(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125836
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240911BHJP
H01L 23/48 20060101ALI20240911BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/48 G
H01L23/48 J
H01L23/48 Q
H01L23/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033929
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑田 和輝
(72)【発明者】
【氏名】石野 寛
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 良隆
【テーマコード(参考)】
4M109
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA04
4M109FA01
(57)【要約】
【課題】不具合の発生を抑制することができる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】第1引き出し配線18は、第1接続対象15に接続された第1接続部18aと、封止樹脂27から露出した第1頂部18cと、一面11aに対して傾斜し第1接続部18aおよび第1頂部18cを連結する第1立設部18bと、を備え、第2引き出し配線19は、第2接続対象16に接続された第2接続部19aと、封止樹脂27から露出した第2頂部19cと、一面11aに対して傾斜し第2接続部19aおよび第2頂部19cを連結する第2立設部19bと、を備え、第1頂部18cと第2頂部19cとは、互いに対向して配置されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
基板(11)の一面(11a)側に配置された第1接続対象(12a、15)および第2接続対象(12b、16)と、
前記第1接続対象に接続された第1引き出し配線(18、25、31、32)および前記第2接続対象に接続された第2引き出し配線(19、26、30)と、
前記第1接続対象、前記第2接続対象、前記第1引き出し配線、前記第2引き出し配線を封止する封止樹脂(27)と、を備え、
前記第1引き出し配線は、前記第1接続対象に接続された第1接続部(18a、25a、31a、32a)と、前記封止樹脂から露出した第1頂部(18c、25c、31c、32c)と、前記一面に対して傾斜し前記第1接続部および前記第1頂部を連結する第1立設部(18b、25b、31b、32b)と、を備え、
前記第2引き出し配線は、前記第2接続対象に接続された第2接続部(19a、26a、30a)と、前記封止樹脂から露出した第2頂部(19c、26c、30c)と、前記一面に対して傾斜し前記第2接続部および前記第2頂部を連結する第2立設部(19b、26b、30b)と、を備え、
前記第1頂部と前記第2頂部とは、互いに対向して配置されている半導体装置。
【請求項2】
前記第1頂部と前記第2頂部とは、前記封止樹脂に形成された凹部(28)を挟んで対向している請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1頂部の端面と前記第2頂部の端面とは、前記凹部において前記封止樹脂から露出している請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記凹部を埋め込む埋め込み樹脂(34)を備える請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1頂部は、前記第1立設部に接続された部分から前記第2頂部に対向する端部に向かって厚さが小さくなる先細り形状とされており、
前記第2頂部は、前記第2立設部に接続された部分から前記第1頂部に対向する端部に向かって厚さが小さくなる先細り形状とされている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体装置の製造方法であって、
基板(11)の一面(11a)側に複数の接続対象(12a、12b、15、16)を配置することと、
複数の前記接続対象を架橋する形状の架橋配線(29)を形成することと、
前記接続対象および前記架橋配線を封止樹脂(27)で封止することと、
前記封止樹脂の表面に前記架橋配線の一部を露出させることと、
該露出した前記架橋配線を分断することと、を行う半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記分断することでは、該露出した前記架橋配線の一部を除去して複数の前記接続対象を絶縁させるように前記封止樹脂の表面に凹部(28)を形成する請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記架橋配線のうち、前記露出させることで前記封止樹脂から露出する部分に孔部(29t)を形成することを行い、
前記分断することでは、前記架橋配線のうち前記孔部が形成された部分を除去する請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記架橋配線は、複数の前記接続対象に接続される複数の接続部(29a、29d、29f、29h、29j、29l、29n)と、前記接続部に対して前記接続対象とは反対側に配置される頂部(29c)と、前記一面に対して傾斜し前記接続部および前記頂部を連結する複数の立設部(29b、29e、29g、29i、29k、29m、29o)と、を備え、
前記頂部は、前記立設部に接続された部分から中央部に向かって厚さが小さくなっており、
前記封止することでは、前記接続部と、前記立設部と、前記頂部の少なくとも一部とが封止されるように前記封止樹脂を配置し、
前記分断することでは、前記頂部のうち該厚さが小さくされた部分を除去して前記頂部を複数に分断する請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、IGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)素子等の半導体素子を樹脂封止した構成の半導体装置では、半導体素子の電極を、半導体素子に接続されたボンディングワイヤと、封止樹脂の側面から突出したリードとを介してゲート駆動回路に接続している。このような接続方法では、配線が横方向に広がるため、半導体装置の横方向の寸法が大きくなる。また、経路長が長くなるため、寄生インダクタンスが大きくなる。
【0003】
例えば特許文献1では、半導体素子の上面に対して垂直に延設された配線を形成し、この配線により半導体素子と駆動回路とを接続している。これによれば、ワイヤボンドレス化による半導体装置の小型化や、経路短縮による寄生インダクタンスの低減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、垂直に引き出された配線は単独では保持が困難であるため、樹脂封止時に配線が倒れて工程不具合が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、不具合の発生を抑制することができる半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、半導体装置であって、基板(11)の一面(11a)側に配置された第1接続対象(12a、15)および第2接続対象(12b、16)と、第1接続対象に接続された第1引き出し配線(18、25、31、32)および第2接続対象に接続された第2引き出し配線(19、26、30)と、第1接続対象、第2接続対象、第1引き出し配線、第2引き出し配線を封止する封止樹脂(27)と、を備え、第1引き出し配線は、第1接続対象に接続された第1接続部(18a、25a、31a、32a)と、封止樹脂から露出した第1頂部(18c、25c、31c、32c)と、一面に対して傾斜し第1接続部および第1頂部を連結する第1立設部(18b、25b、31b、32b)と、を備え、第2引き出し配線は、第2接続対象に接続された第2接続部(19a、26a、30a)と、封止樹脂から露出した第2頂部(19c、26c、30c)と、一面に対して傾斜し第2接続部および第2頂部を連結する第2立設部(19b、26b、30b)と、を備え、第1頂部と第2頂部とは、互いに対向して配置されている。
【0008】
第1頂部と第2頂部とが互いに対向して配置された第1引き出し配線および第2引き出し配線は、半導体装置の製造時に、第1接続対象と第2接続対象とを架橋する形状の配線を形成し、樹脂封止後にこの配線の一部を除去することによって形成することができる。配線を複数の接続対象を架橋する形状とすることにより、配線が複数の点で支持されるため、樹脂封止による配線の倒れを抑制し、不具合の発生を抑制することができる。
【0009】
また、請求項6に記載の発明では、半導体装置の製造方法であって、基板(11)の一面(11a)側に複数の接続対象(12a、12b、15、16)を配置することと、複数の接続対象を架橋する形状の架橋配線(29)を形成することと、接続対象および架橋配線を封止樹脂(27)で封止することと、封止樹脂の表面に架橋配線の一部を露出させることと、該露出した架橋配線を分断することと、を行う。
【0010】
これによれば、配線が複数の接続対象を架橋する形状とされ、複数の点で支持されるため、樹脂封止による配線の倒れを抑制し、不具合の発生を抑制することができる。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態にかかる半導体装置の斜視図である。
【
図6A】半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図6B】
図6Aに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図6C】
図6Bに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図6D】
図6Cに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図6E】
図6Dに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図10】第2実施形態にかかる半導体装置の上面図である。
【
図11】半導体装置の内部構成を示す上面図である。
【
図12】配線が配置された様子を示す上面図である。
【
図13】半導体装置の製造工程を示す上面図である。
【
図14】第3実施形態における半導体装置の製造工程を示す斜視図である。
【
図15】半導体装置の製造工程を示す上面図である。
【
図16】第4実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【
図17】第5実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【
図18A】半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図19】第6実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【
図20A】半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。
図1~
図5に示す本実施形態の半導体装置10は、例えばモータ駆動のためのスイッチング装置として用いられるパワーモジュールである。
図1~
図5に示すように、半導体装置10は、基板11と、上面配線12と、下面配線13と、接合材14と、半導体素子15と、半導体素子16と、接合材17とを備える。また、半導体装置10は、引き出し配線18と、引き出し配線19と、バスバー20と、バスバー21と、P端子22と、N端子23と、O端子24と、引き出し配線25と、引き出し配線26と、封止樹脂27とを備える。
図5に示すように、半導体装置10は、駆動回路50に接続されている。駆動回路50は、半導体素子15、16を駆動するための回路である。
【0015】
基板11は、樹脂等で構成された絶縁性基板である。基板11の上面、下面をそれぞれ一面11a、他面11bとする。一面11a、他面11bにはそれぞれ上面配線12、下面配線13が形成されている。上面配線12、下面配線13は銅、アルミニウム等の導電性金属で構成されている。上面配線12の上面には、接合材14によって半導体素子15、半導体素子16が接合されている。接合材14は、はんだ等で構成されている。
【0016】
半導体素子15、16は、例えばIGBT素子や、SiC(炭化珪素)を用いたMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)素子等のスイッチング素子である。上面配線12のうち、半導体素子15が配置された部分を上面配線12aとし、半導体素子16が配置された部分を上面配線12bとする。
図3、
図4に示すように、上面配線12a、12bは分離されている。半導体素子15および上面配線12aは、第1接続対象に相当する。半導体素子16および上面配線12bは、第2接続対象に相当する。
【0017】
図5に示すように、半導体素子15、16には、それぞれのゲート電極に接続された信号パッド15a、16aが形成されている。信号パッド15a、16aは、それぞれ複数形成されている。半導体素子15、16は、信号パッド15a、16aにおいて、接合材17によって引き出し配線18、19に接続されている。接合材17は、はんだ等で構成されている。引き出し配線18、19は、半導体素子15、16を駆動回路50に接続するためのものであり、アルミニウム等の導電性金属で構成されている。
【0018】
図2に示すように、半導体素子15、16の上面には、バスバー20、21が接合されている。半導体素子15、16は、バスバー20、21、上面配線12を介して、P端子22、N端子23、O端子24に接続されている。P端子22、N端子23、O端子24は、半導体素子15、16を図示しない電源に接続するためのものであり、アルミニウム等で構成されている。
【0019】
引き出し配線25、26は、上面配線12a、12bを駆動回路50に接続するためのものであり、アルミニウム等の導電性金属で構成されている。引き出し配線18、25は、第1引き出し配線に相当する。引き出し配線19、26は、第2引き出し配線に相当する。
【0020】
図1、
図5に示すように、基板11~引き出し配線26は、封止樹脂27によって封止されている。一面11aに平行で互いに垂直な2方向をそれぞれX方向、Y方向とする。半導体素子15、16はX方向に並んでおり、封止樹脂27は、X方向を長手方向とし、Y方向を短手方向とする矩形板状に形成されている。封止樹脂27の上面、すなわち、基板11に対して半導体素子15、16と同じ側の面を一面27aとし、上面とは反対側の下面を他面27bとする。また、封止樹脂27の側面のうち、Y方向に平行な2つの面をそれぞれ側面27c、27dとする。
【0021】
下面配線13のうち基板11とは反対側の面は、他面27bに露出している。P端子22、N端子23のうち上面配線12、半導体素子15、16等とは反対側の端部は、側面27cから突出している。O端子24のうち上面配線12、半導体素子15、16等とは反対側の端部は、側面27dから突出している。
図1に示すように、封止樹脂27の一部は、側面27cから突出して、P端子22、N端子23の根元を覆っている。また、封止樹脂27の一部は、側面27dから突出して、O端子24の根元を覆っている。
【0022】
引き出し配線18は、一部が封止樹脂27から露出している。具体的には、
図3~
図5に示すように、引き出し配線18は、接続部18aと、立設部18bと、頂部18cとを備えている。接続部18aは、半導体素子15に接続された部分であり、一面11aに平行な板状に形成されている。立設部18bは、接続部18aと頂部18cとを連結する部分であり、一面11aに対して傾斜して、半導体素子15に対して基板11とは反対側に立設されている。頂部18cは、駆動回路50に接続される部分であり、一面11aに平行な板状に形成されている。引き出し配線18は、頂部18cの上面において一面27aに露出している。頂部18cは、一面27aのうち、側面27c、27dおよび他の2つの側面から離れた内周部に露出しており、頂部18cの上面は一面27aと同じ平面を構成している。
【0023】
引き出し配線19、25、26についても、これと同様である。すなわち、引き出し配線19は、接続部19aと、立設部19bと、頂部19cとを備えている。接続部19aは、半導体素子16に接続された部分である。立設部19bは、接続部19aと頂部19cとを連結する部分である。頂部19cは、駆動回路50に接続される部分である。
【0024】
また、引き出し配線25は、接続部25aと、立設部25bと、頂部25cとを備えている。接続部25aは、上面配線12aに接続された部分である。立設部25bは、接続部25aと頂部25cとを連結する部分である。頂部25cは、駆動回路50に接続される部分である。
【0025】
また、引き出し配線26は、接続部26aと、立設部26bと、頂部26cとを備えている。接続部26aは、上面配線12bに接続された部分である。立設部26bは、接続部26aと頂部26cとを連結する部分である。頂部26cは、駆動回路50に接続される部分である。
【0026】
そして、接続部19a、25a、26a、頂部19c、25c、26cは、一面11aに平行な板状に形成されている。立設部19b、25b、26bは、一面11aに対して傾斜して、半導体素子16、上面配線12a、12bに対して基板11とは反対側に立設されている。引き出し配線19、25、26は、頂部19c、25c、26cの上面において一面27aに露出している。頂部19c、25c、26cは、一面27aのうち、側面27c、27dおよび他の2つの側面から離れた内周部に露出しており、頂部19c、25c、26cの上面は一面27aと同じ平面を構成している。
【0027】
本実施形態では、立設部18b、19b、25b、26bは、一面11aに対して垂直な板状の部材とされている。接続部18a、25aは第1接続部に相当し、立設部18b、25bは第1立設部に相当し、頂部18c、25cは第1頂部に相当する。接続部19a、26aは第2接続部に相当し、立設部19b、26bは第2立設部に相当し、頂部19c、26cは第2頂部に相当する。
【0028】
図1、
図5に示すように、封止樹脂27には、凹部28が形成されている。凹部28は、一面27aに開口して、Y方向に直線状に延設されている。凹部28は、頂部18c、25cと頂部19c、26cとの間に形成されており、頂部18c、25cと頂部19c、26cとは、凹部28を挟んで対向している。頂部18c、25cの端面と、頂部19c、26cの端面は、凹部28において露出している。
【0029】
引き出し配線18、19は、それぞれ複数形成されている。具体的には、半導体素子15、16には5つの信号パッド15a、16aが形成されており、
図1~
図4に示すように、引き出し配線18、19は信号パッド15a、16aに対応してそれぞれ5つ形成されている。5つの引き出し配線18と引き出し配線25とは、Y方向に並んでいる。また、5つの引き出し配線19と引き出し配線26とは、凹部28に対して引き出し配線18、25とは反対側において、Y方向に並んでいる。
図4の破線部は、凹部28に対応する領域である。そして、5つの頂部18cおよび頂部25cの端面と、5つの頂部19cおよび頂部26cの端面とは、凹部28において露出し、凹部28を挟んで対向している。
【0030】
なお、頂部18c、25cは、凹部28を挟んで頂部19c、26cの正面に位置していてもよいし、
図1~
図4に示すように頂部19c、26cに対してY方向に沿ってずれた場所に位置していてもよい。
【0031】
半導体素子15、16は、P端子22、N端子23、O端子24を介して図示しない電源および図示しないモータ等の電気負荷に接続される。また、
図5に示すように、半導体素子15、16は、引き出し配線18、19、および接合材60を介して駆動回路50に接続される。半導体装置10では、駆動回路50から半導体素子15、16のゲート電極に入力される信号によって半導体素子15、16のオンとオフとが切り替えられ、電気負荷への供給電流が制御される。
【0032】
半導体装置10の製造方法について説明する。本実施形態の半導体装置10は、
図6A~
図6Eに示す工程によって製造される。
図6Aに示す工程では、基板11を用意し、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、一面11aに上面配線12を形成し、他面11bに下面配線13を形成する。また、半導体プロセスによって半導体素子15、16を形成し、接合材14によって上面配線12a、12bの上面に半導体素子15、16を接合する。
図6A~
図6Eでは図示を省略しているが、半導体素子15、16が上面配線12に接合された後に、バスバー20、21、P端子22、N端子23、O端子24が半導体素子15、16、上面配線12に接合される。
【0033】
図6Bに示す工程では、半導体素子15、16に配線を接続する。具体的には、半導体素子15と半導体素子16とを接続する架橋配線29を用意し、半導体素子15、16の上面に形成された信号パッド15a、16aに、接合材17によって架橋配線29を接合する。なお、架橋配線29は、上面配線12a、12bにも接合される。
【0034】
図6B、
図7に示すように、架橋配線29は、接続部29aと、立設部29bと、頂部29cとを備えている。接続部29aは、信号パッド15aに接続された部分であり、一面11aに平行な板状に形成されている。立設部29bは、接続部29aと頂部29cとを連結する部分であり、一面11aに対して傾斜して、半導体素子15に対して基板11とは反対側に立設されている。頂部29cは、接続部29aに対して半導体素子15とは反対側に配置されており、一面11aに平行な板状に形成されている。頂部29cは、厚さが一定とされている。
【0035】
また、架橋配線29は、信号パッド16aに接続された接続部29dと、接続部29dと頂部29cとを連結する立設部29eとを備えている。また、架橋配線29は、上面配線12aに接続された接続部29fと、接続部29fと頂部29cとを連結する立設部29gとを備えている。また、架橋配線29は、上面配線12bに接続された接続部29hと、接続部29hと頂部29cとを連結する立設部29iとを備えている。接続部29d、29f、29hは、一面11aに平行な板状に形成されている。立設部29e、29g、29iは、一面11aに対して傾斜して、半導体素子16、上面配線12a、12bに対して基板11とは反対側に立設されている。本実施形態では、立設部29b、29e、29g、29iは、一面11aに対して垂直な板状の部材とされている。
【0036】
架橋配線29は、複数の信号パッド15a、16aに対応して、複数の接続部29a、29dを備えている。立設部29b、29eは、接続部29a、29dに対応して複数形成されており、1つの頂部29cに対して複数の立設部29b、29eと立設部29g、29iとが接続されている。頂部29cは、X方向に延設されて立設部29b、29e、29g、29iに連結された部分と、この立設部29b、29e、29g、29iに連結された部分を連結するようにY方向に延設された部分とで構成されている。前述したように信号パッド15a、16aはそれぞれ5つ形成されており、接続部29a、29d、立設部29b、29eはそれぞれ5つ形成されている。
【0037】
このように、架橋配線29は、半導体素子15および上面配線12aと、半導体素子16および上面配線12bとを架橋する形状とされている。このような形状の架橋配線29は、例えばプレス成形によって形成される。
【0038】
図6Cに示す工程では、基板11~接合材17、架橋配線29を、封止樹脂27によって封止する。なお、封止樹脂27は、下面配線13のうち基板11とは反対側の面、および、P端子22~O端子24の端部が封止樹脂27から露出するように形成される。
【0039】
図6Dに示す工程では、封止樹脂27の一部を除去し、頂部29cを露出させる。具体的には、封止樹脂27のうち頂部29cよりも上部に位置する表層部を切削によって除去する。これにより、頂部29cの上面が封止樹脂27から露出する。
【0040】
図6Eに示す工程では、頂部29cの一部を除去して架橋配線29を分断し、互いに電気的に絶縁された引き出し配線18、19、25、26を形成する。具体的には、頂部29cのうちY方向に延設された部分と、その下の封止樹脂27の一部とを切削により除去して、Y方向に延設された凹部28を形成する。
【0041】
これにより、架橋配線29が引き出し配線18、19、25、26に分断される。すなわち、接続部29aと、立設部29bと、頂部29cのうち立設部29bに連結された部分とが、それぞれ、接続部18a、立設部18b、頂部18cとなる。また、接続部29dと、立設部29eと、頂部29cのうち立設部29eに連結された部分とが、それぞれ、接続部19a、立設部19b、頂部19cとなる。また、接続部29fと、立設部29gと、頂部29cのうち立設部29gに連結された部分とが、それぞれ、接続部25a、立設部25b、頂部25cとなる。また、接続部29hと、立設部29iと、頂部29cのうち立設部29iに連結された部分とが、それぞれ、接続部26a、立設部26b、頂部26cとなる。
【0042】
本実施形態の効果について説明する。
図8に示す比較例は、本実施形態の半導体装置10とは異なり、引き出し配線18、19の代わりに垂直配線100を備えている。垂直配線100は、一面11aに対して垂直な方向に延設された棒状の配線とされており、一端が接合材17を介して信号パッド15a、16aに接続されており、他端が接合材60を介して駆動回路50に接続されている。また、この比較例は、引き出し配線25、26の代わりに図示しない2つの垂直配線を備えている。2つの垂直配線は、一面11aに対して垂直な方向に延設された棒状の配線とされており、一端が上面配線12a、12bに接続されており、他端が駆動回路50に接続されている。
【0043】
比較例では、
図6Aに示す工程の後、例えば
図9に示すように垂直配線100が配置される。すなわち、複数の垂直配線100がそれぞれ単独で半導体素子15、16に接合され、一面11aに対して垂直に立設される。
【0044】
このように各垂直配線100を単独で保持した状態で、
図6Cに示す工程と同様に基板11等を樹脂封止すると、垂直配線100の保持が不安定であるため、樹脂の流入により垂直配線100が倒れて工程不具合が発生するおそれがある。
【0045】
これに対して、本実施形態では、後に引き出し配線18、19、25、26となる架橋配線29が、上面配線12a、12b、半導体素子15、16を架橋するように配置され、接続部29a、29d、29f、29hによって複数の点で支持される。そのため、架橋配線29を安定して保持することが可能となり、樹脂封止時に架橋配線29が倒れにくくなる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、複数の接続対象を架橋する形状の架橋配線29を配置し、封止樹脂27から露出した頂部29cを分断することにより引き出し配線18、19、25、26を形成する。これによれば、架橋配線29が複数の点で支持されるため、樹脂封止による架橋配線29の倒れを抑制し、工程不具合の発生を抑制することができる。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して上面配線12、架橋配線29の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0048】
図10に示すように、本実施形態のP端子22、N端子23、O端子24は、封止樹脂27の一面27aに露出している。
図11に示すように、上面配線12a、12bは、半導体素子15、16の外側に広い面積が確保されている。具体的には、上面配線12aのうち半導体素子15に対してY方向一方側に、矩形状の領域12cが確保されている。また、上面配線12bのうち半導体素子16に対してY方向他方側に、矩形状の領域12dが確保されている。引き出し配線25、26は、それぞれ領域12c、12dに接続されている。
図12に示すように、半導体装置10は、引き出し配線30、31、32と、バスバー33とを備えている。
【0049】
引き出し配線30は、上面配線12bを駆動回路50に接続するためのものである。引き出し配線30は、接続部30aと、立設部30bと、頂部30cとを備えている。接続部30aは、上面配線12bに接続された部分であり、領域12dに接合されている。立設部30bは、接続部30aと頂部30cとを連結するものであり、一面11aに対して傾斜するように、上面配線12bに対して基板11とは反対側に立設されている。頂部30cは、一面27aに露出して駆動回路50に接続される部分である。P端子22は、頂部30cで構成されている。
【0050】
引き出し配線31は、半導体素子15の上面に形成された電極を駆動回路50に接続するためのものである。引き出し配線31は、接続部31aと、立設部31bと、頂部31cとを備えている。接続部31aは、半導体素子15の上面電極に接続された部分である。立設部31bは、接続部31aと頂部31cとを連結するものであり、一面11aに対して傾斜するように、半導体素子15に対して基板11とは反対側に立設されている。頂部31cは、一面27aに露出して駆動回路50に接続される部分である。N端子23は、頂部31cで構成されている。
【0051】
引き出し配線32は、上面配線12aを駆動回路50に接続するためのものである。引き出し配線32は、接続部32aと、立設部32bと、頂部32cとを備えている。接続部32aは、上面配線12aに接続された部分であり、領域12cに接合されている。立設部32bは、接続部32aと頂部32cとを連結するものであり、一面11aに対して傾斜するように、上面配線12aに対して基板11とは反対側に立設されている。頂部32cは、一面27aに露出して駆動回路50に接続される部分である。O端子24は、頂部32cで構成されている。
【0052】
接続部30a、31a、32a、頂部30c、31c、32cは、一面11aに平行な板状の部材とされている。立設部30b、31b、32bは、一面11aに垂直な板状の部材とされている。
【0053】
半導体素子16の上面には、バスバー33が接合されている。半導体素子15、16は、上面配線12、引き出し配線30、31、32、バスバー33を介して、駆動回路50に接続されている。
【0054】
図10に示すように、頂部18c、25c、31c、32cは、Y方向において頂部32c、25c、18c、31cの順に並んでいる。頂部19c、26c、30cは、Y方向において頂部19c、26c、30cの順に並んでいる。頂部18c、25c、31c、32cと、頂部19c、26c、30cとは、凹部28を挟んで対向している。頂部18c、25c、31c、32cの先端面と、頂部19c、26c、30cの先端面とは、凹部28において露出している。
【0055】
本実施形態では、引き出し配線18、25、31、32が第1引き出し配線に相当し、引き出し配線19、26、30が第2引き出し配線に相当する。接続部31a、32aは第1接続部に相当し、立設部31b、32bは第1立設部に相当し、頂部31c、32cは第1頂部に相当する。接続部30aは第2接続部に相当し、立設部30bは第2立設部に相当し、頂部30cは第2頂部に相当する。
【0056】
本実施形態では、
図6Aに示す工程の後、
図13に示す形状の架橋配線29とバスバー33が配置される。本実施形態の架橋配線29は、半導体素子15の信号パッド15aと、半導体素子15の上面電極と、領域12cと、半導体素子16の信号パッド16aと、領域12dとを架橋する形状とされる。架橋配線29は、接続部29a~立設部29iに加えて、接続部29jと、立設部29kと、接続部29lと、立設部29mと、接続部29nと、立設部29oと、を備える。
【0057】
接続部29jは、領域12dに接続された部分である。立設部29kは、接続部29jと頂部29cとを連結する部分である。接続部29lは、半導体素子15の上面電極に接続された部分である。立設部29mは、接続部29lと頂部29cとを連結する部分である。接続部29nは、領域12cに接続された部分である。立設部29oは、接続部29nと頂部29cとを連結する部分である。
【0058】
接続部29j、29l、29nは、一面11aに平行な板状に形成されている。立設部29k、29m、29oは、一面11aに対して傾斜して、上面配線12、半導体素子15に対して基板11とは反対側に立設されている。本実施形態では、立設部29k、29m、29oは、一面11aに対して垂直な板状の部材とされている。
【0059】
頂部29cは、Y方向に延設された部分を含んでいる。この延設された部分を頂部29pとする。頂部29cは、頂部29pのY方向一方側端部においてX方向一方側に延設されている。この延設された部分を頂部29qとする。頂部29cは、頂部29pのY方向他方側端部においてX方向一方側とX方向他方側に延設されている。このX方向一方側に延設された部分を頂部29rとし、X方向他方側に延設された部分を頂部29sとする。
【0060】
立設部29b、29gは、頂部29pのX方向一方側に連結されている。立設部29e、29iは、頂部29pのX方向他方側に連結されている。立設部29kは、頂部29sのY方向一方側に連結されている。立設部29mは、頂部29rのY方向一方側に連結されている。立設部29oは、頂部29qのY方向他方側に連結されている。
【0061】
本実施形態では、基板11等を封止樹脂27で封止し、封止樹脂27を切削して頂部29cを露出させた後、頂部29pを除去するように切削を行い、凹部28を形成する。これにより架橋配線29が分断され、引き出し配線18、19、25、26、30、31、32が形成される。
【0062】
すなわち、第1実施形態と同様に接続部29a、29d、29f、29h、立設部29b、29e、29g、29i、頂部29cの一部が引き出し配線18、19、25、26となる。また、接続部29j、立設部29k、頂部29sがそれぞれ接続部30a、立設部30b、頂部30cとなる。また、接続部29l、立設部29m、頂部29rがそれぞれ接続部31a、立設部31b、頂部31cとなる。また、接続部29n、立設部29o、頂部29qがそれぞれ接続部32a、立設部32b、頂部32cとなる。
【0063】
本実施形態では、接合面積の大きいパワー配線の一部を架橋配線29で構成しているため、架橋配線29をさらに安定して保持することが可能となり、樹脂封止による架橋配線29の倒れをさらに抑制することができる。
【0064】
本実施形態は、第1実施形態と同様の構成および作動からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して架橋配線29の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
本実施形態では、
図6Bに示す工程において、
図14に示す架橋配線29を配置する。この架橋配線29には、頂部29cを貫通する孔部29tが形成されている。孔部29tは複数形成されており、複数の孔部29tは、Y方向に並ぶように形成されている。なお、
図14では孔部29tは頂部29cの上面において円形状に開口しているが、孔部29tが他の形状、例えば矩形状に開口していてもよい。孔部29tは、例えば架橋配線29をプレス成形する際に形成される。
【0067】
図6Eに示す工程では、孔部29tを基準に切削工具の位置合わせをして切削を行う。具体的には、
図15に示すように、複数の孔部29tを結ぶ直線L1が切削工具の移動経路の中心軸となるように設定し、切削を行う。
【0068】
本実施形態は、第1実施形態と同様の構成および作動からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0070】
(1)架橋配線29のうち
図6Dに示す工程で封止樹脂27から露出する部分に孔部29tを形成し、
図6Eに示す工程では架橋配線29のうち孔部29tが形成された部分を除去する。これによれば、凹部28が形成される領域の中心軸が視認しやすくなるため、凹部28の位置ずれを抑制することができる。また、凹部28の形成時に除去される部分のうち、頂部29cの占める部分が減って封止樹脂27の占める部分が増えるため、架橋配線29への切削ストレスが低減し、架橋配線29の封止樹脂27からの剥離を抑制することができ、絶縁性を向上させることができる。
【0071】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して埋め込み樹脂を追加したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0072】
図16に示すように、本実施形態の半導体装置10は、凹部28を埋め込む埋め込み樹脂34を備える。頂部18cの先端面と頂部19cの先端面とは、埋め込み樹脂34を挟んで対向している。埋め込み樹脂34は絶縁性の樹脂材料で構成されている。また、埋め込み樹脂34は、隙間を埋めるのに適した、封止樹脂27よりもフィラーの小さい樹脂とされている。
【0073】
埋め込み樹脂34は、
図6Eに示す工程の後、駆動回路50が半導体装置10に接合される前に、例えば塗布によって凹部28に埋め込まれる。
【0074】
本実施形態は、第1実施形態と同様の構成および作動からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0076】
(1)凹部28を埋め込む埋め込み樹脂34を備える。これによれば、頂部18c、19cの先端が樹脂で覆われるため、絶縁性が向上する。
【0077】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して封止樹脂27、架橋配線29の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0078】
図17に示すように、本実施形態の封止樹脂27には凹部28が形成されておらず、一面27aは平坦面とされている。そして、頂部18cと頂部19cとは、封止樹脂27の一部を挟んで対向している。
【0079】
本実施形態では、
図6Aに示す工程の後、
図18Aに示す形状の架橋配線29が配置される。この架橋配線29では、頂部29cの下面側に凹部が形成されている。この凹部は、頂部29cのY方向一方側端部から他方側端部に至るように、Y方向に平行な直線状に形成されている。これにより、頂部29cは、立設部29b、29e、29g、29iに接続された部分よりも中央部の厚さが小さくされている。
【0080】
図18Bに示す工程では、基板11等を樹脂封止した後、破線L2の位置まで封止樹脂27および架橋配線29を切削する。これにより、頂部29cのうち厚さが小さくされた中央部が除去されて、架橋配線29が分断され、引き出し配線18、19、25、26が形成される。
【0081】
なお、
図18Bに示す工程では、頂部29cのうち少なくとも破線L2より下の部分が封止樹脂27によって封止されればよく、架橋配線29のうち破線L2よりも上の部分が封止樹脂27から露出していてもよい。
【0082】
本実施形態は、第1実施形態と同様の構成および作動からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。本実施形態は、第5実施形態に対して架橋配線29の形状を変更したものであり、その他については第5実施形態と同様であるため、第5実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0084】
図19に示すように、本実施形態の頂部18cは、立設部18bに接続された部分から頂部19cに対向する端部に向かって厚さが小さくなる先細り形状とされている。また、頂部19cは、立設部19bに接続された部分から頂部18cに対向する端部に向かって厚さが小さくなる先細り形状とされている。
【0085】
本実施形態では、
図6Aに示す工程の後、
図20Aに示す形状の架橋配線29が配置される。この架橋配線29では、頂部29cの下面側に凹部が形成されている。この凹部は、頂部29cのY方向一方側端部から他方側端部に至るように、Y方向に平行な直線状に形成されている。また、この凹部は、頂部29cのX方向一方側端部および他方側端部から中央部に近づくにつれて深さが大きくなるように形成されている。これにより、頂部29cは、立設部29b、29e、29g、29iに接続された部分から中央部に向かって厚さが小さくされている。
【0086】
図20Bに示す工程では、基板11等を樹脂封止した後、破線L3の位置まで封止樹脂27および架橋配線29を切削する。これにより、頂部29cのうち厚さが所定値よりも小さくされた中央部が除去されて、架橋配線29が分断され、引き出し配線18、19、25、26が形成される。
【0087】
なお、
図20Bに示す工程では、頂部29cのうち少なくとも破線L3より下の部分が封止樹脂27によって封止されればよく、架橋配線29のうち破線L3よりも上の部分が封止樹脂27から露出していてもよい。
【0088】
本実施形態は、第1、第5実施形態と同様の構成および作動からは第1、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0090】
第2実施形態において、第3実施形態のように孔部29tを形成してもよい。第2、第3実施形態において、第4実施形態のように凹部28を埋め込み樹脂34で埋め込んでもよい。第2~第4実施形態において、第5、第6実施形態のように頂部29cの一部を薄くしてもよい。第5、第6実施形態において、第1実施形態のように凹部28を形成して架橋配線29を分断してもよい。
【0091】
上記各実施形態では、半導体素子15および上面配線12aを第1接続対象とし、半導体素子16および上面配線12bを第2接続対象としたが、半導体素子15のみを第1接続対象としてもよいし、上面配線12aのみを第1接続対象としてもよい。また、半導体素子16のみを第2接続対象としてもよいし、上面配線12bのみを第2接続対象としてもよい。また、第1、第2接続対象に半導体素子15、16、上面配線12以外の部材が含まれていてもよい。例えば、第1、第2接続対象のうち一方または両方に基板11が含まれていてもよい。
【0092】
架橋配線29は、少なくとも2点で支持されればよい。すなわち、半導体装置10が、第1引き出し配線と第2引き出し配線を少なくとも1つずつ備えていればよい。しかしながら、架橋配線29を3点で支持することにより、架橋配線29をさらに安定して保持することが可能となり、樹脂封止による架橋配線29の倒れをさらに抑制することができる。この場合、第1引き出し配線と第2引き出し配線の少なくともいずれか一方が2つ以上形成される。
【0093】
立設部18b、立設部19c、立設部29bは、基板11の上面に対して傾斜して上方に引き出されていればよく、基板11の上面に垂直でなくてもよい。
【0094】
(本開示の特徴)
[第1の観点]
半導体装置であって、
基板(11)の一面(11a)側に配置された第1接続対象(12a、15)および第2接続対象(12b、16)と、
前記第1接続対象に接続された第1引き出し配線(18、25、31、32)および前記第2接続対象に接続された第2引き出し配線(19、26、30)と、
前記第1接続対象、前記第2接続対象、前記第1引き出し配線、前記第2引き出し配線を封止する封止樹脂(27)と、を備え、
前記第1引き出し配線は、前記第1接続対象に接続された第1接続部(18a、25a、31a、32a)と、前記封止樹脂から露出した第1頂部(18c、25c、31c、32c)と、前記一面に対して傾斜し前記第1接続部および前記第1頂部を連結する第1立設部(18b、25b、31b、32b)と、を備え、
前記第2引き出し配線は、前記第2接続対象に接続された第2接続部(19a、26a、30a)と、前記封止樹脂から露出した第2頂部(19c、26c、30c)と、前記一面に対して傾斜し前記第2接続部および前記第2頂部を連結する第2立設部(19b、26b、30b)と、を備え、
前記第1頂部と前記第2頂部とは、互いに対向して配置されている半導体装置。
[第2の観点]
前記第1頂部と前記第2頂部とは、前記封止樹脂に形成された凹部(28)を挟んで対向している第1の観点に記載の半導体装置。
[第3の観点]
前記第1頂部の端面と前記第2頂部の端面とは、前記凹部において前記封止樹脂から露出している第2の観点に記載の半導体装置。
[第4の観点]
前記凹部を埋め込む埋め込み樹脂(34)を備える第2または第3の観点に記載の半導体装置。
[第5の観点]
前記第1頂部は、前記第1立設部に接続された部分から前記第2頂部に対向する端部に向かって厚さが小さくなる先細り形状とされており、
前記第2頂部は、前記第2立設部に接続された部分から前記第1頂部に対向する端部に向かって厚さが小さくなる先細り形状とされている第1ないし第4の観点のいずれか1つに記載の半導体装置。
[第6の観点]
半導体装置の製造方法であって、
基板(11)の一面(11a)側に複数の接続対象(12a、12b、15、16)を配置することと、
複数の前記接続対象を架橋する形状の架橋配線(29)を形成することと、
前記接続対象および前記架橋配線を封止樹脂(27)で封止することと、
前記封止樹脂の表面に前記架橋配線の一部を露出させることと、
該露出した前記架橋配線を分断することと、を行う半導体装置の製造方法。
[第7の観点]
前記分断することでは、該露出した前記架橋配線の一部を除去して複数の前記接続対象を絶縁させるように前記封止樹脂の表面に凹部(28)を形成する第6の観点に記載の半導体装置の製造方法。
[第8の観点]
前記架橋配線のうち、前記露出させることで前記封止樹脂から露出する部分に孔部(29t)を形成することを行い、
前記分断することでは、前記架橋配線のうち前記孔部が形成された部分を除去する第7の観点に記載の半導体装置の製造方法。
[第9の観点]
前記架橋配線は、複数の前記接続対象に接続される複数の接続部(29a、29d、29f、29h、29j、29l、29n)と、前記接続部に対して前記接続対象とは反対側に配置される頂部(29c)と、前記一面に対して傾斜し前記接続部および前記頂部を連結する複数の立設部(29b、29e、29g、29i、29k、29m、29o)と、を備え、
前記頂部は、前記立設部に接続された部分から中央部に向かって厚さが小さくなっており、
前記封止することでは、前記接続部と、前記立設部と、前記頂部の少なくとも一部とが封止されるように前記封止樹脂を配置し、
前記分断することでは、前記頂部のうち該厚さが小さくされた部分を除去して前記頂部を複数に分断する第6ないし第8の観点のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0095】
11 基板
12、12a、12b 上面配線
15 半導体素子
16 半導体素子
18 引き出し配線
19 引き出し配線
27 封止樹脂