(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125777
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】医用画像診断装置、医用画像診断装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
A61B6/03 370B
A61B6/03 321Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033834
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 孝仁
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA01
4C093EE15
4C093FA47
4C093FA52
(57)【要約】
【課題】医用画像診断装置によって診断を行う際に、患者の呼吸を安定化させて、好適なタイミングで撮影を行うことである。
【解決手段】実施形態の医用画像診断装置は、架台装置と、照明制御部と、を持つ。架台装置は、被検体が導入される開口部に照明装置が設けられている。照明制御部は、被検体を撮影する際に、被検体の心拍数が、目標とする被検体の心拍数である目標心拍数となるように被検体に対して呼吸の周期を指示する発光パターンで、照明装置による照明を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が導入される開口部に照明装置が設けられた架台装置と、
前記被検体を撮影する際に、前記被検体の心拍数が、目標とする前記被検体の心拍数である目標心拍数となるように前記被検体に対して呼吸の周期を指示する発光パターンで、前記照明装置による照明を制御する照明制御部と、
を備える医用画像診断装置。
【請求項2】
前記照明制御部は、
前記被検体の年齢を含む被検体情報を取得する被検体情報取得部と、
前記被検体の撮影に関する撮影条件を取得する撮影条件取得部と、
前記被検体の現在の心拍に関する心拍情報を取得する心拍情報取得部と、
前記被検体情報と前記撮影条件とに基づいて、前記目標心拍数を算出する算出部と、
前記心拍情報に基づく前記被検体の現在の心拍数である現在心拍数と前記目標心拍数とに基づいて前記発光パターンを決定し、決定した前記発光パターンで前記照明を制御する制御部と、
を備える請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記現在心拍数と前記目標心拍数との差である心拍数差が許容範囲内である場合、前記被検体に一定の周期で呼吸をさせる第1発光パターンに決定し、
前記心拍数差が前記許容範囲を超える場合、前記被検体に前記現在心拍数の低下を図る呼吸をさせる第2発光パターンに決定する、
請求項2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記心拍数差が前記許容範囲を超える場合において、
前記心拍数差が閾値内である場合、前記第2発光パターンを、前記第1発光パターンの周期を長くした第2-1発光パターンに決定し、
前記心拍数差が閾値を超える場合、前記第2発光パターンを、前記第1発光パターンの周期の途中に少なくとも呼吸停止の期間を追加した第2-2発光パターンに決定する、
請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記第2-2発光パターンは、
前記第1発光パターンにおいて前記被検体の呼吸が吸気状態である途中に、前記呼吸停止およびさらなる吸気を指示するものである、
請求項4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記第2-2発光パターンは、
前記被検体にバルサルバ呼吸法の呼吸を指示するものである、
請求項5に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記第1発光パターンにおける呼吸の周期は、
前記現在心拍数に基づく周期である、
請求項3から請求項6のうちいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記第1発光パターンにおける呼吸の周期は、
前記現在心拍数が表す心拍の周期の1/4の周期である、
請求項7に記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
前記第1発光パターンにおける呼吸の周期は、
前記目標心拍数に基づく周期である、
請求項3から請求項6のうちいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記発光パターンによって指示する前記被検体の呼吸状態に応じて、前記照明の明るさと色との少なくとも一方を制御する、
請求項2に記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記照明の明るさを制御する場合、前記発光パターンにおいて前記被検体の呼吸が吸気状態である吸気期間と、前記被検体の呼吸が呼気状態である呼気期間とのそれぞれの期間内において、前記照明の明るさが連続的に変化するように制御する、
請求項10に記載の医用画像診断装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記照明の明るさを制御する場合、前記発光パターンにおいて前記被検体の呼吸を最大の吸気状態に指示する場合に前記照明の明るさが最も明るく、前記被検体の呼吸を最大の呼気状態に指示する場合に前記照明の明るさが最も暗くなるように制御する、
請求項11に記載の医用画像診断装置。
【請求項13】
コンピュータが、
被検体を撮影する際に、前記被検体の心拍数が、目標とする前記被検体の心拍数である目標心拍数となるように前記被検体に対して呼吸の周期を指示する発光パターンで、架台装置において前記被検体が導入される開口部に設けられた照明装置による照明を制御する、
医用画像診断装置の制御方法。
【請求項14】
コンピュータに、
被検体を撮影する際に、前記被検体の心拍数が、目標とする前記被検体の心拍数である目標心拍数となるように前記被検体に対して呼吸の周期を指示する発光パターンで、架台装置において前記被検体が導入される開口部に設けられた照明装置による照明を制御させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像診断装置、医用画像診断装置の制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医用画像診断の分野において、X線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置など、被検体(患者)にX線を照射して撮影した画像を用いて診断を行う医用画像診断装置が使用されている。医用画像診断装置を用いた診断では、より診断に適したX線画像を得るため、診断箇所(撮影箇所)の動きが止まっている状態で撮影を行っている。これは、撮影箇所の動きが止まっていない状態で撮影されたX線画像では、動きによって画像が不鮮明になってしまい、診断に適さない画像となってしまうからである。このため、医用画像診断装置による従来の撮影では、患者の呼吸のリズムの安定化させたり、心拍数を低下させたりするために、撮影の実施者(医師や技師など)が患者に対して声かけを行って呼吸のリズムを指示し、好適なタイミングのときに撮影を行うなどの方法がとられている。あるいは、医用画像診断装置による従来の撮影では、例えば、ベータブロッカーなどの薬剤を事前に投与し、意図的に心拍数を低下させた(抑制した)状態となっているときに撮影を行うなどの方法がとられている。
【0003】
これに関して、従来から、X線CT装置のみならず、画像を用いて診断を行う医用画像診断装置や、医用画像診断装置が配置された検査室など、撮影空間内の明るさを周期的に変えることにより、患者に対して周期的な運動(呼吸)を誘導して、画像を撮影するための好適なタイミングを図る技術に関する提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、医用画像診断装置によって診断を行う際に、患者の呼吸を安定化させて、好適なタイミングで撮影を行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の医用画像診断装置は、架台装置と、照明制御部と、を持つ。架台装置は、被検体が導入される開口部に照明装置が設けられている。照明制御部は、前記被検体を撮影する際に、前記被検体の心拍数が、目標とする前記被検体の心拍数である目標心拍数となるように前記被検体に対して呼吸の周期を指示する発光パターンで、前記照明装置による照明を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る医用画像診断装置の構成例を示す図。
【
図2】実施形態に係る医用画像診断装置が備える照明制御機能の機能構成の一例を示す図。
【
図3】実施形態に係る医用画像診断装置において検査を実施する場面の一例を模式的に示す図。
【
図4】実施形態に係る医用画像診断装置において照明制御機能が制御する照明装置の発光パターンの一例を模式的に示す図。
【
図5】実施形態に係る医用画像診断装置において照明制御機能が制御する照明装置の発光パターンの別の一例を模式的に示す図。
【
図6】実施形態に係る医用画像診断装置において検査を実施する処理の一連の流れの一例を示すフローチャート。
【
図7】実施形態に係る医用画像診断装置において架台装置に照明装置を配置する別の一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態の医用画像診断装置、医用画像診断装置の制御方法、およびプログラムについて説明する。以下の説明においては、医用画像診断装置が、CT検査をするためのX線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置であり、撮影するX線画像が、CT画像である場合を例に挙げて説明する。そして、以下の説明においては、X線CT装置が、被検体である患者の心拍数に同期したタイミングで撮影を行う、つまり、心電同期撮影を行うものとする。
【0009】
図1は、実施形態に係る医用画像診断装置(X線CT装置)の構成例を示す図である。X線CT装置1は、被検体である患者PにX線を照射し、患者Pを通過したX線を検出する医用診断装置である。X線CT装置1は、検出したX線に応じた再構成画像(例えば、CT画像)などの画像を生成して表示する。これにより、CT検査の実施者(医師や技師など)は、患者Pに病変があるか否かなどを目視で確認することができる。
【0010】
X線CT装置1は、例えば、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを備える。
図1では、説明の都合上、架台装置10をZ軸方向から見た図とX軸方向から見た図との両方に図を示しているが、実際には、X線CT装置1が備える架台装置10は一つである。本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム17の中心軸または寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対して水平である軸をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対して垂直である方向をY軸方向とそれぞれ定義する。X線CT装置1は、「医用画像診断装置」の一例である。
【0011】
架台装置10は、例えば、X線管を内蔵するX線管装置11と、ウェッジ12と、コリメータ13と、X線高電圧装置14と、X線検出器15と、データ収集システム(以下、DAS:Data Acquisition System)16と、回転フレーム17と、制御装置18とを備える。
【0012】
X線管装置11は、内蔵するX線管が、X線高電圧装置14により印加された高電圧の管電圧に応じて、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を放出させることでX線を発生させる。X線管装置11は、X線管として、例えば、真空管を含む。以下の説明においては、説明を容易にするため、X線管装置11がX線管であるものとして説明する。X線管装置11は、例えば、陰極から回転する陽極に熱電子を放出させることによりX線を発生させる回転陽極型のX線管である。X線管装置11により発生されたX線は、患者Pに照射される。
【0013】
ウェッジ12は、X線管装置11により発生されたX線を患者Pに照射する際の線量(X線量)を調節するためのフィルタである。ウェッジ12は、患者Pに照射するX線量の分布が予め定められた分布になるように、自身を透過するX線を減衰させる。ウェッジ12は、ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。ウェッジ12は、例えば、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したものである。
【0014】
コリメータ13は、ウェッジ12を透過したX線の照射範囲を絞り込むための機構である。コリメータ13は、例えば、複数の鉛板を組み合わせてスリットを形成することにより、X線の照射範囲を絞り込む。コリメータ13は、X線絞りと呼ばれる場合もある。コリメータ13は、絞り込み範囲が機械的に駆動可能なアクティブコリメータであってよい。
【0015】
X線高電圧装置14は、例えば、高電圧発生装置と、X線制御装置とを備える。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)および整流器などを含む電気回路を有し、X線管装置11に印加する高電圧を発生させる。X線制御装置は、X線管装置11に発生させるべきX線量に応じて高電圧発生装置の出力電圧を制御する。高電圧発生装置は、上述した変圧器によって昇圧を行うものであってもよいし、インバータによって昇圧を行うものであってもよい。X線高電圧装置14は、回転フレーム17に設けられてもよいし、架台装置10に設けられた固定フレーム(不図示)の側に設けられてもよい。
【0016】
X線検出器15は、X線管装置11が発生させ、患者Pを通過して入射したX線の強度を検出する。X線検出器15は、検出したX線の強度に応じた電気信号(光信号などでもよい)をDAS16に出力する。X線検出器15は、例えば、複数のX線検出素子列を有する。複数のX線検出素子列のそれぞれは、X線管装置11の焦点を中心とした円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたものである。複数のX線検出素子列は、スライス方向(列方向、row方向)に配列される。
【0017】
X線検出器15は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。それぞれのシンチレータは、シンチレータ結晶を有する。シンチレータ結晶は、入射するX線の強度に応じた光量の光を発する。グリッドは、シンチレータアレイのX線が入射する面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。グリッドは、コリメータ(一次元コリメータまたは二次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)などの光センサを有する。光センサアレイは、シンチレータにより発せられる光の光量に応じた電気信号を出力する。X線検出器15は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であってもよい。
【0018】
DAS16は、例えば、増幅器と、積分器と、A/D変換器とを有する。増幅器は、X線検出器15の各X線検出素子により出力される電気信号に対して増幅処理を行う。積分器は、増幅器により増幅処理が行われた電気信号をビュー期間(後述)に亘って積分する。A/D変換器は、積分器による積分結果を示す電気信号をデジタル信号に変換する。DAS16は、デジタル信号に基づく検出データをコンソール装置40に出力する。検出データは、生成元のX線検出素子のチャンネル番号、列番号、および収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線強度のデジタル値である。ビュー番号は、回転フレーム17の回転に応じて変化する番号であり、例えば、回転フレーム17の回転に応じてインクリメントされる番号である。従って、ビュー番号は、X線管装置11の回転角度を示す情報である。ビュー期間とは、あるビュー番号に対応する回転角度から、次のビュー番号に対応する回転角度に到達するまでの間に収まる期間である。DAS16は、ビューの切り替わりを、制御装置18から入力されるタイミング信号によって検知してもよいし、内部のタイマーによって検知してもよいし、図示しないセンサから取得される信号によって検知してもよい。X線CT装置1がフルスキャンを行う場合においてX線管装置11によりX線が連続曝射されている場合、DAS16は、全周囲分(360度分)の検出データ群を収集する。X線CT装置1がハーフスキャンを行う場合においてX線管装置11によりX線が連続曝射されている場合、DAS16は、半周囲分(180度分)の検出データを収集する。
【0019】
回転フレーム17は、X線管装置11、ウェッジ12、およびコリメータ13と、X線検出器15とを対向支持する円環状の部材である。回転フレーム17は、固定フレームによって、内部に導入された患者Pを中心として回転自在に支持される。回転フレーム17は、さらにDAS16を支持する。DAS16が出力する検出データは、回転フレーム17に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置10の非回転部分(例えば、不図示の固定フレーム)に設けられたフォトダイオードを有する受信機に送信され、受信機によってコンソール装置40に転送される。回転フレーム17から非回転部分への検出データの送信方法として、前述の光通信を用いた方法に限らず、非接触型の任意の送信方法を採用してよい。回転フレーム17は、X線管装置11などを支持して回転させることができるものであれば、円環状の部材に限らず、アームのような部材であってもよい。
【0020】
X線CT装置1は、例えば、X線管装置11とX線検出器15の双方が回転フレーム17によって支持されて患者Pの周囲を回転するRotate/Rotate-TypeのX線CT装置(第3世代CT)であるが、これに限らず、円環状に配列された複数のX線検出素子が固定フレームに固定され、X線管装置11が患者Pの周囲を回転するStationary/Rotate-TypeのX線CT装置(第4世代CT)であってもよい。
【0021】
制御装置18は、架台装置10に取り付けられた操作スイッチなどの入力インターフェース(不図示)、またはコンソール装置40に取り付けられた入力インターフェース43からの入力信号を受け付けて、架台装置10および寝台装置30の動作を制御する。制御装置18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを有する処理回路と、架台装置10の移動や、架台装置10が備える回転フレーム17の回転、寝台装置30の移動をさせる、例えば、モータやアクチュエータなどを含む駆動機構とを有する。実施形態では、制御装置18が架台装置10に設けられている場合を示しているが、制御装置18は、コンソール装置40に設けられてもよい。本明細書において入力インターフェースは、マウスやキーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0022】
制御装置18は、例えば、回転フレーム17を回転させたり、架台装置10をチルトさせたり、架台装置10の筐体(以下、単に「架台装置10」ともいう)を寝台装置30の天板33の方向(Z軸方向)に水平移動させたり、寝台装置30の天板33をY軸方向に上下移動(X軸方向への横移動やZ軸回りの回転移動を含んでもよい)させたりする。架台装置10をチルトさせる場合、制御装置18は、不図示の入力インターフェースや入力インターフェース43に入力された傾斜角度(チルト角度)に基づいて、Z軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム17を傾けさせる。制御装置18は、不図示のセンサの出力などによって回転フレーム17の傾きの角度を把握している。制御装置18は、回転フレーム17の傾きの角度を随時、処理回路50に提供する。
【0023】
寝台装置30は、スキャン対象の患者Pを載置して移動させ、架台装置10の回転フレーム17の内部に導入する装置である。寝台装置30は、例えば、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備える。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向(上下方向)に移動可能に支持する筐体を含む。寝台駆動装置32は、モータやアクチュエータを含む。寝台駆動装置32は、患者Pが載置された天板33を、上下方向(Y軸方向)に移動させる。寝台駆動装置32は、患者Pが載置された天板33を、水平方向(X軸方向)に横移動させたり、Z軸回りに回転移動させたりしてもよい。寝台駆動装置32は、患者Pが載置された天板33を、支持フレーム34に沿って、天板33の長手方向(Z軸方向)に移動させてもよい。X線CT装置1が架台移動型のX線CT装置である場合、寝台駆動装置32が天板33を長手方向に移動させる移動量は、制御装置18が架台装置10を水平方向に最大に移動させた場合でも回転フレーム17の内部に導入されていない患者Pの一部を回転フレーム17の内部に導入させる、つまり、架台装置10の水平移動量を補う分の移動量であってもよい。架台装置10がZ軸方向に移動可能である場合、寝台駆動装置32は、架台装置10を移動させることによって回転フレーム17が患者Pの周囲に来るようにしてもよい。寝台駆動装置32は、架台装置10と天板33との双方を移動させる構成であってもよい。天板33は、患者Pが載置される板状の部材である。X線CT装置1は、患者Pが立位または座位でスキャンされる方式の装置であってもよい。この場合、X線CT装置1は、寝台装置30に代えて被検体支持機構を有し、架台装置10は、回転フレーム17を、床面に垂直な軸方向を中心に回転させる。
【0024】
コンソール装置40は、例えば、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、ネットワーク接続回路44と、処理回路50とを備える。本実施形態では、コンソール装置40は架台装置10とは別体であるものとして説明するが、架台装置10にコンソール装置40の各構成要素の一部または全部が含まれてもよい。
【0025】
メモリ41は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、光ディスクなどにより実現される。メモリ41は、例えば、DAS16により出力された検出データ、検出データに基づいて生成される投影データや、再構成画像、CT画像などのデータを記憶する。これらのデータは、メモリ41ではなく(あるいはメモリ41に加えて)、X線CT装置1が通信可能な外部メモリに記憶されてもよい。外部メモリは、例えば、外部メモリを管理するクラウドサーバが読み書きの要求を受け付けることで、クラウドサーバによって制御されるものである。外部メモリは、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)と称されるシステムにより実現されてもよい。PACSとは、各種画像診断装置によって撮影された画像などを体系的に記憶する医用画像管理システムである。
【0026】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路50によって生成された再構成画像やCT画像などの画像や、CT検査の実施者(医師や技師など)による各種操作を受け付けるGUI(Graphical User Interface)画像などを表示する。ディスプレイ42は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどである。ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40の本体部と無線通信可能な表示装置(例えば、タブレット端末)であってもよい。
【0027】
入力インターフェース43は、CT検査の実施者による各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作の内容を示す電気信号を処理回路50に出力する。例えば、入力インターフェース43は、検出データを収集する際の収集条件、投影データを生成する際の生成条件、再構成画像を再構成する際の再構成条件、再構成画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件などの入力操作を受け付ける。言い換えれば、入力インターフェース43は、X線CT装置1による心電同期撮影の撮影条件などを設定するための入力操作を受け付ける。さらに、入力インターフェース43は、X線CT装置1によるCT画像の撮影(CT検査)の準備段階や撮影中(撮影段階)において、架台装置10に設けられた後述する照明装置100(不図示)による照明を制御するための制御条件などを設定するための入力操作を受け付ける。入力インターフェース43は、例えば、マウスやキーボード、タッチパネル、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、カメラ、赤外線センサ、マイクなどにより実現される。入力インターフェース43は、一部の入力操作を受け付ける機能(特に、架台装置10の筐体の水平移動させる機能)が操作スイッチなどとして架台装置10に設けられてもよい。入力インターフェース43は、コンソール装置40の本体部と無線通信可能な表示装置(例えば、タブレット端末)により実現されてもよい。本明細書において入力インターフェース43は、マウスやキーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0028】
ネットワーク接続回路44は、例えば、プリント回路基板を有するネットワークカード、あるいは無線通信モジュールなどを含む。ネットワーク接続回路44は、接続する対象のネットワークの形態に応じた情報通信用プロトコルを実装する。ネットワークは、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、インターネット、セルラー網、専用回線などを含む。ネットワーク接続回路44は、例えば、上述したPACSなどにより実現される外部メモリとコンソール装置40との接続を実現する。
【0029】
処理回路50は、X線CT装置1の全体の動作を制御する。処理回路50は、例えば、システム制御機能51、前処理機能52、再構成処理機能53、画像処理機能54、表示制御機能55、照明制御機能56などを実行する。処理回路50は、例えば、ハードウェアプロセッサがメモリ41に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0030】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))などの回路(circuitry)を意味する。メモリ41にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。複数の構成要素を1つの専用のLSIに組み込んで各機能を実現するようにしてもよい。ここで、プログラム(ソフトウェア)は、予めROMやRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスクドライブなどの記憶装置を構成する記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がコンソール装置40に備えるドライブ装置に装着されることで、コンソール装置40に備える記憶装置にインストールされてもよい。プログラム(ソフトウェア)は、他のコンピュータ装置からネットワーク接続回路44が接続するネットワークを介して予めダウンロードされて、コンソール装置40に備える記憶装置にインストールされてもよい。コンソール装置40に備える記憶装置にインストールされたプログラム(ソフトウェア)は、制御装置18が備える処理回路に転送されて実行されてもよい。
【0031】
コンソール装置40または処理回路50が備える各構成要素は、分散化されて複数のハードウェアにより実現されてもよい。処理回路50は、コンソール装置40が備える構成ではなく、コンソール装置40と通信可能な処理装置によって実現されてもよい。処理装置は、例えば、一つのX線CT装置と接続されたワークステーション、あるいは複数のX線CT装置に接続され、以下に説明する処理回路50と同等の処理を一括して実行する装置(例えば、クラウドサーバ)である。すわなち、本実施形態の構成を、X線CT装置と、他の処理装置とがネットワークを介して接続されたX線CT検査システム(医用診断システム)として実現することも可能である。
【0032】
システム制御機能51は、例えば、入力インターフェース43が受け付けた入力操作に基づいて、処理回路50の各種機能を制御する。例えば、システム制御機能51は、X線高電圧装置14、DAS16、制御装置18、および寝台駆動装置32を制御することで、架台装置10における検出データの収集処理などを実行する。
【0033】
前処理機能52は、DAS16により出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正などの前処理を行って投影データを生成し、生成した投影データをメモリ41に記憶させる。
【0034】
再構成処理機能53は、前処理機能52により生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法などによる所定の再構成処理を行って再構成画像を生成し、生成した再構成画像をメモリ41に記憶させる。
【0035】
画像処理機能54は、入力インターフェース43が受け付けた入力操作に基づいて、再構成画像を公知の方法により、三次元画像(CT画像)や任意断面の断面画像に変換する。三次元画像への変換は、前処理機能52によって行われてもよい。
【0036】
表示制御機能55は、ディスプレイ42の表示態様を制御する。例えば、表示制御機能55は、ディスプレイ42を制御して、処理回路50によって生成された再構成画像や、CT検査の実施者による各種操作を受け付けるGUI画像などを表示させる。表示制御機能55は、照明制御機能56によって後述する照明装置100(不図示)を制御する際に、照明装置100の制御に関連する情報を、CT検査の実施者に提示するための情報画像などもディスプレイ42に表示させる。
【0037】
照明制御機能56は、架台装置10に設置された不図示の照明装置100による照明を制御する。照明制御機能56は、例えば、X線CT装置1における撮影の準備段階や、撮影中(撮影段階)において、不図示の照明装置100による照明の発光量を制御、つまり、調光制御を行う。このとき、照明制御機能56では、不図示の心拍計測装置により計測された患者Pの心拍数をリアルタイムに監視(モニタリング)し、計測された心拍数に基づいて、不図示の照明装置100に対する調光制御を行う。照明制御機能56は、「照明制御部」の一例である。
【0038】
次に、照明制御機能56において、不図示の照明装置100による発光を調光制御する機能を実現するための構成および動作について説明する。
図2は、実施形態に係る医用画像診断装置(X線CT装置1)が備える照明制御機能56の機能構成の一例を示す図である。照明制御機能56は、例えば、取得機能562と、算出機能564と、制御機能566とを備える。
図2には、照明制御機能56において、計測された心拍数に基づいて、照明装置100による発光の調光制御を制御する機能を実行する構成の一例を示している。
図2には、照明制御機能56が調光制御をする、架台装置10に配置された照明装置100と、照明制御機能56が照明装置100の調光制御をするために用いる、患者Pの心拍数を計測する心拍計測装置200とを併せて示している。
【0039】
照明装置100は、コンソール装置40が備える処理回路50内の照明制御機能56からの制御に従って発光する発光素子が、複数接続された発光素子群である。照明装置100を構成するそれぞれの発光素子は、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などである。以下の説明においては、照明装置100において、それぞれの発光素子がLEDであり、それぞれのLEDが、照明制御機能56からの調光制御に従って発光するものとする。照明制御機能56は、照明装置100を構成する全てのLEDを同様に調光制御してもよいし、それぞれのLEDごとに異なる調光制御をしてもよい。照明制御機能56によるそれぞれのLEDの調光制御は、有線の信号線(ケーブル)を介して行ってもよいし、無線通信によって行ってもよい。
【0040】
照明装置100においてそれぞれのLEDは、X線CT装置1によってCT検査を行っているときに、天板33に載置されて回転フレーム17の内部に導入されている患者Pが見ることができる(視覚的に確認することができる)位置で、患者PのCT画像を撮影する際に動かない(回転しない)位置に取り付けられる。例えば、それぞれのLEDは、架台装置10の筐体において、回転フレーム17を回転自在に支持する不図示の固定フレームの円周方向に沿った円環状に配置される。より具体的には、それぞれのLEDは、照明制御機能56からの調光制御に従って架台装置10の開口部の全周が発光するように、例えば、患者Pが導入される開口部の縁部の周囲に配置される。
【0041】
本実施形態では、照明装置100を構成するLEDの数に関しては特に限定しない。このため、架台装置10の開口部の全周が発光しているように患者Pに見せるためのそれぞれのLEDの配置は、いかなる配置であってもよい。例えば、開口部の全周に間隔を空けずに多くのLEDを配置し、それぞれのLEDの発光を患者Pに直接見せるようにしてもよいし、開口部の全周に間隔を空けて少ないLEDを配置し、導光板などによって空けた間隔の間に光を導くことによって、開口部の全周が発光しているように患者Pに見せるようにしてもよい。照明装置100は、「照明装置」の一例である。
【0042】
心拍計測装置200は、例えば、心電計や、呼吸動計などのような、患者Pの体表面に接触させて装着することにより、例えば、心拍数や呼吸周期など、患者Pに関する生体信号を計測するための装置である。心拍計測装置200は、例えば、心拍数(あるいは脈拍)や、呼吸(あるいは呼吸数)、血圧、体温などの患者の生命に関連するバイタルサイン(生命徴候)を計測するための計測装置であってもよい。心拍計測装置200は、例えば、患者Pの手首に巻き付けられる時計や腕輪(ブレスレット)の形態の計測装置であってもよい。心拍計測装置200は、装着あるいは配置された箇所において、患者Pの現在の心拍に関する情報を逐次(リアルタイムに)計測し、計測した患者Pの現在の心拍に関する情報(以下、「心拍情報」という)を、コンソール装置40(より具体的には、コンソール装置40が備える処理回路50内の照明制御機能56)に逐次出力(伝送)する。心拍情報には、少なくとも、患者Pの現在の心拍数を表す情報が含まれている。心拍計測装置200における心拍情報の照明制御機能56への伝送は、有線のケーブルによって行ってもよいし、無線通信によって行ってもよい。
【0043】
ここで、X線CT装置1における照明装置100の配置の一例、および患者PをCT検査する際の心拍計測装置200の配置の一例について説明する。
図3は、実施形態に係る医用画像診断装置(X線CT装置1)において検査(CT検査)を実施する場面の一例を模式的に示す図である。
【0044】
図3には、患者Pが導入される架台装置10の開口部の縁部の周囲において、回転フレーム17が回転する範囲外に、照明装置100を構成するそれぞれのLEDが配置されている場合の一例を示している。患者Pは、架台装置10の開口部に導入された状態、つまり、回転フレーム17の内部に導入された状態で、照明制御機能56により調光制御されたそれぞれのLEDが発光している状態を見ることができる。
【0045】
図3には、手首に巻き付ける形態の心拍計測装置200が患者Pの手首に巻き付けられている場合の一例を示している。これにより、心拍計測装置200は、患者Pが架台装置10の開口部に導入されているか否かに限らず、計測した患者Pの現在の心拍数を含む心拍情報を、コンソール装置40に逐次伝送する。
【0046】
図2に戻り、取得機能562は、照明装置100が備えるそれぞれのLEDを調光制御するために用いる情報を取得する。取得機能562は、例えば、被検体情報取得機能5622と、撮影条件取得機能5624と、心拍情報取得機能5626とを備える。
【0047】
被検体情報取得機能5622は、X線CT装置1によるCT検査おいて撮影する患者Pに関する情報を取得する。被検体情報取得機能5622は、例えば、電子カルテを管理する電子カルテシステムなどのデータベースシステムから、患者Pに関する情報(以下、「被検体情報」という)を取得する。被検体情報取得機能5622は、例えば、患者Pの年齢の情報を、被検体情報として取得する。これにより、患者Pの年齢による心拍数が求められ、この心拍数に応じたCT画像の撮影周期を自動で設定することができる。例えば、患者Pの年齢が10歳以下である場合、一般的な心拍数は70~110[bpm]であり、患者Pの年齢が11歳~15歳までの場合、一般的な心拍数は50~100[bpm]であり、患者Pの年齢が16歳以上である場合、一般的な心拍数は50~90[bpm]であるといわれている。このため、X線CT装置1において心電同期撮影を行う場合には、この心拍数を基準とした周期を撮影周期として設定して撮影を行うことにより、医師による患者Pの検査や診断に好適な鮮明なCT画像を撮影することが可能になると考えられる。被検体情報取得機能5622は、取得した被検体情報を、算出機能564に出力する。ここで、患者Pの撮影周期は、CT検査の実施者が設定することも考えられる。この場合、被検体情報取得機能5622は、省略されてもよい。被検体情報取得機能5622は、「被検体情報取得部」の一例である。
【0048】
撮影条件取得機能5624は、X線CT装置1によるCT検査おいて患者Pを撮影する際の撮影条件を取得する。より具体的には、撮影条件取得機能5624は、入力インターフェース43がCT検査の実施者による入力操作を受け付けて処理回路50に出力した、心電同期撮影の撮影条件を取得する。心電同期撮影の撮影条件には、CT検査の実施者が設定した撮影周期が含まれている。以下の説明においては、「撮影周期」を「撮影条件」ともいう。撮影条件取得機能5624は、取得した撮影条件(撮影周期)の情報を、算出機能564に出力する。ここで、CT検査の実施者は、患者Pの年齢に基づいて撮影周期を設定することも考えられる。つまり、患者Pの年齢に応じた一般的な心拍数を撮影周期として設定することも考えられる。ここで、推奨する撮影周期(周期の時間)は、例えば、患者Pの年齢が10歳以下である場合は心拍数を80[bpm]として、3.0[秒]であり、患者Pの年齢が11歳~15歳までの場合は心拍数を70[bpm]として、3.4[秒]であり、患者Pの年齢が16歳以上である場合は心拍数を60[bpm]として、4.0[秒]である。このCT検査の実施者が設定する患者Pの撮影周期は、被検体情報取得機能5622が取得した被検体情報に基づいて自動で設定した撮影周期と同じであることも考えられる。この場合、撮影条件取得機能5624は、省略されてもよい。撮影条件取得機能5624は、「撮影条件取得部」の一例である。
【0049】
心拍情報取得機能5626は、心拍計測装置200により逐次伝送された心拍情報を取得する。つまり、心拍情報取得機能5626は、心拍計測装置200が計測した患者Pの現在の心拍数を取得する。心拍情報取得機能5626は、取得した心拍情報、つまり、患者Pの現在の心拍数(以下、「現在心拍数」という)を、制御機能566に逐次出力する。心拍情報取得機能5626は、取得した現在心拍数を表示制御機能55に出力し、表示制御機能55が、心拍情報取得機能5626により出力された現在心拍数を情報画像に含めてディスプレイ42に表示させてもよい。この場合、CT検査の実施者は、患者Pの現在心拍数を確認して、撮影周期の設定を修正(微修正)することができる。心拍情報取得機能5626は、「心拍情報取得部」の一例である。
【0050】
算出機能564は、被検体情報取得機能5622により出力された被検体情報と、撮影条件取得機能5624により出力された撮影条件(撮影周期)の情報とに基づいて、患者Pを心電同期撮影する際に目標とする患者Pの心拍数(以下、「目標心拍数」という)を算出する。算出機能564は、目標心拍数の最初の値を、被検体情報が表す患者Pの年齢に基づいて定めた心拍数としてもよい。算出機能564は、例えば、患者Pの年齢が10歳以下である場合の目標心拍数を80[bpm]とし、患者Pの年齢が11歳~15歳までの場合の目標心拍数を70[bpm]とし、患者Pの年齢が16歳以上である場合の目標心拍数を60[bpm]としてもよい。算出機能564は、撮影条件として設定された撮影周期が最初の目標心拍数に基づく値と異なる場合には、撮影周期により求められる心拍数を、目標心拍数としてもよい。以下の説明においては、算出機能564が、例えば、心拍数=60[bpm]を目標心拍数としたものとする。そして、撮影条件(撮影周期の時間)としても、心拍数を60[bpm]とした場合の4.0[秒]が設定されているものとする。算出機能564は、算出した目標心拍数の情報を、制御機能566に出力する。算出機能564は、「算出部」の一例である。
【0051】
制御機能566は、心拍情報取得機能5626により出力された現在心拍数が、算出機能564により出力された目標心拍数となるように、照明装置100を構成するそれぞれのLEDの発光を調光制御する。より具体的には、制御機能566は、それぞれのLEDに対してPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御を行うことにより、それぞれのLEDの発光量、つまり、照明装置100における照明の明るさを調光制御する。このとき、制御機能566は、目標心拍数と現在心拍数とに基づいて、それぞれのLEDの発光を調光制御する発光パターンを決定し、決定した発光パターンにおいて、それぞれのLEDの明るさが、明るい方から暗い方、および暗い方から明るい方に連続的に変化するように、つまり、シームレスに変化するように、PWM制御する。言い換えれば、制御機能566は、LEDの明るさが明るい方から暗い方、および暗い方から明るい方のそれぞれの方向に、ディミング制御する。発光パターンは、CT検査中の患者Pの呼吸状態に応じて、患者Pに対して呼吸(吸気と呼気とのリズムや期間)を指示することにより、患者Pの心拍数が目標心拍数となるようにするものである。このため、制御機能566は、患者Pの現在心拍数と目標心拍数との差が許容範囲内であるか否か、つまり、撮影周期から大きく外れているか否かによって、発光パターンを変更する。制御機能566は、「制御部」の一例である。
【0052】
患者Pの現在心拍数と目標心拍数との差の許容範囲は、例えば、+5%である。つまり、制御機能566は、現在心拍数の値(高さ)が目標心拍数の値(高さ)よりも+5%高い心拍数であるか否かによって、発光パターンを変更する。一方、制御機能566は、現在心拍数が目標心拍数よりも低い場合、発光パターンを変更しない。これは、患者Pの現在心拍数が目標心拍数よりも低い場合、患者Pに対して呼吸を指示しなくとも、CT検査の対象の部位の動きが目標心拍数である場合よりも遅いため、医師による患者Pの検査や診断に好適な鮮明なCT画像を容易に撮影することができると考えられるからである。より具体的には、例えば、検出データを収集する際の収集条件を、より遅いタイミングで検出データを収集するように変えることによって、CT検査の対象の部位をより好適なタイミングで撮影することができると考えられるからである。
【0053】
ここで、制御機能566が照明装置100を構成するそれぞれのLEDの発光を調光制御する発光パターンの一例について説明する。以下の説明においては、照明制御機能56が、架台装置10の筐体に円環状に配置された照明装置100の全てのLEDを同様に調光制御する、つまり、全てのLEDの明るさが同じ明るさになるように調光制御するものとする。
【0054】
図4は、実施形態に係る医用画像診断装置(X線CT装置1)において照明制御機能56(より具体的には、制御機能566)が制御する照明装置100の発光パターンの一例を模式的に示す図である。
図4には、患者Pの現在心拍数と目標心拍数との差(以下、「心拍数差」という)が許容範囲内である場合に、患者Pに対して呼吸を指示する発光パターンの一例を示している。
図4に示した発光パターンの一例は、患者Pに対して、最大の呼気状態から吸気を指示して最大の吸気状態に移行させ、その後、呼気を指示して最大の呼気状態に再び移行させる、呼吸の一周期分の調光制御の流れを示している。
図4に示した発光パターンの一例は、患者Pの呼吸が落ち着いている場合に行う調光制御の一例である。
【0055】
まず、患者Pの呼吸が最大の呼気状態であるときに、制御機能566は、全てのLEDをOFF状態(消灯状態)に制御する(
図4の(a)参照)。その後、制御機能566は、患者Pの呼吸を最大の吸気状態に移行させるため、全てのLEDをON状態(点灯状態)に制御して、ON状態の全てのLEDの明るさが連続的に明るくなるように順次調光制御する。
図4には、全てのLEDを連続的に明るくなるように調光制御する場合の一例として、全てのLEDの明るさを20%(
図4の(b)参照)、40%(
図4の(c)参照)、60%(
図4の(d)参照)に順次調光制御している状態を示している。そして、制御機能566は、患者Pの呼吸を最大の吸気状態に移行した後(ここでは、ON状態の全てのLEDの明るさが80%(
図4の(e)参照)となった後)、患者Pの呼吸を最大の呼気状態に移行させるため、ON状態の全てのLEDの明るさが連続的に暗くなるように順次調光制御する。
図4には、全てのLEDを連続的に暗くなるように調光制御する場合の一例として、全てのLEDの明るさを60%(
図4の(f)参照)、40%(
図4の(g)参照)、20%(
図4の(h)参照)に順次調光制御している状態を示している。そして、制御機能566は、患者Pの呼吸を最大の呼気状態に移行した後(ここでは、ON状態の全てのLEDの明るさを0%、つまり、全てのLEDをOFF状態(消灯状態)に制御(
図4の(a)参照)した後)、再び患者Pの呼吸を最大の吸気状態に移行させるための調光制御を行う。
【0056】
このように、制御機能566は、LEDの明るさが連続的に変わるような一連の調光制御(
図4の(a)~
図4の(h)参照)を行うことによって、一定の周期の時間での呼吸を患者Pに対して指示する。つまり、制御機能566は、
図4の(a)~
図4の(e)までの間の吸気期間において全てのLEDの明るさが順次明るくなり、その後、
図4の(e)~
図4の(a)までの間の呼気期間において全てのLEDの明るさが順次暗くなるように調光制御することによって、一定の周期の時間での呼吸を患者Pに対して指示する。これにより、X線CT装置1では、患者Pの呼吸を安定化させた状態で、CT検査の対象の部位を好適なタイミングで撮影することができる。つまり、X線CT装置1では、医師による患者Pの検査や診断に好適な鮮明なCT画像を撮影することができる。
【0057】
制御機能566が患者Pに対して指示する呼吸の一周期(
図4の(a)~次の
図4の(a)までの一周期)の時間は、患者Pの現在心拍数に基づく時間である。より具体的には、制御機能566が患者Pに対して指示する呼吸の一周期の時間は、現在心拍数が表す心拍の周期の1/4の時間である。これにより、制御機能566は、患者Pの現在心拍数に応じた周期の時間で、患者Pに対して呼吸を指示することができる。制御機能566が患者Pに対して指示する呼吸の一周期の時間は、目標心拍数に基づく時間であってもよい。この場合、被検体情報取得機能5622が取得した被検体情報、あるいは撮影条件取得機能5624が取得した撮影条件(撮影周期)に応じた周期の時間で、患者Pに対して呼吸を指示することができる。ここでは、目標心拍数=60[bpm]である。この場合、患者Pに対して指示する呼吸の一周期の時間は、1/(60[bpm]/60[秒]×1/4)=4.0[秒]である。
【0058】
制御機能566は、
図4に示した発光パターンによる調光制御を、X線CT装置1における撮影の準備段階において患者Pの呼吸が落ち着いている場合に加えて、X線CT装置1における撮影中(撮影段階)にも行う。このとき、制御機能566は、X線CT装置1における撮影の準備段階と撮影段階とで、調光制御するために基準とする心拍数を同じにしてもよいし、異なるものにしてもよい。例えば、制御機能566は、X線CT装置1における撮影の準備段階では、患者Pの現在心拍数に基づく周期の時間で調光制御し、X線CT装置1における撮影段階では、目標心拍数に基づく周期の時間で調光制御するようにしてもよい。
【0059】
以下の説明においては、
図4に示した発光パターンの一例を「通常発光パターン」といい、通常発光パターンの調光制御を、「通常調光制御」という。通常発光パターンは、「第1発光パターン」の一例である。
【0060】
続いて、制御機能566が照明装置100を構成するそれぞれのLEDの発光を調光制御する発光パターンの別の一例について説明する。
図5は、実施形態に係る医用画像診断装置(X線CT装置1)において照明制御機能56(より具体的には、制御機能566)が制御する照明装置100の発光パターンの別の一例を模式的に示す図である。
図5には、心拍数差が許容範囲から外れている(許容範囲を超えている)場合に、患者Pの現在の心拍数を低下させるように、患者Pに対して呼吸を指示する発光パターンの一例を示している。
【0061】
図5に示した発光パターンの一例でも、
図4に示した通常発光パターンと同様に、患者Pに対して指示する呼吸の一周期分の調光制御の流れを示している。ただし、
図5に示した発光パターンの一例では、通常発光パターンの周期の途中に、呼吸を停止させるように指示する期間を追加している。より具体的には、通常発光パターンにおいて患者Pの呼吸を最大の吸気状態に移行させている途中に、呼吸停止の期間を追加している。
図5に示した発光パターンの一例は、患者Pの現在心拍数の低下を図る場合に行う調光制御の一例である。
【0062】
まず、患者Pの呼吸が最大の呼気状態であるときに、制御機能566は、全てのLEDをOFF状態(消灯状態)に制御し(
図5の(a)参照)、その後、患者Pの呼吸を最大の吸気状態に移行させるため、全てのLEDをON状態(点灯状態)に制御して、ON状態の全てのLEDの明るさが連続的に明るくなるように順次調光制御する。
図5には、全てのLEDを連続的に明るくなるように調光制御する場合の一例として、全てのLEDの明るさを20%(
図5の(b)参照)、40%(
図5の(c)参照)、60%(
図5の(d)参照)に順次調光制御している状態を示している。そして、制御機能566は、患者Pの呼吸が予め定めた吸気状態に移行した後(ここでは、ON状態の全てのLEDの明るさが60%(
図5の(d)参照)となった後)、患者Pの呼吸を所定期間の間停止状態にさせるため、全てのLEDが点滅するように調光制御する。
図5には、全てのLEDを点滅するように調光制御する場合の一例として、全てのLEDの明るさが100%(
図5の(e-1)参照)のときと、0%(
図5の(e-2)参照)のときとを繰り返すように調光制御している状態を示している。そして、制御機能566は、患者Pの呼吸を停止状態にさせる所定期間が経過した後、患者Pの呼吸を最大の吸気状態に移行させるため、ON状態の全てのLEDの明るさが連続的に、さらに明るくなるように順次調光制御する。
図5には、全てのLEDを連続的にさらに明るくなるように調光制御する場合の一例として、全てのLEDの明るさを80%(
図5の(f)参照)、100%(
図5の(g)参照)に順次調光制御している状態を示している。そして、制御機能566は、患者Pの呼吸を最大の吸気状態に移行した後(ここでは、ON状態の全てのLEDの明るさが100%(
図5の(g)参照)となった後)、患者Pの呼吸を最大の呼気状態に移行させるため、ON状態の全てのLEDの明るさが連続的に暗くなるように順次調光制御する。
図5には、全てのLEDを連続的に暗くなるように調光制御する場合の一例として、全てのLEDの明るさを80%(
図5の(h)参照)、60%(
図5の(i)参照)、40%(
図5の(j)参照)、20%(
図5の(k)参照)に順次調光制御している状態を示している。そして、制御機能566は、患者Pの呼吸を最大の呼気状態に移行した後(ここでは、ON状態の全てのLEDの明るさを0%、つまり、全てのLEDをOFF状態(消灯状態)に制御(
図5の(a)参照)した後)、再び患者Pの呼吸を予め定めた吸気状態に移行した後、一旦停止状態にし、その後さらに最大の吸気状態に移行させるための調光制御を行う。
【0063】
このように、制御機能566は、心拍数差が許容範囲を超えている場合には、通常発光パターンにおいて吸気を指示している途中に、所定期間の呼吸停止(
図5の(e-1)および
図5の(e-2))とその後のさらなる吸気(
図5の(f)~
図5の(g))とを患者Pに対して指示することにより、患者Pの現在心拍数の低下を図る、言い換えれば、患者Pの呼吸を落ち着かせる。これは、現在心拍数が許容範囲を超えているということは、CT検査の対象の部位を好適なタイミングで撮影することができず、このときに撮影されたCT画像は、医師による患者Pの検査や診断に好適ではない不鮮明な画像になってしまう可能性が高いことが想定されるためである。そこで、制御機能566は、
図5に示した発光パターンの一例で患者Pの呼吸を指示することにより、患者Pの現在心拍数の低下を図り、患者Pの呼吸を落ち着かせている。
【0064】
ここで、現在心拍数を低下させるために制御機能566が患者Pに対して指示する呼吸の期間(
図5の(e-1)~
図5の(g)の期間)は、予め定めた期間であってもよいが、患者Pに必要以上の負荷をかけないようにするため、患者Pごとに異なる期間であってもよい。つまり、制御機能566が患者Pに呼吸の停止を指示する所定期間と、その後にさらなる吸気を指示する期間とは、患者Pごとに異なる期間であってもよい。この場合、これらの期間は、例えば、CT検査の実施者が入力インターフェース43を操作して入力してもよいし、患者Pの年齢や、性別、肺活量などに基づいて決定してもよいし、以前のCT検査において撮影したCT画像から求められる肺活量などの情報などに基づいて決定してもよい。このとき、患者Pの年齢、性別、肺活量などの情報、以前のCT検査、以前のCT画像から求められる肺活量などの情報は、例えば、被検体情報取得機能5622が、電子カルテシステムなどのデータベースシステムや、PACSなどの医用画像管理システムから取得してもよい。
【0065】
ところで、
図5に示した発光パターンの一例の呼吸方法は、いわゆる、バルサルバ呼吸法と呼ばれる呼吸方法である。つまり、制御機能566は、心拍数差が許容範囲を超えている場合には、バルサルバ呼吸法の呼吸を患者Pに指示することにより、患者Pの現在心拍数の低下を図っている。しかしながら、バルサルバ呼吸法の呼吸を患者Pに指示しても、患者Pの現在心拍数が低下しないことも考えられる。このため、制御機能566は、バルサルバ呼吸法の呼吸を所定の回数(例えば、三回など)だけ繰り返しても患者Pの現在心拍数が低下しない場合には、従来のCT検査と同様に、例えば、ベータブロッカーなど、意図的に心拍数を低下させる薬剤の投与をCT検査の実施者に提案するようにしてもよい。
【0066】
一方、心拍数差が許容範囲を超えている場合であっても、例えば、患者Pに深呼吸をさせることによって、患者Pの現在の心拍数を低下させることができる場合もある。例えば、心拍数差が僅かに許容範囲を超えているような場合には、
図5に示したバルサルバ呼吸法の発光パターンによる調光制御に代えて、深呼吸の発光パターンによる調光制御を行うようにしてもよい。このため、制御機能566は、心拍数差が許容範囲を超えている場合において、心拍数差が所定の閾値内であるか否かによって、バルサルバ呼吸法の発光パターンによる調光制御と、深呼吸の発光パターンによる調光制御とを切り替えるようにしてもよい。所定の閾値は、例えば、心拍数差が+10%である。つまり、制御機能566は、現在心拍数の値(高さ)が目標心拍数の値(高さ)よりも+10%高い心拍数であるか否かによって、バルサルバ呼吸法の発光パターンと、深呼吸の発光パターンとを切り替える。
【0067】
深呼吸の発光パターンは、
図4に示した通常発光パターンの周期の時間を長くした(例えば、整数倍した)発光パターンである。例えば、通常発光パターンでは、患者Pに対して指示する呼吸の一周期の時間を、現在心拍数あるいは目標心拍数が表す心拍の周期の4倍の時間とする。一方、深呼吸の発光パターンでは、患者Pに対して指示する呼吸の一周期の時間が、通常穂発行パターンで患者Pに対して指示する呼吸の一周期の時間の二倍となるように、現在心拍数あるいは目標心拍数が表す心拍の周期の8倍の時間にする。このとき、
図4に示した通常発光パターンでは、患者Pの呼吸における最大の吸気状態を、全てのLEDの明るさが80%(
図4の(e)参照)としていたが、深呼吸の発光パターンでの最大の吸気状態は、全てのLEDの明るさを100%としてもよい。この場合においても深呼吸の発光パターンは、通常発光パターンに基づいて容易に考えることができる。従って、深呼吸の発光パターンの一例に関する詳細な説明は省略する。
【0068】
制御機能566は、バルサルバ呼吸法の発光パターンによる調光制御、あるいは深呼吸の発光パターンによる調光制御を、X線CT装置1における撮影の準備段階に行う。つまり、制御機能566は、X線CT装置1における撮影の準備段階において心拍数差が許容範囲を超えている場合には、バルサルバ呼吸法の呼吸、あるいは深呼吸を患者Pに指示することにより、患者Pの現在心拍数の低下を図る。これにより、X線CT装置1では、撮影段階において、通常発光パターンによる調光制御を行うことにより、患者Pの呼吸を落ち着かせた状態で、CT検査の対象の部位を好適なタイミングで撮影し、医師による患者Pの検査や診断に好適な鮮明なCT画像を撮影することができる。
【0069】
ここで、CT検査の実施者は、制御機能566による調光制御が意味する意図を予め患者Pに伝えておくと、より円滑にCT検査を進めることができると考えられる。このため、CT検査の実施者は、「LEDが明るくなるにつれて息を吸い」、「LEDが暗くなるにつれて息を吐き」、「LEDが点滅した場合には息を止める」ことを、予め患者Pに伝えておくことが好適であると考えられる。
【0070】
以下の説明においては、
図5に示したバルサルバ呼吸法の発光パターンの一例を「バルサルバ発光パターン」といい、バルサルバ発光パターンの調光制御を、「バルサルバ調光制御」という。さらに、不図示の深呼吸の発光パターンを「深呼吸発光パターン」といい、深呼吸発光パターンの調光制御を、「深呼吸調光制御」という。バルサルバ発光パターン、および深呼吸発光パターンは、「第2発光パターン」の一例である。深呼吸発光パターンは、「第2-1発光パターン」の一例である。バルサルバ発光パターンは、「第2-2発光パターン」の一例である。
【0071】
次に、照明制御機能56において、照明装置100を構成するそれぞれのLEDの発光を調光制御する一連の処理の流れの一例について説明する。以下の説明においても、照明制御機能56が、架台装置10の筐体に円環状に配置された照明装置100の全てのLEDの明るさが同じ明るさになるように調光制御するものとする。
【0072】
図6は、実施形態に係る医用画像診断装置(X線CT装置1)において検査(CT検査)を実施する処理の一連の流れの一例を示すフローチャートである。患者Pの検査や診断を開始する準備が整うと、つまり、天板33に載置された患者Pが回転フレーム17の内部に導入されると、X線CT装置1では、撮影の準備段階において、照明制御機能56が、患者Pの現在の心拍数に応じて、照明装置100を構成する全てのLEDを調光制御する処理を開始する。以下の説明においては、照明制御機能56が備えるそれぞれの機能によって、撮影の準備段階におけるLEDの発光の調光制御をするものとする。
【0073】
撮影の準備段階におけるLEDの調光制御の処理を開始すると、取得機能562は、照明装置100が備えるそれぞれのLEDを調光制御するために用いる情報を取得する。より具体的には、被検体情報取得機能5622は、患者Pの被検体情報を取得する(ステップS100)。被検体情報取得機能5622は、取得した被検体情報を、算出機能564に出力する。さらに、撮影条件取得機能5624は、患者PのCT検査において心電同期撮影する際の撮影条件(撮影周期)の情報を取得する(ステップS102)。撮影条件取得機能5624は、取得した撮影条件の情報を、算出機能564に出力する。被検体情報取得機能5622によるステップS100の処理と、撮影条件取得機能5624によるステップS102の処理とは、逆であってもよい。
【0074】
算出機能564は、被検体情報取得機能5622により出力された被検体情報と、撮影条件取得機能5624により出力された撮影条件の情報とに基づいて、患者Pを心電同期撮影する際の目標心拍数を算出する(ステップS104)。算出機能564は、算出した目標心拍数の情報を、制御機能566に出力する。これにより、制御機能566は、算出機能564により出力された目標心拍数に基づく周期の時間で、照明装置100が備える全てのLEDの調光制御を開始してもよい。つまり、制御機能566は、全てのLEDに対して、目標心拍数に基づく周期の時間で通常発光パターンの通常調光制御を開始してもよい。
【0075】
そして、心拍情報取得機能5626は、心拍計測装置200により伝送された現在心拍数の取得を開始する(ステップS106)。心拍情報取得機能5626は、取得した現在心拍数を、制御機能566に出力する。以降、心拍情報取得機能5626は、心拍計測装置200により逐次伝送された現在心拍数の取得と、制御機能566への出力とを逐次繰り返す。そして、制御機能566は、心拍情報取得機能5626により出力された現在心拍数に基づく周期の時間で、照明装置100が備える全てのLEDの調光制御を開始する。つまり、制御機能566は、全てのLEDに対して、現在心拍数に基づく周期の時間で通常発光パターンの通常調光制御を開始する(ステップS108)。ここで、制御機能566は、算出機能564によるステップS104の処理の後に、目標心拍数に基づく周期の時間での通常調光制御をすでに開始している場合には、通常調光制御の周期の時間を、目標心拍数に基づく時間から、現在心拍数に基づく時間に切り替えるようにしてもよい。この場合の周期の時間の切り替えタイミングは、患者Pの呼吸のリズムが不自然にならないようにするタイミングであればよい。
【0076】
その後、制御機能566は、患者Pの現在心拍数と目標心拍数との差である心拍数差を求め、求めた心拍数差が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS200)。ステップS200において、心拍数差が許容範囲内ではないと判定した場合、つまり、心拍数差が許容範囲を超えていると判定した場合、制御機能566は、心拍数差が所定の閾値内であるか否か判定する(ステップS300)。
【0077】
ステップS300において、心拍数差が所定の閾値内であると判定した場合、制御機能566は、全てのLEDに対して、深呼吸発光パターンの深呼吸調光制御を開始する(ステップS302)。その後、制御機能566は、所定の時間が経過したか否かを確認する(ステップS500)。深呼吸調光制御を開始した後のステップS500の処理における所定の時間は、患者Pに深呼吸をさせたことによって現在心拍数が低下することが想定される時間である。ステップS500において、所定の時間が経過していないことが確認された場合、制御機能566は、ステップS500の処理を繰り返す。つまり、制御機能566は、所定の時間が経過するのを待つ。制御機能566は、深呼吸調光制御を所定の回数行った後にステップS500の処理を行ってもよい。
【0078】
一方、ステップS300において、心拍数差が所定の閾値内ではないと判定した場合、つまり、心拍数差が所定の閾値よりも大きな差であると判定した場合、制御機能566は、バルサルバ調光制御の実施が所定の回数内であるか否か判定する(ステップS400)。ステップS400において、バルサルバ調光制御の実施が所定の回数内であると判定した場合、制御機能566は、全てのLEDに対して、バルサルバ発光パターンのバルサルバ調光制御を開始する(ステップS402)。その後、制御機能566は、所定の時間が経過するのを待つ(ステップS500)。バルサルバ調光制御を開始した後のステップS500の処理における所定の時間は、患者Pにバルサルバ呼吸法の呼吸をさせたことによって現在心拍数が低下することが想定される時間である。制御機能566は、一周期分のバルサルバ調光制御を行った後にステップS500の処理を行ってもよいし、バルサルバ調光制御を所定の回数行った後にステップS500の処理を行ってもよい。ステップS500の処理を行う場合、制御機能566は、全てのLEDに対して通常調光制御を行うようにし、患者Pがバルサルバ呼吸法の呼吸を行う回数が過度にならないようにして、所定の時間が経過するのを待つ。
【0079】
一方、ステップS400において、バルサルバ調光制御の実施が所定の回数内ではないと判定した場合、言い換えれば、バルサルバ呼吸法の呼吸を所定の回数だけ繰り返しても患者Pの現在心拍数が低下していないと判定した場合、制御機能566は、従来のCT検査と同様に、意図的に心拍数を低下させる薬剤の投与をCT検査の実施者に提案する(ステップS404)。この場合、制御機能566は、患者Pの現在心拍数が低下していないこと、言い換えれば、現時点ではCT検査を開始することが不可能であることを、CT検査の実施者に通知する。このとき、制御機能566は、患者Pの現在心拍数が低下していないことを表す情報を表示制御機能55に出力し、表示制御機能55が、現時点ではCT検査を開始することが不可能であることを表す情報を情報画像に含めてディスプレイ42に表示させる。これにより、CT検査の実施者は、例えば、ベータブロッカーなどを患者Pに投与するか、バルサルバ呼吸法の呼吸を継続させるか判断することができる。CT検査の実施者が、バルサルバ呼吸法の呼吸を継続させると判断した場合、CT検査の実施者が入力インターフェース43を操作して、バルサルバ呼吸法の呼吸を継続させることを入力してもよい。これにより、制御機能566は、例えば、ステップS400の処理において判定する所定の回数を更新して、バルサルバ発光パターンのバルサルバ調光制御を継続させることができる。ここで、バルサルバ呼吸法を継続させるために更新する所定の回数(つまり、追加でバルサルバ調光制御を実施する回数)は、予め定めた回数(例えば、所定の回数よりも少ない回数、例えば、一回など)であってもよいし、CT検査の実施者が入力インターフェース43を操作して、バルサルバ呼吸法による呼吸を継続させる回数を入力してもよい。一方、CT検査の実施者が、例えば、ベータブロッカーなどを患者Pに投与すると判断した場合、CT検査の実施者が入力インターフェース43を操作して、薬剤を投与することを入力してもよい。この場合、制御機能566は、所定の時間が経過するのを待つ(ステップS500)。薬剤を投与した後のステップS500の処理における所定の時間は、患者Pに投与された薬剤の効果によって現在心拍数が低下することが想定される時間である。この場合の所定の時間は、予め定めた時間であってもよいし、CT検査の実施者が入力インターフェース43を操作して入力した時間であってもよい。
【0080】
制御機能566は、所定の時間が経過した後、つまり、ステップS302の処理による深呼吸調光制御、ステップS402の処理によるバルサルバ調光制御、あるいはステップS404の処理による通知に応じて患者Pに投与された薬剤の効果によって現在心拍数が低下することが想定される時間が経過した後、処理をステップS200に戻す。
【0081】
そして、ステップS200において、心拍数差が許容範囲内であると判定した場合、制御機能566は、全てのLEDに対して、目標心拍数に基づく周期の時間で通常発光パターンの通常調光制御を開始する(ステップS202)。ここで、制御機能566は、ステップS108の処理において、現在心拍数に基づく周期の時間での通常調光制御を開始している。このため、制御機能566は、ステップS202において、現在の通常調光制御を継続してもよいし、現在の通常調光制御の周期の時間を、現在心拍数に基づく時間から、目標心拍数に基づく時間に切り替えるようにしてもよい。この場合の周期の時間の切り替えタイミングは、患者Pの呼吸のリズムが不自然にならないようにするタイミングであればよい。制御機能566は、ステップS202の処理において通常調光制御を開始した後、患者Pの呼吸が安定していること、言い換えれば、CT検査を開始することが可能であることを、CT検査の実施者に通知するようにしてもよい。この場合、制御機能566は、患者Pの呼吸が安定していることを表す情報を表示制御機能55に出力し、表示制御機能55が、患者Pの呼吸が安定していることを表す情報を情報画像に含めてディスプレイ42に表示させてもよい。これにより、X線CT装置1では、撮影段階において、患者Pの呼吸を安定化させた状態でCT検査、つまり、医師による患者Pの検査や診断に好適な鮮明なCT画像を撮影することができるようになる。そして、制御機能566は、撮影の準備段階におけるLEDの調光制御の処理を終了する。
【0082】
以降、制御機能566は、X線CT装置1の撮影段階におけるLEDの発光の調光制御を行う。制御機能566による撮影段階におけるLEDの調光制御の処理は、ステップS202において開始した通常発光パターンの通常調光制御を継続する処理である。
【0083】
このような処理によって、X線CT装置1では、コンソール装置40が備える処理回路50内の照明制御機能56が、心拍計測装置200が計測して逐次伝送された心拍情報(現在心拍数)をリアルタイムに監視(モニタリング)して、患者Pを心電同期撮影する際に目標とする目標心拍数との差(心拍数差)を逐次求め、求めた心拍数差が許容範囲内であるか否かによって、架台装置10に設けられた照明装置100による照明を制御する。これにより、X線CT装置1では、CT検査中の患者Pに対して呼吸を指示することができる。このことにより、X線CT装置1では、患者Pの呼吸を安定化させ(患者Pの呼吸を落ち着かせ)、患者Pの現在心拍数の低下を図ることができる。これにより、X線CT装置1では、医師による患者Pの検査や診断に好適ではない不鮮明な画像になってしまう可能性が高い、患者Pの現在心拍数が高い状態を回避して、CT検査を行うことができる。
【0084】
上記に述べたとおり、実施形態の医用画像診断装置では、患者の心拍数をリアルタイムに監視(モニタリング)し、架台装置10に設けられた照明装置100による照明を制御し、患者Pに対して呼吸(吸気と呼気とのリズムや期間)を指示する。これにより、実施形態の医用画像診断装置では、患者が、視覚的に確認して呼吸を行うことができる。そして、実施形態の医用画像診断装置では、患者の現在の心拍数が目標の心拍数に対する許容範囲から外れている(許容範囲を超えている)場合に、患者の呼吸方法によって、患者の現在の心拍数の低下を図る。これにより、実施形態の医用画像診断装置では、医師による患者の検査や診断に好適ではない不鮮明な画像になってしまう可能性が高い、患者Pの現在心拍数が高い状態を回避して、CT検査を行うことができる。
【0085】
しかも、実施形態の医用画像診断装置では、患者の心拍数に基づいて照明装置100の照明を調光制御して、呼吸のリズムを指示する。このため、CT検査の実施者が患者に対して声かけを行って呼吸のリズムを指示する従来の方法に比べて、心電同期撮影に好適なタイミングのときに、CT検査の対象の部位のCT画像の撮影を行うことができる。つまり、実施形態の医用画像診断装置では、照明装置100による照明を患者の心拍数に基づいて調光制御するため、この調光制御のタイミングと、CT画像の撮影のタイミングとを同期させる(連動させる)ことにより、容易に心電同期撮影を行うことができる。これにより、実施形態の医用画像診断装置では、例えば、全肺呼吸動態撮影などを行う場合において、撮影したそれぞれのCT画像の繋ぎ合わせの処理が容易になるということも期待することができる。
【0086】
さらに、実施形態の医用画像診断装置では、患者の呼吸方法によって、患者の現在の心拍数の低下を図っている。このため、従来であれば、患者の心拍数にかかわらず、CT検査の準備段階において、意図的に心拍数を低下させる薬剤を事前に投与していたが、実施形態の医用画像診断装置では、患者の呼吸方法によって心拍数を低下させることができれば、薬剤の投与をしなくてもよくなる。つまり、実施形態の医用画像診断装置では、薬剤を投与したことによって患者に発生することが想定される副作用などの人体への影響を考慮することなく、CT検査を行うことができる可能性を高めることができる。
【0087】
上述した実施形態のX線CT装置1では、処理回路50内の照明制御機能56が、架台装置10の筐体に円環状に配置された照明装置100の全てのLEDを同様に調光制御する、つまり、全てのLEDの明るさが同じ明るさになるように調光制御する場合について説明した。しかしながら、X線CT装置1では、照明制御機能56が、円環状に配置されたそれぞれのLEDごとに、異なる調光制御をしてもよい。
【0088】
ここで、この場合の一例について説明する。
図7は、実施形態に係る医用画像診断装置(X線CT装置1)において架台装置10に照明装置100を配置する別の一例を模式的に示す図である。
図7に示した照明装置100の配置の一例では、異なる調光制御を行うLEDを照明装置100aとして示し、他の位置に配置されている照明装置100を構成するそれぞれのLEDと区別している。
図7に示した一例では、架台装置10の開口部の縁部の周囲に円環状に配置されているそれぞれのLEDのうち、開口部の上側の位置に配置されている少なくとも一つのLEDを照明装置100aとしている。この場合、患者Pは、架台装置10の開口部に導入された状態、つまり、回転フレーム17の内部に導入された状態で、照明制御機能56により異なる調光制御がされた照明装置100と照明装置100aとのそれぞれのLEDが発光している状態を見ることができる。
【0089】
そして、制御機能566は、例えば、照明装置100aのLEDによって、基準とする呼吸の深さ、特に、最大の吸気状態を、照明装置100の全てのLEDと比較して患者Pに示すことができる。より具体的には、照明制御機能56は、例えば、照明装置100aのLEDの明るさが100%となるように調光制御し、照明装置100の全てのLEDを発光パターンに応じて調光制御する。これにより、患者Pは、現在指示されている呼吸の深さが、最大の吸気状態の呼吸の深さに対してどれくらいの割合であるのかを、視覚的に確認することができる。この場合の制御機能566におけるそれぞれのLEDに対する調光制御は、
図4に示した通常発光パターンの通常調光制御や、
図5に示したバルサルバ発光パターンのバルサルバ調光制御に基づいて容易に考えることができる。従って、この場合の制御機能566における調光制御に関する詳細な説明は省略する。
【0090】
上述した実施形態のX線CT装置1では、処理回路50内の照明制御機能56が、照明装置100を構成するそれぞれのLEDの明るさを指示する調光制御を行う場合について説明した。しかしながら、照明装置100を構成するLEDとして、色を変更することができる、つまり、調色制御をすることができるLEDを採用してもよい。この場合、制御機能566は、調光制御に代えて、または加えて、それぞれのLEDに対して調色制御を行ってもよい。例えば、バルサルバ発光パターンの調色制御をする場合、制御機能566は、患者Pの呼吸を最大の呼気状態から最大の吸気状態に移行させる場合にLEDが青色から緑色に変わるように順次調色制御し、患者Pの呼吸を停止状態にさせるときに赤色に調色制御し、患者Pの呼吸を最大の吸気状態から最大の呼気状態に移行させる場合にLEDが緑色から青色に変わるように順次調色制御するようにしてもよい。このとき、
図7に示した照明装置100の配置の一例において、照明装置100aのLEDによって、基準とする最大の吸気状態を示す場合、制御機能566は、照明装置100aのLEDを常に青色に調色制御しておき、照明装置100の全てのLEDをバルサルバ発光パターンに応じて順次調色制御するようにしてもよい。制御機能566におけるそれぞれのLEDに対する調色制御も、実施形態において説明した調光制御に基づいて容易に考えることができるため、制御機能566における調色制御に関する詳細な説明は省略する。
【0091】
上述した実施形態では、医用画像診断装置がX線CT装置である場合を例に挙げて説明したが、これはあくまで一例であり、医用画像診断装置は、天板に載置された患者を架台装置の内部に導入することによって検査や診断を行う医用診断装置であれば、X線CT装置に限定されない。例えば、医用画像診断装置は、X線を照射しながら患者の血管(動脈や静脈)の状態を撮影する検査、いわゆる、アンギオグラフィー検査を行う医用診断装置であってもよい。この場合における医用画像診断装置の構成や、動作、処理は、上述した実施形態の医用画像診断装置(X線CT装置)の構成や、動作、処理と等価なものになるようにすればよい。従って、X線CT装置以外の医用診断装置である場合の医用画像診断装置の構成や、動作、処理に関する詳細な説明は省略する。
【0092】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
処理回路(processing circuitry)を備え、
前記処理回路は、
被検体を撮影する際に、前記被検体の心拍数が、目標とする前記被検体の心拍数である目標心拍数となるように前記被検体に対して呼吸の周期を指示する発光パターンで、架台装置において前記被検体が導入される開口部に設けられた照明装置による照明を制御する、
医用画像診断装置。
【0093】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、被検体(P)が導入される開口部に照明装置(100)が設けられた架台装置(10)と、前記被検体を撮影する際に、前記被検体の心拍数が、目標とする前記被検体の心拍数である目標心拍数となるように前記被検体に対して呼吸の周期を指示する発光パターンで、前記照明装置による照明(発光素子:LED)を制御する照明制御部(56)と、を持つことにより、被検体(P)の検査や診断を行う医用画像診断装置によって診断を行う際に、被検体(P)の呼吸を安定化させて、好適なタイミングで撮影を行う医用画像診断装置を実現することができる。
【0094】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0095】
1・・・X線CT装置、10・・・架台装置、11・・・X線管装置、12・・・ウェッジ、13・・・コリメータ、14・・・X線高電圧装置、15・・・X線検出器、16・・・データ収集システム(DAS)、17・・・回転フレーム、18・・・制御装置、30・・・寝台装置、31・・・基台、32・・・寝台駆動装置、33・・・天板、34・・・支持フレーム、40・・・コンソール装置、41・・・メモリ、42・・・ディスプレイ、43・・・入力インターフェース、44・・・ネットワーク接続回路、50・・・処理回路、51・・・システム制御機能、52・・・前処理機能、53・・・再構成処理機能、54・・・画像処理機能、55・・・表示制御機能、56・・・照明制御機能、562・・・取得機能、5622・・・被検体情報取得機能、5624・・・撮影条件取得機能、5626・・・心拍情報取得機能、564・・・算出機能、566・・・制御機能、100・・・照明装置、200・・・心拍計測装置