(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125847
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】口栓
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
B65D41/34 112
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033947
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝行
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KA13
3E084KB01
3E084LA01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】開栓の状態が認識しやすく開栓が容易なタンパーエビデンス性を備える口栓を提供する。
【解決手段】第1ラチェット突起の1つはバンド部の一方端近傍に設けられ、第1ブリッジはバンド部の第1ラチェット突起のそれぞれに対応する回転位置に形成されており、第2ブリッジはバンド部の他方端近傍の第1ラチェット突起が形成されていない箇所に形成されており、閉栓状態から、第1ラチェット突起の1つがその開栓方向側に位置する第2ラチェット突起の1つに当接するまでキャップを開栓方向に回転させたときのキャップの第1の回転角度が、閉栓状態から、第1ラチェット突起の他の1つがその開栓方向側に位置する第2ラチェット突起の他の1つに当接するまでキャップを開栓方向に回転させたときのキャップの第2の回転角度より小さく、キャップの開栓方向への回転に伴って第1ブリッジとバンド接続ブリッジとが破断する、口栓。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の注出筒部を有するスパウトと、
前記スパウトに螺合により着脱自在に取り付けられるキャップとを備え、
前記キャップは
キャップ本体と、
前記キャップ本体の開放端に複数の第1ブリッジ及び第2ブリッジを介して接続されるタンパーバンドとを有し、
前記タンパーバンドは、
前記キャップの周方向に並べて配置される複数のバンド部と、
隣接する前記バンド部の端部同士を接続するバンド接続ブリッジとを有し、
前記バンド部のそれぞれの内周部に2以上の第1ラチェット突起が設けられており、
前記注出筒部の外周部に、前記バンド部のそれぞれの前記第1ラチェット突起に対応する複数の第2ラチェット突起が、前記第1ラチェット突起と周方向に交互に設けられており、
前記第1ラチェット突起及び前記第2ラチェット突起は、前記キャップの閉栓方向への前記タンパーバンドの回転を許可し、前記キャップの開栓方向への前記タンパーバンドの回転を規制するラチェット機構を構成しており、
前記第1ラチェット突起の1つは、前記バンド部の一方端近傍に設けられ、
前記第1ブリッジは、前記バンド部の前記第1ラチェット突起のそれぞれに対応する回転位置に形成されており、
前記第2ブリッジは、前記バンド部の他方端近傍であって前記第1ラチェット突起が形成されていない箇所に形成されており、
前記キャップの閉栓状態から、前記第1ラチェット突起の前記1つがその開栓方向側に位置する前記第2ラチェット突起の1つに当接するまで前記キャップを開栓方向に回転させたときの前記キャップの第1の回転角度が、前記キャップの閉栓状態から、前記第1ラチェット突起の他の1つがその開栓方向側に位置する前記第2ラチェット突起の他の1つに当接するまで前記キャップを開栓方向に回転させたときの前記キャップの第2の回転角度より小さく、
前記キャップの開栓方向への回転に伴って、前記第1ブリッジと前記バンド接続ブリッジとが破断する、口栓。
【請求項2】
前記注出筒部の外径が10mm以下である、請求項1に記載の口栓。
【請求項3】
前記バンド接続ブリッジが、前記バンド部の前記キャップとは反対側の端部に形成されている、請求項1に記載の口栓。
【請求項4】
前記第1ブリッジの前記注出筒部の中心軸に直交する方向の断面積がいずれも同じである、請求項1に記載の口栓。
【請求項5】
前記第2ブリッジの前記注出筒部の中心軸に直交する方向の断面形状が、四角である、請求項1に記載の口栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口栓に関する。
【背景技術】
【0002】
包装容器の開封履歴が確認可能なタンパーエビデンスバンドを備えた口栓が知られている(特許文献1)。
【0003】
図8に、従来技術に係る口栓の一例の概略構成を示す正面図を示す。従来技術に係る口栓300は、スパウト310と、キャップ本体321とタンパーバンド323とを備える。キャップ本体321とタンパーバンド323とはブリッジ322により部分的に接続されている。また、タンパーバンド323の内周面とスパウト310の外周面のそれぞれには図示しないラチェット突起が設けられており、タンパーバンド323の開栓方向への回転を規制するラチェット機構が構成されている。キャップ本体321を開栓すると、タンパーバンド323の内周面に形成されたラチェット突起がスパウト310の外周面に形成されたラチェット突起を乗り越える際にブリッジ322が切断されて、キャップ本体321からタンパーバンド323が分離される。そのため、キャップ本体321とタンパーバンド323との接続状態を確認することで、口栓300が開栓されたか否かを判断することができる。
【0004】
図9に、従来技術に係る口栓の他の一例の断面図を示す。
図9に示す口栓は、キャップ本体321からタンパーバンド323が分離される際に、タンパーバンド323が2以上に分割されるものである。この構成の場合、タンパーバンド323は、バンド接続ブリッジ323bを介して互いに接続された2以上のバンド部323aによって構成される。バンド部323aは、
図8の構成と同様に、ブリッジ322を介してキャップ本体に部分的に接続されている。開栓時にキャップを開方向に回転させると、バンド部323aの一端に設けられたブリッジ322b以外のブリッジ322とバンド接続ブリッジ323bとが破断し、バンド部323aが当該残されたブリッジ322bを軸として外側に広がるため、より開栓状態が確認しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、
図9に示した従来の分割型のタンパーバンドにおいては、開栓後の広がりが十分でなく、バンドの状態が不明確な場合があった。また、複数のラチェット機構が設けられるため開栓に要するトルクが高くなり、特に径の小さい口栓の場合には開栓が困難であった。
【0007】
それ故に、本発明は、開栓の状態が認識しやすく開栓が容易なタンパーエビデンス性を備える口栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る口栓は、筒状の注出筒部を有するスパウトと、スパウトに螺合により着脱自在に取り付けられるキャップとを備え、キャップはキャップ本体と、キャップ本体の開放端に複数の第1ブリッジ及び第2ブリッジを介して接続されるタンパーバンドとを有し、タンパーバンドは、キャップの周方向に並べて配置される複数のバンド部と、隣接するバンド部の端部同士を接続するバンド接続ブリッジとを有し、バンド部のそれぞれの内周部に2以上の第1ラチェット突起が設けられており、注出筒部の外周部に、バンド部のそれぞれの第1ラチェット突起に対応する複数の第2ラチェット突起が、第1ラチェット突起と周方向に交互に設けられており、第1ラチェット突起及び第2ラチェット突起は、キャップの閉栓方向へのタンパーバンドの回転を許可し、キャップの開栓方向へのタンパーバンドの回転を規制するラチェット機構を構成しており、第1ラチェット突起の1つは、バンド部の一方端近傍に設けられ、第1ブリッジは、バンド部の第1ラチェット突起のそれぞれに対応する回転位置に形成されており、第2ブリッジは、バンド部の他方端近傍であって第1ラチェット突起が形成されていない箇所に形成されており、キャップの閉栓状態から、第1ラチェット突起の1つがその開栓方向側に位置する第2ラチェット突起の1つに当接するまでキャップを開栓方向に回転させたときのキャップの第1の回転角度が、キャップの閉栓状態から、第1ラチェット突起の他の1つがその開栓方向側に位置する第2ラチェット突起の他の1つに当接するまでキャップを開栓方向に回転させたときのキャップの第2の回転角度より小さく、キャップの開栓方向への回転に伴って、第1ブリッジとバンド接続ブリッジとが破断する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開栓の状態が認識しやすく開栓が容易なタンパーエビデンス性を備える口栓を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る口栓の概略構成を示す正面図
【
図3】
図1に示した口栓のIII-IIIラインに沿う断面図
【
図6】第2実施形態に係る口栓の概略構成を示す正面図
【
図7】
図6に示した口栓のVII-VIIラインに沿う断面図
【
図8】従来技術に係る口栓の一例の概略構成を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る口栓の概略構成を示す正面図であり、
図2は、
図1に示した口栓の縦端面図であり、
図3は、
図1に示した口栓のIII-IIIラインに沿う断面図であり、
図4は、開栓状態における口栓の断面図である。
図1~3に記載の口栓100は、開栓前の状態を示している。
図3、4においては、便宜上、後述する凸部28を省略して記載する。
【0012】
口栓100は、スパウト10とキャップ20とを備える。
【0013】
(スパウト)
スパウト10は、図示しない容器本体に取り付けられ、容器本体に収容された液体等の内容物を外部に抽出するための部材である。スパウト10は、筒状の注出筒部11とフランジ部12とを備える。フランジ部12は、注出筒部11の一方の端部に接続され、注出筒部11の外方に延伸する平板状の部分である。本実施形態では、フランジ部12は、注出筒部11の軸方向と直交する方向に延伸するように形成されている。また、本実施形態では、フランジ部12は、円環状に形成されているが、容器本体を接合することができる限り、フランジ部12の形状は限定されない。フランジ部12と容器本体とは、例えば、溶着等の既知の方法を用いて接合される。尚、容器本体10の形態は特に限定されないが、ゲーベルトップ型、ブリック型等の紙容器、パウチ、チューブ容器等を例示できる。
【0014】
スパウト10は、例えば、熱可塑性樹脂を含む材料により成形され、成型工法は射出成形、コンプレッション成形等の既存の成型工法が利用可能である。
【0015】
注出筒部11の台座部分の外周面には、第2ラチェット突起14が複数形成されている。第2ラチェット突起14は、後述するキャップ20のタンパーバンド23の内周面に形成された第1ラチェット突起24と周方向に交互に形成され、第1ラチェット突起24と係合することで、キャップ20の開栓方向へのタンパーバンド23の回転を規制する。なお、本明細書において、スパウト10に対してキャップ20を螺合させる際のキャップ20の回転方向を閉栓方向という。閉栓方向は、
図1~2においては左方向に相当し、
図3~4においては、スパウト10の中心軸を中心とする時計回り方向に相当する。開栓方向は、閉栓方向の逆の回転方向である。
【0016】
(キャップ)
キャップ20は、スパウト10に螺合により着脱自在に取り付けられる、スクリューキャップである。キャップ20は、キャップ本体21と、キャップ本体21の開放端に複数の第1ブリッジ22a及び第2ブリッジ22bを介して接続されるタンパーバンド23とを備える。
【0017】
キャップ本体21は、頂板部25と、頂板部25の端縁から垂直に伸びるスカート部26とを備える。キャップ本体21のタンパーバンド23側の端面(スカート部22の端面)には、複数の第1ブリッジ22a及び第2ブリッジ22bが接続される。また、
図1に示すように、キャップ本体21のタンパーバンド23側の端面には、後述するタンパーバンド23に形成される凸部28を収容する凹部27が2個または4個設けられる。
【0018】
図3に示すように、タンパーバンド23は、キャップ20の周方向に並べて配置される複数のバンド部23aと、隣接するバンド部23aの端部同士を接続し、キャップ20の開栓に伴って破断可能なバンド接続ブリッジ23bとを備え、複数の第1ブリッジ22a及び第2ブリッジ22bを介してキャップ本体21と接続される。バンド接続ブリッジ23bは、
図1に記載されるように、バンド部23aのキャップ本体21とは反対側の端部に形成されることが好ましい。バンド接続ブリッジ23bをこの位置に形成することで、キャッピング時に第1ラチェット突起24が第2ラチェット突起14を乗り越える際にバンド部23aが広がってしまうのを抑制することができる。
【0019】
バンド部23aのそれぞれの内周部には3つの第1ラチェット突起24A~24Cが形成されており、当該第1ラチェット突起24A~24Cと、注出筒部11の外周部に形成された、第1ラチェット突起24A~24Cのそれぞれに対応する複数の第2ラチェット突起14A~14Cによって、キャップ20の閉栓方向へのタンパーバンド23の回転を許可し、キャップ20の開栓方向へのタンパーバンド23の回転を規制するラチェット機構が形成されている。
図3に示すように、1つの第1ラチェット突起24Aは、バンド部23aの一方端近傍に設けられ、他方端近傍には設けられない。
【0020】
第1ブリッジ22aは、バンド部23aの第1ラチェット突起24A~24Cのそれぞれに対応する回転位置に形成されており、第2ブリッジ22bは、バンド部23aの他方端近傍であって第1ラチェット突起24が形成されていない箇所に形成される(
図3)。すなわち、第1ブリッジ22aは、第1ラチェット突起24と同数設けられ、第2ブリッジ22bは、バンド部23aと同数設けられる。
【0021】
第1ブリッジ22aの注出筒部11の中心軸に直交する方向の断面形状は、例えば
図3に示すように四角(例えば第1ブリッジ22aが四角柱形状)とすることができる。また、
図3においては、第1ブリッジ22aの断面形状をいずれも同一で記載しているが、キャップ20の金型の抜き方向を考慮して異なる形状としてもよい。このとき、キャップ20の開栓をスムーズに行えるように、第1ブリッジ22aの断面積はいずれも同じであることが好ましく、さらに第1ブリッジ22aはいずれも近い形状であることが好ましい。また、第1ブリッジ22aの断面積は、バンド部23a側よりもキャップ本体21側が小さい方が、開栓時に第1ブリッジ22aが破断しやすくなるため好ましい。なお、第1ブリッジ22aの破断強度は、第1ブリッジ22aとキャップ本体21及びバンド部23aとの接続部分の断面積等で適宜調節できる。
【0022】
第2ブリッジ22bの注出筒部11の中心軸に直交する方向の断面形状は、例えば
図3に示すように四角(例えば第2ブリッジ22bが四角柱形状)であってもよいし、円形(例えば第2ブリッジ22bが円柱形状)であってもよい。この形状であれば、開栓時において、バンド部23aが第2ブリッジ22bを軸として外側に広がりやすくなる。ただし、第2ブリッジ22bの断面形状が円形の場合、バンド部23aが第2ブリッジ22bを軸として広がった後、第2ブリッジ22bがバンド部23aを閉じる方向に回転してしまう可能性がある。そのため、第2ブリッジ22bは四角柱形状である方が好ましい。
【0023】
図1に示すように、バンド部23aのキャップ本体21側の端面には、キャップ本体21の凹部27に収容される凸部28が形成される。凸部28は、キャップ20の閉栓方向側の辺が斜辺であり、タンパーバンド23部側の辺よりもキャップ本体21側の辺の方が短い、直角台形の形状を有する。また、凸部28を収容する凹部27は凸部28と相似形状を有する。そのため、キャッピング時にキャップ本体21を閉栓方向に回転させたときに、凹部27及び凸部28の開栓方向側の垂直面同士の接触により、キャップ本体21の回転力をタンパーバンド23側に効率よく伝達することができる。そのため、キャッピング時のキャップ本体21の回転に対するタンパーバンド23の追従性を高めることができ、ラチェット機構によってタンパーバンド23に回転抵抗が加わった際の第1ブリッジ22a及び第2ブリッジ22bの破断を抑制することができる。
【0024】
また、キャップ本体21を開栓方向に回転させたときに、凸部28の斜辺に対して、凹部27の斜辺が閉栓方向側から接触する。この状態から更にキャップ本体21を回転させることで、キャップ本体21の回転力の一部が、キャップ本体21をタンパーバンド23からキャップ本体21の軸方向に引き離す力に変化し、キャップ20の開栓が容易になる。
【0025】
(ラチェット機構)
前述のように、口栓100には、第1ラチェット突起24A~24Cと第2ラチェット突起14A~14Cとによって、ラチェット機構が形成されており、口栓100の閉栓状態において、開栓方向へのタンパーバンド23の回転は規制されている。この状態から開栓方向にキャップ20を回転させると、第1ラチェット突起24が第2ラチェット突起14を乗り越える際に第1ブリッジ22aとバンド接続ブリッジ23bとが切断されて、キャップ本体21からバンド部23aが分離される。このとき、第2ブリッジ22bは破断しないため、タンパーバンド23は第2ブリッジ22bを介してキャップ本体21と接続されている。そのため、キャップ本体21とタンパーバンド23とが一体になった状態で、キャップ20をスパウト10から取り外すことができる。
【0026】
本実施形態においては、複数の第1ラチェット突起24A~24Cの第2ラチェット突起14A~14Cの乗り越えが同時に発生しない構成となっており、そのため、複数の第1ブリッジ22aの破断も同時に発生しない。詳細を以下に説明する。
【0027】
キャップ20の閉栓状態から、第1ラチェット突起24Aが、その開栓方向側に位置する第2ラチェット突起14Aに当接するまでキャップ20を開栓方向に回転させたときのキャップ20の第1の回転角度をαとする。また、キャップ20の閉栓状態から、第1ラチェット突起24Aの開栓方向側に位置する第1ラチェット突起24Bが、その開栓方向側に位置する第2ラチェット突起14Bに当接するまでキャップ20を開栓方向に回転させたときのキャップ20の第2の回転角度をβとする。キャップ20の閉栓状態から、第1ラチェット突起24Bの開栓方向側に位置する第1ラチェット突起24Cが、その開栓方向側に位置する第2ラチェット突起14Cに当接するまでキャップ20を開栓方向に回転させたときのキャップ20の第3の回転角度をγとする。このとき、第1の回転角度α、第2の回転角度β、第3の回転角度γの関係は、α<β<γを満たす。すなわち、本実施形態におけるラチェット機構においては、キャップ20を開栓する際、第1ラチェット突起24A及び第2ラチェット突起14A、第1ラチェット突起24B及び第2ラチェット突起14B、第1ラチェット突起24C及び第2ラチェット突起14Aが、この順に係合する構成となっており、第1ラチェット突起24A~24C及び第2ラチェット突起14A~14Cの係合及び乗り越えは同時に発生しない。
【0028】
また、上述のように、第1の回転角度α、第2の回転角度β、第3の回転角度γの関係が、α<β<γを満たすため、それぞれのバンド部23aに形成された複数の第1ブリッジ22aは、キャップ20の開栓方向への回転に伴って順に破断する。具体的には、キャップ20を閉栓状態から開栓方向に回転させた場合、まず、第1ラチェット突起24Aが第2ラチェット突起14Aを乗り越え、このときバンド部23aの第1ラチェット突起24Aに対応する回転位置に形成された第1ブリッジ22aが破断する。このとき、バンド接続ブリッジ23bも破断する。さらにキャップ20を開栓方向に回転させると、第1ラチェット突起24Bが第2ラチェット突起14Bを乗り越え、このときバンド部23aの第1ラチェット突起24Bに対応する回転位置に形成された第1ブリッジ22aが破断する。さらにキャップ20を開栓方向に回転させると、第1ラチェット突起24Cが第2ラチェット突起14Cを乗り越え、このときバンド部23aの第1ラチェット突起24Cに対応する回転位置に形成された第1ブリッジ22aが破断する。全ての第1ブリッジ22aが破断した状態において、キャップ本体21とバンド部23aとは、第2ブリッジ22bを介して接続された状態となる(
図4)。
【0029】
このように、キャップ20の開栓方向への回転に伴って複数の第1ブリッジ22aが順に破断するため、複数の第1ブリッジ22aが同時に破断する場合と比べて、第2ブリッジ22bを軸としたバンド部23aの広がりを大きくすることができる。このため、バンドの状態をより明確に確認することができ、キャップ20が開栓済みであることが把握しやすくなる。
【0030】
また、第1ラチェット突起24の第2ラチェット突起14の乗り越えが開栓方向に順に進行するため、乗り越えが同時に行われる構成と比べて低トルクで開栓することができる。そのため、例えば注出筒部11の外径が10mm以下となるような小さな口栓100の場合であっても、開栓が容易となる。特に、小口径が10mm以下の小口径の口栓100をゲーベルトップ型容器の屋根部分(傾斜面)に取り付けた包装容器を開栓する場合、容器形状及び取り付け位置のため、キャップ20にトルクを掛けにくい。本実施形態では開栓に要するトルクを小さくすることができるので、ゲーベルトップ型容器の屋根部分に取り付ける口栓100として好適である。
【0031】
また、キャップ20の開栓方向への回転に伴って第1ラチェット突起24の第2ラチェット突起14の乗り越えが開栓方向に順に進行し、複数の第1ブリッジ22aも順に破断するため、開栓を音と触感で確認することができ、開封したことを実感しやすくなる。
【0032】
なお、タンパーバンド23の分割数は2に限定されず、3以上であってもよい。また、
図3~4においては、各バンド部23aにおける第1ラチェット突起24及び対応する第2ラチェット突起14の数がそれぞれ3個ずつとなっているが2個であってもよいし、4個以上であってもよい。
【0033】
(変形例)
図5は、変形例に係る口栓の概略構成を示す断面図である。第1実施形態に係る口栓100は、
図5に示す口栓100’のように、第1ブリッジ22a及び第2ブリッジ22bを、キャップ本体21の開放端から外側に向かって形成してもよい。
【0034】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る口栓の概略構成を示す正面図であり、
図7は、
図6に示した口栓のVII-VIIラインに沿う断面図である。
図6~7に記載の口栓200は、開栓前の状態を示している。また、
図7においては、便宜上、凸部28を省略して記載する。凹部27と凸部28を連結して形成する第1ブリッジ22aは、最短距離で上下連結してブリッジ切断する場合と比較して、
図6(b)に示したように斜めに形成して、まずバンド部23aが切断されたのち、バンドが外側に広がり易くすることで視認性を重視した第1ブリッジ22a’を設計することも可能である。
【0035】
第1実施形態に係る口栓100においては、キャップ20の開栓方向におけるバンド部23aの後尾側から順に第1ブリッジ22aが破断する構成であったが、第2実施形態に係る口栓200は、キャップ20の開栓方向におけるバンド部23aの先頭側から順に第1ブリッジ22aが破断する構成となっている。なお、
図7においては、各バンド部23aにおける第1ラチェット突起24及び対応する第2ラチェット突起14の数がそれぞれ2個ずつとなっているが、第1実施形態と同様に、3個であってもよいし、4個以上であってもよい。
【0036】
第2実施形態に係る口栓200において、キャップ20の閉栓状態から、第1ラチェット突起24Aが、その開栓方向側に位置する第2ラチェット突起14の1つである第2ラチェット突起14Aに当接するまでキャップ20を開栓方向に回転させたときのキャップ20の第1の回転角度をαとする。また、キャップ20の閉栓状態から、第1ラチェット突起24Aの開栓方向側に位置する第1ラチェット突起24Bが、その開栓方向側に位置する第2ラチェット突起14Bに当接するまでキャップ20を開栓方向に回転させたときのキャップ20の第2の回転角度をβとする。このとき、第1の回転角度α、第2の回転角度βの関係は、α<βを満たす。すなわち、本実施形態におけるラチェット機構においては、キャップ20を開栓する際、第1ラチェット突起24A及び第2ラチェット突起14A、第1ラチェット突起24B及び第2ラチェット突起14Bが、この順に係合する構成となっており、第1ラチェット突起24A~24Bの第2ラチェット突起14の係合及び乗り越えは同時に発生しない。
【0037】
また、上述のように、第1の回転角度α、第2の回転角度βの関係が、α<βを満たすため、それぞれのバンド部23aに形成された複数の第1ブリッジ22aは、キャップ20の開栓方向への回転に伴って順に破断する。具体的には、キャップ20を閉栓状態から開栓方向に回転させた場合、まず、第1ラチェット突起24Aが第2ラチェット突起14Aを乗り越え、このときバンド部23aの第1ラチェット突起24Aに対応する回転位置に形成された第1ブリッジ22aが破断する。このとき、バンド接続ブリッジ23bも破断する。さらにキャップ20を開栓方向に回転させると、第1ラチェット突起24Bが第2ラチェット突起14Bを乗り越え、このときバンド部23aの第1ラチェット突起24Bに対応する回転位置に形成された第1ブリッジ22aが破断する。全ての第1ブリッジ22aが破断した状態において、キャップ本体21とバンド部23aとは、第2ブリッジ22bを介して接続された状態となる。
【0038】
このように、キャップ20の開栓方向への回転に伴って複数の第1ブリッジ22aが順に破断するため、複数の第1ブリッジ22aが同時に破断する場合と比べて、第2ブリッジ22bを軸としたバンド部23aの広がりを大きくすることができる。このため、バンドの状態をより明確に確認することができ、キャップ20が開栓済みであることが把握しやすくなる。
【0039】
また、第1ラチェット突起24の第2ラチェット突起14の乗り越えが開栓方向に順に進行するため、乗り越えが同時に行われる構成と比べて低トルクで開栓することができる。そのため、例えば注出筒部11の外径が10mm以下となるような小さな口栓100の場合であっても、開栓が容易となる。特に、小口径が10mm以下の小口径の口栓100をゲーベルトップ型容器の屋根部分(傾斜面)に取り付けた包装容器を開栓する場合、容器形状及び取り付け位置のため、キャップ20にトルクを掛けにくい。本実施形態では開栓に要するトルクを小さくすることができるので、ゲーベルトップ型容器の屋根部分に取り付ける口栓100として好適である。
【0040】
また、キャップ20の開栓方向への回転に伴って第1ラチェット突起24の第2ラチェット突起14の乗り越えが開栓方向に順に進行し、複数の第1ブリッジ22aも順に破断するため、開栓を音と触感で確認することができ、開封したことを実感しやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る口栓は、紙パック、パウチ、ブローボトル等の容器本体に取り付けられる、タンパーエビデンス性を必要とする口栓に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
10 :スパウト
11 :注出筒部
14 :第2ラチェット突起
14A :第2ラチェット突起
14B :第2ラチェット突起
14C :第2ラチェット突起
20 :キャップ
21 :キャップ本体
22a :第1ブリッジ
22b :第2ブリッジ
23 :タンパーバンド
23a :バンド部
23b :バンド接続ブリッジ
24 :第1ラチェット突起
24A :第1ラチェット突起
24B :第1ラチェット突起
24C :第1ラチェット突起
100 :口栓
100' :口栓
200 :口栓
α :第1の回転角度
β :第2の回転角度
γ :第3の回転角度