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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125747
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】電機子
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20240911BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H02K3/04 J
H02K15/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033787
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】延山 陽徳
(72)【発明者】
【氏名】長尾 喜信
(72)【発明者】
【氏名】鈴井 光
【テーマコード(参考)】
5H603
5H615
【Fターム(参考)】
5H603AA09
5H603CA01
5H603CA10
5H603CB05
5H615AA01
5H615PP01
5H615PP16
5H615SS03
5H615SS04
(57)【要約】
【課題】バスバーの歩留まり向上を可能とすることができる電機子を提供する。
【解決手段】固定子は、固定子巻線と、板材よりなり固定子巻線に電気的に接続されるバスバー61とを有する。バスバー61は、環状をなすバスバー本体部71と、そのバスバー本体部71から延び固定子巻線に接続される突出部72とを有する。突出部72は、バスバー本体部71からその板面方向に延びる基端部において周方向に屈曲する第1屈曲部B1と、第1屈曲部B1よりも先端側で径方向に屈曲する第2屈曲部B2と、を有し、第1屈曲部B1は、板材の打ち抜き加工により形成され、第2屈曲部B2は、折り曲げ加工により形成されている。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電機子巻線(31)と、板材よりなり前記電機子巻線に電気的に接続されるバスバー(61~64)とを有する電機子(30)であって、
前記バスバーは、環状をなすバスバー本体部(71)と、そのバスバー本体部から延び前記電機子巻線に接続される突出部(72)とを有し、
前記突出部は、前記バスバー本体部からその板面方向に延びる基端部において周方向に屈曲する第1屈曲部(B1)と、前記第1屈曲部よりも先端側で径方向に屈曲する第2屈曲部(B2)と、を有し、
前記第1屈曲部は、板材の打ち抜き加工により形成され、前記第2屈曲部は、折り曲げ加工により形成されている、電機子。
【請求項2】
前記電機子巻線は、周方向に並ぶ複数の部分巻線(41)を有し、
前記複数の部分巻線は、前記電機子巻線のコイルエンド部に導線端部(45)を有しており、
前記バスバーの前記各突出部は、前記第2屈曲部よりも先端側で前記各部分巻線の導線端部にそれぞれ接続されている、請求項1に記載の電機子。
【請求項3】
前記バスバーは、前記バスバー本体部の板厚方向を径方向として設けられ、
前記バスバーにおいて、前記突出部は、前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部に加え、前記第2屈曲部よりも先端側で軸方向に屈曲する第3屈曲部(B3)を有し、
前記第3屈曲部は、折り曲げ加工により形成されている、請求項1又は2に記載の電機子。
【請求項4】
前記突出部において前記第2屈曲部及び前記第3屈曲部を含む部位は、横断面が略正方形状をなしている、請求項3に記載の電機子。
【請求項5】
前記バスバーは、前記バスバー本体部の板厚方向を径方向として設けられ、
前記突出部において、前記第1屈曲部よりも先端側でありかつ前記第2屈曲部を挟む両側の軸方向の厚さが、前記バスバー本体部の板厚よりも大きい、請求項1又は2に記載の電機子。
【請求項6】
前記電機子巻線は、複数の相巻線を有し、
前記バスバーは、相ごとに設けられる複数の相バスバー(61~63)を含むものであり、
前記複数の相バスバーは、板面の向きを軸方向として径方向に並べて配置され、相ごとに前記相巻線に接続されており、
各相の前記相バスバーにおいて、前記突出部は、前記第2屈曲部から径方向に延びる長さが各々異なり、前記相巻線に接続される位置が、軸心を中心点とする同一仮想円上に並んでいる、請求項1又は2に記載の電機子。
【請求項7】
前記電機子巻線において、各相の前記相巻線は中性点で接続されており、
前記バスバーは、前記複数の相バスバーに加えて、中性点接続用の中性点バスバー(64)を含むものであり、前記複数の相バスバー及び前記中性点バスバーにおいて前記第2屈曲部が径方向外側に屈曲されており、
前記複数の相バスバー及び前記中性点バスバーが並ぶ径方向の配列において、前記中性点バスバーが前記配列において径方向外寄りに配置されている、請求項6に記載の電機子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に用いられる電機子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転電機の電機子として、電機子巻線から延びる導線端部を、板状のバスバーに接続する構成としたものが知られている。例えば特許文献1には、帯板状のバスバーとして、ステータの周方向に沿って配置される本体部と、本体部からステータの径方向外側に延びる径方向延設部と、径方向延設部の先端に設けられたフック部とを有する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-195776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のバスバーでは、本体部からステータの径方向外側に延びる径方向延設部が、板材の折り曲げ加工により形成されている。この場合、折り曲げ加工前の板材は、帯板状の本体部と、その本体部の長手方向に対して直交する向きに延びる径方向延設部とを有する形状に打ち抜き加工されたもの、すなわち略T字形状に打ち抜き加工されたものとなる。そのため、板材(母材)から打ち抜き加工する際の歩留まりが悪いと考えられる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、バスバーの歩留まり向上を可能とすることができる電機子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
【0007】
手段1は、
電機子巻線と、板材よりなり前記電機子巻線に電気的に接続されるバスバーとを有する電機子であって、
前記バスバーは、環状をなすバスバー本体部と、そのバスバー本体部から延び前記電機子巻線に接続される突出部とを有し、
前記突出部は、前記バスバー本体部からその板面方向に延びる基端部において周方向に屈曲する第1屈曲部と、前記第1屈曲部よりも先端側で径方向に屈曲する第2屈曲部と、を有し、
前記第1屈曲部は、板材の打ち抜き加工により形成され、前記第2屈曲部は、折り曲げ加工により形成されていることを特徴とする。
【0008】
電機子巻線に電気的に接続される板状のバスバーにおいて、バスバー本体部から延びる突出部は、周方向に屈曲する第1屈曲部と、第1屈曲部よりも先端側で径方向に屈曲する第2屈曲部とを有する。また、板材よりなるバスバーにおいて、第1屈曲部が板材の打ち抜き加工により形成され、第2屈曲部が折り曲げ加工により形成されている構成とした。この構成では、突出部の基端部(根元側の部分)において、第1屈曲部を含みかつバスバー本体の長手方向と同じ方向に延びる部分は、打ち抜き加工で形成された部分であり、その第1屈曲部よりも先端側が、第2屈曲部として径方向に折り曲げ形成されている。この場合、第2屈曲部の折り曲げ形成前は、突出部がバスバー本体部と同じ方向に延びる形状となっており、板材からバスバーの型抜きをする場合の幅寸法を小さくすることができる。これにより、母材からバスバーを打ち抜き加工する際の歩留まりの向上が可能となっている。
【0009】
手段2では、前記電機子巻線は、周方向に並ぶ複数の部分巻線を有し、前記複数の部分巻線は、前記電機子巻線のコイルエンド部に導線端部を有しており、前記バスバーの前記各突出部は、前記第2屈曲部よりも先端側で前記各部分巻線の導線端部にそれぞれ接続されている。
【0010】
電機子巻線において複数の部分巻線が周方向に並べて配置された構成では、電機子の全周にわたって部分巻線の導線端部が配置されており、それに合わせて、バスバーに周方向に所定間隔で突出部が設けられている。この場合、突出部が、第1屈曲部の先端側で周方向に延び、かつ第2屈曲部の先端側で径方向延びる形状になっている。そのため、振動等によりバスバーに径方向の力が作用する場合に、その力の向きが径方向のいずれであっても第1屈曲部と第2屈曲部とにより力を好適に吸収することができる。
【0011】
手段3では、前記バスバーは、前記バスバー本体部の板厚方向を径方向として設けられ、前記バスバーにおいて、前記突出部は、前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部に加え、前記第2屈曲部よりも先端側で軸方向に屈曲する第3屈曲部を有し、前記第3屈曲部は、折り曲げ加工により形成されている。
【0012】
バスバー本体部の板厚方向が径方向となっているバスバーにおいて、突出部が、第1屈曲部及び第2屈曲部に加え、第2屈曲部よりも先端側で軸方向に屈曲する第3屈曲部を有している構成とした。この場合、第3屈曲部は、折り曲げ加工により形成されており、第2,第3屈曲部の折り曲げ形成前は、上記同様、突出部がバスバー本体部と同じ方向に延びる形状となっており、板材からバスバーの型抜きをする場合の幅寸法を小さくすることができるものとなっている。
【0013】
また、バスバーの突出部が、3つの屈曲部(第1~第3屈曲部)を有している構成では、第3屈曲部よりも先端側が軸方向に延びる構成となり、電機子巻線においてコイルエンド部に延びる導線端部との接続を好適に行わせることができる。また、第1~第3屈曲部はそれぞれ屈曲の向きが異なっており、電機子において径方向、軸方向、周方向の揺れをいずれも好適に吸収できるものとなっている。
【0014】
手段4では、前記突出部において前記第2屈曲部及び前記第3屈曲部を含む部位は、横断面が略正方形状をなしている。
【0015】
バスバーの突出部において第2屈曲部及び第3屈曲部は、それぞれ異なる向きに折り曲げ形成された屈曲部であり、横断面が四角形形状である場合に周方向に隣り合う2辺において各々折り曲げ形成される。この構成において、突出部の横断面を略正方形状としたため、折り曲げの向きが相違する各屈曲部において折り曲げの条件が相違することを抑制できる。また、エッジワイズ方向での屈曲(長辺及び短辺のうち短辺を屈曲内側とする向きの屈曲)を避けることができる。
【0016】
手段5では、前記バスバーは、前記バスバー本体部の板厚方向を径方向として設けられ、前記突出部において、前記第1屈曲部よりも先端側でありかつ前記第2屈曲部を挟む両側の軸方向の厚さが、前記バスバー本体部の板厚よりも大きい。
【0017】
バスバーの突出部において、第1屈曲部よりも先端側でありかつ第2屈曲部を挟む両側では、その軸方向が、バスバー本体部の板厚方向に直交する方向に相当する。この場合、突出部において第2屈曲部を挟む両側の部位の軸方向の厚さは、バスバー本体部の板厚に関係なく寸法調整が可能であり、その軸方向の厚みをバスバー本体部の板厚よりも大きくすることで、バスバーにおける巻線接続部の電流密度を容易に調整可能となっている。
【0018】
手段6では、前記電機子巻線は、複数の相巻線を有し、前記バスバーは、相ごとに設けられる複数の相バスバーを含むものであり、前記複数の相バスバーは、板面の向きを軸方向として径方向に並べて配置され、相ごとに前記相巻線に接続されており、各相の前記相バスバーにおいて、前記突出部は、前記第2屈曲部から径方向に延びる長さが各々異なり、前記相巻線に接続される位置が、軸心を中心点とする同一仮想円上に並んでいる。
【0019】
上記構成によれば、径方向に並ぶ各相の相バスバーにおいて、突出部の第2屈曲部から径方向に延びる長さが各々異なり、相巻線に接続される位置が同一仮想円上に並んでいる。これにより、各相の相バスバーの突出部を各相巻線に接続する上で、好適な構成となっている。
【0020】
手段7では、前記電機子巻線において、各相の前記相巻線は中性点で接続されており、前記バスバーは、前記複数の相バスバーに加えて、中性点接続用の中性点バスバーを含むものであり、前記複数の相バスバー及び前記中性点バスバーにおいて前記第2屈曲部が径方向外側に屈曲されており、前記複数の相バスバー及び前記中性点バスバーが並ぶ径方向の配列において、前記中性点バスバーが前記配列において径方向外寄りに配置されている。
【0021】
中性点バスバーは、相バスバーに比べて突出部の数、すなわち相巻線との接続部の数が多くなる。この点を考慮し、各バスバーの第2屈曲部が径方向外側に屈曲されている構成において、中性点バスバーを径方向外寄りに配置するようにした。この構成では、中性点バスバーを径方向内寄りに配置する場合に比べて、周方向において各突出部の基端部の間隔が長くなり、しかも第2屈曲部から径方向に延びる長さが短くなる。そのため、中性点バスバーにおいて、相バスバーよりも多数となる突出部を好適に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】回転電機の縦断面図。
図2】固定子の構成を示す斜視図。
図3】固定子の分解斜視図。
図4】内曲げ構造の部分巻線と外曲げ構造の部分巻線とを1つずつ示す斜視図。
図5】固定子に対して配線モジュールを組み付けた状態を示す斜視図。
図6】固定子から配線モジュールを分離した状態を示す分解斜視図。
図7】相バスバーについて部分巻線との接続部分の構成を拡大して示す斜視図。
図8】打ち抜きにより形成された成形体を示す平面図。
図9】中間端子の構成を示す斜視図。
図10】各バスバーの配置を示す平面図。
図11】固定子において部分巻線とバスバーとの接合部分を拡大して示す斜視図。
図12】固定子の製造手順の概略を示すフローチャート。
図13】(a)はヒュージングのための構成を示す図、(b)は導通検査のための構成を示す図。
図14】別例におけるバスバーの構成を示す図。
図15】別例における導線端部の接続の構成を示す図。
図16】部分巻線と各バスバーとの接続に関する構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る回転電機を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態における回転電機は、例えば車両動力源として用いられるものとなっている。ただし、回転電機は、産業用、車両用、航空機用、家電用、OA機器用、遊技機用などとして広く用いられることが可能となっている。
【0024】
図1は、回転電機10の縦断面図である。回転電機10は、アウタロータ式の表面磁石型多相交流モータであり、例えば車両のインホイールモータとして用いられる。以下の記載では、回転電機10において、回転軸線の延びる方向を軸方向とし、回転軸線の中心から放射状に延びる方向を径方向とし、回転軸線を中心として円周状に延びる方向を周方向としている。
【0025】
回転電機10は、回転子20と、回転子20の径方向内側に配置された固定子30とを備えている。回転子20及び固定子30は、それぞれ円筒状をなしており、円環状に延びるエアギャップを挟んで径方向に互いに対向配置されている。回転電機10は、回転子20に、不図示の車輪のホイールに固定されるハブ11が一体化される一方、固定子30に、不図示の車体に固定される略円柱状のスピンドル12が一体化された構成となっている。ハブ11は、一対の軸受13,14によりスピンドル12に対して回転可能に支持されている。
【0026】
回転子20は、略円筒状の回転子キャリア21と、その回転子キャリア21に固定された環状の磁石ユニット22とを有している。回転子キャリア21は、円筒状をなす円筒部23と、円筒部23の軸方向一端の側に設けられ、径方向に延びる端板部24とを有している。円筒部23の内周面には磁石ユニット22が固定されている。回転子キャリア21の軸方向他端側は開放されている。回転子キャリア21は、磁石保持部材として機能する。
【0027】
磁石ユニット22は、回転子キャリア21の円筒部23の内周面に固定された複数の磁石を有している。磁石ユニット22において、磁石は、回転子20の周方向に沿って極性が交互に変わるように並べられている。これにより、磁石ユニット22には、周方向に複数の磁極が形成されている。なお、回転電機10は、埋込磁石型の同期機(IPMSM)であってもよい。
【0028】
回転子キャリア21の開放側の軸方向端部には回転子カバー15が固定されている。回転子カバー15は、円環板状をなしており、固定子30との径方向対向部分に軸受16を介在させた状態で、回転子キャリア21に対してボルト等の固定具により固定されている。
【0029】
固定子30は、多相の固定子巻線31と、固定子コア32と、固定子ホルダ33とを有している。固定子コア32及び固定子ホルダ33は、固定子コア32を径方向外側として一体化され、その径方向外側に固定子巻線31が組み付けられている。固定子30は、スロットを形成するためのティースを有していないティースレス構造を有しており、固定子コア32において径方向外側の外周面は凸部(ティース)の無い曲面となっている。固定子コア32は、円筒状をなし、バックヨークとして設けられている。固定子巻線31は、複数の相巻線を有し、相ごとに単位コイルである複数の部分巻線41を有する構成となっている。本実施形態では、固定子巻線31がU,V,W相の3相巻線で構成されている。固定子巻線31で、各相の相巻線が中性点で互いに接続された星形結線となっている。固定子30が「電機子」に相当し、固定子巻線31が「電機子巻線」に相当する。
【0030】
次に、固定子30の構成を図2及び図3を用いてより具体的に説明する。図2は、固定子30の構成を示す斜視図であり、図3は、固定子30の分解斜視図である。
【0031】
固定子巻線31は、単位コイルである複数の部分巻線41を有し、これら各部分巻線41が周方向に並ぶ状態で配置されることで構成されている。部分巻線41は、導線材を多重に巻回することで構成された空芯コイルである。部分巻線41は、周方向に所定間隔を離して設けられる一対の中間導線部42と、一対の中間導線部42を軸方向両端でそれぞれ接続する一対の渡り部43,44とを有し、これら一対の中間導線部42と一対の渡り部43,44とにより環状に形成されている。そして、部分巻線41における一対の中間導線部42の間に、他相の部分巻線41における一対の中間導線部42のうち一方の中間導線部42が配置されることで、各相の中間導線部42どうしが近接状態で周方向に並べて配置されている。
【0032】
軸方向両側の各渡り部43,44は、それぞれコイルエンドに相当する部分として設けられ、各渡り部43,44のうち、一方の渡り部43は径方向に屈曲形成され、他方の渡り部44は径方向に屈曲されることなく形成されている。これにより、各部分巻線41は、側面視で略L字状をなすものとなっている。各部分巻線41には、渡り部43が径方向内側に屈曲された部分巻線41Aと、渡り部43が径方向外側に屈曲された部分巻線41Bとが含まれている。固定子30において、軸方向一端側(図2の上側)のコイルエンドエリアCE1では、部分巻線41Aの渡り部43が径方向内側に屈曲され、軸方向他端側(図2の下側)のコイルエンドエリアCE2では、部分巻線41Bの渡り部43が径方向外側に屈曲されている。
【0033】
固定子巻線31において、軸方向一端側(CE1側)では部分巻線41Aの渡り部43が径方向内側に屈曲された内曲げ構造となり、軸方向他端側(CE2側)では部分巻線41Bの渡り部43が径方向外側に屈強された外曲げ構造となっている。この場合、固定子コア32及び固定子ホルダ33のアセンブリに対する各部分巻線41の組み付けが容易になっているとともに、回転子20の径方向内側への固定子30の組み付けが容易になっている。
【0034】
図4は、渡り部43が径方向内側に屈曲された内曲げ構造の部分巻線41Aと、渡り部43が径方向外側に屈強された外曲げ構造の部分巻線41Bとを1つずつ示す斜視図である。各部分巻線41A,41Bは、導線材46の周回部分(空芯コイル)から延びる一対の導線端部45を有している。一対の導線端部45は、導線材46の巻き始め及び巻き終わりであるとよい。なお、図4では、区別を明確化すべく部分巻線41Aの一対の導線端部45を導線端部45A、部分巻線41Bの一対の導線端部45を導線端部45Bとしている。部分巻線41Aでは、導線端部45Aが、軸方向両側のうち屈曲側である渡り部43に設けられ、部分巻線41Bでは、導線端部45Bが、軸方向両側のうち非屈曲側である渡り部44に設けられている。
【0035】
各導線端部45は、中間導線部42よりも径方向内側(すなわち中間導線部42よりも固定子コア32側)において軸方向外側に延び、軸方向に見て同じ位置で周方向に並ぶように設けられている。また、各部分巻線41の組み付け状態では、各部分巻線41の導線端部45は、周方向に等間隔で並ぶようになっている。
【0036】
部分巻線41を構成する導線材46は、横断面が四角形形状の平角線であるとよい。また、導線材46は、複数の素線が束ねられた束線(分割導線)からなるとよい。各素線は外周が絶縁層(樹脂層)で被覆された被覆導線であり、さらにその被覆導線が1つにまとめられた状態で外周に樹脂等の絶縁被覆が施されたものであるとよい。
【0037】
図2及び図3に示すように、固定子ホルダ33は、固定子コア32の径方向内側に組み付けられる円筒部34と、円筒部34の軸方向一端側において円筒部34から径方向外側に向けて設けられた張出部36とを有している。固定子ホルダ33は金属材料により形成されており、金属材料としては例えば鉄、アルミニウムが用いられるとよい。
【0038】
円筒部34には、冷却水等の冷媒を流通させる冷媒通路37が形成されている(図1参照)。冷媒通路37は、軸方向に扁平状に延び、かつ円筒部34に沿って環状に設けられており、入口部と出口部との間で周方向に冷媒を流通させるものとなっている。不図示とするが、冷媒通路37には、冷媒を循環させる外部循環経路が接続されるようになっている。外部循環経路には、例えば電動式のポンプと、ラジエータ等の放熱装置とが設けられ、ポンプの駆動に伴い循環経路と回転電機10の冷媒通路37とを通じて冷媒が循環する。
【0039】
本実施形態では、ティースレス構造の固定子30において、軸方向端部に設けられた位置規制部により各部分巻線41の位置規制を行う構成としており、以下に、その位置規制部の構成を説明する。
【0040】
コイルエンドエリアCE2側には、固定子ホルダ33の張出部36が位置規制部として設けられている。張出部36は、軸方向において固定子巻線31の外側、すなわち渡り部43,44の外側となる位置に、径方向外側に張り出すように設けられている。張出部36には、周方向に延びる環状の環状溝36aが設けられている。そして、張出部36の環状溝36aに部分巻線41Aの渡り部44が挿し入れられることにより、渡り部44の径方向の位置規制が可能になっている。また、張出部36には、軸方向に突出する突出部36bが設けられており、その突出部36bにより、部分巻線41Bにおける渡り部43の径方向及び周方向の位置規制が行われる構成となっている。
【0041】
コイルエンドエリアCE1側においては、部分巻線41Aの渡り部43と、部分巻線41Bの渡り部44とに対して、位置規制部材50による位置規制が行われるようになっている。位置規制部材50は環状に形成されており、固定子ホルダ33に対して軸方向から位置規制部材50が組み付けられることで、コイルエンドエリアCE1側の巻線端部の位置規制が行われるようになっている。
【0042】
位置規制部材50は、円環部51を有し、その円環部51に、固定子ホルダ33に対して係合可能なホルダ係合部52と、部分巻線41Aの渡り部43に対して係合可能な巻線係合部53と、部分巻線41Bの渡り部44に対して係合可能な巻線係合部54とが設けられている。ホルダ係合部52は、周方向に所定間隔で設けられ、固定子ホルダ33の軸方向端面に設けられた突起部33aに対して係合可能となっている。巻線係合部53は、周方向に所定間隔で設けられ、部分巻線41Aの渡り部43の内周部分に対して係合可能となっている。巻線係合部54は、周方向に所定間隔で設けられ、部分巻線41Bの渡り部44の外周部分に対して係合可能となっている。位置規制部材50は、ボルト等の固定具により固定子ホルダ33に対して固定されるようになっている。
【0043】
図1に示すように、固定子30のコイルエンドエリアCE1側の軸方向端部には、固定子巻線31の各部分巻線41に電気的に接続される円環状の配線モジュール60が設けられている。配線モジュール60は、導通部材として各相用、及び中性線用の複数のバスバーを有している。図5は、固定子30に対して配線モジュール60を組み付けた状態を示す斜視図であり、図6は、固定子30から配線モジュール60を分離した状態を示す分解斜視図である。
【0044】
配線モジュール60は、バスバーとして、3相分(U相、V相、W相)の相バスバー61,62,63と、中性点バスバー64とを有している。これら各バスバー61~64はそれぞれ、導電性を有する板材(金属板)よりなり、板厚方向を径方向として環状に形成されている。また、各バスバー61~64は、板面の向きを軸方向として径方向に並べて配置されている。各バスバー61~64は、固定子30の軸方向端部において位置規制部材50に固定されたバスバーホルダ65により保持される。これにより、各バスバー61~64は、同心状の環状をなし、径方向に互いに所定間隔を隔てた状態で保持される。なお、バスバーホルダ65は、固定子ホルダ33の軸方向端面に固定されていてもよい。
【0045】
各バスバー61~64は、各部分巻線41の導線端部45に電気的に接続されるようになっており、各バスバー61~64と各部分巻線41との接続により、各相の部分巻線41が相ごとに並列に接続される。具体的には、各部分巻線41の一対の導線端部45のうち、一方の導線端部45は、各々対応する相の相バスバー61~63に接続され、他方の導線端部45は中性点バスバー64に接続される。
【0046】
また、相バスバー61~63には、相ごとに電力線66~68が接続されている。各電力線66~68は、導電性を有する板材よりなり、長手方向の一端が各相バスバー61~63に接続された状態で、他端側が、固定子ホルダ33(円筒部34)の中空部内を軸方向に延びるように設けられている。電力線66~68は、配線モジュール60が設けられたコイルエンドエリアCE1側から、その逆側のコイルエンドエリアCE2側に引き延ばされ、コイルエンドエリアCE2側において不図示の電力端子に接続されている。電力線66~68を通じて固定子巻線31とインバータとの間の電力の入出力が行われるようになっている。
【0047】
ここで、配線モジュール60の各バスバー61~64と各部分巻線41の接続に関する構成をより詳細に説明する。図7は、相バスバー61について部分巻線41との接続部分の構成を拡大して示す斜視図であり、図7(a)は相バスバー61を示し、図7(b)は相バスバー61と部分巻線41との接続状態を示す。
【0048】
図7(a)に示すように、相バスバー61は、環状をなすバスバー本体部71と、そのバスバー本体部71の幅方向端部から延びる突出部72とを有している。突出部72は、部分巻線41の導線端部45に接続される部位であり、導線接続部又は接続端子部と称することもできる。突出部72は、各々屈曲の向きが異なる複数の屈曲部を有している。すなわち、突出部72は、バスバー本体部71からその板面方向に延びる基端部において周方向に屈曲する第1屈曲部B1と、第1屈曲部B1よりも先端側で径方向に屈曲する第2屈曲部B2と、第2屈曲部B2よりも先端側で軸方向に屈曲する第3屈曲部B3とを有している。各屈曲部B1~B3における屈曲の角度はいずれも略90°である。
【0049】
上記の屈曲構造により、突出部72は、バスバー本体部71側である基端部から順に、周方向に延びる周方向延出部73と、径方向に延びる径方向延出部74と、軸方向に延びる軸方向延出部75とを有する構成になっている。径方向延出部74は、径方向外側に向けて延びている。軸方向延出部75は、軸方向の2方向のうち、バスバー本体部71の幅方向一端側からバスバー本体部71に径方向に重なる側に延びている。
【0050】
本実施形態では特に、各屈曲部B1~B3には屈曲形成の手法の異なるものが含まれており、第1屈曲部B1は、板材の打ち抜き加工により形成され、第2屈曲部B2及び第3屈曲部B3は、折り曲げ加工により形成されている。打ち抜き加工により形成された第1屈曲部B1と、折り曲げ加工により形成された第2,第3屈曲部B2,B3とを比べると、屈曲半径が相違し、第1屈曲部B1では第2,第3屈曲部B2,B3よりも屈曲半径を小さくするが可能となっている。つまり、折り曲げ加工により屈曲部を形成する場合には、板材の種類や板厚等に応じて屈曲半径の制約が生じるが、打ち抜き加工により屈曲部を形成する場合には、折り曲げ加工の屈曲部に比べて屈曲半径の制約が小さくなる。そのため、第1屈曲部B1では屈曲半径が小さくなっている。
【0051】
突出部72において、周方向延出部73、径方向延出部74及び軸方向延出部75は、それぞれ横断面が略正方形状をなしているとよい。換言すれば、突出部72において第2屈曲部B2及び第3屈曲部B3を含む部位は、横断面が略正方形状をなしているとよい。この場合、第2屈曲部B2及び第3屈曲部B3は、それぞれ異なる向きに折り曲げ形成された屈曲部であり、横断面が四角形形状である場合には周方向に隣り合う2辺において各々折り曲げ形成が行われる。この構成において、突出部72の横断面を略正方形状としたため、折り曲げの向きが相違する各屈曲部B2,B3において折り曲げの条件が相違することを抑制できる。また、エッジワイズ方向での屈曲(長辺及び短辺のうち短辺を屈曲内側とする向きの屈曲)を避けることができる。
【0052】
第1屈曲部B1が打ち抜き加工により形成され、第2,第3屈曲部B2,B3が折り曲げ加工により形成される場合には、平板材の打ち抜き時(型抜き時)において図8に示す形状で打ち抜き加工することが可能となる。図8には、平板材の打ち抜きにより形成された成形体77が示されており、その成形体77は、バスバー本体部71と、折り曲げ加工前の突出部72とを有するものとなっている。
【0053】
成形体77には、この時点で各屈曲部B1~B3のうち第1屈曲部B1のみが形成されており、その第1屈曲部B1よりも先端側は、突出部72がバスバー本体部71に平行に延びる形状となっている。そのため、成形体77は、例えば突出部72がバスバー本体部71から直交する向きに延びる構成に比べて、バスバー本体部71の幅方向における寸法を小さくすることができる。これにより、母材から成形体77を打ち抜き加工する際の歩留まりの向上が可能となっている。
【0054】
また、上記のとおり打ち抜き加工により形成された第1屈曲部B1は屈曲半径が小さいため、バスバー本体部71と突出部72との間の隙間寸法を小さくすることができる。これによっても、成形体77の歩留まり向上が可能となっている。
【0055】
成形体77では、突出部72において、図8に示すA1,A2で折り曲げ加工が行われることにより第2,第3屈曲部B2,B3がそれぞれ形成される。これにより、図7(a)に示す形状の突出部72が形成される。
【0056】
図7(b)では、部分巻線41の導線端部45に中間端子80が固定された状態で、その中間端子80と相バスバー61の突出部72とが溶接等により接合されるものとなっている。図9は、中間端子80の構成を示す斜視図である。中間端子80は、導電体からなり、具体的には銅など導電性を有する金属材料よりなる。
【0057】
中間端子80は、部分巻線41の導線端部45に接合される第1接合部81と、相バスバー61の突出部72の軸方向延出部75に接合される第2接合部82とを有している。第1接合部81には、導線端部45を挿通させる挿通部83が設けられている。導線端部45は、第1接合部81の挿通部83に挿通され、その状態で第1接合部81との重なり部分で圧着により接合される。本実施形態では、第1接合部81の挿通部83に、絶縁被覆のままの状態で部分巻線41の導線端部45が挿通され、第1接合部81に対する加圧と加熱により圧着が行われるようになっている。
【0058】
具体的には、ヒュージング装置を用い、導線端部45を挿通させた第1接合部81に対して加圧と通電による加熱とを行い、その状態で導線端部45の絶縁被膜を溶融させる。これにより、導線端部45の絶縁被膜が剥がされつつ、第1接合部81の塑性変形により導線端部45に中間端子80が圧着される。このとき、複数の素線からなる導線材46では、各素線の外周絶縁層が溶融されることで、各素線が並列接続された状態となる。上記の圧着手法は熱カシメとも称される。
【0059】
なお、第1接合部81は、挿通部83が延びる方向の中間部分に切欠部84が形成されている。この場合、第1接合部81において切欠部84を挟む両側の部分85a,85bのうち一方の部分85a(例えば下段側)では、先に加圧により導線端部45の仮固定を行い、他方の部分85b(例えば上段側)では、加圧及び加熱により導線端部45の熱圧着を行うようにしてもよい。
【0060】
また、中間端子80の第2接合部82は、横断面が四角形形状であり、軸方向に直線状に延びるように設けられている。中間端子80において、第1接合部81及び第2接合部82は径方向に並ぶように設けられており、径方向において第1接合部81が部分巻線41側、第2接合部82が相バスバー61側に配置されている。そして、中間端子80の第2接合部82と相バスバー61の突出部72とが、径方向に対向する対向面どうしで接合されている。
【0061】
図7(b)の構成によれば、部分巻線41側の導線端部45から相バスバー61の突出部72までの径方向の間隔を拡げることが可能となり、ひいては部分巻線41の導線端部45とバスバー本体部71との距離が確保でき、部分巻線41が異相のバスバー本体部71に接触する等の不都合を抑制できる。例えば、配線モジュール60において最も径方向外側となるバスバーがU相バスバーである場合に、そのU相バスバーと、U相以外の部分巻線41の導線端部45とが意図せず接触してしまうことを抑制できる。
【0062】
第2接合部82は、突出部72の軸方向延出部75に対して、溶接により接合されている。溶接は、例えばTIG溶接であるとよい。この場合、中間端子80の第2接合部82と軸方向延出部75とが径方向に当接された状態で、これら両者が溶接により接合されるとよい。
【0063】
中間端子80において、第1接合部81と第2接合部82とでは接合方法が異なっている。第1接合部81では、導線材46の被膜除去を行う上で有利な接合手法で接合が行われるとよく、第2接合部82では、軸方向に延びる軸方向延出部75に沿った比較的長い接合に有利な接合手法で接合が行われるとよい。第1接合部81では、導線端部45を二面で挟み込んだ二面の接合が行われ、第2接合部82では、軸方向延出部75に沿った一面の接合が行われている。
【0064】
相バスバー61の突出部72は、バスバー本体部71から延びる基端部(根元部)に対して軸方向延出部75が周方向にオフセットした位置に設けられる構成となっており、その軸方向延出部75に対して、中間端子80を介して部分巻線41の導線端部45が接続されている。この場合、導線端部45との接続部分である軸方向延出部75に対して、部分巻線41の側から径方向の力が作用しても、その力が第2屈曲部B2や第3屈曲部B3で吸収される。そのため、振動等により相バスバー61に径方向の力が生じても、その力に起因する接合部分の不具合やバスバー本体部71の変形等が抑制されるものとなっている。
【0065】
ここまでは相バスバー61について部分巻線41の導線端部45との接続の構造を説明したが、他のバスバー62~64についても同様である。すなわち、他のバスバー62~64についても、図7(a),(b)に示す構成を有するものとなっている。各バスバー61~64には、それぞれ周方向に等間隔で突出部72が設けられている。相バスバー61~63と中性点バスバー64とでは突出部72の周方向の間隔(詳しくは基端部の間隔)が相違しており、中性点バスバー64における突出部72の間隔は、各相バスバー61~63における突出部72の間隔の1/3となっている。
【0066】
図6に示すように、各バスバー61~64には、固定子30の周方向の略1周にわたって所定間隔で突出部72が設けられている。なお、図6の構成では、各バスバー61~64は円環の一部が途切れた環状をなしているが、円環が途切れることなく円環状となっている形状であってもよい。図10は、各バスバー61~64の配置を示す平面図である。なお、図10は、各バスバー61~64を軸方向内側から見た平面図である。
【0067】
図10に示すように、各バスバー61~64は、例えば径方向外側からU相用の相バスバー61、中性点バスバー64、V相用の相バスバー62、W相用の相バスバー63の順に並ぶように配置されている。各バスバー61~64では、突出部72における径方向延出部74の長さ(すなわち、第2屈曲部B2から径方向に延びる長さ)が各々異なっている。具体的には、径方向延出部74の長さは、最内径に位置する相バスバー63が最も長く、内径から2番目に位置する相バスバー62が2番目に長く、内径から3番目に位置する中性点バスバー64が3番目に長く、最外径に位置する相バスバー61が最も短い。これにより、軸方向延出部75(すなわち部分巻線41に接続される位置)が、軸心を中心点とする仮想円CV上に並ぶ構成となっている。ただし、各相の相バスバー61~63の並び順番は変更可能である。
【0068】
また、各バスバー61~64が並ぶ径方向の配列において、中性点バスバー64はその配列の径方向外寄りの位置に配置されている。この場合、中性点バスバー64は、相バスバー61~63に比べて突出部72の数、すなわち部分巻線41との接続部の数が多くなる。具体的には、中性点バスバー64の突出部72の数は各相バスバー61~63の3倍となる。この点、中性点バスバー64を径方向外寄りに配置することで、中性点バスバー64を径方向内寄りに配置する場合に比べて、周方向において各突出部72の間隔が長くなり、しかも径方向延出部74の長さが短くなる。これにより、平板材の打ち抜きによる中性点バスバー64の成形体77を成形する上で好適な構成となっている。
【0069】
なお、中性点バスバー64を、各バスバー61~64が並ぶ径方向の配列において最も径方向外側となる位置に配置することも可能である。
【0070】
図11は、固定子30において、部分巻線41の導線端部45とバスバー61~64の突出部72とが中間端子80を介して接合されている構成を拡大して示す斜視図である。
【0071】
図11に示すように、導線端部45及び突出部72は、固定子巻線31のコイルエンドにおいて、部分巻線41の渡り部44とバスバー本体部71との間の環状空間にて電気的に接続されている。導線端部45は、径方向において渡り部44とバスバー本体部71との間の略中央位置まで延び、その先端側で中間端子80によりバスバー61~64側との接合が行われている。導線端部45は、少なくとも1箇所(本実施形態では2箇所)の屈曲部を有し、径方向内側に延びている。導線端部45は、導線端部45の長さが確保され、かつ屈曲部を有する構成であることから、可動域を有するものとなっている。また、バスバー61~64の突出部72も複数の屈曲部B1~B3を有することから、可動域を有するものとなっている。部分巻線41の導線端部45及びバスバー61~64の突出部72は、各々の屈曲部よりも先端の側で中間端子80を介して互いに接合されている。そのため、中間端子80の位置ずれ等に対する融通性や振動に対する耐性が高められている。
【0072】
次に、固定子30の製造時の手順を説明する。図12は、固定子30の製造手順の概略を示すフローチャートである。
【0073】
バスバー61~64の成形工程(S1)では、平板材である母材の打ち抜き加工が行われる。この際、打ち抜き加工により、図8に示す形状の成形体77が成形される。なお、各バスバー61~64では、突出部72の数や、設置間隔、径方向延出部74の長さが異なっている。そのため、バスバー61~64ごとに異なる成形型が用いられて成形体77が成形される。その後、図8に示すA1,A2の位置で折り曲げ加工が行われることにより屈曲部B2,B3が形成され、図7(a)に示す形状の突出部72が形成される。
【0074】
一方、中間端子80の取り付け行程(S2)では、図4に示す各部分巻線41の導線端部45に対して中間端子80が取り付けられる。具体的には、図13(a)に示すように、ヒュージング装置91において、導線端部45を挿通させた第1接合部81を一対の電極92により挟みこむ。そして、その状態で、加圧装置93による一対の電極92への加圧を行いながら、通電装置94による一対の電極92への通電を行う。これにより、導線端部45の絶縁被膜が溶融により剥がされつつ、第1接合部81の塑性変形により導線端部45に中間端子80が圧着される。このとき、複数の素線からなる導線材46では、各素線の外周絶縁層が溶融されることで、各素線が並列接続された状態となる。
【0075】
その後、固定子コア32及び固定子ホルダ33に対して各部分巻線41が組み付けられる(S3)。
【0076】
その後、部分巻線41ごとに、中間端子80に導通検査用の機器が接続されて導通検査が実施される(S4)。具体的には、図13(b)に示すように、部分巻線41の一対の導線端部45に対して電極95がそれぞれ接続され、その電極95を介して部分巻線41が通電されることで、検査装置96において部分巻線41の断線の有無等が検査される。この導通検査において部分巻線41の導通異常が確認された場合は、部分巻線41ごとの単位で交換等が行われる。なお、導通検査は、部分巻線41が固定子コア32及び固定子ホルダ33に組み付けられる前に実施されてもよい。
【0077】
導通検査の実施後には、固定子30において周方向に並べて配置された各部分巻線41に対して各バスバー61~64が接続される(S5)。このとき、各中間端子80の第2接合部82に、各バスバー61~64の突出部72が溶接により接合され、部分巻線41とバスバーとが電気的に接続される。中間端子80の第2接合部82と各バスバー61~64の突出部72とは、それぞれ絶縁被覆の無い導電体であり、その導電体どうしが重ね合わされて接合される。このとき、絶縁被覆により溶接品質に影響が及ぶことはない。
【0078】
ちなみに、部分巻線41の導線端部45において先端部の絶縁被膜を剥離し、その導線端部45をバスバー61~64に接合した後に、固定子巻線31の導通検査を行うことも考えられる。ただしこの場合、固定子巻線31の導通異常が見つかると、バスバーに接続されている全ての部分巻線41について交換が強いられることになる。この点、各部分巻線41の導線端部45に中間端子80が接合され、かつ中間端子80を用いて導通検査を行うようにしたため、該当する部分巻線41だけの交換で足りることになる。
【0079】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0080】
固定子巻線31に電気的に接続される板状のバスバー61~64において、バスバー本体部71から延びる突出部72は、周方向に屈曲する第1屈曲部B1と、第1屈曲部B1よりも先端側で径方向に屈曲する第2屈曲部B2と、第2屈曲部B2よりも先端側で軸方向に屈曲する第3屈曲部B3とを有する。また、板材よりなるバスバー61~64において、第1屈曲部B1が板材の打ち抜き加工により形成され、第2,第3屈曲部B2,B3が折り曲げ加工により形成されている構成とした。この構成では、突出部72の基端部(根元側の部分)において、第1屈曲部B1を含みかつバスバー本体部71の長手方向と同じ方向に延びる部分は、打ち抜き加工で形成された部分であり、その第1屈曲部B1よりも先端側が、第2,第3屈曲部B2,B3として折り曲げ形成されている。この場合、第2,第3屈曲部B2,B3の折り曲げ形成前は、突出部72がバスバー本体部71に平行になっているため、板材からバスバー61~64の型抜きをする場合の幅寸法を小さくすることができる。つまり、母材の型抜きに要する範囲を必要最小限としつつ、突出部72に相当する部分を効率的良く形成することができる。これにより、母材からバスバー61~64を打ち抜き加工する際の歩留まりの向上が可能となっている。
【0081】
また、バスバー61~64の突出部72が、3つの屈曲部B1~B3を有している構成では、第3屈曲部B3よりも先端側が軸方向に延びる構成となり、固定子巻線31においてコイルエンド部に延びる導線端部45との接続を好適に行わせることができる。また、各屈曲部B1~B3はそれぞれ屈曲の向きが異なっており、回転電機10において径方向、軸方向、周方向の揺れをいずれも好適に吸収できるものとなっている。
【0082】
固定子巻線31において複数の部分巻線41が周方向に並べて配置された構成では、固定子30の全周にわたって部分巻線41の導線端部45が配置されており、それに合わせて、バスバー61~64に周方向に所定間隔で突出部72が設けられている。この場合、突出部72が、第1屈曲部B1の先端側で周方向に延び、かつ第2屈曲部B2の先端側で径方向延びる形状になっている。そのため、振動等によりバスバー61~64に径方向の力が作用する場合において、その力の向きが径方向のいずれであっても第1屈曲部B1と第2屈曲部B2とにより力を好適に吸収することができる。
【0083】
バスバー61~64の突出部72において第2屈曲部B2及び第3屈曲部B3は、それぞれ異なる向きに折り曲げ形成された屈曲部であり、横断面が四角形形状である場合に周方向に隣り合う2辺において各々折り曲げ形成される。この構成において、突出部72の横断面を略正方形状としたため、折り曲げの向きが相違する各屈曲部B2,B3において折り曲げの条件が相違することを抑制できる。また、エッジワイズ方向での屈曲(長辺及び短辺のうち短辺を屈曲内側とする向きの屈曲)を避けることができる。
【0084】
径方向に並ぶ各バスバー61~64において、突出部72の第2屈曲部B2から径方向に延びる長さ(径方向延出部74の長さ)を各々異ならせ、部分巻線41に接続される位置を同一仮想円上に並べる構成とした。これにより、各バスバー61~64の突出部72を各部分巻線41に接続する上で、好適な構成となっている。
【0085】
各バスバー61~64の第2屈曲部B2が径方向外側に屈曲されている構成において、中性点バスバー64を径方向外寄りに配置するようにした。この構成では、中性点バスバー64を径方向内寄りに配置する場合に比べて、周方向において各突出部72の基端部の間隔が長くなり、しかも第2屈曲部B2から径方向に延びる長さが短くなる。そのため、中性点バスバー64において、相バスバー61~63よりも多数となる突出部72を好適に設けることができる。
【0086】
固定子巻線31では、各部分巻線41の導線端部45が周方向に並び、それら各導線端部45に対して環状のバスバー61~64が電気的に接続されている。この構成において、部分巻線41の導線端部45とバスバー61~64の突出部72との間に中間端子80を介在させた状態で、部分巻線41とバスバー61~64とを電気的に接続するようにした。この場合、中間端子80の各接合部81,82において組み付け相手側の形態に合わせて接合を行わせることで、各部分巻線41とスバー61~64との接続品質の向上を図ることができる。その結果、固定子巻線31とバスバー61~64とを適正に接続することができる。
【0087】
中間端子80では、第1接合部81における導線端部45との重なり部分において導線材46の絶縁被膜を溶融させ、その状態で導線端部45との接合がなされている。この場合、バスバー61~64の突出部72とは異なる部位で導線材46の絶縁被膜が溶融され接合がなれていることで、導線材46の絶縁被膜の溶融(除去)の影響を受けずに、中間端子80の第2接合部82をバスバー61~64の突出部72に接合させることができる。
【0088】
中間端子80において、第1接合部81と第2接合部82とでは接合相手が異なる。この点を考慮し、第1接合部81と第2接合部82とで接合方法を異ならせる構成とした。これにより、各接合部81,82に適した溶接方法を個々に選ぶことができ、各接合部分の品質向上を図ることができる。
【0089】
部分巻線41の導線端部45及びバスバー61~64の突出部72は、それら各々に設けられた屈曲部よりも先端の側で中間端子80を介して互いに接合されている。この場合、部分巻線41側及びバスバー61~64側がそれぞれ可動域を有することになり、中間端子80の位置ずれ等に対する融通性や振動に対する耐性を高めることができる。
【0090】
中間端子80において、第1接合部81及び第2接合部82を径方向に並べ、第1接合部81を部分巻線41側、第2接合部82をバスバー61~64側に配置する構成とした。これにより、部分巻線41側の導線端部45からバスバー61~64の突出部72までの径方向の間隔を拡げることが可能となり、ひいては部分巻線41の導線端部45とバスバー本体部71との距離が確保でき、部分巻線41の導線端部45が異相のバスバー本体部71に接触する等の不都合を抑制できる。
【0091】
中間端子80の第2接合部82とバスバー61~64の突出部72とが、径方向に対向する対向面どうしで接合されている構成とした。これにより、部分巻線41側の導線端部45からバスバー61~64の突出部72までの径方向の間隔を拡げることが可能となり、ひいては部分巻線41の導線端部45とバスバー本体部71との距離が確保でき、部分巻線41の導線端部45が異相のバスバー本体部71に接触する等の不都合を抑制できる。
【0092】
固定子30の製造方法において、部分巻線41の導線端部45と中間端子80の第1接合部81との接合により導線端部45に各中間端子80を取り付けた後に、部分巻線41ごとに、中間端子80に導通検査用の機器を接続して導通検査を実施するようにした。この場合、仮に導通異常が確認されたとしても、周方向に並ぶ各部分巻線41に接続されたバスバー61~64において検査機器により導通検査を行う場合と比べて、その後の対応が比較的容易となる。例えば、バスバー61~64に接続された全ての部分巻線41を異常扱いとするのではなく、部分巻線41ごとの単位で異常扱いとすることができる。
【0093】
また、導通検査の実施後に、各部分巻線41を周方向に並べた状態で、各中間端子80の第2接合部82にバスバー61~64の突出部72を接合して、部分巻線41とバスバー61~64とを電気的に接続するようにした。この場合、中間端子80における各接合部81,82の接合を組み付け相手側の形態に合わせたものとすることで、各部分巻線41とバスバー61~64との接続品質の向上を図ることができる。その結果、固定子巻線31とバスバー61~64とを適正に接続することができる。
【0094】
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
【0095】
・上記実施形態では、バスバー61~64の突出部72において、周方向延出部73、径方向延出部74及び軸方向延出部75はそれぞれ横断面が略正方形状をなしているとしたが、この構成を変更してもよい。例えば、図14に示すように、相バスバー61の突出部72の横断面を長方形形状とする。この構成では、周方向延出部73及び径方向延出部74において軸方向に延びる辺が長辺となり、軸方向延出部75において径方向に延びる辺が長辺となっている。この場合、バスバー本体部71の板厚をT1、突出部72において、周方向延出部73及び径方向延出部74(第1屈曲部B1よりも先端側でありかつ第2屈曲部B2を挟む両側)の軸方向の厚さをT2、軸方向延出部75(第2屈曲部B2よりも先端側)の径方向の厚さをT3とする場合に、T2>T1、T3>T1、T2=T3となっている。他のバスバー62~64についても同様である。
【0096】
バスバー61~64の突出部72において、周方向延出部73及び径方向延出部74では、その軸方向が、バスバー本体部71の板厚方向に直交する方向に相当する。また、軸方向延出部75の径方向は、バスバー本体部71の板厚方向に直交する方向に相当する。この場合、突出部72において周方向延出部73及び径方向延出部74の軸方向の厚さT2、軸方向延出部75の径方向の厚さT3は、バスバー本体部71の板厚に関係なく寸法調整が可能である。この場合、厚さT2,T3をバスバー本体部71の板厚T1よりも大きくすることで、バスバー61~64における巻線接続部の電流密度を容易に調整可能となっている。
【0097】
図15に示すように、部分巻線41の導線端部45は、横断面が長辺と短辺とを有する長方形形状をなし、中間端子80の第1接合部81は、導線端部45の長辺に対して接合されている構成としてもよい。これにより、導線端部45と中間端子80との接合部分において電気接続の信頼性を高めることが可能となる。
【0098】
図16に示す構成であってもよい。図16は、固定子巻線31の部分巻線41と、各バスバー61~64との接続に関する構成を示す概略図であり、図16(a)はバスバー61~64を分離した状態を示し、図16(b)はバスバー61~64を組み付けた状態を示す。
【0099】
図16(a)では、固定子巻線31として複数の部分巻線41が周方向に並べて配置されている。また、各部分巻線41の導線端部45には中間端子80が装着されている。本実施形態では特に、中間端子80の第2接合部82と各バスバー61~64の突出部72とは、軸方向斜めに延び、かつ互いの径方向の対向面82a,72aどうしが接合されるものとなっている。また、第2接合部82は、対向面82aが軸方向外側を向くように斜めに傾斜し、突出部72は、対向面72aが軸方向内側を向くように斜めに傾斜している。
【0100】
そして、図16(b)に示すように、各部分巻線41の導線端部45に取り付けられた中間端子80に対して、各バスバー61~64の突出部72が接合される。この場合、斜めに傾斜した第2接合部82により案内されて各バスバー61~64の突出部72が組み付けられる。そのため、固定子巻線31側に対してバスバー61~64を好適に組み付けることが可能となっている。
【0101】
・各バスバー61~64の突出部72は、第1~第3屈曲部B1~B3のうち、第1屈曲部B1及び第2屈曲部B2のみを有するものであってもよい。この場合、各バスバー61~64では、突出部72が周方向延出部73及び径方向延出部74を有するものとなり、径方向延出部74において、部分巻線41の導線端部45と電気的に接続されるようになっているとよい。なお、部分巻線41の導線端部45は、バスバー61~64の突出部72と同様に、径方向に延びるものであるとよい。
【0102】
・各バスバー61~64は、板厚方向を径方向として径方向に並べて配置される構成に代えて、板厚方向を軸方向として軸方向に並べて配置される構成であってもよい。
【0103】
・中間端子80において、第1接合部81と部分巻線41の導線端部45との接合は、熱圧着(熱カシメ)以外の手法を用いてもよい。例えば、中間端子80の第1接合部81と部分巻線41の導線端部45とを、レーザ溶接により接合してもよい。
【0104】
・上記各実施形態では、回転子20として表面磁石型の回転子を用いたが、これに代えて、埋込磁石型の回転子や、界磁コイル式の回転子を用いる構成としてもよい。
【0105】
・回転電機10は、アウタロータ式の回転電機に限られず、インナロータ式の回転電機であってもよい。インナロータ式の回転電機とする場合、図1の構成とは異なり、回転子20が径方向内側、固定子30が径方向外側に配置される。この場合、固定子30では、固定子巻線31のコイルエンドにおいて部分巻線41の径方向外側(詳しくは、部分巻線41の渡り部44の径方向外側)にバスバー61~64が配置され、そのバスバー61~64に対して各部分巻線41が電気的に接続されている構成であればよい。
【0106】
・回転電機を、回転界磁形の回転電機に代えて、回転電機子形の回転電機とすることも可能である。この場合、回転軸には電機子としての回転子が固定され、その回転子の径方向外側に、界磁子としての固定子が設けられる。回転子は、回転子コアとその外周部に固定された多相の電機子巻線とを有し、固定子は、固定子コアと、その固定子コアに固定された磁石とを有するものとなる。
【0107】
上述の実施形態から抽出される技術思想を以下に記載する。
[構成1]
電機子巻線(31)と、板材よりなり前記電機子巻線に電気的に接続されるバスバー(61~64)とを有する電機子(30)であって、
前記バスバーは、環状をなすバスバー本体部(71)と、そのバスバー本体部から延び前記電機子巻線に接続される突出部(72)とを有し、
前記突出部は、前記バスバー本体部からその板面方向に延びる基端部において周方向に屈曲する第1屈曲部(B1)と、前記第1屈曲部よりも先端側で径方向に屈曲する第2屈曲部(B2)と、を有し、
前記第1屈曲部は、板材の打ち抜き加工により形成され、前記第2屈曲部は、折り曲げ加工により形成されている、電機子。
[構成2]
前記電機子巻線は、周方向に並ぶ複数の部分巻線(41)を有し、
前記複数の部分巻線は、前記電機子巻線のコイルエンド部に導線端部(45)を有しており、
前記バスバーの前記各突出部は、前記第2屈曲部よりも先端側で前記各部分巻線の導線端部にそれぞれ接続されている、構成1に記載の電機子。
[構成3]
前記バスバーは、板厚方向を径方向として環状に形成されており、
前記バスバーにおいて、前記突出部は、前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部に加え、前記第2屈曲部よりも先端側で軸方向に屈曲する第3屈曲部(B3)を有し、
前記第3屈曲部は、折り曲げ加工により形成されている、構成1又は2に記載の電機子。
[構成4]
前記突出部において前記第2屈曲部及び前記第3屈曲部を含む部位は、横断面が略正方形状をなしている、構成3に記載の電機子。
[構成5]
前記バスバーは板厚方向を径方向として設けられ、
前記突出部において、前記第1屈曲部よりも先端側でありかつ前記第2屈曲部を挟む両側の軸方向の厚さが、前記バスバー本体部の板厚よりも大きい、構成1~3のいずれか1つに記載の電機子。
[構成6]
前記電機子巻線は、複数の相巻線を有し、
前記バスバーは、相ごとに設けられる複数の相バスバー(61~63)を含むものであり、
前記複数の相バスバーは、板面の向きを軸方向として径方向に並べて配置され、相ごとに前記相巻線に接続されており、
各相の前記相バスバーにおいて、前記突出部は、前記第2屈曲部から径方向に延びる長さが各々異なり、前記相巻線に接続される位置が、軸心を中心点とする同一仮想円上に並んでいる、構成1~5のいずれか1つに記載の電機子。
[構成7]
前記電機子巻線において、各相の前記相巻線は中性点で接続されており、
前記バスバーは、前記複数の相バスバーに加えて、中性点接続用の中性点バスバー(64)を含むものであり、前記複数の相バスバー及び前記中性点バスバーにおいて前記第2屈曲部が径方向外側に屈曲されており、
前記複数の相バスバー及び前記中性点バスバーが並ぶ径方向の配列において、前記中性点バスバーが前記配列において径方向外寄りに配置されている、構成6に記載の電機子。
【符号の説明】
【0108】
30…固定子、31…固定子巻線、61~64…バスバー、71…バスバー本体部、72…突出部、B1…第1屈曲部、B2…第2屈曲部。
図1
図2
図3
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