(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125767
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20240911BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20240911BHJP
F24F 6/06 20060101ALI20240911BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
F24F6/00 G
F24F8/80 216
F24F8/80 238
F24F8/80 400
F24F6/00 A
F24F6/06
F24F6/00 C
A61L9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033816
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯野 峻也
【テーマコード(参考)】
3L055
4C180
【Fターム(参考)】
3L055AA07
3L055BA02
3L055BA04
3L055DA07
3L055DA12
4C180AA02
4C180AA05
4C180AA10
4C180AA16
4C180AA17
4C180BB08
4C180CB03
4C180DD03
4C180DD09
4C180EA14X
4C180EB15X
4C180HH05
4C180HH14
4C180HH17
4C180KK03
4C180KK05
4C180LL06
4C180LL11
4C180LL15
(57)【要約】
【課題】異臭を抑制する薬剤を投入する時期を把握できる加湿装置を提供する。
【解決手段】加湿装置は、ケーシング(10)と、ケーシング(10)に形成され、室内の空気を吸い込む吸込口(15)と、ケーシング(10)に形成され、室内へ空気を吹き出す吹出口(14)と、吸込口(15)と前記吹出口(14)とを連通する空気通路(AP)と、空気通路(AP)内の空気を搬送する搬送部(21)と、空気通路(AP)内の空気を加湿する加湿フィルタ(40)と、加湿フィルタ(40)に供給する溶液を貯留する貯留トレイ(50)とを備え、溶液は、室内空気の臭気を抑えるための薬剤と水とを含み、貯留トレイ(50)中の前記薬剤の状態をユーザに認識させる支援手段(S)を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)に形成され、室内の空気を吸い込む吸込口(15)と、
前記ケーシング(10)に形成され、室内へ空気を吹き出す吹出口(14)と、
前記吸込口(15)と前記吹出口(14)とを連通する空気通路(AP)と、
前記空気通路(AP)内の空気を搬送する搬送部(21)と、
前記空気通路(AP)内の空気を加湿する加湿フィルタ(40)と、
前記加湿フィルタ(40)に供給する溶液を貯留する貯留トレイ(50)とを備え、
前記溶液は、室内空気の臭気を抑えるための薬剤と水とを含み、
前記貯留トレイ(50)中の前記薬剤の状態をユーザに認識させる支援手段(S)を有する
加湿装置。
【請求項2】
前記ケーシング(10)内に配置されると共に、前記貯留トレイ(50)に給水するタンク(60)を更に備え、
前記タンク(60)は、給水口(67)を外部に露出させることで給水可能であり、
前記貯留トレイ(50)は、給水口を外部に露出させた状態で外部からユーザが視認できる位置にある
請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記貯留トレイ(50)には、前記薬剤が投入される薬剤投入部(70)が配置される
請求項2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記貯留トレイ(50)は、前記溶液の流れ方向の上流端に前記タンク(60)が配置されると共に、下流端に前記加湿フィルタ(40)が配置されるように構成され、
前記薬剤投入部(70)は、前記貯留トレイ(50)のうち前記加湿フィルタ(40)よりも前記タンク(60)寄りに配置される
請求項3に記載の加湿装置。
【請求項5】
前記薬剤投入部(70)は、前記貯留トレイ(50)内の一部を区画するように設けられる
請求項3に記載の加湿装置。
【請求項6】
前記薬剤投入部(70)は、投入される前記薬剤を計量可能に形成される
請求項5に記載の加湿装置。
【請求項7】
前記貯留トレイ(50)は、前記タンク(60)が設置される設置部(52)と、前記タンク(60)から給水されると共に前記溶液を貯留する貯水部(51)とを有し、
前記貯水部(51)は、前記設置部(52)よりも低い高さ位置に配置され、
前記薬剤投入部(70)は、前記貯水部(51)に配置される
請求項3または4に記載の加湿装置。
【請求項8】
前記支援手段(S)は、空気中の臭気成分と前記薬剤との反応による前記溶液の変色による
請求項1~3のいずれか1つに記載の加湿装置。
【請求項9】
前記支援手段(S)は、薬剤投入からの時間の経過、または、前記溶液の色の変化の度合いに基づいてユーザに報知する報知部(24)である
請求項1~3のいずれか1つに記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加湿フィルタを備えた加湿機能付きの空気清浄機が開示されている。加湿フィルタは、貯水トレイから供給された水を気化させて空気を加湿する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような空気清浄機において、吸い込み空気に含まれる臭気が加湿フィルタに取り込まれることで異臭が発生する場合がある。このような異臭対策として、貯水トレイ内の水に異臭を抑制する薬剤を投入することが考えられる。この場合、薬剤の効力が切れると新たに薬剤を投入する必要があるが、ユーザが薬剤を投入する適切な時期はこれまで考慮されてこなかった。
【0005】
本開示の目的は、異臭を抑制する薬剤を投入する時期を把握できる加湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、
ケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)に形成され、室内の空気を吸い込む吸込口(15)と、
前記ケーシング(10)に形成され、室内へ空気を吹き出す吹出口(14)と、
前記吸込口(15)と前記吹出口(14)とを連通する空気通路(AP)と、
前記空気通路(AP)内の空気を搬送する搬送部(21)と、
前記空気通路(AP)内の空気を加湿する加湿フィルタ(40)と、
前記加湿フィルタ(40)に供給する溶液を貯留する貯留トレイ(50)とを備え、
前記溶液は、室内空気の臭気を抑えるための薬剤と水とを含み、
前記貯留トレイ(50)中の前記薬剤の状態をユーザに認識させる支援手段(S)を有する
加湿装置である。
【0007】
第1の態様では、ユーザは溶液中の薬剤の状態を把握できるため、適切な時期に薬剤を投入できる。これにより、室内空気の異臭を抑制できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様では、
前記ケーシング(10)内に配置されると共に、前記貯留トレイ(50)に給水するタンク(60)を更に備え、
前記タンク(60)は、給水口(67)を外部に露出させることで給水可能であり、
前記貯留トレイ(50)は、前記給水口(67)を外部に露出させた状態で外部からユーザが視認できる位置にある。
【0009】
第2の態様では、タンク(60)に給水する際に、ユーザは外部から貯留トレイ(50)内の薬剤の状態を容易に視認できる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、
前記貯留トレイ(50)には、前記薬剤が投入される薬剤投入部(70)が配置される。
【0011】
第3の態様では、ユーザはどこに薬剤を投入すればよいか容易に認識できる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様において、
前記貯留トレイ(50)は、前記溶液の流れ方向の上流端に前記タンク(60)が配置されると共に、下流端に前記加湿フィルタ(40)が配置されるように構成され、
前記薬剤投入部(70)は、前記貯留トレイ(50)のうち前記加湿フィルタ(40)よりも前記タンク(60)寄りに配置される。
【0013】
第4の態様では、貯留トレイ(50)では、タンク(60)から加湿フィルタ(40)に向かって溶液が流れる。薬剤投入部(70)を溶液流れの上流端近傍に配置することで、薬剤が溶けきる前に下流端の加湿フィルタ(40)に到達してしまうことを抑制できる。このように、溶液中の薬剤の濃度ムラを抑えることができる。
【0014】
第5の態様は、第3の態様において、
前記薬剤投入部(70)は、前記貯留トレイ(50)内の一部を区画するように設けられる。
【0015】
第5の態様は、ユーザはどこに薬剤を投入すればよいか容易に認識できる。
【0016】
第6の態様は、第5の態様において、
前記薬剤投入部(70)は、投入される前記薬剤を計量可能に形成される。
【0017】
第6の態様では、薬剤を投入すると同時に必要量を量ることができるため、投入前に薬剤の分量を量る手間を省くことができる。毎回一定の量の薬剤を投入できる。
【0018】
第7の態様は、第3または第4の態様において、
前記貯留トレイ(50)は、前記タンク(60)が設置される設置部(52)と、前記タンク(60)から給水されると共に前記薬液を貯留する貯水部(51)とを有し、
前記貯水部(51)は、前記設置部(52)よりも低い高さ位置に配置され、
前記薬剤投入部(70)は、前記貯水部(51)に配置される。
【0019】
第7の態様では、薬剤投入部(70)に投入された薬剤は、貯水部(51)に供給される水に直接触れることができる。そのため、薬剤は乾くことなく全量水に溶解される。これにより、例えば薬剤が乾くことでタンクの給水口付近が目詰まりを起こしてしまうことを抑制できる。
【0020】
第8の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、
前記支援手段(S)は、空気中の臭気成分と前記薬剤との反応による前記溶液の変色による。
【0021】
第8の態様では、ユーザは容易に溶液の状態を認識できる。溶液の状態を検知する装置等が不要であるため装置の部品点数を抑えることができると共に製品コストを抑えることができる。
【0022】
第9の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、
前記支援手段(S)は、薬剤投入からの時間の経過、または、前記溶液の色の変化の度合いに基づいてユーザに報知する報知部(24)である。
【0023】
第9の態様では、ユーザは溶液を直接確認しなくても溶液の状態を認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態に係る加湿装置の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、加湿装置の主要な構成を示す
図1に相当する斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III矢視断面における加湿ユニットを含む部分を拡大した断面図である。
【
図4】
図4は、
図1のIV-IV矢視断面における加湿ユニットのトレイを含む部分を拡大した断面図である。
【
図5】
図5は、制御部と各種の機器との関係を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、扉部が開放される動作を示す加湿装置の立体斜視図である。(A)は、扉部が閉じた状態を示す。(B)は、扉部が開く途中の状態を示す。(C)は、扉部が取り外された状態を示す。
【
図7】
図7は、トレイ及び加湿フィルタの立体斜視図である。
【
図8】
図8は、タンクをケーシングから取り外したときの、加湿装置を上方からみた斜視図の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、本発明を実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
【0026】
(1)加湿装置の全体構成
図1及び
図2に示すように、本実施形態の加湿装置(1)は、室内に配置される床置き型である。加湿装置(1)は、加湿機能のほかに、室内空間の空気を清浄化する空気清浄機能を有する。
【0027】
加湿装置(1)は、主に、ケーシング(10)、ファンユニット(U1)、空気清浄ユニット(U2)および加湿ユニット(U3)を備える。各構成について詳細に説明する。
【0028】
(2)ケーシング
ケーシング(10)は、縦長の箱状に形成される。ケーシング(10)には、室内の空気を吸い込む吸込口(15)と、室内へ空気を吹き出す吹出口(14)とが形成される。ケーシング(10)内には、吸込口(15)と吹出口(14)とを連通する空気通路(AP)が形成される。
【0029】
ケーシング(10)内には、下方から上方に向かって、ファンユニット(U1)、空気清浄ユニット(U2)、加湿ユニット(U3)が配置される。空気通路(AP)内の空気は、ファンユニット(U1)、空気清浄ユニット(U2)、加湿ユニット(U3)の順に流れる。ケーシング(10)は概ね縦長の直方体に形成される。ケーシング(10)は、天板(11)、底板(12)、および4つの側板(13)を有する。4つの側板(13)は、前面パネル(13a)、後面パネル(13b)、右側面パネル(13c)、および左側面パネル(13d)である。以下の説明において、「前」、「後」、「右」、「左」は、前面パネル(13a)を正面に見たときの方向を示す。
【0030】
天板(11)には、操作部(16)及び報知部(24)が設けられている。操作部(16)は、ユーザの操作に基づいて、加湿装置(1)の運転動作の指令を出力する。報知部(24)は、現在の室内湿度や室温などの情報を表示したり、所定のアラームを発報したりする。
【0031】
天板(11)には、吹出口(14)が設けられている。吹出口(14)は、操作部(16)の後方に形成される。吹出口(14)は、左右方向全域に亘って形成される。吹出口(14)には、2枚のフラップ(17)が設けられる。各フラップ(17)は、横長の長方形に形成される。2枚のフラップ(17)は、前後方向に並んで配置される。各フラップ(17)は、回動可能に天板(11)に支持されており、各吹出口(14)の開閉や風向を調節する。
【0032】
右側面パネル(13c)および左側面パネル(13d)の下部のそれぞれには、吸込口(15)が設けられる。各吸込口(15)は、各側面パネル(13c,13d)の中央よりも下方、かつ、各側面パネル(13c,13d)の幅方向(前後方向)の略全域に設けられる。各吸込口(15)には、図示しないプレフィルタが配置される。プレフィルタは、各吸込口(15)を覆うように配置される。プレフィルタは、比較的大きな塵埃等を捕集する。
【0033】
底板(12)は、ケーシング(10)の下面を構成する。底板(12)は、各側板(13)の下端に接続される。
【0034】
(2-1)開口
ケーシング(10)は、開口(19)を有する。開口(19)は、右側面パネル(13c)のうち、加湿ユニット(U3)に対応する高さ位置に配置される。開口(19)は、後述する貯留トレイ(50)が外部から見える大きさに形成される。具体的に、開口(19)は右側面パネル(13c)の中央よりも上寄りに形成される。開口(19)は、右側面パネル(13c)の幅方向(前後方向)の略全域に形成される。
【0035】
(2-2)扉部
開口(19)は、所定の開閉部材により開閉される。本実施形態の開閉部材は扉部(18)であり、扉部(18)は開口(19)を覆うように設けられる。扉部(18)は、右側面パネル(13c)の一部を構成する。
【0036】
扉部(18)は、扉部(18)の下端を軸にして回動する。具体的に、扉部(18)に設けられた取っ手(18a)を手前(右方向)に引くことで、扉部(18)の下端を中心に扉部(18)は所定の傾斜角度である第1角度になるまで回動し、その姿勢が維持される(
図6(B)参照)。これにより開口(19)は開放される。扉部(18)は、第1角度以上に回動しない。
【0037】
扉部(18)は、ケーシング(10)から着脱可能である。扉部(18)をケーシング(10)から取り外すことで、開口(19)は完全に開放される(
図6(C)参照)。
【0038】
(3)ファンユニット
ファンユニット(U1)は、吸込口(15)に向かい合う位置に配置される。ファンユニット(U1)は、ファン(21)とファンモータ(22)とを有する。
【0039】
ファン(21)は、シロッコファンである。ファン(21)は、ファンモータ(22)の駆動により回転する。ファン(21)は、空気通路(AP)内の空気を搬送する。ファン(21)は、搬送部(21)の一例である。
【0040】
ファン(21)は、風量可変である。具体的に、ファンモータ(22)は、回転数可変である。ファンモータ(22)の回転数は、複数段階に切り換えられる。
【0041】
(4)空気清浄ユニット
空気清浄ユニット(U2)は、空気を清浄化する。空気清浄ユニット(U2)は、加湿ユニット(U3)と上下方向に隣り合うように配置される空気清浄ユニット(U2)は、空気清浄フィルタ(31)、フィルタハウジング(32)及びフィルタカバー(33)を有する。
【0042】
空気清浄フィルタ(31)は、空気流れ方向に並ぶ集塵フィルタ及び脱臭フィルタを有する。空気通路(AP)の空気は、集塵フィルタを通過することで微細な花粉、PM2.5などの塵埃などが取り除かれた後、活性炭などを含む脱臭フィルタを通過することでホルムアルデヒドや臭い成分などが吸着または分解される。
【0043】
フィルタハウジング(32)は、空気清浄フィルタ(31)を収容する。フィルタハウジング(32)の上面は開放されている。フィルタハウジング(32)の上面は、フィルタカバー(33)を介して加湿ユニット(U3)に連通する。フィルタハウジング(32)の下面には開口が形成されている。フィルタハウジング(32)の下面はファンユニット(U1)に連通する。
【0044】
フィルタカバー(33)は、フィルタハウジング(32)の上面に取り付けられる。フィルタカバー(33)は、空気清浄フィルタ(31)を覆うように設けられる。このように、フィルタカバー(33)は、空気清浄フィルタ(31)と加湿ユニット(U3)との間に配置される。
【0045】
フィルタカバー(33)には、空気清浄フィルタ(31)の下方から照射されるUVランプ(図示省略)による紫外線を遮光すると共に、空気清浄フィルタ(31)を通過する空気を加湿ユニット(U3)へ流通させる流通孔が複数形成される。フィルタカバー(33)の上面は、加湿ユニット(U3)に向かい合う。
【0046】
(5)加湿ユニット
図2及び
図3に示すように、加湿ユニット(U3)は、加湿フィルタ(40)、モータ(43)、タンク(60)及び貯留トレイ(50)を備える。
【0047】
(5-1)加湿フィルタ
加湿フィルタ(40)は、空気通路(AP)に配置される。加湿フィルタ(40)は、空気通路(AP)内の空気を加湿する。加湿フィルタ(40)は、円板状に形成される。加湿フィルタ(40)はモータ(43)の駆動により周方向に回転する。加湿フィルタ(40)は、回転することで貯留トレイ(50)に貯留する溶液が供給される。
【0048】
溶液を含んだ加湿フィルタ(40)は、空気通路(AP)の空気を加湿する。加湿フィルタ(40)は、フレーム(42)と気化フィルタ(41)とを有する。溶液は、室内空気の臭気を抑えるための薬剤と水とを含む。溶液は、加湿装置(1)の外部から貯留トレイ(50)内に投入される薬剤がタンク(60)から供給される水に溶けることで調製される。
【0049】
気化フィルタ(41)は、吸水性を有する気化材である。気化フィルタ(41)は、例えば不織布である。空気が溶液を含んだ気化フィルタを通過することで、該空気は加湿される。気化フィルタ(41)は、フレーム(42)の内側に固定される。
【0050】
フレーム(42)は、貯留トレイ(50)内の溶液を汲み上げると共に、溶液を気化フィルタ(41)に供給する複数の水汲み部(42a)を有する。複数の水汲み部(42a)は、フレーム(42)の外周面において周方向に並ぶ。
【0051】
具体的に、加湿フィルタ(40)の回転により、フレーム(42)の最下点を通過する水汲み部(42a)が貯留トレイ(50)内の溶液を汲み上げた後、フレーム(42)の最上点に向かって移動する途中で下方へ放水する。気化フィルタ(41)は、放出された溶液を吸水する。
【0052】
(5-2)貯留トレイ
貯留トレイ(50)は、加湿フィルタ(40)に供給する溶液を貯留する。貯留トレイ(50)は、加湿フィルタ(40)の下方に配置される。貯留トレイ(50)は、加湿フィルタ(40)の位置から扉部(18)に向かって概ね水平方向に延びるように形成される。貯留トレイ(50)の詳細は後述する。
【0053】
図4及び
図8に示すように、貯留トレイ(50)には、フロータ(55)及び抗菌部(56)が配置される。フロータ(55)及び抗菌部(56)は、溶液が貯留する貯水部(51)(詳細は後述する)に配置される。フロータ(55)は、貯留トレイ(50)内の水位の変動に連動して上下方向に動く。フロータ(55)は、貯留トレイ(50)内を前後方向に延びる部材である。フロータ(55)の前端部分には、タンク(60)の給水弁(66)に接触する接触部(55a)が設けられる。フロータ(55)の後端部分には、水位センサ(93)が水位を検出するためのフロート部(55b)が設けられる。フロータ(55)は、接触部(55a)とフロート部(55b)との間に設けられる軸部(57)により回動可能に貯留トレイ(50)に支持されており、接触部(55a)が上昇するとフロート部(55b)が下降し、接触部(55a)が下降するとフロート部(55b)が上昇するように構成される。抗菌部(56)は、抗菌剤を収容する。抗菌部(56)は、貯留トレイ(50)内の溶液中の雑菌の発生を抑える。抗菌部(56)は、フロータ(55)と加湿フィルタ(40)との間に配置される。
【0054】
(5-3)タンク
図3に示すように、タンク(60)は、タンク(60)は、ケーシング(10)内に配置されると共に、貯留トレイ(50)に給水する容器である。タンク(60)は概ね直方体に形成される。タンク(60)は、扉部(18)の内面に向かい合うように配置される。タンク(60)は、給水口(67)、突起部(65)、及び連通孔(64)を有する。タンク(60)は、扉部(18)の内面に固定されており、扉部(18)の開閉に伴って回動する。タンク(60)は、加湿装置(1)から着脱可能である。タンク(60)は、ケーシング(10)内に配置された状態において、貯留トレイ(50)上に載置される。
【0055】
給水口(67)は、タンク(60)の上面に形成される。給水口(67)はタンク(60)内に水を供給する開口である。タンク(60)への給水の詳細は後述する。
【0056】
突起部(65)は、タンク(60)の下面から下方に突出するように形成される。突起部(65)は、タンク(60)がケーシング(10)内に配置された状態において、貯留トレイ(50)の後述する設置部(52)に接する。これにより、タンク(60)は安定してケーシング(10)内に設置される。
【0057】
連通孔(64)は、タンク(60)底面の中央付近に形成される。連通孔(64)は、貯留トレイ(50)に水を供給する孔である。連通孔(64)は、タンク(60)内部と貯留トレイ(50)とを連通する。連通孔(64)は、突起部(65)よりも左側に配置される。連通孔(64)には、該連通孔(64)を開閉する給水弁(66)が設けられる。
【0058】
給水弁(66)は、貯留トレイ(50)内に貯留する水の液面高さ(水位)に応じて開閉する。具体的に、給水弁(66)は、フロータ(55)の上下移動に応じて開閉される。より具体的に、貯留トレイ(50)内の水位が所定水位より低下した時、フロータ(55)の接触部(55a)が給水弁(66)を押し上げる。これにより、給水弁(66)が開放されて、連通孔(64)から貯留トレイ(50)へ水が流出する。一方、貯留トレイ(50)内の水位が所定水位以上に達したとき、フロータ(55)の接触部(55a)が給水弁(66)から離れる。これにより、給水弁(66)は閉鎖されて、連通孔(64)からの水の流出が停止する。
【0059】
(6)センサ
図5に示すように、加湿装置(1)は、温度センサ(91)、湿度センサ(92)及び水位センサ(93)を備える。温度センサ(91)は、室内温度を検出する。湿度センサ(92)の室内空気の相対湿度を検出する。温度センサ(91)及び湿度センサ(92)は、吸込口(15)付近に配置される。水位センサ(93)は、貯留トレイ(50)内の水位を検出する。具体的に、水位センサ(93)は、水位変化に応じて上下移動するフロータ(55)のフロート部(55b)の高さ位置を検出する。
【0060】
(7)制御部
図5に示すように、加湿装置(1)は、制御部(C)を有する。制御部(C)は、加湿装置(1)の運転を制御する。制御部(C)には、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイスとが設けられる。制御部(C)は、加湿装置(1)の各種の機器と有線または無線により接続される。
【0061】
(8)タンクへの給水方法
タンク(60)は、給水口(67)を外部に露出させることで給水可能である。以下タンク(60)への給水方法について説明する。
【0062】
扉部(18)を閉じた状態(
図6(A))から、扉部(18)を手前に引くことで扉部(18)の上端が開き、タンク(60)は扉部(18)と共に手前側に傾斜していく。扉部(18)が第1角度に傾斜したとき、給水口(67)は、完全に外部に露出される(
図6(B))。タンク(60)はこの姿勢で維持され、給水できる状態となる。ユーザは、給水用の所定の容器を用いてタンク(60)に給水する。
【0063】
さらに、タンク(60)は、加湿装置(1)からタンク(60)を取り外しても給水できる。具体的に、タンク(60)が第1角度に傾斜した状態で、タンク(60)は扉部(18)と共に取り外される(
図6(C))。ユーザは、タンク(60)を蛇口に持っていきタンク(60)に給水する。
【0064】
(9)加湿装置の運転
次に、本実施形態の加湿装置(1)の各種の運転について説明する。
【0065】
(9-1)加湿運転
加湿運転は、吸い込んだ室内空気を加湿して、再び室内空間に吹き出す運転である。加湿運転が選択されると、ファン(21)及び加湿フィルタ(40)が回転する。制御部(C)は、設定された目標湿度、風量等に基づいて、ファンモータ(22)及びモータ(43)を制御する。
【0066】
吸込口(15)から空気通路(AP)に取り込まれた室内空気は、空気清浄ユニット(U2)を通過することで清浄化される。空気清浄ユニット(U2)を通過した空気は加湿ユニット(U3)に流入する。
【0067】
加湿ユニット(U3)に流入した空気は、加湿フィルタ(40)を通過することで加湿される。このとき、加湿フィルタ(40)から水分が奪われるが、加湿フィルタ(40)が回転することで複数の水汲み部(42a)により貯留トレイ(50)の水が順に汲み上げられ、気化フィルタ(41)は給水される。これにより、加湿フィルタ(40)を通過する空気に水分を供給し続ける。
【0068】
加湿ユニット(U3)で加湿された空気は、吹出口(14)から室内に向かって吹き出される。なお、本実施形態の加湿運転では、以下に説明する空気清浄運転も同時に行われる。
【0069】
(9-2)空気清浄運転
空気清浄運転は、吸い込んだ室内空気を清浄化して、再び室内空間に吹き出す運転である。操作部(16)において空気清浄運転が選択されると、ファン(21)が回転する。制御部(C)は、設定された風量等に基づいて、ファンモータ(22)を制御する。
【0070】
吸込口(15)から空気通路(AP)に取り込まれた室内空気は、空気清浄ユニット(U2)を通過することで清浄化される。空気清浄ユニット(U2)を通過した空気は加湿ユニット(U3)に流入する。
【0071】
加湿ユニット(U3)へ流入した空気は、加湿ユニット(U3)を通過する。加湿フィルタ(40)は停止しているため、加湿フィルタ(40)を通過する空気は加湿されない。加湿ユニット(U3)を通過した空気は、吹出口(14)から室内に吹き出される。
【0072】
(10)トレイの詳細
図3及び
図7を参照しながら、貯留トレイ(50)の構成について説明する。貯留トレイ(50)は、貯水部(51)と設置部(52)とを有する。貯留トレイ(50)の底面には、概ね上下方向に延びる段差部(59)が形成される。段差部(59)により、貯留トレイ(50)は貯水部(51)と設置部(52)とに分けられる。貯水部(51)の底面及び設置部(52)の底面は、貯留トレイ(50)の底面を構成する。以下の説明では、貯水部(51)の底面を単に「貯水部(51)」と呼び、設置部(52)の底面を単に「設置部(52)」と呼ぶ場合がある。
【0073】
(10-1)貯水部
貯水部(51)は、設置部(52)よりも低い高さ位置に配置される。すなわち、貯水部(51)は、貯留トレイ(50)の底面の凹んだ領域である。貯水部(51)は、タンク(60)から給水されると共に溶液を貯留する。貯水部(51)は、貯留した溶液を加湿フィルタ(40)に供給する。具体的に、貯水部(51)において、タンク(60)から供給された水と薬剤が混ざり合うことで溶液が調製され、調製された溶液は加湿フィルタ(40)に供給される。
【0074】
貯留トレイ(50)は、溶液の流れ方向の上流端にタンク(60)が配置されると共に、下流端に加湿フィルタ(40)が配置されるように構成される。具体的に、貯水部(51)の一端(右端)近傍に、タンク(60)の給水弁(66)が位置する。貯水部(51)の他端(左端)近傍に、加湿フィルタ(40)が位置する。
【0075】
貯水部(51)は、第1貯水部(51a)と第2貯水部(51b)とに分けられる。第1貯水部(51a)は、フロータ(55)と抗菌部(56)とが配置される領域である。第2貯水部(51b)は、加湿フィルタ(40)の下方に配置される領域である。第1貯水部(51a)と第2貯水部(51b)とは連通路(58)によって連通する。
【0076】
貯水部(51)において、タンク(60)の給水弁(66)は所定の高さ位置に配置される。給水弁(66)はフロータ(55)によって開閉される。このため、貯水部(51)において、溶液の水位は給水弁(66)の高さ位置を超えることが制限される。すなわち、貯水部(51)の溶液が設置部(52)に溢れることが制限される。
【0077】
(10-2)設置部
設置部(52)は、タンク(60)が設置される領域である。具体的に、設置部(52)の一部分にタンク(60)の突起部(65)が接する。設置部(52)は、貯留トレイ(50)の底面の右端に沿って前後方向に延びると共に、該底面の前後方向の中央よりも後ろ寄りに広がる領域である。設置部(52)には、タンク(60)の突起部(65)が載置される。タンク(60)が設置部(52)に設置された状態において、設置部(52)の左端の段差部(59)は、タンク(60)の連通孔(64)と突起部(65)との間に位置する。
【0078】
(10-3)周壁
貯留トレイ(50)は、貯留トレイ(50)の底面を囲う周壁(53,54)を有する。周壁(53,54)は、第1周壁(53)及び第2周壁(54)を有する。第1周壁(53)及び第2周壁(54)は、上から見てそれぞれ概ね矩形に形成される。第1周壁(53)は、貯留トレイ(50)の底面うち第1貯水部(51a)及び設置部(52)とを囲う。第2周壁(54)は、底面のうち第2貯水部(51b)を囲う。第1周壁(53)と第2周壁(54)とは左右方向に隣り合う。
【0079】
第1周壁(53)の左側面は、加湿フィルタ(40)を通過する空気流れの抵抗を抑制するように形成される。具体的に、第1周壁(53)の左側壁(53a)は、加湿フィルタ(40)のフレーム(42)の外周縁に沿って切り欠くように形成される。別の言い方をすると、第1周壁(53)の左側壁(53a)は、加湿フィルタ(40)を通る空気の流れ方向(左右方向)から見て、フレーム(42)よりも外側に位置するように形成される。第1周壁(53)の左側壁(53a)は、貯留トレイ(50)の前端部と後端部とに形成される。
【0080】
(11)薬剤投入部
貯留トレイ(50)には、薬剤が投入される薬剤投入部(70)が配置される。薬剤投入部(70)は、貯水部(51)に配置される。具体的に、薬剤投入部(70)は、貯留トレイ(50)のうち加湿フィルタ(40)よりもタンク(60)寄りに配置される。別の言い方をすると、薬剤投入部(70)は、貯留トレイ(50)において、加湿フィルタ(40)よりも開口(19)または扉部(18)の方に近い位置に形成される。別の言い方をすると、薬剤投入部(70)は、貯水部(51)のうち溶液の流れ方向において中央よりも上流側に形成される。
【0081】
より具体的に、薬剤投入部(70)は、貯水部(51)における溶液の流れ方向の上流端に配置される。薬剤投入部(70)は、貯水部(51)の右端に配置される。薬剤投入部(70)は、上から見て概ね矩形に形成される。薬剤投入部(70)は、貯水部(51)から立ち上がる壁部により貯水部(51)の一部が仕切られるように形成される。このように、薬剤投入部(70)は、貯留トレイ(50)内の一部を区画するように設けられる。
【0082】
薬剤投入部(70)は、貯留トレイに投入される薬剤を計量に可能に形成される。貯留トレイ(50)に投入される薬剤の量は予め決まっている。薬剤の投入量が多いと溶け残りが生じ、少ないと異臭抑制効果が低い。そのため適切な量の薬剤を投入することが好ましい。薬剤投入部(70)は、一度の投入される薬剤の投入量が適量(適切な量)となる大きさに形成される。具体的に、薬剤投入部(70)の壁部は、一度の投入される薬剤の投入量が適量(適切な量)となるように設けられる。
【0083】
(12)室内空気の異臭に関する課題
加湿運転中において、加湿装置(1)に吸い込まれた室内空気に含まれる臭気は、空気清浄ユニット(U2)の脱臭フィルタにより捕捉されるが、一部の臭気は脱臭フィルタを通過し、加湿ユニット(U3)を通過する際に気化フィルタ(41)に含まれる水に取り込まれる。気化フィルタ(41)内の水の一部が気化せず再び貯留トレイ(50)内の水に触れることで、貯留トレイ(50)内の水に臭気成分が移り、臭気成分が蓄積されてしまう。また、気化フィルタ(41)が乾くと、該気化フィルタ(41)内の臭気成分が空気通路(AP)内の空気に放出され、室内に臭気が流入してしまう。
【0084】
このような加湿装置(1)内に取り込まれた臭気に対する異臭対策として、貯留トレイ(50)内の貯留水に異臭を抑制する薬剤を投入することが考えられる。しかし、薬剤の異臭を抑える効果には限りがあるため、適切な時期に新たに薬剤を投入する必要があるが、ユーザがこのような“適切な時期”を把握できる手段を講じることまでは検討されてこなかった。
【0085】
これに対して、本実施形態の加湿装置(1)は、貯留トレイ(50)内の薬剤の状態をユーザに認識させる支援手段(S)を備える。以下、支援手段について具体的に説明する。
【0086】
(13)支援手段
支援手段(S)は、空気中の臭気成分と薬剤との反応による溶液の変色によるものである。薬剤は、溶液中に取り込まれた臭気成分と反応することで、臭気成分は分解または臭気を含まない成分に変化する。反応が進むにつれて溶液の変色も進む。すなわち臭気成分の反応量が増加するにつれて溶液の色が変化する。一例として、薬剤は、アミン化合物を含む。例えば、臭気性を有する物質であるアセトアルデヒド類と本実施形態の薬剤に含まれるアミン化合物とが反応すると、臭気性が抑えられると共に薬剤は有色に変化する。
【0087】
一回で投入される薬剤が反応可能な臭気成分の量には限度がある。本実施形態の薬剤は、溶液が変色しきった時点で臭気成分との反応が停止する。溶液が変色しきった時点とは、溶液の色がそれ以上変化しなくなる時点をいう。例えば、薬剤投入時に無色であった溶液の色が、反応が進むにつれて青色から濃い青色へ変化するとする。溶液が変色しきった時点は、溶液の色が濃い青色にまで変化した時点をいう。
【0088】
さらに本実施形態の支援手段(S)は、溶液の色の変化を加湿装置(1)の外部から視認できる。具体的に、
図8に示すように、貯留トレイ(50)は、タンク(60)の給水口(67)を外部に露出させた状態で外部からユーザが視認できる位置にある。より具体的に、貯留トレイ(50)内の貯水部(51)にある溶液は、扉部(18)を開いた状態で、開口(19)を介して外部からユーザにより視認できる。
【0089】
給水口(67)を外部に露出させた状態は、扉部(18)を開くことで開口(19)を介して外部から貯留トレイ(50)を視認可能な状態であればよい。例えば、給水口(67)を外部に露出させた状態は、第1角度までタンク(60)を傾けた状態であってもよいし、タンク(60)をケーシング(10)から取り外した状態であってもよい。さらに、給水口(67)を外部に露出させた状態は、タンク(60)を給水するときに限らず、ケーシング(10)内から貯留トレイ(50)を取り外すために、タンク(60)を扉部(18)と共に貯留トレイ(50)を開口(19)から取り外した状態であってもよい。
【0090】
(14)実施形態の効果
(14-1)効果1
本実施形態の加湿装置(1)は、貯留トレイ(50)中の薬剤の状態をユーザに認識させる支援手段(S)を有する。
【0091】
これにより、ユーザは溶液中の薬剤の状態を把握できるため、適切な時期に新たな薬剤を投入できる。すなわち、溶液中の薬剤が異臭を抑える効果がなくなった時点で、新たな薬剤を投入可能となる。
【0092】
(14-2)効果2
本実施形態の加湿装置(1)では、タンク(60)は、該タンク(60)の給水口(67)を外部に露出させることで給水可能であり、貯留トレイ(50)は、給水口(67)を外部に露出させた状態で外部からユーザが視認できる位置にある。
【0093】
これにより、タンク(60)に給水する際に、外部から貯留トレイ(50)内の薬剤の状態を容易に視認できる。このように、タンク(60)に給水する毎に薬剤の状態を確認できるため、ユーザはわざわざ薬剤の状態を確認する動作のみを行う必要がなく、薬剤の確認を怠ってしまうことを抑制できる。
【0094】
(14-3)効果3
本実施形態の加湿装置(1)では、貯留トレイ(50)には、薬剤が投入される薬剤投入部(70)が配置される。
【0095】
これにより、ユーザはどこに薬剤を投入すればよいか容易に認識できる。直接トレイに薬剤が投入されるため、他の部位に薬剤が付着することなく薬剤全量を貯留トレイ(50)に投入できる。また、他の部位に薬剤が付着することによる装置の故障を抑えることができる。
【0096】
(14-4)効果4
本実施形態の加湿装置(1)では、薬剤投入部(70)は、貯留トレイ(50)のうち加湿フィルタ(40)よりもタンク(60)寄りに配置される。
【0097】
貯留トレイ(50)内の溶液は、タンク(60)から加湿フィルタ(40)に向かって流れる。薬剤投入部(70)をタンク(60)近傍に配置されることで、薬剤は、溶液流れの上流端付近から水に溶解しながら下流端に向かう。これにより、薬剤が溶けきる前に下流端の加湿フィルタ(40)に供給されてしまうことを抑制できる。このように、薬剤は均一に水に溶解でき、溶液中の濃度ムラや薬剤の溶け残りの発生を抑えることができる。
【0098】
(14-5)効果5
本実施形態の加湿装置(1)では、薬剤投入部(70)は、貯留トレイ(50)内の一部を区画するように設けられる。
【0099】
これにより、薬剤の投入位置が明確となり、ユーザはどこに薬剤を投入すればよいか容易に認識できる。
【0100】
(14-6)効果6
本実施形態の加湿装置(1)では、薬剤投入部(70)は、投入される薬剤を計量可能に形成される。
【0101】
これにより、薬剤を投入すると同時に必要量を量ることができるため、投入前に薬剤の分量を量る手間を省くことができる。常に一定の量の薬剤を投入できる。
【0102】
(14-7)効果7
本実施形態の加湿装置(1)では、貯留トレイ(50)は、タンク(60)が設置される設置部(52)(設置部)と、タンク(60)からの水を貯留する貯水部(51)(貯水部)とを有する。貯水部(51)は、設置部(52)よりも低い高さ位置に配置され、薬剤投入部(70)は、貯水部(51)に配置される。
【0103】
これにより、薬剤投入部(70)に投入された薬剤は、貯水部(51)に供給される水に直接触れるため、薬剤は乾くことなく全量水に溶解される。これにより、例えば薬剤が乾くことでタンク(60)の給水口(67)付近が目詰まりを起こしてしまうことを抑制できる。
【0104】
(14-8)効果8
本実施形態の加湿装置(1)では、支援手段(S)は、空気中の臭気成分と前記薬剤との反応による溶液の変色による。
【0105】
これにより、ユーザは容易に溶液の状態を認識できる。溶液の状態を検知する装置等が不要であるため装置の部品点数を抑えることができると共に製品コストを抑えることができる。
【0106】
(15)変形例
以下の加湿装置の変形例において、上記実施形態の加湿装置(1)と異なる構成について説明する。
【0107】
(15-1)変形例1
変形例1の加湿装置(1)の支援手段は、報知部(24)である。変形例1の報知部(24)は、薬剤投入からの時間の経過に基づいてユーザに報知する。別の言い方をすると、報知部(24)は、薬剤を薬剤投入部(70)に投入してから所定期間が経過すると、ユーザに薬剤を補充する旨を報知する。
【0108】
報知は、報知部(24)上のディプレイ上の表示によるものであってもよいし、アラームまたは音声などの発報による報知であってもよい。所定期間は、薬剤が薬剤投入部(70)に投入された時点から、一定時間の経過時までである。
【0109】
例えば、一定時間は、例えば、加湿装置(1)の運転の累積時間に基づいてもよいし、加湿運転の累積時間に基づいてもよい。薬剤が薬剤投入部(70)に投入された時点は、制御部(C)が、薬剤投入部(70)に薬剤が投入されたと認識した時である。例えば、薬剤が薬剤投入部(70)に投入された後に、ユーザの操作に基づいて操作部(16)から出力された所定の信号を制御部(C)が受信した時、制御部(C)は薬剤投入部(70)に薬剤が投入されたと認識する。制御部(C)は、薬剤投入部(70)に薬剤が投入された時点から一定時間経過すると、その旨を報知部(24)に出力し、報知部(24)は、ユーザに薬剤を補充する旨を報知する。
【0110】
これにより、ユーザは薬剤の状態を自ら確認しに行かなくても、薬剤の状態を把握できると共に、適切な時期に薬剤を投入できる。
【0111】
(15-2)変形例2
変形例2の加湿装置(1)の支援手段は、報知部(24)である。変形例2の報知部(24)は、溶液の色の変化の度合いに基づいてユーザに報知する。例えば、変形例2の加湿装置(1)には、色の変化を検知する所定のセンサ(図示省略)が貯留トレイ(50)に配置される。センサは、溶液の色を示す信号を制御部(C)に出力する。制御部(C)は、センサから受信する信号の変化に基づいて、溶液の色の変化を認識する。
【0112】
このように変形例2の制御部(C)は、センサの出力信号に基づいて溶液の色が所定値以上変化したと判断したとき、報知部(24)に所定の信号を出力する。所定の信号を受信した報知部(24)は、薬剤を補充する旨をユーザに報知する。これにより、上記変形例1と同様に、ユーザは薬剤の状態を自ら確認しに行かなくても、薬剤の状態を把握できると共に、適切な時期に薬剤を投入できる。
【0113】
(15-3)変形例3
変形例3の加湿装置(1)では、扉部(18)を開けなくても外部から薬剤の状態を視認できる小窓(図示省略)がケーシング(10)に形成される。小窓は、貯留トレイ(50)内の溶液の状態が外部から視認できるように側板(13)のいずれかに形成される。これにより、ユーザは薬剤の状態を容易に把握できる。
【0114】
(16)その他の実施形態
上記実施形態及び各変形例については、以下のような構成としてもよい。
【0115】
薬剤は、反応により溶液の色を変化させるものでなくてもよく、溶液中の薬剤の反応の度合いを示すものであればよい。
【0116】
薬剤投入部(70)は、貯水部(51)の一部を区画するように形成されていなくてもよい。例えば、薬剤投入部(70)は、薬剤を投入する位置を示すマークであってもよい。マークは貯水部(51)の右端近傍に付される。また、薬剤投入部(70)は、貯留部(50,60)全体であってもよい。すなわち、薬剤投入部(70)は、貯留部(50,60)の一部を区画するように設けられていなくてもよい。
【0117】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上説明したように、本開示は、加湿装置について有用である。
【符号の説明】
【0119】
1 加湿装置
10 ケーシング
14 吹出口
15 吸込口
21 ファン(搬送部)
24 報知部
40 加湿フィルタ
50 貯留トレイ
51 貯水部
52 設置部
60 タンク
67 給水口
70 薬剤投入部
AP 空気通路
S 支援手段