(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125821
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】クランプ装置、及び、クランプ装置を使用した遊具
(51)【国際特許分類】
F16B 2/08 20060101AFI20240911BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20240911BHJP
A63B 17/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
F16B2/08 F
F16B7/04 301U
F16B7/04 301G
A63B17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033903
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】315010938
【氏名又は名称】クレオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】平岡 正人
【テーマコード(参考)】
3J022
3J039
【Fターム(参考)】
3J022EA32
3J022EA37
3J022EB12
3J022EB14
3J022EC12
3J022EC17
3J022EC22
3J022ED22
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022FB22
3J022GA03
3J022GA12
3J022GB42
3J039AA06
3J039BB01
3J039CA02
(57)【要約】
【課題】孔などを加工することなく遊具構成体を支柱に取付けることができるクランプ装置、及び、クランプ装置を使用した遊具を提供する。
【解決手段】支柱に対象物としての遊具構成体を取付けるための第一部材11を具備するクランプ装置であり、第一部材11に、半円環状の本体部11aと、本体部11aの両端それぞれにおいて穿設されている固定孔11gと、本体部11aの外周面に凹設されておりその内部で固定孔11gが開口している収容凹部11fと、本体部11aから外方へ延出している取付片11hと、取付片11hにおいて中心軸線と直交している方向に凹んでいる凹部11iと、凹部11iの底面に穿設されている貫通孔11jと、を具備させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周が円形の支柱に対象物を取付けるための第一部材を具備しているクランプ装置であり、
前記第一部材は、
所定方向へ延びている中心軸線を中心とした半円環状で、両側の端面をそれぞれ延長した面が前記中心軸線と平行な同一面上にある本体部と、
該本体部の両端それぞれにおいて前記端面から垂直な方向へ穿設されている固定孔と、
前記本体部の外周面に凹設されており、その内部で前記固定孔が開口している収容凹部と、
前記本体部から外方へ延出している取付片と、
該取付片において、前記中心軸線と直交している方向に凹んでいる凹部と、
該凹部の底面に穿設されている貫通孔と
を有していることを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
前記第一部材と対になる第二部材を更に具備しており、
該第二部材は、
前記中心軸線を中心とした半円環状で、両側の端面をそれぞれ延長した面が前記中心軸線と平行な同一面上にある第二本体部と、
該第二本体部の両端それぞれにおいて前記端面から垂直な方向へ穿設されている第二固定孔と、
前記第二本体部の外周面に凹設されており、その内部で前記第二固定孔が開口している第二収容凹部と
を有していることを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のクランプ装置を使用した遊具であり、
前記凹部に挿入されている取付挿入部を有する遊具構成体を、
具備していることを特徴とするクランプ装置を使用した遊具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ装置、及び、クランプ装置を使用した遊具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊具として、複数の棒状の部材を溶接により組合せて構築されているものが知られている。この種の遊具として、例えば、雲梯は、梯子状に形成された遊具構成体と、遊具構成体の長手方向に対して直交する方向へ延出している複数の支柱と、から構成されている。このような雲梯を工場で製造した場合、複数の支柱が遊具構成体に対して直交する方向へ延出していることから、嵩が大きいため、公園のような設置場所への運搬が大変であった。そこで、運搬を容易にするために、遊具構成体と複数の支柱とを別々にした状態で設置場所へ運搬し、その後、設置場所において遊具構成体と複数の支柱とを溶接するようにしていた。
【0003】
しかしながら、設置場所での溶接作業は大変であった。この問題に対して、ボルトやナットを用いて遊具構成体と複数の支柱とを接合できるようにすることで、設置場所での接合作業を容易にすることが考えらえる。この場合、遊具構成体(対象物)を支柱に接合するための孔やネジ溝などを加工する必要がある。遊具構成体には、デッキ、階段、手摺、雲梯、滑り台など多数の種類があるため、これらの接合のために支柱に孔やネジ溝を加工すると、遊具構成体の配置や組合せの種類を変更するときに、加工済みの支柱をそのまま使用できない不都合がある。そこで、本発明者は、支柱に孔などを加工することなく、クランプ装置を使用して遊具構成体を支柱に取付けることを想到した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、孔などを加工することなく遊具構成体を支柱に取付けることができるクランプ装置、及び、クランプ装置を使用した遊具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明にかかるクランプ装置は、
「外周が円形の支柱に対象物を取付けるための第一部材を具備しているクランプ装置であり、
前記第一部材は、
所定方向へ延びている中心軸線を中心とした半円環状で、両側の端面をそれぞれ延長した面が前記中心軸線と平行な同一面上にある本体部と、
該本体部の両端それぞれにおいて前記端面から垂直な方向へ穿設されている固定孔と、
前記本体部の外周面に凹設されており、その内部で前記固定孔が開口している収容凹部と、
前記本体部から外方へ延出している取付片と、
該取付片において、前記中心軸線と直交している方向に凹んでいる凹部と、
該凹部の底面に穿設されている貫通孔と
を有している」ものである。
【0006】
本構成のクランプ装置は、以下のようにして支柱に固定することが可能である。例えば、二つの第一部材を用意し、支柱を間にして半円環状の内周面同士が向き合うように配置して、互いの端面同士を対面させると共に、それぞれの固定孔同士を同軸上に位置させる。この状態で、向き合っている二つの固定孔に、一方の第一部材の収容凹部からボルトを通して、他方の第一部材の収容凹部においてボルトの先端にナットを螺合させて締め付ける。これにより、二つの第一部材が支柱を挟持している状態となり、本クランプ装置が支柱に固定された状態となる。或いは、第一部材の内周面を支柱に当接させた状態で、支柱を間にした反対側からU字ボルトの両端の雄ネジ部をそれぞれ固定孔に挿通させ、収容凹部において突出させた雄ネジ部にナットを螺合して締め付ける。これによっても、第一部材とU字ボルトとが支柱を挟持している状態となり、本クランプ装置が支柱に固定された状態となる。これらのように、クランプ装置を支柱に固定した状態では、本体部の内周面が強く支柱に押し付けられるため、第一部材(クランプ装置)が支柱に対して滑り難い。
【0007】
また、本構成のクランプ装置は、第一部材から延出している取付片に凹部を設けているため、それら凹部を利用することで支柱に取付けたい対象物を取付けることが可能である。具体的には、対象物に、例えば、凹部に挿入される部分(ここでは取付挿入部と称する)を設けておく。そして、取付挿入部を凹部に挿入すると共に、反対の凹部側から貫通孔を通して取付挿入部にボルトをねじ込んで締め付けることにより、取付挿入部(対象物)を取付けることができる。
【0008】
このように、本構成のクランプ装置によれば、上記のようにすることで、支柱を挟持した状態で固定することができると共に、取付片の凹部に対象物を取付けることにより支柱に対象物を取付けることができる。これにより、例えば、工場で製造された対象物を、公園のような所定の設置場所へ運搬して設置する場合、支柱に対象物を取付けていない状態にして全体の嵩を小さくすることができるため、設置場所へ容易に運搬することが可能となる。また、本クランプ装置を支柱に挟持させて固定することにより、支柱に対象物を取付けることができるため、従来のように、設置場所において支柱に対象物を取付けるための溶接作業を行う必要はない。
【0009】
また、本構成のクランプ装置によれば、支柱を挟持することで固定することができるため、支柱に対して固定するための孔などを加工する必要はないと共に、支柱に対して任意の位置や任意の数で対象物を固定することができる。従って、例えば、支柱と対象物とで遊具を構成するような場合、支柱と対象物とを様々に組合せたり、配置を異ならせたりすることができるため、様々な種類の遊具を構築することが可能である。
【0010】
本発明にかかるクランプ装置は、上記構成に加え、
「前記第一部材と対になる第二部材を更に具備しており、
該第二部材は、
前記中心軸線を中心とした半円環状で、両側の端面をそれぞれ延長した面が前記中心軸線と平行な同一面上にある第二本体部と、
該第二本体部の両端それぞれにおいて前記端面から垂直な方向へ穿設されている第二固定孔と、
前記第二本体部の外周面に凹設されており、その内部で前記第二固定孔が開口している第二収容凹部と
を有している」ものとすることができる。
【0011】
本構成のクランプ装置によれば、第一部材と第二部材とを、支柱を間にして半円環状の内周面同士が向き合うように配置して、互いの端面同士を対面させると共に、固定孔と第二固定孔とを同軸上に位置させる。この状態で、向き合っている固定孔と第二固定孔にボルトを通して、収容凹部または第二収容凹部においてボルトの先端にナットを螺合させて締め付ける。これにより、第一部材と第二部材とが支柱を挟持している状態となり、本クランプ装置が支柱に固定された状態となる。そして、第一部材の凹部に対象物を取付けることで、支柱に対象物を取付けることができ、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0012】
本構成のクランプ装置は、以下のクランプ装置を使用した遊具に使用することができる。すなわち、
「前記凹部に挿入されている取付挿入部を有する遊具構成体を、具備している」ことを特徴とするクランプ装置を使用した遊具である。
【0013】
ここで、取付挿入部としては、遊具構成体と一体に設けられていても良いし、遊具構成体から分離可能に設けられていても良い。
【0014】
遊具としては、雲梯、床デッキ、鉄棒、ジャングルジム、滑り台、はん登棒、を例示することができる。
【0015】
本構成のクランプ装置を使用した遊具によれば、遊具を構成する遊具構成体に取付挿入部を設けているため、その取付挿入部をクランプ装置における第一部材の凹部に挿入して取付けると共に、クランプ装置を支柱に固定することで、クランプ装置を介して遊具構成体を支柱に取付けて遊具を構築することができ、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、孔などを加工することなく遊具構成体を支柱に取付けることができるクランプ装置、及び、クランプ装置を使用した遊具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態であるクランプ装置を使用した遊具を示す斜視図である。
【
図2】(a)は
図1のクランプ装置における第一部材の正面図であり、(b)は第一部材の右側面図であり、(c)は第一部材を右側面側から示す斜視図であり、(d)は第一部材を左側面側から示す斜視図であり、(e)は第一部材を底面側から示す斜視図である。
【
図3】(a)は
図1のクランプ装置における第二部材を正面側から示す斜視図であり、(b)は第二部材を背面側から示す斜視図である。
【
図4】
図1において拡大して示している支柱と壁パネルとの取付部分を分解して示す斜視図である。
【
図5】
図1において拡大して示している支柱と雲梯本体および補助棒との取付部分を分解して示す斜視図である。
【
図6】(a)は
図1とは異なる実施形態の遊具を示す斜視図であり、(b)は(a)の遊具においてデッキパネルを省略して示す平面図であり、(c)は(b)においてデッキを横方向へ隣接させて取付けているクランプ装置における凹部の中心で切断した断面図である。
【
図7】
図6(b)においてクランプ装置によりデッキが前後方向および横方向へ隣接して取付けている部位を分解して示す斜視図である。
【
図8】取付挿入部が分離可能に設けられている遊具構成体とクランプ装置の第一部材との関係を分解して示す斜視図である。
【
図9】(a)は
図1とは異なる実施形態のクランプ装置の第一部材および第二部材を正面側から示す斜視図であり、(b)は(a)の第一部材および第二部材を背面側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態であるクランプ装置10、及びクランプ装置10を使用した遊具1について、
図1~
図5を用いて説明する。本実施形態の遊具1は、雲梯であり、四本の支柱2と、複数(ここでは五つ)の遊具構成体3と、各遊具構成体3を支柱2に取付けている複数(ここでは12個)のクランプ装置10と、で構成されている。
【0019】
本実施形態のクランプ装置10は、第一部材11と、第二部材12と、ボルト13と、ナット14と、止ネジ15と、を有している。
【0020】
クランプ装置10の第一部材11は、
図2などに示すように、所定の中心軸線を中心とした半円環状の本体部11aと、本体部11aの中心軸線が伸びている方向(以下では単に軸方向とも称する)の両端から内方に向かって延出している一対のフランジ部11bと、一対のフランジ部11bそれぞれの先端から内方に向かって突出している複数の突起部11cと、各突起部11cの先端面に設けられている滑止部11dと、を有している。
【0021】
突起部11cは、それぞれのフランジ部11bにおいて、中心軸線を中心とした等角度の間隔で三つずつ設けられている。滑止部11dは、本体部11aの円周方向へ延びている先端が尖った複数の突条により平目状に構成されている。なお、滑止部11dとしては、複数の角錐により綾目状に構成されているものとしても良い。
【0022】
また、第一部材11は、本体部11aにおける円周方向の両端を構成している一対の端面部11eと、本体部11aの両端付近において外周面からそれぞれ凹んでいる一対の収容凹部11fと、それぞれの端面部11eから隣接している収容凹部11f内へ貫通している固定孔11gと、を有している。
【0023】
一対の端面部11eは、それぞれの仮想の延長面が同一面となるように設けられている。一対の収容凹部11fは、正面視ではU字における半円弧の部位を、それぞれ中心側へ向けて凹ませたものであり(
図2(a)を参照)、端面部11eと平行な面を有している。このU字の半円弧の半径は、ボルト13(の頭部)やナット14を充分に回転させることができる長さである。収容凹部11fは、本体部11aが半円環状であるため、端面部11eから遠ざかるほど本体部11aの外周面からの深さが浅くなっている。固定孔11gは、端面部11eに対して垂直で、収容凹部11fにおける半円弧の部位の中心線上に設けられている。
【0024】
更に、第一部材11は、本体部11aの外周面から外方へ延出している取付片11hと、取付片11hにおいて凹んでいる一対の凹部11iと、一対の凹部11i同士を繋ぐように貫通している貫通孔11jと、取付片11hの外面から凹部11i内へ貫通しており内周に雌ネジが形成されている取付ネジ孔11kと、本体部11aの外周面から内周面まで貫通しており内周に雌ネジが形成されている止ネジ孔11lと、を有している。
【0025】
取付片11hは、端面部11eを紙面に平行にした正面図において、本体部11aの中央に設けられている。取付片11hは、本体部11aの半径方向の外方へ延出していると共に、軸方向の一方側へ延出している。この取付片11hは、
図2(b)に示すように、側面視の形状が直角台形状である。
【0026】
一対の凹部11iは、取付片11hにおける本体部11aよりも軸方向外方の部位において、軸方向と直交する方向において互いが背向するように設けられている。それぞれの凹部11iは、取付片11hにおいて、一対の端面部11eに直交している面に設けられている。凹部11iは、その内周形状が、正方形と円形とを組合せた形状である。この正方形と組合されている円形は、正方形の中央を中心とし、その直径は正方形の一辺の長さよりも長く、正方形の対角線の長さよりも短い。
【0027】
貫通孔11jは、一対の凹部11iの底面同士を繋ぐように、凹部11iの中心軸上に穿設されている。取付ネジ孔11kは、取付片11hの外面における軸方向を向いている面から凹部11iの内部へ貫通しており、一対の凹部11iそれぞれに対して設けられている。止ネジ孔11lは、中心軸線へ向かうように本体部11aを貫通しており、正面視において、取付片11hよりも左方の部位に設けられている。
【0028】
クランプ装置10の第二部材12は、
図3などに示すように、所定の中心軸線を中心とした半円環状の本体部12aと、本体部12aの軸方向の両端から内方に向かって延出している一対のフランジ部12bと、一対のフランジ部12bそれぞれの先端から内方に向かって突出している複数の突起部12cと、各突起部12cの先端面に設けられている滑止部12dと、を有している。
【0029】
また、第二部材12は、本体部12aにおける円周方向の両端を構成している一対の端面部12eと、本体部12aの両端付近において外周面からそれぞれ凹んでいる一対の収容凹部12fと、それぞれの端面部12eから隣接している収容凹部12f内へ貫通している固定孔12gと、を有している。
【0030】
この第二部材12は、第一部材11の構成から取付片11hにかかる構成と、止ネジ孔11lとを除いた構成に相当し、同じ構成については詳細な説明を省略する。第二部材12において、本体部12aは本発明の第二本体部に、収容凹部12fは本発明の第二収容凹部に、固定孔12gは本発明の第二固定孔に、それぞれ相当している。
【0031】
クランプ装置10のボルト13は、六角穴付きボルトである。ナット14は、ボルト13に螺合される袋ナットである。止ネジ15は、頭部を有しない雄ネジのみからなり、端部に六角穴が設けられている、いわゆる、イモネジである。
【0032】
支柱2は、外周が円形状の丸パイプである。この支柱2の外径は、第一部材11および第二部材12の内径とほぼ同じである。
【0033】
本実施形態の遊具1における遊具構成体3は、壁パネル21、雲梯本体22、および補助棒23、の三種類があり、雲梯本体22が一つ、壁パネル21と補助棒23をそれぞれ二つ、備えている。
【0034】
壁パネル21は、棒状の一対の縦材21aと、一対の縦材21aの両端同士と中間とをそれぞれ繋いでいる三つの横材21bと、一対の縦材21aそれぞれの両端から外方へ突出している四つの取付挿入部21cと、それぞれの取付挿入部21cの先端面に設けられているネジ孔21dと、を備えている。壁パネル21は、一対の縦材21aと三つの横材21bとで、枠状に形成されており、その枠の四隅から取付挿入部21cが、枠で囲まれた面に対して垂直な方向へ突出している。取付挿入部21cの外周形状は、第一部材11における凹部11iの内周形状を構成している正方形の部分と一致する大きさの正方形である。この壁パネル21は、縦材21a、横材21b、および取付挿入部21cが、それぞれ角パイプで構成されている。
【0035】
雲梯本体22は、一対の縦材22aと、一対の縦材22aの両端同士を繋いでいる一対の端部材22bと、一対の端部材22bの間において縦材22aの長手方向へ間隔をあけて一対の縦材22a同士を繋いでいる複数の中間材22cと、を備えている。雲梯本体22は、一対の縦材22a、一対の端部材22b、および複数の中間材22cと、で梯子状に形成されている。この雲梯本体22は、一対の端部材22b、および複数の中間材22cを水平にした状態で、一対の縦材22aが上方に向かって膨らむように湾曲している。
【0036】
また、雲梯本体22は、一対の端部材22bそれぞれにおける一対の縦材22aよりも外側の部位に設けられている取付挿入部22dと、各取付挿入部22dの先端面にそれぞれ設けられているネジ孔22eと、を備えている。取付挿入部22dは、端部材22bと連続して設けられている。この取付挿入部22dの外周形状は、第一部材11における凹部11iの内周形状を構成している円形の部分と一致する大きさの円形状である。
【0037】
この雲梯本体22は、一対の縦材22a、一対の端部材22b、複数の中間材22c、および四つの取付挿入部22dが、それぞれ丸パイプで構成されている。
【0038】
補助棒23は、両端が取付挿入部23aとされている棒状の部材であり、両端面にそれぞれネジ孔23bが設けられている。補助棒23の外周形状は、第一部材11における凹部11iの内周形状を構成している円形の部分と一致する大きさの円形状である。この補助棒23は、丸パイプで構成されている。
【0039】
本実施形態の遊具1における遊具構成体3は、壁パネル21における横材21bの長手方向へ離隔している二つの取付挿入部21cの中心間距離が、雲梯本体22における同軸上に設けられている二つの取付挿入部22dの一方の先端面から他方の先端面までの距離よりも若干短い。また、補助棒23の長さは、雲梯本体22における上記二つの取付挿入部22dの一方の先端面から他方の先端面までの距離と同じである。
【0040】
因みに、本実施形態では、壁パネル21を構成している角パイプは、30mm×30mmのものである。また、雲梯本体22や補助棒23を構成している丸パイプは、外径が32mmのものである。
【0041】
次に、支柱2に対するクランプ装置10の固定について説明する。本実施形態のクランプ装置10は、第一部材11と第二部材12とで支柱2を挟持させた状態で、支柱2に固定することが可能である。詳述すると、支柱2を間にして、第一部材11と第二部材12とが、それぞれの本体部11a,12aの内周面側が互いに向き合うように配置する(
図4を参照)。そして、それぞれの端面部11e,12e同士を対面させると共に、それぞれの固定孔11g,12g同士を同軸上に位置させる。この状態で、向き合っている固定孔11g,12gにボルト13を通して、その先端にナット14を螺合させて締め付ける。これにより、第一部材11と第二部材12とが支柱2を挟持している状態となり、クランプ装置10が支柱2に固定された状態となる。
【0042】
クランプ装置10を支柱2に固定した状態では、ボルト13およびナット14の締結により、第一部材11の複数の滑止部11dと、第二部材12の複数の滑止部12dとが、それぞれ喰い込むように支柱2を押圧する。そのため、第一部材11および第二部材12それぞれが内周面の全面で支柱2の外周面に当接する場合に比べて、クランプ装置10が支柱2の長手方向(軸方向)へ移動し難い。この状態で、第一部材11の止ネジ孔11lに止ネジ15をねじ込んで締め付けると、止ネジ15の先端が喰い込むように支柱2を押圧することとなり、クランプ装置10の支柱2への固定がより強固となり、軸方向への移動が阻止されることとなる。
【0043】
また、クランプ装置10を支柱2に固定した状態では、ボルト13の頭部とナット14が、収容凹部11f,12fに収容された状態となり、それらが本体部11a,12aよりも外方へ突出することはない。そのため、何らかの外力がナット14に作用することはなく、ボルト13との締結がゆるむことが防止されている。
【0044】
また、滑止部11d,12dが突起部11c,12cの先端に設けられていることから、複数の突起部11c,12cの存在により、支柱2とフランジ部11b,12bとの間には隙間が形成されている。そのため、支柱2とフランジ部11b,12bとの間に、雨水が溜まることがない。
【0045】
このクランプ装置10は、二つの第一部材11を使用して支柱2に固定することもできる。この場合は、支柱2を間にして互いの内周面同士を向き合わせた状態にし(
図5を参照)、上記と同様の手順で支柱2に固定することができる。二つの第一部材11を使用する場合、互いの取付片11hを軸方向に対して同じ方向へ延出させて固定しても良いし、互いの取付片11hを軸方向に対して異なる方向へ延出させて固定しても良い。
【0046】
続いて、クランプ装置10への対象物としての遊具構成体3の取付けについて説明する。遊具構成体3としての壁パネル21、雲梯本体22および補助棒23において、それぞれに設けられている取付挿入部21c,22d,23aを、第一部材11の凹部11iに挿入し、取付片11hを間にして反対側から、貫通孔11jを通してネジ孔21d,22e,23bに取付ボルト4をねじ込んで締め付けることにより取付けることができる。或いは、取付挿入部21c,22d,23aが挿入されている凹部11iの取付ネジ孔11kに取付ネジ5(
図6および
図7を参照)をねじ込んで締め付けることによっても、取付けることができる。なお、第一部材11への遊具構成体3の取付けは、取付ボルト4と取付ネジ5とを併用しても良いし、何れか一方のみとしても良い。
【0047】
なお、壁パネル21のように、取付挿入部21cの外周が正方形の場合は、その外周形状が、凹部11iの内周形状を構成している正方形の部分と一致しているため、取付挿入部21cと凹部11iとの間にガタツキが生じることはないと共に、取付挿入部21cが凹部11iに対して相対回転することはない。
【0048】
一方、雲梯本体22や補助棒23のように、取付挿入部22d,23aの外周形状が円形の場合、凹部11iの内周形状を構成している円形の部分と一致しているため、取付挿入部22d,23aと凹部11iとの間にガタツキが生じることはない。この場合、取付ネジ孔11kに取付ネジ5をねじ込んで締め付けると、取付ネジ5により取付挿入部22d,23aが凹部11iの内面に押圧されるため、取付挿入部22d,23aが凹部11iに対して相対回転し難いものとなる。
【0049】
次に、クランプ装置10を使用した遊具1の構築について説明する。以下では、公園のような設置場所に設置される遊具1において、支柱2が延びている方向を上下方向と称して説明する。
【0050】
支柱2に対して同じ高さ位置に一種類の遊具構成体を取付ける場合は、第一部材11と第二部材12とを組合せたクランプ10を使用する。例えば、支柱2に壁パネル21を取付ける場合、一対の縦材21aを支柱2と平行にした状態で、第一部材11と第二部材12との組合せからなる四つのクランプ装置10を使用して二本の支柱2に取付ける。この際に、第一部材11では、各本体部11aの内周面側を壁パネル21の外方へ向けた状態にすると共に、本体部11aから取付片11hが延出している方向を同じ方向(ここでは下方)にする(
図4を参照)。ここでは、雲梯本体22の一端を支持する二本の支柱2に壁パネル21を取付けると共に、雲梯本体22の他端を支持する二本の支柱2に同様に壁パネル21を取付ける場合を例示する。
【0051】
また、支柱2に対して同じ高さ位置に二種類の遊具構成体を取付ける場合は、二つの第一部材11を組合せたクランプ10を使用する。例えば、支柱2に雲梯本体22および二つの補助棒23を取付ける場合は、二つの第一部材11の組合せからなる四つのクランプ装置10を使用して四本の支柱2に取付ける。各クランプ装置10では、一方の第一部材11には雲梯本体22の取付挿入部22dを取付け、組となる他方の第一部材11には補助棒23の取付挿入部23aを取付ける。この際に、雲梯本体22では、湾曲して膨らんでいる方向を上方へ向ける。雲梯本体22の取付挿入部22dが取付けられる第一部材11では、本体部11aの内周面側を雲梯本体22の長手方向の外方へ向けると共に、本体部11aが凹部11iよりも上方に位置するように向ける。また、補助棒23の取付挿入部23aが取付けられる第一部材11では、本体部11aが凹部11iよりも下方に位置するように向ける(
図5を参照)。
【0052】
本実施形態の遊具1では、壁パネル21よりも上方に雲梯本体22および補助棒23を取付ける。このように、複数のクランプ装置10を使用して、四本の支柱2に二つの壁パネル21、雲梯本体22、および二つの補助棒23を取付けることにより、遊具1を構築することができる。
【0053】
なお、本実施形態の遊具1では、二つの壁パネル21が、互いに向き合うように取付けている。また、支柱2に対するクランプ装置10の固定は、第一部材11に遊具構成体3を取付けてから支柱2に固定しても良いし、クランプ装置10を支柱2に固定してから第一部材11に遊具構成体3を取付けても良い。クランプ装置10を支柱2に固定する前に第一部材11に遊具構成体3を取付ける場合、その取付けは予め工場において実施しても良いし、遊具1の設置場所において実施しても良い。
【0054】
更に、遊具1を構築する際に、支柱2にクランプ装置10を使用して遊具構成体3を取付けてからその支柱2を設置場所に立設しても良いし、支柱2を設置場所に立設してからクランプ装置10を使用して遊具構成体3を支柱2に取付けても良い。
【0055】
続いて、上記とは異なる実施形態の遊具1Aについて、
図6および
図7を用いて説明する。この遊具1Aは、所定の高さに床面を有する床デッキである。なお、
図6では、デッキに上がるための階段とその手摺りの一部とを省略している。本実施形態の遊具1Aは、支柱2とクランプ装置10については上記の遊具1と同様であり、遊具構成体3のみが異なっている。以下では、構成の異なる遊具構成体3のみを説明し、同じ構成については説明を省略する。遊具1Aは、遊具構成体3として、デッキ30と、手摺35と、階段(図示は省略)と、を備えている。
【0056】
デッキ30は、枠状のデッキフレーム31と、床面を構成する平板状のデッキパネル32と、デッキフレーム31とデッキパネル32との間に設けられているスペーサ33と、を備えている。デッキフレーム31は、井桁状に組まれた四本の主フレーム31aと、井桁内において対角線上に設けられている二本の副フレーム31bと、各主フレーム31aの両端にそれぞれ設けられている取付挿入部31cと、各主フレーム31aの両端面にそれぞれ設けられているネジ孔31dと、を備えている。
【0057】
主フレーム31aの外周形状は、第一部材11における凹部11iの内周形状を構成している正方形の部分と一致する大きさの正方形である。主フレーム31aおよび副フレーム31bは、角パイプで構成されている。
【0058】
デッキパネル32は、一辺の長さがデッキフレーム31の主フレーム31aの長さよりも若干長い正方形の平板であり、四隅が円弧状に切欠かれている。四隅の円弧の半径は、支柱2の半径と同じである。このデッキパネル32は、遊具1Aを構築する前の状態では、デッキフレーム31に取付けられていない。
【0059】
スペーサ33は、主フレーム31aよりも長さが短い帯板である。スペーサ33の厚さは、上方に突出するように支柱2に取付けられた取付片11hの上端面から、取付挿入部31cが凹部11iに挿入された状態のデッキフレーム31の上面までの高さ(距離)と同じである。なお、スペーサ33の厚さは、前述の距離より大きくても良い。スペーサ33は、デッキフレーム31を構成する主フレーム31aそれぞれの上面に、互いの中央が一致する位置で取付けられている。つまり、スペーサ33の両端は、主フレーム31aの両端において、凹部11iに挿入される部分までは達していない。
【0060】
手摺35は、一方の端部付近の部位が屈曲している。手摺35は、外周形状が第一部材11における凹部11iの内周形状を構成している円形の部分と一致する大きさの円形状である。手摺35は、屈曲している部位に近い端部が挿入取付部とされていると共に、その端面にネジ孔が設けられている。この手摺35は、丸パイプで構成されている。
【0061】
次に、クランプ装置10を使用した遊具1Aの構築について説明する。この遊具1Aは、八本の支柱2と、三つのデッキ30と、二つの手摺35と、図示しない階段と、10個のクランプ装置10と、で構成されている。なお、ここでは、手摺35(階段)の延びている方向を前後方向と称すると共に、デッキ30に対して手摺35がある方を前方と称し、上下方向および前後方向と直交する方向を横方向と称して説明する。
【0062】
支柱2にデッキ30を取付ける場合は、一つのデッキ30を四本の支柱2に対して、四組のクランプ装置10を使用して取付ける。この際に、前後方向にデッキ30が隣接している部位のクランプ装置10は、二つの第一部材11の組からなるものを使用し、前後方向にデッキ30が隣接していない部位のクランプ装置10は、第一部材11と第二部材12の組からなるものを使用する。
【0063】
デッキ30と第一部材11との取付けについては、スペーサ33を上にしてデッキ30のデッキフレーム31を第一部材11に取付ける。詳述すると、デッキフレーム31を構成している四本の主フレーム31aのうち、横方向に延びている主フレーム31aの両端に設けられている取付挿入部31cを、それぞれ第一部材11の凹部11iに挿入する。この際に、第一部材11では、本体部11aの内周面側をデッキフレーム31に対して前後方向における外方へ向けると共に、本体部11aを凹部11iよりも下方に位置するように向ける。そして、横方向にデッキ30が隣接していない部位の第一部材11では、凹部11iに挿入されている取付挿入部31cを、取付ボルト4により第一部材11に取付ける。一方、横方向にデッキ30が隣接している部位の第一部材11では、凹部11iに挿入されている取付挿入部31cを、取付ネジ5により第一部材11に取付ける(
図6(c)を参照)。
【0064】
そして、前後方向にデッキ30が隣接していない部位では、支柱2を間にして反対側に第二部材12を配置し、ボルト13およびナット14を使用して支柱2に固定する。一方、前後方向にデッキ30が隣接している部位では、支柱2を間にして二つの第一部材11を配置し、ボルト13およびナット14を使用して支柱2に固定する。三つのデッキフレーム31は、同じ高さ位置に取付ける。
【0065】
クランプ装置10を使用して全てのデッキフレーム31を支柱2に取付けたら、各デッキフレーム31にデッキパネル32を載置し、図示しないビスを使用して、デッキパネル32をデッキフレーム31に取付ける。これにより、デッキ30の取付けが完了する。
【0066】
デッキ30を取付けた状態では、デッキフレーム31とデッキパネル32との間にスペーサ33が設けられているため、デッキパネル32が第一部材11の取付片11hに当接している。また、
図6(c)に示すように、デッキ30が横方向に隣接している部位では、取付ネジ5の上方には、デッキパネル32が位置しているため、何らかの理由により取付ネジ5がゆるんで上方へ移動しようとしても、デッキパネル32に阻止されて取付ネジ孔11kから抜けることはない。
【0067】
二つの手摺35は、前後方向の端部において横方向に隣接している二つの支柱2に対してそれぞれクランプ装置10を使用して取付ける。ここで使用するクランプ装置10は、第一部材11と第二部材12の組合せからなるものである。二つのクランプ装置10は、それぞれの第一部材11が互いに向き合うように、支柱2に固定すると共に、前方を向いている凹部11iに手摺35の上端の取付挿入部を挿入し、取付ボルト4により第一部材11に取付ける。これにより、二つの手摺35が取付けられた状態となる。これら手摺35は、デッキ30よりも上方に取付ける。
【0068】
なお、階段については、図示は省略するが、その上端に、横方向に離隔し後方へ延出している二つの取付挿入部を設け、それら取付挿入部とクランプ装置10とを使用して支柱2に取付けるようにしても良い。
【0069】
このように、複数のクランプ装置10を使用して、複数の支柱2にデッキ30および手摺35などを取付けることにより、遊具1Aを構築することができる。なお、ここでは、床デッキとしてデッキ30をL字状に配置したものを示したが、これに限定するものではなく、複数のデッキ30を様々に配置した床デッキを構築しても良い。
【0070】
このように、本実施形態によれば、クランプ装置10の第一部材11と第一部材11または第二部材12とで支柱2を挟持することにより、支柱2にクランプ装置10を固定することができると共に、取付片11hの凹部11iに対象物としての遊具構成体3を取付けることにより、支柱2に遊具構成体3を取付けることができる。これにより、例えば、工場で製造された遊具1,1Aを、公園のような所定の設置場所へ運搬して設置する場合、支柱2に遊具構成体3を取付けていない状態にして全体の嵩を小さくすることができるため、設置場所へ容易に運搬することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態によれば、クランプ装置10を支柱2に挟持させて固定することにより、支柱2に遊具構成体3を取付けることができるため、従来のように、設置場所において支柱2に遊具構成体を取付けるための溶接作業を行う必要はない。
【0072】
また、本実施形態によれば、クランプ装置10により支柱2を挟持することにより、支柱2に固定することができるため、支柱2に対して固定するための孔などを加工する必要はないと共に、支柱2に対して任意の位置や任意の数で遊具構成体3(対象物)を固定することができる。従って、支柱2と遊具構成体3とを様々に組合せたり、配置を異ならせたりすることができるため、様々な種類の遊具を構築することが可能である。
【0073】
更に、本実施形態によれば、クランプ装置10において、取付片11hを有する第一部材11と組合せることが可能な第二部材12を備えていると共に、その第二部材12には半円環状の本体部12aから外方へ延出する取付片を設けていないため、第一部材11と第二部材12とを組合せて使用することで、余分な突起のない遊具1,1Aなどを構築することができ、遊具の安全性を高めることができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、第一部材11における凹部11iの内周形状を、正方形と円形とを組合せた形状にしているため、凹部11iに挿入される取付挿入部の外周形状が、正方形であっても円形であってもガタツクことなく取付けることができ、汎用性の高いものとすることができる。
【0075】
更に、本実施形態によれば、クランプ装置10を支柱2に固定した状態では、第一部材11および第二部材12それぞれに設けられている複数の滑止部11d,滑止部12dが、それぞれ喰い込むように支柱2を押圧するため、第一部材11および第二部材12それぞれが内周面の全面で支柱2の外周面に当接する場合に比べて、クランプ装置10が支柱2の長手方向(軸方向)へ移動し難い。加えて、第一部材11では、止ネジ孔11lに止ネジ15をねじ込んで締め付けることにより、止ネジ15の先端が喰い込むように支柱2を押圧するため、クランプ装置10の支柱2への固定がより強固となり、軸方向への移動が阻止される。
【0076】
また、本実施形態によれば、クランプ装置10において支柱2を押圧する滑止部11d,12dを、フランジ部11b,12bから突出している複数の突起部11c,12cの先端に設けているため、支柱2とフランジ部11b,12bとの間に隙間を形成することができる。これにより、遊具1,1Aなどを構築した際に、その隙間を通して上方からの雨水などを下方へ排出させることができ、本体部11a,12aの上面に雨水などが溜まることはない。
【0077】
更に、本実施形態によれば、第一部材11において、遊具構成体3が取付けられる凹部11iを、本体部11aよりも軸方向外方の部位に設けているため、第一部材11を軸方向に対して反転させることで、本体部11aに対して凹部11iの位置を変更することができる。これにより、支柱2に対する本体部11aを固定する位置が同じであっても、凹部11iの位置、つまり、遊具構成体3の取付位置を異ならせることができるため、遊具の設計に対する自由度を高めることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、第一部材11の取付片11hにおいて、一対の凹部11iを互いに背向させていると共に、それぞれの凹部11iに取付ネジ孔11kを設けているため、取付片11hを間にして両側に遊具構成体3を取付けることができ、これによっても遊具の設計に対する自由度を高めることができる。
【0079】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0080】
例えば、上記の実施形態では、第一部材11の凹部11iに挿入されて取付けられる取付挿入部21c,22d,23a,31cとして、遊具構成体3と一体に設けられているものを示したが、これに限定するものではなく、
図8に示すように、遊具構成体3から分離可能に設けられているものとしても良い。詳述すると、
図8に示す遊具構成体3は、帯板状に延出している平棒40と、長さの短い角柱状の取付挿入部41と、を備えている。この取付挿入部41は、外周形状が第一部材11における凹部11iの内周形状を構成している正方形の部分と一致する大きさの正方形であり、長さが凹部11iの深さと同じである。取付挿入部41の中央には貫通孔41aが穿設されている。
【0081】
図8に示す遊具構成体3は、第一部材11の凹部11iに取付挿入部41を挿入すると共に、平棒40の貫通孔40a、取付挿入部41の貫通孔41a、および第一部材11の貫通孔11jを通した取付ボルト42の先端に取付ナット43を螺合して締結することにより、第一部材11に取付けることができる。これによっても、上記と同様の作用効果を奏することができる。なお、ここでは、取付ボルト42として六角穴付鍋頭ボルトを示していると共に、取付ナット43として袋ナットを示している。また、分離可能な取付挿入部41としては、長さの短い円柱状のものとしても良い。
【0082】
また、上記の実施形態では、クランプ装置10を使用した遊具1,1Aとして、雲梯や床デッキを示したが、これらに限定するものではなく、鉄棒、ジャングルジム、滑り台、はん登棒、などとしても良い。
【0083】
更に、上記の実施形態では、クランプ装置10として、第一部材11と第一部材11または第二部材12とを組合せたものを示したが、これに限定するものではなく、第一部材11とU字ボルトとを組合せたクランプ装置10としても良い。
【0084】
また、上記のクランプ装置10とは異なる実施形態として、
図9に示すような第一部材11Aおよび第二部材12Aを備えたクランプ装置10Aとしても良い。以下では、クランプ装置10と同様の構成については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0085】
クランプ装置10Aの第一部材11Aは、所定の中心軸線を中心とした半円環状の本体部11aと、本体部11aの軸方向の両端から内方に向かって延出している一対のフランジ部11bと、本体部11aにおける円周方向の両端を構成している一対の端面部11eと、本体部11aの両端付近において外周面からそれぞれ凹んでいる一対の収容凹部11fと、それぞれの端面部11eから隣接している収容凹部11f内へ貫通している固定孔11gと、を有している。
【0086】
また、第一部材11Aは、本体部11aの外周面から外方へ延出している取付片11hと、取付片11hにおいて凹んでいる一対の凹部11iと、一対の凹部11i同士を繋ぐように貫通している貫通孔11jと、取付片11hの外面から凹部11i内へ貫通しており内周に雌ネジが形成されている取付ネジ孔11kと、本体部11aの外周面から内周面まで貫通しており内周に雌ネジが形成されている止ネジ孔11lと、を有している。取付ネジ孔11kは、取付片11hの外面における本体部11aの半径方向の外方を向いている面から凹部11i内へ貫通している。
【0087】
更に、第一部材11Aは、本体部11aの外周面から内方へ向かって凹んでいる本体肉抜部11mと、取付片11hにおける本体部11aと同じ高さの部位において内方へ向かって凹んでいる取付肉抜部11nと、を有している。本体肉抜部11mは、本体部11aの外周面からの深さが、収容凹部11fの深さよりも浅い。取付肉抜部11nは、本体部11aの外周面と一致する部位まで凹んでいる。この取付肉抜部11nの底部に、止ネジ孔11lが設けられている。
【0088】
クランプ装置10Aの第二部材12Aは、所定の中心軸線を中心とした半円環状の本体部12aと、本体部12aの軸方向の両端から内方に向かって延出している一対のフランジ部12bと、本体部12aにおける円周方向の両端を構成している一対の端面部12eと、本体部12aの両端付近において外周面からそれぞれ凹んでいる一対の収容凹部12fと、それぞれの端面部12eから隣接している収容凹部12f内へ貫通している固定孔12gと、を有している。
【0089】
また、第二部材12Aは、本体部12aの外周面から内方へ向かって凹んでいる本体肉抜部12hと、本体肉抜部12hの底面から本体部12aの内周面まで貫通しており内周に雌ネジが形成されている止ネジ孔12iと、を有している。止ネジ孔12iは、一対の端面部12e同士の間の中央の部位に設けられている。
【0090】
本実施形態のクランプ装置10Aは、上記のクランプ装置10と同様に、支柱2を間にして第一部材11Aと第二部材12Aとを配置した状態で、向き合っている固定孔11g,12gにボルト13を通し、その先端にナット14を螺合させて締め付けることにより、支柱2に固定することができる。この際に、第一部材11Aの止ネジ孔11lと、第二部材12Aの止ネジ孔12iとに、それぞれ止ネジ15をねじ込んで締め付けることにより、第一部材11Aと第二部材12Aとの両方において、クランプ装置10Aの軸方向への移動を阻止することができ、より強固に支柱2へ固定することができる。
【0091】
そして、支柱2にクランプ装置10Aを取付けた状態で、第一部材11Aの取付片11hの凹部11iに遊具構成体3の取付挿入部を挿入し、反対側から貫通孔11jを通して取付挿入部のネジ孔に取付ボルト4をねじ込んで締め付けたり、取付ネジ孔11kに取付ネジ5をねじ込んで締め付けたりすることで、第一部材11Aを介して遊具構成体3を支柱2に取付けることができる。
【0092】
このように、クランプ装置10Aによれば、上記のクランプ装置10と同じように使用することで、上記の遊具1,1Aなどを構築することができ、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0093】
また、クランプ装置10Aによれば、第一部材11Aに本体肉抜部11mおよび取付肉抜部11nを設けていると共に、第二部材12Aに本体肉抜部12hを設けているため、クランプ装置10の第一部材11や第二部材12よりも軽量化することが可能である。更に、クランプ装置10Aによれば、本体肉抜部11m,12hや取付肉抜部11nなどにより肉薄にしているため、撓み易くクランプ装置10における第一部材11および第二部材12それぞれに設けられている突起部11c,12cがなくても支柱2にしっかりと固定することができる。
【0094】
なお、クランプ装置10Aにおいて、第一部材11Aおよび第二部材12Aにおけるそれぞれのフランジ部11b,12bの先端面に、上記のクランプ装置10と同様に突起部や滑止部を設けても良い。
【符号の説明】
【0095】
1 遊具(雲梯)
1A 遊具(床デッキ)
2 支柱
3 遊具構成体
4 取付ボルト
10 クランプ装置
10A クランプ装置
11 第一部材
11A 第一部材
11a 本体部
11e 端面部
11f 収容凹部
11g 固定孔
11h 取付片
11i 凹部
11j 貫通孔
12 第二部材
12A 第二部材
12a 本体部(第二本体部)
12e 端面部
12f 収容凹部(第二収容凹部)
12g 固定孔(第二固定孔)
13 ボルト
14 ナット
21 壁パネル
21c 取付挿入部
22 雲梯本体
22d 取付挿入部
23 補助棒
23a 取付挿入部
30 デッキ
31 デッキフレーム
31c 取付挿入部
35 手摺
40 平棒
41 取付挿入部