(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125788
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム製造用組成物、ポリウレタンフォーム、吸音材、及び車両天井用基材
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20240911BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20240911BHJP
G10K 11/162 20060101ALI20240911BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240911BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/42 008
G10K11/162
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033851
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】山田 航大
【テーマコード(参考)】
4J034
5D061
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF19
4J034DF27
4J034HA01
4J034HA06
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4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
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4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
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4J034KD03
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4J034KE02
4J034NA08
4J034QB19
4J034QC01
4J034RA12
5D061AA09
5D061AA26
(57)【要約】
【課題】高いバイオマス度を有するにも関わらず、物性の優れたポリウレタンフォームを製造する技術を提供すること。
【解決手段】本技術では、植物由来ポリオールと、(AB)n型整泡剤と、くし型整泡剤と、を含有する、ポリウレタンフォーム製造用組成物を提供する。本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物を用いて形成された、ポリウレタンフォームは、吸音材や車両天井用基材に用いることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来ポリオールと、
(AB)n型整泡剤と、
くし型整泡剤と、
を含有する、ポリウレタンフォーム製造用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のポリウレタンフォーム製造用組成物を用いて形成された、ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
通気性が0.3cm3/(cm2・s)以上である、請求項2に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
請求項2もしくは請求項3に記載のポリウレタンフォームを備える吸音材。
【請求項5】
請求項2もしくは請求項3に記載のポリウレタンフォームを備える車両天井用基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ポリウレタンフォーム製造用組成物に関する。より詳細には、本技術は、ポリウレタンフォーム製造用組成物、ポリウレタンフォーム、吸音材、及び車両天井用基材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、ソファーや椅子等の家具、マットレスや枕等の寝具、下着等の衣類、食器用や掃除用スポンジ等の生活必需品、車内シート等の車両・航空機内装用製品、玩具、雑貨に至るまで、様々な分野で幅広く使用されている。そして、それぞれの分野や目的に応じて、品質を向上させたり、新たな機能を付与したりと、様々な開発が進められている。
【0003】
また、近年、持続可能な社会の形成に貢献するために、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能な資源として、バイオマス原料をポリウレタンフォームに利用する技術も注目されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、植物由来のポリオールであるひまし油由来のポリエステルポリオールが用いられたポリウレタンフォームが開示されている。具体的には、(A)ポリオール化合物を(i)数平均分子量が4000~7000、水酸基価が20~60mgKOH/gのEOとPOを付加重合してなるポリエーテルポリオール(ii)数平均分子量が300~1000、水酸基価が100~800mgKOH/gのPOのみを付加重合してなるポリエーテルポリオール(iii)数平均分子量が560~3000、平均水酸基価が50~200mgKOH/gのひまし油由来のポリエステルポリオール(iv)多価アルコールの4種混合ポリオールで、平均水酸基価が250~350mgKOH/gに調製したもの(B)整泡剤を水と不相溶のポリエーテル変性ポリシロキサン系整泡剤(C)イソシアネート成分をNCO含量が28~33%のクルードMDIとし、セル数が60個/25mm以上とすることで、連続スラブストック成形による製造でありながら、フォームが収縮することなくセルの微細化を実現でき、吸音性および断熱性に優れ、しかも低密度のポリウレタンフォームが得られる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の通り、バイオマス原料が用いられたポリウレタンフォームを製造する技術が種々開発されつつあるが、バイオマス原料が用いられたポリウレタンフォームは、一般的なポリウレタンフォームに比べて製造時の反応性が悪く、物性が低下する場合があるといった問題があった。
【0007】
そこで、本技術では、高いバイオマス度を有するにも関わらず、物性の優れたポリウレタンフォームを製造する技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術では、まず、植物由来ポリオールと、
(AB)n型整泡剤と、
くし型整泡剤と、
を含有する、ポリウレタンフォーム製造用組成物を提供する。
【0009】
本技術では、次に、本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物を用いて形成された、ポリウレタンフォームを提供する。
本技術に係るポリウレタンフォームは、通気性を0.3cm3/(cm2・s)以上とすることができる。
本技術に係るポリウレタンフォームは、吸音材や車両天井用基材に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】Aは(AB)n型整泡剤の構造を模式的に示す模式図であり、Bはくし型整泡剤の構造を模式的に示す模式図である。
【
図2】実施例における各ポリウレタンフォームの表側の吸音率を示すグラフである。
【
図3】実施例における各ポリウレタンフォームの裏側の吸音率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0012】
1.ポリウレタンフォーム製造用組成物
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物は、植物由来ポリオールと、(AB)n型整泡剤と、くし型整泡剤、を含有する。また、本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、必要に応じて、イソシアネート、発泡剤、触媒等を含有させることもできる。以下、各成分について、詳細に説明する。
【0013】
(1)ポリオール
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、ポリオールとして、植物由来ポリオールを用いることを特徴とする。本技術に用いることができる植物由来ポリオールは、本技術の作用や効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる植物由来ポリオールを1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0014】
本技術に用いることができる植物由来ポリオールとしては、例えば、天然油脂由来ポリオールが挙げられる。天然油脂由来ポリオールとは、ヒマシ油、大豆油、菜種油、ヤシ油等の天然油脂又はその誘導体(変性天然油脂ポリオール、未変性天然油脂ポリオールなど)であって、炭化水素鎖上に水酸基を含み、1分子中に2以上の水酸基を有する。本技術では、これら2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
その他の植物由来ポリオールとしては、例えば、カシューナッツ殻液由来ポリオール等が挙げられる。また、植物由来ポリオールとして、市販のものを用いてもよい。
【0016】
本技術では、植物由来ポリオールとして、二級水酸基を有するヒマシ油及びその誘導体が好ましい。また、ヒマシ油の誘導体としては、エステル変性ヒマシ油ポリオール等の変性ヒマシ油ポリオールが好ましい。
【0017】
なお、本明細書において、「ヒマシ油」には、未変性ヒマシ油、変性ヒマシ油、脱水ヒマシ油、水素添加されたヒマシ油等のいずれも包含する。ここで、未変性ヒマシ油は、脂肪酸とグリセリンとのエステルである。未変性ヒマシ油は、リシノレイン酸を主成分とし、その他の成分として、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸などを含有している。
【0018】
本技術には、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる植物由来ポリオール以外のポリオールを、1種又は2種以上、自由に選択して併用することができる。植物由来ポリオール以外のポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリマーポリオール等を挙げることができる。
【0019】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;リシノレイン酸等の脂肪族カルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸;又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等、もしくは、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるポリプロピレングリコールなどのポリエステルポリオール;ε-カプロラクトン、メチルバレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリラクトンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等を挙げることができる。また、これらのほかに、ポリエステルポリオールとしては、例えば、天然由来のエステル基を有するポリオールが挙げられる。
【0020】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールの少なくとも1種と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等とを反応させて得られるものを挙げることができる。
【0021】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。また、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価アルコールを用い、上記の環状エーテルを重合させて得ることもできる。
【0022】
ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸;又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、ジエチレングリコール、もしくはプロピレンオキシド付加物等のグリコール等、又は、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるものを挙げることができる。
【0023】
ポリマーポリオールとは、ポリオール中でエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるもの、又はポリオール中にエチレン性不飽和モノマーの重合物を乳化分散させて得られるもの等である。具体的には、例えば、ポリオールにアクリロニトリル、スチレン等をグラフト重合させたものや、ポリオール中にポリスチレンやポリアクリロニトリルを分散させたもの等が挙げられる。
【0024】
本技術では、環境に考慮して、生分解性ポリオールを用いることもできる。本技術に用いることができる生分解性ポリオールとしては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる生分解性ポリオールを、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)等が挙げられる。
【0025】
本技術に用いるポリオール中の植物由来ポリオールの含有量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に用いるポリオール100質量部中の植物由来ポリオールの含有量の下限値は、例えば10質量部以上、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。本技術では、ポリオール中の植物由来ポリオールの含有量を、この範囲に設定して、バイオマス度を向上させた場合でも、後述する特定の整泡剤を用いることで、物性の優れたポリウレタンフォームを製造することができる。
【0026】
本技術に用いるポリオール100質量部中の植物由来ポリオールの含有量の上限値は、例えば100質量部以下、好ましくは90質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは70質量部以下である。本技術では、ポリオール中の植物由来ポリオールの含有量を、この範囲に設定することで、製造されたポリウレタンフォームの物性の低下を抑制することができる。
【0027】
(2)整泡剤
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、整泡剤として、(AB)n型整泡剤と、くし型整泡剤とを併用することを特徴とする。(AB)n型整泡剤と、くし型整泡剤を、それぞれ単独で用いた場合には形成不良等が起きる場合があったが、本技術では、これまで併用されることのなかった異なる構造の整泡剤を敢えて併用することで、植物由来ポリオールを用いた場合であっても、製造されるポリウレタンフォームの物性を向上させることに成功した。また、本技術に係るポリウレタンフォームは、後述する実施例で実証されているように、従来のポリウレタンフォームに比べて、より高周波域で吸音効果を発揮することができる。
【0028】
(2―1)(AB)
n型整泡剤
本技術において「(AB)n型整泡剤」とは、
図1のAに示す概念図のように、親水性ユニットと、疎水性ユニットが、鎖状に交互に連なった構造を示す整泡剤をいう。本技術に用いることができる(AB)n型整泡剤としては、ポリウレタンフォームの製造に使用可能な(AB)n型整泡剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「NIAX(登録商標) SILICONE L-626」等のシリコーン系整泡剤が挙げられる。
【0029】
本技術に用いる(AB)n型整泡剤の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、組成物中の(AB)n型整泡剤の下限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。組成物中の(AB)n型整泡剤の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、フォームの崩壊を防ぐ事ができ、セルを整える事で物性を向上させる事ができる。
【0030】
本技術では、組成物中の(AB)n型整泡剤の含有量の上限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば5.0質量部以下、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。組成物中の(AB)n型整泡剤の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、フォームの収縮(シュリンク)を防ぎ、フォームを作成する事ができる。
【0031】
(2-2)くし型整泡剤
本技術において「くし型整泡剤」とは、
図1のBに示す概念図のように、疎水性ユニットからなる主鎖から、複数の親水性ユニット鎖が、ペンダント状に分岐した構造を示す整泡剤をいう。本技術に用いることができるくし型整泡剤としては、ポリウレタンフォームの製造に使用可能なくし型整泡剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、エボニック・ジャパン株式会社製の「TEGOSTAB B 8738 LF2」、エボニック・ジャパン株式会社製の「B8715LF2」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「L3184J」等のシリコーン系整泡剤が挙げられる。
【0032】
本技術に用いるくし型整泡剤の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、組成物中のくし型整泡剤の下限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。組成物中のくし型整泡剤の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、フォームの崩壊を防ぎ、フォームを作成する事ができる。
【0033】
本技術では、組成物中のくし型整泡剤の含有量の上限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば5.0質量部以下、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。組成物中のくし型整泡剤の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、フォームの収縮(シュリンク)を防ぎ、フォームを作成する事ができる。
【0034】
(2―3)その他の整泡剤
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、本技術の作用や効果を損なわない限り、(AB)n型整泡剤及びくし型整泡剤以外の整泡剤を併用することもできる。本技術に用いることができる(AB)n型整泡剤及びくし型整泡剤以外の整泡剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる(AB)n型整泡剤及びくし型整泡剤以外の整泡剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、含フッ素化合物系整泡剤、界面活性剤等を挙げることができる。
【0035】
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いる(AB)n型整泡剤及びくし型整泡剤以外の整泡剤の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の(AB)n型整泡剤及びくし型整泡剤以外の整泡剤の含有量の下限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の(AB)n型整泡剤及びくし型整泡剤以外の整泡剤の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、発泡反応を安定化することができ、その結果、機械的特性や外観の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0036】
本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の(AB)n型整泡剤及びくし型整泡剤以外の整泡剤の含有量の上限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば5.0質量部以下、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の(AB)n型整泡剤及びくし型整泡剤以外の整泡剤の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、コスト削減に貢献することができる。
【0037】
(3)イソシアネート
本技術に用いることができるイソシアネートは、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができるイソシアネートを、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及びこれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートから1種以上を自由に組み合わせて用いることができる。
【0038】
本技術に用いることができる芳香族イソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックMDI(クルードMDI)、フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0039】
脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキサメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0040】
本技術に用いるイソシアネートの量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、組成物中のイソシアネートの含有量の下限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば40質量部以上、好ましくは45質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは55質量部以上、より更に好ましくは60質量部以上である。また、組成物中のイソシアネートのNCO%の下限値は、例えば10NCO%以上、好ましくは15NCO%以上、より好ましくは20NCO%以上、更に好ましくは25NCO%以上である。組成物中のイソシアネートの含有量の下限値を、この範囲とすることにより、製造するポリウレタンフォームの強度を向上させることができる。
【0041】
本技術では、組成物中のイソシアネートの含有量の上限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば200質量部以下、好ましくは180質量部以下、より好ましくは160質量部以下である。また、組成物中のイソシアネートのNCO%の上限値は、例えば60NCO%以下、好ましくは55NCO%以下、より好ましくは50NCO%以下、更に好ましくは45NCO%以下である。組成物中のイソシアネートの含有量の上限値を、この範囲とすることにより、ポリウレタンフォームの硬度が硬くなりすぎて脆くなり柔軟性が損なわれることを防止し、ポリウレタンフォームの弾性を向上させることができる。
【0042】
本技術では、イソシアネートインデックスも、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、イソシアネートインデックスの下限値は、例えば80以上、好ましくは90以上、より好ましくは95以上である。ポリウレタンフォームのイソシアネートインデックスの下限値を、この範囲とすることにより、製造するポリウレタンフォームの強度を向上させることができる。
【0043】
本技術では、イソシアネートインデックスの上限値は、例えば130以下、好ましくは125以下、より好ましくは120以下である。ポリウレタンフォームのイソシアネートインデックスの含有量の上限値を、この範囲とすることにより、ポリウレタンフォームの硬度が硬くなりすぎて脆くなり柔軟性が損なわれることを防止し、ポリウレタンフォームの弾性を向上させることができる。
【0044】
なお、本技術において、イソシアネートインデックスは、[(ポリウレタンフォーム製造用組成物中のイソシアネート当量/ポリウレタンフォーム製造用組成物中の活性水素の当量)×100]で算出した値である。
【0045】
(4)発泡剤
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、発泡剤を用いることができる。本技術に用いることができる発泡剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる発泡剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0046】
発泡剤としては、例えば、水、炭化水素、ハロゲン系化合物等を挙げることができる。炭化水素としては、シクロペンタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等を挙げることができる。前記ハロゲン系化合物としては、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、ペンタフルオロエチルメチルエーテル、ヘプタフルオロイソプロピルメチルエーテル等を挙げることができる。本技術では、これらの中でも発泡剤として水を用いることが好ましい。水は、イオン交換水、水道水、蒸留水等の何れでもよい。
【0047】
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いる発泡剤の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の発泡剤の含有量の下限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の発泡剤の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、発泡性を向上させることができ、その結果、機械的特性や外観の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0048】
本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の発泡剤の含有量の上限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば、20質量部以下、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の発泡剤の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、発泡過剰による形成不良を抑制することができ、また、コスト削減に貢献することもできる。
【0049】
(5)触媒
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、触媒を用いることができる。本技術に用いることができる触媒としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる触媒を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0050】
触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート等の錫触媒や、フェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒)が挙げられる。また、N,N-ジメチルアミノヘキサノール、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-オクタデシルモルホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール等の第三級アミン触媒、トリエチレンジアミンのギ酸塩及び他の塩、第一及び第二アミンのアミノ基のオキシアルキレン付加物、N-N-ジアルキルピペラジン類等のアザ環化合物、種々のN,N’,N’-トリアルキルアミノアルキルヘキサヒドロトリアジン類、N,N,N",N"-テトラメチルジエチレントリアミン等の官能基としてアミノ基を有するアミン触媒等が挙げられる。
【0051】
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いる触媒の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の触媒の含有量の下限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の触媒の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、樹脂化反応や泡化反応を促進させることができ、その結果、機械的特性や外観の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0052】
本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の触媒の含有量の上限値は、ポリオール100質量部に対して、例えば、20質量部以下、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の触媒の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、樹脂化反応や泡化反応の不安定化を防止し、樹脂化反応と泡化反応のバランスを良好に保つことができる。その結果、機械的特性や外観の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0053】
(6)その他
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、本技術の作用や効果を損なわない限り、その他の成分として、ポリウレタンフォーム製造用組成物に用いることができる各種成分を、目的に応じて1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。
【0054】
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いることができる成分としては、例えば、難燃剤、安定剤、可塑剤、着色剤、顔料、酸化防止剤、架橋剤、抗菌剤、分散剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
【0055】
2.ポリウレタンフォーム
本技術に係るポリウレタンフォームは、前述した本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物を用いて製造される。本技術に係るポリウレタンフォームは、軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォームのいずれであっても良いが、特に、硬質ポリウレタンフォームとすることが好ましい。以下、本技術に係るポリウレタンフォームの物性について、説明する。
【0056】
(1)バイオマス度
本技術に係るポリウレタンフォームのバイオマス度は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に係るポリウレタンフォームのバイオマス度の下限は、例えば5以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上である。本技術に係るポリウレタンフォームのバイオマス度は、高ければ高いほど、環境に貢献することができるため、バイオマス度の上限に制限はない。
【0057】
なお、本技術において「バイオマス度」は、下記の数式を用いて算出した値である。
バイオマス度(%)=(バイオマス材料重量/全原料重量)×100
【0058】
(2)密度
本技術に係るポリウレタンフォームの密度は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に係るポリウレタンフォームの密度の下限は、例えば40kg/m3以上、好ましくは45kg/m3以上、より好ましくは50kg/m3以上、更に好ましくは55kg/m3以上である。本技術に係るポリウレタンフォームの密度の上限は、例えば120kg/m3以下、好ましくは115kg/m3以下、より好ましくは110kg/m3以下、更に好ましくは105kg/m3以下である。
【0059】
なお、本技術において「密度」は、JIS K7222:2005/ISO 845:1988に基づく方法に準拠して、測定した値である。
【0060】
(3)通気量
本技術に係るポリウレタンフォームの通気量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。一般的に、植物由来ポリオールを用いると、通気性が悪化することが知られているが、本技術では、植物由来ポリオールを用いているにも関わらず、前述した(AB)n型整泡剤と、くし型整泡剤と、を併用することで、通気性を向上させることに成功した。
【0061】
具体的には、本技術に係るポリウレタンフォームの通気量の下限は、例えば0.2cm3/(cm2・s)以上、好ましくは0.3cm3/(cm2・s)以上、より好ましくは0.5cm3/(cm2・s)以上、更に好ましくは0.7cm3/(cm2・s)以上である。本技術に係るポリウレタンフォームの通気量の上限は、例えば30cm3/(cm2・s)以下、好ましくは25cm3/(cm2・s)以下、より好ましくは20cm3/(cm2・s)以下、更に好ましくは15cm3/(cm2・s)以下である。
【0062】
なお、本技術において「通気量」は、JIS L1096 A法(フラジール形法)に基づく方法に準拠して測定した値である。
【0063】
(4)吸音率
本技術に係るポリウレタンフォームは、後述する実施例で実証されているように、従来のポリウレタンフォームに比べて、より高周波域で吸音効果を発揮することを特徴とする。具体的には、本技術に係るポリウレタンフォームの吸音率がピークを示す周波数は、例えば1.6kHz以上、好ましくは1.8kHz以上、より好ましくは2.0kHz以上、更に好ましくは2.1kHz以上である。
【0064】
また、本技術に用いるポリウレタンフォームの周波数2.5kHzにおける吸音率は、例えば0.80kHz以上、好ましくは0.85kHz以上、より好ましくは0.87kHz以上である。
【0065】
なお、本技術において「吸音率」は、JIS A 1409に基づく方法に準拠して測定した残響室法吸音率の値である。
【0066】
3.ポリウレタンフォームの用途
本技術に係るポリウレタンフォームは、その品質の高さを利用して、あらゆる分野であらゆる用途に用いることができる。例えば、ソファーや椅子等の家具、マットレスや枕等の寝具、下着等の衣類、食器用スポンジ、掃除用スポンジ等の生活必需品、車内シート等の車両・航空機内装用製品、建築目地材、建築用緩衝材、建築用シール材、家電用シール材、吸音材、防音材、梱包材、車両用断熱材、結露防止材、内装材、家電断熱材、配管断熱材、各種カバー、クッション材、玩具、雑貨等に好適に用いることができる。
【0067】
本技術に係るポリウレタンフォームは、その高い吸音効果を利用して、吸音材や防音材等に好適に用いることができる。また、吸音効果が求められる車両・航空機内装用製品、建築用内装材等に好適に用いることができる。
【0068】
特に本技術に係るポリウレタンフォームは、従来のポリウレタンフォームに比べて、より高周波域で吸音効果を発揮するため、より高周波域における吸音効果が求められる用途に好適に用いることができる。例えば、車両分野においては、ガソリン車に比べて電動車の方が、より高周波側に騒音源が多く存在する。具体的には、ガソリン車の騒音源は0.1kHz付近に多いのに対して、電動車の騒音源は1.0kHz~12.0kHz付近に多く存在する。近年、ハイブリット車や電動車の普及が進む実情に伴い、車両内装用の吸音材として、より高周波域における吸音性能が求められるようになった。そこで、本技術では、車両天井用基材等のような車両内装用製品に好適に用いることができる。
【0069】
4.ポリウレタンフォームの製造方法
本技術に係るポリウレタンフォームは、前述した本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物の各成分を混合して組成物を調製し、樹脂化反応及び泡化反応を進行させることにより製造することができる。樹脂化反応及び泡化反応の方法は、本技術の作用や効果を損なわない限り、一般的は方法を自由に組み合わせて採用することができる。
【0070】
本技術に係るポリウレタンフォームの製造方法における発泡は、スラブ発泡及びモールド発泡のいずれを採用することもできる。スラブ発泡は、ポリウレタンフォーム製造用組成物(ポリウレタンフォームの原料)を混合して発泡BOXの中に吐出し、大気圧下、常温で発泡させる方法である。一方、モールド発泡は、モールド(金型)のキャビティにポリウレタンフォーム製造用組成物(ポリウレタンフォームの原料)を混合して注入し、キャビティ形状に発泡させる方法である。
【0071】
本技術に係るポリウレタンフォームの製造において、各成分を混合して本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物を調製する際の回転数は、本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物の各成分の種類や目的等に応じて、自由に設定することができる。各成分を混合して本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物を調製する際の回転数の下限値は、例えば1000回/分以上、好ましくは1500回/分以上、より好ましくは2000回/分以上、更に好ましくは2500回/分以上である。回転数の下限値をこの範囲に設定することで、樹脂化反応や泡化反応を促進させることができ、その結果、機械的特性や外観の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0072】
各成分を混合して本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物を調製する際の回転数の上限値は、例えば6000回/分以下、好ましくは5000回/分以下、より好ましくは4500回/分以下、更に好ましくは4000回/分以下である。回転数の上限値をこの範囲に設定することで、樹脂化反応や泡化反応の不安定化を防止し、樹脂化反応と泡化反応のバランスを良好に保つことができる。その結果、機械的特性や外観の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0073】
調製した本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物を、ベルトコンベア上又はモールド内へ吐出する際の吐出量も、本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物の各成分の種類や前記回転数等に応じて、自由に設定することができる。吐出量の下限値は、例えば90kg/分以上、好ましくは100kg/分以上、より好ましくは105kg/分以上、更に好ましくは110kg/分以上である。吐出量の下限値をこの範囲に設定することで、製造速度の低下を防止することができ、その結果、製造効率を向上させることができる。
【0074】
また、吐出量の上限値は、例えば300kg/分以下、好ましくは250kg/分以下、より好ましくは240kg/分以下、更に好ましくは230kg/分以下である。吐出量の上限値をこの範囲に設定することで、樹脂化反応や泡化反応を促進させることができ、その結果、機械的特性や外観の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【実施例0075】
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0076】
(1)ポリウレタンフォームの製造
下記表1に示す各原料を撹拌混合して組成物を調製後した後、調製した組成物を発泡BOXの中に吐出し、大気圧下、常温で発泡(スラブ発泡)させることにより、各ポリウレタンフォームを製造した。
【0077】
(2)評価
製造したポリウレタンフォームについて、下記の方法を用いて各物性の評価を行った。
【0078】
[バイオマス度]
バイオマス度は、下記の数式を用いて算出した。
バイオマス度(%)=(バイオマス材料重量/全原料重量)×100
【0079】
[密度]
JIS K7222:2005/ISO 845:1988に基づく方法に準拠して、製造したポリウレタンフォームの密度を測定した。
【0080】
[通気量]
JIS L1096 A法(フラジール形法)に基づく方法に準拠して、製造したポリウレタンフォームの通気性を測定した。
【0081】
[吸音率]
JIS A 1409に基づく方法に準拠して、製造したポリウレタンフォームの表側と裏側の残響室法吸音率を測定した。
【0082】
(3)結果
結果を下記の表1に示す。また、表側の吸音率を
図2のグラフに、裏側の吸音率を
図3のグラフに示す。
【表1】
ポリエーテルポリオール1:「サンニックスGP-400」三洋化成工業株式会社
ヒマシ油ポリオール:「URIC H-30」伊藤製油株式会社
ポリエーテルポリオール2:「GP3050NS」三洋化成工業株式会社
アミン触媒1:「DABCO(登録商標) 33 LSI」エボニック・ジャパン株式会社
アミン触媒2:「DABCO(登録商標) BL-11」エボニック・ジャパン株式会社
シリコーン系整泡剤1:「NIAX(登録商標) SILICONE L-626」モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社
有機変性ポリシロキサン:「TEGOSTAB B 8738 LF2」エボニック・ジャパン株式会社
シリコーン系整泡剤2:「SRX-280A」東レ・ダウコーニング株式会社
シリコーン系整泡剤3:「SRX-294A」東レ・ダウコーニング株式会社
安定剤:「PUR68」BASF株式会社
【0083】
(4)考察
植物由来原料を用いると、通気性が低下するのが一般的であるのに対し、表1の実施例1及び実施例2に示す通り、植物由来ポリオールを用いていても、(AB)n型整泡剤と、くし型整泡剤と、を併用することで、植物由来原料を用いていない比較例1よりも、通気性が向上することが分かった。
【0084】
また、
図2及び
図3のグラフに示す通り、比較例1に比べて、実施例1及び実施例2は、吸音率のグラフが、より高周波側へシフトすることが分かった。即ち、比較例1に比べて、実施例1及び実施例2は、より高周波領域において吸音効果を発揮することが示された。