(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125779
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】通信機器用の清掃具およびその清掃方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20240911BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20240911BHJP
B08B 1/00 20240101ALI20240911BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/42
B08B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033837
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正義
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】大澤 誠
【テーマコード(参考)】
2H036
2H137
3B116
【Fターム(参考)】
2H036KA04
2H137AA01
2H137AB01
2H137AB05
2H137AB06
2H137AC12
2H137BA01
2H137BA12
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB24
2H137DB03
3B116AA46
3B116AB52
3B116BA08
3B116BA23
3B116BC07
(57)【要約】
【課題】 清掃対象を的確に清掃することができる清掃方法を提供する。
【解決手段】 被通信接続体が接続可能な通信接続部が有する清掃対象を清掃するための清掃部を有する清掃具と、清掃具と別体に構成され通信接続部に対して所定の位置に取り付け可能な案内部材であって、清掃具を通信接続部に案内するための案内部材と、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被通信接続体が接続可能な通信接続部が有する清掃対象を清掃するための清掃部を有する清掃具と、
前記清掃具と別体に構成され前記通信接続部に対して所定の位置に取り付け可能な案内部材であって、前記清掃具を前記通信接続部に案内するための案内部材と、
を備える清掃部材。
【請求項2】
被通信接続体が接続可能な通信接続部が有する清掃対象を清掃するための清掃部を有する清掃具と、
前記清掃具と別体に構成され前記清掃具を案内するための案内部材と、
を備え、
前記案内部材を前記通信接続部に対して所定の位置に取り付ける取付ステップと、
前記清掃具を前記案内部材に対して移動させて前記通信接続部に案内する案内ステップと、
により前記清掃対象を清掃可能な清掃部材。
【請求項3】
清掃対象を清掃するための清掃部を有する清掃具と、前記清掃具と別体に構成され前記清掃具を案内するための案内部材と、を用いて、被通信接続体が接続可能な通信接続部が有する前記清掃対象を清掃する清掃方法であって、
前記案内部材を前記通信接続部に対して所定の位置に取り付ける取付ステップと、
前記清掃具を前記案内部材に対して移動させて前記通信接続部に案内する案内ステップと、を含む清掃方法。
【請求項4】
前記通信接続部は、前記被通信接続体と通信するための通信部を有しかつ前記清掃対象を有する接続端面と、前記接続端面の少なくとも一部を収納する収納部とを、有し、
前記収納部は、前記被通信接続体が挿通される開口部を有し、
前記取付ステップは、前記開口部に前記案内部材を係止する係止ステップを含む、請求項3に記載の清掃方法。
【請求項5】
前記案内部材は、前記清掃具が挿通可能な貫通孔を有し、
前記清掃具は、長尺な形状を有し、
前記案内ステップは、前記貫通孔の開口を前記接続端面と向かい合わせる対向ステップを含む、請求項4に記載の清掃方法。
【請求項6】
前記清掃部は、粘着性を有し、
前記通信接続部は、光トランシーバを有し、
前記収納部は、前記光トランシーバのレセプタクルを有し、
前記接続端面は、前記光トランシーバのスタブ表面を前記清掃対象として有し、
前記スタブ表面は、前記レセプタクルの開口部よりも前記レセプタクルの内部に位置し、
前記案内ステップは、前記清掃部を前記スタブ表面に当接させる当接ステップを含む、請求項4に記載の清掃方法。
【請求項7】
前記清掃具は、操作者が把持可能な柄部と、前記柄部から延在し前記柄部よりも細い延在部と、を有し、
前記延在部の端部に前記清掃部を有し、
前記案内ステップは、前記案内部材の前記貫通孔を介して、前記柄部と前記延在部と前記清掃部とを挿通させる挿通ステップを含む、請求項5に記載の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器用の清掃具およびその清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光トランシーバのレセプタクル内に位置するスタブの表面の清掃は、綿棒や細い棒状にした不織布等を用いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の清掃では、綿棒や不織布を用いていたため、綿や糸くずが生成されやすく、塵埃等の除去能力も不十分であり、場合によっては、かえって光トランシーバのレセプタクル内のスタブ表面を汚してしまうこともあった。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものである。その目的は、清掃対象を的確に清掃することができる清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による清掃部材の特徴は、
被通信接続体が接続可能な通信接続部が有する清掃対象を清掃するための清掃部を有する清掃具と、
前記清掃具と別体に構成され前記通信接続部に対して所定の位置に取り付け可能な案内部材であって、前記清掃具を前記通信接続部に案内するための案内部材と、
を備えることである。
【発明の効果】
【0007】
清掃対象を的確に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】光トランシーバ500の主な構成を示す分解斜視図である。
【
図2】TOSA部550及びROSA部560がレセプタクル510に組み付けられている状態を、ホルダを省略して示した一部破断斜視図である。
【
図3】レセプタクル510の開口部512からTOSA部550及びROSA部560を示す正面図である。
【
図5】第1の実施の形態による擬似プラグ部100の全体を軸方向から離れた前方から示す斜視図である。
【
図6】擬似プラグ部100の全体を側方から示す斜視図である。
【
図7】擬似プラグ部100の全体を後方から示す斜視図である。
【
図8】擬似プラグ部100の全体を軸方向に近い前方から示す斜視図である。
【
図9】清掃具600が擬似プラグ部100を貫通した状態を示す斜視図である。
【
図10】第1の実施の形態の擬似プラグ部100をレセプタクル510に取り付け、清掃具600でスタブ表面を清掃する過程を示す断面図である。
【
図11】第2の実施の形態による擬似プラグ部200の全体を前方から示す斜視図である。
【
図12】第2の実施の形態による擬似プラグ部200の全体を後方から示す斜視図である。
【
図13】第2の実施の形態の擬似プラグ部200をレセプタクル510に取り付け、清掃具600でスタブ表面を清掃する過程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<<<<<本実施の形態の概要>>>>>
一般に、光通信システムには、光トランシーバ(例えば、
図1参照)が用いられることが多い。光トランシーバは、送受信に必要な光素子や電子基板を有する。光トランシーバは、電気信号と光信号の相互に変換する光モジュールの一種である。光トランシーバは、スイッチングハブやLANカードやルータなどのホスト機器に着脱可能に設けられる。
【0010】
光トランシーバは、レセプタクルを有する。後述するように、光トランシーバのレセプタクルは、奥まった位置にTOSA部及びROSA部などのスタブ表面を有する。また、光コネクタのアダプタは、奥まった位置にコネクタ表面を有する。光トランシーバのレセプタクルや光コネクタのアダプタは、各種のケーブルや機器などの接続のために開口部を有する。このため、塵埃などが、開口部からスタブの表面やコネクタの表面に到達する場合がある。
【0011】
このため、レセプタクルやアダプタの奥まった位置にあるスタブ表面やコネクタ表面を、所定のタイミングで清掃する必要が生じ、そのための清掃具が必要となる。清掃具は、清掃部を奥まった位置にまで到達させるために、長尺な形状を要する。例えば、清掃具は、プラグを模した疑似プラグと、フェルールを模した疑似フェルールとを有する。疑似フェルールの先端部に清掃部を設けることで、スタブ表面やコネクタ表面を清掃することができる。さらに、清掃部を、綿棒や不織布等で構成せずに、粘着タイプにすることで、コネクタの表面やスタブの表面を傷つけることなく清掃することができる。
【0012】
しかしながら、前述した清掃具は、疑似プラグと疑似フェルールとを一体化させて構成されている。このため、清掃が完了したときには、清掃具の全てを、すなわち、疑似プラグと疑似フェルールとの双方を廃棄していた。前述した清掃具では、疑似プラグをも廃棄せざるを得ず、資源の無駄が生じてしまう。さらに、疑似プラグと疑似フェルールとを一体に構成しているために、コネクタなどの清掃対象の種類ごとに、清掃具の全体の金型を設計して製造する必要が生じ、コストが嵩むとともに清掃具の普及の弊害となっていた。
【0013】
清掃具の汎用性を高めて、清掃具を十分に普及させるとともに、使用後の廃棄物の削減にもつながる清掃具が求められている。
【0014】
<<第1の特徴>>
第1の特徴によれば、
被通信接続体が接続可能な通信接続部(例えば、光トランシーバ500など)が有する清掃対象を清掃するための清掃部(例えば、粘着部630など)を有する清掃具(例えば、清掃具600など)と、
前記清掃具と別体に構成され前記通信接続部に対して所定の位置に取り付け可能な案内部材であって、前記清掃具を前記通信接続部に案内するための案内部材(例えば、擬似プラグ部100や200など)と、
を備える清掃部材が提供される。
【0015】
清掃部材は、清掃具と案内部材とを備える。通信接続部が清掃対象を有する。通信接続部は、被通信接続体が接続可能に構成されている。通信接続部は、被通信接続体と別体に構成される。
【0016】
<<第2の特徴>>
第2の特徴によれば、
被通信接続体が接続可能な通信接続部(例えば、光トランシーバ500など)が有する清掃対象を清掃するための清掃部(例えば、粘着部630など)を有する清掃具(例えば、清掃具600など)と、
前記清掃具と別体に構成され前記清掃具を案内するための案内部材(例えば、擬似プラグ部100や200など)と、
を備え、
前記案内部材を前記通信接続部に対して所定の位置に取り付ける取付ステップと、
前記清掃具を前記案内部材に対して移動させて前記通信接続部に案内する案内ステップと、により前記清掃対象を清掃可能な清掃部材が提供される。
【0017】
清掃部材は、清掃具と案内部材とを備える。通信接続部が清掃対象を有する。通信接続部は、被通信接続体が接続可能に構成されている。通信接続部は、被通信接続体と別体に構成される。
【0018】
<<第3の特徴>>
第3の特徴によれば、
清掃対象を清掃するための清掃部(例えば、粘着部630など)を有する清掃具(例えば、清掃具600など)と、前記清掃具と別体に構成され前記清掃具を案内するための案内部材(例えば、擬似プラグ部100や200など)と、を用いて、被通信接続体が接続可能な通信接続部(例えば、光トランシーバ500など)が有する前記清掃対象を清掃する清掃方法であって、
前記案内部材を前記通信接続部に対して所定の位置に取り付ける取付ステップと、
前記清掃具を前記案内部材に対して移動させて前記通信接続部に案内する案内ステップと、を含む清掃方法が提供される。
【0019】
清掃方法は、清掃具と案内部材とを用いて清掃対象を清掃する方法である。通信接続部が清掃対象を有する。通信接続部は、被通信接続体が接続可能に構成されている。通信接続部は、被通信接続体と別体に構成される。
【0020】
<第1の特徴、第2の特徴、第3の特徴に共通する構成など>
被通信接続体は、各種のケーブルなどの通信用の部材や部品などのほか、通信に用いる各種の装置などにすることができる。通信接続部は、通信に用いる各種の装置などのほか、各種のケーブルなどの通信用の部材や部品などにすることができる。したがって、通信接続部と被通信接続体とは、互いに通信可能に接続できるものであればよい。
【0021】
一般に、通信接続部は、被通信接続体と接続されることができる。通信接続部と被通信接続体とが接続されたときに、各種の信号を通信接続部と被通信接続体との間で送受信することができる。通信の態様は、光通信でも、電線(銅線)や電波による通信でも、所望する情報などを送信したり受信したりできればよい。通信接続部が、被通信接続体と別体に構成され、着脱可能に接続できるものであればよい。例えば、通信接続部と被通信接続体とは、雌雄構造によって連結可能な構造にすることができる。
【0022】
清掃部材は、清掃具と案内部材とを備える。また、清掃方法は、清掃具と案内部材とを用いる。清掃具と案内部材とは、別体に構成される。したがって、清掃具と案内部材とは、互いに相対的に移動できる。なお、清掃具と案内部材とのいずれか一方に、係止部材や掛止部材や挟持部材などの各種の部材を設けて、係止部材や掛止部材や挟持部材などを操作することで、清掃具と案内部材と一時的に一体に取り扱うことができるようにしてもよい。係止部材や掛止部材や挟持部材などに対する操作を停止することで、一体状態が解除されて、再び別個に取り扱うことができる。
【0023】
また、清掃具と案内部材との間に、リンク機構やバネなどの弾性体などの少なくとも1つの介在部材を介在させて、清掃具と案内部材と連動させたり、動作を互いに伝達させ合ったりしてもよい。介在部材は、清掃具や案内部材と着脱可能に設けるのが好ましい。
【0024】
清掃具は、清掃対象を清掃するための清掃部を有する。清掃部は、粘着式でも払拭式でも、塵埃を取り除いたり汚染物質を捕集したりできるものであればよい。清掃対象は、通信接続部を構成する部材や部品などが好ましい。
【0025】
清掃方法は、取付ステップと案内ステップとを備える。
【0026】
取付ステップは、案内部材を通信接続部に対して所定の位置に取り付けるステップである。案内部材を取り付ける位置は、通信接続部に対して密着した位置でも離隔した位置でもよい。案内部材を、着脱可能に通信接続部に取り付けても、着脱困難に又は固定的に通信接続部に取り付けてもよい。
【0027】
案内ステップは、清掃具を案内部材に対して移動させて通信接続部に案内する。前述したように、清掃具と案内部材とは、別体に構成されており、清掃具を案内部材に対して移動させることができる。例えば、案内部材を通信接続部に対して静止させ、清掃具を案内部材に対して移動させることができる。
【0028】
なお、案内ステップは、清掃具と案内部材とのいずれか一方を他方に対して移動させればよい。すなわち、清掃具を案内部材に対して移動させても、案内部材を清掃具に対して移動させてもよい。
【0029】
このように、清掃部材及び清掃方法は、清掃具と案内部材とを別体に構成し、清掃具と案内部材とのいずれか一方を他方に対して移動させることができる。このため、清掃具を案内部材に対して位置や向きや姿勢などを適宜に調整することができ、清掃具の位置や姿勢などを清掃対象の形状や位置や大きさなどに応じて変更できる。このようにすることで、清掃具によって清掃対象を的確に清掃することができる。
【0030】
さらにまた、清掃具と案内部材とを別体に構成しているので、清掃作業により清掃具のみが汚染される。このため、次の清掃作業では清掃具のみを交換すればよく、案内部材を交換することなく複数回の清掃作業に亘って使用し続けることができる。このように、使用後の廃棄物を削減することができる。
【0031】
さらに、通信接続部の仕様が複数の種類存在するような場合であっても、案内部材のみを変更すればよく、清掃具は、複数の種類の通信接続部に対して共用することができ、清掃具の汎用性を高めて、清掃具を十分に普及させることができる。
【0032】
<<第4の特徴>>
第4の特徴は、第3の特徴において、
前記通信接続部は、前記被通信接続体と通信するための通信部を有しかつ前記清掃対象を有する接続端面(例えば、TOSA部550及びROSA部560やスタブ表面552や562など)と、前記接続端面の少なくとも一部を収納する収納部(例えば、レセプタクル510など)とを、有し、
前記収納部は、前記被通信接続体が挿通される開口部(例えば、開口部512など)を有し、
前記取付ステップは、前記開口部に前記案内部材を係止する係止ステップを含む。
【0033】
通信接続部は、接続端面と収納部とを有する。接続端面は、被通信接続体と通信するための通信部を有する。さらに、接続端面は、清掃対象を有する。前述したように、通信は、所望する情報などを送信したり受信したりできればよい。通信部は、送信と受信との双方のみならず、送信又は受信のいずれか一方のみでもよい。収納部は、接続端面の少なくとも一部を収納できればよい。
【0034】
例えば、通信接続部と被通信接続体とは、雌雄構造によって連結可能な光通信に関連する部材にすることができる。光通信に関連する部材は、光トランシーバに限られず、通信接続部と被通信接続体との接続によって通信可能になる光通信関連の部材であればよい。
【0035】
取付ステップは、開口部に案内部材を係止する係止ステップを含む。開口部に案内部材を係止するので、通信接続部の接続端面が、収納部の奥まった位置に配置された構造であっても、開口部に係止された案内部材によって清掃具を接続端面に至るまで案内することができる。接続端面の清掃対象を的確に清掃することができる。
【0036】
<<第5の特徴>>
第5の特徴は、第4の特徴において、
前記案内部材は、前記清掃具が挿通可能な貫通孔(例えば、開口122a及び122bや、貫通孔232及び貫通孔252など)を有し、
前記清掃具は、長尺な形状を有し、
前記案内ステップは、前記貫通孔の開口を前記接続端面と向かい合わせる対向ステップを含む。
【0037】
案内部材は、清掃具が挿通可能な貫通孔を有し、清掃具は、長尺な形状を有する。貫通孔の開口が接続端面と向かい合わせとなるので、清掃具を接続端面に案内することができ、接続端面を的確に清掃することができる。
【0038】
<<第6の特徴>>
第6の特徴は、第4の特徴において、
前記清掃部は、粘着性を有し、
前記通信接続部は、光トランシーバ(例えば、光トランシーバ500など)を有し、
前記収納部は、前記光トランシーバのレセプタクル(例えば、レセプタクル510など)を有し、
前記接続端面は、前記光トランシーバのスタブ表面(例えば、スタブ表面552や562など)を前記清掃対象として有し、
前記スタブ表面は、前記レセプタクルの開口部(例えば、開口部512など)よりも前記レセプタクルの内部に位置し、
前記案内ステップは、前記清掃部を前記スタブ表面に当接させる当接ステップを含む。
【0039】
レセプタクルの開口部よりもレセプタクルの内部に位置する光トランシーバのスタブ表面であっても、清掃具の清掃部を当接させて、的確に清掃することができる。
【0040】
<<第7の特徴>>
第7の特徴は、第5の特徴において、
前記清掃具は、操作者が把持可能な柄部(例えば、柄部610など)と、前記柄部から延在し前記柄部よりも細い延在部(例えば、疑似フェルール部620など)と、を有し、
前記延在部の端部に前記清掃部を有し、
前記案内ステップは、前記案内部材の前記貫通孔を介して、前記柄部と前記延在部と前記清掃部とを挿通させる挿通ステップを含む。
【0041】
案内部材の貫通孔を介して、柄部と延在部と清掃部とを挿通させるので、清掃具を移動させる方向を確実に定めることができ、的確に清掃することができる。
【0042】
<<<<<本実施の形態の詳細>>>>>
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0043】
<<方向など>>
<前、先など>
清掃対象であるスタブ表面に近づく方向を前側、前方向、前方、先側などと称する。
【0044】
<後、背など>
清掃対象であるスタブ表面から離れる方向を後側、後方向、後方、背面などと称する。
【0045】
<軸方向、長手方向など>
前方向と後方向とのいずれでもよい方向、すなわち、前後方向をいう。
【0046】
<右など>
清掃対象であるスタブ表面に向かって右の側を右側、右方向、右方などと称する。
【0047】
<左など>
清掃対象であるスタブ表面に向かって左の側を左側、左方向、左方などと称する。
【0048】
<鉛直、下など>
重力の方向、すなわち物体を吊り下げた糸の示す方向や、水平面と垂直をなす方向である。
【0049】
<上など>
下の反対方向である。
【0050】
<<<<第1の実施の形態>>>>
<<<光トランシーバ500の構成>>>
図1は、光トランシーバ500の主な構成を示す分解斜視図である。
図2は、TOSA部550及びROSA部560がレセプタクル510に組み付けられている状態を、ホルダ部530を省略して示した一部破断斜視図である。
図3は、レセプタクル510の開口部512からTOSA部550及びROSA部560を示す正面図である。
【0051】
図1及び
図2に示すように、光トランシーバ500は、上部ハウジング部520と、ホルダ部530と、TOSA部550及びROSA部560と、電子基板540と、レセプタクル510と下部ハウジング部570とを有する。電子基板540は、一の端部に、電気的接続用のプラグ542を有する。光トランシーバ500は、プラグ542を介して、ホスト機器の接続端子(図示せず)と電気的に接続される。
【0052】
電子基板540は、他の端部に、送受信用のTOSA部550(レーザダイオード)及びROSA部560(フォトダイオード)を有する。レセプタクル510は、TOSA部550及びROSA部560を収容する。TOSA部550は、端部にスタブ表面552を有する。ROSA部560は、端部にスタブ表面562を有する。レセプタクル510の奥まった箇所に、TOSA部550側のスタブ表面552及びROSA部560側のスタブ表面562(以下、単にスタブ表面と称する場合がある)が位置づけられる。
【0053】
図2に示すように、レセプタクル510は、コネクタ(図示せず)を接続するために開口部512を有する。レセプタクル510は、TOSA部550に対応する開口部512と、ROSA部560に対応する開口部512とを有する。このため、コネクタの接続作業などによって、開口部512から、TOSA部550側のスタブ表面552及びROSA部560側のスタブ表面562に、塵埃や油分等が侵入する場合がある。塵埃や油分等によって、コネクタの着脱時などにスタブ表面を損傷させたり、スタブ表面で間隙が生ずることで伝送損失を増大させたりするため、スタブ表面の清掃を適宜に行なう必要がある。
【0054】
<<<清掃具600>>>
図4は、清掃具600の全体を示す斜視図である。清掃具600は、柄部610と疑似フェルール部620と粘着部630とを有する。
【0055】
<<柄部610>>
柄部610は、スタブ表面を清掃する操作者が指などで把持する部分である。柄部610は、長尺な形状を有する。柄部610は、略円柱状の形状を有する。柄部610は、2つの円形状の端面(先端面612及び後端面614)を有する。柄部610は、2つの先端面612と後端面614とに挟まれた円筒状の側面616を有する。
【0056】
柄部610は、所定の剛性や弾性を有し、一定の形状を保つ。柄部610は、的確に清掃作業できるように操作者が安定して把持できる形状であればよい。例えば、側面616は、表面に凹凸を有してもよい。
【0057】
<<疑似フェルール部620>>
疑似フェルール部620は、後述する粘着部630を保持するための部分である。疑似フェルール部620は、柄部610の先端面612に設けられている。疑似フェルール部620は、柄部610から離隔する方向に延在する。疑似フェルール部620は、柄部610の軸方向に沿って延在する。疑似フェルール部620は、柄部610と一体に形成されている。
【0058】
疑似フェルール部620は、長尺な形状を有する。疑似フェルール部620は、略円柱状の形状を有する。疑似フェルール部620の直径は、柄部610の直径よりも小さい。疑似フェルール部620は、柄部610と軸方向(長手方向)に沿って同心に設けられている。清掃具600は、疑似フェルール部620と柄部610とによって、全体として略棒状(略直線状)の形状を有する。
【0059】
疑似フェルール部620は、2つの円形状の端面(先端面622及び後端面624)を有する。疑似フェルール部620は、2つの先端面622と後端面624とに挟まれた円筒状の側面626を有する。
【0060】
疑似フェルール部620は、所定の剛性や弾性を有し、一定の形状を保つ。疑似フェルール部620は、粘着部630を一定の位置に保持できる形状であればよい。
【0061】
柄部610及び疑似フェルール部620の全体は、以下のようにして成形することができる。柄部610及び疑似フェルール部620を構成する材料を混合して射出機に投入して溶解させる。次いで、溶解させた材料を射出機から金型に射出し圧入して成形することで、柄部610及び疑似フェルール部620を成形することができる(射出成形方法)。
【0062】
<<粘着部630>>
粘着部630は、スタブ表面552やスタブ表面562と接触して、スタブ表面552やスタブ表面562を清掃するための部分である。粘着部630は、先端面622に設けられている。すなわち、清掃具600の最も先端の部分に粘着部630が設けられている。粘着部630は、先端面622だけでなく、側面626の一部にも設けられてもよい。
【0063】
粘着部630に使用する粘着剤(後述)が作製されて、清掃具600として必要とされる箇所及び厚さで塗布する。塗布方法は種々の方法が考えられるが、清掃具600を上下方向(長手方向)に移動させて、ディッピングする塗布方法が簡易で好ましい。
【0064】
<粘着部630の粘着剤の材質>
粘着部630に使用される粘着剤は、汚染物質を捕集できるものであればよい。粘着部630に使用される粘着剤としては、再剥離性があり、かつ、スタブ表面552や562からの剥離時に糊残りがないこと、ヒートショック試験等で剥がれや泡の発生がないこと、スタブ表面552や562に追従可能な弾力変形力及び、応力に対して復元力を有していることが望まれる。このような特性を有する粘着剤成分としては、アクリル系樹脂、ブチルゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等に代表されるゴム系材料、ポリビニールエーテル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等から適宜に選択して使用できる。
【0065】
アクリル系粘着剤は、アルキル(メタ)アクリル酸エステルと重合性不飽和カルボン酸または水酸基含有エチレン性不飽和モノマー、またさらには共重合性ビニル系モノマーとを有機溶剤中又は水媒体中で共重合させて得られる。重合は、ラジカル重合による重合方法が好ましく採用される。好ましくは、溶液重合法、けん濁重合法、乳化重合法等である。上記共重合体の好ましい分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量(JISK 0124-83に準じて行ない、分離カラムにTSK GELG4000+G3000+G2500+G2000{東洋曹達(現、東ソー)(株)製}を用い40°Cで流速1.0ml/分、溶離液にGPC用テトラヒドロフランを用い、RI屈折計で得られたクロマトグラムとポリスチレンの検量線から計算により求めた。)が10,000~1,000、000、好ましくは50,000~500,000、さらに好ましくは100,000~400,000である。数平均分子量が10,000未満であると樹脂組成物層の均一形成が困難となる恐れがあり、又1,000,000を超えると弾性が高くなり、塗工量の調整が困難となる等の問題を生じる恐れがある。
【0066】
アルキル(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素原子数1~12のアルキル基を有する、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル等があげられる。さらに具体的に述べると、メタクリレート系成分としては、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、n-プロピルメタアクリレート、イソプロピルメタアクリレート、n-ヘキシルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、2-エチルヘキシルメタアクリレート、n-オクチルメタアクリレート、イソオクチルメタアクリレート、ラウリルメタアクリレート等が挙げられ、アクリレート成分としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート等があげられる。こられは単独又は2種以上混合して用いることもできる。
【0067】
また、官能基としてカルボキシル基および/または水酸基を有する(メタ)アクリレート系モノマーを併用することも出来る。このような官能基を有するモノマーとしては、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等、ヒドロキシル基を有するアクリル酸-2-ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピルエステル、2-ヒドロキシビニルエーテルがあげられる。これらは、前述したアクリレート系成分および/またはメタアクリレート系成分と単独または2種以上混合して使用することができる。
【0068】
粘着剤には架橋剤を配合することもできる。配合量は通常粘着剤100質量部に対し0.01~10質量部である。架橋剤としては、イソシアネート系化合物、アルミキレート、アジリジニル系化合物、エポキシ系化合物等があげられる。
【0069】
また、粘着部630で使用される粘着剤成分は、塵埃が付着し難いという観点において帯電防止性を有することが好ましいため、帯電防止剤が添加されていても良い。帯電防止剤は、帯電防止性能がASTM D257 Standard Test Methods for Dc Resistance or Conductance of Insulating Materials(印加電圧500V、温度23°C、湿度50%)に基づく清掃治具表面抵抗率の値で、1×10<10>Ω/sq未満の性能であれば帯電防止性能あり、1×10<10>Ω/sq以上であれば帯電防止性能なしと判断できる。
【0070】
帯電防止剤としては、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム塩等のフッ素系導電性材料の他にアニリンおよび/またはその誘導体、ピロールおよび/またはその誘導体、イソチアナフテンおよび/またはその誘導体、アセチレンおよび/またはその誘導体、アルキルアミン誘導体、アルキルアミド誘導体、モノグリセリド誘導体、チオフェンおよび/またはその誘導体の繰り返し単位を有するπ電子共役系導電性高分子、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルミニウム、チタン、錫、金、銀、銅等の金属微粒子、カーボン、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)等の超微粒子、イミドリチウム塩、トリフレートリチウム塩等のリチウム塩の他にも、エチレンオキシド付加物、アミン塩型、第4級アンモニウム塩型等のカチオン系添加剤、ポリエチレンオキシド系およびポリエーテル系ブロックポリマー等があげられるが、本実施の形態に係わる粘着剤に使用することの出来る帯電防止剤は、これらに限定されるものではない。また微粒子については、表面処理されていてもよい。
【0071】
この中でも粘着部630の再剥離性、粘着剤剥離時にスタブ表面552や562に糊残りがないこと、高温、高湿下での強制老化試験(クリーナを80°C常湿1000時間と、60°C95RH%1000時間の環境下で試験)、ヒートサイクル試験(クリーナを-40°C10min~80°C10minを100サイクル、1°C/minの環境下で試験)等で剥がれや泡の発生がないことに適した材料としては、フッ素系導電性材料とイミドリチウム塩が好ましい。配合量は粘着剤100質量部に対し0.1質量部以上であり、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは1~5質量部である。なお、常湿とは、JIS Z8703に記載され、具体的には、45~85RH%である。
【0072】
さらに必要に応じ、上記以外に着色剤、紫外線防止剤、老化防止剤等の添加剤を添加することができる。
【0073】
紫外線吸収剤には、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルフォベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2-(2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、フェニルサルシレート、p-t-ブチルフェニルサルシレート等のヒンダートアミン系がある。老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、ビスフェニル系、ヒンダートアミン系があり、例えばジ-t-ブチル-p-クレゾール、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペラジル)セバケート等がある。
【0074】
ポリウレタン樹脂は、粘着剤の力学特性を有する限りにおいて、その組成は限定されない。
【0075】
ポリウレタン樹脂は、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを有する組成物から形成され、その組成中に、その他の成分を含んでいてもよい。
【0076】
ポリウレタン樹脂は、ポリオール成分を含む。ポリオール成分は、複数の種類のポリオールを含むことができる。
【0077】
ポリオール成分の、その1分子の構造内に含まれる水酸基数(以降、官能基数とする場合がある)は、2~5であり、2~3が好ましい。ポリオールの水酸基数が、かかる範囲にある場合には、伸びが良く、破断し難い、形状追従性の高いポリウレタン樹脂物とすることができる。ポリオール成分として、複数の種類のポリオールを含む場合は、各ポリオールの配合量の割合と、各ポリオールの水酸基数とを乗じたものを加算することで、ポリオール成分の水酸基数とすることができる。
【0078】
ポリオール成分の数平均分子量は、100~6000とすることができる。ポリオール成分の数平均分子量がかかる範囲にある場合には、伸びが良く、破断し難い、形状追従性の高いポリウレタン樹脂物とすることができる。
【0079】
ポリオールとしては、上述の特徴を満たす限りにおいて特に限定されない。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリジエン系ポリオール、水添ポリジエンポリオール、及び、これらのポリマーポリオール等が挙げられる。ポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0080】
ポリエステルポリオールとしては、ポリオールとポリカルボン酸を脱水縮合反応して得られるポリエステルポリオールや、ε-カプロラクトン、メチルバレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0081】
ポリエステルポリオールを形成するポリオールは、本実施の形態の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-テトラコサンジオール、1,6-テトラコサンジオール、1,4-ヘキサコサンジオール、1,6-オクタコサンジオールグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール,トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、2,5-ノルボルナンジオール、1,3-アダマンタンジオール、ダイマージオール等の脂環族ポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の芳香族ポリオール;を挙げることができる。これらは1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
【0082】
ポリカルボン酸は、その分子構造中にカルボキシル基を複数有する物であり、本実施の形態の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ポリカルボン酸;又はこれらの酸エステル;を挙げることができる。これらは、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
【0083】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールの少なくとも1種と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等とを反応させて得られるものが挙げられる。
【0084】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。また、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価アルコールを用い、上記の環状エーテルを重合させて得ることもできる。
【0085】
ポリエステルエーテルポリオールとしては、ポリカルボン酸と、ジエチレングリコール、もしくはプロピレンオキシド付加物等のグリコール等とを脱水縮合反応で得られるものが挙げられる。
【0086】
ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ポリカルボン酸;又はこれらの酸エステル;を挙げることができる。これらは、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
【0087】
ポリマーポリオールは、ポリオール中でエチレン性不飽和モノマーをその場で重合させることにより得られる。エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル系モノマー、例えば(メタ)アクリロニトリル、アルキル(C1~20又はそれ以上)(メタ)アクリレート(メチルメタクリレート等);炭化水素系モノマー、例えば芳香族不飽和炭化水素(スチレン等)、脂肪族不飽和炭化水素(C2~20又はそれ以上のアルケン、アルカジエン等、例えばα-オレフィン、ブタジエン等);並びにこれらの2種以上の併用[例えばアクリロニトリル/スチレンの併用(重量比100/0~80/20)]が挙げられる。
【0088】
これらポリオールのうち、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオールを含む場合が好ましく、少なくともこれらのうち二つ以上を混合して用いる場合がより好ましい。これらのポリオールを用いた場合には、伸びが良く、破断し難い、形状追従性の高いポリウレタン樹脂物を得ることができる。
【0089】
<ポリイソシアネート成分>
本実施の形態に用いられるポリイソシアネートは、本実施の形態の効果が阻害されない限りにおいて、特に限定されない。例えば、2官能のポリイソシアネートとしては、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、水素添加MDI、モノメリックジフェニルメタンジイソシアネート(モノメリックMDI)、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、等の芳香族系のもの;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族のもの;ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のアルキレン系のもの;3官能以上のポリイソシアネートとしては、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメリックMDI、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナトメチルオクタン等;及びこれら変性体;誘導体等;が挙げられる。また、これらのイソシアネートは、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
【0090】
これらイソシアネートのうち、芳香族系及び脂肪族のものを含む場合が好ましく、芳香族系のものを含む場合がより好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、水素添加MDI、モノメリックジフェニルメタンジイソシアネート(モノメリックMDI)、ヘキサメチレンジイソシアネートを含む場合がより好ましい。
【0091】
本実施の形態にかかるポリイソシアネートのNCO%は、10~70であり、20~60が好ましく、30~55がより好ましい。ポリイソシアネートのNCO%が、かかる範囲にある場合には、伸びが良く、破断し難い、形状追従性の高いポリウレタン樹脂物を得ることができる。
【0092】
ここで、本実施の形態におけるNCO%の定義は、JIS K1603-1「プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法-第1部:イソシアネート基含有率の求め方」、3.定義、3.3イソシアネート基含有率、「試料中に存在する特定イソシアネート量を質量分率で表したもの」である。また、NCO%の測定方法は、JIS K1603-1、B法による。B法は、TDI、MDI及びポリメチレンポリフェニルイソシアネートの精製又は粗製イソシアネート及びこれから誘導される変性イソシアネートに適用できる。本実施の形態における粘度は、JISK7301「熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法、6.一般性状試験方法、6.2粘度」に準拠する。
【0093】
<その他添加剤>
ポリウレタン樹脂は、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、上述した各成分以外に、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、界面活性剤、充填剤、可塑剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、抗菌剤、光安定剤、安定剤、分散剤、触媒、架橋剤、溶剤等が挙げられる。
【0094】
<<<擬似プラグ部100>>>
図5は、第1の実施の形態による擬似プラグ部100の全体を軸方向から離れた前方から示す斜視図である。
図6は、擬似プラグ部100の全体を側方から示す斜視図である。
図7は、擬似プラグ部100の全体を後方から示す斜視図である。
図8は、擬似プラグ部100の全体を軸方向に近い前方から示す斜視図である。
【0095】
擬似プラグ部100は、清掃具600と別体に構成される。擬似プラグ部100は、清掃具600を案内するためのアダプタとして機能する。擬似プラグ部100は、清掃具600とは別に、光トランシーバ500のレセプタクル510に、着脱可能に取り付けられることができる。擬似プラグ部100を光トランシーバ500のレセプタクル510に取り付け、擬似プラグ部100を介して、清掃具600をスタブ表面に向かって直進させて案内することができる。詳細は、後述する。
【0096】
擬似プラグ部100は、本体部110と延出案内部150とを有する。本体部110と延出案内部150とは、一体になって構成されている。
【0097】
<<本体部110>>
本体部110は、外形が略長方体状の形状を有する。具体的には、本体部110は、中空で、後端部112と先端部114との間に、略角筒状の側面116を有する。
【0098】
本体部110は、後端部112に単一の開口118を有する。本体部110の後端部112は、開口118によって開放されている。開口118は、略長方形状を有する。開口118及び側面116は、柄部610の側面626の円筒形状に応じて、一部が湾曲して形成され互いに向かい合う2つの湾曲部120a及び120bを有する。
【0099】
本体部110は、先端部114に2つの開口122a及び122bを有する。開口122a及び122bは、略円状の形状を有する。開口122a及び122bの直径は、清掃具600の柄部610の直径よりも若干大きい。清掃具600の柄部610は、開口122a内や開口122b内を、前後方向に沿って円滑に移動(摺動)することができる。開口122aは、TOSA部550に対応し、開口122bは、ROSA部560に対応する。
【0100】
略角筒状の側面116の内側において、先端部114に、開口122aと開口122bとの間に、後方に向かって突出する突出部124を有する。突出部124は、略直方体状の形状を有する。
【0101】
TOSA部550側の開口122aに清掃具600を通過させるときには、湾曲部120aと突出部124とによって清掃具600を案内することができる。ROSA部560側の開口122bに清掃具600を通過させるときには、湾曲部120bと突出部124とによって清掃具600を案内することができる。このように、本体部110内で清掃具600を的確に案内することができる。
【0102】
<<延出案内部150>>
延出案内部150は、本体部110から導出された清掃具600を光トランシーバ500のスタブ表面に向かって案内するための部分である。延出案内部150は、本体部110の先端部114に、本体部110から離隔する方向に延在する。
【0103】
延出案内部150は、TOSA部550側の2つの延出部152U及び152Dと、ROSA部560側の2つの延出部154U及び154Dと、中央延出部156とを有する。2つの延出部152U及び152Dと、ROSA部560側の2つの延出部154U及び154Dと、中央延出部156とは、互いに離隔し平行に本体部110に設けられている。
【0104】
延出部152U及び152Dと、延出部154U及び154Dと、中央延出部156とは、長尺な形状を有する。延出案内部150は、延出部152U及び152Dと延出部154U及び154Dとの最外周部分が、レセプタクル510の開口部512に嵌合するように成形されている(
図10参照)。擬似プラグ部100の取り付けなどについては、後述する。
【0105】
2つの延出部152U及び152Dは、互いに離隔して平行に配置される。延出部152Uは上側に位置し、延出部152Dは、下側に位置する。延出部152U及び152Dの内側の面は、略円筒状の一部の形状を有する。
【0106】
2つの延出部154U及び154Dは、互いに離隔して平行に配置される。延出部154Uは上側に位置し、延出部154Dは、下側に位置する。延出部154U及び154Dの内側の面は、略円筒状の一部の形状を有する。
【0107】
中央延出部156は、2つの延出部152U及び152Dと2つの延出部154U及び154Dとの間の中央部分に設けられている。中央延出部156は、2つの延出部152U及び152Dと2つの延出部154U及び154Dとから離隔して平行に配置される。中央延出部156は、右方向に向かう面158Rと、左方向に向かう面158Lとは、略円筒状の一部の形状を有する。
【0108】
延出部152U及び152Dの内側面と中央延出部156の内側面とによって画定される仮想的な円筒の軸にTOSA部550側のスタブ表面552が位置する。延出部152Uと152Dの内側面と中央延出部156の内側面との間は、清掃具600の柄部610の直径よりも若干大きい。開口122aから導出された清掃具600の柄部610は、延出部152Uと152Dの内側面と中央延出部156の内側面とによって案内され、延出部152Uと152Dの内側面と中央延出部156の内側面との間を、前後方向に沿って円滑に移動(摺動)することができる。
【0109】
延出部154U及び154Dの内側面と中央延出部156の内側面とによって画定される仮想的な円筒の軸にROSA部560側のスタブ表面562が位置する。延出部154Uと154Dの内側面と中央延出部156との内側面の間は、清掃具600の柄部610の直径よりも若干大きい。開口122bから導出された清掃具600の柄部610は、延出部154Uと154Dの内側面と中央延出部156の内側面とによって案内され、延出部154Uと154Dの内側面と中央延出部156の内側面との間を、前後方向に沿って円滑に移動(摺動)することができる。
【0110】
前述した説明では、延出部152U及び154Uが上側に位置し、延出部152D及び154Dが下側に位置するとして説明したが、擬似プラグ部100は、上下対称に構成されている。したがって、擬似プラグ部100の上下を反対にして使用してもよい。この場合には、延出部152U及び154Uが下側に位置し、延出部152D及び154Dが上側に位置する。開口122aと延出部152U及び延出部152Dとが、ROSA部560に対応し、開口122bと延出部154U及び延出部154Dとが、TOSA部550に対応する。
【0111】
<<<清掃工程>>>
以下では、擬似プラグ部100のレセプタクル510への取り付けと、清掃具600によるスタブ表面の清掃について説明する。
図10は、擬似プラグ部100をレセプタクル510に取り付け、清掃具600でスタブ表面を清掃する過程を示す断面図である。
【0112】
<擬似プラグ部100のレセプタクル510への取り付け>
図10(a)に示すように、擬似プラグ部100をレセプタクル510に近づける。このとき、延出部152U及び152Dと延出部154U及び154Dと中央延出部156との全てが、レセプタクル510の開口部512に収まるように、擬似プラグ部100をレセプタクル510に近づける。より好ましくは、開口122aの中心が、TOSA部550のスタブ表面552の中心と一致するように、開口122bの中心が、ROSA部560のスタブ表面562の中心と一致するようにして、擬似プラグ部100をレセプタクル510に近づける。
【0113】
次に、延出部152U及び152Dと延出部154U及び154Dと中央延出部156とを、レセプタクル510の開口部512からレセプタクル510の内部に挿入する。さらに、延出部152U及び152Dと延出部154U及び154Dをレセプタクル510の内部に向かって押入する。延出部152U及び152Dと延出部154U及び154Dとの最外周部分が、レセプタクル510の開口部512の輪郭に一致するように近づけるのが好ましい。
【0114】
最後に、
図10(b)に示すように、延出部152U及び152Dと延出部154U及び154Dとの最外周部分を、レセプタクル510の開口部512に嵌合させて、擬似プラグ部100をレセプタクル510に取り付ける。延出部152U及び152Dと延出部154U及び154Dとの最外周部分は、レセプタクル510の開口部512によって保持され、擬似プラグ部100をレセプタクル510に安定して取り付けることができる。
【0115】
図10(b)に示すように、擬似プラグ部100の本体部110は、レセプタクル510から突出した状態となる。このようにすることで、清掃作業が終わった後、擬似プラグ部100をレセプタクル510から容易に取り外すことができる。
【0116】
<清掃具600の案内>
図10(c)に示すように、清掃具600を擬似プラグ部100に近づける。清掃具600の疑似フェルール部620の先端面622が、擬似プラグ部100の本体部110の開口118に収納されるように、清掃具600を擬似プラグ部100に近づける。このようにすることで、清掃具600の粘着部630がどこに接触しないようにでき、粘着部630の清浄状態を保つことができる。
【0117】
次に、TOSA部550のスタブ表面552を清掃する場合には、清掃具600の疑似フェルール部620の先端面622を、開口122aを通過させ、さらに、延出部152U及び152Dと中央延出部156との間を通過させて、TOSA部550のスタブ表面552に近づける。最後に、清掃具600の粘着部630をTOSA部550のスタブ表面552に押圧させて、清掃作業を進める。
【0118】
また、
図10(d)に示すように、ROSA部560のスタブ表面562を清掃する場合には、清掃具600の疑似フェルール部620の先端面622を、開口122bを通過させ、さらに、延出部154U及び154Dと中央延出部156との間を通過させて、ROSA部560のスタブ表面562に近づける。最後に、清掃具600の粘着部630をROSA部560のスタブ表面562に当接させたり、押圧させたりして、清掃作業を進める。
【0119】
清掃作業が終了した後、清掃具600を擬似プラグ部100から抜き出し、さらに、擬似プラグ部100をレセプタクル510から取り外す。
【0120】
<<<<第2の実施の形態>>>>
図11は、第2の実施の形態による擬似プラグ部200の全体を前方から示す斜視図である。
図12は、第2の実施の形態による擬似プラグ部200の全体を後方から示す斜視図である。
【0121】
第1の実施の形態による擬似プラグ部100は、TOSA部550に対応する開口122aと、ROSA部560に対応する開口122bとの双方を有している。これに対して、第2の実施の形態による擬似プラグ部200は、TOSA部550又はROSA部560に別個に対応している。したがって、TOSA部550に対応する開口部512又はROSA部560に対応する開口部512のいずれか一方のみに、擬似プラグ部200を取り付ける。なお、2つの擬似プラグ部200を用いて、TOSA部550に対応する開口部512と、ROSA部560に対応する開口部512との双方に取り付けてもよい。
【0122】
擬似プラグ部200は、擬似プラグ部100と同様に、清掃具600と別体に構成される。擬似プラグ部200は、清掃具600を案内するためのアダプタとして機能する。擬似プラグ部200は、清掃具600とは別に、光トランシーバ500のレセプタクル510に、着脱可能に取り付けられることができる。擬似プラグ部200を光トランシーバ500のレセプタクル510に取り付け、擬似プラグ部200を介して、清掃具600をスタブ表面に向かって直進させて案内することができる。詳細は、後述する。
【0123】
擬似プラグ部200は、本体部210と延出案内部250とを有する。本体部210と延出案内部250とは、一体になって構成されている。
【0124】
<<本体部210>>
本体部210は、長尺な形状を有する。本体部210は、レール部220と貫通孔部230とを有する。
【0125】
レール部220は、長尺な略角筒状の形状を有する第1の面222と、長尺な略半円筒状の形状を有する第2の面224とを有する。略半円筒状の形状を有する第2の面224は、いわゆる長尺な樋状や溝状の形状を有する。なお、半円筒状は、円筒状の形状を中心軸に沿って略半分に分割して形成される形状をいう。
【0126】
貫通孔部230は、長尺な略角筒状の外形を有する。貫通孔部230は、長手方向に沿って長尺な貫通孔232を有する。
【0127】
<延出案内部250>
延出案内部250は、略角筒状の外形を有する。延出案内部250の軸方向の長さは、本体部210の軸方向(長手方向)の長さよりも短い。延出案内部250の軸方向は、後述する貫通孔252の中心軸の方向をいう。
【0128】
延出案内部250の外周部分は、本体部210の外周部分よりも小さい。本体部210と延出案内部250との境界部分を、レセプタクル510の開口部512に係止することができる(
図13参照)。延出案内部250は、延出案内部250の外周部分が、レセプタクル510の開口部512に嵌合するように成形されている(
図13参照)。
【0129】
延出案内部250は、長尺な貫通孔252を有する。延出案内部250の貫通孔252は、貫通孔部230の貫通孔232と連通する。レール部220の半円筒状の第2の面224の軸と貫通孔232の軸と貫通孔252の軸とは、一致し直線状になる。
【0130】
レール部220の半円筒状の第2の面224の半径と、貫通孔232の半径と、貫通孔252の半径とは同じである。レール部220の半円筒状の第2の面224の半径と、貫通孔232の半径と、貫通孔252の半径とは、清掃具600の柄部610の直径よりも若干大きい。清掃具600の柄部610は、レール部220の第2の面224上を移動(摺動)するとともに、貫通孔232内及び貫通孔252内を移動(摺動)することができる。レール部220の第2の面224は、清掃具600を載置するための機能と、清掃具600を貫通孔部230の貫通孔232に向かって案内する機能とを有する。
【0131】
<<<清掃工程>>>
以下では、擬似プラグ部200のレセプタクル510への取り付けと、清掃具600によるスタブ表面の清掃について説明する。
図13は、擬似プラグ部200をレセプタクル510に取り付け、清掃具600でスタブ表面を清掃する過程を示す断面図である。
【0132】
<擬似プラグ部200のレセプタクル510への取り付け>
図13(a)に示すように、擬似プラグ部200をレセプタクル510に近づける。このとき、延出案内部250が、レセプタクル510の開口部512に収まるように、擬似プラグ部200をレセプタクル510に近づける。より好ましくは、延出案内部250の開口の中心が、TOSA部550のスタブ表面552の中心と一致するようにしたり、延出案内部250の開口の中心が、ROSA部560のスタブ表面562の中心と一致したりするようにして、擬似プラグ部200をレセプタクル510に近づける。
【0133】
次に、延出案内部250を、レセプタクル510の開口部512からレセプタクル510の内部に挿入する。
【0134】
最後に、
図13(b)に示すように、延出案内部250を、レセプタクル510の開口部512に嵌合させて、擬似プラグ部200をレセプタクル510に取り付ける。延出案内部250の外周部分は、レセプタクル510の開口部512によって保持され、擬似プラグ部200をレセプタクル510に安定して取り付けることができる。このとき、本体部210と延出案内部250との境界部分が、レセプタクル510の開口部512に係止される。
【0135】
図13(b)に示すように、擬似プラグ部200の本体部210は、レセプタクル510から突出した状態となる。このようにすることで、清掃作業が終わった後、擬似プラグ部200をレセプタクル510から容易に取り外すことができる。
【0136】
<清掃具600の案内>
図13(c)に示すように、清掃具600を、擬似プラグ部200のレール部220の第2の面224に載置する。
【0137】
次に、清掃具600を、レール部220の第2の面224上を摺動させて、貫通孔部230の貫通孔232と、延出案内部250の貫通孔252とに挿通させる。
【0138】
清掃具600を、さらに、移動させることで、TOSA部550のスタブ表面552やROSA部560のスタブ表面562に近づける。
図13(d)に示すように、最後に、清掃具600の粘着部630をTOSA部550のスタブ表面552やROSA部560のスタブ表面562に押圧させて、清掃作業を進める。
【0139】
<<<変形例1>>>
前述した例では、柄部610と疑似フェルール部620とが、一体に形成されている清掃具600を示した。これに限られず、柄部610と疑似フェルール部620とが、別体に形成され、着脱可能に構成されてもよい。特に、柄部610から突出する疑似フェルール部620の長さを調節可能に構成してもよい。さらに、疑似フェルール部620を、柄部610の内部に収納したり、柄部610から突出させたりして、出納可能に構成してもよい。
【0140】
<<<変形例2>>>
前述した例では、柄部610が円柱状の形状を有する清掃具600を示した。すなわち、柄部610の先端面612が平坦な円形状の形状を有する。これに限られず、柄部610の先端部分が円錐台上の形状を有してもよい。すなわち、柄部610の先端部分が、疑似フェルール部620に向かうに従って徐々に直径が小さくなる、いわゆる先細りとなる形状を有してもよい。このようにすることで、清掃具600をスタブ表面に近づけるときに、光トランシーバ500の部材と接触しにくくでき、清掃作業を円滑に始めることができる。
【0141】
<<<変形例3>>>
前述した例では、清掃具600と擬似プラグ部100又は200とが常に別個に移動可能な構成を示した。これに限られず、擬似プラグ部100又は200に係止部を設け、清掃具600に被係止部を設けて、清掃具600と擬似プラグ部100又は200とが一時的に連動できるようにしてもよい。例えば、清掃終了後に、清掃具600を抜き出す際に、清掃具600だけでなく、擬似プラグ部100又は200とともに、取り外すことができる。このようにすることで、清掃作業の効率化を図ることができる。
【0142】
さらに、擬似プラグ部100又は200に弾性変形可能な把持部を設けてもよい。清掃具600を抜き出す際に、操作者が把持部を押圧することで、擬似プラグ部100又は200を清掃具600と一時的に係合させることができる。このようにすることで、清掃具600と擬似プラグ部100又は200とを一時的に一体化させて、擬似プラグ部100又は200と清掃具600とを取り出す作業を容易にすることができる。
【0143】
<<<<実施の形態の範囲>>>>
上述したように、第1の実施の形態及び第2の実施の形態を記載した。しかし、この開示の一部をなす記載及び図面は、限定するものと理解すべきでない。ここで記載していない様々な実施の形態等が含まれる。
【符号の説明】
【0144】
100、200 擬似プラグ部
500 光トランシーバ
510 レセプタクル
550 TOSA部
560 ROSA部
552 TOSA部550側のスタブ表面
562 ROSA部560側のスタブ表面
600 清掃具
630 粘着部