(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012575
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】釣情報管理システム
(51)【国際特許分類】
A01K 89/02 20060101AFI20240123BHJP
A01K 89/017 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A01K89/02 Z
A01K89/017
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023192722
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2020143235の分割
【原出願日】2020-08-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】安田 悠
(57)【要約】 (修正有)
【課題】釣情報の内の必要な情報を魚釣用リールから外部へ適時かつ確実に送信することが可能な釣情報管理システムを提供することにある。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、魚釣用リールと、該魚釣用リールと通信が可能な外部情報通信端末と、を含み、該魚釣用リールから、各投擲毎に投擲情報が、該外部情報通信端末へと送信されるものであり、最新の投擲が終了した時点で、該最新の投擲より前の投擲の投擲情報が、前記外部情報通信端末へ未送信若しくは送信未完了の状態である場合、該前の投擲の投擲情報の送信を中止し、該最新の投擲の投擲情報の少なくとも一部を送信するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚釣用リールと、該魚釣用リールと通信が可能な外部情報通信端末と、を含む釣情報管理システムであって、
前記魚釣用リールから、各投擲毎に投擲情報が、前記外部情報通信端末へと送信されるものであり、
最新の投擲が終了した時点で、該最新の投擲より前の投擲の投擲情報が、前記外部情報通信端末へ未送信若しくは送信未完了の状態である場合、該前の投擲の投擲情報の送信を中止し、該最新の投擲の投擲情報の少なくとも一部を送信することを特徴とする釣情報管理システム。
【請求項2】
前記最新の投擲の投擲情報は、投擲回数、投擲日時、スプール回転開始点、スプール回転終了点、釣糸の寸法、スプール径、スプールの最高回転数、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション、投擲方法の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の釣情報管理システム。
【請求項3】
最新の投擲が終了した時点で、該最新の投擲より前の投擲の投擲情報が、前記外部情報通信端末へ未送信若しくは送信未完了の状態である場合、該最新の投擲の投擲情報の少なくとも一部は、投擲回数、投擲日時、スプール回転開始点、スプール回転終了点、釣糸の寸法、スプール径、スプールの最高回転数の少なくともいずれかである、請求項2に記載の釣情報管理システム。
【請求項4】
各投擲毎に投擲情報が、前記魚釣用リールから前記外部情報通信端末へと複数回に分けて送信される場合、前記最新の投擲の投擲情報の少なくとも一部を、前記最新の投擲の投擲情報の残りの情報よりも前に送信する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項5】
各投擲毎に投擲情報が、前記魚釣用リールから前記外部情報通信端末へと複数回に分けて送信される場合、前記最新の投擲の投擲情報の内、投擲回数、投擲日時、スプール回転開始点、スプール回転終了点、釣糸の寸法、スプール径又はスプールの最高回転数を最初に送信し、前記最新の投擲の投擲情報の内、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション又は投擲方法を後に送信する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項6】
前記魚釣用リールは、前記投擲情報のスプール回転開始点と、スプール回転終了点と、釣糸の寸法と、スプール径とから投擲された釣糸の飛距離を算出し、各投擲毎に投擲情報として該釣糸の飛距離が、前記魚釣用リールから前記外部情報通信端末へと送信される、請求項1に記載の釣情報管理システム。
【請求項7】
前記魚釣用リールと前記外部情報通信端末とは、BLE通信により通信を行う、請求項1から6までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項8】
前記外部情報通信端末は、スマートフォンである、請求項1から7までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項9】
前記外部情報通信端末は、ウェアラブル端末である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項10】
前記外部情報通信端末が複数ある場合、前記魚釣用リールから第1の外部情報通信端末へ前記各投擲毎の投擲情報を送信し、該第1の外部情報通信端末から第2の外部情報通信端末へ該各投擲毎の投擲情報を送信する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項11】
前記第1の外部情報通信端末は、スマートフォンであり、前記第2の外部情報通信端末は、ウェアラブル端末である、請求項10に記載の釣情報管理システム。
【請求項12】
前記ウェアラブル端末は、スマートウォッチ、スマートグラス又はヘッドセットを含む、請求項9又は11に記載の釣情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用リールから種々の釣情報、例えば、投擲情報を外部に送信可能な釣情報管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、船釣り等、一般に深場の魚層を対象とした魚釣りを行う場合、魚釣用電動リール(以下、「魚釣用リール」という)が広く使用されている。
【0003】
従来、この種の魚釣用リールには、正確な棚取りを行って釣果の向上を図るため、スプール等の回転数を基に釣糸の繰出し量や巻取り量を計測する糸長計測装置が装着されており、リール本体に設けた表示器に、斯かる糸長計測装置の計測値が表示されるようになっている。
【0004】
このような魚釣用リールとして、特許文献1には、リール本体の側板間に回転自在に支持されたスプールと、当該スプールに巻回される釣糸の巻取り操作時の巻取り速度を検出する巻取り速度検出手段と、リール本体に設けられ、当該巻取り速度検出手段の検出値を表示する表示器とを備えた魚釣用リールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の魚釣用リールでは、リール本体に設けられた表示器に巻取り速度の検出値を表示するものであり、これを外部に送信するものではなかった。他方で、魚釣用リールから種々の釣情報、例えば、投擲情報を外部に送信しかつこれを外部で確認できるようにする場合、送信データの容量によっては魚釣用リールからの適時かつ確実な送信が困難となり得るため、ユーザがこのような釣情報を外部端末に所望のタイミングで表示できない場合も発生し、ユーザの満足度が大幅低下してしまうという問題があった。
【0007】
本発明の実施形態は、上記のような問題点に鑑み、釣情報の内の必要な情報を魚釣用リールから外部へ適時かつ確実に送信することが可能な釣情報管理システムを提供することを目的とする。本発明の実施形態の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、魚釣用リールと、該魚釣用リールと通信が可能な外部情報通信端末と、を含み、該魚釣用リールから、各投擲毎に投擲情報が、該外部情報通信端末へと送信されるものであり、最新の投擲が終了した時点で、該最新の投擲より前の投擲の投擲情報が、前記外部情報通信端末へ未送信若しくは送信未完了の状態である場合、該前の投擲の投擲情報の送信を中止し、該最新の投擲の投擲情報の少なくとも一部を送信するように構成される。
【0009】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、前記最新の投擲の投擲情報は、投擲回数、投擲日時、スプール回転開始点、スプール回転終了点、釣糸の寸法、スプール径、スプールの最高回転数、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション、投擲方法の少なくともいずれかを含むように構成される。
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、最新の投擲が終了した時点で、該最新の投擲より前の投擲の投擲情報が、前記外部情報通信端末へ未送信若しくは送信未完了の状態である場合、該最新の投擲の投擲情報の少なくとも一部は、投擲回数、投擲日時、スプール回転開始点、スプール回転終了点、釣糸の寸法、スプール径、スプールの最高回転数の少なくともいずれかであるように構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、各投擲毎に投擲情報が、前記魚釣用リールから前記外部情報通信端末へと複数回に分けて送信される場合、前記最新の投擲の投擲情報の少なくとも一部を最初に送信し、前記最新の投擲の投擲情報の残りの情報を後に送信するように構成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、各投擲毎に投擲情報が、前記魚釣用リールから前記外部情報通信端末へと複数回に分けて送信される場合、前記最新の投擲の投擲情報の内、投擲回数、投擲日時、スプール回転開始点、スプール回転終了点、釣糸の寸法、スプール径又はスプールの最高回転数を最初に送信し、前記最新の投擲の投擲情報の内、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション又は投擲方法を後に送信するように構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記魚釣用リールは、前記投擲情報のスプール回転開始点と、スプール回転終了点と、釣糸の寸法と、スプール径とから投擲された釣糸の飛距離を算出し、各投擲毎に投擲情報として該釣糸の飛距離が、前記魚釣用リールから前記外部情報通信端末へと送信されるように構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、前記魚釣用リールと前記外部情報通信端末とは、BLE通信により通信を行うように構成される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記外部情報通信端末は、スマートフォンであるように構成される。
【0016】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記外部情報通信端末は、ウェアラブル端末であるように構成される。
【0017】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、前記外部情報通信端末が複数ある場合、前記魚釣用リールから第1の外部情報通信端末へ前記各投擲毎の投擲情報を送信し、該第1の外部情報通信端末から第2の外部情報通信端末へ該各投擲毎の投擲情報を送信するように構成される。
【0018】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、前記第1の外部情報通信端末は、スマートフォンであり、前記第2の外部情報通信端末は、ウェアラブル端末であるように構成される。
【0019】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、前記ウェアラブル端末は、スマートウォッチ、スマートグラス又はヘッドセットを含む。
【発明の効果】
【0020】
上記実施形態によれば、釣情報の内の必要な情報を魚釣用リールから外部へ適時かつ確実に送信することが可能な釣情報管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおける投擲情報の送信方法を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおける投擲情報の表示例を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおける投擲情報の表示例を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおける投擲情報の表示例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0023】
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムの基本的構成について説明する。
【0024】
図示のように、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1は、魚釣用リール2と、該魚釣用リール2と通信が可能な外部情報通信端末3と、を含む。外部情報通信端末は1又は複数あり、図示の例では、外部情報通信端末として、スマートフォン13と、ウェアラブル端末23とが、魚釣用リール2に有線若しくは無線により接続可能にされている。
【0025】
図1に示すように、魚釣用リール2は、投擲情報測定部4と、投擲情報を表示可能な表示部5と、投擲情報を外部に送信する送信部6とを備える。魚釣用リール2の投擲情報は、釣竿7の表示部8に表示されるように構成され得る。なお、投擲情報の詳細については後述する。
【0026】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1は、魚釣用リール2から、各投擲毎に投擲情報が、該外部情報通信端末3へと送信されるものであり、最新の投擲が終了した時点で、該最新の投擲より前の投擲の投擲情報が、該外部情報通信端末3へ未送信若しくは送信未完了の状態である場合、該前の投擲の投擲情報の送信を中止し、該最新の投擲の投擲情報の少なくとも一部を送信するように構成される。ここで、投擲とは、ルアーや錘、釣針等のついた釣り糸を水平方向遠方に飛ばすことと、これらを海底に向かって垂直方向下方に落とすことの両方を含むものとする。
【0027】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1によれば、釣情報の内の必要な情報を魚釣用リールから外部へ適時かつ確実に送信することが可能な釣情報管理システムを提供することが可能となる。
【0028】
ここで、投擲情報とは、投擲回数、投擲日時、スプール回転開始点、スプール回転終了点、釣糸の寸法、スプール径、スプールの最高回転数、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション、投擲方法の少なくともいずれかを含むように構成される。
【0029】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1は、最新の投擲が終了した時点で、該最新の投擲より前の投擲の投擲情報が、外部情報通信端末3へ未送信若しくは送信未完了の状態である場合にあって、外部情報通信端末3へ送信する該最新の投擲の投擲情報の少なくとも一部は、投擲回数、投擲日時、スプール回転開始点、スプール回転終了点、釣糸の寸法、スプール径、スプールの最高回転数の少なくともいずれかであるように構成される。
【0030】
また、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1では、各投擲毎に投擲情報が、該魚釣用リール2から該外部情報通信端末3へと複数回に分けて送信されるようにされ、その場合、当該最新の投擲の投擲情報の少なくとも一部を最初に送信し、該最新の投擲の投擲情報の残りの情報を後に送信するように構成される。
【0031】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1によれば、釣情報の内の必要な情報を魚釣用リールから外部へ適時かつ確実に送信することが可能な釣情報管理システムを提供することが可能となる。
【0032】
また、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1では、各投擲毎に投擲情報が、該魚釣用リール2から該外部情報通信端末3へと複数回に分けて送信される場合、該最新の投擲の投擲情報の内、投擲回数、投擲日時、スプール回転開始点、スプール回転終了点、釣糸の寸法、スプール径又はスプールの最高回転数を最初に送信する。以後、これらの情報を投擲速報データと呼ぶことにする。また、該最新の投擲の投擲情報の内、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション又は投擲方法を後に送信するように構成される。以後、これらの情報を投擲詳細データと呼ぶことにする。
【0033】
当該外部情報通信端末3は、該魚釣用リール2から投擲回数、投擲日時、スプール回転開始点、スプール回転終了点、釣糸の寸法、スプール径又はスプールの最高回転数を受信すると、その内のスプール回転開始点と、スプール回転終了点と、釣糸の寸法と、スプール径とから投擲された釣糸の飛距離を算出するように構成することができる。このようにして、該外部情報通信端末3において、各投擲後ユーザがすぐに確認したい投擲回数、投擲日時、スプールの最高回転数及び釣糸の飛距離の情報を最初に表示させることで、ユーザの釣への満足度をさらに向上させることが可能となる。
【0034】
また、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1において、該魚釣用リール2は、投擲情報のスプール回転開始点と、スプール回転終了点と、釣糸の寸法と、スプール径とから投擲された釣糸の飛距離を算出するように構成することができる。このようにして、該魚釣用リール2は、各投擲毎に投擲情報として該釣糸の飛距離を該外部情報通信端末3へと送信することができる。
【0035】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1において、該魚釣用リール2と該外部情報通信端末3とは、BLE通信により通信を行うように構成される。これは、低消費電力、他機器との互換性、ペアリングのしやすさなどのメリットが魚釣用リールと外部情報通信端末との間の親和性に優れているからである。その他、IrDA等の赤外線通信、BLE以外のBluetooth通信やWiFiなどの無線LAN通信、NFCなどの近距離無線通信も可能であるが、これらに限られない。
【0036】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1において、該外部情報通信端末3は、スマートフォン(携帯電話)13であるように構成される。
【0037】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1において、該外部情報通信端末は、ウェアラブル端末23であるように構成される。ウェアラブル端末は、スマートウォッチ、リストバンド型ウェアラブル端末、クリップ型ウェアラブル端末、スマートグラス又はイヤホン等のヘッドセットを含むが、これらに限られない。
【0038】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1は、該外部情報通信端末3が複数ある場合、該魚釣用リール2から第1の外部情報通信端末へ各投擲毎の投擲情報を送信し、該第1の外部情報通信端末から第2の外部情報通信端末へ該各投擲毎の投擲情報を送信するように構成される。BLE通信など、釣具への使用に適した低消費電力の通信方法では、データ通信速度が遅くなってしまう。また、釣りをしている間の無線通信は、電力不足や雨、水しぶき等の電波障害、外部機器による別のタスクの処理等の影響を受け、通信が途切れることがある。
【0039】
このため、投擲をした順番にデータ通信を行うと、投擲終了からユーザに投擲情報を伝えるまでに、大きなタイムラグが生じ、違和感を与えることとなり得る。このタイムラグがさらに大きくなり、投擲情報を伝える前にユーザが次の投擲に入ると、ユーザに前回の投擲情報を伝えることになってしまい、ユーザを混乱させてしまう可能性がある。一方、本発明の実施形態のように、未送信の投擲情報があった場合でも、投擲終了後に直ちに直前の投擲情報を送信することで、ユーザが投擲情報を得るまでのタイムラグが短くなり、上記問題を避けることが可能となる。
【0040】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1は、該第1の外部情報通信端末は、スマートフォンであり、該第2の外部情報通信端末は、ウェアラブル端末であるように構成される。スマートフォンは、ウェアラブル端末に比べて演算能力や保存できる情報量が大きい。また、一般的により大きな表示画面を持つ。このため、より多くのデータを受信、保存、表示が可能である。一方、操作や閲覧のために両手を用いる(少なくても片手は用いる)必要がある。また、一般的に防水が施されていない機種も多いため、釣りをしながら操作することは難しい。一方、腕につけるスマートウォッチ、目につけるスマートグラス、耳につけるイヤホン等のウェアラブル端末は、両手をフリーにしたまま装着することができるという利点がある。そのため、釣りをしている際中でもユーザに情報を伝えるのに適している。
【0041】
比較的情報量の多い投擲詳細データをスマートフォンに送信することで、ウェアラブル端末の保存容量を圧迫することなしに大量データを保存できる。また、投擲速報データをウェアラブル端末に送ることで、釣りをしている間でも随時ユーザに情報を伝えることができる。なお、投擲速報データは、リールからウェアラブル端末に直接通信してもよいし、リールからスマートフォンに伝えたあと、スマートフォンが必要に応じて演算処理をしたのちにウェアラブル端末に通信してもよい。
【0042】
次に、
図2を参照して、魚釣用リール2から外部情報通信端末3への各投擲毎の投擲情報を送信する場合の例を具体的に説明する。図示の例では、15回目の投擲が終了した状態で、最新の投擲情報と、14回目までの投擲情報が検出済みの状態である。他方、各投擲情報は、外部情報通信端末3へと順次送信されているが、11回目の投擲情報まで受信し、12回目の投擲情報の送信が中断され、15回目の投擲後に通信が再接続された場合を示す。
【0043】
このような場合、再接続後、通常考えられる方法では、13回目、14回目の投擲情報を送信してから、15回目の投擲情報を送信することとなるが、ユーザとしては最も最新の投擲情報を最初に知りたいと考えるため、
図2の例の場合、13回目、14回目の投擲情報を外部情報通信端末3へ送信する前に、15回目の投擲情報を最初に送信することで、ユーザに最も最新の投擲情報を知らせることができる。このようにして、ユーザの釣への満足度をさらに向上させることに繋がる。
【0044】
次に、
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1における外部情報通信端末3での表示する投擲情報について説明する。図示のように、外部情報通信端末3において、投擲後ユーザがすぐに確認したい投擲情報として、投擲回数、投擲日時、スプールの最高回転数及び釣糸の飛距離が挙げられ、これらを各投擲後に知らせるようにし、
図2の例の場合では、最も最新の投擲の上記情報を表示させることで、ユーザの釣への満足度をさらに向上させることが可能となる。ユーザが釣りをしている間に確認する手段として、リールやロッドに内蔵させたLCDなどの出力手段、又は上述のウェアラブル端末23が挙げられる。LCD等の表示装置に出力する場合は、道具の制約上大きな表示画面を確保するのが難しく、イヤホンやスピーカー等で音声情報として伝える場合、釣りの際中に情報伝達のために使える時間は限られている。したがって、ユーザが釣りをしている間に、これらの出力手段を使って伝えられる情報には限界がある。ユーザは、投擲後すぐに飛距離情報を得ることで、その後の巻き取り速度を調整したり、次の投擲のブレーキ設定や投擲方法を変えることができる。投擲後すぐに伝える情報を上記の範囲にすることで、ユーザに随時伝えるべき情報を的確に伝えることができる。
【0045】
次に、
図4、5を参照して、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム1における外部情報通信端末3での表示する投擲情報について説明する。図示のように、外部情報通信端末3において、ユーザが投擲後に精査したい投擲情報が表示されている。
図4は、横軸が時間で、縦軸に釣糸の速度履歴とブレーキ設定を示す。
図5は、横軸が時間で、縦軸に釣竿、ハンドル、リールの各角度を示す。このような情報はユーザが釣後にじっくりと確認したい情報であり、
図2で示した投擲情報とは相対的に緊急度が低いということができる。なお、
図5の角度から、投擲方法、すなわちサイドキャストかオーバヘッドキャストであるか等を算出することができる。
【0046】
休憩中や釣り終了後は、ユーザはPCやスマートフォンなどの出力手段を操作することができる。これらは釣りの際中に扱える出力手段よりも大きな表示画面を有し、またユーザが操作や確認に使える時間も釣りをしているときに比べて長い。したがって、より多くの情報を伝達することができる。また、詳細データによって得られる、巻き取り速度の履歴、統計情報などは、今後の釣果向上に役立つものの、釣りをしている間中随時ユーザに伝える必要性は低い。これらの詳細データは、速報データよりも情報量が大きいため、通信に時間がかかる。このため速報データを先に送り、詳細データを後に送ることにより、それぞれのデータをユーザが知りたいタイミングで伝えることが可能となる。
【0047】
以上のように、ユーザに知らせたい投擲情報には大別して2種類があり、より優先順位の高い投擲情報をその他の投擲情報よりも先に送信することで、ユーザの釣への満足度をさらに向上させることが判明した。
【0048】
図2の例に戻ると、13回目、14回目の投擲情報を外部情報通信端末3へ送信する前に、15回目の投擲情報を最初に送信することで、ユーザに最も最新の投擲情報を知らせることができるが、15回目の投擲情報の中でもユーザが最も関心がある投擲情報を先に送信し、次に残りの投擲情報を送信するようにすることで、通信の所定の制限にもかかわらず、ユーザの釣への満足度をさらに向上させることに繋がる。なお、13回目、14回目の投擲情報は、15回目の投擲情報の送信後に、より最新のものから送信してもよいし、古いものから送信するようにしても構わない。
【0049】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 釣情報管理システム
2 魚釣用リール
3 外部情報通信端末
4 投擲情報測定部
5 表示部(リール表示部)
6 送信部
7 釣竿
8 釣竿表示部
13 スマートフォン(携帯電話)
23 ウェアラブル端末
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚釣用リールと、該魚釣用リールと通信が可能な第1の外部情報通信端末と、該第1の外部情報通信端末と通信が可能な第2の外部情報通信端末と、を含む釣情報管理システムであって、
前記魚釣用リールから、各投擲毎に投擲情報が、前記第1の外部情報通信端末へと送信され、前記第1の外部情報通信端末から、各投擲毎に前記投擲情報の一部が、前記第2の外部情報通信端末へと送信されるものであり、
前記投擲情報は、投擲詳細データと、投擲速報データとを含み、前記投擲情報の一部は、前記投擲速報データであることを特徴とする釣情報管理システム。
【請求項2】
前記魚釣用リールから、各投擲毎に前記投擲情報の一部が、前記第2の外部情報通信端末へと送信される、請求項1に記載の釣情報管理システム。
【請求項3】
前記魚釣用リールから、各投擲毎に、投擲情報の内、前記投擲詳細データが、前記第1の外部情報通信端末へと送信される、請求項1に記載の釣情報管理システム。
【請求項4】
前記投擲詳細データは、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション、釣糸の速度履歴又は投擲方法を含み、前記投擲速報データは、投擲回数、投擲日時、スプール回転開始点、スプール回転終了点、釣糸の寸法、スプール径、スプールの最高回転数又は釣糸の飛距離を含む、請求項1に記載の釣情報管理システム。
【請求項5】
前記第1の外部情報通信端末は、スマートフォンであり、前記第2の外部情報通信端末は、ウェアラブル端末である、請求項1に記載の釣情報管理システム。
【請求項6】
前記投擲速報データは、前記第2の外部情報通信端末で表示可能にされる、請求項1又は2に記載の釣情報管理システム。
【請求項7】
前記投擲速報データが、前記第2の外部情報通信端末で表示される場合、投擲回数、投擲日時、スプールの最高回転数又は釣糸の飛距離の少なくとも2つが同時に表示される、請求項6に記載の釣情報管理システム。
【請求項8】
前記投擲詳細データは、前記スマートフォンで表示可能にされる、請求項5に記載の釣情報管理システム。
【請求項9】
前記投擲詳細データが、前記スマートフォンで表示される場合、前記投擲詳細データは前記スマートフォンでグラフ表示される、請求項8に記載の釣情報管理システム。
【請求項10】
前記魚釣用リールから、各投擲毎に前記投擲情報が、前記第1の外部情報通信端末へと送信される場合、前記投擲情報の内、前記投擲速報データは、前記投擲詳細データよりも先に送信される、請求項1に記載の釣情報管理システム。