(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125856
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】X線CT装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
A61B6/03 321K
A61B6/03 321B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033964
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 優介
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093EC45
4C093EC47
4C093FA55
(57)【要約】
【課題】架台装置の排気による不快感を低減させること。
【解決手段】X線CT装置は、架台と、回転軸と、スタンドと、を備える。前記架台は、被検体が挿入される開口を有する。前記回転軸は、前記架台における前記開口をチルト角方向に回転可能に支持する。前記スタンドは、前記回転軸を回転させ、前記架台を鉛直方向に移動させる。そして、前記架台と前記スタンドとの間には、前記架台の回転角および鉛直方向の位置にかかわらず、前記架台内の空気を前記スタンドまで通気させる通気経路が形成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が挿入される開口を有する架台と、
前記架台をチルト角方向に回動可能に支持する回転軸と、
前記回転軸をチルト角方向に回転させる回転機構を有し、前記回転軸を回転可能に支持するスタンドと、
前記架台の内部の空気を前記スタンドまで通気させる通気経路であって、前記回転軸のチルト角方向の回転によらず前記架台と前記スタンドとの間の経路長が一定である通気経路と、
を備えるX線CT装置。
【請求項2】
前記通気経路は、前記回転軸の内側に形成された空洞である、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記回転軸は、前記架台側の一端に、当該回転軸と略同一中心軸の外歯車を有し、
前記スタンドは、前記外歯車を回転させる駆動部を有する、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記回転軸は、前記架台側の一端に、当該回転軸と略同一中心軸の内歯車を有し、
前記スタンドは、前記内歯車を回転させる駆動部を有する、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記通気経路は、前記回転軸の外側に配置され、当該回転軸のチルト角方向の回転に応じて前記回転軸と略同一の中心軸を中心に旋回する第1ダクトにより形成される、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記スタンドは、前記通気経路を通過した空気を排気口まで通気させる第2ダクトを更に備える、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記第2ダクトは、前記回転軸の鉛直方向の移動に伴い伸縮する伸縮部を有する、
請求項6に記載のX線CT装置。
【請求項8】
前記スタンドは、前記通気経路と前記第2ダクトとが接続される部分に、前記通気経路と前記第2ダクトとの間の回転を滑らかにするベアリングを有する、
請求項6に記載のX線CT装置。
【請求項9】
前記スタンドは、前記架台の内部の空気を排気する排気口と、当該排気口の開口率を変更する開閉部と、
前記架台の内部の空気の温度に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に基づいて、前記開閉部を制御する冷却制御部と、
を更に備える請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項10】
前記スタンドは、前記架台の内部の空気を排気する排気口と、前記架台内の空気を当該排気口から排気させるファンと、
前記架台の内部の空気の温度に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に基づいて、前記ファンを制御する冷却制御部と、
を更に備える請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項11】
前記スタンドは、前記スタンドの外部の空気を吸引する吸気口を更に備え、
前記第2ダクトは、前記吸気口から吸引した空気であって、前記スタンドの内部の空気を当該第2ダクトに排気する開口を備える、
請求項6に記載のX線CT装置。
【請求項12】
前記スタンドは、前記回転軸を鉛直方向に移動させる昇降機構を更に備え、
前記通気経路は、前記回転軸のチルト角方向の回転及び鉛直方向の移動によらず前記架台と前記スタンドとの間の経路長が一定である、
請求項1に記載のX線CT装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線CT装置に関する。
【0002】
従来、X線CT(Computed Tomography)装置は、冷却方法として空冷式と液冷式とがある。X線CT装置は、コストやメンテナンス性の観点から空冷式が採用される場合が多い。X線CT装置は、空冷式の場合、架台装置の上部や背面にある排気口から排気することにより排熱を行う。
【0003】
また、X線CT装置は、被検体が挿入される架台装置を支持するスタンドを有する場合がある。架台装置は、スタンドにより支持されることで傾けられたり、上下方向に移動させられたりする。これにより、X線CT装置は、立位の被検体をスキャンすることができる。そして、X線CT装置は、被検体のスキャン中も排熱を行う場合がある。
【0004】
しかしながら、X線CT装置は、架台装置が傾けられた角度によっては排気された空気が被検体にかかったり、排気音がうるさかったりと被検体に不快感を与えてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、架台装置の排気による不快感を低減させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るX線CT装置は、架台と、回転軸と、スタンドと、通気経路と、を備える。前記架台は、被検体が挿入される開口を有する。前記回転軸は、前記架台における前記開口をチルト角方向に回動可能に支持する。前記スタンドは、前記回転軸をチルト各方向に回転させる回転機構を有し、前記回転軸を回転可能に支持する。前記通気経路は、前記架台の内部の空気を前記スタンドまで通気させる通気経路であって、前記回転軸のチルト角方向の回転によらず前記架台と前記スタンドとの間の経路長が一定である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、架台装置の回転方向の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、架台装置の移動方向の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、スタンドが有する回転機能の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、スタンドの排気機構の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、変形例1に係るスタンドの排気機構の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、変形例1に係るスタンドの外観の一例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、変形例2に係るスタンドの内部の構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例3に係るスタンドの内部の構成の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、変形例4に係るスタンドが有する回転機構の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に関するX線CT装置について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。
【0011】
ここで、
図1においては、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向とする。また、Z軸方向及びX軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とする。なお、
図1は、説明のために架台装置10を複数方向から描画したものであり、X線CT装置1が架台装置10を1つ有する場合を示す。
【0012】
架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System)18とを有する。なお、架台装置10は、ガントリとも称される。また、架台装置10は、被検体Pが挿入される開口を有する。また、架台装置10は、スタンド20により支持される。また、架台装置10は、筐体で覆われている。なお、架台装置10の内部は、当該筐体の内側の空間である。
【0013】
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することで、被検体Pに対し照射するX線を発生する。例えば、X線管11には、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
【0014】
X線検出器12は、X線管11から照射されて被検体Pを通過したX線を検出し、検出したX線量に対応した信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心とした1つの円弧に沿ってチャンネル方向(チャネル方向)に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャンネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向(スライス方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
【0015】
例えば、X線検出器12は、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0016】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。例えば、回転フレーム13は、アルミニウムを材料とした鋳物である。なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やウェッジ16、コリメータ17、DAS18等を更に支持することもできる。更に、回転フレーム13は、
図1において図示しない種々の構成を更に支持することもできる。回転フレーム13が支持する種々の構成については後述する。なお、回転フレーム13は、回転ベースや回転体等とも称される。また、架台装置10において、回転フレーム13、及び、回転フレーム13と共に回転移動する部分は、回転部とも称される。
【0017】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管11が発生するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、図示しない固定フレームに設けられても構わない。
【0018】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、後述する入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う。例えば、制御装置15は、回転フレーム13の回転や架台装置10のチルト、寝台装置30及び天板33の動作等について制御を行う。一例を挙げると、制御装置15は、架台装置10をチルトさせる制御として、入力された傾斜角度(チルト角度)情報により、X軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させる。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。
【0019】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線の分布が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工したフィルタである。
【0020】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。また、
図1においては、X線管11とコリメータ17との間にウェッジ16が配置される場合を示すが、X線管11とウェッジ16との間にコリメータ17が配置される場合であってもよい。この場合、ウェッジ16は、X線管11から照射され、コリメータ17により照射範囲が制限されたX線を透過して減衰させる。
【0021】
DAS18は、X線検出器12が有する各検出素子によって検出されるX線の信号を収集する。例えば、DAS18は、各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行なう増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。
【0022】
DAS18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置10の非回転部分(例えば、固定フレーム等。
図1での図示は省略している)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。ここで、非回転部分とは、例えば、回転フレーム13を回転可能に支持する固定フレーム等である。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分へのデータの送信方法は、光通信に限らず、非接触型の如何なるデータ伝送方式を採用してもよいし、接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
【0023】
寝台装置30は、撮影対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、天板33の長軸方向に移動する駆動機構であり、モータ及びアクチュエータ等を含む。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0024】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0025】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データやCT画像データを記憶する。また、例えば、メモリ41は、X線CT装置1に含まれる回路が各種の機能を実現するためのプログラムを記憶する。メモリ41は、X線CT装置1とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
【0026】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された各種の画像を表示したり、操作者から各種の操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ42は、表示部の一例である。
【0027】
入力インターフェース43は、操作者から各種の入力操作を受け付けて、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。また、例えば、入力インターフェース43は、スキャン条件や、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像データから後処理画像を生成する際の画像処理条件等の入力操作を操作者から受け付ける。
【0028】
例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース43は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置40とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
【0029】
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。処理回路44は、例えば、制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、画像処理機能444、及び冷却制御機能445を有する。実施形態では、制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、画像処理機能444、及び冷却制御機能445にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41へ記憶されている。処理回路44は、プログラムをメモリ41から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路44は、
図1の処理回路44内に示された各機能を有することになる。
【0030】
なお、
図1においては単一のプロセッサにて、制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、画像処理機能444、及び冷却制御機能445を実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路44を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図1においては、メモリ41等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路44は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0031】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ41に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0032】
制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、各種処理を制御する。具体的には、制御機能441は、架台装置10で行なわれるCTスキャンを制御する。例えば、制御機能441は、X線高電圧装置14、X線検出器12、制御装置15、DAS18、及び寝台駆動装置32の動作を制御することで、架台装置10における計数結果の収集処理を制御する。また、制御機能441は、メモリ41が記憶する各種画像データを、ディスプレイ42に表示するように制御する。なお、制御機能441は、制御部の一例である。また、制御機能441は、スタンド20の動作を制御することで、架台装置10をチルト各方向に回動させる。また、制御機能441は、スタンド20の動作を制御することで、架台装置10を鉛直方向に移動させる。
【0033】
前処理機能442は、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施して投影データを生成する。なお、前処理機能442は、前処理部の一例である。
【0034】
再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。再構成処理機能443は、再構成したCT画像データをメモリ41に格納する。なお、再構成処理機能443は、再構成処理部の一例である。
【0035】
画像処理機能444は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像やレンダリング処理による3次元画像等の画像データに変換する。画像処理機能444は、変換した画像データをメモリ41に格納する。なお、画像処理機能444は、画像処理部の一例である。
【0036】
冷却制御機能445は、架台装置10の内部に配置された温度センサから、架台装置10の内部の空気の温度に関する情報を取得する。冷却制御機能445は、架台装置10の内部の空気の温度に関する情報に基づいて、架台装置10を冷却させる。架台装置10の内部の空気の温度に関する情報とは、計測値そのものを示す情報であってもよいし、規定値からの温度差を示す情報であってもよいし、経時的な温度変化を示す情報であってもよい。すなわち、冷却制御機能445は、計測値や、規定値からの温度差や、経時的な温度変化等に基づいて、架台装置10を冷却させる。例えば、冷却制御機能445は、架台装置10の内部の空気の温度に関する情報に基づいて、ファン224(
図5参照)の単位時間あたりの回転数を変更させる。冷却制御機能445は、架台装置10の内部の空気の温度が高くなるに従い、ファン224の回転数を多くする。また、冷却制御機能445は、架台装置10の内部の空気の温度が低くなるに従い、ファン224の回転数を少なくする。なお、冷却制御機能445は、冷却制御部の一例である。
【0037】
また、冷却制御機能445は、架台装置10の内部の空気の温度に関する情報に基づいて、排気口225(
図5参照)に配置されたルーバー226(
図5参照)の開口率を変更させる。冷却制御機能445は、架台装置10の内部の空気の温度が高くなるに従い、ルーバー226の開口率を高くする。また、冷却制御機能445は、架台装置10の内部の空気の温度が低くなるに従い、ルーバー226の開口率を低くする。
【0038】
また、冷却制御機能445は、ファン224の回転数に応じて、ルーバー226の開口率を変更してもよい。例えば、冷却制御機能445は、ファン224の回転数が多くなるに従い、ルーバー226の開口率を高くする。また、冷却制御機能445は、ファン224の回転数が少なくなるに従い、ルーバー226の開口率を低くする。
【0039】
次に、架台装置10を支持するスタンド20について説明する。
図2は、架台装置10の回転方向の一例を示す図である。
図3は、架台装置10の移動方向の一例を示す図である。
【0040】
スタンド20は、架台装置10が設置された部屋の床面に固定される。スタンド20と、架台装置10とは、連結部21により連結される。また、連結部21は、架台装置10を回転可能に支持する回転軸である。連結部21は、床面に対して略平行な方向を中心軸として回転する。これにより、連結部21は、架台装置10における被検体Pが挿入される開口をチルト角方向に回動可能に支持する。連結部21は、回転軸の一例である。なお、チルト角方向は、床面に対して略平行な中心軸を中心とした回転方向である。
図2の両矢印は、チルト角方向の一例を示す。
【0041】
スタンド20は、連結部21をチルト角方向に回転させる回転機構を有し、連結部21を回転可能に支持する。これにより、スタンド20は、架台装置10を鉛直方向に移動可能に支持する。さらに詳しくは、スタンド20は、
図2に示すように連結部21を回転軸にして架台装置10をチルト角方向に回転させる。そして、スタンド20は、被検体Pが挿入される開口が床面に対して略鉛直になる位置まで架台装置10をチルト角方向に回転させる。すなわち、スタンド20は、架台装置10をチルト角方向に90度回転させる。チルト角方向の回転角度は、例えば、架台装置10の開口が床面に対して水平の位置あるとき、0度とする。また、チルト角方向の回転角度は、例えば、架台装置10の開口が床面に対して鉛直の位置あるとき、90度とする。
【0042】
また、スタンド20は、
図3に示すように架台装置10を鉛直方向に移動可能に支持する。すなわち、スタンド20は、Y軸方向に架台装置10を移動させる。そして、X線CT装置1は、架台装置10を鉛直方向に移動させることで、立位の被検体Pの指定された領域をスキャンする。
【0043】
次に、スタンド20が架台装置10をチルト角方向に回転させる回転機構について説明する。
図4は、スタンド20が有する回転機構の一例を示す図である。スタンド20は、スタンド20の筐体であるスタンド筐体22の内側に2本の支持フレーム201を有する。
【0044】
支持フレーム201は、それぞれ床面に固定され、Y軸方向に延びるフレームである。2本の支持フレーム201は、昇降台202を支持する。昇降台202は、それぞれの支持フレーム201に設けられた固定部203により固定される。また、昇降台202は、連結部21が載置される。固定部203は、支持フレーム201に沿って鉛直方向に移動可能である。固定部203が鉛直方向に移動することにより、昇降台202は、昇降する。これにより、昇降台202は、連結部21を鉛直方向に移動させる。すなわち、昇降台202は、架台装置10を鉛直方向に移動させる。昇降台202は、昇降機構の一例である。
【0045】
また、昇降台202には、第1ギア211を有する連結部21と、第2ギア212とが配置される。連結部21は、架台装置10をチルト角方向に回転させるシャフトである。第1ギア211は、連結部21と同一の中心軸を有する歯車である。また、第1ギア211は、中心軸の外側に歯形を有する外歯車である。すなわち、連結部21は、架台装置10側の一端に、連結部21と略同一中心軸の外歯車である第1ギア211を有する。第2ギア212は、モータなどの駆動部から伝達された動力により回転する。また、第2ギア212は、第1ギア211の中心軸よりも外側に配置される。
【0046】
また、第1ギア211は、第1ギア211の外側で第2ギア212と噛み合う。第1ギア211は、第2ギア212が回転することに伴い、回転する。また、連結部21は、第1ギア211が回転することに伴い、回転する。すなわち、スタンド20は、駆動部により第2ギア212を回転させることで、第1ギア211を回転させる。これにより、スタンド20は、架台装置10をチルト角方向に回転させる。
【0047】
また、連結部21は、筒状に形成される。連結部21は、架台装置10の内部まで貫通する。連結部21は、架台装置10の内部において、架台装置10のフレームと連結する。また、連結部21は、スタンド筐体22の内部に配置された2本の支持フレーム201と連結する。
【0048】
ここで、連結部21は、筒状に形成され、空洞213を有する。この空洞213は、架台装置10内の空気をスタンド20まで通気させる通気経路として機能する。すなわち、通気経路は、連結部21の内側に形成された空洞213である。これにより、架台装置10とスタンド20との間には、架台装置10のチルト角方向の回転角および鉛直方向の位置にかかわらず、架台装置10内の空気をスタンド20まで通気させる通気経路が形成される。すなわち、空洞213は、架台装置10の内部の空気をスタンド20まで通気させる通気経路であって、連結部21の回転軸のチルト角方向の回転によらず架台装置10とスタンド20との間の経路長が一定な通気経路となる。例えば、
図5及び
図6において、架台装置10とスタンド20との間の矢印で示す経路長は、一定となる。
【0049】
図5は、スタンド20の排気機構の一例を示す図である。スタンド20は、空洞213を有する連結部21と、連結部21が配置された昇降台202と、中継ダクト222と、伸縮ダクト223と、ファン224と、排気口225と、ルーバー226と、を備える。
【0050】
ここで、スタンド20は、連結部21を回転軸として架台装置10を回転させる。また、スタンド20は、連結部21により支持された架台装置10を鉛直方向に移動させる。すなわち、連結部21は、架台装置10のチルト角方向の回転角および鉛直方向の位置にかかわらず、スタンド20と架台装置10とを連結する。また、連結部21は、空洞213を有する筒状に形成され、架台装置10の内部と、スタンド筐体22の内部とを連結する。架台装置10は、連結部21により連結する位置に、架台装置10の内部の空気を排気する排気口101を有する。また、架台装置10は、連結部21と連結する側面とは反対側の側面に、架台装置10の外部の空気を吸気する吸気口102を有する。なお、
図3及び
図6に示す吸気口102は、連結部21と対向する位置に設けられているが、連結部21と対向する位置から外れた位置に設けられていてもよい。これにより、連結部21は、架台装置10の内部の空気と、スタンド20の内部の空気と、を交換可能に連結する。すなわち、連結部21は、架台装置10の回転角および鉛直方向の位置にかかわらず、内側に形成された空洞213により、架台装置10の内部の空気をスタンド20まで通気する。これにより、連結部21は、架台装置10のチルト角方向の回転角および鉛直方向の位置にかかわらず、架台装置10内の空気をスタンド20まで通気するダクトとしても機能する。
【0051】
なお、
図4及び
図5に示す連結部21の空洞213は円柱形に形成されている。しかしながら、空洞213は、円柱形に限らず、回転軸を含む形状であれば、角柱、楕円中等に形成されていてもよい。さらに、X線CT装置1は、連結部21の空洞213を、架台装置10の空気をスタンド20まで通気するダクトとして使用している。しかしながら、X線CT装置1は、連結部21の空洞213の内部に、架台装置10の空気をスタンド20まで通気するダクトを有していてもよい。
【0052】
中継ダクト222は、排気された空気が通るダクトである。中継ダクト222は、一方の端が連結部21に接続され、他方の端が伸縮ダクト223に接続される。すなわち、中継ダクト222は、連結部21と、伸縮ダクト223との間に配置され、空気を通過させる。
【0053】
また、スタンド20は、連結部21の空洞213に形成された通気経路と、中継ダクト222とが接続される部分に、連結部21と、中継ダクト222との間の回転を滑らかにするベアリング227を有する。ここで、連結部21は、架台装置10をチルト角方向に回転させるために回転する。連結部21において通気経路となる空洞213と、中継ダクト222とは接続されている。そのため、中継ダクト222は、連結部21が回転した場合に、ねじれてしまう。ベアリング227は、連結部21が回転した場合に、連結部21と共に中継ダクト222が回転してしまうことを抑制する。これにより、ベアリング227は、中継ダクト222がねじれてしまうことを抑制する。
【0054】
なお、中継ダクト222が回転しない構造の場合、中継ダクト222は、ベアリング227を有していなくてもよい。例えば、連結部21の空洞213内に回転軸を中心に回転可能に設けられたダクトが有る場合に、中継ダクト222は、空洞213内のダクトと接続され、連結部21とは接続されない。この場合、連結部21が回転しても、中継ダクト222は、回転しない。このような場合に、中継ダクト222は、ベアリング227を有していなくてもよい。
【0055】
伸縮ダクト223は、伸縮自在なダクトである。伸縮ダクト223は、一方の端が中継ダクト222に接続され、他方の端が排気口225に接続される。例えば、伸縮ダクト223は、太さが異なる複数のダクトにより形成される。複数のダクトは、例えば、内側に向かうに従い細くなるように配置される。そして、伸縮ダクト223は、各ダクトが他のダクトに挿入されることにより縮み、各ダクトが他のダクトから引き出されることにより伸びる。伸縮ダクト223は、
図3に示すように架台装置10が上げられる場合に縮み、架台装置10が下げられる場合に伸びる。
【0056】
このように、スタンド20は、中継ダクト222と、連結部21の鉛直方向の移動に伴い伸縮する伸縮ダクト223とを有する。中継ダクト222は、伸縮部の一例である。中継ダクト222と、伸縮ダクト223とは、第2ダクトの一例である。
【0057】
ファン224は、排気口225に向かって送風する送風機である。ファン224は、冷却制御機能445により単位時間あたりの回転数が制御される。例えば、ファン224は、架台装置10の内部の温度が高くなるに従い、回転数が多くなる。また、ファン224は、架台装置10の内部の温度が低くなるに従い、回転数が少なくなる。
【0058】
図5に示すファン224は、伸縮ダクト223に配置される。伸縮ダクト223は、中継ダクト222、及び連結部21を介して、架台装置10の内部まで繋がっている。したがって、ファン224は、架台装置10の内部の空気を排気させる。すなわち、ファン224は、架台装置10の内部の温度に応じた回転数にすることで、架台装置10内の空気を排気口225から排気させる。
【0059】
また、伸縮ダクト223などの比較的に高い位置にファン224を配置することで、X線CT装置1は、ファン224による騒音を抑制することができる。なお、ファン224は、伸縮ダクト223に限らず、他の場所に配置されてもよい。例えば、ファン224は、中継ダクト222に配置されてもよいし、連結部21のスタンド20側に配置されてもよいし、連結部21の架台装置10側に配置されてもよい。
【0060】
排気口225は、架台装置10の内部の空気を排気する。さらに詳しくは、排気口225は、連結部21、中継ダクト222、伸縮ダクト223を通過した空気を排気する。また、排気口225は、スタンド20の上面に設けられる。これにより、排気口225は、排気した空気を被検体Pにかけてしまうことを防止する。
【0061】
ルーバー226は、排気口225の開口率を変更する。ルーバー226は、Y軸に垂直な軸を中心に回動する矩形状の板材が複数並置された開閉機構である。各板材が略水平であるとき、各板材の間の隙間を閉じるため、ルーバー226は、排気口225を閉じる。一方、当該板材が鉛直に近づくほど、各板材の間の隙間を開くため、ルーバー226は、排気口225の開口面積を広げる。すなわち、ルーバー226は、排気口225に対する板材の傾斜角度を変えることで、排気口225の全部または一部を閉じる。なお、開口率は、排気口225の開口面積の最大値に対する、ルーバー226を介した排気口225の開口面積の割合のことである。ルーバー226は、冷却制御機能445により制御される。すなわち、ルーバー226は、架台装置10の内部の温度に応じて、架台装置10内の空気を排気する排気口225の開口率を変更する。ルーバー226は、開閉部の一例である。
【0062】
例えば、ルーバー226は、架台装置10の内部の温度が高くなるに従い、排気口225の開口率を上げる。また、ルーバー226は、架台装置10の内部の温度が低くなるに従い、排気口225の開口率を下げる。
【0063】
また、ルーバー226は、ファン224の回転数に応じて、開口率を変更してもよい。例えば、ルーバー226は、ファン224の回転数が多くなるに従い、開口率が高くなる。また、ルーバー226は、ファン224の回転数が少なくなるに従い、開口率が低くなる。
【0064】
このような排気機構により、X線CT装置1は、架台装置10の内部の空気をスタンド20の上部に設けられた排気口225から排気する。
【0065】
以上のように、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、被検体Pが挿入される開口を有する架台装置10と、架台装置10における開口をチルト角方向に回転可能に支持する連結部21と、連結部21を回転させ、架台装置10を鉛直方向に移動させるスタンド20と、を備える。架台装置10とスタンド20との間には、架台装置10のチルト角方向の回転角度および鉛直方向の位置にかかわらず、架台装置10内の空気をスタンド20まで通気させる通気経路が形成される。
【0066】
例えば、通気経路は、回転軸を中心に回転する連結部21の内部に形成される。したがって、通気経路は、架台装置10のチルト角方向の回転角度および鉛直方向の位置にかかわらず、架台装置10内の空気をスタンド20まで通気させる。架台装置10の空気は、通気経路を介してスタンド20まで通気する。そして、架台装置10の空気は、スタンド20から排気される。これにより、X線CT装置1は、架台装置10から、内部の空気を排気する排気口を無くすこと可能になる。そのため、架台装置10は、排気した空気を被検体Pにかけたり、架台装置10の排気口からの排気音でうるさくしたりすることを抑制することができる。よって、X線CT装置1は、架台装置10の排気による不快感を低減させることである。
【0067】
また、X線CT装置1は、架台装置10のチルト角方向の回転角および鉛直方向の位置にかかわらず、架台装置10内の空気をスタンド20まで通気させる。したがって、X線CT装置1は、架台装置10を傾けた状態で被検体Pをスキャンしながら排気することができる。
【0068】
例えば、X線CT装置1は、被検体Pに金属が入れられている場合に、アーチファクトを防止するために、金属にX線が照射されないように架台装置10を傾けて被検体Pをスキャンすることがある。また、X線CT装置1は、被検体Pの水晶体にダメージを与えてしまうことを防止するために、水晶体にX線が照射されないように架台装置10を傾けて被検体Pをスキャンすることがある。このように、X線CT装置1は、架台装置10を傾けた状態、すなわち架台装置10のチルト角方向の回転角度が0度でない場合であっても、架台装置10からスタンド20に通気することができる。
【0069】
また、X線CT装置1は、架台装置10を鉛直方向に移動させながら立位の被検体Pをスキャンする場合に、被検体Pをスキャンしながら架台装置10からスタンド20に通気することができる。
【0070】
(変形例1)
変形例1では、X線CT装置1は、連結部21aの外部に連結ダクト230を有する。
【0071】
図6は、変形例1に係るスタンド20aの排気機構の一例を示す図である。
図7は、変形例1に係るスタンド20aの外観の一例を示す斜視図である。例えば、連結部21aが筒状に形成されていない場合や、連結部21aの内部に別の物体が有る場合に、連結部21aは、空洞213に空気を通過させることができない。このような場合に、X線CT装置1は、連結ダクト230によりスタンド20aと架台装置10をとの間で空気を通気させる。
【0072】
連結ダクト230は、筒状に形成され、内部に空洞213aを有する。連結ダクト230は、架台装置10内の空気をスタンド20aまで通気させる通気経路を有するダクトである。連結ダクト230は、連結部21aの外側に配置される。
【0073】
昇降台202aには、連結ダクト230が通過するダクト用開口231が形成される。ダクト用開口231は、連結ダクト230が通過する開口である。ダクト用開口231は、連結ダクト230の旋回範囲に沿って形成される。例えば、連結ダクト230は、
図7に示す矢印方向に旋回する。
【0074】
これにより、連結ダクト230は、連結部21aの回転に伴い、連結部21aが回転する中心軸を中心に旋回する。すなわち、通気経路は、連結部21aの外側に配置され、連結部21aのチルト角方向の回転に応じて連結部21aと略同一の中心軸を中心に旋回する連結ダクト230により形成される。連結ダクト230は、第1ダクトの一例である。
【0075】
さらに、ダクト用開口231は、昇降台202aに形成されるため、架台装置10の鉛直方向の移動にも追従する。
【0076】
また、連結ダクト230は、中継ダクト222と接続される。したがって、スタンド20aは、連結ダクト230により形成された通気経路を通過した空気を、中継ダクト222および伸縮ダクト223を通過させることにより排気口225から排気することができる。
【0077】
さらに、スタンド20aは、連結ダクト230と、中継ダクト222との接続部分に、連結ダクト230と中継ダクト222との間の回転を滑らかにするベアリング227aを有する。これにより、中継ダクト222は、連結ダクト230の旋回によりねじれてしまうことを抑制する。
【0078】
このような構成により、連結ダクト230は、連結部21aの外部に形成されていても、架台装置10からスタンド20aに通気することができる。
【0079】
(変形例2)
変形例2では、X線CT装置1のスタンド20cは、フレキシブルダクトにより形成された中継ダクト222cを有する。
【0080】
図8は、変形例2に係るスタンド20cの内部の構成の一例を示す図である。
図8に示すように、スタンド20cの内部には、様々な構成部240が配置される。中継ダクト222cは、フレキシブルダクトにより形成されることで構成部240を避けた配置が可能になる。言い換えると、構成部240は、中継ダクト222cにかかわらず任意の位置に配置することが可能になる。これにより、スタンド20cは、より容易に形成される。
【0081】
また、中継ダクト222cは、フレキシブルダクトにより形成されることで、連結部21の回転に応じて変形する。よって、中継ダクト222cは、連結部21の回転によりかかる圧力を低減することができる。
【0082】
(変形例3)
変形例3では、X線CT装置1のスタンド20dは、スタンド20dの外部の空気を吸気する吸気口251を有する。また、伸縮ダクト223は、スタンド20dの内部の空気を排気するダクト排気口252を有する。
【0083】
図9は、変形例3に係るスタンド20dの内部の構成の一例を示す図である。
図9に示すように、スタンド20dは、スタンド20dの鉛直方向の略中央よりも下方の位置に、スタンド20dの外部の空気を吸引する吸気口251を有する。すなわち、スタンド20dは、吸気口251を形成する開口が空けられたスタンド筐体22を有する。
【0084】
また、伸縮ダクト223は、吸気口251から吸引した空気であって、スタンド20dの内部の空気をダクトに排気するダクト排気口252を有する。すなわち、スタンド20dは、スタンド20dの鉛直方向の略中央よりも上方の位置に、ダクト排気口252を形成する開口を有する。
【0085】
ここで、吸気口251から吸気された空気は、スタンド20d内で温められることにより上昇する。また、上昇した空気は、ダクト排気口252から伸縮ダクト223内に排気される。そして、伸縮ダクト223内の空気は、ダクト排気口252から排気される。
【0086】
このように、変形例3に係るスタンド20dは、煙突効果を利用して冷却される。さらに、X線CT装置1は、排気するファン224を有するため、より効果的に冷却することができる。
【0087】
(変形例4)
変形例4では、X線CT装置1は、内歯車により架台装置10をチルト角方向に回転させる。
【0088】
図10は、変形例4に係るスタンド20が有する回転機構の一例を示す図である。第1ギア211eは、中心軸の内側に歯形を有する内歯車である。また、第1ギア211eは、連結部21と同一の中心軸を有する。すなわち、連結部21は、架台装置10側の一端に、連結部21と略同一中心軸の内歯車である第1ギア211eを有する。そして、第2ギア212は、第1ギア211eの内側に配置される。スタンド20は、駆動部により第2ギア212を回転させることで、第1ギア211eを回転させる。このように、スタンド20は、第1の実施形態に示す外歯車に限らず、内歯車により架台装置10を回転させてもよい。
【0089】
(変形例5)
また、第1の実施形態、変形例1、変形例2、変形例3、又は変形例4に係るX線CT装置1は、スタンド20を一つ有する。しかしながら、X線CT装置1は、複数のスタンド20を有していてもよい。また、X線CT装置1が複数のスタンド20を有する場合、複数のスタンド20のうち、何れか一つのスタンド20に対して、架台装置10の内部の空気を通気する通気経路が形成されていればよい。
【0090】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、架台装置の排気による不快感を低減させることができる。
【0091】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
1 X線CT装置
10 架台装置
11 X線管
12 X線検出器
20、20a、20c、20d スタンド
21、21a 連結部
22 スタンド筐体
30 寝台装置
31 基台
44 処理回路
201 支持フレーム
202、202a 昇降台
203 固定部
211、211e 第1ギア
212 第2ギア
213、213a 空洞
222、222c 中継ダクト
223 伸縮ダクト
224 ファン
225、101 排気口
226 ルーバー
227、227a ベアリング
230 連結ダクト
231 ダクト用開口
240 構成部
251、102 吸気口
252 ダクト排気口
445 冷却制御機能
P 被検体