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特開2024-125802光コネクタ、保持部材、および光コネクタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125802
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】光コネクタ、保持部材、および光コネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
G02B6/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033878
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】ドアン ヴァン トウ
(72)【発明者】
【氏名】井崎 学
(72)【発明者】
【氏名】吉村 一也
【テーマコード(参考)】
2H036
【Fターム(参考)】
2H036KA02
2H036QA03
2H036QA33
2H036QA56
(57)【要約】
【課題】光ケーブルを強固に保持することができる光コネクタを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る光コネクタは、光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線と接続される光ファイバ接続部を備えた光コネクタである。光コネクタは、光ケーブルの外被を固定する外被固定部を備える。外被固定部は、光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線が挿入されるとともに、光ファイバ心線に対して移動可能とされたチューブを保持する保持空間を有するホルダと、ホルダに保持されたチューブを押さえる蓋部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線と接続される光ファイバ接続部を備えた光コネクタであって、
前記光ケーブルの外被を固定する外被固定部を備え、
前記外被固定部は、
前記光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線が挿入されるとともに、前記光ファイバ心線に対して移動可能とされたチューブを保持する保持空間を有するホルダと、
前記ホルダに保持された前記チューブを押さえる蓋部と、
を備える、
光コネクタ。
【請求項2】
前記蓋部は、前記ホルダに開閉可能に取り付けられており、
前記蓋部は、閉じられたときに前記チューブを押さえる、
請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記ホルダは、前記チューブを挟み込んで保持する複数の突起を有する、
請求項1または請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記ホルダは、前記ホルダの幅方向に沿って並ぶ一対の前記突起を含む複数の組を有し、
複数の前記組が前記チューブの延在方向に沿って並んでいる、
請求項3に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記蓋部は、前記チューブを押さえる複数の凸部を有し、
前記蓋部が前記保持空間の一部を塞いだ状態で、
複数の前記凸部が前記チューブの延在方向に沿って並んでいる、
請求項1または請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記蓋部は、前記チューブを押さえる複数の凸部を有し、
前記蓋部が前記保持空間の一部を塞いだ状態で、
前記ホルダの前記突起の前記組と前記凸部とが、前記チューブの延在方向に沿って交互に並んでいる、
請求項4に記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記チューブがシリコーンによって構成されている、
請求項1または請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項8】
前記チューブの長さは、前記光ファイバ心線における前記外被から延び出している部分の長さよりも短い、
請求項1または請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項9】
光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線を保持する保持部材であって、
前記光ファイバ心線が挿入されるとともに前記光ファイバ心線に対して移動可能とされたチューブを保持するホルダと、
前記ホルダに保持された前記チューブを押さえる蓋部と、
を備える、
保持部材。
【請求項10】
光ケーブルの外被から光ファイバ心線が延び出すように前記外被を剥ぐ工程と、
前記外被から延び出す前記光ファイバ心線をチューブに通す工程と、
前記光ファイバ心線が挿入された前記チューブをホルダが保持する工程と、
前記ホルダに保持された前記チューブを蓋部が押さえる工程と、
を備える、
光コネクタの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光コネクタ、保持部材、および光コネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コネクタ本体と、コネクタ本体に組み込まれた光ファイバ接続部とを備えた光コネクタが記載されている。光ファイバ接続部は、コネクタ本体に組み込まれる。光ファイバ接続部は、光ケーブルの光ファイバと接続される内蔵ファイバを有する。光ファイバ接続部は、内蔵ファイバを保持するフェル-ルと、内蔵ファイバおよび光ファイバを互いに接続するメカニカルスプライスとを含む。
【0003】
コネクタ本体は、光コネクタの長手方向に沿って延びるプラグフレームと、プラグフレームを覆うリアカバーと、プラグフレームおよびリアカバーの間に収容される外被固定部とを備える。光ファイバの外被が外被固定部に固定されている。光ケーブルの光ファイバは、外被固定部からプラグフレームの内部空間を通ってメカニカルスプライスの内部にまで延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2022/050222号
【発明の概要】
【0005】
本開示に係る光コネクタは、光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線と接続される光ファイバ接続部を備えた光コネクタである。光コネクタは、光ケーブルの外被を固定する外被固定部を備える。外被固定部は、光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線が挿入されるとともに、光ファイバ心線に対して移動可能とされたチューブを保持する保持空間を有するホルダと、ホルダに保持されたチューブを押さえる蓋部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、一実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る光コネクタの保持部材を示す側面図である。
図3図3は、一実施形態に係る光コネクタを図2とは異なる方向から見た側面図である。
図4図4は、一実施形態に係る保持部材のホルダを示す斜視図である。
図5図5は、一実施形態に係る保持部材の蓋部を示す斜視図である。
図6図6は、図2のA-A線断面図である。
図7図7は、図3のB-B線断面図である。
図8図8は、一実施形態に係る光コネクタの製造方法の一工程を示す図である。
図9図9は、一実施形態に係る光コネクタの製造方法の一工程を示す図である。
図10図10は、一実施形態に係る光コネクタの製造方法の一工程を示す図である。
図11図11は、一実施形態に係る光コネクタの製造方法の一工程を示す図である。
図12図12は、一実施形態に係る光コネクタの製造方法の一工程を示す図である。
図13図13は、一実施形態に係る光コネクタの製造方法の一工程を示す図である。
図14図14は、一実施形態に係る光コネクタの製造方法の一工程を示す図である。
図15図15は、一実施形態に係る光コネクタの製造方法の一工程を示す図である。
図16図16は、一実施形態に係る光コネクタの製造方法の一工程を示す図である。
図17図17は、ホルダの一対の突起の間に形成された溝の幅と、光ファイバ心線に対する保持力との関係の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
光コネクタが取り付けられる光ケーブルとして、外被に対して光ファイバ心線が移動するものが知られている。この種のケーブルでは、外被に対して光ファイバ心線が固定されていない。従来の外被固定部によってこの種のケーブルの外被が光コネクタに固定される場合、外被に対して光ファイバ心線が移動して光接続に影響が生じる可能性がある。よって、外被に対して光ファイバ心線が移動する光ケーブルにおいて、光コネクタに対して光ファイバ心線が移動しないように光ケーブルを強固に保持できることが求められうる。
【0008】
[本開示の効果]
本開示によれば、光ケーブルを強固に保持することができる。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態を列記して説明する。一実施形態に係る光コネクタは、(1)光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線と接続される光ファイバ接続部を備えた光コネクタである。光コネクタは、光ケーブルの外被を固定する外被固定部を備える。外被固定部は、光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線が挿入されるとともに、光ファイバ心線に対して移動可能とされたチューブを保持する保持空間を有するホルダと、ホルダに保持されたチューブを押さえる蓋部と、を備える。
【0010】
この光コネクタは光ファイバ接続部を備え、光ファイバ接続部は光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線と接続される。光コネクタは外被固定部を備え、外被固定部によって光ケーブルの外被が固定される。光ファイバ心線における外被から延び出す部分がチューブに挿入され、このチューブが外被固定部のホルダに保持される。ホルダはチューブを介して光ファイバ心線を保持するので、ホルダによる保持力はチューブを介して光ファイバ心線に伝達する。このホルダの保持力によってチューブを介して光ファイバ心線を強固に保持することができる。さらに、ホルダに保持されたチューブは蓋部によって押さえられる。したがって、光ファイバ心線が挿入されたチューブを押さえつけることによって光ファイバ心線をより強固に保持できる。よって、外被に対する光ファイバ心線の移動を抑制して光ケーブルを強固に保持することができる。
【0011】
(2)上記(1)において、蓋部は、ホルダに開閉可能に取り付けられていてもよく、蓋部は、閉じられたときにチューブを押さえてもよい。この場合、ホルダに取り付けられた蓋部が閉じられることによってチューブを押さえることができるので、チューブを介した光ファイバ心線の保持を容易に行うことができる。
【0012】
(3)上記(1)または(2)において、ホルダは、チューブを挟み込んで保持する複数の突起を有してもよい。この場合、複数の突起の間にチューブを挟み込むことによってチューブを保持することができるので、光ファイバ心線が挿入されたチューブの保持を強固に、かつ容易に行うことができる。
【0013】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、ホルダは、ホルダの幅方向に沿って並ぶ一対の突起を含む複数の組を有してもよく、複数の組がチューブの延在方向に沿って並んでいてもよい。この場合、チューブを挟む一対の突起の組がチューブの延在方向に沿って並ぶので、光ファイバ心線が挿入されたチューブを一層強固に保持できる。
【0014】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、蓋部は、チューブを押さえる複数の凸部を有してもよく、蓋部が保持空間の一部を塞いだ状態で複数の凸部がチューブの延在方向に沿って並んでいてもよい。この場合、チューブを押さえる複数の凸部が蓋部に設けられることにより、複数の凸部によって光ファイバ心線が挿入されたチューブを一層強固に保持することができる。
【0015】
(6)上記(4)において、蓋部は、チューブを押さえる複数の凸部を有してもよく、蓋部が保持空間の一部を塞いだ状態で、ホルダの突起の組と凸部とがチューブの延在方向に沿って交互に並んでいてもよい。この場合、ホルダの一対の突起と蓋部の凸部とが交互に並ぶので、光ファイバ心線が挿入されたチューブをより強固に保持することができる。
【0016】
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、チューブがシリコーンによって構成されていてもよい。この場合、チューブが高い柔軟性を有することにより、チューブから光ファイバ心線に保持力を伝えやすくすることができる。したがって、光ファイバ心線を一層強固に保持することができる。
【0017】
(8)上記(1)から(7)のいずれかにおいて、チューブの長さは、光ファイバ心線における外被から延び出している部分の長さよりも短くてもよい。この場合、チューブの長さを光ファイバ心線を保持できる必要最小限の長さにすることができる。
【0018】
本開示に係る保持部材は、(9)光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線を保持する保持部材である。保持部材は、光ファイバ心線が挿入されるとともに光ファイバ心線に対して移動可能とされたチューブを保持するホルダと、ホルダに保持されたチューブを押さえる蓋部と、を備える。
【0019】
本開示に係る光コネクタの製造方法は、(10)光ケーブルの外被から光ファイバ心線が延び出すように外被を剥ぐ工程と、外被から延び出す光ファイバ心線をチューブに通す工程と、光ファイバ心線が挿入されたチューブをホルダが保持する工程と、ホルダに保持されたチューブを蓋部が押さえる工程と、を備える。
【0020】
上記の保持部材、および光コネクタの製造方法では、光ケーブルの外被から延び出す光ファイバ心線における外被から延び出す部分がチューブに挿入され、このチューブがホルダに保持される。ホルダはチューブを介して光ファイバ心線を保持するので、ホルダによる保持力はチューブを介して光ファイバ心線に伝達する。したがって、ホルダの保持力によってチューブを介して光ファイバ心線を強固に保持することができる。さらに、ホルダに保持されたチューブは蓋部によって押さえられる。したがって、前述した光コネクタと同様、光ファイバ心線が挿入されたチューブをより強固に保持することができるので、外被に対する光ファイバ心線の移動を抑制して光ケーブルを強固に保持することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下では、図面を参照しながら実施形態に係る光コネクタ、保持部材、および光コネクタの製造方法の具体例について説明する。図面の説明において同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化または誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0022】
図1は、実施形態に係る一例としての光コネクタ1を示す斜視図である。図1に示される光コネクタ1は、例えば、コネクタ本体2と、コネクタ本体2に組み込まれる光ファイバ接続部3とを有する。光コネクタ1は、例えば、光ケーブルCに沿って延びる長尺状とされている。コネクタ本体2は、例えば、光ケーブルCの延在方向である第1方向D1に沿って延びるプラグフレーム4を有する。
【0023】
一例として、光コネクタ1は、現場設置型の光コネクタである。例えば、接続作業の現場において光コネクタ1は光ケーブルCに取り付けられる。光ケーブルCは、光ファイバ心線C1と、光ファイバ心線C1を被覆する外被C2と、外被C2の内部において光ファイバ心線C1を覆う抗張力繊維C3(図8参照)とを有する。光ケーブルCは、例えば、外被C2に対して光ファイバ心線C1が移動する。光ケーブルCでは、外被C2に対して光ファイバ心線C1が固定されていない。
【0024】
コネクタ本体2は、光ケーブルCの外被C2を固定する外被固定部10を有する。図2は、外被固定部10を拡大した側面図である。図3は、図2とは異なる方向から見た外被固定部10の側面図である。図2および図3に示されるように、外被固定部10は、外被C2が入り込む孔21を有する筒状部材20と、外被C2から延び出す光ファイバ心線C1を保持するホルダ30と、ホルダ30に取り付けられた蓋部40とを備える。ホルダ30は、光ファイバ心線C1に対して移動可能とされたチューブ5(図9参照)を保持する。チューブ5には外被C2から延び出す光ファイバ心線C1が挿入される。蓋部40は、ホルダ30に保持されたチューブ5を押さえる。
【0025】
図4は、ホルダ30を示す斜視図である。図2図3および図4に示されるように、ホルダ30は、筒状部材20の孔21に挿入される挿入部31を有する。挿入部31は、外被C2を押さえつけるアーム部32と、筒状部材20が固定される部位である雄ネジ33とを有する。ホルダ30は、複数のアーム部32を有する。複数のアーム部32に囲まれた空間には、外被C2が入り込む外被挿入空間32cが形成されている。複数のアーム部32は、ホルダ30に対して筒状部材20が回転する方向である回転方向D4に沿って並んでいる。アーム部32の数は一例として4である。アーム部32は、外被C2に食い込む爪部32bを有する。例えば、アーム部32は、第1方向D1に沿って並ぶ複数の爪部32bを有する。
【0026】
筒状部材20は、孔21を画成する筒状部材20の内面に、ホルダ30の雄ネジ33にねじ込まれる雌ネジ22(図6参照)を有する。ホルダ30の外被挿入空間32cに外被C2が挿入され、かつ、ホルダ30の挿入部31が筒状部材20の孔21に挿入された状態で筒状部材20の雌ネジ22が雄ネジ33にねじ込まれることにより、複数のアーム部32が内側に撓む。複数のアーム部32が内側に撓むと、各アーム部32の爪部32bが外被C2に食い込むことにより、ホルダ30に外被C2が保持される。
【0027】
光コネクタ1は、光ケーブルCの光ファイバ心線C1が通されたチューブ5を保持する保持部材50を有する。保持部材50は、前述したホルダ30と、ホルダ30に保持されたチューブ5を押さえる蓋部40とを備える。図5は、蓋部40を示す斜視図である。ホルダ30は、チューブ5を挟み込んで保持する複数の突起34を有する。蓋部40は、チューブ5を押さえる複数の凸部41を有する。
【0028】
例えば、ホルダ30は、チューブ5を保持する保持空間35を有する。ホルダ30は、第1方向D1に交差する方向である第2方向D2に沿って並ぶ一対の側壁36と、一対の側壁36の間において第1方向D1および第2方向D2の双方に延在する底壁37とを有し、第3方向D3において底壁37と対向する側は開放されている。一対の側壁36および底壁37によってホルダ30の保持空間35が画成されている。突起34は、側壁36から保持空間35に突出している。第2方向D2に沿って並ぶ一対の突起34の間にチューブ5が挟み込まれることによって、チューブ5がホルダ30に保持される。
【0029】
ホルダ30は、ホルダ30の幅方向である第2方向D2に沿って並ぶ一対の突起34を含む複数の組Kを有し、複数の組Kはチューブ5の延在方向である第1方向D1に沿って並んでいる。一対の突起34によって構成される複数の組Kが第1方向D1に沿って並んでおり、各組Kにおいて一対の突起34の間にチューブ5が挟み込まれる。一対の突起34の間に形成された空間は、チューブ5が挟み込まれる溝34Aとされている。溝34Aにチューブ5が押し込まれて一対の突起34の間にチューブ5が挟み込まれることにより、保持空間35においてチューブ5を強固に保持することが可能である。
【0030】
蓋部40は、ホルダ30に開閉可能に取り付けられる。例えば、蓋部40は、第1方向D1および第2方向D2の双方に延在するベース部42と、ベース部42から突出するとともに第2方向D2に沿って並ぶ一対の軸部43とを有する。図5では、2つの軸部43のうちの1つの図示を省略している。ホルダ30は、各側壁36を貫通するとともに第2方向D2に沿って並ぶ一対の貫通孔38を有する。各貫通孔38に各軸部43が挿入されることにより、蓋部40はホルダ30に対して開閉可能に取り付けられる。蓋部40が閉じられると、底壁37と第3方向D3で対向する側の保持空間35の一部が蓋部40によって塞がれる。
【0031】
凸部41は、ベース部42から第1方向D1および第2方向D2の双方に交差する方向である第3方向D3に突出している。第3方向D3は、ホルダ30に対して蓋部40が閉じる方向である。蓋部40は複数の凸部41を有し、複数の凸部41は第1方向D1に沿って並んでいる。蓋部40が閉じられると、すなわち保持空間35の一部が蓋部40によって塞がれると、凸部41は、ホルダ30において一対の突起34の間に挟み込まれたチューブ5を第3方向D3に押さえ込む。したがって、ホルダ30の保持空間35においてチューブ5を一層強固に保持することが可能である。
【0032】
ホルダ30は、各側壁36の上端から窪むとともに第2方向D2に沿って並ぶ一対の凹部39を有する。蓋部40は、ベース部42から突出するとともに第2方向D2に沿って並ぶ一対の突出部44を有する。一対の突出部44は、蓋部40が閉じられた状態において一対の凹部39に載せられる。蓋部40が閉じられた状態において、一対の突出部44は一対の側壁36よりも外側に張り出している。この突出部44を指で操作することにより、ホルダ30に対する蓋部40の開閉を指で容易に行うことができる。
【0033】
蓋部40は、ホルダ30に対して閉じられたとき、すなわち、保持空間35の一部を塞いだときにチューブ5を押さえる。図6は、図2のA-A線断面図である。図7は、図3のB-B線断面図である。図6および図7に示す例では、ホルダ30における突起34の組Kと蓋部40の凸部41とはチューブ5の延在方向である第1方向D1に沿って交互に並んでいる。チューブ5を第2方向D2に押さえる突起34の組Kと、チューブ5を第3方向D3に押さえる凸部41とが第1方向D1に沿って並ぶことにより、チューブ5を一層強固に保持することが可能である。一対の突起34の間に形成された溝34Aの幅W(第2方向D2の長さ)は、例えば、0.25mmより大きく、かつ0.5mm以下である。
【0034】
次に、本実施形態に係る光コネクタの製造方法の具体例について説明する。以下では、光コネクタ1を組み立てる方法について説明する。まず、図8および図9に示されるように、光ケーブルCの端部から外被C2を剥ぎ、当該端部において光ファイバ心線C1および抗張力繊維C3を露出させる(外被を剥ぐ工程)。そして、露出させた光ファイバ心線C1をチューブ5に挿通させる(光ファイバ心線をチューブに通す工程)。なお、光ケーブルCは予め筒状部材20(図12参照)に通しておく。
【0035】
チューブ5の長さは、光ファイバ心線C1における外被C2から露出している部分の長さよりも短い。チューブ5の長さは適宜変更可能である。光ファイバ心線C1が挿通されたチューブ5は、例えば、外被C2が除去された光ケーブルCの端面C4に対向する。チューブ5は、外力を受けたときに撓む程度の柔軟性を有する柔軟性材料によって構成されている。例えば、チューブ5はシリコーンによって構成されている。例えば、光ファイバ心線C1の外径は0.25mmであり、チューブ5の外径は0.9mmである。チューブ5の内径は0.6mm程度である。但し、光ファイバ心線C1の外径、チューブ5の外径および内径の値は、特に限定されない。
【0036】
チューブ5に光ファイバ心線C1を挿入した後には、図10および図11に示されるように、保持部材50のホルダ30に、光ファイバ心線C1、チューブ5および外被C2の一部を挿入する。光ファイバ心線C1およびチューブ5はホルダ30の内部に通されて、外被C2の一部はホルダ30の外被挿入空間32cに入り込む。このとき、チューブ5が第2方向D2に沿って並ぶ一対の突起34の間に通されて、第1方向D1に沿って並ぶ突起34の複数の組Kによってチューブ5が保持される(チューブをホルダが保持する工程)。なお、保持部材50では、予め蓋部40がホルダ30に開閉可能に取り付けられている。ホルダ30に光ファイバ心線C1、チューブ5および外被C2の一部を挿入した後には、外部に露出する抗張力繊維C3を除去する。
【0037】
次に、図11および図12に示されるように、ホルダ30を筒状部材20によって締め付ける。より具体的には、ホルダ30の雄ネジ33に筒状部材20の雌ネジ22をねじ込んで、複数のアーム部32を内側に撓ませて複数の爪部32bを外被C2に食い込ませる。アーム部32の複数の爪部32bが外被C2に食い込むことにより、ホルダ30によって外被C2が強固に保持される。
【0038】
続いて、図12および図13に示されるように、ホルダ30に蓋部40を倒して蓋部40を閉じることによってチューブ5を押さえる(チューブを蓋部が押さえる工程)。より具体的には、第2方向D2に沿って延びる一対の軸部43を通る軸線Lを中心として蓋部40を倒すと、一対の突起34の間に挟み込まれているチューブ5を複数の凸部41が第3方向D3に押さえつける。これにより、チューブ5は突起34および凸部41によって強固に保持されて、チューブ5を介して光ファイバ心線C1が強固に保持されることとなるので、チューブ5に対する光ファイバ心線C1の移動が抑制される。以上の工程を経て外被固定部10の組み立てが完了する。
【0039】
次に、図14に示されるように、光ファイバ心線C1を切断するカットスペーサ6に外被固定部10および光ケーブルCを設置する。このとき、カットスペーサ6の溝6bにホルダ30から突出する光ファイバ心線C1の部分を挿入する。そして、当該光ファイバ心線C1の部分が所定の長さとなるように光ファイバカッタ(不図示)によって光ファイバ心線C1を切断する。
【0040】
その後、図15および図16に示されるように、外被固定部10および光ケーブルCをプラグフレーム4に移動させ、プラグフレーム4に外被固定部10および光ケーブルCを取り付けて光ファイバ心線C1をコネクタ本体2の内部に組み込まれた光ファイバ接続部3に接続する。なお、コネクタ本体2の内部には内部ファイバが配置されており、この内部ファイバに光ファイバ心線C1が接続される。光ファイバ心線C1の接続には光ファイバ接続治具60が用いられる。コネクタ本体2の内部には光ファイバ心線C1が配置される光ファイバ配置空間が形成されており、コネクタ本体2に光ファイバ接続治具60が装着された状態では当該光ファイバ配置空間が広げられている。
【0041】
コネクタ本体2はプラグフレーム4を覆うリアカバー7を有し、光ファイバ心線C1が接続される前にリアカバー7はプラグフレーム4に対して開いた状態とされている。前述した内部ファイバに接続されるときに、光ファイバ心線C1はプラグフレーム4の内部において撓められながらコネクタ本体2の前述した光ファイバ配置空間に挿入されて内部ファイバに接続される。この接続作業は、光ファイバ心線C1の撓みの状態を確認しながら行われる。内部ファイバへの光ファイバ心線C1の接続を行った後には、リアカバー7を回動させてプラグフレーム4をリアカバー7によって覆う。そして、光ファイバ接続治具60がコネクタ本体2から外される。光ファイバ接続治具60がコネクタ本体2から外されると、内部ファイバに光ファイバ心線C1が接続された状態で光ファイバ配置空間が閉じ、光ファイバ接続部3において内部ファイバに光ファイバ心線C1が接続された状態となる。その後、一連の工程が完了する。
【0042】
次に、本実施形態に係る光コネクタ1、保持部材50、および光コネクタの製造方法から得られる作用効果について説明する。光コネクタ1は光ファイバ接続部3を備え、光ファイバ接続部3は光ケーブルCの外被C2から延び出す光ファイバ心線C1と接続される。光コネクタ1は外被固定部10を備え、外被固定部10によって光ケーブルCの外被C2が固定される。
【0043】
光コネクタ1、保持部材50、および本実施形態に係る光コネクタの製造方法では、光ファイバ心線C1における外被C2から延び出す部分がチューブ5に挿入され、チューブ5が外被固定部10のホルダ30に保持される。ホルダ30はチューブ5を介して光ファイバ心線C1を保持するので、ホルダ30による保持力はチューブ5を介して光ファイバ心線C1に伝達する。ホルダ30の保持力によってチューブ5を介して光ファイバ心線C1を強固に保持することができる。さらに、ホルダ30に保持されたチューブ5は蓋部40によって押さえられる。したがって、光ファイバ心線C1が挿入されたチューブ5を押さえつけることによって光ファイバ心線C1をより強固に保持できる。よって、外被C2に対する光ファイバ心線C1の移動を抑制して光ケーブルCを強固に保持することができる。
【0044】
図17は、一対の突起34の間に形成された溝34Aの幅Wと光ファイバ保持力との関係の例を示すグラフである。図17において、実施例1はヤング率が50MPaであるチューブ5を用いた場合を示しており、実施例2はヤング率が500MPaであるチューブ5を用いた場合を示している。光ファイバ保持力は、光ファイバ心線C1が挿入されたチューブ5を溝34Aに挟み込み、溝34Aに挟み込まれたチューブ5を第1方向D1に沿って引っ張ったときにおけるチューブ5の保持力を示している。
【0045】
図17に示されるように、ヤング率が50MPaである実施例1では、溝34Aの幅Wが0.35mm以下であるときに3.5N以上の光ファイバ保持力を得られる。このように、ヤング率が低い材料によって構成されたチューブ5を用いて、かつ溝34Aの幅Wが0.25mmに近い場合に特に高い光ファイバ保持力を得られることが分かった。例えばチューブ5の外径が0.9mmである場合には、溝34Aの幅Wがチューブ5の外径の40%(0.36mm)以下であって、かつ0.25mmより大きい場合に特に高い光ファイバ保持力を得られることが分かった。
【0046】
前述したように、蓋部40は、ホルダ30に開閉可能に取り付けられていてもよく、蓋部40は、閉じられたときにチューブ5を押さえてもよい。この場合、ホルダ30に取り付けられた蓋部40が閉じられることによってチューブ5を押さえることができるので、チューブ5を介した光ファイバ心線C1の保持を容易に行うことができる。
【0047】
蓋部40は、ホルダ30に取り外し可能に取り付けられていてもよい。蓋部40は、ホルダ30に取り付けられたときに保持空間35の一部を塞ぎ、チューブ5を押さえてもよい。
【0048】
前述したように、ホルダ30は、チューブ5を挟み込んで保持する複数の突起34を有してもよい。この場合、複数の突起34の間にチューブ5を挟み込むことによってホルダ30にチューブ5を保持することができるので、光ファイバ心線C1が挿入されたチューブ5の保持を強固に、かつ容易に行うことができる。
【0049】
前述したように、ホルダ30は、ホルダ30の幅方向に沿って並ぶ一対の突起34を含む複数の組Kを有してもよく、複数の組Kがチューブ5の延在方向に沿って並んでいてもよい。この場合、チューブ5を挟む一対の突起34の組Kがチューブ5の延在方向に沿って並ぶので、光ファイバ心線C1が挿入されたチューブ5を一層強固に保持できる。
【0050】
前述したように、蓋部40は、チューブ5を押さえる複数の凸部41を有してもよく、保持空間35の一部を塞いだ状態において複数の凸部41がチューブ5の延在方向に沿って並んでいてもよい。この場合、チューブ5を押さえる複数の凸部41が蓋部40に設けられることにより、複数の凸部41によって光ファイバ心線C1が挿入されたチューブ5を一層強固に保持することができる。
【0051】
前述したように、蓋部40は、チューブ5を押さえる複数の凸部41を有してもよく、保持空間35の一部を塞いだ状態において、ホルダ30の突起34の組Kと凸部41とがチューブ5の延在方向に沿って交互に並んでいてもよい。この場合、ホルダ30の一対の突起34と蓋部40の凸部41とが交互に並ぶので、光ファイバ心線C1が挿入されたチューブ5をより強固に保持することができる。
【0052】
前述したように、チューブ5がシリコーンによって構成されていてもよい。この場合、チューブ5が高い柔軟性を有することにより、チューブ5から光ファイバ心線C1に保持力を伝えやすくすることができる。したがって、光ファイバ心線C1を一層強固に保持することができる。
【0053】
前述したように、チューブ5の長さは、光ファイバ心線C1における外被C2から延び出している部分の長さよりも短くてもよい。この場合、チューブ5の長さを光ファイバ心線C1を保持できる必要最小限の長さにすることができる。
【0054】
以上、本開示に係る光コネクタ、保持部材、および光コネクタの製造方法の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、前述した実施形態に限定されない。すなわち、本発明が特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において種々の変形及び変更が可能であることは当業者によって容易に理解される。例えば、光コネクタおよび保持部材の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様、ならびに、光コネクタの製造方法の工程の内容及び順序は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。例えば、前述の実施形態では、現場設置型の光コネクタである光コネクタ1について説明した。しかしながら、本開示に係る光コネクタ、保持部材、および光コネクタの製造方法が適用される光コネクタの種類は、例えばSCコネクタであってもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0055】
1…光コネクタ
2…コネクタ本体
3…光ファイバ接続部
4…プラグフレーム
5…チューブ
6…カットスペーサ
6b…溝
7…リアカバー
10…外被固定部
20…筒状部材
21…孔
30…ホルダ
31…挿入部
32…アーム部
32b…爪部
32c…外被挿入空間
33…雄ネジ
34…突起
34A…溝
35…保持空間
36…側壁
37…底壁
38…貫通孔
39…凹部
40…蓋部
41…凸部
42…ベース部
43…軸部
44…突出部
50…保持部材
60…光ファイバ接続治具
C…光ケーブル
C1…光ファイバ心線
C2…外被
C3…抗張力繊維
C4…端面
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
D4…回転方向
K…組
L…軸線
W…幅

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17