(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125826
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】回転工具装置及び工作機械
(51)【国際特許分類】
B23B 21/00 20060101AFI20240911BHJP
B23B 3/26 20060101ALI20240911BHJP
B23B 29/24 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
B23B21/00 C
B23B3/26
B23B29/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033914
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000137856
【氏名又は名称】シチズンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】青柳 厚志
【テーマコード(参考)】
3C045
3C046
【Fターム(参考)】
3C045GA10
3C046NN03
(57)【要約】
【課題】旋回可能な複数の工具保持部を有すると共に、高精度な加工が可能な回転工具装置を提供することを目的とする。
【解決手段】回転工具装置1は、工具を回転可能に保持する第1及び第2工具保持部と、第1及び第2工具保持部を旋回する旋回駆動力を生成する旋回駆動力生成部と、第1工具保持部を保持し、旋回駆動力が供給されることに応じて、主軸の延伸方向に直交する旋回方向に第1工具保持部を旋回する第1旋回機構と、第2工具保持部を保持し、旋回駆動力が供給されることに応じて旋回方向に第2工具保持部を旋回する第2旋回機構と、第1工具保持部に供給された旋回駆動力を第2工具保持部に伝達する旋回駆動力伝達部材とを有し、第1旋回機構は、及び旋回駆動力生成部から旋回駆動力が供給される旋回駆動力供給部を更に有し、旋回駆動力供給部は、第1工具保持部から旋回方向に最も離隔した第1旋回機構の端部と第1工具保持部との間に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸に保持されたワークを加工する工具を回転可能に保持する第1工具保持部及び第2工具保持部と、
前記第1工具保持部及び前記第2工具保持部を旋回する旋回駆動力を生成する旋回駆動力生成部と、
前記第1工具保持部を保持し、前記旋回駆動力が供給されることに応じて、前記第1工具保持部を前記主軸の延伸方向に直交する旋回方向に旋回する第1旋回機構と、
前記第2工具保持部を保持し、前記旋回駆動力が供給されることに応じて前記旋回方向に前記第2工具保持部を旋回する第2旋回機構と、
前記第1工具保持部に供給された前記旋回駆動力を前記第2工具保持部に伝達する旋回駆動力伝達部材と、を有し、
前記第1旋回機構は、前記旋回駆動力生成部から前記旋回駆動力が供給される旋回駆動力供給部を有し、
前記旋回駆動力供給部は、前記第1工具保持部から旋回方向に最も離隔した前記第1旋回機構の端部と前記第1工具保持部との間に配置される、
ことを特徴とする回転工具装置。
【請求項2】
前記第2工具保持部を所望の旋回角度で固定する固定部を更に有し、
前記第2旋回機構は、前記固定部によって固定される被固定部を有し、
前記被固定部は、前記第2工具保持部から旋回方向に最も離隔した前記第2旋回機構の端部と前記第2工具保持部との間に配置される、請求項1に記載される回転工具装置。
【請求項3】
前記旋回駆動力生成部は、前記旋回駆動力供給部に回転駆動力を供給するローラギアカムを有する、請求項1に記載される回転工具装置。
【請求項4】
前記第1工具保持部及び前記第2工具保持部に保持される工具を回転する回転駆動力を生成する回転駆動力生成部と、
前記回転駆動力生成部から前記回転駆動力が供給される供給歯車、前記供給歯車を介して前記回転駆動力を前記第1工具保持部に供給する第1供給軸、及び前記供給歯車を介して前記回転駆動力を前記第2工具保持部に供給する第2供給軸を有する回転駆動力供給機構と、を更に有し、
前記供給歯車は、前記第1供給軸と前記第2供給軸との間に配置される、請求項1に記載される回転工具装置。
【請求項5】
前記旋回駆動力生成部は、前記第1工具保持部と前記回転駆動力生成部との間に水平方向に延伸するように配置される、請求項4に記載される回転工具装置。
【請求項6】
前記第1工具保持部及び前記第2工具保持部の少なくとも一方は、着脱可能である、請求項1に記載される回転工具装置。
【請求項7】
前記第1旋回機構は、前記旋回駆動力伝達部材に係合される第1係合部を更に有し、
前記第1係合部は、前記第1工具保持部から旋回方向に最も離隔した第1旋回機構の端部と前記第1工具保持部との間に配置される、請求項1に記載される回転工具装置。
【請求項8】
前記第2旋回機構は、前記旋回駆動力伝達部材に係合される第2係合部を更に有し、
前記第2係合部は、前記第2工具保持部から旋回方向に最も離隔した第2旋回機構の端部と前記第2工具保持部との間に配置される、請求項7に記載される回転工具装置。
【請求項9】
前記第1工具保持部及び前記第2工具保持部によって保持される工具は、棒状の基部、及び前記基部の先端に配置される切削部を有し、
前記第1工具保持部に保持される前記工具の基部の延伸方向は、前記第2工具保持部に保持される前記工具の基部の延伸方向と相違する、請求項1~8の何れか一項に記載される回転工具装置。
【請求項10】
ワークを回転可能に保持する主軸と、
前記主軸に回転可能に保持されたワークを加工する工具を回転可能に保持する回転工具装置と、を有し、前記回転工具装置は、
前記主軸に保持されたワークを加工する工具を回転可能に保持する第1工具保持部及び第2工具保持部と、
前記第1工具保持部及び前記第2工具保持部を旋回する旋回駆動力を生成する旋回駆動力生成部と、
前記第1工具保持部を保持し、前記旋回駆動力が供給されることに応じて、前記第1工具保持部を前記主軸の延伸方向に直交する旋回方向に旋回する第1旋回機構と、
前記第2工具保持部を保持し、前記旋回駆動力が供給されることに応じて前記旋回方向に前記第2工具保持部を旋回する第2旋回機構と、
前記第1工具保持部に供給された前記旋回駆動力を前記第2工具保持部に伝達する旋回駆動力伝達部材と、を有し、
前記第1旋回機構は、前記旋回駆動力生成部から前記旋回駆動力が供給される旋回駆動力供給部を更に有し、
前記旋回駆動力供給部は、前記第1工具保持部から旋回方向に最も離隔した第1旋回機構の端部と前記第1工具保持部との間に配置される、
ことを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転工具装置及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
主軸の延伸方向に直交する一対の旋回軸線に沿って旋回する一対の旋回ホルダを有する工作機械が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載される工作機械は、回転工具ユニットホルダと、スレッドワーリングホルダと、旋回用モータと、工具回転用モータと、ベース本体と有する。
【0003】
特許文献1に記載される工作機械では、回転工具ユニットホルダはベース本体の下方に配置され、複数の回転工具ユニットが装着され、スレッドワーリングホルダはベース本体の下方に配置され、ねじ切用のスレッドワーリング工具が装着される。工具回転用モータは、ベース本体の上方に配置され、ベース本体に配置される旋回駆動伝達機構を介して回転工具ユニットホルダ及びスレッドワーリングホルダを旋回する。旋回用モータ及び工具回転用モータは、ベース本体の上方に配置され、ベース本体に配置される工具回転機構を介して回転工具ユニット及びスレッドワーリングを回転する。ベース本体は、旋回駆動伝達機構及び工具回転機構を収納する。
【0004】
特許文献1に記載される工作機械は、単一の旋回用モータによって回転工具ユニットホルダ及びスレッドワーリングホルダを旋回すると共に、単一の工具回転用モータによって回転工具ユニット及びスレッドワーリングを旋回することで小型化が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載される工作機械では、回転工具ユニットホルダが旋回用モータから離隔して配置されるため、回転工具ユニットホルダの剛性に応じて旋回位置がずれて、回転工具ユニットに装着される工具による加工精度が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、旋回可能な複数の工具保持部を有すると共に、高精度な加工が可能な回転工具装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る回転工具装置は、主軸に保持されたワークを加工する工具を回転可能に保持する第1工具保持部及び第2工具保持部と、第1工具保持部及び第2工具保持部を旋回する旋回駆動力を生成する旋回駆動力生成部と、第1工具保持部を保持し、旋回駆動力が供給されることに応じて、第1工具保持部を主軸の延伸方向に直交する旋回方向に旋回する第1旋回機構と、第2工具保持部を保持し、旋回駆動力が供給されることに応じて旋回方向に第2工具保持部を旋回する第2旋回機構と、第1工具保持部に供給された旋回駆動力を第2工具保持部に伝達する旋回駆動力伝達部材とを有し、第1旋回機構は、旋回駆動力生成部から旋回駆動力が供給される旋回駆動力供給部を有し、旋回駆動力供給部は、第1工具保持部から旋回方向に最も離隔した第1旋回機構の端部と第1工具保持部との間に配置される。
【0009】
さらに、本発明に係る回転工具装置は、第2工具保持部を所望の旋回角度で固定する固定部を更に有し、第2旋回機構は、固定部によって固定される被固定部を有し、被固定部は、第2工具保持部から旋回方向に最も離隔した第2旋回機構の端部と第2工具保持部との間に配置されることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る回転工具装置は、第1工具保持部及び第2工具保持部に保持される工具を回転する回転駆動力を生成する回転駆動力生成部と、回転駆動力生成部から回転駆動力が供給される供給歯車、供給歯車を介して回転駆動力を第1工具保持部に供給する第1供給軸、及び供給歯車を介して回転駆動力を第2工具保持部に供給する第2供給軸を有する回転駆動力供給機構とを更に有し、供給歯車は、第1供給軸と第2供給軸との間に配置されることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る回転工具装置では、旋回駆動力生成部は、第1工具保持部と回転駆動力生成部との間に水平方向に延伸するように配置されることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る回転工具装置では、第1工具保持部及び第2工具保持部の少なくとも一方は、着脱可能であることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明に係る回転工具装置では、第1旋回機構は、旋回駆動力伝達部材に係合される第1係合部を更に有し、第1係合部は、第1工具保持部から旋回方向に最も離隔した第1旋回機構の端部と第1工具保持部との間に配置されることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係る回転工具装置では、第2旋回機構は、旋回駆動力伝達部材に係合される第2係合部を更に有し、第2係合部は、第2工具保持部から旋回方向に最も離隔した第2旋回機構の端部と第2工具保持部との間に配置されることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係る回転工具装置は、第1工具保持部及び第2工具保持部によって保持される工具は、棒状の基部、及び基部の先端に配置される切削部を有し、第1工具保持部に保持される工具の基部の延伸方向は、第2工具保持部に保持される工具の基部の延伸方向と相違することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る工作機械は、ワークを回転可能に保持する主軸と、主軸に回転可能に保持されたワークを加工する工具を回転可能に保持する回転工具装置とを有し、回転工具装置は、主軸に保持されたワークを加工する工具を回転可能に保持する第1工具保持部及び第2工具保持部と、第1工具保持部及び第2工具保持部を旋回する旋回駆動力を生成する旋回駆動力生成部と、第1工具保持部を保持し、旋回駆動力が供給されることに応じて、第1工具保持部を主軸の延伸方向に直交する旋回方向に旋回する第1旋回機構と、第2工具保持部を保持し、旋回駆動力が供給されることに応じて旋回方向に第2工具保持部を旋回する第2旋回機構と、第1工具保持部に供給された旋回駆動力を第2工具保持部に伝達する旋回駆動力伝達部材とを有し、第1旋回機構は、旋回駆動力生成部から旋回駆動力が供給される旋回駆動力供給部を更に有し、旋回駆動力供給部は、第1工具保持部から旋回方向に最も離隔した前記第1旋回機構の端部と第1工具保持部との間に配置される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る回転工具装置は、旋回可能な複数の工具保持部を有すると共に、高精度な加工が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】(a)は
図1に示す第1工具保持部の正面図であり、(b)は
図1に示す第1工具保持部の側面図である。
【
図3】(a)は
図1に示す第1工具保持部の平面図であり、(b)は
図1に示す第1工具保持部の底面図である。
【
図4】
図2(a)に示すB-B線に沿う断面図である。
【
図6】
図1に示す工作機械によるワーク加工処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】(a)は
図6に示すワーク移動工程を示す図であり、(b)は
図6に示す第1正面加工工程を示す図である。
【
図8】(a)は
図6に示す切断工程を示す図あり、(b)は
図6に示す切断工程を示す図である。
【
図9】(a)は
図6に示す第1背面加工工程を示す図であり、(b)は
図6に示す第2背面加工工程を示す図である。
【
図10】変形例に係る第1旋回機構及び第2旋回機構を収容する機構収容部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る回転工具装置及びに工作機械について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0020】
(実施形態に係る回転工具装置及び工作機械の構成及び機能)
図1は、実施形態に係る工作機械の斜視図である。
【0021】
工作機械100は、左右に対向して正面主軸部110と、背面主軸部130とを有し、前後に刃物台120と、背面工具保持部140と設けられる。正面主軸部110、刃物台120、及び背面主軸部130の移動及び動作は、制御部とも称されるNC(Numerical Control)装置150によって制御される。NC装置150は、ワーク加工処理を実行させるためのワーク加工処理プロクラムを記憶する記憶装置、及びワーク加工処理プログラムを実行する演算装置を有する。
【0022】
右側の正面主軸部110は、単に主軸とも称される正面主軸111を回転可能に支持する。左側の背面主軸部130は、背面主軸131を回転可能に支持する。正面主軸111及び背面主軸131は、チャックを介してワークを一体的に保持する。後方側の刃物台120は、回転工具装置1を有し、正面主軸111に保持されたワークを加工する工具を保持する。前方側の背面工具保持部140は、背面主軸131に保持されたワークを加工する工具を保持する。工作機械100は、正面主軸部110、背面主軸部130及び刃物台120を移動させることによって、正面主軸111に保持されたワークを刃物台120に保持された工具によって加工する。また、工作機械100は、背面主軸部130を移動させることによって、背面主軸131に保持されたワークを背面工具保持部140に保持された工具によって加工する。工作機械100に対して正面主軸111及び背面主軸131の軸線方向がZ方向、Z方向に直交する鉛直方向がY方向、Z方向及びY方向に直交する水平方向がX方向と規定される。正面主軸部110、背面主軸部130、背面工具保持部140及びNC装置150の構成及び機能は、従来公知であり詳細な説明は省略する。
【0023】
回転工具装置1は、第1工具保持部11と、第2工具保持部12と、旋回駆動力生成部13と、回転駆動力生成部14と、機構収容部15とを有する。第1工具保持部11及び第2工具保持部12は、水平方向に離隔して配置され、Y方向を軸心方向として機構収容部15に旋回自在に支持される。第1工具保持部11及び第2工具保持部12は、正面主軸111に保持されたワークを加工する第1工具11a、11b、11c及び11d並びに第2工具12a、12b、12c及び12dを回転可能に保持する。第1工具保持部11は主軸の延伸方向に直交する旋回方向に延伸する第1旋回軸を中心に旋回し、第2工具保持部12は主軸の延伸方向に直交する旋回方向に延伸する第2旋回軸を中心に旋回する。第1工具保持部11の旋回軸である第1旋回軸及び第2工具保持部12の旋回軸である第2旋回軸は、互いに相違する。第1工具保持部11は回転工具である第1工具11a~11dを保持し、第2工具保持部12は回転工具である第2工具12a~12dを保持する。
【0024】
図2(a)は第1工具保持部11の正面図であり、
図2(b)は第1工具保持部11の側面図であり、
図3(a)は第1工具保持部11の平面図であり、
図3(b)は第1工具保持部の底面図である。
図4は
図2(a)に示すB-B線に沿う断面図である。
【0025】
第1工具保持部11は、工具筐体20と、駆動軸21と、駆動力伝達機構22と、第1回転軸23と、第2回転軸24と、第3回転軸25と、第4回転軸26とを有し、機構収容部15の下面に機構収容部15から着脱可能に配置される。第1工具保持部11は、第1回転軸23に保持された第1工具11a、第2回転軸24に保持された第1工具11b、第3回転軸25に保持された第3工具11c、第4回転軸26に保持された第4工具11dを回転させる。
【0026】
第1工具11a~11dのそれぞれは、棒状の基部11a1~11d1、及び棒状の基部11a1~11d1の先端に配置される切削部11a2~11d2を有するドリル及びエンドミル等の回転工具である。
【0027】
工具筐体20は、挿入孔20aが上面に形成され、駆動軸21~第4回転軸26を収容する。挿入孔20aは、回転駆動力生成部14によって生成された駆動力を伝達する供給軸が挿入される。駆動軸21は、X方向に延伸する軸部材であり、挿入孔20aを介して挿入される供給軸と篏合し、篏合した供給軸の回転に応じて回転する。
【0028】
駆動力伝達機構22は、駆動軸21、第1回転軸23、第2回転軸24、第3回転軸25及び第4回転軸26に螺合する歯車列であり、駆動軸21が回転することに応じて回転し、回転することで生じる駆動力を第1回転軸23、第2回転軸24、第3回転軸25及び第4回転軸26に伝達する。
【0029】
第1回転軸23は、駆動力伝達機構22を形成する歯車列の1つの歯車に螺合し、螺合した歯車が回転することに応じて回転する。第1回転軸23が回転することで、第1回転軸23に保持される第1工具11aが回転する。第2回転軸24は、駆動力伝達機構22を形成する歯車列の2つの歯車に螺合し、螺合した歯車が回転することに応じて回転する。第2回転軸24が回転することで、第2回転軸24に保持される第1工具11bが回転する。第3回転軸25は、駆動力伝達機構22を形成する歯車列の2つの歯車に螺合し、螺合した歯車が回転することに応じて回転する。第3回転軸25が回転することで、第3回転軸25に保持される第1工具11cが回転する。第4回転軸26は、駆動力伝達機構22を形成する歯車列の1つの歯車に螺合し、螺合した歯車が回転することに応じて回転する。第4回転軸26が回転することで、第4回転軸26に保持される第1工具11dが回転する。
【0030】
第2工具保持部12は、第1工具保持部11と同様に、機構収容部15の下面に機構収容部15から着脱可能に配置される。第2工具保持部12の構成及び機能は、第1工具保持部11の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。第2工具保持部12は、第2工具12a~12dを保持する。第2工具12a~12dのそれぞれは、第1工具11a~11dと同様に、ドリル及びエンドミル等の回転工具である。なお、第1工具保持部11と第2工具保持部は第1工具11a~11dや第2工具12a~12dの方向とは逆の方向への工具の装着が可能である。
【0031】
旋回駆動力生成部13は、サーボモータと、一例ではローラギアカムである減速機とを有し、第1工具保持部11と回転駆動力生成部14との間に、X軸方向すなわち水平方向に延伸するように配置される。旋回駆動力生成部13のサーボモータは、第1工具保持部11及び第2工具保持部12をY軸方向に延伸する第1軸旋回軸及び第2旋回軸を中心に旋回させる旋回駆動力を生成する。旋回駆動力生成部13は、生成された旋回駆動力を一例ではローラギアカムである減速機を介して第1工具保持部11及び第2工具保持部12に供給する。
【0032】
回転駆動力生成部14は、サーボモータと、減速機と、回転軸とを有する。回転駆動力生成部14は、Y軸方向に延伸するように配置され、第1工具保持部11及び第2工具保持部12に保持される第1工具11a~11d及び第2工具12a~12dを回転する回転駆動力を生成する。回転駆動力生成部14のサーボモータは、第1工具保持部11及び第2工具保持部12に保持される第1工具11a~11d及び第2工具12a~12dを回転させる回転駆動力を生成する。回転駆動力生成部14は、生成された回転駆動力を減速機及び回転軸を介して第1工具保持部11及び第2工具保持部12に供給する。
【0033】
【0034】
機構収容部15は、筐体30と、第1旋回機構31と、第2旋回機構32と、旋回駆動力伝達部材33と、第1上部軸受34と、第1下部軸受35と、第2上部軸受36と、第2下部軸受37と、固定部38と、回転駆動力供給機構39とを有する。筐体30は、第1旋回機構31、第2旋回機構32、旋回駆動力伝達部材33、第1上部軸受34、第1下部軸受35、第2上部軸受36、第2下部軸受37、固定部38及び回転駆動力供給機構39を収容する。
【0035】
第1旋回機構31は、第1軸体40と、第1係合部41と、旋回駆動力供給部42と、第1接続部43とを有し、延伸方向に貫通孔が形成される中空の軸体である。第1軸体40は、第1工具保持部11を保持し、旋回駆動力生成部13から旋回駆動力が供給されることに応じて、第1工具保持部11を正面主軸111の延伸方向に直交する方向である旋回方向に旋回する。第1係合部41は、第1軸体40の上端に配置され、旋回駆動力伝達部材33と係合する。第1係合部41が配置される第1軸体40の上端は、第1旋回機構31及び第1軸体40の第1工具保持部11から旋回方向に最も離隔した端部である。旋回駆動力供給部42(例えばローラフォロア)は、第1軸体40の中央部に配置され、旋回駆動力生成部13のローラギアカム13aに螺合し、旋回駆動力生成部13のサーボモータで生成された旋回駆動力により、ローラギアカム13aが回転することで旋回する。第1接続部43は、第1軸体40の下部に配置され、第1工具保持部11に接続される。第1接続部43によって第1旋回機構31に接続される第1工具保持部11は、第1工具11a~11dの延伸方向が第1旋回機構31と第2旋回機構32との隣接する方向である隣接方向に平行となるように配置される。
【0036】
旋回駆動力供給部42は、第1係合部41と、ワークを加工する第1工具11a~11dを保持する第1工具保持部11に接続される第1接続部43との間に配置されるので、第1係合部41と第1工具11a~11dとの間に配置される。旋回駆動力供給部42は、第1係合部41と第1工具11a~11dとの間に配置されるので、第1工具11a~11dとの間の距離が第1係合部41よりも近い。
【0037】
第2旋回機構32は、第2軸体45と、第2係合部46と、被固定部47と、第2接続部48とを有し、第1軸体40と同様に延伸方向に貫通孔が形成される中空の軸体である。第2軸体45は、第2工具保持部12を保持し、旋回駆動力生成部13から旋回駆動力が供給されることに応じて、第2工具保持部12を正面主軸111の延伸方向に直交する方向である旋回方向に旋回する。第2係合部46は、第2軸体45の上端に配置され、旋回駆動力伝達部材33と係合する。第2係合部46が配置される第2軸体45の上端は、第2旋回機構32及び第1軸体45の第2工具保持部12から旋回方向に最も離隔した端部である。被固定部47は、第2軸体45の中央部に配置され、固定部38によって挟持可能である。被固定部47が固定部38によって挟持されることで、第2工具保持部12は、所望の旋回角度で固定される。第2接続部48は、第2軸体45の下部に配置され、第2工具保持部12に接続される。第2接続部48によって第2旋回機構32に接続される第2工具保持部12は、第2工具12a~12dの延伸方向が第1旋回機構31と第2旋回機構32とが隣接する方向に直交するように配置される。
【0038】
第1工具保持部11は、第1工具11a~11dの延伸方向が第1旋回機構31及び第2旋回機構32の隣接方向に平行となるように配置される。また、第2工具保持部12は、第2工具12a~12dの延伸方向が第1旋回機構31及び第2旋回機構32の隣接方向に直交するように配置される。例示的に示される本実施形態では、第1工具保持部11及び第2工具保持部12は、第1工具11a~11dの延伸方向が第2工具12a~12dの延伸方向に直交するように配置される。例えば第1工具11a~11dの延伸方向が第2工具12a~12dの延伸方向に直交するように配置される場合には、第1工具11a~11dの延伸方向と第2工具12a~12dの延伸方向との間のシフト角は90°である。
【0039】
被固定部47は、第2係合部46と、第2工具保持部12に接続される第2接続部48との間に配置されるので、第2係合部46と、第2工具12a~12dを保持する第2工具保持部12の第1回転軸23及び第2回転軸24との間に配置される。
【0040】
旋回駆動力伝達部材33は、ベルト及びチエーン等の可撓性を有する部材で形成され、第1旋回機構31の第1係合部41及び第2旋回機構32の第2係合部46に係合される。旋回駆動力伝達部材33は、ローラギアカム13aと旋回駆動力供給部42を介して旋回駆動力生成部13から第1旋回機構31に供給された旋回駆動力を第2旋回機構32に伝達する。
【0041】
第1上部軸受34及び第1下部軸受35は、筐体30と第1旋回機構31との間に配置され、第1旋回機構31を旋回可能に支持する。第1上部軸受34は第1係合部41と旋回駆動力供給部42との間に配置され、第1下部軸受35は旋回駆動力供給部42と第1接続部43との間に配置される。第1上部軸受34及び第1下部軸受35は、旋回駆動力供給部42を挟むように配置されるので、旋回駆動力供給部42は、第1上部軸受34と第1下部軸受35との間に配置される。
【0042】
第2上部軸受36及び第2下部軸受37は、筐体30と第2旋回機構32との間に配置され、第2旋回機構32を旋回可能に支持する。第2上部軸受36は第2係合部46と被固定部47との間に配置され、第2下部軸受37は被固定部47と第2接続部48との間に配置される。第2上部軸受36及び第2下部軸受37は、被固定部47を挟むように配置されるので、被固定部47は、第2上部軸受36と第2下部軸受37との間に配置される。
【0043】
固定部38は、被固定部47を挟持することで、第2旋回機構32の旋回を停止して、第2工具保持部12を所望の旋回角度で固定するブレーキである。固定部38が被固定部47を挟持することで、第2工具保持部12に保持される第2工具12a~12dによりワークを加工するときに、第2工具12a~12dの旋回角度位置がずれて加工精度が低下するおそれが低くなる。旋回駆動力伝達部材33がベルト及びチエーン等の可撓性を有する部材で形成されるため、固定部38によって第2工具保持部12が固定されないとき、第2工具保持部12は、固定されないので、第2工具12a~12dによりワークを加工するときに第2工具12a~12dがワークに接触することで第2工具保持部12が旋回方向にぶれるおそれがある。固定部38によって第2工具保持部12が固定されることで、第2工具12a~12dによりワークを加工するときに2工具保持部12が旋回方向にぶれることが防止され、第2工具12a~12dの旋回角度位置がずれて加工精度が低下するおそれが低くなる。
【0044】
回転駆動力供給機構39は、第1歯車51と、第2歯車52と、第1供給軸53と、第2供給軸54とを有し、回転駆動力生成部14によって生成された回転駆動力を第1工具保持部11及び第2工具保持部12に供給する。
【0045】
第1歯車51は、供給歯車とも称され、回転駆動力生成部14の回転軸141の先端と係合して、回転駆動力生成部14によって生成された回転駆動力を回転駆動力生成部14から供給される。第1歯車51は、第1供給軸53の上端に形成される第1供給歯車53a及び第2歯車52に螺合する。第2歯車52は、第1歯車51に螺合すると共に、第2供給軸54の上端に形成される第2供給歯車54aに螺合することで、第1歯車51に供給された回転駆動力を第2供給軸54に供給する。
【0046】
第1供給軸53は、上端に第1供給歯車53aが形成されると共に、下端に第1供給螺合部53bが形成され、第1供給歯車53a及び第1供給螺合部53bを除く部分が第1旋回機構31の内部に収容される。第1供給歯車53aは第1歯車51に螺合し、第1供給螺合部53bは第1工具保持部11の駆動軸21に螺合する。第1供給軸53は、第1供給歯車53aを介して第1歯車51から供給された回転駆動力を第1供給螺合部53bを介して第1工具保持部11の駆動軸21に供給する。
【0047】
第2供給軸54は、上端に第2供給歯車54aが形成されると共に、下端に第2供給螺合部54bが形成され、第2供給歯車54a及び第2供給螺合部54bを除く部分が第2旋回機構32の内部に収容される。第2供給歯車54aは第2歯車52に螺合し、第2供給螺合部54bは第2工具保持部12の駆動軸21に螺合する。第2供給軸54は、第2供給歯車54aを介して第2歯車52から供給された回転駆動力を第2供給螺合部54bを介して第2工具保持部12の駆動軸21に供給する。
【0048】
図6は、工作機械100によるワーク加工処理の一例を示すフローチャートである。
図7(a)は
図6に示すワーク移動工程を示す図であり、
図7(b)は
図6に示す第1正面加工工程を示す図であり、
図8(a)は
図6に示す第2正面加工工程を示す図であり、
図8(b)は
図6に示す切断工程を示す図である。
図9(a)は
図6に示す第1背面加工工程を示す図であり、
図9(b)は
図6に示す第2背面加工工程を示す図である。
図6に示すワーク加工処理は、NC装置150の記憶部に予め記憶されているワーク加工プログラムに基づいて、主にNC装置150の処理部により、工作機械100の各要素と協働して実行される。なお、
図7、8は正面加工工程と背面加工工程を行うため、第1工具、第2工具と第1工具保持部と第2工具保持部の前後に配置した例で説明する。
【0049】
まず、
図7(a)に示すようにワーク移動工程において、NC装置150は、正面主軸111に保持されるワークWを所定の加工位置に移動する(S101)。NC装置150は、刃物台120をX軸やY軸方向に移動することで、第1工具保持部11と第2工具保持部12を加工位置に移動する。
【0050】
次いで、
図7(b)に示すように第1正面加工工程において、NC装置150は、第1工具保持部11に保持される第1工具11aによるワークWの切削加工処理を実行する(S102)。NC装置150は、刃物台120をX方向及びY方向に移動すると共に、Y軸方向に延伸する第1軸旋回軸を中心に第1工具保持部11を所望の旋回角度に旋回させる。また、NC装置150は、固定部38によって被固定部47を挟持することで、第2工具保持部12を所望の旋回角度で固定する。工作機械100において、一例として第1工具保持部11が旋回可能な旋回角θ
1は、ワークWの延伸方向に直交する角度からワークWの延伸方向までの間の90°に、ワークWの延伸方向に直交する角度から反対方向に向けた45°を加えた135°である。
【0051】
次いで、
図8(a)に示すように第2正面加工工程において、NC装置150は、第2工具保持部12に保持される第2工具12aによるワークWの切削加工処理を実行する(S103)。NC装置150は、刃物台120をX方向及びY方向に移動すると共に、Y軸方向に延伸する第2軸旋回軸を中心に第2工具保持部12を旋回させる。また、NC装置150は、固定部38によって被固定部47を挟持することで、第2工具保持部12を所望の旋回角度で固定する。工作機械100において、一例として第2工具保持部12が旋回可能な旋回角θ
2は、第1工具保持部11が旋回可能な旋回角θ
1と同様に、135°である。
【0052】
次いで、
図8(b)に示すように切断工程において、NC装置150は、ワークWを背面主軸131に保持させて、不図示の切削工具によって、ワークWを切断する(S104)。
【0053】
次いで、
図9(a)に示すように第1背面加工工程において、NC装置150は、第21工具保持部12に保持される第2工具12aによるワークWの切削加工処理を実行する(S105)。そして、
図9(b)に示すように第2背面加工工程において、NC装置150は、第1工具保持部11に保持される第1工具11aによるワークWの切削加工処理を実行する(S106)。第1背面加工工程及び第2背面加工工程は、第1工具保持部11及び第2工具保持部12に保持される反対側の工具を使用する以外は、ワークWが正面主軸111ではなく、背面主軸131に保持される以外第1正面加工工程及び第2正面加工工程と同様である。また、第1正面加工工程及び第2正面加工工程並びに第1背面加工工程及び第2背面加工工程において使用される工具の順番及び方向は、ワーク加工処理によって成形される成形物に応じて適宜設定される。
【0054】
(実施形態に係る回転工具装置及び工作機械の作用効果)
回転工具装置1では、第1工具保持部11及び第2工具保持部12を有することで、自動工具交換装置(Automatic Tool Changer、ATC)を配置することなく、多くの回転工具を使用できるので、ATCを省略することで工作機械の小型化が可能になる。工作機械が小型化できることにより、部品点数(駆動源等)が減ることで消費電力の削減と環境にやさしい工作機械とすることが可能となる。
【0055】
また、回転工具装置1では、第1工具保持部11及び第2工具保持部12は、水平方向に離隔して配置されるので、鉛直方向に離隔して配置される場合よりも剛性が高くなり、高精度な加工が可能になる。
【0056】
また、回転工具装置1では、旋回駆動力供給部42は、第1工具11a~11dを保持する第1工具保持部11と旋回駆動力伝達部材33と係合する第1係合部41との間に配置されるので、旋回駆動力供給部42と第1工具11a~11dとの間の距離が短い。回転工具装置1では、旋回駆動力供給部42と第1工具11a~11dとの間の距離が短いので、第1軸体40の剛性に応じて旋回位置がずれるおそれが低く、第1工具11a~11dによる高精度な加工が可能になる。
【0057】
また、回転工具装置1では、旋回駆動力供給部42は、第1上部軸受34と第1下部軸受35との間に配置されるので、旋回駆動力供給部42が第1上部軸受34の上方に配置される場合よりも旋回駆動力供給部42と第1工具11a~11dとの間の距離が短い。回転工具装置1では、旋回駆動力供給部42が第1上部軸受34の上方に配置される場合よりも旋回駆動力供給部42と第1工具11a~11dとの間の距離が短いので、第1軸体40の剛性に応じて旋回位置がずれるおそれが低く、高精度な加工が可能になる。
【0058】
また、回転工具装置1では、被固定部47は、第2工具12a~12dを保持する第2工具保持部12と旋回駆動力伝達部材33と係合する第2係合部46との間に配置されるので、被固定部47と第2工具12a~12dとの間の距離が短い。回転工具装置1では、被固定部47と第2工具12a~12dとの間の距離が短いので、第2軸体45の剛性に応じて旋回位置がずれるおそれが低く、第2工具12a~12dによる高精度な加工が可能になる。
【0059】
また、回転工具装置1では、被固定部47は、第2上部軸受36と第2下部軸受37との間に配置されるので、被固定部47が第2上部軸受36の上方に配置される場合よりも、被固定部47と第2工具12a~12dとの間の距離が短い。回転工具装置1では、被固定部47が第2上部軸受36の上方に配置される場合よりも、被固定部47と第2工具12a~12dとの間の距離が短いので、第2軸体45の剛性に応じて旋回位置がずれるおそれが低く、高精度な加工が可能になる。
【0060】
また、回転工具装置1では、旋回駆動力生成部13は、ローラギアカム13aによって旋回駆動力供給部42に螺合するので、バックラッシュが発生せず、第1旋回機構31に保持される第1工具保持部11の旋回角度を高速且つ高精度に設定することができる。
【0061】
また、回転工具装置1では、旋回駆動力生成部13は、第1工具保持部11と回転駆動力生成部14との間に水平方向に延伸するように配置されるので、工作機械100の高さ方向に延伸する部材の数を少なくできる。回転工具装置1では、工作機械100の高さ方向に延伸する部材の数が少なくなるので、高さ方向の設計上の自由度を高くすることができる。
【0062】
また、回転工具装置1では、回転駆動力生成部14から回転駆動力が供給される第1歯車51が第1供給軸53と第2供給軸54との間に配置されるので、第1歯車51と第1供給軸53及び第2供給軸54の間に配置される歯車の数を抑制することができる。回転工具装置1では、第1歯車51と第1供給軸53及び第2供給軸54の間に配置される歯車の数を抑制することで、回転駆動力供給機構39における回転駆動力の損失やバックラッシュが抑制される。
【0063】
また、回転工具装置1では、第1供給軸53及び第2供給軸54の一部が第1旋回機構31及び第2旋回機構32の内部に収容されるので、第1旋回機構31、第2旋回機構32及び回転駆動力供給機構39を収容する機構収容部15の小型化が可能である。
【0064】
また、回転工具装置1では、第1工具保持部11及び第2工具保持部12は、機構収容部15から着脱可能なので、形状が異なる種々の工具を保持可能な工具保持部を単一の回転工具装置1で実装することができる。
【0065】
また、回転工具装置1では、第1工具11a~11dの延伸方向と第2工具12a~12dの延伸方向との間のシフト角は90°であり、第1工具保持部11及び第2工具保持部12の旋回角θ1及びθ2は135°である。また、第1工具保持部11及び第2工具保持部12の旋回角θ1及びθ2は、45°に亘って重なる。第1工具11a~11d及び第2工具12a~12dによって加工可能な角度は、135°である旋回角θ1及びθ2を加算した270°から旋回角θ1及びθ2が重なる45°を減算した225°である。回転工具装置1では、第1工具11a~11d及び第2工具12a~12dによって加工可能な角度が180°以上であるので、ワークの周面の対向する部分に凹部を形成する等の種々の加工が可能になる。
【0066】
(実施形態に係る回転工具装置及び工作機械の変形例)
回転工具装置1では、第1工具保持部11及び第2工具保持部12の双方が機構収容部15から着脱可能であるが、実施形態に係る回転工具装置では、第1工具保持部11及び第2工具保持部12の少なくとも一方が機構収容部15から着脱可能であればよい。
【0067】
また、回転工具装置1は、第1工具保持部11及び第2工具保持部12を有するが、実施形態に係る回転工具装置は、3つ以上の工具保持部を有してもよい。実施形態に係る回転工具装置は、3つ以上の工具保持部を有するときでも、旋回駆動力は単一の旋回駆動力生成部により生成され、回転駆動力は単一の回転駆動力生成部により生成される。
【0068】
また、回転工具装置1では、第1工具保持部11及び第2工具保持部12は、切削工具である第1工具11a~11dの延伸方向と第2工具12a~12dを保持する。しかしながら、実施形態に係る回転工具装置では、第1工具保持部11及び第2工具保持部12は、切削工具以外の回転工具を有してもよい。また、実施形態に係る回転工具装置では、第1工具保持部11及び第2工具保持部12に代えてスレッドワーリング工具が保持されてもよい。
【0069】
また、回転工具装置1では、第1工具11a~11dの延伸方向と第2工具12a~12dの延伸方向との間のシフト角は90°であるが、実施形態に係る回転工具装置では、シフト角は0°及び180°等の90°以外の角度であってもよい。シフト角が0°であるとき、第1工具保持部11及び第2工具保持部12は、第1工具11a~11dの延伸方向が第2工具12a~12dの延伸方向と平行になるように配置される。シフト角が180°であるとき、第1工具保持部11及び第2工具保持部12は、第1工具11a~11dが第2工具12a~12dに対向するように配置される。
【0070】
また、回転工具装置1では、旋回角θ1及びθ2とシフト角との合計の角度は、225°であるが、実施形態に係る回転工具装置では、旋回角θ1及びθ2とシフト角との合計の角度は、225°以外の角度であってもよい。
【0071】
また、回転工具装置1では、旋回駆動力伝達部材33に係合する第1係合部41及び第2係合部46は、第1旋回機構31及び第2旋回機構32の第1工具保持部11及び第2工具保持部12から旋回方向に最も離隔した端部に配置される。しかしながら、実施形態に係る回転工具装置では、旋回駆動力伝達部材33に係合する係合部は、第1工具保持部11及び第2工具保持部12から旋回方向に最も離隔した端部以外に配置されてもよい。
【0072】
図10は、変形例に係る第1旋回機構及び第2旋回機構を収容する機構収容部の断面図である。
図10に示す断面図は、
図2(a)に示すB-B線に沿う断面図に対応する。
【0073】
機構収容部60は、第1旋回機構61及び第2旋回機構62を第1旋回機構31及び第2旋回機構32の代わりに有することが機構収容部15と相違する。第1旋回機構61は第1係合部63を第1係合部41の代わりに有し、第2旋回機構62は第2係合部64を第2係合部42の代わりに有する。第1係合部63及び第2係合部64以外の機構収容部60に収容される構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された機構収容部15に収容される構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0074】
第1係合部63は、第1工具保持部11から旋回方向に最も離隔した第1旋回機構61の端部と第1工具保持部11との間に配置され、旋回駆動力伝達部材33に係合される。より具体的には、第1係合部63は、第1上部軸受34及び旋回駆動力供給部42と第1下部軸受35との間に配置される。
【0075】
第2係合部64は、第2工具保持部12から旋回方向に最も離隔した第2旋回機構62の端部と第2工具保持部12との間に配置され、旋回駆動力伝達部材33に係合される。より具体的には、第2係合部64は、第2上部軸受36及び被固定部47と第2下部軸受37との間に配置される。
【0076】
第1旋回機構61及び第2旋回機構62では、第1係合部63及び第2係合部64は、第1係合部41及び第2係合部46よりも第1工具保持部11及び第2工具保持部12の近くに配置され、回転工具装置1より剛性が高くなり、更に高精度な加工が可能になる。
【0077】
旋回駆動力伝達部材33は、ベルト及びチエーン等の可撓性を有する部材で形成されるが、実施形態に係る回転工具装置では、旋回駆動力伝達部材は、可撓性を有しない歯車のような部材による輪列で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 回転工具装置
11 第1工具保持部
12 第2工具保持部
13 旋回駆動力生成部
14 回転駆動力生成部
15、60 機構収容部
30 筐体
31、61 第1旋回機構
32、62 第2旋回機構
33 旋回駆動力伝達部材
34 第1上部軸受
35 第1下部軸受
36 第2上部軸受
37 第2下部軸受
38 固定部
39 回転駆動力供給機構
110 正面主軸部
120 刃物台
130 背面主軸部
140 背面工具保持部
150 NC装置