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特開2024-125833目的地提示方法、目的地提示システム及び目的地提示プログラム
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  • 特開-目的地提示方法、目的地提示システム及び目的地提示プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125833
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】目的地提示方法、目的地提示システム及び目的地提示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240911BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240911BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240911BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240911BHJP
【FI】
G01C21/36
G16Y40/60
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033923
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 典明
(72)【発明者】
【氏名】内田 ヘルマン偉之
(72)【発明者】
【氏名】豊田 良平
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129CC16
2F129CC26
2F129CC28
2F129CC29
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD21
2F129DD27
2F129DD36
2F129DD39
2F129DD40
2F129DD57
2F129EE36
2F129EE59
2F129EE84
2F129EE91
2F129EE92
2F129EE93
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF12
2F129FF19
2F129FF20
2F129FF25
2F129FF43
2F129FF57
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF68
2F129FF69
2F129FF71
(57)【要約】
【課題】到着後の通信品質が確保された目的地をユーザに提案すること。
【解決手段】車両のユーザの利用目的に応じた属性と通信品質とに基づいて目的地候補を選出し、目的地候補をユーザに提示する目的地提示方法において、ユーザが設定した第1目的地について、少なくとも車両到着時刻における通信品質を推定し、車両到着時刻に通信品質が低下することが予測される場合には、車両到着時刻における通信品質が少なくとも第1目的地より高い新たな目的地候補を少なくとも1つ選出し、これをユーザに提示することを特徴とする、目的地提示方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のユーザの利用目的に応じた属性と通信品質とに基づいて目的地候補を選出し、前記目的地候補を前記ユーザに提示する目的地提示方法において、
前記ユーザが設定した第1目的地について、少なくとも車両到着時刻における通信品質を推定し、
前記車両到着時刻に前記通信品質が低下することが予測される場合には、
前記車両到着時刻における通信品質が少なくとも前記第1目的地より高い新たな目的地候補を少なくとも1つ選出し、これを前記ユーザに提示することを特徴とする、目的地提示方法。
【請求項2】
請求項1に記載の目的地提示方法において、
前記通信品質が低下するか否かを、前記第1目的地の過去のデータに基づいて予測する、目的地提示方法。
【請求項3】
請求項2に記載の目的地提示方法において、
前記過去のデータに加え、さらに、現在における前記第1目的地付近の渋滞情報、人の混雑情報、及びイベント情報にも基づいて、前記通信品質が低下するか否かを予測する、目的地提示方法。
【請求項4】
請求項1に記載の目的地提示方法において、
前記第1目的地又は前記ユーザが前記新たな目的地候補から選択した第2目的地に到着したら、前記第1目的地又は前記第2目的地に滞在中に前記通信品質が低下するか否かを推定し、
低下すると推定した場合は、より高い通信品質が維持される第3目的地への移動を前記ユーザに提案する、目的地提示方法。
【請求項5】
請求項4に記載の目的地提示方法において、
前記第1目的地又は前記第2目的地に滞在中に、これから前記通信品質が低下すると推定した場合には、前記第1目的地又は前記第2目的地の前記通信品質が回復する前に前記車両が前記第3目的地に到着すると推定したときのみ、前記第3目的地への移動を前記ユーザに提案する、目的地提示方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の目的地提示方法において、
前記第3目的地への移動の提案を、前記ユーザの通信回線の使用頻度が低い時間帯に行う、目的地提示方法。
【請求項7】
請求項1又は4に記載の目的地提示方法において、
前記提示及び前記提案を、文字もしくは図形による表示又は音声通知により行う、目的地提示方法。
【請求項8】
車両のユーザの利用目的に応じた属性と通信品質とに基づいて目的地候補を選出し、前記目的地候補を前記ユーザに提示する目的地提示システムにおいて、
前記ユーザが設定した第1目的地について、少なくとも車両到着時刻における通信品質を推定する通信品質推定部と、
前記車両到着時刻に前記通信品質が低下することが予測される場合に、前記車両到着時刻における通信品質が少なくとも前記第1目的地より高い新たな目的地候補を少なくとも1つ選出し、これを前記ユーザに提示する新目的地候補提示部と、
を備えることを特徴とする、目的地提示システム。
【請求項9】
車両のユーザの利用目的に応じた属性と通信品質とに基づいて目的地候補を選出し、前記目的地候補を前記ユーザに提示する目的地提示プログラムにおいて、
前記ユーザが設定した第1目的地について、少なくとも車両到着時刻における通信品質を推定するステップと、
前記車両到着時刻に前記通信品質が低下することが予測される場合に、前記車両到着時刻における通信品質が少なくとも前記第1目的地より高い新たな目的地候補を少なくとも1つ選出し、これを前記ユーザに提示するステップと、を含むことを特徴とする、目的地提示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の目的地を提示する方法、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両等の移動機器に搭載された通信制御装置として、通信データ量、遅延時間、通信中断の可否等の条件を満足する経路を提案するものが開示されている。具体的には、予定経路として設定された第1経路を移動中に、第1経路より上記条件のよい第2経路が見つかった場合には、利用者による許可に基づいて第1経路から第2経路への変更を実施する。これにより、目的地に到着するまでの通信品質を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-060881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年ではユーザが車両をモバイルオフィスとして利用することもあり、その際には停車中も良好な通信品質が確保されることが望ましい。また、運転支援技術や自動運転技術の進化に伴い、走行データ等をクラウドにアップロードすることがある。この場合、走行中は位置情報、地図情報及び渋滞情報等のやり取りを行っているので、走行中の通信負荷を軽減するため上記アップロードは停車中に行うことが望ましい。つまり、モバイルオフィスとして業務を行うことや走行データのアップロードのために駐車場等を探す際には、その場所の通信品質が重要な要件となる。
【0005】
しかし、上記文献の装置では、目的地に到着するまでの経路における通信品質は確保できるものの、到着後の目的地の通信品質については考慮されていない。
【0006】
そこで本発明は、少なくとも到着時の通信品質が確保された目的地をユーザに提案すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、車両のユーザの利用目的に応じた属性と通信品質とに基づいて目的地候補を選出し、目的地候補をユーザに提示する目的地提示方法が提供される。この方法において、ユーザが設定した第1目的地について、少なくとも車両到着時刻における通信品質を推定し、車両到着時刻に通信品質が低下することが予測される場合には、車両到着時刻における通信品質が少なくとも第1目的地より高い新たな目的地候補を少なくとも1つ選出し、これをユーザに提示する。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、到着後の通信品質が確保された目的地をユーザに提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る目的地提示システムの概略構成図である。
図2図2は、第1実施形態に係る制御ルーチンを示すフローチャートである。
図3図3は、第2実施形態に係る制御ルーチンを示すフローチャートである。
図4図4は、第3実施形態に係る制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る目的地提示システムA(以下、単にシステムAともいう。)の概略構成図である。
【0012】
システムAは、送信側車両Vtと、受信側車両Vrと、ネットワーク上に配置されたクラウドサーバ6と、を備える。
【0013】
送信側車両Vtは、4G、LTE、又は5G等のセルラー回線を介してクラウドサーバ6及び受信側車両Vrと通信可能な通信機1tを備える。また、送信側車両Vtは、コントローラ2tと、車両周辺を撮影するカメラ7と、カメラ7で撮影した映像を映像信号に変換してコントローラ2tへ出力するエンコーダ8と、を備える。
【0014】
通信機Vtは、送信側車両VtのKPI(Key Performance Indicator)情報をクラウドサーバ6へ送信する。KPI情報は、例えばGPSによる位置情報、通信特性のデータ、時刻、日付、曜日等である。また、送信側車両Vtが現在、後述する目的地候補にいる場合には、通信機Vtは映像データを例えばWebRTC(Web Real-Time-Communication)により受信側車両Vrへ送信する。
【0015】
クラウドサーバ6は、送信側車両Vtから取得したデータを互いに紐づけて蓄積する。クラウドサーバ6には、過去から現在にかけて不特定多数の送信側車両Vtから取得したデータが蓄積されている。
【0016】
受信側車両Vrは、セルラー回線を介してクラウドサーバ6及び送信側車両Vtと通信可能な通信機1rを備える。また、受信側車両Vrは、コントローラ2rと、受信した映像信号を映像化するデコーダ3と、映像を表示するモニタ4と、クラウドサーバ6から受信したKPI情報等をCSVファイル等の形式で記憶するデータベース5と、を備える。
【0017】
上記のKPI情報のやり取りは、例えばVPN(Virtual Private Network)を介して行う。
【0018】
なお、通信機1t、1rはいずれも、車両に据え置きの機器に限られず、例えばスマートフォンのように、車両と連携可能な機器でもよい。
【0019】
また、受信側車両Vtは図示しないナビゲーションシステムを備えており、ユーザの利用目的に応じた属性の目的地候補をユーザに提示することができる。ここでいう属性とは、例えば駐車場、ガソリンスタンド、充電スポット、コンビニエンスストア等である。ナビゲーションシステムは、ユーザが設定した目的地までの経路を設定し、案内を行う。なお、目的地の設定は、ユーザが特定の施設名、住所、又は電話番号等を直接設定する場合もあるし、ユーザが特定の属性を選択し、ナビゲーションシステムが当該属性に合致する目的地候補を提示し、そこからユーザが選択する場合もある。
【0020】
ところで、上述した通り近年では車両をモバイルオフィスとして利用したり、充電時間を利用してデータの送信を行ったりする場合があり、その場合には目的地の通信品質が良好であることが望ましい。そこで、ユーザが設定した目的地又は目的地候補の通信品質も提示する。通信品質は、クラウドサーバ6から受信したデータを分析することにより推定する。そして、ユーザが目的地を設定したら後述する制御を実行する。以下、受信側車両Vrで行われる制御について説明する。
【0021】
図2は、受信側車両Vrのコントローラ2rが実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。当該制御ルーチンはコントローラ2rに予めプログラムされている。
【0022】
ステップS100で、コントローラ2rは、ユーザが設定した場所を第1目的地として設定する。このとき、第1目的地までの経路の設定及び目的地到着時刻の予測も行う。
【0023】
ステップS110で、コントローラ2rは、第1目的地及び第1目的地と同属性の場所の、目的地到着時刻におけるKPI情報をクラウドサーバ6から取得する。具体的には、目的地到着時刻と同時刻における過去データを取得する。なお、時刻だけでなく、曜日や日付等もクラウドサーバ6から抽出する際のパラメータに含めてもよい。同時刻であっても平日と休日では混雑状況の違いにより通信品質が異なる場合があるし、季節によっても同様に混雑状況が異なる場合があるからである。
【0024】
ステップS120で、コントローラ2rは、取得したデータに基づいて、目的地到着時刻に第1目的地の通信品質が低下しているか否かを推定する。例えば、取得した通信特性のデータを分析し、分析結果を地図情報と紐づけて通信特性マップを作成する。分析の手法は通信特性の分析手法として公知のものを使用すればよい。通信特性のデータは、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、PER(Paket Error Rate)等である。そして、目的地到着時刻に目的地の通信品質が低下していると推定した場合は、コントローラ2rはステップS130の処理を実行し、そうでない場合は今回のルーチンを終了する。通信品質が低下しているか否かの判断基準は、例えば事業用電気通信設備規則等に則って予め定めておく。
【0025】
なお、通信特性のデータとして、クラウドサーバ6から取得したデータの他に、現在第1目的地等にいる送信側車両VtからWebRTCを介して受信した映像データに基づくLatency等を加えてもよい。過去データだけでなく、現在の実際のデータを加味することで、推定精度をより高められるからである。
【0026】
ステップS130で、コントローラ2rは、第1目的地と同じ属性で、かつ第1目的地よりも通信品質の良好な目的地候補を取得済みのKPI情報に基づいて選出する。なお、選出する新たな目的地候補は1つに限られず、目的地候補群であってもよい。
【0027】
ステップS140で、コントローラ2rは、ステップS130で選出した目的地候補群をユーザに提示する。提示方法は、モニタ4に表示してもよいし、音声で通知してもよい。その際、現在設定されている目的地は通信状況が悪いことが予想されるため、新たな目的地候補又は目的地候補群を表示する旨も提示する。
【0028】
上記のように新たな目的地候補群が提示された場合、ユーザが新たな目的地候補群から新たな目的地を選択したら、これを第2目的地として設定し、第2目的地までの経路を設定し案内を開始する。ユーザが新たな目的地を選択しなかった場合には、第1目的地への案内を行う。
【0029】
上述した本実施形態の制御ルーチンの活用シーンは、例えば、車両が電気自動車で充電スポットを検索する場合である。ユーザが、充電完了までの時間を利用してインターネット動画の視聴やオンラインゲームを行おうと考えている場合に、本実施形態の制御によればこれに対応することができる。また、他の例としては、車両をモバイルオフィスとして利用する場合である。外出先で急遽オンライン会議を行うことになり、そのために駐車場を探す場合には、通信品質の確保が必須であるが、本実施形態の制御によればこれに対応することができる。
【0030】
以上のように本実施形態では、ユーザの利用目的に応じた属性と通信品質とに基づいて目的地候補を選出し、目的地候補をユーザに提示する目的地提示方法が提供される。この方法において、ユーザが設定した第1目的地について、少なくとも車両到着時刻における通信品質を推定し、車両到着時刻に通信品質が低下することが予測される場合には、目的地候補群の中から車両到着時刻における通信品質が少なくとも第1目的地より高い新たな目的地候補を少なくとも1つ選出し、これをユーザに提示する。これにより、到着後の通信品質が確保された目的地をユーザに提案することができる。
【0031】
本実施形態では、通信品質が低下するか否かを、第1目的地候補の過去のデータに基づいて予測する。これにより、通信品質が低下するか否かを精度よく予測できる。
【0032】
本実施形態では、新たな目的地の提示及び提案を、文字もしくは図形による表示又は音声通知により行う。これにより、ユーザは、第1目的地は通信品質が確保できないこと及び通信品質の確保できる目的地候補を認知できる。
【0033】
[第2実施形態]
第2実施形態について図3を参照して説明する。
【0034】
図3は本実施形態に係る制御ルーチンを示すフローチャートである。ステップS100~S120、S130~S140は第1実施形態と同様であるが、ステップS120において目的地到着時刻における通信品質が低下しないと判断した場合の処理が異なる。以下、相違点としてのステップS122、S124を中心に説明する。
【0035】
ステップS122で、コントローラ2rは現在及び過去の第1目的地付近の渋滞情報、人の混雑情報、及びイベント情報等を、例えばインターネットの検索機能等を利用して取得する。
【0036】
ステップS124で、コントローラ2rは、ステップS122で取得した情報に基づいて第1目的地の目的地到着時刻における通信の集中度合いを予測し、集中度合いが許容範囲を超えるか否かを判定する。ここでの「許容範囲を超える」とは、通信品質の低下を招く程度に通信が集中することをいう。超える場合はステップS130にて同じ属性の目的地候補群を選出し、そうでない場合は今回のルーチンを終了する。この判定は、例えば、過去に比べて現在の方が渋滞が激しい、同じく人の混雑の度合いが激しい、又は人が集まるようなイベントが予定されている、のいずれかが成立した場合に、集中度合いが許容範囲を超えると判定する。なお、過去のデータと現在のデータとの差を複数の段階に分割し、差が予め設定した閾値を超えた場合に許容範囲を超えると判定してもよい。
【0037】
上記のように、クラウドサーバ6に蓄積された過去データから目的地到着時刻に通信品質は低下しないと予測された場合でも、現在の情報に基づいて通信の集中度合いを予測し、通信品質が低下するほど通信が集中すると予測した場合には、他の目的地候補群をユーザに提示する。これにより、現在の状況を加味して、目的地到着時刻における通信品質をより精度よく推定できる。
【0038】
以上のように本実施形態では、過去のデータに加え、さらに、現在における第1目的地付近の渋滞情報、人の混雑情報、及びイベント情報にも基づいて、通信品質が低下するか否かを予測する。これにより、現在の状況に応じたより精度の高い予測が可能となる。
【0039】
[第3実施形態]
第3実施形態について図4を参照して説明する。
【0040】
図4は本実施形態に係る制御ルーチンを示すフローチャートである。この制御ルーチンは、目的地に到着後、そこに滞在している間の通信品質を担保するためのものである。なお、ここでいう「滞在」とは、所定時間そこに駐停車すること、又はユーザが車内又は車両付近で運転以外の作業を行うことをいう。以下、ステップにしたがって説明する。
【0041】
ステップS200で、コントローラ2rは現在地のKPI情報をクラウドサーバ6から取得する。なお、図3のステップS122と同様に現在以降の通信の集中度合いに関する情報も併せて取得してもよい。
【0042】
ステップS210で、コントローラ2rは現在地の通信品質が低下するか否かをステップS200で取得した情報に基づいて推定する。低下すると推定した場合はステップS220の処理を実行し、そうでない場合は今回のルーチンを終了する。
【0043】
ステップS220で、コントローラ2rは現在地と同じ属性で、かつ現在地よりも通信品質が高く、現時点以降に通信品質が低下するおそれのない新たな目的地候補又は目的地候補群(以下、新目的地候補等ともいう。)を、図2のステップS130と同様に選出する。なお、新目的地等の選出にあたり、移動時間がより短いことや施設の規模等が現在地と同程度であること等を加味してもよい。
【0044】
ステップS230で、コントローラ2rは、現在地から新目的地候補等まで移動した場合、新目的地等に到着するまでの間に、現在地の通信品質が回復するか否かをステップS200で取得した情報に基づいて推定する。回復すると推定した場合はステップS240の処理を実行し、回復しないと推定した場合はステップS250の処理を実行する。
【0045】
ステップS240で、コントローラ2rは、通信品質が低下するという推定結果をユーザに提示せずの今回のルーチンを終了する。
【0046】
ステップS250で、コントローラ2rは、通信品質が低下することが予想されること、及び新目的地等への移動を推奨する旨をユーザに提示する。なお、通信品質の低下が予想される時刻、新目的地までの移動時間等を併せて提示してもよい。
【0047】
上記の制御によれば、ユーザは通信品質の確保を望む場合には新目的地等への移動を選択することができる。なお、ステップS230及びS240のステップは必須ではなく、ステップS220で新目的地等を選出したらステップS250でユーザに提示するようにしてもよい。
【0048】
また、ステップS250におけるユーザへの提示を、ユーザの回線使用頻度が低い時間(例えば一般的に昼休みとなる時間帯)に行うようにしてもよい。オンライン会議中等は提示されても直ちに移動できないからである。なお、この場合はステップS220以降の処理を提示の直前に行うことになる。
【0049】
以上の通り本実施形態では、第1目的地又はユーザが新たな目的地候補から選択した第2目的地に到着したら、第1目的地又は第2目的地に滞在中に通信品質が低下するか否かを推定し、低下すると推定した場合は、より高い通信品質が維持される第3目的地への移動をユーザに提案する。これにより、目的地に到着した後に通信品質が低下するような事態になっても、ユーザは必要であれば提示された新たな目的地へ移動することで通信を利用することができる。
【0050】
本実施形態では、第1目的地又は第2目的地に滞在中に、これから通信品質が低下すると推定した場合には、第1目的地又は第2目的地の通信品質が回復する前に車両が第3目的地に到着すると推定したときのみ、第3目的地への移動をユーザに提案してもよい。新たな目的地に到着する前に現在の場所の通信品質が回復するのであれば、移動に要するエネルギ及び時間が無駄になるが、本実施形態によればその無駄を省くことができる。
【0051】
本実施形態では、第3目的地への移動の提案を、ユーザの通信回線の使用頻度が低い時間帯に行うようにしてもよい。これにより、ユーザは提案に応じて速やかに移動できる。
【0052】
なお、上記説明では送信側車両Vtと受信側車両Vrとを区別しているが、受信側車両Vrは送信側車両Vtと同様の装置も備え、KPI情報をクラウドサーバ6へ送信する送信側車両Vtとしての機能も果たす。また、送信側車両Vtは受信側車両Vrと同様の装置も備え、受信側車両Vrしての機能を果たすこともある。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0054】
1t、1r 通信機、 2t、2r コントローラ、 6 クラウドサーバ
図1
図2
図3
図4