(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125838
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】静電容量測定回路モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
H01L27/04 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033932
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 正博
(72)【発明者】
【氏名】重高 寛
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038AZ02
5F038AZ07
5F038BH10
5F038BH19
5F038CA02
5F038CA10
5F038DT12
5F038DT20
(57)【要約】
【課題】ノイズの影響をより確実に低減可能な静電容量測定回路モジュールを提供する。
【解決手段】静電容量測定回路モジュールは、配線基板に設けられる入力検出用のセンサ電極と、センサ電極をシールドするセンサ側シールド電極と、センサ電極に接続される基板側測定端子と、センサ側シールド電極に接続される基板側シールド端子と、基板側測定端子に接続される回路側測定端子と、基板側シールド端子に接続される回路側シールド端子とを有し、回路側測定端子から測定信号を出力するとともに、回路側シールド端子から測定信号と同一周波数かつ同一位相のシールド信号を出力する測定集積回路であって、配線基板に設けられ、センサ電極の静電容量を測定する測定集積回路と、配線基板上において測定集積回路に対向するとともに基板側測定端子に隣接する位置に設けられ、基板側シールド端子に接続される回路側シールド電極とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板に設けられる入力検出用のセンサ電極と、
前記配線基板に設けられ、前記センサ電極をシールドするセンサ側シールド電極と、
前記配線基板に設けられ、前記センサ電極に接続される基板側測定端子と、
前記配線基板に設けられ、前記センサ側シールド電極に接続される基板側シールド端子と、
前記基板側測定端子に接続される回路側測定端子と、前記基板側シールド端子に接続される回路側シールド端子とを有し、前記回路側測定端子から測定信号を出力するとともに、前記回路側シールド端子から前記測定信号と同一周波数かつ同一位相のシールド信号を出力する測定集積回路であって、前記配線基板に設けられ、前記センサ電極の静電容量を測定する測定集積回路と、
前記配線基板上において前記測定集積回路に対向するとともに前記基板側測定端子に隣接する位置に設けられ、前記基板側シールド端子に接続される回路側シールド電極と
を備える、静電容量測定回路モジュール。
【請求項2】
前記配線基板に設けられるグランド電極をさらに含み、
前記測定集積回路は、前記グランド電極に接続される複数の回路側グランド端子を有するとともに、前記回路側測定端子を複数有し、
前記複数の回路側測定端子の各々の隣りには、前記複数の回路側測定端子のうちの自己以外のいずれか1つ、又は、前記複数の回路側グランド端子のうちのいずれか1つが位置する、請求項1に記載の静電容量測定回路モジュール。
【請求項3】
前記測定集積回路は、
平面視で四辺を有する矩形状であり、
電源に接続される電源端子と、
静電容量値を表す信号を出力する出力端子と、
デジタル信号が入力又は出力される制御端子と
をさらに有し、
前記四辺のうちの3つの測定辺には、前記複数の回路側測定端子と、前記回路側シールド端子と、前記複数の回路側グランド端子のうちの一部の回路側グランド端子とが設けられ、
前記四辺のうちの前記3つの測定辺以外の制御辺には、前記電源端子と、前記出力端子と、前記制御端子と、前記複数の回路側グランド端子のうちの少なくとも1つの前記回路側グランド端子とが設けられ、
前記グランド電極のうちの第1グランド電極部は、前記配線基板上の前記測定集積回路と対向する位置において、前記制御辺に沿って延在する、請求項2に記載の静電容量測定回路モジュール。
【請求項4】
前記複数の回路側測定端子は、第1回路側測定端子群、第2回路側測定端子群、第3回路側測定端子群、及び、第4回路側測定端子群に分けられており、
前記測定集積回路は、前記第1回路側測定端子群、前記第2回路側測定端子群、前記第3回路側測定端子群、及び、前記第4回路側測定端子群の各群に対して、前記回路側測定端子から前記測定信号を出力するタイミングが異なり、かつ、各群に含まれる複数の前記回路側測定端子には、同一タイミングで前記測定信号を出力し、
前記3つの測定辺は、前記制御辺に隣接する第1測定辺と、前記第1測定辺に隣接する第2測定辺と、前記第2測定辺及び前記制御辺に隣接する第3測定辺とを有し、
前記第1回路側測定端子群は、前記第1測定辺に設けられ、
前記第2回路側測定端子群は、前記第1測定辺及び前記第2測定辺に跨がって設けられ、
前記第3回路側測定端子群は、前記第2測定辺及び前記第3測定辺に跨がって設けられ、
前記第4回路側測定端子群は、前記第3測定辺に設けられ、
前記回路側シールド端子は、前記第1測定辺のうちの前記制御辺側の端部に設けられ、
前記複数の回路側グランド端子は、前記第1回路側測定端子群及び前記第2回路側測定端子群の間と、前記第2回路側測定端子群及び前記第3回路側測定端子群の間と、前記第3回路側測定端子群及び前記第4回路側測定端子群の間との間に設けられ、
前記グランド電極のうちの第2グランド電極部は、前記第1グランド電極部から、前記第1測定辺及び前記第3測定辺に平行に、前記第2回路側測定端子群と前記第3回路側測定端子群との間に向かって延在し、前記複数の回路側グランド端子のうちの前記第2回路側測定端子群及び前記第3回路側測定端子群の間の前記回路側グランド端子に接続されており、
前記グランド電極のうちの第3グランド電極部は、前記第2グランド電極部から、前記制御辺及び前記第2測定辺に平行に、前記第1回路側測定端子群と前記第2回路側測定端子群との間に向かって延在し、前記複数の回路側グランド端子のうちの前記第1回路側測定端子群及び前記第2回路側測定端子群の間の前記回路側グランド端子に接続されており、
前記グランド電極のうちの第4グランド電極部は、前記第2グランド電極部から、前記制御辺及び前記第2測定辺に平行に、前記第3回路側測定端子群と前記第4回路側測定端子群との間に向かって延在し、前記複数の回路側グランド端子のうちの前記第3回路側測定端子群及び前記第4回路側測定端子群の間の前記回路側グランド端子に接続されており、
前記回路側シールド電極は、前記第1グランド電極部、前記第2グランド電極部、前記第3グランド電極部、及び、前記第4グランド電極部との間に所定の間隔を空けて設けられている、請求項3に記載の静電容量測定回路モジュール。
【請求項5】
前記基板側測定端子は、前記第1回路側測定端子群、前記第2回路側測定端子群、前記第3回路側測定端子群、及び、前記第4回路側測定端子群に対応して、第1基板側測定端子群、第2基板側測定端子群、第3基板側測定端子群、及び、第4基板側測定端子群に分けられており、
前記回路側シールド電極は、前記第1グランド電極部、前記第2グランド電極部、前記第3グランド電極部、及び、前記第4グランド電極部との間に所定の間隔を空けて設けられる、第1シールド部、第2シールド部、第3シールド部、及び、第4シールド部を有し、
前記第1シールド部、前記第2シールド部、前記第3シールド部、及び、前記第4シールド部は、前記第1基板側測定端子群、前記第2基板側測定端子群、前記第3基板側測定端子群、及び、前記第4基板側測定端子群に対応して配置されている、請求項4に記載の静電容量測定回路モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静電容量を測定する静電容量測定回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力パネルの第1実装端子及び第2実装端子に対してフレキシブル配線基板を介してIC(Integrated Circuit)が接続された静電容量型入力装置がある。入力パネルの入力位置検出用電極に接続されるフレキシブル配線基板に形成されている配線にシールド層を形成し、シールド層にシールド電位を印加して、配線とシールド層との間に容量が寄生しない状態を実現している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の静電容量型入力装置は、IC近傍にセンサ電極と同一周波数、かつ、同一位相の交流信号を流すアクティブ型のシールドを設けていないため、ICと、ICの周囲の配線等との間の寄生容量等によって、ICの周囲の配線等にノイズ等が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、ノイズの影響をより確実に低減可能な静電容量測定回路モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態の静電容量測定回路モジュールは、配線基板と、前記配線基板に設けられる入力検出用のセンサ電極と、前記配線基板に設けられ、前記センサ電極をシールドするセンサ側シールド電極と、前記配線基板に設けられ、前記センサ電極に接続される基板側測定端子と、前記配線基板に設けられ、前記センサ側シールド電極に接続される基板側シールド端子と、前記基板側測定端子に接続される回路側測定端子と、前記基板側シールド端子に接続される回路側シールド端子とを有し、前記回路側測定端子から測定信号を出力するとともに、前記回路側シールド端子から前記測定信号と同一周波数かつ同一位相のシールド信号を出力する測定集積回路であって、前記配線基板に設けられ、前記センサ電極の静電容量を測定する測定集積回路と、前記配線基板上において前記測定集積回路に対向するとともに前記基板側測定端子に隣接する位置に設けられ、前記基板側シールド端子に接続される回路側シールド電極とを備える。
【発明の効果】
【0007】
ノイズの影響をより確実に低減可能な静電容量測定回路モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の静電容量測定回路モジュールのL1層の構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態の静電容量測定回路モジュールのL2層の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図1の四角い破線で囲んで示す領域A内の構成を拡大して示す図である。
【
図4】実施形態の静電容量測定回路モジュールの測定ICの平面構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態の静電容量測定回路モジュールの測定ICの側面構成の一例を示す図である。
【
図6】実施形態の静電容量測定回路モジュールの回路構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の静電容量測定回路モジュールを適用した実施形態について説明する。
【0010】
以下では、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X方向)、Y軸に平行な方向(Y方向)、Z軸に平行な方向(Z方向)は、互いに直交する。また、平面視とはXY面視することをいう。また、以下では構成が分かり易くなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。
【0011】
<実施形態>
図1は、実施形態の静電容量測定回路モジュール100のL1層の構成の一例を示す図である。静電容量測定回路モジュール100は、例えば、店舗や施設等に配置され不特定多数の利用者が利用するエレベータの乗り場やエレベータのかご内の入力装置、タブレット型の入力装置、又はATM(Automatic Teller Machine)の入力部に組み込まれ、利用者の手等の対象物との間の静電容量を測定する装置である。また、静電容量測定回路モジュール100は、清潔な状態を保つ必要のある調理用電化製品の入力部に組み込まれてもよい。また、静電容量測定回路モジュール100は、個人で利用するタブレットコンピュータ、スマートフォン、ゲーム機、車両のセンターコンソール内の入力装置等に組み込まれてもよい。
【0012】
静電容量測定回路モジュール100は、多層基板50を含む。多層基板50は、配線基板の一例である。多層基板50は、1又は複数の絶縁層と、複数の配線層とを有する。ここでは、一例として、多層基板がL1~L4の4層の配線層と3つの絶縁層とを含む形態について説明する。
図1では、測定用IC(Integrated Circuit)160を多層基板50から取り外して示す。また、
図1には、L1層の構成に加えて、L4層に設けられるセンサ電極110及びアクティブシールド電極115を示す。以下では、
図1に加えて、
図2から
図6を用いて説明する。
【0013】
図2は、静電容量測定回路モジュール100のL2層の構成の一例を示す図である。
図2には、
図1に示すL1層の部分の真下に位置する静電容量測定回路モジュール100のL2層の構成の一例を示す。ここで、
図1及び
図2に示す静電容量測定回路モジュール100の構成は、静電容量測定回路モジュール100の全体のうちのある一部分の構成であってもよい。
【0014】
図3は、
図1の四角い破線で囲んで示す領域A内の構成を拡大して示す図である。領域Aは、測定IC160が多層基板50のL1層に実装される領域である。換言すれば、領域Aは、多層基板50上の測定IC160と対向する位置で規定される領域である。
図4及び
図5には、測定IC160の平面構成及び側面構成の一例を示す。測定IC160は、測定集積回路の一例である。領域Aは、平面視で矩形状の測定IC160の四辺に対応した矩形状の領域である。
【0015】
以下では、測定IC160の四辺を次のように区別して説明に用いる。測定IC160は、制御辺160AC、第1測定辺160A1、第2測定辺160A2、及び第3測定辺160A3を有する。第1測定辺160A1、第2測定辺160A2、及び第3測定辺160A3は、測定IC160の四辺のうちの制御辺160AC以外の3つの測定辺である。制御辺160ACは、測定IC160の-Y方向側でX方向に延在する端辺である。第1測定辺160A1は、測定IC160の+X方向側でY方向に延在する端辺である。第2測定辺160A2は、測定IC160の+Y方向側でX方向に延在する端辺である。第3測定辺160A3は、測定IC160の-X方向側でY方向に延在する端辺である。
【0016】
また、測定IC160の四辺に相当する四辺を有する領域Aについては、制御辺160AC、第1測定辺160A1、第2測定辺160A2、及び第3測定辺160A3に相当する四辺を、それぞれ、制御辺AC、第1測定辺A1、第2測定辺A2、及び第3測定辺A3と称す。測定IC160を領域Aに配置すると、制御辺160AC、第1測定辺160A1、第2測定辺160A2、及び第3測定辺160A3は、それぞれ、制御辺AC、第1測定辺A1、第2測定辺A2、及び第3測定辺A3に位置することになる。
図1では、測定IC160を領域Aからずらして示すが、以下では、領域Aに測定IC160が実装されているものとして説明する。
【0017】
<静電容量測定回路モジュール100の構成>
静電容量測定回路モジュール100は、多層基板50、センサ電極110、アクティブシールド電極115、グランド電極120L1及び120L2、アクティブシールド電極130L1及び130L2、基板側端子140、基板側端子150、及び測定IC160を含む。アクティブシールド電極115は、センサ側シールド電極の一例である。アクティブシールド電極130L1及び130L2は、回路側シールド電極の一例である。
【0018】
<多層基板50>
多層基板50は、一例として、3枚の絶縁層と、L1層~L4層の4層の配線層とを有する。
図1には、3枚の絶縁層のうちの絶縁層51を示し、
図2には、3枚の絶縁層のうちの絶縁層52を示す。絶縁層51の-Z方向側にL1層が設けられ、絶縁層51及び52の間にL2層が設けられる。残りの1層(不図示)の絶縁層は、絶縁層52の+Z方向側の表面に設けられるL3層の+Z方向側の表面に設けられる。L4層は、残りの1層(不図示)の絶縁層の+Z方向側の表面に設けられる。L1層は、多層基板50の-Z方向側の表面に位置し、L2層及びL3層は、多層基板50の内層であり、L4層は、多層基板50の+Z方向側の表面に位置する。
【0019】
センサ電極110、アクティブシールド電極115、グランド電極120L1及び120L2、アクティブシールド電極130L1及び130L2、基板側端子140、基板側端子150は、多層基板50のL1層~L4層の金属層をパターニングすることによって作製可能である。金属層は、一例として銅箔等を用いることができる。
【0020】
<センサ電極110>
センサ電極110は、一例として、L4層に設けられており、静電容量測定回路モジュール100の入力検出用のセンサ電極である。センサ電極110は、L1層~L4層の間の絶縁層を貫通するスルーホールビア及び配線等によって、測定用IC160に接続されている。センサ電極110は、アクティブシールド電極115と、アクティブシールド電極130L1及び130L2とに供給される信号に含まれる交流成分と同一周波数かつ同一位相の交流成分を含む信号で駆動される。
【0021】
センサ電極110は、一例として平面視で円形である。一例として、
図1には1つのセンサ電極110を示すが、静電容量測定回路モジュール100は、2つ以上のセンサ電極110を含む構成であってもよい。例えば、静電容量測定回路モジュール100をエレベータのかご内に設置されている停止階を選択するための入力装置(操作部)に組み込む場合には、静電容量測定回路モジュール100は、エレベータが設置されている建物の階数分のセンサ電極110を含めばよい。静電容量測定回路モジュール100は、このようなセンサ電極110を少なくとも1つ含む構成であればよい。静電容量測定回路モジュール100は、センサ電極110と、対象物(手H)との間の静電容量Crgを測定する。
【0022】
<アクティブシールド電極115>
アクティブシールド電極115は、L4層において、センサ電極110を平面視で囲む電極である。アクティブシールド電極115は、隙間の無い金属層で構成される。すなわち、アクティブシールド電極115は、L4層のうちのセンサ電極110が設けられている部分以外の略全体の一面に隙間無く形成されている金属層である。換言すれば、アクティブシールド電極115は、L4層のうちの複数のセンサ電極110が設けられている部分以外の部分を埋め尽くすように形成されている。
【0023】
アクティブシールド電極115は、L1層~L4層の間の絶縁層を貫通するスルーホールビア及び配線等によって測定用IC160の回路側シールド端子に接続されている。また、アクティブシールド電極115は、L1層~L4層の間の絶縁層を貫通するスルーホールビア及び配線等によってL1層のアクティブシールド電極130L1に接続されるとともに、L2層~L4層の間の絶縁層を貫通するスルーホールビア及び配線等によってL2層のアクティブシールド電極130L2に接続されている。
【0024】
アクティブシールド電極115は、センサ電極110に供給される信号に含まれる交流成分と同一周波数かつ同一位相の交流成分を含む信号で駆動される。なお、アクティブシールド電極115に供給される信号の交流成分の振幅は、センサ電極110に供給される信号の交流成分の振幅よりも大きい。
【0025】
アクティブシールド電極115は、複数のセンサ電極110をノイズから遮蔽するため、及び、寄生容量の影響を抑制するために設けられている。アクティブシールド電極115は、主に地面等のグランド電位点からのノイズに対して複数のセンサ電極110を遮蔽できるように、また、グランド電位点との間の寄生容量の影響を抑制できるように、複数のセンサ電極110の近くに所定の間隔を空けて配置されている。
【0026】
<グランド電極120L1>
グランド電極120L1は、
図1に示すように、L1層のうちの主に-Y方向側の略半分の部分に設けられている電極である。グランド電極120L1の大部分は、Y方向において、領域Aよりも-Y方向側に設けられる。また、グランド電極120L1の一部分は、領域Aの内部及びその周辺に設けられる。
【0027】
グランド電極120L1は、他の配線等とは分離されており、図示しない電源部においてグランド(アース)に接続されている。グランド電極120L1の領域Aよりも-Y方向側の部分が設けられる領域内には、グランド電極120L1と絶縁されて配線128が設けられている。配線128の一部は、基板側端子140に接続されている。
【0028】
グランド電極120L1は、隙間の無い金属層で構成される。すなわち、グランド電極120L1は、他の配線や端子等を避けた部分において、一面に隙間無く形成されている金属層である。換言すれば、グランド電極120L1は、他の配線や端子等が設けられる部分を除いた部分を埋め尽くすように形成されている。
【0029】
グランド電極120L1は、領域Aの内部及びその周辺に設けられる部分として、第1グランド電極部121、第2グランド電極部122、第3グランド電極部123、及び第4グランド電極部124とを有する。第1グランド電極部121は、領域Aの制御辺ACに沿ってX方向に延在している。第1グランド電極部121、第2グランド電極部122、第3グランド電極部123、及び第4グランド電極部124の詳細については後述する。
【0030】
また、グランド電極120L1は、
図1に示すように、L1層における絶縁層51の外縁に沿って設けられる配線125を含む。配線125は、グランド電極120L1の-X方向側で+Y方向の角部から、アクティブシールド電極130L1を囲むように、絶縁層51の外縁に沿ってグランド電極120L1の+X方向側で+Y方向側の角部の近くに至るまで延在している。配線125を設けることで、静電気対策が可能である。
【0031】
<グランド電極120L2>
グランド電極120L2は、
図2に示すようにL2層のうちの-Y方向側の略半分の部分に設けられている電極である。グランド電極120L2の平面視での形状は、グランド電極120L1から第1グランド電極部121~第4グランド電極部124と配線125を除いた部分と略等しい。グランド電極120L2は、L1層とL2層の間の絶縁層51を貫通するスルーホールビアによって接続されており、グランド電極120L1と同様に、図示しない電源部においてグランド(アース)に接続されている。
【0032】
<アクティブシールド電極130L1>
アクティブシールド電極130L1は、
図1に示すように、L1層に設けられており、L1層のうちのグランド電極120L1が設けられていない部分の略全体に設けられている。
【0033】
アクティブシールド電極130L1は、測定用IC160の回路側シールド端子に接続されている。アクティブシールド電極130L1は、基板側端子150におけるノイズや寄生容量の影響を低減するとともに、測定用IC160に含まれる配線等におけるノイズや寄生容量の影響を低減するために設けられている。
【0034】
アクティブシールド電極130L1は、一例として、平面視で領域Aの+X方向側、+Y方向側、及び-X方向側の三方を囲む部分と、領域Aの-Y方向側の端部を除いた部分とに設けられている。
【0035】
アクティブシールド電極130L1のうち、平面視で領域Aの+X方向側、+Y方向側、及び-X方向側の三方を囲む部分は、領域Aの第1測定辺A1、第2測定辺A2、及び第3測定辺A3を囲む部分である。多層基板50の第1測定辺A1、第2測定辺A2、及び第3測定辺A3の位置には、第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154が設けられ、測定IC160の第1測定辺160A1、第2測定辺160A2、及び第3測定辺160A3に設けられる第1回路側測定端子161~第4回路側測定端子164が接続される。
【0036】
複数の第1回路側測定端子161は、第1回路側測定端子群の一例である。複数の第2回路側測定端子162は、第2回路側測定端子群の一例である。複数の第3回路側測定端子163は、第3回路側測定端子群の一例である。複数の第4回路側測定端子164は、第4回路側測定端子群の一例である。
【0037】
第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154は、多層基板50を介してセンサ電極110に接続されるため、第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154及び第1回路側測定端子161~第4回路側測定端子164は、センサ電極110から得られるセンサ信号を伝送する。
【0038】
アクティブシールド電極130L1のうち、平面視で領域Aの+X方向側、+Y方向側、及び-X方向側の三方を囲む部分は、第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154及び第1回路側測定端子161~第4回路側測定端子164における周囲のグランド電位点からのノイズを低減し、グランド電位点との間の寄生容量の影響を低減するために設けられている。
【0039】
また、アクティブシールド電極130L1は、領域Aの内部に、第1シールド部131~第4シールド部134を有するが、詳細については後述する。
【0040】
<アクティブシールド電極130L2>
アクティブシールド電極130L2は、
図2に示すように、L2層のうちのグランド電極120L2が設けられていない部分の略全体に設けられている。
【0041】
アクティブシールド電極130L2は、測定用IC160の回路側シールド端子に接続されている。アクティブシールド電極130L2は、L4層に設けられるセンサ電極110や、L4層に設けられるセンサ電極110の駆動用IC等からのノイズの影響を低減するために設けられている。アクティブシールド電極130L2は、一例として、センサ電極110や、センサ電極110の駆動用IC等のうちのいずれかと重なる位置に設けられていればよい。
【0042】
<基板側端子140>
基板側端子140は、領域Aの制御辺ACに沿ってX方向に配列される複数の端子である。基板側端子140は、第1グランド電極部121に囲まれている。基板側端子140には、測定IC160の回路側端子165が接続される。回路側端子165は、電源端子、出力端子、制御端子、及び回路側グランド端子を含む。このため、基板側端子140は、回路側端子165の電源端子、出力端子、制御端子、及び回路側グランド端子に対応する電源端子、入力端子、制御端子、及び基板側グランド端子を有する。基板側端子140の電源端子、入力端子、制御端子、及び基板側グランド端子140Gには、回路側端子165の電源端子、出力端子、制御端子、及び回路側グランド端子がそれぞれ接続される。
【0043】
基板側端子140の入力端子には、センサ電極110の静電容量値を表すセンサ信号が入力される。基板側端子140の制御端子は、測定IC160を制御するデジタル信号を出力し、また、測定IC160からデジタル信号が入力される。また、基板側端子140の電源端子には、多層基板50側から電力が供給され、基板側端子140の基板側グランド端子140Gは、多層基板50のグランド電極120L1及び120L2に接続される。
【0044】
このような基板側端子140の周囲は、グランド電極120L1で囲まれ、基板側端子140の電源端子、入力端子、制御端子、及び基板側グランド端子140Gは、グランド電極120L1によって、ノイズ等の影響が低減されている。
【0045】
<基板側端子150>
基板側端子150は、
図3に示すように、センサ電極110のセンサ信号を伝送する第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154と、基板側グランド端子151G~154Gと、基板側シールド端子150ASとを有する。第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154は、一例として、16個ずつ設けられている。複数の第1基板側測定端子151は、第1基板側測定端子群の一例であり、複数の第2基板側測定端子152は、第2基板側測定端子群の一例である。複数の第3基板側測定端子153は、第3基板側測定端子群の一例であり、複数の第4基板側測定端子154は、第4基板側測定端子群の一例である。
【0046】
なお、全部で64個ある第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154の各々は、多層基板50を介して、一例として、1つのセンサ電極110に接続される。すなわち、静電容量測定回路モジュール100には、最大で64個のセンサ電極110を設けることが可能である。静電容量測定回路モジュール100が含むセンサ電極110の数が64個よりも少ない場合には、64個の第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154のうちのセンサ電極110の数の第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154にのみセンサ電極110が接続され、残りの第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154は使用されないことになる。なお、64個ある第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154の各々には、切替スイッチを介して、複数のセンサ電極110を接続可能である。以下では、静電容量測定回路モジュール100が含む64個の第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154に64個のセンサ電極110が接続される場合の接続関係について説明する。
【0047】
図3に示すように、基板側端子150は、領域Aの第1測定辺A1~第3測定辺A3に沿って設けられている。
【0048】
基板側シールド端子150ASは、第1測定辺A1の-Y方向側の端部に設けられている。基板側シールド端子150ASは、測定IC160の第1測定辺160A1の回路側シールド端子160ASに接続される。
【0049】
基板側シールド端子150ASの-Y方向側の隣りの基板側端子150は、接続先のないダミー端子である。基板側端子150は、幾つかのダミー端子を含む。また、基板側シールド端子150ASの+Y方向側の隣りの基板側端子150は、電源端子である。電源端子は、測定IC160の第1測定辺160A1の電源端子に接続される。
【0050】
基板側グランド端子151Gは、基板側シールド端子150ASの+Y方向側の隣りの電源端子の+Y方向側の隣りに配置されている。基板側グランド端子151Gは、図示しない電源部においてグランド(アース)に接続されている。基板側グランド端子151Gは、測定IC160の第1測定辺160A1の回路側グランド端子161Gに接続される。
【0051】
第1基板側測定端子151は、基板側グランド端子151Gの+Y方向側に16個配列されている。最も+Y方向側の第1基板側測定端子151の+Y方向側の隣りには、基板側グランド端子153Gが設けられている。第1基板側測定端子151は、測定IC160の第1測定辺160A1の16個の第1回路側測定端子161に接続される。基板側グランド端子153Gは、測定IC160の第1測定辺160A1の回路側グランド端子163Gに接続される。
【0052】
第2基板側測定端子152は、16個のうちの3個が第1測定辺A1で基板側グランド端子153Gの+Y方向側に配列されている。第1測定辺A1における最も+Y方向側の第2基板側測定端子152の+Y方向側の隣りの基板側端子150は、接続先のないダミー端子である。3個の第2基板側測定端子152は、測定IC160の第1測定辺160A1の3個の第2回路側測定端子162に接続される。
【0053】
第2基板側測定端子152の残りの13個は、第2測定辺A2の+X方向側から配列されている。最も-X方向側の第2基板側測定端子152の-X方向側の隣りには、基板側グランド端子152Gが設けられている。13個の第2基板側測定端子152は、測定IC160の第2測定辺160A2の13個の第2回路側測定端子162に接続される。基板側グランド端子152Gは、測定IC160の第2測定辺160A2の回路側グランド端子162Gに接続される。
【0054】
第3基板側測定端子153は、16個のうちの10個が第2測定辺A2で基板側グランド端子152Gの-X方向側に配列されている。最も-X方向側の第3基板側測定端子153の-X方向側の隣りの基板側端子150は、接続先のないダミー端子である。10個の第3基板側測定端子153は、測定IC160の第2測定辺160A2の10個の第3回路側測定端子163に接続される。
【0055】
第3基板側測定端子153の残りの6個は、第3測定辺A3の+Y方向側から配列されている。最も+Y方向側の第3基板側測定端子153の+Y方向側の隣りの基板側端子150は、接続先のないダミー端子である。また、最も-Y方向側の第3基板側測定端子153の-Y方向側の隣りには、基板側グランド端子154Gが設けられている。6個の第3基板側測定端子153は、測定IC160の第3測定辺160A3の6個の第3回路側測定端子163に接続される。基板側グランド端子154Gは、測定IC160の第3測定辺160A3の回路側グランド端子164Gに接続される。
【0056】
第4基板側測定端子154は、第3測定辺A3において基板側グランド端子154Gの-Y方向側に16個配列されている。最も-Y方向側の第4基板側測定端子154の-Y方向側の隣りには、第1グランド電極部121が設けられている。16個の第4基板側測定端子154は、測定IC160の第3測定辺160A3の16個の第4回路側測定端子164に接続される。
【0057】
<測定用IC160>
測定IC160は、
図4に示すように、制御辺160ACと第1測定辺160A1~第3測定辺160A3を有する。測定IC160は、制御辺160ACに複数の回路側端子165を有する。回路側端子165は、電源端子、出力端子、制御端子、及び回路側グランド端子を含む。各回路側端子165は、基板側端子140の対応する端子に接続される。
【0058】
測定IC160は、第1測定辺160A1に、回路側シールド端子160AS、回路側グランド端子161G、16個の第1回路側測定端子161、回路側グランド端子163G、及び3個の第2回路側測定端子162を有する。これらの多層基板50側への接続関係は、上述した通りである。回路側シールド端子160AS、回路側グランド端子161G、第1回路側測定端子161、回路側グランド端子163G、及び第2回路側測定端子162は、
図5に示すように、測定IC160の上面側から+X方向側に延在する途中で、+Z方向側に折れ曲がっており、折れ曲がった先端が多層基板50側に接続される。
【0059】
測定IC160は、第2測定辺160A2に、13個の第2回路側測定端子162、回路側グランド端子162G、及び10個の第3回路側測定端子163を有する。これらの多層基板50側への接続関係は、上述した通りである。第2測定辺160A2の第2回路側測定端子162、回路側グランド端子162G、及び第3回路側測定端子163の側方から見た形状は、
図5に示す第1測定辺160A1の回路側シールド端子160AS、回路側グランド端子161G、第1回路側測定端子161、回路側グランド端子163G、及び第2回路側測定端子162の側方から見た形状と同様である。
【0060】
測定IC160は、第3測定辺160A3に、6個の第3回路側測定端子163、回路側グランド端子164G、及び16個の第4回路側測定端子164を有する。これらの多層基板50側への接続関係は、上述した通りである。第3回路側測定端子163、回路側グランド端子164G、及び第4回路側測定端子164は、
図5に示すように、測定IC160の上面側から-X方向側に延在する途中で、+Z方向側に折れ曲がっており、折れ曲がった先端が多層基板50側に接続される。
【0061】
測定用IC160は、一例として、L1層に設けられる。測定用IC160は、多層基板50に含まれる配線やスルーホールビア等を介して、センサ電極110、アクティブシールド電極115、アクティブシールド電極130L1及び130L2に接続されている。
【0062】
測定用IC160は、センサ電極110、アクティブシールド電極115、アクティブシールド電極130L1及び130L2に、同一周波数かつ同一位相の交流成分を含む測定信号を供給して駆動する。測定用IC160からアクティブシールド電極115、アクティブシールド電極130L1及び130L2に供給される信号の交流成分の振幅は、測定用IC160からセンサ電極110に供給される信号の交流成分の振幅よりも大きい。
【0063】
また、測定用IC160は、64個のセンサ電極110に交流成分を含む測定信号を供給する際に、第1回路側測定端子161~第4回路側測定端子164の各群に対して、測定信号を出力するタイミングが異なり、かつ、各群に含まれる複数の第1回路側測定端子161~第4回路側測定端子164には、同一タイミングで測定信号を出力する。
【0064】
測定用IC160は、このような交流成分を含む信号をセンサ電極110、アクティブシールド電極115、アクティブシールド電極130L1及び130L2に供給して駆動することで、主に地面等のグランド電位点からのノイズに対して複数のセンサ電極110や測定IC160の内部の配線等を遮蔽するとともに、グランド電位点との間の寄生容量の影響を抑制する。
【0065】
このようにして、測定用IC160は、主に地面等のグランド電位点からのノイズに対して複数のセンサ電極110や測定IC160の内部の配線等を遮蔽するとともに、グランド電位点との間の寄生容量の影響を抑制する。そして、測定用IC160は、このような状態で、センサ電極110の静電容量に基づいて、操作者の手等の支持体が、センサ電極110にどの程度近づいたかを判定することで、操作入力の状態を判定する。操作入力の状態とは、例えば、操作面に対して手が接触した状態、操作面に対して手が接触せずにある程度接近した状態、又は、操作面に対から手が十分に離れている状態等である。
【0066】
<静電容量測定回路モジュール100の回路構成>
図6は、静電容量測定回路モジュール100の回路構成の一例を示す図である。
図6に示すように、センサ電極110と、アクティブシールド電極115、130L1、及び130L2とは、測定IC160に接続されている。
【0067】
測定IC160は、チャージアンプ171、交流信号源172、振幅調整部173、ADC(Analog to Digital Converter)174、信号処理部175、及びデータ加工部176を有する。
【0068】
交流信号源172は、アクティブシールド電極115、130L1、及び130L2を駆動する交流信号を出力する。アクティブシールド電極115、130L1、及び130L2は、センサ電極110と電磁界的に結合すると共に、チャージアンプ171の負帰還回路を介して、繋がっているため、交流信号はセンサ電極110にも供給される。センサ電極110及びアクティブシールド電極115、130L1、及び130L2には、同一周波数で同一位相の交流信号が供給される。センサ電極110に供給される信号の交流成分の振幅は、アクティブシールド電極115に供給される信号の交流成分の振幅よりも小さい。
【0069】
チャージアンプ171は、振幅調整部173の出力端子に接続される非反転入力端子(+)と、センサ電極110に接続される反転入力端子(-)と、ADC174の入力端子に接続される出力端子とを有する。チャージアンプ171は、非反転入力端子(+)の入力と、反転入力端子(-)の入力との差を増幅して出力信号を出力する差動増幅器である。
【0070】
振幅調整部173は、アクティブシールド電極115から、静電容量Crsを通って、センサ電極110に流れる電流と、センサ電極110から、寄生キャパシタCrglを通って、アース間に流れる電流とを相殺するように調整する。即ち、センサ電極110に近接する対象物である手Hが存在しない状態(静電容量Crgがゼロの状態)において、センサ電極110に流れる駆動電流がゼロになるように振幅が調整される。ADC174は、チャージアンプ171から出力される信号をデジタル変換して信号処理部175に出力する。信号処理部175は、交流信号と同一周波数の復調信号を用いてADC174の出力を復調してデータ加工部176に出力する。データ加工部176は、信号処理部175の出力に基づいて、センサ電極110へのタッチ等の操作の有無を判定する。
【0071】
<第1グランド電極部121~第4グランド電極部124の構成>
第1グランド電極部121は、
図1及び
図3に示すように、多層基板50上の測定IC160と対向する位置において、制御辺160ACに沿ってX方向に延在している。第1グランド電極部121には、基板側端子140が設けられている。基板側端子140には、測定IC160の電源端子、出力端子、制御端子、及び回路側グランド端子を含む回路側端子165が接続される。第1グランド電極部121は、基板側端子140及び回路側端子165の周囲におけるノイズ等を低減するために設けられている。
【0072】
第2グランド電極部122は、第1グランド電極部121のX方向における中央部から、第1測定辺160A1及び第3測定辺160A3に平行に延在して基板側グランド端子152Gに接続されている。基板側グランド端子152Gには、回路側グランド端子162Gが接続される。すなわち、第2グランド電極部122は、第1グランド電極部121のX方向における中央部から、第1測定辺160A1及び第3測定辺160A3に平行に、第2回路側測定端子162と第3回路側測定端子163との間に向かって延在し、第2回路側測定端子162及び第3回路側測定端子163の間の回路側グランド端子162Gに接続されている。
【0073】
第3グランド電極部123は、第2グランド電極部122の途中から、制御辺160AC及び第2測定辺160A2に平行に+X方向側に延在し、基板側グランド端子153Gに接続されている。基板側グランド端子153Gには、回路側グランド端子163Gが接続される。すなわち、第3グランド電極部123は、第2グランド電極部122の途中から、制御辺160AC及び第2測定辺160A2に平行にX方向に、第1回路側測定端子161と第2回路側測定端子162との間に向かって延在し、回路側グランド端子163Gに接続されている。
【0074】
第4グランド電極部124は、第2グランド電極部122の途中から、制御辺160AC及び第2測定辺160A2に平行に-X方向側に延在し、基板側グランド端子154Gに接続されている。すなわち、グランド電極120L1のうちの第4グランド電極部124は、第2グランド電極部122の途中から、制御辺160AC及び第2測定辺160A2に平行に、第3回路側測定端子163と第4回路側測定端子164との間に向かって延在し、複数の回路側グランド端子のうちの第3回路側測定端子163及び第4回路側測定端子164の間の回路側グランド端子164Gに接続されている。
【0075】
<第1シールド部131~第4シールド部134の構成>
第1シールド部131~第4シールド部134は、第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154にそれぞれ対応して、平面視において第1基板側測定端子151~第4基板側測定端子154よりも測定IC160の中心側に配置されている。第1シールド部131~第4シールド部134は、アクティブシールド電極130L1の領域Aの外部の部分から、領域A内に向かって延在し、領域A内に位置している。すなわち、第1シールド部131~第4シールド部134は、測定IC160の真下に位置する。測定IC160の内部の回路のうち、交流信号源172の出力、振幅調整部173の入出力、チャージアンプ171の入出力、ADC174の入力は、センサ電極110に供給される信号の交流成分と同一の交流成分を含む。よって、測定IC160の内部の一部分の回路に加わる電圧と、第1シールド部131~第4シールド部134に加わる電圧とは同一の交流成分を含む。第1シールド部131~第4シールド部134は、測定IC160の内部の配線等を遮蔽するとともに、グランド電位点との間の寄生容量の影響を抑制するために設けられている。尚、測定IC160の内部には、交流成分が加わらない回路もある。第1シールド部131~第4シールド部134から、寄生容量を介して、交流成分が加わらない回路に微弱な電流が漏洩する。しかし、交流成分が加わらない回路は、微弱な電流が流れても、動作が変わらない。つまり、測定測定IC160は、シールドに交流電圧を加えることで、測定精度が向上する回路と、シールドに加えられる電圧の影響を受けない回路とがある。全体として、測定IC160に対向するシールドに交流電圧を加えることで、測定精度が向上する。尚、測定IC160の内部で、交流成分が加わらない回路のみ配置される部分に対向する位置には、交流成分が加わらない第1グランド電極部121を配置する。
【0076】
第1シールド部131は、16個の第1基板側測定端子151と、第1グランド電極部121と、第2グランド電極部122と、第3グランド電極部123との間に設けられている。第1シールド部131は、16個の第1基板側測定端子151と、第1グランド電極部121と、第2グランド電極部122と、第3グランド電極部123との間に間隔を空けて配置されている。第1シールド部131は、図示しないスルーホールビアやL2層のアクティブシールド電極130L2等を介して、基板側シールド端子150ASに接続されている。
【0077】
第2シールド部132は、16個の第2基板側測定端子152と、第3グランド電極部123と、第2グランド電極部122との間に設けられており、16個の第2基板側測定端子152と、第3グランド電極部123と、第2グランド電極部122との間に間隔を空けて配置されている。第2シールド部132は、アクティブシールド電極130L1のうちの領域Aの+X方向側の外部の部分を介して、基板側シールド端子150ASに接続されている。
【0078】
第3シールド部133は、16個の第3基板側測定端子153と、第2グランド電極部122と、第4グランド電極部124との間に設けられており、16個の第3基板側測定端子153と、第2グランド電極部122と、第4グランド電極部124との間に間隔を空けて配置されている。第3シールド部133は、アクティブシールド電極130L1のうちの領域Aの-X方向側の外部の部分、+Y方向側の外部の部分、及び+X方向側の外部の部分を介して、基板側シールド端子150ASに接続されている。
【0079】
第4シールド部134は、16個の第4基板側測定端子154と、第1グランド電極部121と、第2グランド電極部122と、第4グランド電極部124との間に設けられている。第4シールド部134は、16個の第4基板側測定端子154と、第1グランド電極部121と、第2グランド電極部122と、第4グランド電極部124との間に間隔を空けて配置されている。第4シールド部134は、図示しないスルーホールビアやL2層のアクティブシールド電極130L2等を介して、基板側シールド端子150ASに接続されている。
【0080】
<効果>
静電容量測定回路モジュール100は、多層基板50と、多層基板50に設けられる入力検出用のセンサ電極110と、多層基板50に設けられ、センサ電極110をシールドするアクティブシールド電極115(センサ側シールド電極)と、多層基板50に設けられ、センサ電極110に接続される基板側測定端子(151~154)と、多層基板50に設けられ、アクティブシールド電極115(センサ側シールド電極)に接続される基板側シールド端子150ASと、基板側測定端子(151~154)に接続される回路側測定端子(161~164)と、基板側シールド端子150ASに接続される回路側シールド端子160ASとを有し、回路側測定端子(161~164)から測定信号を出力するとともに、回路側シールド端子160ASから測定信号と同一周波数かつ同一位相のシールド信号を出力する測定IC160であって、多層基板50に設けられ、センサ電極110の静電容量を測定する測定IC160と、多層基板50上において測定IC160に対向するとともに基板側測定端子(151~154)に隣接する位置に設けられ、基板側シールド端子150ASに接続されるアクティブシールド電極130L1(回路側シールド電極)とを備える。このため、アクティブシールド電極130L1(回路側シールド電極)で、基板側測定端子(151~154)におけるノイズや寄生容量の影響を低減するとともに、測定用IC160に含まれる配線等におけるノイズや寄生容量の影響を低減することができる。
【0081】
したがって、ノイズの影響をより確実に低減可能な静電容量測定回路モジュール100を提供することができる。また、測定IC160による手等の支持体の操作位置等の測定精度を向上させることができる。
【0082】
また、多層基板50に設けられるグランド電極120L1をさらに含み、測定IC160は、グランド電極120L1に接続される複数の回路側グランド端子(161G~164G)を有するとともに、回路側測定端子(161~164)を複数有し、複数の回路側測定端子(161~164)の各々の隣りには、複数の回路側測定端子(161~164)のうちの自己以外のいずれか1つ、又は、複数の回路側グランド端子(161G~164G)のうちのいずれか1つが位置してもよい。このため、回路側測定端子(161~164)の各々に、電源端子や制御端子等を配置しないので、クロストークを抑制して、測定精度を向上させることができる。
【0083】
また、測定IC160は、平面視で四辺を有する矩形状であり、電源に接続される電源端子と、静電容量値を表す信号を出力する出力端子と、デジタル信号が入力又は出力される制御端子とをさらに有し、四辺のうちの3つの測定辺(第1測定辺160A1~第3測定辺160A3)には、複数の回路側測定端子(161~164)と、回路側シールド端子160ASと、複数の回路側グランド端子(161G~164G)のうちの一部の回路側グランド端子(161G~164G)とが設けられ、四辺のうちの3つの測定辺(第1測定辺160A1~第3測定辺160A3)以外の制御辺160ACには、電源端子と、出力端子と、制御端子と、複数の回路側グランド端子(161G~164G)のうちの少なくとも1つの回路側グランド端子(161G~164G)とが設けられ、グランド電極120L1のうちの第1グランド電極部121は、多層基板50上の測定IC160と対向する位置において、制御辺160ACに沿って延在してもよい。電源端子と、出力端子と、制御端子と、少なくとも1つの回路側グランド端子が設けられる制御辺160ACに沿って、第1グランド電極部121を設けることで、測定IC160の動作が安定し、測定精度を向上させることができる。
【0084】
また、複数の回路側測定端子(161~164)は、第1回路側測定端子群(161)、第2回路側測定端子群(162)、第3回路側測定端子群(163)、及び、第4回路側測定端子群(164)に分けられており、測定IC160は、第1回路側測定端子群(161)、第2回路側測定端子群(162)、第3回路側測定端子群(163)、及び、第4回路側測定端子群(164)の各群に対して、回路側測定端子(161~164)から測定信号を出力するタイミングが異なり、かつ、各群に含まれる複数の回路側測定端子(161~164)には、同一タイミングで測定信号を出力し、3つの測定辺(第1測定辺160A1~第3測定辺160A3)は、制御辺160ACに隣接する第1測定辺160A1と、第1測定辺160A1に隣接する第2測定辺160A2と、第2測定辺160A2及び制御辺160ACに隣接する第3測定辺160A3とを有し、第1回路側測定端子群(161)は、第1測定辺160A1に設けられ、第2回路側測定端子群(162)は、第1測定辺160A1及び第2測定辺160A2に跨がって設けられ、第3回路側測定端子群(163)は、第2測定辺160A2及び第3測定辺160A3に跨がって設けられ、第4回路側測定端子群(164)は、第3測定辺160A3に設けられ、回路側シールド端子160ASは、第1測定辺160A1のうちの制御辺160AC側の端部に設けられ、複数の回路側グランド端子(161G~164G)は、第1回路側測定端子群(161)及び第2回路側測定端子群(162)の間と、第2回路側測定端子群(162)及び第3回路側測定端子群(163)の間と、第3回路側測定端子群(163)及び第4回路側測定端子群(164)の間との間に設けられ、グランド電極120L1のうちの第2グランド電極部122は、第1グランド電極部121から、第1測定辺160A1及び第3測定辺160A3に平行に、第2回路側測定端子群(162)と第3回路側測定端子群(163)との間に向かって延在し、複数の回路側グランド端子(161G~164G)のうちの第2回路側測定端子群(162)及び第3回路側測定端子群(163)の間の回路側グランド端子162Gに接続されており、グランド電極120L1のうちの第3グランド電極部123は、第2グランド電極部122から、制御辺160AC及び第2測定辺160A2に平行に、第1回路側測定端子群(161)と第2回路側測定端子群(162)との間に向かって延在し、複数の回路側グランド端子(161G~164G)のうちの第1回路側測定端子群(161)及び第2回路側測定端子群(162)の間の回路側グランド端子163Gに接続されており、グランド電極120L1のうちの第4グランド電極部124は、第2グランド電極部122から、制御辺160AC及び第2測定辺160A2に平行に、第3回路側測定端子群(163)と第4回路側測定端子群(164)との間に向かって延在し、複数の回路側グランド端子(161G~164G)のうちの第3回路側測定端子群(163)及び第4回路側測定端子群(164)の間の回路側グランド端子164Gに接続されており、アクティブシールド電極130L1(回路側シールド電極)は、第1グランド電極部121、第2グランド電極部122、第3グランド電極部123、及び、第4グランド電極部124との間に所定の間隔を空けて設けられていてもよい。このように、第1グランド電極部121から第4グランド電極部124との間にアクティブシールド電極130L1(回路側シールド電極)を設けることで、第1回路側測定端子群(161)から第4回路側測定端子群(164)における互いの影響を抑制してクロストークを低減できる。したがって、基板側測定端子(151~154)や測定用IC160に含まれる配線等におけるノイズや寄生容量の影響の低減と、第1回路側測定端子群(161)から第4回路側測定端子群(164)におけるクロストークの低減とを両立した静電容量測定回路モジュール100を提供できる。
【0085】
また、基板側測定端子(151~154)は、第1回路側測定端子群(161)、第2回路側測定端子群(162)、第3回路側測定端子群(163)、及び、第4回路側測定端子群(164)に対応して、第1基板側測定端子群(151)、第2基板側測定端子群(152)、第3基板側測定端子群(153)、及び、第4基板側測定端子群(154)に分けられており、アクティブシールド電極130L1(回路側シールド電極)は、第1グランド電極部121、第2グランド電極部122、第3グランド電極部123、及び、第4グランド電極部124との間に所定の間隔を空けて設けられる、第1シールド部131、第2シールド部132、第3シールド部133、及び、第4シールド部134を有し、第1シールド部131、第2シールド部132、第3シールド部133、及び、第4シールド部134は、第1基板側測定端子群(151)、第2基板側測定端子群(152)、第3基板側測定端子群(153)、及び、第4基板側測定端子群(154)に対応して配置されていてもよい。このため、第1シールド部131から第4シールド部134で、基板側測定端子(151~154)や測定用IC160に含まれる配線等におけるノイズや寄生容量の影響をより効果的に低減でき、測定精度をより向上させた静電容量測定回路モジュール100を提供できる。
【0086】
以上、本開示の例示的な実施形態の静電容量測定回路モジュールについて説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
50 多層基板(配線基板の一例)
51、52 絶縁層
100 静電容量測定回路モジュール
110 センサ電極
115 アクティブシールド電極(センサ側シールド電極の一例)
120L1、120L2 グランド電極
121 第1グランド電極部
122 第2グランド電極部
123 第3グランド電極部
124 第4グランド電極部
125 配線
128 配線
130L1、130L2 アクティブシールド電極(回路側シールド電極の一例)
131 第1シールド部
132 第2シールド部
133 第3シールド部
134 第4シールド部
140 基板側端子
140G 基板側グランド端子
150 基板側端子
150AS 基板側シールド端子
151 第1基板側測定端子(第1基板側測定端子群の一例)
151G、152G、153G、154G 基板側グランド端子
152 第2基板側測定端子(第2基板側測定端子群の一例)
153 第3基板側測定端子(第3基板側測定端子群の一例)
154 第4基板側測定端子(第4基板側測定端子群の一例)
160 測定IC(測定集積回路の一例)
160A1 第1測定辺
160A2 第2測定辺
160A3 第3測定辺
160AC 制御辺
160AS 回路側シールド端子
161 第1回路側測定端子
161G、162G、163G、164G 回路側グランド端子
162 第2回路側測定端子
163 第3回路側測定端子
164 第4回路側測定端子
165 回路側端子
171 チャージアンプ
172 交流信号源
173 振幅調整部
174 ADC
175 信号処理部
176 データ加工部