(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125794
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 125
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033861
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】記村 和芳
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB04
2C056EB12
2C056EB30
2C056EB38
2C056EC04
2C056EC12
2C056EC28
2C056FA13
2C056FA14
2C056HA29
(57)【要約】
【課題】非金属製シートが外周面に宛がわれた印刷胴を備えるインクジェット記録装置において、非金属製シートの皺の発生を抑制することで記録媒体の皺の発生を防止して印刷画質の向上を図る。
【解決手段】インクジェット記録装置1は、胴本体11およびその外周面11aに宛がわれた非金属製シート12を含む印刷胴、インクジェットヘッドおよびヒータを備える。非金属製シート12は、回転方向に位置する前端部12aおよび後端部12bと、胴本体11の軸方向に位置する第1側端部12cおよび第2側端部12dとを含む。印刷胴には、前端部12aおよび後端部12bの少なくとも一方を他方から遠ざける方向に引っ張ることで非金属製シート12を引張可能な第1引張機構と、第1側端部12cおよび第2側端部12dの少なくとも一方を他方から遠ざける方向に引っ張ることで非金属製シート12を引張可能な第2引張機構とが設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する印刷胴と、
前記印刷胴に対向配置され、記録媒体に向けてインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記印刷胴に対向配置され、前記印刷胴を加熱するヒータとを備え、
前記印刷胴は、胴本体と、当該胴本体の外周面の周方向における所定領域に宛がわれた非金属製シートとを有し、
前記印刷胴は、前記非金属製シート上に記録媒体が載置された状態で前記胴本体の軸線回りに回転することで記録媒体を前記胴本体の回転方向に向けて搬送し、
前記非金属製シートは、前記回転方向に位置する一対の端部である前端部および後端部と、前記胴本体の軸方向に位置する一対の端部である第1側端部および第2側端部とを含み、
前記印刷胴には、前記前端部および前記後端部のうちの少なくとも一方を他方から遠ざける方向に向けて引っ張ることで前記非金属製シートを引張可能な第1引張機構と、前記第1側端部および前記第2側端部のうちの少なくとも一方を他方から遠ざける方向に向けて引っ張ることで前記非金属製シートを引張可能な第2引張機構とが設けられている、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記第1引張機構が、前記非金属製シートを引張させる引張状態と、前記非金属製シートを弛緩させる弛緩状態とに切り換え可能に構成されている、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記非金属製シートの表面温度を検知するための検知部と、
前記第1引張機構の前記引張状態および前記弛緩状態の切り換えを制御する制御部とをさらに備え、
前記制御部が、前記検知部によって検知された検知情報に基づいて前記非金属製シートの表面温度が予め定められた温度以下であると判断した場合に、前記第1引張機構を前記引張状態から前記弛緩状態に切り換える、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記非金属製シート上に載置される記録媒体への前記インクジェットヘッドによるインクの吐出が完了した時点からの経過時間を計時する計時部と、
前記第1引張機構の前記引張状態および前記弛緩状態の切り換えを制御する制御部とをさらに備え、
前記制御部が、前記計時部によって計時された時間が予め定められた時間を経過したと判断した場合に、前記第1引張機構を前記引張状態から前記弛緩状態に切り換える、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記印刷胴を回転駆動する回転駆動部と、
前記第1引張機構の前記引張状態および前記弛緩状態の切り換え、および、前記回転駆動部の動作を制御する制御部とをさらに備え、
前記制御部が、前記回転駆動部による前記印刷胴の回転駆動を開始させるに先立って、前記第1引張機構を前記弛緩状態から前記引張状態に切り換える、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記第1引張機構が、前記胴本体に対して前記前端部を移動不能となるように保持する第1保持部と、前記胴本体に対して前記後端部を移動可能となるように保持する第2保持部とを有する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記第2保持部が、前記後端部を前記前端部から遠ざける方向に向けて弾性付勢する第1弾性体を含んでいる、請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記第2引張機構が、前記非金属製シートを引張させる引張状態と、前記非金属製シートを弛緩させる弛緩状態とに切り換え可能に構成されている、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記非金属製シートの表面温度を検知するための検知部と、
前記第2引張機構の前記引張状態および前記弛緩状態の切り換えを制御する制御部とをさらに備え、
前記制御部が、前記検知部によって検知された検知情報に基づいて前記非金属製シートの表面温度が予め定められた温度以下であると判断した場合に、前記第2引張機構を前記引張状態から前記弛緩状態に切り換える、請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記非金属製シート上に載置される記録媒体への前記インクジェットヘッドによるインクの吐出が完了した時点からの経過時間を計時する計時部と、
前記第2引張機構の前記引張状態および前記弛緩状態の切り換えを制御する制御部とをさらに備え、
前記制御部が、前記計時部によって計時された時間が予め定められた時間を経過したと判断した場合に、前記第2引張機構を前記引張状態から前記弛緩状態に切り換える、請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記印刷胴を回転駆動する回転駆動部と、
前記第2引張機構の前記引張状態および前記弛緩状態の切り換え、および、前記回転駆動部の動作を制御する制御部とをさらに備え、
前記制御部が、前記回転駆動部による前記印刷胴の回転駆動を開始させるに先立って、前記第2引張機構を前記弛緩状態から前記引張状態に切り換える、請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記第2引張機構が、前記胴本体に対して前記第1側端部を移動不能となるように保持する第3保持部と、前記胴本体に対して前記第2側端部を移動可能となるように保持する第4保持部とを有する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記第4保持部が、前記第2側端部を前記第1側端部から遠ざける方向に向けて弾性付勢する第2弾性体を含んでいる、請求項12に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記印刷胴には、前記第2引張機構が複数設けられ、
前記複数の第2引張機構のうちの1つによる前記非金属製シートの引張方向が、前記複数の第2引張機構のうちの他の1つによる前記非金属製シートの引張方向と交差している、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
前記非金属製シートが、ゴム製である、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙等の記録媒体にインクを吐出して記録媒体に印刷を行なうインクジェット記録装置が知られている。この種のインクジェット記録装置は、記録媒体を搬送するための印刷胴を備えており、記録媒体への印刷は、印刷胴によって搬送される記録媒体に向けてインクジェットヘッドがインクを吐出し、その後にヒータがこのインクを乾燥することで行なわれる。
【0003】
ここで、印刷胴の外周面には、複数の貫通孔が設けられており、印刷胴は、その内部に向けて真空引きを行なうことにより、外周面上に載置された記録媒体を吸引して保持している。このように構成されたインクジェット記録装置にあっては、外周面の大部分は、画像形成時における記録媒体の温度を一定に保つために印刷胴を加熱するヒータや、インクを乾燥させるためのヒータ等によって高温になる。その一方で、外周面のうちの貫通孔およびその周辺に対応する部分は、真空引きによって冷却される。このようにして印刷胴の外周面に生じる温度のムラが、印刷画質を劣化させてしまうという問題があった。
【0004】
この点、たとえば特開2017-1198号公報(特許文献1)に開示されたインクジェット記録装置にあっては、印刷胴の外周面に断熱材としての非金属製シートを宛がうことで上述した温度のムラの発生を抑制し、これによって印刷画質の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたインクジェット記録装置にあっては、非金属製シートに対して、ヒータによる加熱と、その冷却とが繰り返し行なわれる。これにより、非金属製シートには、面内歪みによる皺が生じてしまう問題がある。この皺は、非金属製シート上に載置された記録媒体にも影響を与え、記録媒体に皺を生じさせる原因となっている。
【0007】
したがって、本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、非金属製シートが外周面に宛がわれた印刷胴を備えてなるインクジェット記録装置において、非金属製シートの皺の発生を抑制することで記録媒体における皺の発生を防止し、印刷画質の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づくインクジェット記録装置は、記録媒体を搬送する印刷胴と、上記印刷胴に対向配置され、記録媒体に向けてインクを吐出するインクジェットヘッドと、上記印刷胴に対向配置され、上記印刷胴を加熱するヒータとを備えている。上記印刷胴は、胴本体と、当該胴本体の外周面の周方向における所定領域に宛がわれた非金属製シートとを有している。上記印刷胴は、上記非金属製シート上に記録媒体が載置された状態で上記胴本体の軸線回りに回転することで記録媒体を上記胴本体の回転方向に向けて搬送する。上記非金属製シートは、上記回転方向に位置する一対の端部である前端部および後端部と、上記胴本体の軸方向に位置する一対の端部である第1側端部および第2側端部とを含んでいる。上記印刷胴には、上記前端部および上記後端部のうちの少なくとも一方を他方から遠ざける方向に向けて引っ張ることで上記非金属製シートを引張可能な第1引張機構と、上記第1側端部および上記第2側端部のうちの少なくとも一方を他方から遠ざける方向に向けて引っ張ることで上記非金属製シートを引張可能な第2引張機構とが設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、非金属製シートが外周面に宛がわれた印刷胴を備えてなるインクジェット記録装置において、非金属製シートの皺の発生を抑制することで記録媒体における皺の発生を防止し、印刷画質の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係るインクジェット記録装置の内部構造を示す概略図である。
【
図3】
図1に示す印刷胴の構成を説明するための模式図である。
【
図4】
図3に示す非金属製シートの模式断面図である。
【
図5】
図3に示す非金属製シートの模式断面図である。
【
図6】
図3に示す非金属製シートの模式断面図である。
【
図7】
図3に示す第1引張機構および第2引張機構による非金属製シートの引張方法について説明するための模式図である。
【
図8】実施の形態に係るインクジェット記録装置の機能ブロックの構成を示す図である。
【
図9】第1変形例に係る第1引張機構および第2引張機構について説明するための模式図である。
【
図10】第2変形例に係る第1引張機構および第2引張機構について説明するための模式図である。
【
図11】第3変形例に係る第1引張機構および第2引張機構について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
(実施の形態)
<A.インクジェット記録装置の概略的な構成>
図1は、実施の形態に係るインクジェット記録装置の内部構造を示す概略図である。まず、
図1を参照して、本実施の形態に係るインクジェット記録装置1の概略的な構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、印刷胴10と、複数のインクジェットヘッド20と、ヒータ30と、複数の搬送胴40と、給紙部50と、排紙部60とを備えている。
【0014】
印刷胴10は、記録媒体Sを搬送するものである。より詳細には、印刷胴10は、略円筒形状のものであり、その軸線回りに回転することで記録媒体Sを印刷胴10の回転方向に向けて搬送する。印刷胴10は、図示しないモータ等の回転駆動部によって回転駆動する。記録媒体Sとしては、たとえばPETフィルム、PPフィルム、PEフィルム等の樹脂フィルム、普通紙等が用いられる。
【0015】
複数のインクジェットヘッド20は、印刷胴10によって搬送された記録媒体Sにインクを吐出することで記録媒体Sに印刷を施すものである。複数のインクジェットヘッド20は、印刷胴10に対向配置されている。本実施の形態においては、4つのインクジェットヘッド20が、印刷胴10の回転方向に沿って互いに並んで位置している。4つのインクジェットヘッド20は、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびK(ブラック)のインクを吐出する。
【0016】
ヒータ30は、印刷胴10に向けて紫外線あるいは赤外線等を照射することにより、印刷胴10を所定の温度にまで加熱するものである。ヒータ30は、印刷胴10に対向配置されている。ヒータ30は、記録媒体Sの搬送経路における後述する第2補助ヒータ72が配置された位置の下流側に位置している。
【0017】
複数の搬送胴40は、印刷胴10と共に記録媒体Sを搬送するものである。本実施の形態においては、6つの搬送胴40が所定の位置に配置されている。6つの搬送胴40は、それぞれ軸線回りに回転している。記録媒体Sは、6つの搬送胴40と印刷胴10とがそれぞれ回転することによって規定される搬送経路に沿って搬送される。
【0018】
給紙部50は、搬送経路を規定する印刷胴10等に記録媒体Sを供給するものである。給紙部50は、給紙トレイ51と、搬送ベルト52と、搬送ローラ(不図示)およびこれを駆動するモータ(不図示)等とを有している。
【0019】
排紙部60は、印刷が施された記録媒体Sを排紙するものである。排紙部60は、排紙トレイ61と、搬送ベルト62と、搬送ローラ(不図示)およびこれを駆動するモータ(不図示)等とを有している。
【0020】
インクジェット記録装置1は、さらに、第1補助ヒータ71および第2補助ヒータ72と、検知部80と、制御部90(後述する
図8参照)とを備えている。
【0021】
第1補助ヒータ71は、インクジェットヘッド20による印刷が施される前の状態の記録媒体Sに向けて赤外線等を照射することにより、記録媒体Sを所定の温度にまで加熱するものである。第1補助ヒータ71と上述したヒータ30とを用いて記録媒体Sおよび印刷胴10の温度を適切に管理することにより、インクジェットヘッド20による印刷画質の向上が図られている。
【0022】
第2補助ヒータ72は、印刷が施された記録媒体Sに向けて赤外線等を照射することで記録媒体Sとインクとを加熱することにより、インクを硬化させるものである。第2補助ヒータ72は、印刷胴10に対向配置されている。第2補助ヒータ72は、記録媒体Sの搬送経路におけるインクジェットヘッド20が配置された位置の下流側に位置している。
【0023】
検知部80は、印刷胴10に取付けられた非金属製シート12の表面温度を検知するためのものである。検知部80は、印刷胴10に対向配置されている。検知部80によって検知された検知情報は、制御部90に出力される。
【0024】
制御部90は、後述する第1引張機構100および第2引張機構200による非金属製シート12の引張およびその解除を制御するものである。また、制御部90は、印刷胴10を回転駆動する回転駆動部の動作も制御するものである。
【0025】
制御部90は、主たる構成要素として、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)/RAM(Random Access Memory)と、検知部80から入力された情報に基づいて各種の演算を行なう演算部等とを有している。ROM/RAMには、データを不揮発的に格納するROMと、CPUによるプログラムの実行によって生成されたデータを揮発的に格納するRAMとが含まれる。制御部90の各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。
【0026】
CPUにおける処理は、各ハードウェアおよびCPUにより実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ROM/RAMに予め記憶されている。制御部90には、図示しない内部電源または図示しない外部電源によって電力が供給される。外部電源との接続には、たとえば図示しないACアダプタ等が用いられる。
【0027】
制御部90は、検知部80による検知情報に基づいて非金属製シート12の引張およびその解除を制御するが、この点については後において詳述することとする。
【0028】
<B.印刷胴の詳細な構成>
図2は、
図1中に示すII-II線に沿った印刷胴の模式断面図である。
図3は、
図1に示す矢印III方向から見た、印刷胴の構成を説明するための模式図である。次に、
図2および
図3を参照して、本実施の形態に係るインクジェット記録装置1が具備する印刷胴10の詳細な構成について説明する。
【0029】
なお、
図3においては、胴本体11の外周面11aに沿って湾曲している非金属製シート12を、一方向に投影して図示したものである。また、
図3においては、胴本体、金属製シートおよび非金属製シートに設けられた貫通孔の図示を省略している。さらに、
図3においては、後述する非金属製シート12の前端部12aのうちの第1保持部110によって保持された部分と、後端部12bのうちの第2保持部120によって保持された部分とに、互いに異なる模様を付している(後述する
図7、
図9ないし
図11についても同様である)。
【0030】
図2および
図3に示すように、印刷胴10は、胴本体11と、複数の非金属製シート12と、胴本体11の内部空間に設けられた真空装置(不図示)とを有している。
【0031】
胴本体11は、略円筒形状の金属製の部位である。胴本体11の外周面11aには、貫通孔11hが複数設けられている。貫通孔11hの孔径は、たとえば1mmとされる。
【0032】
胴本体11の外周面11aには、非金属製シート12を外周面11aに保持するための後述する第1保持部110および第2保持部120を収容するポケット部11cが設けられている。
【0033】
なお、胴本体11の外周面11aには、金属製シートが宛がわれてもよい。この場合、金属製シートが宛がわれている部分の胴本体11の外周面11aは、この金属製シートによって規定される。
【0034】
本実施の形態においては、外周面11aには、平面視略矩形状の金属製シート11bが宛がわれている。金属製シート11bには、貫通孔11bhが複数設けられている。貫通孔11bhの孔径は、たとえば0.2mmとされる。金属製シート11bは、たとえばステンレス鋼等の金属からなり、その厚みは、好適には0.1mmとされる。
【0035】
複数の非金属製シート12は、断熱材として用いられるものである。複数の非金属製シート12は、胴本体11の外周面11aの周方向における所定領域に宛がわれている。本実施の形態においては、同一形状の3つの非金属製シート12が、胴本体11の軸方向に沿って見た場合に120°の回転対称位置に配置されている(
図1参照)。3つの非金属製シート12は、いずれも金属製シート11bによって規定される部分の外周面11aに宛がわれている。記録媒体Sは、非金属製シート12上に載置された状態で印刷胴10によって搬送される。
【0036】
非金属製シート12は、たとえば平面視略矩形状とされる。非金属製シート12には、貫通孔12hが複数設けられている。貫通孔12hの孔径は、0.2mm以上1mm以下であることが好ましく、より好適には、0.3mm以上0.9mm以下とされる。非金属製シート12は、たとえばPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等の樹脂製のゴムからなり、その厚みは、0.07mm以上0.5mm以下であることが好ましく、より好適には、0.1mm以上0.3mm以下とされる。
【0037】
このように構成された印刷胴10にあっては、真空装置を作動させて胴本体11の内部に向けて真空引きを行なうことにより、非金属製シート12上に載置された記録媒体Sを胴本体11の外周面11aにおいて吸引保持することが可能になる。
【0038】
また、胴本体11の外周面11aに断熱材としての非金属製シート12を宛がうことにより、ヒータ30等による加熱、および、真空引きすることで生じる対流による冷却等に起因して外周面11aに温度のムラが生じることが抑制される。これにより、印刷画質の向上を図ることができる。
【0039】
ここで、
図2に示すように、外周面11aと非金属製シート12との間の隙間には、インクジェットヘッド20から吐出されるインクに由来する固着インク300が位置している。固着インク300は、非金属製シート12に面内歪みを生じさせる要因となり得るところ、本実施の形態に係るインクジェット記録装置1は、この固着インク300を剥離可能に構成されているが、その詳細については後において詳述することとする。
【0040】
<C.非金属製シートを胴本体の外周面に保持するための構成>
図4は、
図3に示すIIII-IIII線図に沿った模式断面図である。
図5は、
図3に示すV-V線図に沿った模式断面図である。
図6は、
図3に示すVI-VI線図に沿った模式断面図である。次に、
図4ないし
図6と、前述の
図3とを参照して、本実施の形態に係るインクジェット記録装置1における、非金属製シート12を胴本体11の外周面11aに保持するための構成について説明する。
【0041】
図3に示すように、非金属製シート12は、胴本体11の回転方向(すなわち、印刷胴10の回転方向に一致する方向)に位置する一対の端部である前端部12aおよび後端部12bと、胴本体11の軸方向に位置する一対の端部である第1側端部12cおよび第2側端部12dとを含んでいる。
【0042】
前端部12aと後端部12bとを結ぶ方向は、胴本体11の回転方向と平行な方向に一致している(以下、この方向を第1方向とも称する)。第1側端部12cと第2側端部12dとを結ぶ方向は、胴本体11の軸方向と平行な方向に一致している(以下、この方向を第2方向とも称する)。
【0043】
印刷胴10には、第1引張機構100と複数の第2引張機構200とが設けられている。第1引張機構100は、後端部12bを前端部12aから遠ざける方向に向けて引っ張ることで非金属製シート12を引張するものである。第2引張機構200は、第2側端部12dを第1側端部12cから遠ざける方向に向けて引っ張ることで非金属製シート12を引張するものである。本実施の形態においては、2つの第2引張機構200が印刷胴10に設けられている。
【0044】
第1引張機構100は、第1保持部110と第2保持部120とを有している。第2引張機構200は、複数の第3保持部210と複数の第4保持部220とを有している。以下、第1保持部110、第2保持部120、第3保持部210および第4保持部220の構成について詳細に説明する。
【0045】
図3および
図4に示すように、第1保持部110は、前端部12aを外周面11aに保持している。より詳細には、第1保持部110は、前端部12aを、胴本体11の径方向における内側に向けて巻き込んだ状態で外周面11aに保持している。
【0046】
第1保持部110は、挟み込み部材111、押さえ部材112およびボルト113を含んでいる。第1保持部110は、胴本体11の外周面11aに設けられたポケット部11cに配置されている(
図1参照)。
【0047】
挟み込み部材111は、板状の部材が二つ折りにされた状態となるように曲げ加工(すなわち、ヘミング曲げ加工)されてなるものである。前端部12aの先端は、挟み込み部材111によって挟み込まれた状態で当該挟み込み部材111と共に上記径方向における内側に向けて巻き込まれている。
【0048】
押さえ部材112は、鉤爪形状の部位を有する部材からなる。押さえ部材112は、鉤爪形状の部位が前端部12aと挟み込み部材111とを抱え込んだ状態で、胴本体11に対して押し当てられてこれに固定されている。より詳細には、押さえ部材112と胴本体11とは、ボルト113を用いて締結されることで相互に固定されている。これにより、第1保持部110は、胴本体11に対して前端部12aを移動不能となるように保持している。
【0049】
挟み込み部材111、押さえ部材112およびボルト113は、たとえば金属製の部材によって構成されているが、特にこれに限定されるものではない。
【0050】
図3および
図5に示すように、第2保持部120は、後端部12bを外周面11aに保持している。より詳細には、第2保持部120は、後端部12bを、胴本体11の径方向における内側に向けて巻き込んだ状態で外周面11aに保持している。
【0051】
第2保持部120は、挟み込み部材121、押さえ部材122、回転部材123、回転駆動機構124およびボルト125を含んでいる。第2保持部120は、ポケット部11cに配置されている。
【0052】
挟み込み部材121は、板状の部材が二つ折りにされた状態となるように曲げ加工されてなるものである。後端部12bの先端は、挟み込み部材121によって挟み込まれた状態で当該挟み込み部材121と共に上記径方向における内側に向けて巻き込まれている。
【0053】
押さえ部材122は、先端が折れ曲がった略平板形状の部材である。回転部材123は、上記径方向に沿って延在した形状を有している。回転部材123は、回転部材123の上記径方向における外側に位置する第1部分123aと、内側に位置する第2部分123bとを含んでいる。第1部分123aは、平板形状を有している。
【0054】
押さえ部材122は、第1部分123aと共に後端部12bおよび挟み込み部材121を挟み込んだ状態で、当該第1部分123aに固定されている。より詳細には、押さえ部材122と第1部分123aとは、ボルト125を用いて締結されることで相互に固定されている。この状態において、押さえ部材122の折れ曲がった先端は、挟み込み部材121に引っ掛けられている。これにより、挟み込み部材121は、第1部分123aと押さえ部材122との間で強固に固定されている。
【0055】
回転部材123の第2部分123bは、回転駆動機構124に接続されている。回転駆動機構124は、たとえば、第2部分123bに接続されたシャフト部(不図示)と、シャフト部に取付けられた第1ギヤ124aと、第1ギヤ124aに噛合する第2ギヤ124bとによって構成されている。
【0056】
このように構成された回転駆動機構124の回転駆動力が伝達されることにより、回転部材123は、第2部分123bに接続されたシャフト部を回転軸として胴本体11の回転方向に沿って回転可能に構成されている。これにより、第2保持部120は、胴本体11に対して後端部12bを移動可能となるように保持している。また、回転駆動機構124の回転駆動力を調整することにより、非金属製シート12に印加する引張力を調整することができる。
【0057】
このように、第2保持部120を有する第1引張機構100は、後端部12bを前端部12aから遠ざける方向に引っ張ることで非金属製シート12を引張する引張状態と、後端部12bを前端部12aに近づける方向に移動させることで非金属製シート12を弛緩させる弛緩状態とに切り換え可能に構成されている。
【0058】
挟み込み部材121、押さえ部材122、回転部材123、回転駆動機構124およびボルト125は、たとえば金属製の部材によって構成されているが、特にこれに限定されるものではない。
【0059】
図3および
図6に示すように、複数の第3保持部210は、第1側端部12cを外周面11aに保持している。複数の第3保持部210は、胴本体11の軸方向と平行な方向(第2方向)における一対の端部のうちの一方に配置されている。本実施の形態においては、2つの第3保持部210が、第1方向に沿って並んで配置されている。
【0060】
第3保持部210は、挟み込み部材211とボルト212を含んでいる。挟み込み部材211は、板状の部材が二つ折りにされた状態となるように曲げ加工されてなるものである。第1側端部12cの先端は、挟み込み部材211によって挟み込まれている。
【0061】
挟み込み部材211には、第1方向に沿って延在する長孔形状の貫通孔211aが設けられている(特に
図3参照)。これに伴い、第1側端部12cのうちの貫通孔211aに対応する部分には、同様の長孔形状の貫通孔が設けられている。挟み込み部材211の貫通孔211aと、第1側端部12cの長孔形状の貫通孔とには、ボルト212が挿通されている。
【0062】
挟み込み部材211は、これが第1側端部12cの先端を挟み込んだ状態で、胴本体11に対して押し当てられて胴本体11に固定されている。より詳細には、挟み込み部材211と胴本体11とは、ボルト212を用いて締結されることで相互に固定されている。これにより、第3保持部210は、胴本体11に対して第1側端部12cを移動不能となるように保持している。
【0063】
また、貫通孔211a等が長孔形状に形成されていることにより、非金属製シート12が加熱されることで第1方向に伸長している状態においても、挟み込み部材211等をボルト212によって確実に締結することができる。
【0064】
挟み込み部材211およびボルト212は、たとえば金属製の部材によって構成されているが、特にこれに限定されるものではない。
【0065】
複数の第4保持部220は、第2側端部12dを外周面11aに保持している。複数の第4保持部220は、第2方向における一対の端部のうちの第3保持部210が設けられている側とは反対側の端部に配置されている。本実施の形態においては、2つの第4保持部220が、第1方向に沿って並んで配置されている。
【0066】
なお、本実施の形態においては、上述した2つの第3保持部210のうちの第1方向における前端部12a側に位置する方の第3保持部210と、2つの第4保持部220のうちの第1方向における前端部12a側に位置する方の第4保持部220とが、1つの第2引張機構200を構成している。また、2つの第3保持部210のうちの第1方向における後端部12b側に位置する方の第3保持部210と、2つの第4保持部220のうちの第1方向における後端部12b側に位置する方の第4保持部220とが、他の1つの第2引張機構200を構成している。
【0067】
第4保持部220は、挟み込み部材221、押さえ部材222、回転部材223、回転駆動機構224およびボルト225を含んでいる。回転部材223は、第1部分223aと第2部分223bとを有している。回転駆動機構224は、たとえば、第2部分223bに接続されたシャフト部(不図示)と、シャフト部に取付けられた第1ギヤ224aと、第1ギヤ224aに噛合する第2ギヤ224bとによって構成されている。
【0068】
ここで、第4保持部220の構成は、第2保持部120の構成と基本的に同様である。すなわち、挟み込み部材221、押さえ部材222、回転部材223、回転駆動機構224およびボルト225は、それぞれ、第2保持部120の挟み込み部材121、押さえ部材122、回転部材123、回転駆動機構124およびボルト125と基本的に同様の構成を有しているため、構成が共通する部分の説明は繰り返さない。
【0069】
挟み込み部材221には、第1方向に沿って延在する長孔形状の貫通孔221aが設けられている(特に
図3参照)。これに伴い、第2側端部12dのうちの貫通孔221aに対応する部分には、同様の長孔形状の貫通孔が設けられている。挟み込み部材221の貫通孔221aと、第2側端部12dの長孔形状の貫通孔とには、ボルト225が挿通されている。
【0070】
貫通孔221a等が長孔形状に形成されていることにより、非金属製シート12が加熱されることで第1方向に伸長している状態においても、挟み込み部材221等をボルト225によって確実に締結することができる。
【0071】
図6に示すように、第4保持部220にあっては、回転駆動機構224の回転駆動力が伝達されることにより、回転部材223は、第2部分223bに接続されたシャフト部を回転軸として第2方向に概ね沿うように回転可能に構成されている。これにより、第4保持部220は、胴本体11に対して第2側端部12dを移動可能となるように保持している。また、回転駆動機構224の回転駆動力を調整することにより、非金属製シート12に印加する引張力を調整することができる。
【0072】
このように、第4保持部220を有する第2引張機構200は、第2側端部12dを第1側端部12cから遠ざける方向に引っ張ることで非金属製シート12を引張する引張状態と、第2側端部12dを第1側端部12cに近づける方向に移動させることで非金属製シート12を弛緩させる弛緩状態とに切り換え可能に構成されている。
【0073】
ここで、
図6に示すように、胴本体11の外周面11aは、その幅方向(すなわち、第2方向)における一対の端部が、中央部に比べて胴本体11の径方向における内側に向けて後退している。これにより、上記一対の端部に配置された第3保持部210および第4保持部220が、インクジェットヘッド20に接近した際にこれに干渉することを防止できる。
【0074】
<D.第1引張機構および第2引張機構による非金属製シートの引張方法>
図7は、
図3に示す第1引張機構および第2引張機構による非金属製シートの引張方法について説明するための模式図である。
図7(A)は、第1引張機構および第2引張機構によって引張されていない状態の非金属製シートの模式図である。
図7(B)は、第1引張機構によって引張された状態の非金属製シートの模式図である。
図7(C)は、第1引張機構および第2引張機構によって引張された状態の非金属製シートの模式図である。
図8は、実施の形態に係るインクジェット記録装置の機能ブロックの構成を示す図である。次に、
図7、
図8および前述の
図3を参照して、本実施の形態に係るインクジェット記録装置1における、第1引張機構100および第2引張機構200による非金属製シート12の引張方法について説明する。
【0075】
図7(A)および
図7(B)に示すように、まず、非金属製シート12は、第1引張機構100によって引張される。
【0076】
より詳細には、第2保持部120が、第1保持部110から遠ざかる方向に向けて移動されることにより、後端部12bが、前端部12aから遠ざかる方向に引っ張られる(図中の矢印AR1参照)。これにより、非金属製シート12が、胴本体11の回転方向と平行な方向(第1方向)において引張されることになる(
図3中の矢印参照)。この引張により、非金属製シート12を外周面11aに密着させることが可能になる。
【0077】
一方で、この引張により、非金属製シート12は、その第1方向における中央部が両端部に比して幅が狭くなるように、変形しようとする(
図7(B)中の破線参照)。
【0078】
この点、第1側端部12cは第3保持部210によって保持されているとともに、第2側端部12dは第4保持部220によって保持されている。これにより、第1側端部12cは、第2側端部12dから遠ざかる方向に引っ張られるとともに、第2側端部12dは、第1側端部12cから遠ざかる方向に引っ張られる。その結果、非金属製シート12は、第2方向において引張されることになる(
図3中の矢印参照)。
【0079】
図7(B)および
図7(C)に示すように、次に、非金属製シート12は、第2引張機構200によってさらに引張される。
【0080】
より詳細には、第4保持部220が、第3保持部210から遠ざかる方向に向けて移動されることにより、第2側端部12dが、第1側端部12cから遠ざかる方向に引っ張られる。これにより、非金属製シート12が、第2方向においてさらに引張されることになる(図中の矢印AR2参照)。
【0081】
なお、上述した非金属製シート12を引張する手順は、あくまでも一例に過ぎず、先に第2引張機構200による引張が行なわれ、その後に第1引張機構100による引張が行なわれてもよい。
【0082】
ここで、第1引張機構100および第2引張機構200は、上述したように、非金属製シート12を引張する引張状態と、非金属製シート12を弛緩させる弛緩状態とに切り換え可能に構成されている。この切り換えは、制御部90によって制御されている。
【0083】
制御部90は、回転駆動部による印刷胴10の回転駆動を開始させるに先立って、第1引張機構100および第2引張機構200を弛緩状態から引張状態に切り換える。
【0084】
より詳細には、制御部90は、回転駆動部による印刷胴10の回転駆動を開始させるに先立って、第2保持部120の回転駆動機構124の第2ギヤ124bを所定の回転方向に回転駆動させる。これにより、第1引張機構100による非金属製シート12の引張が行なわれる。同様に、制御部90は、回転駆動部による印刷胴10の回転駆動を開始させるに先立って、第4保持部220の回転駆動機構224の第2ギヤ224bを所定の回転方向に回転駆動させる。これにより、第2引張機構200による非金属製シート12の引張が行なわれる。
【0085】
印刷胴10が回転駆動している場合には、胴本体11の外周面11aと非金属製シート12との間に空気が入り込むことで非金属製シート12の少なくとも一部が外周面11aから浮いた状態となることがある。そのため、印刷胴10の回転駆動を開始させるに先立って非金属製シート12を引張状態にすることにより、非金属製シート12に確実に引張力を印加することが可能になる。
【0086】
また、制御部90は、
図8に示すように、検知部80によって検知された検知情報に基づいて、第1引張機構100および第2引張機構200を引張状態から弛緩状態に切り換える。
【0087】
より詳細には、まず、制御部90は、検知部80が検知した非金属製シート12の表面温度を示す温度情報を、検知部80から取得する。次に、制御部90は、非金属製シート12の表面温度が、予め定められた温度以下であるかを判断する。非金属製シート12の表面温度が当該予め定められた温度以下であると判断された場合には、制御部90は、次に、第2ギヤ124bおよび第2ギヤ224bを上記所定の回転方向と反対方向に回転駆動させる。これにより、第1引張機構100および第2引張機構200が引張状態から弛緩状態に切り換えられる。
【0088】
このタイミングにおける非金属製シート12は、熱によって伸長した状態ではなくなる。そのため、このタイミングで非金属製シート12を弛緩させることにより、非金属製シート12を、引張力が印加された状態から確実に解放することができる。
【0089】
<E.小括>
本実施の形態に係るインクジェット記録装置1においては、上述したように、後端部12bを前端部12aから遠ざける方向に向けて引っ張ることで非金属製シート12を引張する第1引張機構100と、第2側端部12dを第1側端部12cから遠ざける方向に向けて引っ張ることで非金属製シート12を引張する第2引張機構200とが設けられている。このように構成することにより、非金属製シートが外周面に宛がわれた印刷胴を備えてなるインクジェット記録装置において、非金属製シートの皺の発生を抑制することで記録媒体における皺の発生を防止し、印刷画質の向上を図ることが可能になる。以下、この点について詳説する。
【0090】
一般に、非金属製シートが外周面に宛がわれた印刷胴を備えてなるインクジェット記録装置においては、非金属製シートに対して、ヒータによる加熱と、その冷却とが繰り返し行なわれ、これに起因して、非金属製シートに、面内歪みによる皺が生じてしまう問題がある。また、この皺は、非金属製シート上に載置された記録媒体に皺を生じさせる原因となることが懸念される。
【0091】
より詳細には、非金属製シートが加熱された場合には、非金属製シートは、この熱によって伸長変形する。一方で、非金属製シートの加熱が停止されること等によって非金属製シートの温度が低下した場合には、非金属製シートは収縮変形する。この収縮変形が、非金属製シートに面内歪みを生じさせる大きな要因となる。
【0092】
これに対する対策としては、非金属製シートの前端部および後端部のうちの少なくとも一方を他方から遠ざける方向に向けて引っ張ることにより、面内歪みの低減を図ることが考えられる。しかしながら、この引張のみを行なった場合には、この引張方向における非金属製シートの中央部が両端部に比して幅が狭くなるように(すなわち、括れるように)変形することになり(
図7(B)中の破線参照)、この変形が、面内歪みを低減させる妨げとなる。そのため、非金属製シートの面内歪みを低減させるためには、この引張を行なうだけでは十分であるとは言えない。
【0093】
この点、本実施の形態に係るインクジェット記録装置1においては、上述したように、印刷胴10に、非金属製シート12の後端部12bを前端部12aから遠ざける方向に向けて引っ張ることで非金属製シート12を引張する第1引張機構100と、非金属製シート12の第2側端部12dを第1側端部12cから遠ざける方向に向けて引っ張ることで非金属製シート12を引張する第2引張機構200とが設けられている。
【0094】
このように構成した場合には、第1引張機構100が後端部12bを前端部12aから遠ざける方向に引張することにより、非金属製シート12の面内歪みの発生を低減できるだけでなく、第2引張機構200が第2側端部12dを第1側端部12cから遠ざける方向に引張することにより、上述の如く非金属製シート12が括れるように変形することを防止できる。
【0095】
そのため、これら第1引張機構100と第2引張機構200とによる非金属製シート12の引張を組み合わせることにより、非金属製シート12の面内歪みおよびこれに伴う皺の発生を飛躍的に低減することが可能になり、ひいては、非金属製シート12上に載置される記録媒体Sに皺が生じることを効果的に抑制することで印刷画質の向上を図ることが可能になる。
【0096】
したがって、このように構成することにより、非金属製シートが外周面に宛がわれた印刷胴を備えてなるインクジェット記録装置において、非金属製シートの皺の発生を抑制することで記録媒体における皺の発生を防止し、印刷画質の向上を図ることが可能になる。
【0097】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置1においては、上述したように、第1引張機構100が、非金属製シート12を引張する引張状態と、非金属製シート12を引張しない弛緩状態とに切り換え可能に構成されている。これによっても、上述した非金属製シート12の面内歪みの発生を低減することが可能になる。
【0098】
すなわち、インクジェット記録装置においては、印刷胴の周囲に、インクジェットヘッドから吐出されるインクに由来するミスト状のインクが飛散している。このミスト状のインクの一部は、胴本体の内部に向けて吸引されることにより、胴本体の外周面と非金属製シートとの間の隙間に侵入する。このインクは、ヒータ等によって加熱されることで当該隙間において固着する。これにより、非金属製シートが、固着インクによって外周面に接着されてしまうという現象が生じ得る。このように非金属製シートが外周面に接着した場合には、非金属製シートの伸長がこの接着によって妨げられてしまい、結果として上述した面内歪みの発生を助長する要因となり得る。
【0099】
この点、インクジェット記録装置1においては、第1引張機構100が、引張状態と弛緩状態とを切り換え可能に構成されており、上述したように、所定のタイミングでこれらの切り換えを行なっている。この切り換えにより、非金属製シート12を外周面11aに対して揺動させることができる。そのため、外周面11aと非金属製シート12との間の隙間に位置する固着インク300(
図2参照)を剥離することが可能になり、結果として、非金属製シート12の面内歪みの発生を低減できることになる。
【0100】
また、本実施の形態においては、第2引張機構200もまた、第1引張機構100と同様に引張状態と弛緩状態とを切り換え可能に構成されている。これによっても、非金属製シート12の面内歪みの発生を低減できることになる。
【0101】
ここで、第2保持部120を第1保持部110から遠ざける方向に向けて移動させることで非金属製シート12を胴本体11の回転方向と平行な方向(第1方向)において引張する場合、前端部12aには、第2保持部120に近接する後端部12bに比べ、第2保持部120よる引張力が印加され難い。そのため、非金属製シート12の面内歪みは、第1方向における後端部12b側よりも前端部12a側において発生し易くなる傾向がある。
【0102】
したがって、本実施の形態に係るインクジェット記録装置1において、2つの第4保持部220のうち、前端部12a側に位置する方の第4保持部220による非金属製シート12の引張力を、後端部12b側に位置する方の第4保持部220による非金属製シート12の引張力よりも大きくすることにより、非金属製シート12の面内歪みの発生をより効果的に低減することができる。
【0103】
なお、上述した本実施の形態に係るインクジェット記録装置1においては、第3保持部210と第4保持部220とが、いずれも2つ設けられている場合を例示して説明を行なったが、第3保持部210および第4保持部220の数は、3つ以上であってもよいし、単数であってもよい。
【0104】
また、上述した本実施の形態に係るインクジェット記録装置1においては、第1保持部110が、胴本体11に対して前端部12aを移動不能に保持するとともに、第2保持部120が、胴本体11に対して後端部12bを移動可能に保持している場合を例示して説明を行なったが、第1引張機構100は、このような構成に限定されない。第1引張機構100は、たとえば、第1保持部110が、胴本体11に対して前端部12aを移動可能に保持するとともに、第2保持部120が、胴本体11に対して後端部12bを移動不能に保持するように構成されてもよいし、第1保持部110が、胴本体11に対して前端部12aを移動可能に保持するとともに、第2保持部120が、胴本体11に対して後端部12bを移動可能に保持するように構成されてもよい。すなわち、第1保持部110および第2保持部120を有する第1引張機構100は、前端部12aおよび後端部12bのうちの少なくとも一方を他方から遠ざける方向に向けて引っ張ることで非金属製シート12を引張可能に構成されていればよい。この第1引張機構100の構成についての説明は、第2引張機構200の構成についても同様に適用できる。
【0105】
さらに、上述した本実施の形態に係るインクジェット記録装置1においては、第2保持部120が、回転駆動機構124等を用いることで胴本体11に対して後端部12bを移動可能に保持している場合を例示して説明を行なったが、胴本体11に対して後端部12bを移動可能に保持するための第2保持部120の構成は、必ずしもこれに限定されるものではなく、公知の駆動機構等に適宜変更可能である。この第2保持部120の構成についての説明は、第4保持部220の構成についても同様に適用できる。
【0106】
また、上述した本実施の形態に係るインクジェット記録装置1においては、制御部90が、非金属製シート12の表面温度に基づいて第1引張機構100および第2引張機構200を引張状態から弛緩状態に切り換える場合を例示して説明を行なったが、制御部90による第1引張機構100および第2引張機構200を引張状態から弛緩状態に切り換え方法は、これに上記方法に限定されない。
【0107】
たとえば、インクジェット記録装置1は、非金属製シート12上に載置される記録媒体Sへのインクジェットヘッド20によるインクの吐出が完了した時点からの経過時間を計時する計時部をさらに備えていてもよい。この場合には、制御部90は、計時部によって計時された時間が予め定められた時間を経過したと判断した場合に、第1引張機構100および第2引張機構200を引張状態から弛緩状態に切り換えるように構成されていてもよい。
【0108】
<F.第1変形例>
図9は、第1変形例に係る第1引張機構および第2引張機構について説明するための模式図である。以下、
図9を参照して、上述した実施の形態に基づいた第1変形例に係るインクジェット記録装置1Aについて説明する。
【0109】
図9に示すように、第1変形例に係るインクジェット記録装置1Aは、上述した実施の形態に係るインクジェット記録装置1と比較した場合に、第2引張機構の構成が相違している。
【0110】
より詳細には、本変形例においては、2つの第3保持部210のうちの第1方向における前端部12a側に位置する方の第3保持部210と、2つの第4保持部220のうちの第1方向における後端部12b側に位置する方の第4保持部220とが、1つの第2引張機構200を構成している。この第2引張機構200は、当該第4保持部220によって保持される部分の第2側端部12dを、当該第3保持部210によって保持される部分の第1側端部12cから遠ざける方向に引っ張ることで非金属製シート12を引張する。
【0111】
また、2つの第3保持部210のうちの第1方向における後端部12b側に位置する方の第3保持部210と、2つの第4保持部220のうちの第1方向における前端部12a側に位置する方の第4保持部220とが、他の1つの第2引張機構200を構成している。この第2引張機構200は、当該第4保持部220によって保持される部分の第2側端部12dを、当該第3保持部210によって保持される部分の第1側端部12cから遠ざける方向に引っ張ることで非金属製シート12を引張する。
【0112】
これにより、本変形例においては、2つの第2引張機構のうちの一方による非金属製シート12の引張方向が、他方による非金属製シート12の引張方向と交差している。(図中の矢印参照)。
【0113】
また、本変形例においては、第3保持部210の挟み込み部材211に設けられる貫通孔211aが、長孔形状ではなく円形状である。第4保持部220の挟み込み部材221に設けられる貫通孔221aについても同様である。
【0114】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態において説明した効果に準じた効果が得られることになり、金属製シートが外周面に宛がわれた印刷胴を備えてなるインクジェット記録装置において、非金属製シートの皺の発生を抑制することで記録媒体における皺の発生を防止し、印刷画質の向上を図ることが可能になる。
【0115】
<G.第2変形例>
図10は、第2変形例に係る第1引張機構および第2引張機構について説明するための模式図である。以下、
図10を参照して、上述した実施の形態に基づいた第2変形例に係るインクジェット記録装置1Bについて説明する。
【0116】
図10に示すように、第2変形例に係るインクジェット記録装置1Bは、上述した実施の形態に係るインクジェット記録装置1と比較した場合に、第2引張機構の構成が相違している。
【0117】
より詳細には、本変形例に係る第2引張機構の第3保持部210Bおよび第4保持部220Bは、胴本体11の軸方向と平行な方向(第2方向)における第3保持部210Bと第4保持部220Bとの間の距離が、引張される前の状態における非金属製シート12の第2方向の寸法よりも大きくなるように配置されている。
【0118】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態において説明した効果に準じた効果が得られることになり、金属製シートが外周面に宛がわれた印刷胴を備えてなるインクジェット記録装置において、非金属製シートの皺の発生を抑制することで記録媒体における皺の発生を防止し、印刷画質の向上を図ることが可能になる。
【0119】
<H.第3変形例>
図11は、第3変形例に係る第1引張機構および第2引張機構について説明するための模式図である。
図12は、
図11に示す非金属製シートの模式断面図である。以下、
図11および
図12を参照して、上述した実施の形態に基づいた第3変形例に係るインクジェット記録装置1Cについて説明する。
【0120】
図11および
図12に示すように、第3変形例に係るインクジェット記録装置1Cは、上述した実施の形態に係るインクジェット記録装置1と比較した場合に、第1引張機構100Cおよび第2引張機構の構成が相違している。
【0121】
より詳細には、第1引張機構100Cの第2保持部120Cは、押さえ部材122、回転部材123、回転駆動機構124およびボルト125に代えて、後端部12bを前端部12aから遠ざける方向に向けて弾性付勢する第1弾性体126を有している。本変形例においては、第1弾性体126としてばねからなるものが用いられている。第2保持部120Cは、第1弾性体126の弾性力によって、非金属製シート12に対する第1方向における引張およびその解除が可能に構成されている。
【0122】
本変形例に係る第2引張機構は、2つの第4保持部220に代えて、単一の第4保持部220Cを有している。第4保持部220Cは、押さえ部材222、回転部材223、回転駆動機構224およびボルト225に代えて、第2側端部12dを第1側端部12cから遠ざける方向に向けて弾性付勢する第2弾性体を有している。本変形例においては、第2弾性体としてばねからなるものが用いられている。第4保持部220Cは、第2弾性体の弾性力によって、非金属製シート12に対する第2方向における引張およびその解除が可能に構成されている。
【0123】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態において説明した効果に準じた効果が得られることになり、金属製シートが外周面に宛がわれた印刷胴を備えてなるインクジェット記録装置において、非金属製シートの皺の発生を抑制することで記録媒体における皺の発生を防止し、印刷画質の向上を図ることが可能になる。
【0124】
<I.付記>
上述した実施の形態およびその変形例において開示したインクジェット記録装置の特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
【0125】
[付記1]
記録媒体を搬送する印刷胴と、
上記印刷胴に対向配置され、記録媒体に向けてインクを吐出するインクジェットヘッドと、
上記印刷胴に対向配置され、上記印刷胴を加熱するヒータとを備え、
上記印刷胴は、胴本体と、当該胴本体の外周面の周方向における所定領域に宛がわれた非金属製シートとを有し、
上記印刷胴は、上記非金属製シート上に記録媒体が載置された状態で上記胴本体の軸線回りに回転することで記録媒体を上記胴本体の回転方向に向けて搬送し、
上記非金属製シートは、上記回転方向に位置する一対の端部である前端部および後端部と、上記胴本体の軸方向に位置する一対の端部である第1側端部および第2側端部とを含み、
上記印刷胴には、上記前端部および上記後端部のうちの少なくとも一方を他方から遠ざける方向に向けて引っ張ることで上記非金属製シートを引張可能な第1引張機構と、上記第1側端部および上記第2側端部のうちの少なくとも一方を他方から遠ざける方向に向けて引っ張ることで上記非金属製シートを引張可能な第2引張機構とが設けられている、インクジェット記録装置。
【0126】
[付記2]
上記第1引張機構が、上記非金属製シートを引張させる引張状態と、上記非金属製シートを弛緩させる弛緩状態とに切り換え可能に構成されている、付記1に記載のインクジェット記録装置。
【0127】
[付記3]
上記非金属製シートの表面温度を検知するための検知部と、
上記第1引張機構の上記引張状態および上記弛緩状態の切り換えを制御する制御部とをさらに備え、
上記制御部が、上記検知部によって検知された検知情報に基づいて上記非金属製シートの表面温度が予め定められた温度以下であると判断した場合に、上記第1引張機構を上記引張状態から上記弛緩状態に切り換える、付記2に記載のインクジェット記録装置。
【0128】
[付記4]
上記非金属製シート上に載置される記録媒体への上記インクジェットヘッドによるインクの吐出が完了した時点からの経過時間を計時する計時部と、
上記第1引張機構の上記引張状態および上記弛緩状態の切り換えを制御する制御部とをさらに備え、
上記制御部が、上記計時部によって計時された時間が予め定められた時間を経過したと判断した場合に、上記第1引張機構を上記引張状態から上記弛緩状態に切り換える、付記2に記載のインクジェット記録装置。
【0129】
[付記5]
上記印刷胴を回転駆動する回転駆動部と、
上記第1引張機構の上記引張状態および上記弛緩状態の切り換え、および、上記回転駆動部の動作を制御する制御部とをさらに備え、
上記制御部が、上記回転駆動部による上記印刷胴の回転駆動を開始させるに先立って、上記第1引張機構を上記弛緩状態から上記引張状態に切り換える、付記2から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0130】
[付記6]
上記第1引張機構が、上記胴本体に対して上記前端部を移動不能となるように保持する第1保持部と、上記胴本体に対して上記後端部を移動可能となるように保持する第2保持部とを有する、付記1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0131】
[付記7]
上記第2保持部が、上記後端部を上記前端部から遠ざける方向に向けて弾性付勢する第1弾性体を含んでいる、付記6に記載のインクジェット記録装置。
【0132】
[付記8]
上記第1引張機構が、上記非金属製シートを引張させる引張状態と、上記非金属製シートを弛緩させる弛緩状態とに切り換え可能に構成されている、付記1に記載のインクジェット記録装置。
【0133】
[付記9]
上記非金属製シートの表面温度を検知するための検知部と、
上記第1引張機構の上記引張状態および上記弛緩状態の切り換えを制御する制御部とをさらに備え、
上記制御部が、上記検知部によって検知された検知情報に基づいて上記非金属製シートの表面温度が予め定められた温度以下であると判断した場合に、上記第1引張機構を上記引張状態から上記弛緩状態に切り換える、付記8に記載のインクジェット記録装置。
【0134】
[付記10]
上記非金属製シート上に載置される記録媒体への上記インクジェットヘッドによるインクの吐出が完了した時点からの経過時間を計時する計時部と、
上記第1引張機構の上記引張状態および上記弛緩状態の切り換えを制御する制御部とをさらに備え、
上記制御部が、上記計時部によって計時された時間が予め定められた時間を経過したと判断した場合に、上記第1引張機構を上記引張状態から上記弛緩状態に切り換える、付記8に記載のインクジェット記録装置。
【0135】
[付記11]
上記印刷胴を回転駆動する回転駆動部と、
上記第1引張機構の上記引張状態および上記弛緩状態の切り換え、および、上記回転駆動部の動作を制御する制御部とをさらに備え、
上記制御部が、上記回転駆動部による上記印刷胴の回転駆動を開始させるに先立って、上記第1引張機構を上記弛緩状態から上記引張状態に切り換える、付記8から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0136】
[付記12]
上記第2引張機構が、上記胴本体に対して上記第1側端部を移動不能となるように保持する第3保持部と、上記胴本体に対して上記第2側端部を移動可能となるように保持する第4保持部とを有する、付記1から11のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0137】
[付記13]
上記第4保持部が、上記第2側端部を上記第1側端部から遠ざける方向に向けて弾性付勢する第2弾性体を含んでいる、付記12に記載のインクジェット記録装置。
【0138】
[付記14]
上記印刷胴には、上記第2引張機構が複数設けられ、
上記複数の第2引張機構のうちの1つによる上記非金属製シートの引張方向が、上記複数の第2引張機構のうちの他の1つによる上記非金属製シートの引張方向と交差している、付記1から13のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0139】
[付記15]
上記非金属製シートが、ゴム製である、付記1から14のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0140】
<J.その他の形態等>
上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0141】
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当然に相互に組み合わせることができる。
【0142】
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0143】
1,1A~1C インクジェット記録装置、10 印刷胴、11 胴本体、11a 外周面、11b 金属製シート、11bh 貫通孔、11c ポケット部、11h 貫通孔、12 非金属製シート、12a 前端部、12b 後端部、12c 第1側端部、12d 第2側端部、12h 貫通孔、20 インクジェットヘッド、30 ヒータ、40 搬送胴、50 給紙部、51 給紙トレイ、52 搬送ベルト、60 排紙部、61 排紙トレイ、62 搬送ベルト、71 第1補助ヒータ、72 第2補助ヒータ、80 検知部、90 制御部、100,100C 第1引張機構、200,200A~200C 第2引張機構、110 第1保持部、111 挟み込み部材、112 押さえ部材、113 ボルト、120,120C 第2保持部、121 挟み込み部材、122 押さえ部材、123 回転部材、123a 第1部分、123b 第2部分、124 回転駆動機構、124a 第1ギヤ、124b 第2ギヤ、125 ボルト、126 第1弾性体、210,210B 第3保持部、211 挟み込み部材、211a 貫通孔、212 ボルト、220,220A~220C 第4保持部、221 挟み込み部材、221a 貫通孔、222 押さえ部材、223 回転部材、223b 第2部分、224 回転駆動機構、224a 第1ギヤ、224b 第2ギヤ、225 ボルト、300 固着インク、S 記録媒体。