(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125850
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20240911BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20240911BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
A61G12/00 E
H04M9/00 D
H04N7/18 E
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033955
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】安田 大介
(72)【発明者】
【氏名】飯島 裕一
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
【テーマコード(参考)】
4C341
5C054
5K038
【Fターム(参考)】
4C341LL10
5C054CE16
5C054EA01
5C054FE05
5C054FE28
5C054FF02
5C054FF07
5C054HA12
5C054HA19
5K038AA06
5K038AA09
5K038BB01
5K038CC03
5K038DD12
(57)【要約】
【課題】 カメラの設置を簡易な操作で実施できるナースコールシステムを提供する
【解決手段】 患者が看護師を呼び出すためにベッド毎に設置された子機2と、患者からの呼び出しに応答するための親機4と、病室前に設置されて子機2による呼び出しを報知すると共に患者情報を表示する廊下灯3と、患者を撮像するためのカメラ6と、機器間の通信を制御する制御機5とを備え、廊下灯3は子機2を接続するための4つの子機端子2a、及びカメラ6を接続するための2つのカメラ端子6aを有している。カメラ端子6aは同一の廊下灯3の何れかの子機端子2aと関連付けられており、当該関連付け情報を制御機5が記憶し、カメラ6がカメラ端子6aに接続されると、カメラ端子6aに関連付けられている子機端子2aを制御機5が把握し、接続されたカメラ6と子機2の関連付けが成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が看護師を呼び出すためにベッド毎に設置されたナースコール子機と、患者からの呼び出しに応答するためのナースコール親機と、病室毎に設置されて前記ナースコール子機による呼び出しを報知すると共に患者情報を表示する廊下灯と、患者を撮像するためのカメラと、機器間の通信を制御する制御機とを備えてなるナースコールシステムであって、
前記廊下灯は、前記ナースコール子機を接続するための複数の子機端子、及び前記カメラを接続するための少なくとも1つのカメラ端子を有すると共に、
前記カメラ端子は同一の廊下灯の何れかの前記子機端子と関連付けられており、当該関連付け情報を前記制御機が記憶し、
前記カメラが前記カメラ端子に接続されると、接続された前記カメラに関連付けられている前記子機端子を前記制御機が把握し、接続された前記カメラと前記ナースコール子機の関連付けが成されることを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
前記制御機は、前記カメラ端子にカメラが接続されたら、前記ナースコール親機に対して、接続されたカメラの情報を前記カメラ端子に関連付けられている前記ナースコール子機の情報と共に通知し、
前記通知を受けた前記ナースコール親機は、患者情報一覧が表示された表示部の前記通知に対応する患者のエスカッションに、カメラが接続された旨を表示することを特徴とする請求項1記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナースコールシステムに関し、特にベッド上の患者を撮像するカメラを備えて、患者の状態をナースステーション等で確認できる機能を備えたナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の転倒防止等の安全対策のために、ベッド上の患者を撮像するカメラを設置して、その撮像映像から離床等の特定の動作を検知したら、看護師に通知するシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
このような患者の見守りに使用されるカメラは、全てのベッドに対して設置されるものでは無く、一部の患者に対して使用されるため、患者の入退院に合わせて設置/取り外し、更には移設が行われた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、患者の離床等を検知する見守りカメラは、特定の患者に対して使用されるため、頻繁に設置/取り外しが行われる。しかしながら、同一ベッドへの設置/取り外しであれば、比較的簡易な作業で行うことができたが、場所移動を伴う作業はナースコール親機でのベッドの割り付け設定等を行う必要があり、これが面倒で手間が掛かっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、カメラの設置を簡易な操作で実施できるナースコールシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本発明に係るナースコールシステムは、患者が看護師を呼び出すためにベッド毎に設置されたナースコール子機と、患者からの呼び出しに応答するためのナースコール親機と、病室毎に設置されてナースコール子機による呼び出しを報知すると共に患者情報を表示する廊下灯と、患者を撮像するためのカメラと、機器間の通信を制御する制御機とを備えてなるナースコールシステムであって、廊下灯は、ナースコール子機を接続するための複数の子機端子、及びカメラを接続するための少なくとも1つのカメラ端子を有すると共に、カメラ端子は同一の廊下灯の何れかの子機端子と関連付けられており、当該関連付け情報を制御機が記憶し、カメラがカメラ端子に接続されると、接続されたカメラに関連付けられている子機端子を制御機が把握し、接続されたカメラとナースコール子機の関連付けが成されることを特徴とする。
この構成によれば、カメラを廊下灯に接続すると、接続された端子に関連付けられている子機端子を制御機が認識する。即ち、関連付けられているナースコール子機を制御機が自動認識する。よって、別途カメラとベッドを関連付ける設定操作を必要とせず、簡易な操作でカメラを設置できる。
【0007】
本発明の別の態様は、上記構成において、制御機は、カメラ端子にカメラが接続されたら、ナースコール親機に対して、接続されたカメラの情報をカメラ端子に関連付けられているナースコール子機の情報と共に通知し、通知を受けたナースコール親機は、患者情報一覧が表示された表示部の通知に対応する患者のエスカッションに、カメラが接続された旨を表示することを特徴とする。
この構成によれば、カメラが設置されると、患者情報一覧をエスカッション表示しているナースコール親機の表示部にそれが表示されるため、カメラが接続されたことを看護師が認識できるし、表示から撮像対象の患者を確認できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カカメラを廊下灯に接続すると、接続された端子に関連付けられている子機端子から対応するナースコール子機を制御機が自動認識する。よって、別途カメラとベッドを関連付ける設定操作を必要とせず、簡易な操作でカメラを設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図である。
【
図3】廊下灯に設けられた接続端子の説明図である。
【
図5】患者情報一覧を表示したナースコール親機の説明図である。
【
図6】カメラを認識したエスカッション表示の説明図であり、(a)はカメラを認識する前、(b)はカメラ認識後である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図である。
ナースコールシステム1は、ナースコール子機2(以下、「子機」と称する。)、廊下灯3、ナースコール親機4(以下、「親機」と称する。)、制御機5、カメラ6、携帯端末7、構内交換機8、基地局9等を備えている。
子機2、カメラ6は病室毎に廊下灯3に接続され、廊下灯3、親機4、制御機5、構内交換機8は病院内に配設されたLAN幹線L1を介して接続されている。
【0011】
子機2は、看護師を呼び出すための呼出ボタンを備えた呼出握りボタン21と、この呼出握りボタン21が接続されるプレート子機22とから構成されている。プレート子機22は、ベッド毎に壁面等に設置され、患者と看護師とが通話するための通話機能を有している。また、プレート子機22は、伝送線L2を介して病室毎に廊下灯3に接続され、呼出握りボタン21が呼出操作されたら呼出信号を生成して廊下灯3に送信する。
【0012】
図2は廊下灯3のブロック図を示している。廊下灯3は呼び出しの発生を発光により報知する表示灯31、病室の患者情報を表示する患者情報表示部32に加え、
図1に示すように病室に設置されたカメラ6の撮像映像から、撮像している患者が特定の姿勢を採ったらそれを検知する映像解析部33、廊下灯3を制御する廊下灯CPU34、接続された子機2及びカメラ6と通信する第1通信IF35、制御機5と通信する第2通信IF36等を備えている。廊下灯CPU35は、子機2から送信された呼出信号を管理すると共に、親機4と子機2との間で形成される通話路を管理する。
【0013】
映像解析部33は、カメラ6の撮像映像から患者の起き上がりや離床等の転倒や怪我をする可能性のある異常動作を映像から検知する部位であり、カメラ6を単に患者の状態を確認する為だけで無く、患者を見守る見守りカメラとして機能させるための部位である。 尚、異常動作を検知したら親機4等が所定の報知動作を行う。また、映像解析部33は廊下灯3では無く制御機5に設けても良いし、廊下灯3に映像解析専用のアダプタを接続して配置しても良い。
【0014】
図3は、廊下灯3の背部に設けられた子機2及びカメラ6を接続する接続端子37を示し、第1通信IF35に設けられた端子を示している。接続端子37は複数設けられ、ここでは6個の端子6(第1端子37a~第6端子37f)が設けられている。この接続端子37はLAN端子で構成され、個々の端子にはIDが付与されている。付与されたIDは制御機5が記憶している。
このうち、第1端子37a~第4端子37dの4つの端子が廊下灯3が設置された病室の子機2のプレート子機22が接続される子機端子2a、第5端子37e及び第6端子37fの2つの端子がカメラ6が接続されるカメラ端子6aとなっている。
【0015】
そして、カメラ端子6aは何れかの子機端子2aに関連付けされており、個々の接続端子37には、番号が添付されて子機端子2aとカメラ端子6aとの関連付けがわかるようになっている。具体的に、子機端子2aである第1端子37a~第4端子37dには1番から4番の番号が付与されている。これは、病室内の子機2に同一の番号を付与して、1対1で対応するようにしている。
また、カメラ端子6aである第5端子37e、第6端子37fには1番、2番の番号が付与されている。これは、第5端子37eは第1端子37a((即ち番号1の子機2)に関連付けされ、第6端子37fは第2端子37b(即ち番号2の子機2)に関連付けされていることを示している。
この関連付け情報は、制御機5の後述する端子情報記憶部53に記憶されている。
【0016】
尚、この廊下灯3は、4つの子機端子2aを備えることで、4人部屋の病室に対応可能としている。また、カメラ端子6aを2つ備えているが、カメラ端子6aは子機端子2aと同数設けても良いし、1つだけでも良い。
【0017】
親機4は、患者情報の一覧等を表示する液晶画面を備えた第1表示部(表示部)41と、子機2の操作による呼び出しが発生したら呼出元の患者情報を表示する第2表示部42と、第1表示部41に設けられたタッチパネルから成る操作部43、呼び出しに応答するためのハンドセット44等を備えている。
【0018】
図4は制御機5のブロック図を示している。
図4に示すように、制御機5は患者関連情報記憶部51、看護体制情報記憶部52、端子情報記憶部53、機器間の通信を制御する制御機CPU54、LAN幹線L1に接続して廊下灯3、親機4等と通信する制御機通信IF55等を備えている。
患者関連情報記憶部51には、入院患者の氏名や年齢等の患者情報、入院患者の看護区分や診療科目、担当医師等の看護情報、入院患者の病室及びベッド番号等が記憶されている。看護体制情報記憶部52には、担当看護師情報、看護師と携帯端末7の関連付け情報等が記憶されている。
【0019】
端子情報記憶部53には、個々の廊下灯3の子機端子2aとカメラ端子6aとの関連付け情報が記憶されている。具体的に、それぞれのID情報が関連付けされて記憶されている。制御機CPU54は、機器間の通信の制御に加えて、映像解析部33がカメラ6の撮像映像から患者の異常動作を検知したら、親機4等に異常発生を通知する。
【0020】
携帯端末7は、子機2からの呼び出しに応答するために看護師が携行する携帯型親機であり、基地局9、構内交換機8を介して制御機5と通信する。基地局9は病院内の適宜位置に設置され、構内交換機8に接続されている。構内交換機8は制御機5と通信し、制御機5の制御により子機2との間で通話路が形成され、患者からの呼び出しに応答することができる。また、携帯端末7同士の通信も制御機5の制御により可能となっている。
【0021】
カメラ6は壁面或いは病室のベッドの上方に設置され、ベッド上の患者を撮像する。撮像された映像は、映像解析部33で解析され、患者の起き上がりや離床等の特定の行動が検知される。また、親機4からカメラ6が選択されて表示操作されたら、選択されたカメラ6の撮像映像が廊下灯3、制御機5を介して親機4に送信されて第1表示部41に撮像映像が表示される。
【0022】
上記の如く構成されたナースコールシステムの動作は以下のようである。但し、ナースコールシステムの基本動作である子機2を使用した呼び出し、親機4或いは携帯端末7により呼び出しに応答する動作については従来と同様であるため説明を省略し、ここでは、カメラ6の設置について説明する。尚、廊下灯3は
図3に示す構成の接続端子37を備えているものとする。
カメラ6を、例えば病室301号のベッド番号1(子機番号1)のベッドの患者を撮像するよう設置する場合、病室301号の入口に設置されている廊下灯3の接続端子37にカメラ6から配設された伝送線L3を接続する。このとき、カメラ端子6aである2つの接続端子(第5端子37e、第6端子37f)のうち、子機番号1に関連付けられている第5端子37eにカメラ6が接続される。
接続されると、廊下灯CPU34がそれを認識して接続されたカメラ6のID情報が制御機5に送信される。この時、接続したカメラ6のID情報と共に接続されたカメラ端子6a(第5端子37e)のID情報が紐付けされて送信される。
【0023】
この情報を受信した制御機5では、カメラ6のID情報に紐付けされたカメラ端子6aのID情報を元に、端子情報記憶部53からカメラ6に関連付けされている子機2を読み取り、子機番号1のベッドにカメラ6が設置されたことを把握する。
また制御機5は、カメラ6の接続を認識すると、送信元の廊下灯3を配下にしている親機4に対してカメラ6が設置されたことを通知する。この通知により、カメラ6が接続された子機2の情報を含むカメラ設置情報が送信される。
【0024】
制御機5からカメラ設置情報を受信した親機4は、カメラ6が接続された子機2の患者のエスカッションにカメラ6が接続された旨を表示する。
図5,6は親機4の第1表示部41の表示説明図であり、
図5は患者情報一覧をエスカッション表示した説明図、
図6はカメラ6を認識したエスカッション表示の変化を示している。
図5は、病棟のレイアウトに合わせて患者情報一覧を表示した状態を示し、Jがエスカッションであり、患者毎に枠が設けられて枠内に患者に関する情報が表示されている。
図6はエスカッションJのうちのカメラが設置されたエスカッションJaを拡大した説明図であり、(a)はカメラ6が設置される前の状態、(b)はカメラ6が設置された状態を示している。
親機4はカメラ6の設置を認識すると、
図6(b)に示すようにエスカッションにカメラマークJ1が表示される。また、カメラ6の設置を認識した直後は、周囲と異なる色でエスカッションを表示させる。
【0025】
このように、カメラ6を廊下灯3に接続すると、接続された端子に関連付けられている子機端子を制御機5が認識する。即ち、関連付けられている子機2を制御機5が自動認識する。よって、別途カメラ6とベッドを関連付ける設定操作を必要とせず、簡易な操作でカメラを設置できる。
また、カメラ6が設置されると、患者情報一覧をエスカッション表示している親機4の第1表示部41にそれが表示されるため、カメラ6が接続されたことを看護師が認識できるし、表示から撮像対象の患者を確認できる。
【0026】
尚、上記実施形態では、カメラ6が取り付けられると、エスカッションJにカメラマークJ1が表示され、更に周囲と異なる色で表示されるが、第1表示部41の中央に対応するエスカッションJをポップアップ表示しても良い。
また、映像解析部33によるカメラ6の撮像映像を基にした見守り動作は、カメラ6を廊下灯3に接続した後、画角内のベッド位置の設定や離床時の判断ラインの設定などを行うことで起動する。廊下灯3にカメラ6が設置された時点では、親機4で撮像映像を見ることはできるが、見守り動作を実施しない仮登録状態となる。この見守り設定は親機4で行われ、設定が完了すると本登録となる。
【符号の説明】
【0027】
1・・ナースコールシステム、2・・ナースコール子機、3・・廊下灯、4・・ナースコール親機、5・・制御機、6・・カメラ、21・・呼出子機、22・・プレート子機、33・・映像解析部、37・・接続端子、37a~37d・・子機端子、37e~37f・・カメラ端子、41・・第1表示部(表示部)、53・・端子情報記憶部、L1・・LAN幹線。