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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125772
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】電気治療器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033827
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】喜多山 和也
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053JJ02
4C053JJ06
4C053JJ18
4C053JJ24
(57)【要約】
【課題】ユーザが感じる電気刺激の変化を一定にすることが可能な電気治療器を提供する。
【解決手段】電気治療器は、ユーザの身体の部位に接触される複数の電極と、部位に与えられる電気刺激強度を段階的に調整する操作入力を受け付ける操作入力部と、操作入力に応じて、複数の電極への印加電圧または印加電流を制御することにより部位に電気刺激を与える刺激制御部とを備える。刺激制御部は、電気刺激強度が1段階変化する毎に、複数の電極への印加電力が所定値ずつ変化するように印加電圧または印加電流を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体の部位に接触される複数の電極と、
前記部位に与えられる電気刺激強度を段階的に調整する操作入力を受け付ける操作入力部と、
前記操作入力に応じて、前記複数の電極への印加電圧または印加電流を制御することにより前記部位に電気刺激を与える刺激制御部とを備え、
前記刺激制御部は、前記電気刺激強度が1段階変化する毎に、前記複数の電極への印加電力が所定値ずつ変化するように前記印加電圧または印加電流を制御する、電気治療器。
【請求項2】
前記刺激制御部は、前記電気刺激強度が最高刺激強度に到達するまで前記電気刺激強度が1段階変化する毎に、前記印加電力が前記所定値ずつ変化するように前記印加電圧または印加電流を制御する、請求項1に記載の電気治療器。
【請求項3】
前記刺激制御部は、
前記電気刺激強度が所定刺激強度に到達するまでは前記電気刺激強度が1段階変化する毎に、前記印加電圧または印加電流を一定値ずつ変化させ、
前記電気刺激強度が前記所定刺激強度に到達した後は前記電気刺激強度が1段階変化する毎に、前記印加電力が前記所定値ずつ変化するように前記印加電圧または印加電流を制御する、請求項1に記載の電気治療器。
【請求項4】
前記刺激制御部は、
前記電気刺激強度が第1刺激強度に到達するまでは前記電気刺激強度が1段階変化する毎に前記印加電圧または印加電流を第1の値ずつ変化させ、
前記電気刺激強度が前記第1刺激強度に到達してから前記第1刺激強度よりも大きい第2刺激強度に到達するまでは、前記電気刺激強度が1段階変化する毎に前記印加電圧または印加電流を前記第1の値よりも小さい第2の値ずつ変化させ、
前記電気刺激強度が前記第2刺激強度に到達した後は、前記電気刺激強度が1段階変化する毎に前記印加電力が前記所定値ずつ変化するように前記印加電圧または印加電流を制御する、請求項1に記載の電気治療器。
【請求項5】
前記複数の電極を用いて、前記部位の生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部をさらに備え、
前記刺激制御部は、前記生体インピーダンスに基づいて、前記電気刺激強度が1段階変化する毎に前記印加電力を前記所定値ずつ変化させるための前記印加電圧または印加電流を算出する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気治療器。
【請求項6】
前記電気治療器は、低周波治療器である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コリや痛みを緩和する電気治療器が知られている。このような電気治療器は、患部に電極を接触させ、当該電極を介して筋肉等に対して電気信号を出力することにより刺激を与える。
【0003】
例えば、特開2016-49241号公報(特許文献1)は、電気刺激を与える電極部と、酸素濃度に応じて変化する測定信号を出力する光電センサと、筋肉の組成に関する情報を出力する操作兼表示部と、電極部に電気刺激を出力させることにより得られる測定信号が反映された情報を操作兼表示部に出力させる制御部とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-49241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る技術では、第1の電極と第2の電極との間の電圧が高くなるにつれて電気刺激の強度は大きくなり、電圧が低くなるにつれて電気刺激の強度は小さくなることが開示されており、ユーザは操作兼表示部を介して電気刺激の強度を調整するものと考えられる。
【0006】
従来、電気治療器においては、ユーザが操作入力部を介して段階的に調整する電気刺激レベル(例えば、レベル1~10等)の変化に対して、出力電圧あるいは出力電流を比例して変化させている。しかしながら、このような電気治療器では、電気刺激レベルが高い領域では、電気刺激レベルが1段階変化する毎に実際にユーザが感じる電気刺激の変化が大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
本開示は、ある局面では、ユーザが感じる電気刺激の変化を一定にすることが可能な電気治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一例では、電気治療器は、ユーザの身体の部位に接触される複数の電極と、部位に与えられる電気刺激強度を段階的に調整する操作入力を受け付ける操作入力部と、操作入力に応じて、複数の電極への印加電圧または印加電流を制御することにより部位に電気刺激を与える刺激制御部とを備える。刺激制御部は、電気刺激強度が1段階変化する毎に、複数の電極への印加電力が所定値ずつ変化するように印加電圧または印加電流を制御する。
【0009】
上記構成によると、ユーザが感じる電気刺激の変化を一定にすることが可能となる。
本開示の他の例では、刺激制御部は、電気刺激強度が最高刺激強度に到達するまで電気刺激強度が1段階変化する毎に、印加電力が所定値ずつ変化するように印加電圧または印加電流を制御する。
【0010】
上記構成によると、ユーザに対する急激な電気刺激の変化を抑えることができる。
本開示の他の例では、刺激制御部は、電気刺激強度が所定刺激強度に到達するまでは電気刺激強度が1段階変化する毎に、印加電圧または印加電流を一定値ずつ変化させ、電気刺激強度が所定刺激強度に到達した後は電気刺激強度が1段階変化する毎に、印加電力が所定値ずつ変化するように印加電圧または印加電流を制御する。
【0011】
上記構成によると、電気治療時に頻繁に利用され、電気刺激変化に対しての感度が高くなる所定刺激強度以降において、ユーザが感じる電気刺激の変化を一定にできる。
【0012】
本開示の他の例では、刺激制御部は、電気刺激強度が第1刺激強度に到達するまでは電気刺激強度が1段階変化する毎に印加電圧または印加電流を第1の値ずつ変化させ、電気刺激強度が第1刺激強度に到達してから第1刺激強度よりも大きい第2刺激強度に到達するまでは、電気刺激強度が1段階変化する毎に印加電圧または印加電流を第1の値よりも小さい第2の値ずつ変化させ、電気刺激強度が第2刺激強度に到達した後は、電気刺激強度が1段階変化する毎に印加電力が所定値ずつ変化するように印加電圧または印加電流を制御する。
【0013】
上記構成によると、電気治療時に頻繁に利用され、電気刺激変化に対しての感度が高くなる所定刺激強度以降において、ユーザが感じる電気刺激の変化を一定にできる。
【0014】
本開示の他の例では、電気治療器は、複数の電極を用いて、部位の生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部をさらに備える。刺激制御部は、生体インピーダンスに基づいて、電気刺激強度が1段階変化する毎に印加電力を所定値ずつ変化させるための印加電圧または印加電流を算出する。
【0015】
上記構成によると、ユーザの身体の部位の生体インピーダンスを測定することにより、ユーザが感じる電気刺激の変化を精度よく一定に保つことができる。
【0016】
本開示の他の例では、電気治療器は、低周波治療器である。
上記構成によると、ユーザはより適切な周波数範囲で治療を受けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示に係る電気治療器によると、ユーザが感じる電気刺激の変化を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施の形態に従う電気治療器を示す図である。
図2】電気治療器の外観の一例を示す図である。
図3】電気治療器のハードウェア構成の一例を表わすブロック図である。
図4】比較例に従う電気刺激強度に対する印加電圧および印加電力の関係を示す図である。
図5】本実施の形態に従う電気刺激強度に対する印加電圧および印加電力の関係を示す図である。
図6】本実施の形態の変形例1に従う電気刺激強度に対する印加電圧および印加電力の関係を示す図である。
図7】本実施の形態の変形例2に従う電気刺激強度に対する印加電圧および印加電力の関係を示す図である。
図8】本実施の形態の変形例3に従う電気刺激強度に対する印加電圧および印加電力の関係を示す図である。
図9】本実施の形態に従う電気治療器の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
[適用例]
図1を参照して、本発明の適用例について説明する。図1は、本実施の形態に従う電気治療器200を示す図である。
【0021】
図1を参照して、電気治療器200は、本体部である制御機器205と、治療部位(例えば、膝部)に貼り付けるための一対のパッド270とを含む。制御機器205とパッド270とは、コードにより電気的に接続される。サポータ40は、ユーザの膝部全体を覆う膝用のサポータである。
【0022】
電気治療器200は、例えば、低周波パルス電流を供給することで、ユーザの膝の痛みの緩和、および肩凝りをほぐす等の治療を行なう低周波治療器である。低周波パルス電流の周波数は、例えば、1Hz~1200Hzである。
【0023】
パッド270は、シート状の形状を有し、ユーザの身体に取り付けられる。パッド270の一方の面(身体と接触しない面)には、他方の面(身体と接触する面)に形成されている電極(図示しない)に対応したプラグが設けられている。電極は、例えば、導電性のゲル状材料等により形成される。
【0024】
制御機器205は、操作入力部302と、刺激制御部304とを含む。
操作入力部302は、ユーザから治療内容に関する各種指示を受け付ける。具体的には、操作入力部302は、ユーザから電気刺激強度の調整指示を受け付ける。電気刺激強度は、複数の段階で設定可能である。本実施の形態では、例えば、電気刺激強度は、最小強度のレベル1から最大強度のレベル20までの20段階で設定可能であるとする。ユーザは、操作入力部302を用いて、電気刺激強度のレベルを増減することにより所望の電気刺激強度を設定することができる。
【0025】
刺激制御部304は、操作入力部302を介した電気刺激強度の調整指示に応じて、一対のパッド270に設けられた電極への印加電圧を変化させる。具体的には、刺激制御部304は、電気刺激強度が1段階増減するごとに、印加電圧の電圧値を増減させる。なお、刺激制御部304は、電気刺激強度が1段階増減するごとに、一対のパッド270に設けられた電極への印加電流の電流値を増減させてもよい。
【0026】
ここで、人体のインピーダンスをZB、治療時に人体に印加される電圧および電流をそれぞれVB、IBとすると、オームの法則より、“VB=ZB×IB”が成立する。一対のパッド270が取り付けられる部位(患部)のインピーダンスは一定と考えると、VBはIBに比例することになり、電圧を変化させることと電流を変化させることは同義である。従来では、電気刺激強度の変化に対して電圧もしくは電流を比例して変化させる制御が行なわれていた。
【0027】
人体刺激感覚には感覚神経および運動神経による知覚がある。患者は、運動神経による筋収縮の知覚に基づいて電気刺激を調整している傾向がある。この場合、電気刺激の感じ方は電圧または電流の変化に対して1次関数的ではなく、2次関数的に変化する。ここで、人体に印加(供給)される電力(エネルギー)をPBとすると、式(1)が成立する。
【0028】
PB=VB/ZB=ZB×IB …(1)
式(1)より、電力は電圧または電流に対して2次関数的に変化するため、電気刺激の感じ方は電力に依存すると考えられる。したがって、従来のように、電気刺激強度の変化に対して電圧もしくは電流を比例して変化させる場合には、電気刺激が2次関数的に変化してしまう。この場合、電気刺激強度が大きくなるにつれて電気刺激の感じ方が急峻となってしまい、患者は所望の電気刺激に調整することが難しい場合がある。なお、電気刺激強度の調整段数を多くすれば電気刺激を細かく調整することができるが、所望の電気刺激に到達するまでの操作が煩雑となり(例えば、操作回数が多くなる等)、利便性が損なわれてしまう。
【0029】
そこで、本実施の形態に係る電気治療器200では、電気刺激強度の変化に対してユーザの患部に印加される(すなわち、一対のパッド270の電極に印加される)印加電力が比例して変化するように構成されている。具体的には、刺激制御部304は、電気刺激強度が1段階変化する毎に、電極への印加電力が所定値ずつ変化するように、電極への印加電圧または印加電流を制御する。
【0030】
当該構成によると、電気刺激強度の変化に対してユーザの患部への印加電力(エネルギー)の変化が一定になるため、ユーザが電気刺激強度を1段階変化させる毎にユーザが感じる電気刺激の変化を一定にすることができる。そのため、ユーザに対する急激な電気刺激の変化を抑えることができる。また、電気刺激強度の調整段数を多くする等の構成も不要となる。
【0031】
以下では説明の容易化のため、制御機器205は、基本的に、一対のパッド270への印加電圧を制御する構成について説明する。ただし、制御機器205は、一対のパッド270への印加電流を制御する構成であってもよい。
【0032】
[構成例]
(外観)
図2は、電気治療器200の外観の一例を示す図である。図2を参照して、電気治療器200は、制御機器205と、一対のパッド270と、制御機器205とパッド270とを電気的に接続するためのコード280とを含む。
【0033】
コード280のプラグ282とパッド270側のプラグとを接続し、コード280を制御機器205のジャックに差し込むことにより、制御機器205とパッド270とが接続される。なお、一方のパッド270に形成されている電極の極性がプラスの場合、他方のパッド270に形成されている電極の極性はマイナスとなる。
【0034】
制御機器205には、各種ボタンで構成される操作インターフェイス230と、ディスプレイ260とが設けられている。操作インターフェイス230は、電源のオン/オフを切り替えるための電源ボタン232、治療モードの選択を行うためのモード選択ボタン234と、治療開始ボタン236と、電気刺激強度の調整を行うための調整ボタン238とを含む。
【0035】
ディスプレイ260には、電気刺激強度、治療の残り時間、治療モード、パッド270の装着状態等が表示されたり、各種メッセージが表示されたりする。
【0036】
(ハードウェア構成)
図3は、電気治療器200のハードウェア構成の一例を表わすブロック図である。図3を参照して、電気治療器200の制御機器205は、プロセッサ210と、メモリ220と、操作インターフェイス230と、電源部240と、波形生成出力装置250と、ディスプレイ260とを含む。制御機器205は、一対のパッド270に接続される。
【0037】
プロセッサ210は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Multi Processing Unit)といった演算処理部である。プロセッサ210は、メモリ220に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、電気治療器200の各部の動作を制御する制御部として機能する。プロセッサ210は、当該プログラムを実行することによって、電気治療器200の処理の各々を実現する。
【0038】
メモリ220は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリなどによって実現される。メモリ220は、プロセッサ210によって実行されるプログラム、またはプロセッサ210によって用いられるデータなどを記憶する。
【0039】
操作インターフェイス230は、電気治療器200に対する操作入力を受け付け、上述したような各種ボタンより構成される。ユーザによって、各種ボタンが操作されると、当該操作による信号がプロセッサ210に入力される。
【0040】
電源部240は、電気治療器200の各構成要素に電力を供給する。電源としては、例えば、アルカリ乾電池、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池、あるいはACアダプタ等が用いられ、電池電圧を安定化して各構成要素に供給する駆動電圧を生成する。
【0041】
波形生成出力装置250は、パッド270を介してユーザの身体の治療部位に流れる電流を出力する。波形生成出力装置250は、昇圧回路、電圧調整回路、出力回路、電流検出回路等を含む。
【0042】
昇圧回路は、電源電圧を所定の電圧に昇圧する。電圧調整回路は、昇圧回路により昇圧された電圧を、ユーザにより設定された電気刺激強度に対応する電圧に調整する。具体的には、電気治療器200では、調整ボタン238により所定数のレベル(例えば、20レベル)で、電気刺激強度の調整が設定可能である。例えば、電源ボタン232を選択して電気治療器200の電源をONにした後、調整ボタン238を1回押下すると電気刺激強度がレベル1に設定される。
【0043】
典型的には、プロセッサ210は、調整ボタン238における増加ボタンを1回押下する操作(増加操作)に応じて電気刺激強度のレベルを1段階上げ、調整ボタン238における減少ボタンを1回押下する操作(減少操作)に応じて電気刺激強度のレベルを1段階下げる制御を実行する。なお、プロセッサ210は、増加ボタンの長押し操作(例えば、1秒以上押す操作)が継続している期間においてレベルを1段階ずつ上げてもよいし、減少ボタンの長押し操作が継続している期間においてレベルを1段階ずつ下げてもよい。
【0044】
プロセッサ210は、調整ボタン238を介して電気刺激強度の設定入力を受け付け、当該受け付けた電気刺激強度に対応する電圧に調整するように波形生成出力装置250(電圧調整回路)に指示する。
【0045】
出力回路は、電圧調整回路により調整された電圧に基づいて、治療モードに応じた治療波形(パルス波形)を生成し、当該治療波形をコード280を介してパッド270(の電極)に出力する。具体的には、操作インターフェイス230を介して、ユーザにより、治療モードの切替、電気刺激強度の変更等の操作が行われると、その操作内容に応じた制御信号がプロセッサ210から出力回路に入力される。出力回路は、当該制御信号に従う治療波形を出力する。
【0046】
ここで、電気治療器200には、複数の治療モードが予め用意されている。例えば、治療モードとしては、「もみ」、「たたき」、「押し」モード等が挙げられる。
【0047】
出力回路は、パルスの波形(パルス幅、パルス間隔、周波数、出力極性を含む)等を変化させることにより、「もみ」、「たたき」、「押し」といった様々なモードに対応する電気刺激を生成できる。具体的なパルス電圧波形については、公知の波形を利用することができる。
【0048】
電流検出回路は、一対のパッド270間に流れる電流の値を検出し、当該検出された値を示す信号をプロセッサ210に入力する。具体的には、プロセッサ210は、生体インピーダンス測定用の微小電流をユーザの身体の治療部位に流すために、一対のパッド270間に微小電圧を印加するように波形生成出力装置250(電圧調整回路)に指示する。電圧調整回路は、プロセッサ210の指示に従って、微小電圧(例えば、電圧実効値Vrmsの正弦波の電圧信号)を印加する。プロセッサ210は、電流検出回路から入力される、治療部位を介して一対のパッド270間に流れた電流の値(例えば、電流実効値Irms)と、微小電圧の値とに基づいて、当該治療部位の生体インピーダンスを算出(測定)する。なお、微小電流は、ユーザの身体に刺激を与えない程度の電流である。
【0049】
また、プロセッサ210は、電流検出回路から入力される電流値を利用して、パッド270がユーザに装着されている状態なのか、パッド270がユーザに装着されていない状態なのかを検出できる。例えば、プロセッサ210は、当該電流値が所定値以上である場合には複数の電極が接触されている(すなわち、一対のパッド270がユーザに装着されている)と判定し、当該電流値が所定値未満である場合には複数の電極のうちの少なくとも一方が接触していない(すなわち、一対のパッド270のうちの少なくとも一方がユーザに装着されていない)と判定する。
【0050】
ディスプレイ260は、例えば、LCD(liquid crystal display)で構成されており、プロセッサ210からの指示に従って各種情報を表示する。
【0051】
<電気刺激の与え方>
次に、電気治療器200によるユーザに対する電気刺激の与え方について説明する。
【0052】
図4は、比較例に従う電気刺激強度に対する印加電圧および印加電力の関係を示す図である。ここでは、20段階で電気刺激強度を設定可能であり、最高強度が「20」であり最低強度が「1」であるとする。これは、以下の図5図8でも同様である。以下の説明では、電気刺激強度「N」(ただし、N=1~20)を「刺激レベルN」とも記載する。
【0053】
図4を参照して、電気刺激強度が1段階変化する毎に、一対のパッド270へ印加される電圧VBは、3Vずつ変化する。すなわち、刺激レベルNと電圧VBとの関係は、“VB=3×N”となる。
【0054】
刺激レベルと電圧VBとは比例関係になっており、例えば、刺激レベル1のときに電圧VBは3Vであり、刺激レベル20のときに電圧VBは60Vである。一方、一対のパッド270へ印加される電力PBは、刺激レベル1~20の区間において、2次関数的に変化している。例えば、最大の刺激レベル20のときの電力、電圧をそれぞれPBmax、VBmaxとし、ユーザの生体インピーダンスをZBとすると、PBmaxは以下の式(2)で表わされる。
【0055】
PBmax=VBmax/ZB …(2)
例えば、生体インピーダンスZBが1000Ωであるとすると、電力PBmaxは3.6(=60/1000)Wとなる。
【0056】
図5は、本実施の形態に従う電気刺激強度に対する印加電圧および印加電力の関係を示す図である。図5を参照して、図4に示す比較例とは異なり、電気刺激強度が1段階変化する毎に電力PBは一定値だけ変化しており、刺激レベルと電力PBとは比例関係になっている。例えば、刺激レベル1のときに電力PBは0.18Wであり、刺激レベル20のときに電力PBは3.6Wである。なお、生体インピーダンスZBは1000Ωであるとする。
【0057】
ここで、図5のように電気刺激強度が1段階変化する毎に電力PBを一定値だけ変化させるために、電圧VBをどのように制御すればよいか(変化させればよいか)について説明する。
【0058】
刺激レベルと電力PBとを比例関係にする場合、刺激レベルNと電力PBとの関係は、係数Aを用いると“PB=A×N”となる。また、最大刺激レベルをNmaxとすると、係数Aに関して“A=PBmax/Nmax”が成立する。
【0059】
電力PBmaxは“3.6W”であり、最大刺激レベルNmaxは“20”であるため、係数Aは“0.18”と算出される。この場合、刺激レベルが1段階変化する毎に電力PBは0.18Wずつ変化する。一方、電圧VBは、上記関係式を用いると、以下の式(3)で表わされる。
【0060】
VB=(ZB×PB)1/2={ZB×(PBmax/Nmax)×N}1/2 …(3)
したがって、刺激レベルの変化に対して電圧VBを式(3)に示すように変化させることで、刺激レベルと電力PBとを比例関係にすることができる。これにより、ユーザが電気刺激強度を1段階変化させる毎にユーザが感じる電気刺激の変化を一定にすることができる。
【0061】
(変形例1)
図6は、本実施の形態の変形例1に従う電気刺激強度に対する印加電圧および印加電力の関係を示す図である。図6を参照して、変形例1では、電気刺激強度が所定刺激強度(例えば、刺激レベル10)に到達するまでは、電気刺激強度の変化に対して電圧VBを比例して変化させ、所定刺激強度に到達した後は電気刺激強度の変化に対して電力PBを比例して変化させる。
【0062】
具体的には、刺激レベル1~10の区間において、刺激レベルNと電圧VBとの関係は、係数Bを用いると“VB=B×N”となる。なお、刺激レベル10のときの電圧VBをVB10とすると、係数Bに関して“B=VB10/10”が成立する。また、刺激レベル10~20の区間において、刺激レベルNと電圧VBとの関係は、上述した式(3)で表わされる。これにより、図6に示すように、刺激レベルに対して電圧VBおよび電力PBが変化する。
【0063】
電気治療時にあまり利用されない刺激レベルが小さい領域は、実際に人体の刺激感覚は弱く、電気刺激変化に対しての感度が低い。そのため、変形例1のように、所定刺激強度までは刺激レベルに対して印加電圧を比例して変化させてもユーザに対して不快感を与え難い。また、電気治療時に頻繁に利用され、電気刺激変化に対しての感度が高くなる所定刺激強度以降では、刺激レベルの変化に対して印加電力を比例して変化させることで、ユーザが感じる電気刺激の変化を一定にすることができる。
【0064】
なお、図6の例では、所定刺激強度が、刺激レベルの中央値である刺激レベル10である構成について説明したが、これに限られない。印加電圧を比例して変化させてもユーザに対して不快感を与え難い刺激レベルを確認して、当該刺激レベルを所定刺激強度として設定すればよい。
【0065】
(変形例2)
図7は、本実施の形態の変形例2に従う電気刺激強度に対する印加電圧および印加電力の関係を示す図である。図7を参照して、変形例2では、電気刺激強度が第1刺激強度(例えば、刺激レベル4)に到達するまでは、電気刺激強度の変化に対して電圧VBを第1の傾きで比例して変化させる。続いて、電気刺激強度が第2刺激強度(例えば、刺激レベル10)に到達するまでは、電気刺激強度の変化に対して電圧VBを第2の傾きで比例して変化させる。第2の傾きは、第1の傾きよりも小さいものとする。そして、第2刺激強度に到達した後は電気刺激強度の変化に対して電力PBを比例して変化させる。
【0066】
図7の例では、第1の傾きは5.0であり、刺激レベル1~4の区間では刺激レベルが1段階変化する毎に電圧VBは5.0V変化する。第2の傾きは3.7であり、刺激レベル4~10の区間では刺激レベルが1段階変化する毎に電圧VBは3.7V変化する。
【0067】
例えば、第1の傾きは、規格等により許容される範囲内で大きく設定される。第2の傾きは、刺激レベル4~10の区間において電圧VBが比例して変化するように適宜設定される。図7の例では、刺激レベル4のときに電圧VBが20V、刺激レベル10のときに電圧VBが42.4Vとなるように第2の傾きが設定される。刺激レベル10~20の区間においては、刺激レベルNと電圧VBとの関係は、上述した式(3)で表わされる。これにより、図7に示すように、刺激レベルに対して電圧VBおよび電力PBが変化する。変形例2によると、変形例1と同様の作用効果が得られる。
【0068】
(変形例3)
図5図7では、所定の生体インピーダンスZB(例えば、1000Ω)に基づいて、刺激レベルの変化に対して一定値ずつ変化する電力PBを得るための電圧VBを算出し、当該電圧VBを一対のパッド270に印加する制御方式について説明した。
【0069】
しかし、ユーザの実際の患部の生体インピーダンスZBxは所定の生体インピーダンスZBと一致しないと考えられるため、実際に患部に印加される電力PBxは、上述した図5図7に示す電力PBとはズレがある。例えば、生体インピーダンスZBxが所定の生体インピーダンスZBと大きく異なる場合には、ユーザが感じる刺激感覚も大きく異なってしまう。
【0070】
そこで、変形例3では、電気治療前にユーザの患部の生体インピーダンスZBxを測定し、当該測定された生体インピーダンスZBxに基づいて、患部に印加される電圧VBxを算出する構成について説明する。
【0071】
上述したように、プロセッサ210は、微小電圧(例えば、電圧実効値Vrmsの正弦波の電圧信号)の値と、治療部位を介して一対のパッド270間に流れた電流の値(例えば、電流実効値Irms)とに基づいて、当該治療部位の生体インピーダンスZBxを算出する。具体的には、生体インピーダンスZBxに関して“ZBx=Vrms/Irms”が成立する。
【0072】
電力PBx、電圧VBx、および生体インピーダンスZBxの関係は以下の式(4)で表わされる。
【0073】
PBx=VBx/ZBx …(4)
一方、図5図7で説明した、所定の生体インピーダンスZB、電力PB、電圧VBの関係は以下の式(5)で表わされる。
【0074】
PB=VB/ZB …(5)
電力PBxが電力PBと同一にする場合には以下の式(6)が成立する。
【0075】
PB=PBx=VB/ZB=VBx/ZBx …(6)
式(6)を変形すると、電圧VBxと電圧VBとの関係は、以下の式(7)で表わされる。
【0076】
VBx=VB×(ZBx/ZB)1/2 …(7)
したがって、電圧VBに係数C(=(ZBx/ZB)1/2)を乗じることにより電圧VBxが算出される。このように算出された電圧VBxによると、生体インピーダンスZBxの患部に所定の電力PBx(=PB)を印加することができる。
【0077】
例えば、測定された生体インピーダンスZBxが1250Ω、所定の生体インピーダンスZBが1000Ωである場合、係数Cは“1.118”となる。例えば、変形例1のように電力PBを変化させるとすると、図6に示すグラフは、図8に示すグラフのように書き直される。
【0078】
図8は、本実施の形態の変形例3に従う電気刺激強度に対する印加電圧および印加電力の関係を示す図である。図8を参照して、電力PBxは図6の電力PBと同一である。一方、電圧VBxは、図6の電圧VBに対して係数Cを乗じた値となっている。
【0079】
上記では、正弦波の信号を用いて患部の生体インピーダンスを測定する構成について説明したが、他の交流波形の信号を用いて生体インピーダンスを測定する構成であってもよい。交流波形の周波数は、治療波形の周波数に合わせることが好ましい。治療波形の周波数が複数ある場合には、各治療波形毎に周波数の設定を変更してもよい。また、実効値ではなく、平均値あるいは最大振幅値(波高値)を用いて生体インピーダンスを測定してもよい。さらに、別途、電圧計測手段および電流計測手段を用意し、波形生成出力装置250からの出力を利用して生体インピーダンスを測定してもよい。
【0080】
変形例3によると、ユーザの患部の生体インピーダンスを測定することにより、刺激レベルと電力PBとを比例関係にするための電圧VBxを精度よく算出することができる。これにより、ユーザが感じる電気刺激の変化を精度よく一定に保つことができる。
【0081】
<機能構成>
図9は、本実施の形態に従う電気治療器200の機能構成を示すブロック図である。図9を参照して、電気治療器200は、主な構成として、操作入力部302と、刺激制御部304と、インピーダンス測定部306とを含む。
【0082】
操作入力部302は、ユーザの身体の部位に接触される複数の電極(すなわち、一対のパッド270)を介して、当該部位に与えられる電気刺激強度を段階的に調整する操作入力を受け付ける。典型的には、操作入力部302は、プロセッサ210および操作インターフェイス230により実現される。
【0083】
刺激制御部304は、電気刺激強度の操作入力に応じて、複数の電極への印加電圧または印加電流を制御することにより身体の部位に電気刺激を与える。具体的には、刺激制御部304は、電気刺激強度が1段階変化する毎に、複数の電極への印加電力(例えば、電力PB)が所定値(例えば、0.18W)ずつ変化するように印加電圧(例えば、電圧VB)または印加電流を制御する。典型的には、刺激制御部304は、プロセッサ210および波形生成出力装置250により実現される。
【0084】
ある局面では、刺激制御部304は、電気刺激強度が最高刺激強度(例えば、刺激レベル20)に到達するまで電気刺激強度が1段階変化する毎に、電力PBが所定値(例えば、0.18W)ずつ変化するように印加電圧または印加電流を制御する。
【0085】
他の局面では、刺激制御部304は、電気刺激強度が所定刺激強度(例えば、刺激レベル10)に到達するまでは電気刺激強度が1段階変化する毎に、印加電圧または印加電流を一定値(例えば、印加電圧の場合には3V)ずつ変化させる。続いて、刺激制御部304は、電気刺激強度が所定刺激強度に到達した後は電気刺激強度が1段階変化する毎に、電力PBが所定値(例えば、0.18W)ずつ変化するように印加電圧または印加電流を制御する。
【0086】
さらに他の局面では、刺激制御部304は、電気刺激強度が第1刺激強度(例えば、刺激レベル4)に到達するまでは電気刺激強度が1段階変化する毎に印加電圧または印加電流を第1の値(例えば、印加電圧の場合には5V)ずつ変化させる。続いて、刺激制御部304は、電気刺激強度が第1刺激強度に到達してから第2刺激強度(例えば、刺激レベル10)に到達するまでは、電気刺激強度が1段階変化する毎に印加電圧または印加電流を第1の値よりも小さい第2の値(例えば、印加電圧の場合には3.7V)ずつ変化させる。そして、刺激制御部304は、電気刺激強度が第2刺激強度に到達した後は、電気刺激強度が1段階変化する毎に電力PBが所定値(例えば、0.18W)ずつ変化するように印加電圧または印加電流を制御する。
【0087】
インピーダンス測定部306は、複数の電極を用いて、身体の部位の生体インピーダンス(例えば、生体インピーダンスZBx)を測定する。典型的には、インピーダンス測定部306は、プロセッサ210および波形生成出力装置250により実現される。
【0088】
刺激制御部304は、測定された生体インピーダンスZBxに基づいて、電気刺激強度が1段階変化する毎に、電力PBを所定値(例えば、0.18W)ずつ変化させるための印加電圧(例えば、電圧VBx)または印加電流を算出する。
【0089】
<その他の実施の形態>
(1)上述した実施の形態では、一対のパッド270を用いる構成について説明したが、当該構成に限られず、1つのパッドにプラス極性用の電極と、マイナス極性用の電極とを形成するように構成されていてもよい。
【0090】
(2)上述した実施の形態では、電気治療器単体でユーザの治療を行なう構成について説明したが、当該構成に限られず、端末装置および電気治療器が無線接続されており、端末装置からの指示に従って電気治療器が治療を行なう構成であってもよい。この場合、端末装置は、主に、電気治療器200の操作インターフェイス230およびディスプレイ260としての役割を担う。
【0091】
具体的には、電気治療器は、コードレスタイプであり、使用時に一体とされるパッド、ホルダ、本体部を有し、これら各部を組み合わせて治療を行なう。端末装置は、例えば、タッチパネルを備えるスマートフォンである。端末装置と電気治療器とを接続するためのネットワークは、例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(local area network)等のその他の無線通信方式が採用される。
【0092】
端末装置は、インストールされているアプリケーションを利用して、無線接続された電気治療器に各種指示を行なう。また、端末装置は、各種情報をディスプレイに表示して、必要な情報をユーザに報知する。ユーザは、タッチパネルを介して端末装置に各種指示を与え、当該指示が端末装置から電気治療器に送信されることにより、間接的に電気治療器に当該各種指示を与える。より具体的には、電気治療器は、端末装置から送信される、ユーザからの指示入力を受信する。例えば、端末装置は、治療モードの選択操作や電気刺激強度を調整するための操作を受け付け、当該操作を示す信号を電気治療器に送信する。例えば、電気治療器(例えば、操作入力部302)は、受信した信号に対応する操作入力に応じて、電気刺激強度のレベルを調整する。
【0093】
(3)上述した実施の形態において、コンピュータを機能させて、上述のフローチャートで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、二次記憶装置、主記憶装置およびメモリカードなどの一時的でないコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0094】
(4)上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。また、上述した実施の形態において、その他の実施の形態で説明した処理や構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
【0095】
[付記]
以上のように、本実施形態は以下のような開示を含む。
【0096】
[構成1]
ユーザの身体の部位に接触される複数の電極と、前記部位に与えられる電気刺激強度を段階的に調整する操作入力を受け付ける操作入力部(302)と、前記操作入力に応じて、前記複数の電極への印加電圧または印加電流を制御することにより前記部位に電気刺激を与える刺激制御部(304)とを備え、前記刺激制御部は、前記電気刺激強度が1段階変化する毎に、前記複数の電極への印加電力が所定値ずつ変化するように前記印加電圧または印加電流を制御する、電気治療器(200)。
【0097】
[構成2]
前記刺激制御部(304)は、前記電気刺激強度が最高刺激強度に到達するまで前記電気刺激強度が1段階変化する毎に、前記印加電力が前記所定値ずつ変化するように前記印加電圧または印加電流を制御する、構成1に記載の電気治療器(200)。
【0098】
[構成3]
前記刺激制御部(304)は、前記電気刺激強度が所定刺激強度に到達するまでは前記電気刺激強度が1段階変化する毎に、前記印加電圧または印加電流を一定値ずつ変化させ、前記電気刺激強度が前記所定刺激強度に到達した後は前記電気刺激強度が1段階変化する毎に、前記印加電力が前記所定値ずつ変化するように前記印加電圧または印加電流を制御する、構成1に記載の電気治療器(200)。
【0099】
[構成4]
前記刺激制御部(304)は、前記電気刺激強度が第1刺激強度に到達するまでは前記電気刺激強度が1段階変化する毎に前記印加電圧または印加電流を第1の値ずつ変化させ、前記電気刺激強度が前記第1刺激強度に到達してから前記第1刺激強度よりも大きい第2刺激強度に到達するまでは、前記電気刺激強度が1段階変化する毎に前記印加電圧または印加電流を前記第1の値よりも小さい第2の値ずつ変化させ、前記電気刺激強度が前記第2刺激強度に到達した後は、前記電気刺激強度が1段階変化する毎に前記印加電力が前記所定値ずつ変化するように前記印加電圧または印加電流を制御する、構成1に記載の電気治療器(200)。
【0100】
[構成5]
前記複数の電極を用いて、前記部位の生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部(306)をさらに備え、前記刺激制御部(304)は、前記生体インピーダンスに基づいて、前記電気刺激強度が1段階変化する毎に前記印加電力を前記所定値ずつ変化させるための前記印加電圧または印加電流を算出する、構成1~4のいずれかに記載の電気治療器(200)。
【0101】
[構成6]
前記電気治療器(200)は、低周波治療器である、構成1~5のいずれかに記載の電気治療器(200)。
【0102】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0103】
40 サポータ、200 電気治療器、205 制御機器、210 プロセッサ、220 メモリ、230 操作インターフェイス、232 電源ボタン、234 モード選択ボタン、236 治療開始ボタン、238 調整ボタン、240 電源部、250 波形生成出力装置、260 ディスプレイ、270 パッド、280 コード、282 プラグ、302 操作入力部、304 刺激制御部、306 インピーダンス測定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9