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特開2024-125853ブラケットの固定構造、及び、ブラケット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125853
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ブラケットの固定構造、及び、ブラケット
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20240911BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20240911BHJP
   H02G 3/14 20060101ALI20240911BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240911BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20240911BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/08
H02G3/14
H05K5/02 Z
B60R16/02 610J
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033959
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉田 翔
(72)【発明者】
【氏名】米山 瞬也
【テーマコード(参考)】
4E360
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AB12
4E360AB17
4E360AB59
4E360AC11
4E360BC03
4E360EA03
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED27
4E360GA53
4E360GB94
4E360GC08
5G361AA06
5G361AB12
5G361AC01
5G361AC02
5G361AD01
5G361AE02
5G361BA06
5G361BB01
5G361BC01
(57)【要約】
【課題】固定作業の作業性に優れたブラケットの固定構造を提供すること。
【解決手段】ブラケットの固定構造2は、電気接続箱20が取り付けられるブラケット10と、ブラケット10が固定される固定対象40と、を備える。ブラケット10は、固定対象40に向けて突出する突起部18aと、固定対象40に係合する係合部19a,19bと、ボルト締結に用いられる貫通孔17A,17Bと、を有する。固定対象40は、突起部18aが挿入される被挿入部43と、係合部19a,19bが係合される被係合部44と、貫通孔17A,17Bに対応する締結部41A,41Bと、を有する。突起部18aが被挿入部43に挿入された状態にて突起部18aを中心としてブラケット10が回転されて、係合部19a,19bが被係合部44に係合されることにより、貫通孔17A,17Bと締結部41A,41Bとが位置合わせされる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続箱が取り付けられることになるブラケットと、前記ブラケットが固定される固定対象と、を備えるブラケットの固定構造であって、
前記ブラケットは、
前記固定対象に向けて突出する突起部と、前記突起部とは異なる箇所に設けられて前記固定対象に係合する係合部と、前記突起部及び前記係合部とは異なる箇所に設けられてボルト締結に用いられる貫通孔と、を有し、
前記固定対象は、
前記突起部が挿入される被挿入部と、前記係合部が係合される被係合部と、前記貫通孔に対応する締結部と、を有し、
前記ブラケットは、
前記突起部が前記被挿入部に挿入された状態にて前記突起部を中心として当該ブラケットが回転されて、前記係合部が前記被係合部に係合されることにより、前記貫通孔と前記締結部とが位置合わせされる、
ブラケットの固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載のブラケットの固定構造において、
前記固定対象は、
前記被係合部において板状の形状を有し、
前記係合部は、
前記被係合部を板厚方向において挟んで前記被係合部に係合する、
ブラケットの固定構造。
【請求項3】
請求項2に記載のブラケットの固定構造において、
前記係合部は、
前記ブラケットへの前記電気接続箱の取付向きから見たとき、当該係合部が前記被係合部に係合しているときに前記被係合部の一部が露出し、且つ、当該係合部が前記被係合部に係合していないときに前記被係合部が露出しない、窓部を、有する、
ブラケットの固定構造。
【請求項4】
請求項1に記載のブラケットの固定構造において、
前記ブラケットに取り付けられる一又は複数の電気接続箱を、更に備え、
前記一又は複数の前記電気接続箱は、
前記ブラケットへの取り付けのための共通形状のロック部を有し、
前記ブラケットは、
前記一又は複数の前記電気接続箱を取付可能な複数の取付箇所と、前記複数の前記取付箇所の各々に設けられて前記ロック部に対応する形状の被ロック部と、を有する、
ブラケットの固定構造。
【請求項5】
請求項4に記載のブラケットの固定構造において、
前記ブラケットに前記一又は複数の前記電気接続箱が取り付けられた状態にて、前記ブラケットが前記固定対象に固定される、
ブラケットの固定構造。
【請求項6】
電気接続箱が取り付けられることになるブラケットであって、
前記ブラケットは、
当該ブラケットを固定することになる固定対象に向けて突出する突起部と、前記突起部とは異なる箇所に設けられて前記固定対象に係合することになる係合部と、前記突起部及び前記係合部とは異なる箇所に設けられて前記固定対象と当該ブラケットとのボルト締結に用いられる貫通孔と、を有する、
ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱が取り付けられることになるブラケットと、ブラケットが固定される固定対象と、を備えるブラケットの固定構造、及び、ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワイヤハーネス(即ち、電気接続箱やサブハーネス等)を自動車に配索するにあたり、自動車の車体フレーム等に電気接続箱が固定される場合がある。例えば、従来の電気接続箱の一つでは、電気接続箱の外壁から延出するように固定用のアーム部が設けられ、このアーム部と車体フレームとがボルト等で締結されるようになっている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7-42535号公報
【特許文献2】特開2007-137372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の電気接続箱では、電気接続箱のアーム部と車体フレームとをボルトで締結して固定するにあたり、例えば、アーム部に設けられた貫通孔と、車体フレームに設けられた締結孔と、を作業者が目視しながら手作業等で位置合わせすることになる。電気接続箱の形状や、車体フレームへの電気接続箱の取り付け位置等によっては、上述した貫通孔と締結孔とを位置合わせする作業が煩雑である。この煩雑さに起因して、電気接続箱を車体フレームに固定する作業の作業性を向上させ難い場合がある。
【0005】
本発明の目的の一つは、固定作業の作業性に優れたブラケットの固定構造、及び、ブラケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るブラケットの固定構造、及び、ブラケットは、以下を特徴としている。
【0007】
電気接続箱が取り付けられることになるブラケットと、前記ブラケットが固定される固定対象と、を備えるブラケットの固定構造であって、
前記ブラケットは、
前記固定対象に向けて突出する突起部と、前記固定対象に係合する係合部と、前記突起部及び前記係合部とは異なる箇所に設けられてボルト締結に用いられる貫通孔と、を有し、
前記固定対象は、
前記突起部が挿入される被挿入部と、前記係合部が係合される被係合部と、前記貫通孔に対応する締結部と、を有し、
前記ブラケットは、
前記突起部が前記被挿入部に挿入された状態にて前記突起部を中心として当該ブラケットが回転されて、前記係合部が前記被係合部に係合されることにより、前記貫通孔と前記締結部とが位置合わせされる、
ブラケットの固定構造であること。
【0008】
電気接続箱が取り付けられることになるブラケットであって、
前記ブラケットは、
当該ブラケットを固定することになる固定対象に向けて突出する突起部と、前記固定対象に係合することになる係合部と、前記突起部及び前記係合部とは異なる箇所に設けられて前記固定対象と当該ブラケットとのボルト締結に用いられる貫通孔と、を有する、
ブラケットであること。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るブラケットの固定構造、及び、ブラケットによれば、ブラケットを固定対象(例えば、自動車の車体フレーム)に固定する際、まず、ブラケットが有する突起部が固定対象が有する被挿入部に挿入され、次いで、突起部を中心としてブラケットの全体が回転されることで、ブラケットの係合部を固定対象の被係合部に係合させることができる。更に、係合部と被係合部とが係合されることで、ブラケットの貫通孔と固定対象の締結部とを位置合わせすることができる。よって、上述した従来の例に比べ、作業者が貫通孔と締結部とを位置合わせする作業の負荷を軽減できる、又は、その作業を無くすことができる。更に、ボルト締結によってブラケットを固定対象に最終的に固定する前に、ブラケットを固定対象に仮固定することができる。したがって、本構成のブラケットの固定構造は、固定作業の作業性に優れている。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係るブラケットの固定構造を構成するブラケットと、ブラケットに取り付けられる電気接続箱と、を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すブラケットの上面図である。
図3図3は、図2のA部の拡大斜視図である。
図4図4は、図2のA部を背面側から見た拡大斜視図である。
図5図5は、図2のB部の拡大斜視図である。
図6図6は、図2のB部を背面側から見た拡大斜視図である。
図7図7は、固定対象にブラケットを取り付ける作業の手順を説明するための第1の図である。
図8図8は、図7のC-C断面図である。
図9図9は、固定対象にブラケットを取り付ける作業の手順を説明するための第2の図である。
図10図10は、図9のD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るブラケットの固定構造2について説明する。本実施形態に係るブラケットの固定構造2は、図7及び図9に示すように、ブラケット10と、ブラケット10が固定される固定対象40と、を備える。固定対象40は、典型的には、自動車の車体フレームである。ブラケット10には、図1に示すように、ワイヤハーネス1に属する電気接続箱20が取り付けられることになる。ワイヤハーネス1は、ブラケット10に取り付けられる一又は複数の電気接続箱20と、一又は複数の電気接続箱20の各々から延びる電線30と、を備える。よって、ワイヤハーネス1が、ブラケットの固定構造2を利用して、ブラケット10を介して、固定対象40に固定されることになる。なお、ブラケット10をワイヤハーネス1が含むと考えてもよい。また、電気接続箱20をブラケットの固定構造2が含むと考えてもよい。
【0013】
以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。前後方向、左右方向及び上下方向は、互いに直交している。上下方向は、電気接続箱20のブラケット10への取付方向と一致しており、「上」側及び「下」側は、それぞれ、ブラケット10が固定対象40(例えば、自動車の車体フレーム)に固定された状態における自動車の「上」側及び「下」側と異なっていてもよいし、一致していてもよい。
【0014】
まず、電気接続箱20について説明する。電気接続箱20は、図1に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向に延びる略直方体状の樹脂製の筐体を有する。電気接続箱20の筐体は、単一の樹脂成形体で構成されても、複数の樹脂成形体を組み合わせて構成されてもよい。電気接続箱20の筐体の表面には、電線やコネクタ等を固定するための部位(即ち、後述する補助取付箇所)が設けられていない。電気接続箱20には、車両を制御するための複数種類の電子部品21等が搭載されている(図1参照)。
【0015】
電気接続箱20の前面(前を向いた面)及び後面(後を向いた面)には、ブラケット10の後述する被ロック部13(13a,13b)(図2参照)と係合することになるロック部22が設けられている(図1参照)。本例では、ロック部22は、電気接続箱20の前面に設けられた第1ロック部22a(図1参照)と、電気接続箱20の後面に設けられた第2ロック部(図示省略)とで構成されている。第1ロック部22a及び第2ロック部の構造は、本例では互いに異なっているが、同じであってもよい。
【0016】
電気接続箱20の前面の右下の端部には、電線挿通部23が設けられている(図1参照)。電線挿通部23からは、電気接続箱20に搭載された電子部品21等と電気的に接続された電線30(即ち、サブハーネス)が、電気接続箱20の内部から外部に向けて前方へ延出している(図1参照)。
【0017】
ワイヤハーネス1が有する一又は複数の電気接続箱20の筐体の各々は、略直方体状の共通形状を有している。ワイヤハーネス1が有する一又は複数の電気接続箱20の各々は、ブラケット10が有する後述する2つの取付箇所12(12a,12b)(図2参照)の何れにも取り付け可能である一方で、互いに異なる電気回路の仕様を有している。
【0018】
ワイヤハーネス1が有する一又は複数の電気接続箱20の各々(電気接続箱20A,20B)は、共通形状のロック部22(第1ロック部22a+第2ロック部)を有している。ワイヤハーネス1が有する一又は複数の電気接続箱20の各々のロック部22(第1ロック部22a+第2ロック部)は、ブラケット10が有する2つの取付箇所12(12a,12b)のうち何れの取付箇所12に設けられた被ロック部13(13a,13b)にも係合可能である。以上、電気接続箱20について説明した。
【0019】
次いで、ブラケット10について説明する。ブラケット10は、樹脂成形体であり、図1及び図2に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向に延び且つ上方に開口する略直方体状の箱状の本体部11を有する。本体部11の略直方体状の中空部には、図2に示すように、左右方向に隣接して並ぶ2つの取付箇所12が画成されている。2つの取付箇所12の各々は、電気接続箱20を取付可能な略直方体状の共通形状を有している。以下、2つの取付箇所12を区別する必要がある場合には、左側及び右側の取付箇所12を、それぞれ、「取付箇所12a」及び「取付箇所12b」と呼ぶ。
【0020】
各取付箇所12には、電気接続箱20のロック部22に対応して、被ロック部13が設けられている(図2参照)。本例では、被ロック部13は、第1ロック部22aに対応して本体部11を画成する前壁の内面(後を向いた面)に設けられた第1被ロック部13aと、第2ロック部に対応して本体部11を画成する後壁の内面(前を向いた面)に設けられた第2被ロック部13bとで構成されている。各取付箇所12は、共通形状の被ロック部13(第1被ロック部13a+第2被ロック部13b)を有している。
【0021】
電気接続箱20は、図1に示すように、上方から、取付箇所12に取り付けられる。電気接続箱20が取付箇所12に取り付けられた状態では、被ロック部13(第1被ロック部13a+第2被ロック部13b)とロック部22(第1ロック部22a+第2ロック部)とが係合することで、電気接続箱20のブラケット10(本体部11)からの上方への分離(抜け)が防止される。
【0022】
各取付箇所12には、電気接続箱20の電線挿通部23に対応して、本体部11を画成する前壁の一部に、下方に向けて凹状に切り欠いた電線挿通用凹部14が設けられている(図1及び図2参照)。電気接続箱20が取付箇所12に取り付けられた状態では、電気接続箱20の電線挿通部23から前方に延出する電線30の根元部が電線挿通用凹部14に収容される(図1参照)。電線挿通部23から延出する電線30は、自動車に搭載された対応する電装品(図示省略)と接続される。
【0023】
ブラケット10の本体部11を画成する後壁の外面(後を向いた面)や、脚部16には、図1及び図2に示すように、電気接続箱とは異なる補助部品(例えば、電線やコネクタ等)を固定するための複数の補助取付箇所15が設けられている。このような補助取付箇所15がブラケット10側に設けられているため、上述したように、電気接続箱20側には電線やコネクタ等を固定するための部位が不要となっている。
【0024】
図1及び図2に示すように、ブラケット10の本体部11を画成する左壁の外面(左を向いた面)及び右壁の外面(右を向いた面)からはそれぞれ、脚部16が一体に延出している。各脚部16の先端部には、ボルト孔(貫通孔)17が形成されている。以下、説明の便宜上、図2に示すように、本体部11から左側及び右側に延出する脚部16をそれぞれ脚部16A及び脚部16Bと呼び、脚部16A及び脚部16Bに設けられたボルト孔17をそれぞれボルト孔17A及びボルト孔17Bと呼ぶ。ブラケット10の固定対象40(自動車の車体フレーム)への取付時、脚部16A及び脚部16Bに設けられたボルト孔17A及びボルト孔17Bは、ブラケット10を固定対象40へ締結固定するために使用される(図9参照。詳細は後述される)。
【0025】
ブラケット10の本体部11を画成する左壁の外面(左を向いた面)における脚部16Aより後側の位置からは、更に、延出片18が一体に延出している。延出片18は、左右方向、及び、前後方向(厳密には、前後方向に対して後側が前側より上側に位置する向きに僅かに傾斜した方向)に沿って延びる平板状の形状を有している。図3及び図4に示すように、延出片18の下面には、下方に向けて突出する突起部18aが設けられている。突起部18aには、図4に示すように、突起部18aの先端部から根本側へ向けて傾斜して延びる片持ち梁状のロックアーム18bが設けられている(図8も参照)。ロックアーム18bは、突起部18aの径方向に弾性変形可能となっている。ブラケット10の固定対象40(自動車の車体フレーム)への取付時、延出片18に設けられた突起部18aは、ブラケット10を固定対象40へ仮固定するために使用される(図7図9参照。詳細は後述される)。
【0026】
ブラケット10の脚部16B(図2参照)の先端部には、図5及び図6に示すように、第1係合部19a及び第2係合部19bが一体に設けられている。第1係合部19a及び第2係合部19bの各々は、左右方向、及び、前後方向(厳密には、前後方向に対して後側が前側より上側に位置する向きに僅かに傾斜した方向)に沿って延びる平板状の形状を有している。ボルト孔17Bは、第1係合部19aの一部に設けられている。第1係合部19a及び第2係合部19bは、第1係合部19aの下面19cが、第2係合部19bの上面19dに対して長さL(図10参照)だけ上側に位置するように、配置されている。この結果、第1係合部19aの下面19cと第2係合部19bの上面19dとの間には、少なくとも前方且つ右方に開口し且つ上下方向長さがLの隙間Sが画成されている(図5及び図6、特に、図6参照)。長さLは、後述する固定対象40の第2部分40Bの平板状の第2縁部44(図7,9,10参照)の板厚に相当する長さである。ブラケット10の固定対象40(自動車の車体フレーム)への取付時、脚部16Bの先端部に設けられた第1係合部19a及び第2係合部19bは、ブラケット10を固定対象40へ仮固定するために使用される(図9参照。詳細は後述される)。
【0027】
更に、第2係合部19bの上方には、ブラケット10への電気接続箱20の取付向き(即ち、上方から下方に向かう向き)から見たときに第2係合部19bを視認可能であるように脚部16Bの上面に開口する窓部19eが、設けられている。換言すると、第2係合部19bの上面は、窓部19eを通じて、ブラケット10の外部に露出している。詳細は後述するように、ブラケット10の第1係合部19a及び第2係合部19bが固定対象40(第2部分40B)の第2縁部44に係合されたとき、固定対象40(第2部分40B)の平板状の第2縁部44の少なくとも一部が、窓部19eから露出するようになっている(図10参照)。以上、ブラケット10について説明した。
【0028】
上述したように、ワイヤハーネス1が有する一又は複数の電気接続箱20の各々は、ブラケット10が有する2つの取付箇所12a,12b(図2参照)の何れにも取り付け可能である一方で、互いに異なる電気回路の仕様を有している。よって、例えば、電気接続箱20をワイヤハーネス1が適用される自動車の特定のシステム(仕様)ごとにあらかじめ準備することができる。即ち、一又は複数の電気接続箱20の各々は、ワイヤハーネス1が適用される自動車の特定のシステムを実現する電装品(図示省略)に対応した電子部品21を格納していてもよい。換言すると、一又は複数の電気接続箱20の各々から延びる電線30が、ワイヤハーネス1が適用される自動車の特定のシステムを実現する電装品に接続されてもよい。
【0029】
具体的には、例えば、電気接続箱20として、自動車に標準装備される機器に関連する電装品(以下「スタンダード電装品」という。)に対応するスタンダード用電気接続箱20Aと、自動車に選択的に装備される機器に関連する電装品(以下「オプション電装品」という。)に対応するオプション用電気接続箱20Bと、を準備する場合を想定する(図1参照)。スタンダード電装品として、例えば、エンジン仕様の自動車に用いられる電装品が挙げられ、オプション電装品として、例えば、ハイブリッド仕様の自動車に用いられる電装品が挙げられる。
【0030】
この場合、スタンダード用電気接続箱20Aが2つの取付箇所12a,12bの一方に取り付けられ、選択されるオプション電装品に応じ、対応するオプション用電気接続箱20Bが2つの取付箇所12a,12bの他方に取り付けられる。図1に示す例では、スタンダード用電気接続箱20Aが取付箇所12aに取り付けられ、選択されるオプション電装品に応じたオプション用電気接続箱20Bが取付箇所12bに取り付けられる。スタンダード用電気接続箱20Aが取付箇所12a,12bの何れかに取り付けられる一方で、オプション電装品が装備されないことに起因して、オプション用電気接続箱20Bが取り付けられなくてもよい。スタンダード用電気接続箱20Aから延びる電線30は、スタンダード電装品に接続され、オプション用電気接続箱20Bから延びる電線30は、選択されたオプション電装品に接続される。
【0031】
このように、選択されるオプション電装品に応じ、対応するオプション用電気接続箱20Bをワイヤハーネス1に加えればよいことになる。これにより、オプション電装品の有無にかかわらずワイヤハーネス1に予備的に設置される電線等(いわゆる、付け捨て回路)が不要となる。
【0032】
また、電気接続箱20を自動車のシステム(仕様)ごとに準備することに代えて、電気接続箱20をワイヤハーネス1が適用される自動車の特定のエリアごとにあらかじめ準備することができる。即ち、一又は複数の電気接続箱20の各々は、ワイヤハーネス1が適用される自動車の特定のエリアに設置されている電装品(図示省略)に対応した電子部品21を格納していてもよい。換言すると、一又は複数の電気接続箱20の各々から延びる電線30が、ワイヤハーネス1が適用される自動車の特定のエリアに設置されている電装品に接続されてもよい。
【0033】
これにより、自動車の特定のエリアごとに電線30を独立させられる。このため、電線30の配索作業が容易になることに加え、特定のエリアに対応する電線30に不具合が生じた場合にはその電線30のみを修理・交換等すればよいため、ワイヤハーネス1のメンテナンス性を高められる。また、特定のエリアに設置される電装品が同じであれば、自動車の車種が異なっても同じ電線30を利用できるため、ワイヤハーネス1の汎用性を高められる。
【0034】
次いで、図7図10を参照しながら、固定対象40(車体フレーム)にブラケット10を取り付ける作業について説明する。なお、図7及び図9では、ブラケット10に一又は複数の電気接続箱20が取り付けられていない状態が示されているが、ブラケット10に一又は複数の電気接続箱20が取り付けられた状態にて固定対象40にブラケット10を取り付ける作業が行われてもよい。ブラケット10に電気接続箱20が取り付けられた状態にて固定対象40への取り付けを行うことで、ブラケット10と電気接続箱20とを一体的に取り扱うことができるため、ブラケット10と電気接続箱20とを別々に生産管理する等の場合に比べて、ブラケット10及び電気接続箱20の取り扱いが容易になる。
【0035】
図7に示す固定対象40(車体フレーム)は、左側の第1部分40Aと、右側の第2部分40Bとを有している。第1部分40Aと第2部分40Bとは、ブラケット10の左右方向の全長(図2参照)に相当する距離だけ左右方向に離れて配置されている。第1部分40A及び第2部分40Bには、それぞれ、ブラケット10のボルト孔17A及びボルト孔17Bに対応して、締結孔41A及び締結孔41Bが設けられている。第1部分40Aにおける締結孔41Aより後側に位置する平板状の第1縁部42には、ブラケット10の突起部18aに対応して、挿入孔(貫通孔)43(被挿入部)が設けられている。第2部分40Bにおける締結孔41Bより後側に位置する平板状の第2縁部44は、ブラケット10の第1係合部19a及び第2係合部19b(係合部)によって挟持され係合される「被係合部」として機能することになる(図9及び図10参照)。
【0036】
固定対象40(車体フレーム)にブラケット10を取り付けるためには、まず、図7に示すように、ブラケット10が、左右方向に延びる向き(図2に示す向き)から、上方から見て反時計回りに所定角度だけ回転させた向きに維持された状態で、ブラケット10の突起部18aが固定対象40(第1部分40A)の挿入孔43に挿入される(図8参照)。突起部18aの挿入の途中段階では、挿入孔43の縁部からの押圧により突起部18aのロックアーム18bが突起部18aの径方向内側に一時的に弾性変形する。突起部18aの挿入完了状態では、図8に示すように、ロックアーム18bが突起部18aの径方向外側に弾性回復して、ロックアーム18bの先端部が挿入孔43の縁部と係合する状態が維持される。このため、突起部18aの挿入完了状態では、突起部18aが挿入孔43から抜け出すことが抑制される。これにより、後述するようにブラケット10を回転する作業を行うときに誤って突起部18aが挿入孔43から離脱することが抑制される。
【0037】
次いで、図9に白矢印で示すように、突起部18aを中心としてブラケット10の全体が上方から見て時計回りに回転されることによって、ブラケット10の第1係合部19a及び第2係合部19bが、固定対象40(第2部分40B)の第2縁部44に係合される。具体的には、図10に示すように、第1係合部19aの下面19cと第2係合部19bの上面19dとの間に画成された隙間S(図5及び図6参照)に、固定対象40(第2部分40B)の平板状の第2縁部44が挿入され挟持されることで、ブラケット10の第1係合部19a及び第2係合部19bと固定対象40の第2縁部44とが係合する。この係合が完了した状態で、上方から下方に向かう向き(即ち、電気接続箱20のブラケット10への取付向き)にブラケット10を見ると、固定対象40の第2縁部44の少なくとも一部が窓部19eから露出している(図9及び図10参照)。
【0038】
このように、第1係合部19a及び第2係合部19bと固定対象40の第2縁部44とが係合されることで、ブラケット10のボルト孔17A,17Bと固定対象40の締結孔41A,41Bとがそれぞれ位置合わせされた状態、且つ、ブラケット10が固定対象40から離れる向き(上向き)の移動が突起部18aによっても第1係合部19a及び第2係合部19bによっても抑制された状態で、ブラケット10が固定対象40へ仮固定される(図9参照)。この結果、ボルト孔17A,17Bと締結孔41A,41Bとの位置合わせの作業を作業者の目視により行うことなく、ボルト締結のために、ブラケット10を固定対象40に仮固定することができる。
【0039】
そして、互いに位置合わせされたボルト孔17A及び締結孔41A、並びに、互いに位置合わせされたボルト孔17B及び締結孔41Bにそれぞれボルト(図示省略)が挿通され、これらのボルトを利用して、ブラケット10が固定対象40に締結固定される。このように、ブラケット10が固定対象40に締結固定されることで、ブラケット10に取り付けられている一又は複数の電気接続箱20を含むワイヤハーネス1が、ブラケット10を介して、固定対象40に固定される。
【0040】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係るブラケットの固定構造2によれば、ブラケット10を固定対象40(例えば、自動車の車体フレーム)に固定する際、まず、ブラケット10が有する突起部18aが、固定対象40が有する被挿入部(挿入孔43)に挿入され、次いで、突起部18aを中心としてブラケット10の全体が回転されることによってブラケット10の係合部(第1係合部19a及び第2係合部19b)が固定対象40の被係合部(第2縁部44)に係合される。更に、係合部19a,19bと被係合部44とが係合されたとき、ブラケット10の貫通孔(ボルト孔17A,17B)と固定対象40の締結部(締結孔41A,41B)とが位置合わせされた状態となる。よって、上述した従来の例に比べ、作業者の目視による確認作業の負荷を軽減できる、又は、その確認作業を無くすことができる。また、ボルト締結のために、ブラケット10を固定対象40に仮固定することができる。したがって、本実施形態に係るブラケットの固定構造2は、固定作業の作業性に優れている。
【0041】
更に、本実施形態に係るブラケットの固定構造2によれば、突起部18aが有するロック構造(ロックアーム18b)により、突起部18aが被挿入部43から(上方に)抜け出すことが抑制される。これにより、ブラケット10を回転する作業を行うときに誤って突起部18aが被挿入部43から離脱することが抑制されるため、固定作業の作業性を更に向上できる。
【0042】
更に、本実施形態に係るブラケットの固定構造2によれば、ブラケット10の係合部19a,19bが、板状の被係合部(第2縁部44)を挟んだ状態で被係合部44に係合される。これにより、ブラケット10が固定対象40から離れる向きの移動(上方向の移動)が、突起部18aによっても係合部19a,19bによっても抑制される。これにより、ブラケット10を固定する作業を行うときにブラケット10の位置ズレを更に強力に抑制できるため、固定作業の作業性を更に向上できる。
【0043】
更に、ブラケット10の係合部19a,19bに設けられた窓部19eに被係合部(第2縁部44)が露出しているか否かにより、ブラケット10と固定対象40とが互いに適正に配置(換言すると、位置合わせ)されているか否かを、作業者の目視等で判定することができる。これにより、ブラケットの固定作業の作業性を更に向上できる。
【0044】
更に、本実施形態に係るブラケットの固定構造2によれば、ブラケット10に取り付けられる一又は複数の電気接続箱20は、共通形状のロック部22を有する。ブラケット10が有する複数の取付箇所12には、電気接続箱20のロック部22に対応する形状の被ロック部13が設けられる。よって、例えば、汎用可能な形状(例えば、シンプルな直方体状の形状)の電気接続箱20に共通形状のロック部22を設け、自動車の仕様ごとに、ブラケット10に取り付ける電気接続箱20の数を増減させたり、電気接続箱20に格納する電子部品21を入れ替えたりすることができる。即ち、電気接続箱20を汎用化できる。一方、ブラケット10は自動車の仕様ごとに異なる形状を有することになるものの、電気接続箱20のように内部に電子部品を格納する構造をブラケット10は要さないため、全体的な生産性への影響は限定的である。よって、電気接続箱20を汎用化しながら、ブラケット10を介して、様々な仕様の固定対象40に電気接続箱20を固定することができる。
【0045】
更に、本実施形態に係るブラケットの固定構造2によれば、ブラケット10に電気接続箱20が取り付けられた状態で、ブラケット10が固定対象40に固定される。これにより、ブラケット10と電気接続箱20とを一体的に取り扱うことができるため、ブラケット10と電気接続箱20とを別々に生産管理する等の場合に比べて、ブラケット10及び電気接続箱20の取り扱いが容易になる。
【0046】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0047】
ここで、上述した本発明に係るブラケットの固定構造2、及び、ブラケット10の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
【0048】
[1]
電気接続箱(20)が取り付けられることになるブラケット(10)と、前記ブラケット(10)が固定される固定対象(40)と、を備えるブラケットの固定構造(2)であって、
前記ブラケット(10)は、
前記固定対象(40)に向けて突出する突起部(18a)と、前記突起部(18a)とは異なる箇所に設けられて前記固定対象(40)に係合する係合部(19a,19b)と、前記突起部(18a)及び前記係合部(19a,19b)とは異なる箇所に設けられてボルト締結に用いられる貫通孔(17A,17B)と、を有し、
前記固定対象(40)は、
前記突起部(18a)が挿入される被挿入部(43)と、前記係合部(19a,19b)が係合される被係合部(44)と、前記貫通孔(17A,17B)に対応する締結部(41A,41B)と、を有し、
前記ブラケット(10)は、
前記突起部(18a)が前記被挿入部(43)に挿入された状態にて前記突起部(18a)を中心として当該ブラケット(10)が回転されて、前記係合部(19a,19b)が前記被係合部(44)に係合されることにより、前記貫通孔(17A,17B)と前記締結部(41A,41B)とが位置合わせされる、
ブラケットの固定構造(2)。
【0049】
上記[1]の構成のブラケットの固定構造によれば、ブラケットを固定対象(例えば、自動車の車体フレーム)に固定する際、まず、ブラケットが有する突起部が固定対象が有する被挿入部に挿入され、次いで、突起部を中心としてブラケットの全体が回転されることによってブラケットの係合部を固定対象の被係合部に係合させることができる。更に、係合部と被係合部とが係合されることで、ブラケットの貫通孔と固定対象の締結部とを位置合わせさすることができる。よって、上述した従来の例に比べ、作業者の目視による確認作業の負荷を軽減できる、又は、その確認作業を無くすことができる。また、ボルト締結のために、ブラケットを固定対象に仮固定することができる。したがって、本構成のブラケットの固定構造は、固定作業の作業性に優れている。
【0050】
[2]
上記[1]に記載のブラケットの固定構造(2)において、
前記固定対象(40)は、
前記被係合部(44)において板状の形状を有し、
前記係合部(19a,19b)は、
前記被係合部(44)を板厚方向において挟んで被係合部(44)に係合する、
ブラケットの固定構造(2)。
【0051】
上記[2]の構成のブラケットの固定構造によれば、ブラケットの係合部が、板状の被係合部を挟んだ状態で被係合部に係合される。これにより、ブラケットが固定対象から離れる向きの移動が、突起部によっても係合部によっても抑制される。これにより、ブラケットを固定する作業を行うときにブラケットの位置ズレを更に強力に抑制できるため、固定作業の作業性を更に向上できる。
【0052】
[3]
上記[2]に記載のブラケットの固定構造において、
前記係合部(19a,19b)は、
前記ブラケット(10)への前記電気接続箱(20)の取付方向から見たとき、当該係合部(19a,19b)が前記被係合部(44)に係合しているときに前記被係合部の一部が露出し、且つ、当該係合部(19a,19b)が前記被係合部(44)に係合していないときに前記被係合部(44)が露出しない、窓部(19e)を、有する、
ブラケットの固定構造(2)。
【0053】
上記[3]の構成のブラケットの固定構造によれば、ブラケットの係合部に設けられた窓部に被係合部が露出しているか否かにより、ブラケットと固定対象とが互いに適正に配置(換言すると、位置合わせ)されているか否かを、作業者の目視等で判定することができる。これにより、ブラケットの固定作業の作業性を更に向上できる。
【0054】
[4]
上記[1]に記載のブラケットの固定構造(2)において、
前記ブラケット(10)に取り付けられる一又は複数の電気接続箱(20)を、更に備え、
前記一又は複数の前記電気接続箱(20)は、
前記ブラケット(10)への取り付けのための共通形状のロック部(22)を有し、
前記ブラケット(10)は、
前記一又は複数の前記電気接続箱(20)を取付可能な複数の取付箇所(12)と、前記複数の前記取付箇所(12)の各々に設けられて前記ロック部(22)に対応する形状の被ロック部(13)と、を有する、
ブラケットの固定構造(2)。
【0055】
上記[4]の構成のブラケットの固定構造によれば、ブラケットに取り付けられる一又は複数の電気接続箱は、共通形状のロック部を有する。ブラケットが有する複数の取付箇所には、電気接続箱のロック部に対応する形状の被ロック部が設けられる。よって、例えば、汎用可能な形状(例えば、シンプルな直方体状の形状)の電気接続箱に共通形状のロック部を設け、自動車の仕様ごとに、ブラケットに取り付ける電気接続箱の数を増減させたり、電気接続箱に格納する電子部品を入れ替えたりすることができる。即ち、電気接続箱を汎用化できる。一方、ブラケットは自動車の仕様ごとに異なる形状を有することになるものの、電気接続箱のように内部に電子部品を格納する構造をブラケットは要さないため、全体的な生産性への影響は限定的である。よって、電気接続箱を汎用化しながら、ブラケットを介して、様々な仕様の固定対象に電気接続箱を固定することができる。
【0056】
[5]
上記[4]に記載のブラケットの固定構造(2)において、
前記ブラケット(10)に前記一又は複数の前記電気接続箱(20)が取り付けられた状態にて、前記ブラケット(10)が前記固定対象(40)に固定される、
ブラケットの固定構造(2)。
【0057】
上記[5]の構成のブラケットの固定構造によれば、ブラケットに電気接続箱が取り付けられた状態で、ブラケットが固定対象に固定される。これにより、ブラケットと電気接続箱とを一体的に取り扱うことができるため、ブラケットと電気接続箱とを別々に生産管理する等の場合に比べて、ブラケット及び電気接続箱の取り扱いが容易になる。
【0058】
[6]
電気接続箱(20)が取り付けられることになるブラケット(10)であって、
前記ブラケット(10)は、
当該ブラケット(10)を固定することになる固定対象(40)に向けて突出する突起部(18a)と、前記突起部(18a)とは異なる箇所に設けられて前記固定対象(40)に係合することになる係合部(19a,19b)と、前記突起部(18a)及び前記係合部(19a,19b)とは異なる箇所に設けられて前記固定対象(40)と当該ブラケット(10)とのボルト締結に用いられる貫通孔(17A,17B)と、を有する、
ブラケット(10)。
【0059】
上記[6]の構成のブラケットによれば、ブラケットを固定対象(例えば、自動車の車体フレーム)に固定する際、まず、ブラケットが有する突起部が固定対象が有する被挿入部に挿入され、次いで、突起部を中心としてブラケットの全体が回転されることによってブラケットの係合部を固定対象の被係合部に係合させることができる。更に、係合部と被係合部とが係合されることで、ブラケットの貫通孔と固定対象の締結部とを位置合わせさすることができる。よって、上述した従来の例に比べ、作業者の目視による確認作業の負荷を軽減できる、又は、その確認作業を無くすことができる。また、ボルト締結のために、ブラケットを固定対象に仮固定することができる。したがって、本構成のブラケットの固定構造は、固定作業の作業性に優れている。
【符号の説明】
【0060】
2 ブラケットの固定構造
10 ブラケット
12 取付箇所
13 被ロック部
17A ボルト孔(貫通孔)
17B ボルト孔(貫通孔)
18a 突起部
18b ロックアーム(ロック構造)
19a 第1係合部(係合部)
19b 第2係合部(係合部)
19e 窓部
20 電気接続箱
22 ロック部
40 車体フレーム(固定対象)
41A 締結孔(締結部)
41B 締結孔(締結部)
43 挿入孔(被挿入部)
44 第2縁部(被係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10