に、上述のように作成した端子10を+x方向に挿入する。これにより、端子10の取付部21が、ハウジング200の固定部220に固定され、コネクタ100が得られる。以上のように、端子10をハウジング200の収容室210に挿入することで容易にコネクタ100を組み立てることができる。
【0035】
つぎに、コネクタ100と基板300とを接続する方法について図面を参照しながら説明する。
【0036】
まず、図5に示すコネクタ100の第1の開口230に、図3に示す基板300を挿入する。このとき、端子10の乗上部17は、図7に示すように、基板300の端部320に接触して、基板300に乗り上げる。これにより、端子10の突出部16が基板300の一面に当接し、接触防止ばね部13は、突出部16が基板300の表面から離れる+z方向に押圧され、撓んで、係合部14を介して接触ばね部12を、接点部11を基板300の一面から離す+z方向に変形させる。これにより、接点部11が基板300と非接触状態になるように、接触ばね部12は突出部16の変位に連動して+z方向に変位する。
【0037】
これにより、端子10が+x方向にスライドされて、端子10に形成された接点部11が接点310に対向する位置に配置されるまで、図8に示すように、接点部11が、基板300に形成された接点310から離間した状態を維持できる。これにより、接点部11と接点310とが接触しないことで、接点部11および接点310を傷つけることを防止できる。また、突出部16は、図9に示すように、接点部11に対して-y方向に離れた位置に形成されている。このため、端子10が+x方向にスライドされて、接点部11が接点310に接触する位置に移動する際に、突出部16は、接点310からずれた位置にスライドする。このため、突出部16が、接点310を傷つけることを防止できる。
【0038】
つぎに、図10に示すように、接点部11が接点310に対向する位置までスライドされると、突出部16が基板300に形成された穴330に落ち込むことで、接点部11が-z方向に変位して接点310に接触する。これにより、端子10は、基板300の接点310に物理的に接触することにより接点310に電気的に接続される。
【0039】
つぎに、図11に示すように、ハウジング200に形成された第2の開口240にFPC400を挿入する。これにより、端子10のFPC取付部23にFPC400が接続される。以上により、コネクタ100は、基板300とFPC400とを電気的に接続することができる。なお、FPC400を先にコネクタ100に取り付け、その後コネクタ100を基板300に取り付けてもよい。
【0040】
上記構成を有するコネクタ100および端子10によれば、突出部16が+z方向に押圧されると、接点部11を基板300から離す+z方向に変形させる梁状の接触防止ばね部13を備えることで、基板300に設けられた接点310にスライドして取り付けられる際に、接点部11および接点310を損傷することを防止できる。詳細には、接触ばね部12は、撓んで、突出部16の変位に連動して基板300から離れる方向に変位することで、端子10が+x方向にスライドされて、接点部11が接点310に対向する位置に配置されるまで、接点部11が基板300と非接触状態になることで、接点部11および接点310を損傷することを防止できる。また、突出部16は、接点部11に対して-y方向に離れた位置に形成されているため、端子10が+x方向にスライドされて、接点部11が接点310に接触する位置に移動する際に、突出部16は、接点310からずれた位置にスライドする。このため、突出部16が、接点310を傷つけることを防止できる。また、接点部11が接点310に対向する位置までスライドされて、突出部16が基板300に形成された穴330に落ち込むことで、接点部11が-z方向に変位して接点310に接触する。これにより、端子10は、基板300の接点310に物理的に接触することにより接点310に電気的に接続される。これに対して、接触防止ばね部13を備えないとすると、接点部11が基板300の端部320に接触することにより、接点部11および基板300に損傷を生じさせる虞がある。また、接点部11が基板300を削ることにより、基板300から削れカスが発生し、その削れカスが接点部11と接点310との間に付着し、導通不具合が発生する虞がある。
【0041】
(変形例)
上述の実施の形態においては、端子10が突出部16を有する接触防止ばね部13を備える例について説明したが、端子10は、少なくとも突出部16を備えればよく、接触防止ばね部13を備えなくてもよい。例えば、端子10’は、図12に示すように、接点部11と、梁状の接触ばね部12と、接点部11に対して、-y方向に離れた位置に形成される突出部16’と、を備えてもよい。接点部11は、接触ばね部12をy軸方向から見てV字形状にプレス成型することで形成され、接触ばね部12により図1に示す基板300の一面に押し付けられて、図1に示す接点310に物理的に接触することにより接点310に電気的に接続されるものである。接触ばね部12は、接点部11を接点310に押し付けて接触させるものであり、基部22から略+x方向に延伸されて形成され、端子10’を図1に示す基板300に取り付けた際に、基板300の一面に沿った方向に(例えば、平行な方向に)延在して配置可能である。突出部16’は、接触ばね部12に-z方向に向けて突出して形成され、基板300から力を受けると、接触ばね部12を撓ませて接点部11を基板300から離れる方向に変位させる。この場合、突出部16’は、接触ばね部12の自由端部18に形成される。また、突出部16’には、突出部16’が基板300に乗り上げる乗上部17’が設けられる。端子10’は、図2に示す端子10と同様に、接点部11を基板300から離す+z方向に変形させる突出部16’を備えることで、基板300に設けられた接点310にスライドして取り付けられる際に、接点部11および接点310を損傷することを防止できる。また、突出部16’は、接点部11に対して-y方向に離れた位置に形成されているため、端子10’が+x方向にスライドされて、接点部11が接点310に接触する位置に移動する際に、接点310からずれた位置にスライドする。このため、突出部16’が、接点310を傷つけることを防止できる。また、突出部16’が基板300に形成された図1に示す穴330に落ち込むことで、接点部11が-z方向に変位して接点310に接触する。これにより、端子10’は、基板300の接点310に物理的に接触することにより接点310に電気的に接続される。
【0042】
上述の実施の形態において、基板300に形成された穴330が貫通穴である場合について説明したが、穴330は、突出部16が落ち込むことができればよい。例えば、穴330は、非貫通孔であってもよい。このようにすることで、基板300に穴330を容易に形成することができる。
【0043】
上述の実施の形態において、コネクタ100が、基板300とFPC400とを電気的に接続する例について説明したが、コネクタ100の一方は、基板300と接続できればよく、コネクタ100の他方は、FPC400に代えて、他のものと接続されもよい。例えば、コネクタ100の他方にケーブルが接続されていてもよく、他のプリント基板にハンダにより接続されていてもよい。
【0044】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0045】
10、10’…端子、11…接点部、12…接触ばね部、13…接触防止ばね部、14…係合部、15…被係合部、16、16’…突出部、17、17’…乗上部、18…自由端部、21…取付部、21a…凸部、22…基部、23…FPC取付部、23a、23b…梁、23c…突起、100…コネクタ、200…ハウジング、210…収容室、220…固定部、230…第1の開口、240…第2の開口、300…基板、310…接点、320…端部、330…穴、400…FPC、410…接点、500…金属片、D1…距離、T1…厚み 、L1~L3…折り線
図1
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図12