(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125844
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】小型モビリティ、及び小型モビリティの制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240911BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20240911BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B62J45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033942
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】間下 寛二
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 利佳子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 壮大
(72)【発明者】
【氏名】新田 寛鳳
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA05
5H181BB04
5H181LL06
5H181LL20
5H181MA50
(57)【要約】
【課題】複数の小型モビリティがグループで走行する際に、他の小型モビリティの利用者の状態を容易に把握することができる小型モビリティ及び、小型モビリティの制御方法を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る電動キックボード20は、予めグループ登録された複数の電動キックボード20の間で近距離無線通信を行う通信部41と、電動キックボード20の利用者の状態を検出する状態検出部35と、検出された利用者の状態に対応した所定のパターンにより、近距離無線通信を一時的に切断する通信制御部31と、近距離無線通信が切断された場合に、切断されたパターンに基づき利用者の状態を判定する状態判定部37と、判定された利用者の状態を報知する報知部44と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予めグループ登録された複数の小型モビリティの間で近距離無線通信を行う通信部と、
前記小型モビリティの利用者の状態を検出する状態検出部と、
検出された前記利用者の状態に対応した所定のパターンにより、前記近距離無線通信を一時的に切断する通信制御部と、
前記近距離無線通信が切断された場合に、切断された前記パターンに基づき前記利用者の状態を判定する状態判定部と、
判定された前記利用者の状態を報知する報知部と、を備える小型モビリティ。
【請求項2】
前記小型モビリティに対する前記利用者の荷重の分布を測定する荷重測定部を備え、
前記状態検出部は、前記荷重の分布に基づき前記利用者の状態として、前記利用者の疲労度を検出し、
前記通信制御部は、前記疲労度が所定値以上の場合、前記疲労度に対応した前記パターンにより、前記近距離無線通信を一時的に切断する、
請求項1に記載の小型モビリティ。
【請求項3】
前記状態検出部は、乗車を開始してからの前記荷重の分布の変化を前記利用者の疲労度として検出する、
請求項2に記載の小型モビリティ。
【請求項4】
前記近距離無線通信の信号レベルを監視する信号レベル監視部を備え、
前記通信制御部は、前記信号レベルが所定の閾値以上の場合、検出された前記利用者の状態に応じて前記近距離無線通信を一時的に切断する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の小型モビリティ。
【請求項5】
予めグループ登録された複数の小型モビリティの間で近距離無線通信を行うステップと、
前記小型モビリティの利用者の状態を検出するステップと、
検出された前記利用者の状態に対応した所定のパターンにより、前記近距離無線通信を一時的に切断するステップと、
前記近距離無線通信が切断された場合に、切断された前記パターンに基づき前記利用者の状態を判定するステップと、
判定された前記利用者の状態を報知するステップと、を備える小型モビリティの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型モビリティ、及び小型モビリティの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動キックボードのような小型モビリティが普及している(例えば特許文献1参照)。この種の小型モビリティは、例えばレンタル事業者から簡単にレンタルすることができ、複数の小型モビリティによりグループで走行を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなグループで走行をする場合、周囲の小型モビリティに乗車する利用者の疲労や体調などの状態を把握する必要がある。しかし、小型モビリティは、特に後方確認がしづらいという特性があるため、走行中に他の利用者の状態を容易に把握することができず、この点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は上記課題を鑑み、複数の小型モビリティがグループで走行する際に、他の小型モビリティの利用者の状態を容易に把握することができる小型モビリティ及び、小型モビリティの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る小型モビリティは、予めグループ登録された複数の小型モビリティの間で近距離無線通信を行う通信部と、小型モビリティの利用者の状態を検出する状態検出部と、検出された利用者の状態に対応した所定のパターンにより、近距離無線通信を一時的に切断する通信制御部と、近距離無線通信が切断された場合に、切断されたパターンに基づき利用者の状態を判定する状態判定部と、判定された利用者の状態を報知する報知部と、を備える。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る小型モビリティの制御方法は、予めグループ登録された複数の小型モビリティの間で近距離無線通信を行うステップと、小型モビリティの利用者の状態を検出するステップと、検出された利用者の状態に対応した所定のパターンにより、近距離無線通信を一時的に切断するステップと、近距離無線通信が切断された場合に、切断されたパターンに基づき利用者の状態を判定するステップと、判定された利用者の状態を報知するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の小型モビリティがグループで走行する際に、他の小型モビリティの利用者の状態を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電動キックボードの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る電動キックボードの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、送信側の電動キックボードの動作の手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、通信が一時的に切断されるパターンの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、通信が一時的に切断されるパターンの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、受信側の電動キックボードの動作の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、受信した信号レベルと閾値とを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る電動キックボードの一例を示す模式図である。
図2は、本実施形態に係る電動キックボードの構成例を示すブロック図である。
【0012】
本実施形態に係る電動キックボード20は、乗車定員が1名の電動の小型モビリティである。電動キックボード20は、
図1に示すように、前輪21及び後輪22と、前輪21を回転可能に支持するメインフレームバー23と、このメインフレームバー23の上端に取り付けられて前輪21を操舵するハンドル24と、後輪22を回転可能に支持するとともに利用者が搭乗するデッキ25と、メインフレームバー23とデッキ25とを連結する連結フレーム26とを備える。また、この電動キックボード20は、該電動キックボード20の動作を制御する制御部30と、利用者の操作により前輪21及び後輪22の少なくとも一方を駆動するモータ(不図示)と、このモータに電力を供給するバッテリー(不図示)と、を備える。この
図1の例では、制御部30は、デッキ25の下面に設置されているが、この位置に限るものではない。また、小型モビリティとして電動キックボードを例示して説明したが、これに限るものではなく、例えば、電動アシスト自転車であってもよい。
【0013】
電動キックボード20は、例えばレンタル事業者が設置した貸出場所を示すポートにおいて利用者にレンタルされる。ポートは、街中の各所に設置されており、利用者はポートに停められている電動キックボード20をレンタルして、利用後は電動キックボード20をポートに返却する。電動キックボード20は、レンタル事業者が所有するものに限らず、個人所有のものであってもよい。
【0014】
また、電動キックボード20は、例えばレンタルする際に、複数の電動キックボード20を1つのグループとして登録することにより、登録されたグループでグループ走行することができる。上記したグループに属する複数の電動キックボード20は、グループ走行する際に相互に通信することにより、各電動キックボード20に乗車した利用者の状態(例えば疲労度)を相互に通知することができる。
【0015】
電動キックボード20は、
図2に示すように、通信部41と、記憶部42と、荷重測定部43と、報知部44と、制御部(小型モビリティ制御装置)30とを備える。通信部41は、予めグループ登録された他の電動キックボード20と相互に近距離無線通信を行う。具体的には、通信部41は、例えばBluetooth(登録商標)通信による近距離無線通信を介して、所定距離(例えば100m)範囲内を走行する同じグループの電動キックボード20(の通信部41)と相互に通信を行う。
【0016】
記憶部42は、各種情報を記憶する。本実施形態では、記憶部42は、予めグループ登録された際のグループ情報を記憶する。このグループ情報には、例えばグループに属する電動キックボード20の識別情報や、該電動キックボード20に乗車する利用者情報(利用者の名前やニックネーム)を含む。記憶部42は、グループが登録されると、その都度、そのグループ情報を記憶する。
【0017】
また、記憶部42は、走行中の利用者の状態(例えば利用者の疲労度)に対応して通信を一時的に切断するパターンを記憶する。このパターンは事前に設定されるものであり、所定時間(例えば0.5秒)に切断と接続とを繰り返し実行する。本実施形態では、上記所定時間内における切断の回数と、利用者の疲労度の大きさとを対応づけて設定されており、例えば、所定時間内の切断回数が多いほど利用者の疲労度が大きくなるように設定される。
【0018】
荷重測定部43は、電動キックボード20に乗車した利用者の荷重の分布を測定するセンサである。荷重測定部43は、例えば、電動キックボード20のデッキ25やハンドル24の取手10に設けられ、利用者の両足にかかる荷重や、ハンドル24にかかる荷重の分布を測定する。本実施形態では、走行中における利用者の荷重の分布に基づいて、利用者の状態としての疲労度が検出される。例えば、走行中に利用者がハンドルに寄りかかるような姿勢(荷重分布)となっている場合には、利用者が疲労していると推定される。このため、走行中におけるハンドルに寄りかかるような姿勢をとる頻度の走行開始からの変化量に応じて、利用者の疲労度を推定することができる。荷重測定部43は、電動キックボード20の利用開始から利用終了まで荷重の分布の測定を続ける。荷重測定部43は、測定結果を制御部30の荷重情報取得部33に出力する。
【0019】
報知部44は、同じグループにおける他の電動キックボード20に乗車した利用者の疲労度に応じて、この利用者(他の利用者ともいう)の疲労度に関する情報を報知する。報知部44は、例えばハンドル24に取り付けられたスピーカとして構成され、他の利用者の疲労度に関する情報を音声によって報知することができる。報知部44は、他の利用者の疲労度に応じて、例えば『○○さんは少し疲れています。しばらくしたら休憩をとりましょう』や、『○○さんはとても疲れています。直ちに休憩をとりましょう』といったメッセージを報知することができる。また、報知部44は、例えばハンドル24に取り付けられた表示パネルとして構成し、この表示パネルに利用者の状況に関する情報を表示してもよい。
【0020】
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。制御部30は、バス38にそれぞれ接続された、通信制御部31と、グループ情報取得部32と、荷重情報取得部33と、報知制御部34と、状態検出部35と、信号レベル監視部36と、状態判定部37と、を備える。制御部30は、上記記憶部42に記憶されているプログラムを読み出して実行することで、これらの構成を実現して、これらの処理を実行する。制御部30は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、複数のCPUで、これらの処理を並列に実行してもよい。
【0021】
通信制御部31は、通信部41による他の電動キックボード20の通信部41との近距離無線通信を制御する。通信制御部31は、他の電動キックボード20の通信部41に対して、上記したグループ情報に含まれる自己の電動キックボード20の識別情報などを付加して送信する。また、通信制御部31は、上記したグループ情報に含まれる他の電動キックボード20の識別情報が付加された送信信号を受信する。これにより、特定のグループ内で近距離無線通信が実行される。また、通信制御部31は、走行中の利用者が疲労している場合には、この利用者の疲労度に応じた所定のパターン(切断パターン)により、他の電動キックボード20との通信を一時的に切断する。
【0022】
グループ情報取得部32は、記憶部42に記憶されたグループ情報を該記憶部42から取得する。取得したグループ情報は、通信制御部31に出力されて特定のグループ内での近距離無線通信に用いられる。
【0023】
荷重情報取得部33は、荷重測定部43が測定した、電動キックボード20に対する利用者の荷重の分布(荷重情報)を取得する。荷重情報取得部33は、電動キックボード20の利用開始から利用終了まで、利用者の荷重情報を取得し、この荷重情報を制御部30の状態検出部35に随時出力する。
【0024】
状態検出部35は、電動キックボード20に対する利用者の荷重の分布に基づき、この利用者の状態を検出する。本実施形態では、状態検出部35は、利用者の状態として利用者の疲労度を検出する。状態検出部35は、利用者の荷重の分布の変化を利用者の疲労度として検出する。状態検出部35は、電動キックボード20に対する利用者の荷重の分布から、走行中に利用者がハンドルに寄りかかるような姿勢をとる頻度の走行開始からの変化量に応じて、利用者の疲労度を、例えば、疲れていない、少し疲れている、とても疲れている、の3段階に分けて検出する。
【0025】
信号レベル監視部36は、他の電動キックボード20からの信号を受信した際に、この受信信号の信号レベルを監視する。近距離無線通信は、所定距離(例えば100m)範囲内で通信可能であるため、所定距離範囲を外れると信号レベルが低下して、近距離無線通信が切断されることが想定される。信号レベル監視部36は、受信信号の信号レベルを監視することにより、通信が一時的に切断された場合に、この切断が通信制御部31の動作によるものか否かを判別することができる。
【0026】
状態判定部37は、他の電動キックボード20からの通信が一時的に切断された場合、この通信が切断されたパターンに基づいて、他の利用者の疲労度を判定する。状態判定部37は、例えば所定時間内における切断の回数に基づいて、他の利用者の疲労度を判定する。
【0027】
報知制御部34は、状態判定部37が他の利用者の疲労度を判定した場合、この判定した疲労度を報知部44に報知させる。報知制御部34は、例えば、他の利用者(○○さん)が少し疲れていると判定された場合には、報知部44に『○○さんは少し疲れています。しばらくしたら休憩をとりましょう』というメッセージを報知させる。
【0028】
次に、本実施形態に係る電動キックボード20の制御部30の動作について説明する。
図3は、送信側の電動キックボードの動作の手順を示すフローチャートである。
図4及び
図5は、通信が一時的に切断されるパターンの一例を示す図である。
図6は、受信側の電動キックボードの動作の手順を示すフローチャートである。
図7は、受信した信号レベルと閾値とを説明するための図である。
図3及び
図6のフローチャートでは、複数の電動キックボードが相互に近距離無線通信をしつつグループで走行しているものとする。
【0029】
まず、送信側の電動キックボード20の制御部30の動作について説明する。制御部30は、荷重情報を取得する(ステップS11)。より詳しくは、制御部30は、荷重情報取得部33により、荷重情報として、荷重測定部43が測定した、電動キックボード20に対する利用者の荷重の分布を取得する。
【0030】
次に、制御部30は、取得した荷重情報に基づいて、利用者の疲労度を検出する(ステップS12)。より詳しくは、制御部30は、状態検出部35により、電動キックボード20に対する利用者の荷重の分布(荷重情報)に基づき、この利用者の疲労度を検出する。本実施形態では、状態検出部35は、電動キックボード20に対する利用者の荷重の分布から、走行中に利用者がハンドルに寄りかかるような姿勢をとる頻度の走行開始からの変化量として、利用者の疲労度を検出する。
【0031】
次に、制御部30は、検出した疲労度(走行中に利用者がハンドルに寄りかかるような姿勢をとる頻度の走行開始からの変化量)が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS13)。本実施形態では、所定値は、利用者の疲労度を『疲れていない』と、『少し疲れている』とに区分けするための閾値であり、この閾値は、例えば5回/分などと設定される。
【0032】
この判定において、制御部30は、検出した疲労度が所定値以上でない場合(ステップS13;No)、すなわち、利用者が疲れていないと検出された場合には処理をステップS11に戻してステップS11~ステップS13を繰り返し実行する。
【0033】
また、制御部30は、検出した疲労度が所定値以上である場合(ステップS13;Yes)、すなわち、少なくとも利用者が少し疲れていると検出された場合には処理をステップS14に移行する。
【0034】
次に、制御部30は、疲労度の大きさに対応した切断パターンで他の電動キックボード20との通信を切断する(ステップS14)。より詳しくは、制御部30は、通信制御部31により、利用者の疲労度に応じた所定のパターン(切断パターン)を生成し、このパターンに基づいて、他の電動キックボード20との通信を一時的に切断する。ここで、利用者の疲労度の大きさとして『少し疲れている』と、『とても疲れている』とに区分けするための閾値は、例えば10回/分などと設定される。
【0035】
この切断のパターンは、所定時間t(例えば0.5秒)に切断と接続とを繰り返し実行するものであり、所定時間における切断の回数と、利用者の疲労度の大きさとを対応づけて設定されている。
図4の例では、所定時間tにおける切断の回数が3回の場合、利用者の疲労度として『少し疲れている』と設定され、
図5の例では、所定時間tにおける切断の回数が4回の場合、利用者の疲労度として『とても疲れている』と設定される。
【0036】
制御部30は、他の電動キックボード20との通信を一時的に切断すると処理を終了し、再度ステップS11から別途処理を再開する。
【0037】
次に、受信側の電動キックボード20の制御部30の動作について説明する。制御部30は、
図6に示すように、他の電動キックボード20から送信された信号を受信する(ステップS21)。この際、制御部30は、信号レベル監視部36により、受信した信号の信号レベルを監視する。
【0038】
次に、制御部30は、切断パターンを含む信号の信号レベルが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS22)。この閾値は、他の電動キックボード20が所定距離範囲内に存在するかを判定するための閾値であり、
図7に示すように、近距離無線通信が通常接続されているときの信号レベルよりも低く設定されている。この判定において、信号レベルが閾値以上である場合(ステップS22;Yes)には、処理をステップS23に移行し、信号レベルが閾値以上でない場合(ステップS22;No)には、処理をステップS24に移行する。
【0039】
次に、制御部30は、切断パターンから他の電動キックボードの利用者の疲労度の大きさを判定する(ステップS23)。より詳しくは、制御部30は、状態判定部37により、受信した信号の切断パターンに対応づけられた利用者の疲労度の大きさを判定する。具体的には、
図4に示すように、所定時間tにおける切断の回数が3回の場合には、利用者の疲労度を『少し疲れている』と判定する。また、
図5に示すように、所定時間tにおける切断の回数が4回の場合には、利用者の疲労度を『とても疲れている』と判定する。
【0040】
また、制御部30は、他の電動キックボード20が通信可能エリアから外れたと判定する(ステップS24)。すなわち、制御部30は、受信した信号レベルが閾値以上でない場合には、切断パターンに関わらず、他の電動キックボード20が通信可能エリアから外れた位置にあると判定する。
【0041】
次に、制御部30は、判定した内容を報知する(ステップS25)。より詳しくは、制御部30は、報知制御部34により、例えば、他の利用者(○○さん)が少し疲れていると判定された場合には、報知部44に『○○さんは少し疲れています。しばらくしたら休憩をとりましょう』というメッセージを報知させる。また、制御部30は、報知制御部34により、例えば、他の利用者(○○さん)の電動キックボード20が通信可能エリアから外れたと判定された場合には、報知部44に『○○さんがグループから外れています。』というメッセージを報知させる。制御部30は、報知すると処理を終了し、再度ステップS21から別途処理を再開する。
【0042】
以上、説明したように、本実施形態に係る電動キックボード20は、予めグループ登録された複数の電動キックボード20の間で近距離無線通信を行う通信部41と、電動キックボード20の利用者の状態を検出する状態検出部35と、検出された利用者の状態に対応した所定のパターンにより、近距離無線通信を一時的に切断する通信制御部31と、近距離無線通信が切断された場合に、切断されたパターンに基づき利用者の状態を判定する状態判定部37と、判定された利用者の状態を報知する報知部44と、を備えるため、複数の電動キックボード20がグループで走行する際に、他の電動キックボード20の利用者の状態を容易に把握することができる。
【0043】
本実施形態に係る電動キックボード20において、この電動キックボード20に対する利用者の荷重の分布を測定する荷重測定部43を備え、状態検出部35は、荷重の分布に基づき利用者の状態として、利用者の疲労度を検出し、通信制御部31は、検出した疲労度が所定値以上の場合、疲労度に対応したパターンにより、近距離無線通信を一時的に切断するため、利用者の走行中の疲労度を適切に他の電動キックボード20に通知することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る電動キックボード20において、状態検出部35は、電動キックボード20への乗車を開始してからの荷重の分布の変化を利用者の疲労度として検出するため、走行中の利用者の姿勢の変化から利用者の疲労度を容易に検出することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る電動キックボード20において、近距離無線通信の信号レベルを監視する信号レベル監視部36を備え、通信制御部31は、信号レベルが所定の閾値以上の場合、検出された利用者の状態に応じて近距離無線通信を一時的に切断するため、例えば、電動キックボード20が通信可能範囲内にあるか否かを容易に判別することができ、走行中の利用者の状態を正確に他の電動キックボード20に通知することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0047】
本実施形態では電動キックボード20に対する利用者の荷重の分布に基づき、利用者の状態として、利用者の疲労度を検出する構成としたが、例えば、利用者の状態として、利用者の興味や関心を検出してもよい。具体的には、電動キックボード20のハンドルに利用者の視線を検出する視線検出部と、電動キックボード20の周囲を撮影するカメラとを設け、走行中に利用者が特定の施設などを見つめている場合には、視線の先の施設に行きたいと判定し、この状態に対応するパターンで近距離無線通信を一時的に切断してもよい。この構成では、例えば、トイレがありそうな施設を見つめる仕草から、利用者が『休憩したい』と検出し、他の電動キックボード20に休憩を促すことができる。
【0048】
また、本実施形態では、走行中におけるハンドルに寄りかかるような姿勢をとる頻度の走行開始からの変化量に応じて、利用者の疲労度を推定するとしたが、デッキ25に載せられた利用者の両足の位置が変わる頻度の走行開始からの変化量に応じて、利用者の疲労度を推定してもよい。
【0049】
また、本実施形態に係る制御部(小型モビリティ制御装置)30の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。制御部30の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0050】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
20 電動キックボード(小型モビリティ)
24 ハンドル
25 デッキ
30 制御部(小型モビリティ制御装置)
31 通信制御部
32 グループ情報取得部
33 荷重情報取得部
34 報知制御部
35 状態検出部
36 信号レベル監視部
37 状態判定部
41 通信部
42 記憶部
43 荷重測定部
44 報知部