(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125875
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033992
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】関 和芳
(72)【発明者】
【氏名】加賀 進一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義康
(57)【要約】
【課題】一次冷媒が流通する熱交換部を冷却空間に配置することができる冷却装置を提供する。
【解決手段】一次冷媒が強制循環する一次回路34A,34Bと、二次冷媒が自然循環する二次回路44と、一次回路34A,34Bを流通する一次冷媒および二次回路44を流通する二次冷媒の間で熱交換する熱交換器HE1,HE2と、二次回路44の経路に設けられた冷却器EPと、を備えるよう構成する。そして、熱交換器HE1,HE2を冷却空間28に複数備え、当該複数の熱交換器HE1,HE2毎に異なる一次回路34A,34Bが接続して、当該複数の熱交換器HE1,HE2毎に異なる一次回路34A,34Bの一次冷媒が流通するよう構成すると共に、二次回路44は、複数の熱交換器HE1,HE2に跨がるよう連続した経路を形成するよう構成して、当該二次回路44に単一の冷却器EPを設ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機の作動により一次冷媒が強制循環する一次回路と、二次冷媒が自然循環する二次回路と、前記一次回路を流通する一次冷媒および前記二次回路を流通する二次冷媒の間で熱交換して当該二次冷媒を液化する熱交換器と、前記二次回路の経路に設けられて二次冷媒を気化して冷却する冷却器と、を備え、空気の流通が許容される開放空間に、前記一次回路を配置すると共に、当該開放空間から区画した冷却空間に、前記冷却器を配置するよう構成された冷却装置において、
前記熱交換器を前記冷却空間に複数備え、当該複数の熱交換器毎に異なる一次回路が接続して、当該複数の熱交換器毎に異なる一次回路の一次冷媒が流通するよう構成されると共に、
前記二次回路は、前記複数の熱交換器に跨がるよう連続した経路を形成するよう構成されており、当該二次回路に単一の前記冷却器が設けられている
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記複数の熱交換器の夫々は、複数の熱交換部を備えると共に、
前記冷却器は、前記複数の熱交換部に対応するよう設けた複数の冷却部を連結するようにして単一の冷却器を構成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関し、更に詳細には、一次冷媒を機械的に強制循環する一次回路と二次冷媒を自然循環する二次回路と、一次冷媒および二次冷媒の熱交換を行なう熱交換器とを備える冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば冷蔵庫等の貯蔵設備や空調設備等に用いられる冷却装置として、一次冷媒を機械的に強制循環させる一次回路と、二次冷媒が自然循環する二次回路とを備え、一次冷媒と二次冷媒との間で熱交換して二次回路内に温度勾配を設けることで冷媒に密度差を形成し、密度の不均一によって重力の作用下に生じる自然対流を利用して熱伝達を行なうサーモサイフォンと呼ばれる熱輸送機構が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。このような冷却装置の概略構成は、気相一次冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮した一次冷媒を液化する凝縮器と、熱交換器に設けられて液相一次冷媒を気化する一次熱交換部とを配管で接続するようにして一次回路を構成すると共に、熱交換器に設けられて気相二次冷媒を液化する二次熱交換部と、液相二次冷媒を気化する冷却器とを別の配管で接続するようにして二次回路を構成して、熱交換器において一次冷媒と二次冷媒とが熱交換することで、最終的に二次回路の冷却器を冷却するようになっている。そして、このような冷却装置の一次冷媒には、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等の炭化水素(HC系)またはアンモニアなどが採用されると共に、二次冷媒には、毒性、可燃性および腐食性を有していない安全性の高い二酸化炭素が採用されており、自然冷媒の利用によった環境負荷の削減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-48484号公報
【特許文献3】特開2001-118134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大型の業務用蔵庫等に用いられる冷却装置では、優れた冷却能力を担保するため一次回路に多量の一次冷媒を充填する必要がある。しかしながら、一次冷媒として炭化水素などの可燃性冷媒を使用する場合は、その使用量に応じた安全規格を満たすことが求められるため、一次回路に充填する一次冷媒の使用量が制限され、冷却装置の大型化が困難になる問題がある。特に、一定量(例えば150g以上)の可燃性冷媒を使用した冷却装置には多くの安全規格を満たすことが求められるため、冷却装置の設計難易度が大幅に高くなると共にコストが嵩む難点があり実用化が困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題を好適に解決するべく提案されたものであって、一次回路に充填する一次冷媒量を抑制しつつ優れた冷却能力を発揮できる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、第1の発明は、
圧縮機の作動により一次冷媒が強制循環する一次回路と、二次冷媒が自然循環する二次回路と、前記一次回路を流通する一次冷媒および前記二次回路を流通する二次冷媒の間で熱交換して当該二次冷媒を液化する熱交換器と、前記二次回路の経路に設けられて二次冷媒を気化して冷却する冷却器と、を備え、空気の流通が許容される開放空間に、前記一次回路を配置すると共に、当該開放空間から区画した冷却空間に、前記冷却器を配置するよう構成された冷却装置において、
前記熱交換器を前記冷却空間に複数備え、当該複数の熱交換器毎に異なる一次回路が接続して、当該複数の熱交換器毎に異なる一次回路の一次冷媒が流通するよう構成されると共に、
前記二次回路は、前記複数の熱交換器に跨がるよう連続した経路を形成するよう構成されており、当該二次回路に単一の前記冷却器が設けられていることを要旨とする。
この発明によれば、熱交換器を複数供えるようにすることで、熱交換器毎に対応する一次回路に充填する一次冷媒量を抑制することができると共に、複数の熱交換器により単一の冷却器を冷却することで、冷却能力を高めることができる。また、複数の熱交換器に跨がるよう二次回路を連続した経路で形成することで、二次回路に充填する二次冷媒量を抑制することができる。
【0007】
第2の発明は、
前記複数の熱交換器の夫々は、複数の熱交換部を備えると共に、
前記冷却器は、前記複数の熱交換部に対応するよう設けた複数の冷却部を連結するようにして単一の冷却器を構成するようにしたことを要旨とする。
この発明によれば、複数熱交換部により複数の冷却部を冷却することができるから、冷却装置全体の冷却能力の向上を図り得る。また、複数の複数の冷却部を連結して単一の冷却器を構成することで、冷却運転に伴う冷却器に対する霜が付着する着霜面積が減少し、除霜時間の短縮や除霜時の消費電力量を抑制することが可能になる。更に、冷却装置の全体で1つの二次回路を形成することで、二次回路への二次冷媒の充填作業を一度で完了することができ、作業効率の効率化を図ることができる。また、熱交換部毎に熱負荷のばらつきが生じた状況になった場合でも、二次回路でのサーモサイフォンの自己調整作用によって二次冷媒の循環量が時間の経過と共に均一化して、冷却運転の安定化を図り得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る冷却装置によれば、一次回路に充填する一次冷媒量を抑制しつつ優れた冷却能力を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷却装置により冷却される冷蔵庫を概略で示す側断面図である。
【
図2】実施形態の冷蔵庫における機械室を概略で示す平面図である。
【
図3】実施形態の熱交換部を一部破断して概略で示す側面図である。
【
図4】実施形態に係る熱交換部の二重管部の断面図であって、(a)は二重管部を径方向に破断した断面図であり、(b)は二重管部を長手方向に破断した断面図を一部破断して示す側面図である。
【
図5】実施形態に係る冷却装置を示す概略図である。
【
図6】実施形態に係る冷却装置の冷却器を示す概略図である。
【
図7】別の実施形態に係る冷却装置を示す概略図である。
【
図8】別の実施形態に係る冷却装置を示す概略図である。
【
図9】別の実施形態に係る冷却装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る冷却装置の好適な実施形態に関し、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、店舗等の業務用途に用いられ、野菜や肉等の物品を多量に収納し得る大型の冷蔵庫に設けられる冷却装置を例に挙げて説明する。
【0011】
(実施形態)
図1に示すように、この実施形態に係る冷蔵庫10は、収納室(閉鎖空間)14を内部画成した断熱構造の箱体12と、この箱体12の上方に設けられ、金属パネル18により外壁を構成したキャビネット16とを備えている。箱体12には、前側に開放して物品の出し入れ口となる開口部12aが収納室14に連通して開設される。また箱体12の前部には、断熱扉22が図示しないヒンジにより回動可能に配設され、断熱扉22を開放することで開口部12aを介して収納室14に対する物品の出し入れが許容されると共に、断熱扉22を閉成することで収納室14を密閉し得るようになっている。
【0012】
前記キャビネット16の内部には、収納室14を冷却するための冷却装置32の一部および該冷却装置32を制御する制御装置Cが配設される機械室(開放空間)20が画成される(
図2参照)。機械室20の底部には、箱体12の天板12bに載置されて、該機械室20に配設する機器の共通基板となる台板24が設置されている。そして、キャビネット16の外壁をなす金属パネル18には、機械室20に連通する空気流通孔(図示せず)が適宜部位に開設され、この空気流通孔を介して機械室20内の雰囲気と外気とが入替わるようになっている。なお、キャビネット16は、冷蔵庫10の天井となる金属パネル18が設けられず、機械室20の上方が開放されている。
【0013】
前記収納室14の上部には、箱体12における天板12bの下面から所定間隔離間して冷却ダクト26が配設され、この冷却ダクト26と、箱体12の天板12bに開設した開口12cを介して収納室14側に臨む台板24との間に冷却室(冷却空間)28が画成される。この冷却室28は、冷却ダクト26の底部前側に形成した吸込口26aおよび後側に形成した冷気吹出口26bを介して収納室14に連通して、閉鎖空間としての収納室14の一部を構成している。吸込口26aには送風ファン30が配設され、該送風ファン30を駆動することで、吸込口26aから収納室14の空気を冷却室28に取込み、冷気吹出口26bから冷却室28の冷気が収納室14に送出される。天板12bの開口12cは、台板24で気密的に塞がれて、収納室14(冷却室28)と機械室20とは、台板24で区切られて互いに独立した空間となっている(
図1参照)。
【0014】
図3に示すように、冷却装置32は、冷媒を強制循環する機械圧縮式の複数の一次回路34A,34Bと、冷媒が自然対流するサーモサイフォンからなる二次回路44との2系統の回路を、複数の熱交換器HE1,HE2を介して熱交換するように接続(カスケード接続)した二次ループ冷凍回路が採用される。
【0015】
この実施形態では、2つの一次回路34A,34Bが形成されると共に、各一次回路34A,34Bのそれぞれに対応して2つの熱交換器HE1,HE2が備えられており、当該複数の熱交換器HE1,HE2毎に異なる一次回路34A,34Bの一次冷媒が流通するようになっている。そして、複数の熱交換器HE1,HE2に跨がるよう連続した経路を形成するよう二次回路44が構成されており、当該二次回路44に単一の冷却器EPが設けられている。なお、以下の説明では、便宜的に第1熱交換器HE1および第2熱交換器HE2と指称する場合がある。
【0016】
すなわち、複数の熱交換器HE1,HE2の基本的な構成は共通しており、各熱交換器HE1,HE2に対応する一次回路34A,34Bを構成する一次冷媒経路36と、この一次冷媒経路36と別系統に形成されて、二次回路44を構成する二次冷媒経路46とが設けられており、各熱交換器HE1,HE2が台板24の下面側に位置するよう冷却室28内に配置されている(
図3参照)。ここで、各熱交換器HE1,HE2に設けられた二次冷媒経路46は、熱交換器HE1,HE2に跨がる連続した冷媒経路を形成するよう構成されており、複数の熱交換器HE1,HE2に対して1つの二次回路44を備えるようになっている。このように、冷却装置32は、複数の熱交換器HE1,HE2毎に独立した複数(2つ)の一次回路34A,34Bと、複数の熱交換器HE1,HE2に共通した単一の二次回路44を備えている。
【0017】
そして、当該一次回路34A,34Bおよび二次回路44毎で、熱交換可能な独立した冷媒循環経路を形成しており、各熱交換器HE1,HE2において、一次回路34A,34Bの一次冷媒と二次回路44の二次冷媒との間で熱交換が行われるようになっている。ここで、一次回路34A,34Bを循環する一次冷媒としては、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等の炭化水素系(HC系)の冷媒またはアンモニアなどが採用される。また、二次回路44を循環する二次冷媒としては、毒性、可燃性および腐食性を有していない安全性の高い二酸化炭素が好適に採用される。
【0018】
ここで、第1および第2熱交換器HE1,HE2のそれぞれは、
図4に示すように、外管102と、外管102の内側に空間をあけるようにして内管104が挿通された二重管部100を備えており、内管104の内側の空間を一次冷媒が流通すると共に、外管102と内管104との間の空間を二次冷媒が流通するよう構成されている。すなわち、内管104の内側に一次冷媒経路36が形成されると共に、外管102と内管104との間に二次冷媒経路46が形成されている。なお、外管102および内管104は熱伝導性に優れた金属材料で形成されている。
【0019】
前記第1および第2熱交換器HE1,HE2の二重管部100は、管路が蛇行するよう形成されていると共に、冷却室28から機械室20に至るように二重管部100の両端部が台板24を貫通して機械室20に露出するよう構成されている(
図3参照)。ここで、機械室20側に貫通した第1および第2熱交換器HE1,HE2の二重管部100の両端部は、外管102の端部から内管104が延出しており、外管102から延出する内管104の一方に、膨張弁EVに接続する流入側の冷媒配管38が接続されると共に、外管102から延出する内管104の他方に、圧縮機CMに接続する流出側の冷媒配管38が接続されて、一次回路34A,34Bを形成するようになっている。そして、第1および第2熱交換器HE1,HE2の二重管部100には、冷却器EPに設けた液配管48およびガス配管50が二次冷媒経路46に連通するよう接続して、二次回路44を形成するようになっている。
【0020】
また、第1および第2熱交換器HE1,HE2の二重管部100の管路は、ガス配管50との接続側から液配管48の接続側に向けて下方傾斜するようになっており、第1および第2熱交換器HE1,HE2において冷却されて液化した液相二次冷媒が、その自重により液配管48側に自然に流れるようになっている。また、第1および第2熱交換器HE1,HE2は、二次冷媒経路46を流通する二次冷媒の流通方向と一次冷媒経路36を流通する一次冷媒の流通方向とが反対向きの対向流になるよう構成される。
【0021】
第1および第2熱交換器HE1,HE2は、
図3に示すように、冷却室28内に位置する二重管部100が断熱材110で覆われており、冷却器EPでの二次冷媒の気化に伴う冷却室28の冷却により第1および第2熱交換器HE1,HE2を流通する二次冷媒が冷却されて液化しないようになっている。ここで、断熱材110としては特に限定されるものではなく、ポリウレタン発泡体など従来公知の断熱素材を採用することができる。なお、第1および第2熱交換器HE1,HE2のそれぞれを断熱材110で個別に覆うようにしてもよく、第1および第2熱交換器HE1,HE2を共通の断熱材110で覆うようにしてもよい。
【0022】
次に、第1および第2熱交換器HE1,HE2における前記一次回路34A,34Bの構成について説明する。
図3に示すように、一次回路34A,34Bの基本的な構成は共通しており、一次回路34A,34Bのそれぞれは、気相一次冷媒を圧縮する圧縮機CMと、圧縮した一次冷媒を液化する凝縮器CDと、液相一次冷媒の圧力を低下させる減圧手段としての膨張弁EVと、液相一次冷媒を気化する対応の熱交換器HE1,HE2の一次冷媒経路36とを冷媒配管38で接続して構成される(
図3参照)。ここで、圧縮機CMは、冷却装置32の冷却運転時に連続駆動され、冷却装置32の停止時に停止される。圧縮機CMおよび凝縮器CDは、機械室20において台板24上に共通的に配設され、凝縮器CDを強制冷却する凝縮器ファンFMも、該凝縮器CDに対向して台板24上に配設されている。ここで、凝縮器CDは、キャビネット16の前面をなす金属パネル(フロントパネル)18に近接して機械室20の前側に配置され、該凝縮器CDの後側に凝縮器ファンFMが配置される。また圧縮機CMは、凝縮器ファンFMの後側に配置される(
図2参照)。このように機械室20では、凝縮器CD,凝縮器ファンFMおよび圧縮機CMが、機械室20において凝縮器ファン(送風手段)FMにより送出される空気の流通方向に沿って一直線上に並んで配設される。すなわち、凝縮器ファンFMの駆動によりフロントパネル18とキャビネット16との間に設けた空気流通孔(図示せず)から外気が機械室20に取込まれ、この外気が機械室20の前側から後側に流通して凝縮器CDおよび圧縮機CMと熱交換するようになっている。
【0023】
すなわち、前記各一次回路34A,34Bは、対応する圧縮機CMによる一次冷媒の圧縮により、圧縮機CM、凝縮器CD、膨張弁EV、対応する熱交換器HE1,HE2の一次冷媒経路36および圧縮機CMの順に、一次冷媒が強制循環され、各機器の作用下に一次冷媒経路36において所要の冷却を行なうようになっている(
図3参照)。なお、前述した制御装置Cは、機械室20において凝縮器ファンFMによる空気の流れを阻害しない位置(機械室20の側部)で台板24上に配設されている。
【0024】
また、第1および第2熱交換器HE1,HE2の夫々は、
図5に示すように、複数の熱交換部HEa~HEcを備えており、第1および第2熱交換器HE1,HE2毎に複数の熱交換部HEa~HEcの一次冷媒経路36が相互に連通するように構成されている。すなわち、第1および第2熱交換器HE1,HE2は、熱交換器HE1,HE2毎に複数の熱交換部HEa~HEcの一次冷媒経路36を連通することにより、第1および第2熱交換器HE1,HE2毎に1つの連続した一次冷媒経路が複数の熱交換部HEa~HEcに跨がるようになっており、冷却装置32の全体として2組の一次冷媒経路(一次回路34A,34B)を備えるようになっている。なお、この実施形態では、第1および第2熱交換器HE1,HE2毎に3つ熱交換部の一次冷媒経路36を相互に連通するように構成してあるが、2または4以上熱交換部の一次冷媒経路36を相互に連通するようにしてもよいことは当然である。また、第1および第2熱交換器HE1,HE2のそれぞれが備える3つ熱交換部を便宜的に第1~第3熱交換部HEa~HEcとして区別して説明する場合もある。
【0025】
具体的に、
図5に示すように、第1および第2熱交換器HE1,HE2は、それぞれの第1~第3熱交換部HEa~HEcにおける二重管部100の両端部が台板24を貫通して機械室20に露出するよう構成されている。第1熱交換部HEaにおいて機械室20側に貫通した二重管部100の内管104の一方に膨張弁EVに接続する流入側の冷媒配管38が接続されており、当該第1熱交換部HEaの内管104の他方に、第2熱交換部HEbにおいて機械室20側に貫通した二重管部100の内管104の一方が接続している。そして、第2熱交換部HEbの内管104の他方に、第3熱交換部HEcにおいて機械室20側に貫通した二重管部100の内管104の一方が接続しており、当該第3熱交換部HEcの内管104の他方に、圧縮機CMに接続する流出側の冷媒配管38が接続されて、第1および第2熱交換器HE1,HE2毎に、第1~第3熱交換部HEa~HEcの一次冷媒経路36が連続した一次回路34A,34Bを形成するようになっている。
【0026】
次に、前記二次回路44の構成について説明する。
図3、
図5に示すように、前記二次回路44は、気相二次冷媒(気化冷媒)を液化する二次冷媒経路46と、液相二次冷媒(液化冷媒)を気化する冷却器EPとを備えている(
図3参照)。二次回路44は、二次冷媒経路46と冷却器EPとを液配管48およびガス配管50を介して接続するよう構成されており、二次冷媒経路46から液配管48を介して重力の作用下に液相二次冷媒を冷却器EPへ供給し、冷却器EPから二次冷媒経路46へガス配管50を介して気相二次冷媒を還流させるようになっている。すなわち、液配管48は、液相二次冷媒を何れかの熱交換器HE1,HE2から冷却器EPへ導入する導入経路を形成し、ガス配管50は、気相二次冷媒を冷却器EPから何れかの熱交換器HE1,HE2へ環流させる環流経路を形成している。このように、この実施形態では、液配管48およびガス配管50は、冷却器EPを形成する蒸発管と連続した配管として形成されている。ここで、冷却器EPは、機械室20の下方に位置する冷却室28に、前記熱交換器HE1,HE2の下方に位置するよう配置されており、熱交換器HE1,HE2の二次冷媒経路46から液相二次冷媒が重力の作用下に流下し得るようになっている。
【0027】
本実施形態の前記二次回路44の構成をより詳細に説明すると、
図5に示すように、前記二次回路44には前記第1および第2熱交換器HE1,HE2がそれぞれ備える第1~第3熱交換部HEa~HEc毎に対応して、複数の冷却部EPa~EPfを備えるよう構成されている。すなわち、この実施形態では、二次回路44は6つの冷却部EPa~EPfを備えており、便宜的に第1~第6冷却部EPa~EPfとして区別する場合がある。そして、第1および第2熱交換器HE1,HE2がそれぞれ備える3つ(全体で6つ)熱交換部HEa~HEcで熱交換して液化した二次冷媒により、各熱交換部HEa~HEcに対応した6つの冷却部EPa~EPfを冷却するよう構成されている。
【0028】
ここで、第1~第6冷却部EPa~EPfは、
図5に示すように、当該第1~第6冷却部EPa~EPfにおいて液化した二次冷媒が流入する液配管48と、気化した二次冷媒が環流するガス配管とが、前記第1および第2熱交換器HE1,HE2において異なる熱交換部HEa~HEcに繋がるよう設けられており、全体で1つの二次回路44を形成するよう構成されている。
【0029】
具体的に、
図5の例では、第1冷却部EPaに接続する液配管48が第1熱交換器HE1の第1熱交換部HEaに接続すると共に、第1冷却部EPaに接続するガス配管50が第2熱交換器HE2の第3熱交換部HEcに接続し、第1熱交換器HE1の第1熱交換部HEaで液化した二次冷媒により第1冷却器EP1を冷却した後に、二次冷媒が第2熱交換器HE2の第3熱交換部HEcに環流するようになっている。また、第2冷却部EPbに接続する液配管48が第1熱交換器HE1の第2熱交換部HEbに接続すると共に、第2冷却部EPbに接続するガス配管50が第1熱交換器HE1の第1熱交換部HEaに接続し、第1熱交換器HE1の第2熱交換部HEbで液化した二次冷媒により第2冷却器EPbを冷却した後に、二次冷媒が第1熱交換器HE1の第1熱交換部HEaに環流するようになっている。更に、第3冷却部EPcに接続する液配管48が第1熱交換器HE1の第3熱交換部HEcに接続すると共に、第3冷却部EPcに接続するガス配管50が第1熱交換器HE1の第2熱交換部HEbに接続し、第1熱交換器HE1の第3熱交換部HEcで液化した二次冷媒により第3冷却器EPcを冷却した後に、二次冷媒が第1熱交換器HE1の第2熱交換部HEbに環流するようになっている。
【0030】
同様に、第4冷却部EPdに接続する液配管48が第2熱交換器HE2の第1熱交換部HEaに接続すると共に、第4冷却部EPdに接続するガス配管50が第1熱交換器HE1の第3熱交換部HEcに接続し、第2熱交換器HE2の第1熱交換部HEaで液化した二次冷媒により第4冷却器EPdを冷却した後に、二次冷媒が第1熱交換器HE1の第3熱交換部HEcに環流するようになっている。また、第5冷却部EPeに接続する液配管48が第2熱交換器HE1の第2熱交換部HEbに接続すると共に、第5冷却部EPeに接続するガス配管50が第2熱交換器HE2の第1熱交換部HEaに接続し、第2熱交換器HE2の第2熱交換部HEbで液化した二次冷媒により第5冷却器EPeを冷却した後に、二次冷媒が第2熱交換器HE2の第1熱交換部HEaに環流するようになっている。更に、第6冷却部EPfに接続する液配管48が第2熱交換器HE2の第3熱交換部HEcに接続すると共に、第6冷却部EPfに接続するガス配管50が第2熱交換器HE2の第2熱交換部HEbに接続し、第2熱交換器HE2の第3熱交換部HEcで液化した二次冷媒により第6冷却器EPfを冷却した後に、二次冷媒が第2熱交換器HE2の第2熱交換部HEbに環流するようになっている。
【0031】
このように、冷却装置32における二次回路44は、複数の熱交換器HE1,HE2に跨がるよう連続した経路を形成するよう構成されており、複数の熱交換器HE1,HE2の全体で二次冷媒が循環するようになっている。
【0032】
また前記冷却器EPは、
図6に示すように、第1~第6冷却部EPa~EPfのそれぞれが管路を蛇行させた蒸発管により形成されると共に、当該第1~第6冷却部EPa~EPfのそれぞれを横切るように設けた複数のフィンFIで連結されており、全体として単一の冷却器EPを形成するようになっている。ここで、第1~第6冷却部EPa~EPfのそれぞれを形成する蒸発管は、液配管48の下端に接続する流入端が、ガス配管50の下端に接続する蒸発管52の流出端より下方に位置するように構成してある。そして、蒸発管に流入した液相二次冷媒を、該液相二次冷媒の蒸発による作用下に管路に沿って流出端側まで拡散させるように導くようになっている。
【0033】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態に係る冷却装置32の作用について説明する。冷却装置32では、冷却運転を開始すると、一次回路34A,34Bおよび二次回路44の夫々で冷媒の循環が開始される。先ず、一次回路34A,34Bについて説明すると、圧縮機CMおよび凝縮器ファンFMが駆動され、圧縮機CMで気相一次冷媒が圧縮されて、この一次冷媒を冷媒配管38を介して凝縮器CDに供給して、凝縮器ファンFMによる強制冷却により凝縮液化することで液相とする。液相一次冷媒は、膨張弁EVで減圧され、第1および第2熱交換器HE1,HE2の一次冷媒経路36において二次冷媒経路46を流通する二次冷媒から熱を奪って(吸熱)一挙に膨張気化する。このように一次回路34A,34Bは、対応する第1および第2熱交換器HE1,HE2において、一次冷媒経路36により二次冷媒経路46を強制冷却するように機能している。そして、一次冷媒経路36で気化した気相一次冷媒は、冷媒配管38を経て圧縮機CMに帰還する強制循環サイクルを繰返す。
【0034】
前記二次回路44では、二次冷媒経路46が一次冷媒経路36により冷却されているから、二次冷媒経路46で気相二次冷媒が放熱して凝縮し、気相から液相に状態変化することで比重が増加することから、重力の作用下に二次冷媒経路46に沿って液相二次冷媒が流下する。二次回路44では、二次冷媒経路46を備える熱交換器HE1,HE2の下方に冷却器EPを配置することで、二次冷媒経路46と冷却器EPとの間に落差を設けてある。すなわち、液相二次冷媒を、二次冷媒経路46の下部に接続した液配管48を介して、冷却器EPへ向けて重力の作用下に自然流下させることができる。液相二次冷媒は、冷却器EPの蒸発管52を流通する過程で該冷却器EPの周囲雰囲気から熱を奪って気化して気相に移行する。気相二次冷媒は、ガス配管50を介して冷却器EPから二次冷媒経路46へ還流し、二次回路44ではポンプやモータ等の動力を用いることなく、簡単な構成で二次冷媒が自然循環するサイクルが繰返される。
【0035】
前記送風ファン30により吸込口26aから冷却室28に吸引された収納室14の空気を、冷却された冷却器EPに吹付けることで、冷却器EPと熱交換した空気が冷気となる。そして冷気を、冷却室28から冷気吹出口26bを介して収納室14に送出することで、収納室14が冷却される。冷気は、収納室14の内部を循環して、吸込口26aを介して再び冷却室28内に戻るサイクルを反復する。
【0036】
ここで、実施形態の冷却装置32は、一次回路34A,34Bを構成する一次冷媒経路36が前記冷却室28に露出しないように当該冷却室28に前記熱交換器HE1,HE2が配置されている。このため、一次冷媒経路36を流通する一次冷媒が冷却室28に漏出するのを効果的に防ぐことができ、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等の炭化水素系(HC系)や、毒性が指摘されるアンモニアを一次冷媒に採用しつつ、冷却室28に熱交換器HE1,HE2を配置することができる。
【0037】
特に、この実施形態のように、外管102と、外管102の内側に空間をあけるようにして内管104が挿通された二重管部100を熱交換器HE1,HE2に備えるように構成し、内管104の内側の空間を一次冷媒が流通すると共に、外管102と内管104との間の空間を二次冷媒が流通することで、腐食等が生じて内管104に孔空き(孔食)が発生したとしても、内管104から漏出した一次冷媒を外管102の内部に留まらせることができ、冷却室28に一次冷媒が直接漏れ出すことを効果的に防ぐことができる。また、熱交換器HE1,HE2において冷却室28内に位置する二重管部100を断熱材110で覆うようにすることで、熱交換器HE1,HE2を流通する冷媒(一次冷媒および二次冷媒)の冷却室28への漏れを抑制することができる。すなわち、より高い安全基準を満たした冷却装置32を実現することができる。
【0038】
また、一次冷媒の漏れを検出するために、ガスセンサや一次冷媒の漏出時に熱交換部への一次冷媒の供給を遮断する遮断弁などの検知精度に課題のある装置構成を設ける必要が無いから、冷却装置の信頼性を高めることができる。また、高価なガスセンサや遮断弁を必要としないことにより、製品の製造コストを低廉に抑制することができる利点がある。
【0039】
また、冷却装置32は、複数の熱交換器HE1,HE2(実施形態では第1熱交換器HE1および第2熱交換器HE2の2つ)を備えており、熱交換器HE1,HE2毎に対応した一次回路34A,34Bを備えるよう構成してある。このため、第1および第2熱交換器HE1,HE2毎に対応したそれぞれの一次回路34A,34Bに充填する一次冷媒量を抑制することが可能になる。このように、箇々の一次回路34A,34Bに充填する一次冷媒量を抑制することで、満たすことが要求される安全規格の水準を抑制することができ、冷却装置32の設計を簡略化し、コストを抑制することができるようになる。
【0040】
また、二次回路44は、複数の熱交換器HE1,HE2に跨がるように連続した経路を形成するよう構成し、当該二次回路44に設けた単一の冷却器EPを冷却するようにしたことで、一次冷媒の充填量の抑制により熱交換器HE1,HE2の箇々の冷却能力が抑制された状態でも冷却装置32の全体としての冷却能力を高めることができる。特に、冷却装置32が複数の熱交換器HE1,HE2を備えるようにしたことで、1つの一次回路34A,34Bに対する一次冷媒の充填量を少量(例えば150g未満)に抑えた場合でも冷却装置32の全体としての冷却能力を高めることができ、より大型の冷蔵庫等の冷却機器に冷却装置32を採用することができる利点がある。また、複数の熱交換器HE1,HE2に跨がるよう二次回路44を連続した経路で形成してあるから、複数の熱交換器HE1,HE2に対応して複数の二次回路を設ける構成と比べても、二次回路44に充填する二次冷媒量を抑制することができると共に、二次冷媒量の充填作業を一度に行うことができるから、作業の簡略化を図り得る利点がある。
【0041】
また、第1および第2熱交換器HE1,HE2のそれぞれを複数(実施形態では熱交換器HE1,HE2毎に3つ)の熱交換部HEa~HEcに分割すると共に、当該複数の熱交換部HEa~HEcに対応するように複数(実施形態では6つ)の冷却部EPa~EPfを備えるようにしたことで、1つの冷却部EPa~EPf当りの冷媒量を少なくすることができる。これにより、各冷却部EPa~EPfにおける二次冷媒の自然循環に必要な高低差を小さくすることが可能になる。また、容積の狭小な冷却室28に熱交換器HE1,HE2と冷却器EPとを配置した場合でも、熱交換器HE1,HE2と冷却器EPとの高低差が不充分で冷媒の押し込み作用が弱くても冷媒循環量が少なく管路抵抗が小さいので自然循環させることができ、冷却能力の低下を防止できる。
【0042】
また、複数の熱交換部HEa~HEcにより複数の冷却部EPa~EPfを冷却することができるから、冷却装置32の全体としての冷却能力の向上を図り得る。また、複数の冷却部EPa~EPfを連結して単一の冷却器EPを構成するようにしたから、冷却運転に伴って冷却器EPに対して霜が付着する着霜面積が減少し、冷却器EPの除霜時間の短縮や除霜時の消費電力量を抑制することが可能になる。更に、冷却装置32の全体で1つの二次回路44を形成することにより、二次回路44への二次冷媒の充填作業を一度で完了することができ、作業効率の効率化を図ることができる。また、熱交換部HEa~HEc毎に熱負荷のばらつきが生じた状況になった場合でも、二次回路44でのサーモサイフォンの自己調整作用によって二次冷媒の循環量が時間の経過と共に次第に均一化され、冷却運転の安定化や効率化に寄与する利点がある。
【0043】
(別の実施形態)
次に、別の実施形態に係る冷却装置130について説明する。なお、この別の実施形態に係る冷却装置10は、実施形態で説明した冷却装置32と基本的に同一構成であり、同一の機能を有する部材・構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。但し、別の実施形態に係る冷却装置130は、1つの熱交換器HE1を備えており、当該熱交換器HE1が一次冷媒経路36(一次回路34A)が相互に連通する3つの熱交換部HEa~HEcを備えるよう構成されている。
【0044】
また、別の実施形態の冷却装置130は、
図7に示すように、第1~第3熱交換部HEa~HEc毎に独立した蒸発器EPが接続するよう構成されている。具体的には、3つの熱交換部HEa~HEcに合わせて3つの独立した冷却器EPを備えるよう構成してある。なお、実施形態2の冷却装置130が備える3つの冷却器EPを便宜的に第1~第3冷却器EP1,EP2,EP3として区別する場合がある。すなわち、第1~第3熱交換部HEa~HEcで熱交換して液化した二次冷媒により、各熱交換部HEa~HEcに対応して設けた第1~第3冷却器EP1,EP2,EP3を冷却するよう構成されている。
【0045】
そして、別の実施形態では、3つの熱交換部HEa~HEcおよび当該3つの熱交換部HEa~HEcに対応する3つの冷却器EP1,EP2,EP3は、
図7に示すように、それぞれ独立した複数の冷却室(冷却空間)28a,28b,28cに対して個別に収容されており、当該3組の熱交換部HEa~HEcおよび冷却器EP1,EP2,EP3により、冷却室28a,28b,28cを個別に冷却し得るようになっている。なお、独立した冷却室28a,28b,28cは、1台の冷蔵庫の内部に画成するようにしてもよく、複数台の冷蔵庫に画成された冷却室であってもよい。
【0046】
このように、複数組(この例では3組)の熱交換部HEa~HEcおよび冷却器EP1,EP2,EP3を、それぞれ独立した複数の冷却室28a,28b,28cに対して個別に収容することで、1つの一次回路34Aで一次冷媒を循環させるようにすることで、複数の冷却室28a,28b,28cを冷却することが可能になる。
【0047】
この場合に、
図8に示すように、各冷却器EP1,EP2,EP3の二次冷媒の流通経路(二次回路44)に、当該経路を開閉する電磁弁等の開閉手段を設けるようにしてもよい。そして、各冷却室28a,28b,28cに設けた図示しないサーモスタットなどの温度検出手段の検出温度に基づいて開閉手段の開閉を切り替えることで、1つの一次回路34Aで一次冷媒を循環させるようにして複数の冷却室28a,28b,28cを冷却しつつ、冷却室28a,28b,28c毎の温度調整が可能になる。ここで、二次冷媒の流通経路(二次回路44)を開閉する電磁弁等の開閉手段に代えて、当該経路を流通する二次冷媒量を調整可能な流量調整弁等の流量調整手段を設けるようにしてもよく、この場合も同様に1つの一次回路34Aで一次冷媒を循環させるようにして複数の冷却室28a,28b,28cを冷却しつつ、冷却室28a,28b,28c毎の温度調整が可能になる。更に、流量調整手段を設ける場合には、各冷却室28a,28b,28cの温度調節を細かに制御することが可能になる。なお、
図8の符号132は、前記開閉手段または前記流量調整手段を示しており、二次回路44の内でガス配管50に配置した例を示してある。
【0048】
また、各冷却器EP1,EP2,EP3における二次冷媒の流通経路(二次回路44)を形成する配管(液配管48、ガス配管50)の管径を異ならせるようにし、各冷却器EP1,EP2,EP3毎の二次冷媒の流通量を異ならせることで、各冷却室28a,28b,28c毎の温度調節が可能になる。例えば、
図9に示すように、3つの冷却室28a,28b,28cの内で、冷却室28aに設けた冷却器EP1に対応する二次回路44のガス配管50の管径を太くすると共に、冷却室28cに設けた冷却器EP3に対応する二次回路44のガス配管50の管径を細くし、冷却室28bに設けた冷却器EP2に対応する二次回路44のガス配管50を中間の管径となるように形成することで、冷却室28a,28b,28c毎の冷却能力を変えることができる。これにより、二次冷媒の流通量が増大する冷却器EP1により冷却される冷却室28aを低温域の冷却室として利用することができ、二次冷媒の流通量が抑制される冷却器EP3により冷却される冷却室28cを高温域の冷却室として利用することができ、冷却器EP2により冷却される冷却室28bを中間温度域の冷却室として利用することが可能になる。
【0049】
(変更例)
本発明に係る冷却装置としては、前述した実施形態に示すものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。
【0050】
(1) 熱交換器HE1,HE2を2つ備えるよう構成したが、3つ以上の複数の熱交換器を設けるようにしてもよい。
(2) 熱交換器HE1,HE2のそれぞれが3つの熱交換部HEa~HEcを備えるようにしたが、1つの熱交換器が1つの熱交換部を備えるようにしてもよく、また2つ或いは4つ以上の複数の熱交換部を備えるようにしてもよい。また、複数の熱交換器HE1,HE2のそれぞれが備える熱交換部の数を異ならせるようにしてもよい。
(3) 冷却器EPが複数の冷却部EPa~EPfを備えるよう構成したが、二次回路44が複数の熱交換器HE1,HE2に跨がるよう連続した経路を形成するよう構成し、当該二次回路44に対して単一の冷却器EPを備えるよう構成すれば冷却部の数は任意に形成することができる。
(4) 冷却室28に位置する熱交換器HE1,HE2の二重管部100を断熱材110で覆うようにしたが、当該断熱材110を省略するようにしてもよい。
(5) 冷却装置32を冷蔵庫10に採用する場合を例にして説明したが、冷凍庫、冷凍・冷蔵庫、ショーケースおよびプレハブ庫等の所謂貯蔵庫、その他空調機器等にも適用可能である。
(6) 機械室20に配設する機器の共通基板となる台板24により、機械室20と収納室14との間で空気の流通がないように収納室14と機械室20とを区切る構成であるが、機械室20と収納室14とを箱体の天板で区切る構成であってもよい。
(7) 一次回路34の減圧手段として膨張弁EVを用いたが、キャピラリーチューブやその他の手段を採用することができる。
【符号の説明】
【0051】
20 機械室(開放空間),28 冷却室(冷却空間),34A,34B 一次回路,
44 二次回路,CM 圧縮機,HE1,HE2 熱交換器,
HEa~HEc 熱交換部,EP 冷却器,EPa~EPf 冷却部