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▶ ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012588
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】クレンジング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20240123BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61K8/37
A61Q1/14
A61K8/73
A61K8/31
A61K8/81
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023193611
(22)【出願日】2023-11-14
(62)【分割の表示】P 2020561730の分割
【原出願日】2019-05-03
(31)【優先権主張番号】62/667,019
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】フィゲロア・ジャスミン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン・ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】マルチネス・マーシー
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド・ファラディア
(72)【発明者】
【氏名】ビデー・アビジット
(57)【要約】
【課題】ユーザの皮膚を適切にクレンジングすることができる組成物であって、眼及び皮膚への刺激の程度が低く、かつ使用後の感触が心地よい組成物を提供する。
【解決手段】クレンジング組成物は基材に埋め込まれた流体組成物を含み、流体組成物が、i.1.0重量%~3.0重量%の量で存在するイソステアリン酸イソプロピル、1.0重量%~3.0重量%の量で存在するイソステアリン酸デシル、及び0.5重量%~1.5重量%の量で存在するイソヘキサデカンを含むクレンジングブレンドと、ii.0.5重量%~1.25重量%の量で存在するヤシ脂肪酸スクロースと、iii.水と、v.増粘剤と、を含み、基材が、不織布拭き取り用品を含む、
【選択図】無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に埋め込まれた流体組成物を含むクレンジング組成物であって、
a.前記流体組成物が、
i.前記流体組成物の1.0重量%~3.0重量%の量で存在するイソステアリン酸イソプロピル、前記流体組成物の1.0重量%~3.0重量%の量で存在するイソステアリン酸デシル、及び前記流体組成物の0.5重量%~1.5重量%の量で存在するイソヘキサデカンを含むクレンジングブレンドと、
ii.前記流体組成物の0.5重量%~1.25重量%の量で存在するヤシ脂肪酸スクロースと、
iii.水と、
iv.増粘剤と、
を含み、
b.前記基材が、不織布拭き取り用品を含む、クレンジング組成物。
【請求項2】
イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸デシル、及びイソヘキサデカンが、1.1:1.1:1~2:2:1の重量比で存在する、請求項1に記載のクレンジング組成物。
【請求項3】
イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸デシル、及びイソヘキサデカンが、2:2:1の重量比で存在する、請求項1に記載のクレンジング組成物。
【請求項4】
前記増粘剤が、アクリレート/C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマーである、請求項1~3のいずれか一項に記載のクレンジング組成物。
【請求項5】
アクリレート/C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマーが、前記流体組成物の0.12重量%~0.18重量%の量で存在する、請求項4に記載のクレンジング組成物。
【請求項6】
前記流体組成物が、グリコールを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のクレンジング組成物。
【請求項7】
前記グリコールが、ヘキシレングリコールである、請求項6に記載のクレンジング組成物。
【請求項8】
前記グリコールが、前記流体組成物の1.0重量%~2.0重量%の量で存在する、請求項6に記載のクレンジング組成物。
【請求項9】
前記流体組成物が、乳化剤を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のクレンジング組成物。
【請求項10】
前記乳化剤が、前記流体組成物の0.75重量%~2.5重量%の量で存在する、請求項9に記載のクレンジング組成物。
【請求項11】
前記乳化剤が、PEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む、請求項9に記載のクレンジング組成物。
【請求項12】
ユーザの皮膚から化粧品を除去する方法であって、
a.前記皮膚の表面と、請求項1~11のいずれか一項に記載のクレンジング組成物とを接触させる工程と、
b.前記皮膚の前記表面を前記基材で擦って、前記皮膚の前記表面から前記化粧品を除去する工程と、を含む、方法。
【請求項13】
前記化粧品が、マスカラ、ファンデーション、アイライナー、及び口紅からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚表面のクレンジングに使用するための改善されたクレンジング組成物に関する。具体的には、本発明は、皮膚の顔領域のクレンジングに有用であり、様々なメークアップ製品のクレンジングに特に有用である。
【背景技術】
【0002】
消費者は、皮膚、毛髪、及び爪の様々な問題に直面しているため、皮膚をクレンジングし得る、又はそのような問題を緩和する有益剤を送達及び/若しくは付着させる、パーソナルケア製品を、長きにわたって求めている。フェイシャルクレンザーにより、望ましくは、ファンデーション、マスカラ、及びアイライナーを除去するために好適なクレンジング効率を提供する必要がある。しかしながら、ユーザに対する刺激を低下させるために、皮膚を適切にクレンジング
する製品の能力を犠牲にすることは避けることが大切である。多くの送達システムは、安定性と低刺激性を達成するために、美観とクリーニング能力を犠牲にしている。これは特に、そのような製品が、顔などの敏感な領域に使用される場合、更により具体的には、眼のまわりなどの非常に敏感な領域に使用される場合に言えることである。また、よりしっとりした感触を有し、べとつきが少なく、残留物のレベルがより低いことなどによって、ユーザにとって心地よく感じられる製品を提供することも有益である。望ましい他の特徴としては、使用後のより高度にクレンジングされた感触及び更なる柔らかさ(クッションのような感触)が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、ユーザの皮膚を適切にクレンジングすることができる組成物であって、眼及び皮膚への刺激の程度が低く、かつ使用後の感触が心地よい組成物を作製することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、様々なクレンジング組成物、並びにクレンジング組成物の使用及び調製方法を含む。一態様では、基材に埋め込まれた流体組成物を含むクレンジング組成物であって、当該流体組成物が、第1のステアリン酸エステル、第2のステアリン酸エステル、及び分岐炭化水素を含むクレンジングブレンドであって、当該第1のステアリン酸エステルと当該第2のステアリン酸エステルとが互いに異なる、クレンジングブレンドを含む、クレンジング組成物が存在する。当該組成物は、任意選択で、非イオン性スクロース又はグルコース脂肪酸エステルのブレンドを含む。当該組成物はまた、任意選択で、カルボマーインターポリマー増粘剤を含む。この態様では、基材は、不織布拭き取り用品などの拭き取り用品又は布を含む。
【0005】
別の態様では、本発明は、基材に埋め込まれた流体組成物を含むクレンジング組成物であって、当該流体組成物が、当該流体組成物の約1.0重量%~約3.0重量%の量で存在する第1のステアリン酸エステル、当該流体組成物の約1.0重量%~約3.0重量%の量で存在する第2のステアリン酸エステル、及び当該流体組成物の約0.5重量%~約1.5重量%の量で存在する分岐炭化水素を含むクレンジングブレンドであって、当該第1のステアリン酸エステルと当該第2のステアリン酸エステルとが互いに異なる、クレンジングブレンドを含む、クレンジング組成物を含む。組成物は、任意選択で、非イオン性スクロース又はグルコース脂肪酸エステルのブレンドを含む。組成物はまた、任意選択で、カルボマーインターポリマー増粘剤を含む。この態様では、基材は、不織布拭き取り用品などの拭き取り用品又は布を含む。
【0006】
他の態様では、本発明は、ユーザの皮膚から化粧品を除去する方法であって、当該皮膚の表面と、基材に埋め込まれた流体組成物を含むクレンジング組成物とを第1の接触させる工程を含み、当該流体組成物が、第1のステアリン酸エステル、第2のステアリン酸エステル、及び分岐炭化水素を含むクレンジングブレンドであって、当該第1のステアリン酸エステルと当該第2のステアリン酸エステルとが互いに異なる、クレンジングブレンドを含む、工程を含む、方法を含む。組成物は、任意選択で、非イオン性スクロース又はグルコース脂肪酸エステルのブレンドを含む。組成物はまた、任意選択で、カルボマーインターポリマー増粘剤を含む。次いで、この方法は、皮膚の表面を基材で擦って、当該皮膚の表面から化粧品の少なくとも一部分を除去する工程を含む。この態様では、基材は、不織布拭き取り用品などの拭き取り用品又は布を含む。化粧品としては、例えば、マスカラ、ファンデーション、アイライナー、口紅、及びその他が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、最適な特性を送達する組成物及び材料を提供する。本明細書で使用されるとき、用語「最適」とは、既知のクレンジング剤に比べて、匹敵又は改善されたクレンジング効力を含む。最適とは、必ずしも100%のクレンジング効率を意味するものではなく、様々な化粧料を顔から除去するのに好適な効率のことである。様々な化粧料について、効率的なクレンジングを以下により詳細に説明する。本発明のクレンジング組成物によって提供される他の利点としては、美観、べとつきが低減される、皮膚及び眼に対する刺激が少ない、より小さな力及びより低コストでより短い乾燥時間が達成される、組成物中のクレンジング剤の量が低減される、並びにクレンジング組成物をシリコーンフリーにできる、のうちの1つ以上を挙げることができる。いくつかの態様では、本発明のクレンジング組成物は、ポリイソブテニル無水コハク酸由来の乳化剤もポリイソブチレン由来の乳化剤も含まない。
【0008】
本明細書で使用するとき、別途記載のない限り、用語「パーセント」は、重量パーセントを指すものとし、同様に、本明細書に記載される全ての量は、重量によるものとする。更に本明細書で使用されるとき、用語「水分散性成分」とは、少なくとも重量当量の水と合わせたときに、均一の、透明又は濁った混合物を生成する材料を意味するものとする。本明細書で使用される用語「有益剤」とは、所望の場所において皮膚、毛髪又は爪の内部及び/又は上に送達されるべき、任意の有効成分を含み、これには化粧剤又は医薬剤などの剤が含まれるがこれらに限定されない。「化粧剤」は、局所適用を介して、毛髪、爪、及び/又は皮膚を美容的に処理し、栄養素を与え、及び/又はコンディショニングを行うのに適切な任意の成分を意味する。「医薬剤」は、局所使用に適切な任意の薬物を意味する。本明細書で使用されるとき、「薬剤」には、外傷及び病気からの回復を促進することができる剤が含まれる。
【0009】
全般的に、本発明は、水、増粘剤、保湿剤、皮膚軟化剤、防腐剤、芳香剤、賦形剤、抽出物、及び緩衝液のうちの1つ以上を含むクレンジング組成物を含む。上記の成分の様々な組み合わせが、本発明において有用である。この組成物は、手で、又は拭き取り用品、シート若しくはスポンジの組み合わせで適用するために、液体又はゲル形態で有用であり得、これによりアプリケータ装置によって適用することができる。
【0010】
本発明において有用なクレンジング組成物は、少なくとも2つの皮膚軟化剤の組み合わせを含んで処方され得る。本明細書で使用されるとき、「皮膚軟化剤」とは、皮膚、毛髪、及び睫毛をクレンジングするため、乾燥の防止若しくは緩和のため、又は皮膚の保護のために、使用される材料を指す。皮膚軟化剤の例としては、例えば、植物油、鉱油(例えば、ワセリン)、脂肪酸エステル(例えば、パルミチン酸イソプロピル、C12~C15安息香酸アルキル)(グリセロールの脂肪酸エステルを含む)などの疎水性化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0011】
本明細書で使用されるクレンジング組成物は、少なくとも1つの油相及び少なくとも1つの水相を含み、別個の水相に加えて複数の油相を含んでいてもよい。各油相は、本明細書に記載される成分を含む。クレンジング組成物に組み合わされると、第1の油相、任意選択の第2の油相、及び水相は、安全、有効、かつ心地よいクレンザーを提供する。クレンジング組成物を形成する際、第1の油相、第2の油相、及び水相を別々に形成する必要はなく、むしろこれらの各相の成分を、任意の所望の段取りで互いに添加してもよいことが理解される。第1の油相、第2の油相、及び水相の呼称は、クレンジング組成物の成分の説明及び理解を助けることを意図するが、本明細書に記載されるクレンジング組成物の形成に使用される任意の特定の方法又は必要な工程を呼称することを意図するものではない。言い換えれば、第1及び第2の油相は、1つの単一の油相に含まれてもよい。
【0012】
本発明は、流体クレンジング組成物を含む。クレンジング組成物は、第1の油相及び水相を含み、任意選択で、第2の油相を含む。上述したように、第1の油相及び第2の油相が1つの油相を形成してもよく、別々に形成される必要はない。更に、3相全てが、必ずしも別々に形成される必要はなく、単一のバッチに形成されてもよく、又は任意の時点で任意の成分を添加することによって形成されてもよい。「相」の特定は、単に組成物全体の説明に役立てることを意図するものであり、必ずしも異なる、別々に形成された相の形成を説明することを意図するものではない。
【0013】
第1の油相は少なくとも3つの皮膚軟化剤を含み、第1の皮膚軟化剤、第2の皮膚軟化剤、及び第3の皮膚軟化剤はそれぞれ互いに異なる。第1の皮膚軟化剤及び第2の皮膚軟化剤は、同じ量、又は実質的に同じ量で存在してよい。いくつかの態様では、第1の皮膚軟化剤は、第2の皮膚軟化剤よりも多い量で存在していてよい。
【0014】
第1の皮膚軟化剤は、式Iによるアルキルエステルであってよい:
-R (I)
【0015】
構造(I)中、Rは、C~C22であり、直鎖、分枝鎖、環状、飽和、又は不飽和であってよい。Rは、1つ、2つ、3つ、又は4つの分岐点を有していてよい。分岐点は、他の炭素への3つの結合及び水素への1つの結合、又は他の炭素への4つの結合を有していてよい。分岐点に結合する側鎖は、メチル、エチル、プロピル、又はブチルであってよい。分岐点は、Rの末端(エステル基とは反対側)にあってもよく、エステル基に近接していてもよい。非限定的な例としては、エチル-ヘキシル、イソプロピル、イソペンチル、ネオペンチル、イソヘキシル、イソデシル、イソドデシルなどが挙げられる。直鎖Rの例としては、プロピル、ヘキシル、ノニル、デシル、及びヘキサデシルが挙げられる。Rは、酸素、窒素、又は硫黄などのヘテロ原子を有する1つ又は2つの基、例えば、ヒドロキシ(-OH)及びアルキルエーテル(-O-メチル、-O-エチル、及び-O-R)を含有していてもよい。Rは、1つ、2つ、又は3つの二重結合若しくは三重結合、又は両方を含有していてよい。Rは合成、例えば、石油由来であってもよく、又は植物及び動物材料などの再生可能資源由来、例えば、トリグリセリド油由来、若しくは発酵プロセス由来であってもよく、又は資源の混合物由来であってもよい。
【0016】
は、一般構造:-O-CO-Rを有するカルボン酸である。Rは、約12個の炭素~約22個の炭素を有していてよく、直鎖、分枝鎖、環状、飽和、又は不飽和であってよい。Rは、1つ、2つ、3つ、又は4つの分岐点を有していてよい。分岐点は、他の炭素への3つの結合及び水素への1つの結合、又は他の炭素への4つの結合を有していてよい。分岐点に結合している側鎖は、メチル、エチル、プロピル、又はブチルであってよい。分岐点は、Rの末端(エステル基とは反対側)にあってもよく、エステル基に近接していてもよい。分枝状Rを有するRの例としては、イソドデカノエート、イソペンタデカノエート、ネオペンタデカノエート、イソヘキサデカノエート、イソベヘネートなどが挙げられる。直鎖Rの例としては、例えば、ラウレート、ミリステート、ステアレート、ベヘネートが挙げられる。Rは、酸素、窒素、又は硫黄などのヘテロ原子を有する1つ又は2つの基を含有していてよく、例としては、ヒドロキシ(-OH)及びアルキルエーテル(-O-メチル、-O-エチル、及び-O-R)が挙げられる。R中にヒドロキシ基を有するRの例は、α-ヒドロキシステアレート、α-ヒドロキシパルミテート、及びリシノレエートである。Rは、1つ、2つ、又は3つの二重結合若しくは三重結合、又は両方を含有していてよい。Rは合成、例えば、石油由来であってもよく、又はトリグリセリド油のような植物及び動物材料などの再生可能資源由来、若しくは発酵プロセス由来であってもよく、又は資源の混合物由来であってもよい。
【0017】
第1の油相はまた、第2の皮膚軟化剤を含んでいてもよく、第2の皮膚軟化剤は、上記の式(I)によるエステルであってよく、この場合、第2のエステルは第1のエステルとは異なる。Rが第1のエステルのRと比較して、炭素0、1、又は2個分異なる場合、第2のエステルのRは、第1のエステルのRと比較して炭素少なくとも5個分異なる。Rが第1のエステルのRと比較して、炭素0、1、又は2個分異なる場合、第2のエステルのRは、第1のエステルのRと比較して炭素少なくとも5個分異なる。
【0018】
第1の皮膚軟化剤は、イソステアレートなどのステアリン酸エステルであってもよく、例えば、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸デシル、及びイソステアリン酸ヘキシルを挙げることができる。イソステアリン酸イソプロピルは、その商標名Crodamol IPIS(商標)によって商業的に入手可能であり得る。いくつかの態様では、イソステアリン酸デシルが使用される場合、市販のイソステアリン酸、又はエステルを形成するのに有用なその誘導体のいずれかを使用して生成される単純なエステルであってよい。しかしながら、いくつかの態様では、イソステアリン酸デシルは、精製されていない(例えば、単純な)酸と比較して酸中に存在する一分岐分子の比率を増加させるために精製プロセスに供された、イソステアリン酸、又はエステルを形成するのに有用なその誘導体のいずれかのエステル化から形成されるイソステアレートであってもよく、又はこれを含んでいてもよい。本明細書で使用するとき、用語「イソステアリン酸デシル」は、高度一分岐酸から形成されたものではない単純なイソステアレートを指すものとするが、用語「高度一分岐イソステアリン酸デシル」は、単純なイソステアリン酸と比較して高い比率の一分岐分子を有するイソステアリン酸から形成されたエステルを指す。
【0019】
したがって、いくつかの実施形態では、イソステアリン酸デシルは、単純なイソステアリン酸と比較して高い比率の一分岐分子を有するイソステアリン酸から形成された、高度一分岐イソステアリン酸デシルであってよい。「高度一分岐イソステアリン酸デシル」は、イソステアリン酸デシルの分子の少なくとも約60重量%がモノアルキル分岐イソステアレート基を含み、イソステアリン酸デシルの分子の約25重量%未満がポリアルキル分岐イソステアレート基を含む、イソステアリン酸デシルを含む。例示的な高度一分岐イソステアリン酸デシル、及び高度一分岐イソステアリン酸デシルを形成する方法は、米国特許第9,656,944号に見出すことができ、その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0020】
第1の油相はまた、第2の皮膚軟化剤を含み、当該第2の皮膚軟化剤は第1の皮膚軟化剤とは異なる。第2の皮膚軟化剤は、上に定義したアルキルエステルであってもよく、更に、当該第2の皮膚軟化剤は、第2のステアリン酸エステルであってもよく、この場合、当該第2のステアリン酸エステルは、第1のステアリン酸エステルとは異なる。好適なステアリン酸エステルとしては、第1のステアリン酸エステルに関して上に定義したものが挙げられる。例として、第1の皮膚軟化剤は、イソステアリン酸イソプロピルを含んでいてよく、第2の皮膚軟化剤は、単純なイソステアリン酸デシル及び/又は高度一分岐イソステアリン酸デシルを含んでいてよい。いくつかの態様では、第2の皮膚軟化剤は、単純なイソステアリン酸デシルと高度一分岐イソステアリン酸デシルとのブレンドであってもよい。第1の皮膚軟化剤及び第2の皮膚軟化剤が第1のステアリン酸エステル及び第2のステアリン酸エステルである実施形態では、第1のステアリン酸エステル及び第2のステアリン酸エステルは、同じ量、又は実質的に同量で存在していてよい。いくつかの態様では、第1のステアリン酸エステルは、第2のステアリン酸エステルよりも多い量で存在していてよい。
【0021】
第1の油相はまた、第3の皮膚軟化剤を含んでいてもよく、この場合、当該第3の皮膚軟化剤は、第1及び第2の皮膚軟化剤のいずれとも異なる。第3の皮膚軟化剤はまた、上に定義したアルキルエステルであってもよく、又はいくつかの態様では、第3の皮膚軟化剤は、8~20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素皮膚軟化剤であってもよい。好適な直鎖又は分枝鎖の炭化水素皮膚軟化剤としては、例えば、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、スクアレン、ヘキサデカン、又はイソパラフィンが挙げられる。特定の態様では、第3の皮膚軟化剤は、イソヘキサデカンなどの10~20個の炭素原子を有する分岐炭化水素皮膚軟化剤であり、これは住友商事により販売されている商標名Permethyl 101Aとして入手可能であり得る。
【0022】
第3の皮膚軟化剤が分岐炭化水素である場合、任意選択で、1~5個の分岐点を有していてよい。分岐点は、他の炭素への3つの結合及び水素への1つの結合、又は他の炭素への4つの結合を有していてよい。分岐点に結合している側鎖は、メチル、エチル、プロピル、又はブチルであってよい。
【0023】
第3の皮膚軟化剤は、酸素、窒素、又は硫黄などのヘテロ原子を有する1つ又は2つの基を含有していてよく、例としては、ヒドロキシ(-OH)及びアルキルエーテル(-O-メチル、-O-エチル、及び-O-プロピル)が挙げられる。Rは、1つ、2つ、又は3つの二重結合若しくは三重結合、又は両方を含有していてよい。第3の皮膚軟化剤は合成、例えば、石油由来であってもよく、又は例えばトリグリセリド油のような植物及び動物材料などの再生可能資源由来、若しくは発酵プロセス由来であってもよく、又は資源の混合物由来であってもよい。
【0024】
特定の態様では、イソヘキサデカンは、式IIによる構造を有し得る:
【0025】
【化1】
【0026】
望ましくは、第1及び第2の皮膚軟化剤のそれぞれは、独立して、第3の皮膚軟化剤よりも多い量で存在する。例として、第1の皮膚軟化剤は、組成物の約0.5重量%~約8重量%、又は組成物の約1重量%~約6重量%、好ましくは組成物の約2重量%~約4重量%の量で存在していてよく、第2の皮膚軟化剤は、組成物の約0.5重量%~約8重量%、又は組成物の約1重量%~約6重量%、好ましくは組成物の約2重量%~約4重量%の量で存在していてよく、第3の皮膚軟化剤は、組成物の約0.5重量%~約8重量%、又は組成物の約1重量%~約6重量%、好ましくは組成物の約2重量%~約4重量%の量で存在していてよい。
【0027】
第1の皮膚軟化剤、第2の皮膚軟化剤、及び第3の皮膚軟化剤は、互いに対して所望の比で存在することが望ましい場合がある。例として、第1の皮膚軟化剤が第1のステアリン酸エステルであり、第2の皮膚軟化剤は第2のステアリン酸エステルであり、第3の皮膚軟化剤が8~20個の炭素原子を有する分岐炭化水素である場合、これらは、約4:4:2又は約2:2:1(第1のステアリン酸エステル:第2のステアリン酸エステル:分岐炭化水素)の重量比で存在していてよい。
【0028】
他の態様では、第1の皮膚軟化剤、第2の皮膚軟化剤、及び第3の皮膚軟化剤は、およそ等しい重量(例えば、約1:1:1の重量比)で存在してよい。しかしながら、所望の感触及び所望のクレンジングに応じて、3つの皮膚軟化剤の量を変更することが好ましい場合がある。これは、組成物の他の相が特定の成分を含むか、又は特定の肌触りプロファイルを有する場合に特に当てはまり得る。すなわち、第2の油相及び/又は水相は、組成物全体に望ましい肌触りプロファイルを提供する成分を含んでいてよく、したがって、第1の油相は、望ましい肌触りに焦点を合わせる必要なく、より高度なクレンジングを提供することができる。対照的に、第2の油相及び/又は水相が、組成物全体に望ましい肌触りプロファイルを提供しない成分を含んでいてもよく、したがって、第1の油相は、好適なクレンジングプロファイルを与えると同時に、望ましい肌触りにより焦点を合わせる場合がある。
【0029】
第1の油相中の皮膚軟化剤は、クレンジングを提供するのに有用であるが、本発明のクレンジング組成物全体が、耐久性のある/ウォータープルーフメークアップを含む様々なタイプのメークアップについて、クレンジングの提供だけでなく、べとつきが少ない、保湿力が高い、残留物が少ない、べたつきが少ない、及びより柔らかな/クッションのような感触を提供することを含む、いくつかの基準を満たすことが望ましい。
【0030】
例えば、いくつかの態様では、第1の皮膚軟化剤よりも少ない重量かつ第2の皮膚軟化剤よりも少ない重量で存在する第3の皮膚軟化剤、例えば分岐炭化水素を有することが望ましい場合がある。他の実施形態では、第1の皮膚軟化剤及び第2の皮膚軟化剤の一方又は両方よりも多い量で存在する、分岐炭化水素などの第3の皮膚軟化剤を有することが望ましい場合がある。したがって、第2の油相及び水相の成分に応じて、組成物全体のクレンジング及び肌触りプロファイルに適合するように第1の油相中の成分を変化させることができる。
【0031】
したがって、いくつかの態様では、3つの皮膚軟化剤の比は、約1.1:1.1:1(第1のステアリン酸エステル:第2のステアリン酸エステル:分岐炭化水素)~約2:2:1(第1のステアリン酸エステル:第2のステアリン酸エステル:分岐炭化水素)であってよい。他の態様では、特に第3の皮膚軟化剤がそれぞれ第1及び第2の皮膚軟化剤よりも多い量である場合、3つの皮膚軟化剤の重量比は、約1:1:1.1~約1:1:3、又は約1:1:1.3~1:1:1.5(第1のステアリン酸エステル:第2のステアリン酸エステル:分岐炭化水素)であってよい。第1の油相は、クレンジング組成物全体の約2.5重量%~約20重量%、又はクレンジング組成物全体の約5重量%~約12重量%、又はクレンジング組成物全体の約7~10重量%の量で組成物中に存在する。第1、第2、及び第3の皮膚軟化剤の合計重量パーセントは、クレンジング組成物全体の約7重量%であることが望ましい場合がある。
【0032】
1つの皮膚軟化剤、アジピン酸ジ-PPG-3ミリスチルは、本発明において所望の効果を提供しない場合がある。したがって、本明細書に記載及び使用されるクレンジング組成物は、アジピン酸ジ-PPG-3ミリスチルを含まないことが望ましい場合がある。
【0033】
組成物は、望ましくは、第2の油相を含む。第2の油相は、例えば、保湿剤、非イオン性界面活性剤(非起泡性非イオン性界面活性剤を含む)、グリセリド、防腐剤、芳香剤などのクレンジング成分を含んでいてよい。
【0034】
第2の油相は、脂肪族ジオールを含む1つ以上の保湿剤を含んでいてよい。クレンジング組成物に保湿及びコンディショニング特性を提供することができる、他の市販されている保湿剤が、本発明で使用するのに好適である。存在する場合、湿潤剤は、好ましくは、組成物の合計重量に基づいて、約0.1パーセント~約4パーセント、より好ましくは約0.5パーセント~約2パーセント、最も好ましくは約0.5パーセント~約1パーセントの量で存在する。好適な湿潤剤の例としては、非排他的に、1)グリセリン、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物を含む群から選択される水溶性液体ポリオール;2)式III:
HO-(R″O)-H (III)
[式中、R″は約2~約4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、bは、約1~約10の整数である]の、PEG 4等のポリアルキレングリコール;3)式IV:
CH-C10-(OCHCH-OH (IV)
[式中、cは約5~約25の整数である]の、メチルグルコースのポリエチレングリコールエーテル;
4)尿素;5)フルクトース;6)グルコース;7)蜂蜜;8)乳酸;9)マルトース;10)グルクロン酸ナトリウム;及び11)これらの混合物が挙げられる。
【0035】
第2の油相はまた、本質的に非発泡性非イオン性界面活性剤を含む1つ以上の非イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。例示的な好適な本質的に非発泡性のイオン性界面活性剤としては、例えば、スクロース脂肪酸エステルのブレンドが挙げられる。スクロース脂肪酸エステルのブレンドは、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、及びこれらの1つ以上の組み合わせなどの脂肪酸と組み合わされたスクロースを含んでいてよい。スクロース脂肪酸エステルのこのような望ましいブレンドの1つは、Evonik Industriesから入手可能な商標名Tegosoft(登録商標)LSEで市販されているヤシ脂肪酸スクロースである。
【0036】
「本質的に非発泡性」とは、その界面活性剤が本発明の組成物と共に使用されたときに、ロスマイルス起泡試験によって測定されたカラム高さが約20mm未満であることを意味する。参照により本明細書に援用される18(I.)Oil&Soap99-102(1941)(「Ross-Miles Test」)を参照されたい。このクレンジング組成物及びパーソナルケアシステムは、水ですすぎ可能であってもよく、又は拭き取られてもよい。本明細書に記載のクレンジング組成物において使用される任意の非発泡性非イオン性界面活性剤は、水ですすぎ可能であるか、又は全くすすぎを必要としないことが望ましい。いくつかの実施形態では、非起泡性非イオン性界面活性剤として、Crodaから商標名「Arlacel 2121」として入手可能なステアリン酸ソルビタンとヤシ脂肪酸スクロースとのブレンドを使用することが有用であり得る。非起泡性非イオン性界面活性剤は、任意の所望の量で存在してよく、いくつかの態様では、クレンジング組成物全体の約0.1重量%~約2重量%の量で存在し、又はクレンジング組成物全体の約0.50重量%~約0.75重量%の量で存在してもよい。
【0037】
上記の皮膚軟化剤に加えて、クレンジング組成物は、ポリマー乳化剤を含んでいてもよい。有用であり得るポリマー乳化剤としては、例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド又はPEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む、グリセリド又はトリグリセリドが挙げられる。本明細書で使用されるとき、用語「ポリマー乳化剤」とは、システムを乳化させることができる化合物であって、そのポリマー乳化剤は、少なくとも約5000の分子量を有し、好ましくは、親水性部分と疎水性部分とを有するブロックコポリマーである。パーソナルケアシステムを乳化するための有効量が使用されるとき、このポリマー乳化剤は驚くべきことに、有意な眼のぴりぴり感を引き起こさない。すなわち、この乳化剤含有組成物を80人の消費者の眼領域に使用したとき、そのユーザのうち、眼領域周辺の不快感を訴えたのは約5%以下であった。好適なポリマー乳化剤の他の例としては、非排他的に、Crodaから商標名「Cithrol DPHS」として入手可能なポリエチレングリコール-30ジポリヒドロキシステアレート;Goldschmidt Chemical Corporationから商標名「Abil EM(登録商標)90」として入手可能なジメチコンコポリオール;Goodrich Corporationから商標名「Pemulen(登録商標)」として入手可能なものなどの置換アクリレート;及びこれらの混合物が挙げられる。ポリマー乳化剤は、任意の所望の量で存在してよく、いくつかの態様では、クレンジング組成物全体の約0.1重量%~約2重量%の量で存在し、又はクレンジング組成物全体の約0.75重量%の量で存在してもよい。
【0038】
第2の油相はまた、防腐剤又は防腐剤ブレンドを含んでいてもよい。好適な防腐剤は、エチルヘキシルグリセリン、デヒドロ酢酸、安息香酸、フェノキシエタノール、ポリアミノプロピルビグアニド、クロルフェネシン、PEG-4ラウレート、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、及びこれらの混合物などの成分を含む。防腐剤は、任意の所望の量で存在してよく、いくつかの実施形態では、クレンジング組成物全体の約0.01重量%~約2重量%の量で存在し、又はクレンジング組成物全体の約0.1重量%~約1重量%の量で存在してもよい。一態様では、防腐剤ブレンドは、クロルフェネシン及びフェノキシエタノールを含む。
【0039】
第2の油相はまた、芳香剤又は芳香剤ブレンドを含んでいてもよい。芳香剤は、精油、又は芳香化合物、固定剤、抽出物、及びビタミン、及び溶媒を含んでいてもよい。芳香剤は、任意の所望の量で存在してよく、いくつかの態様では、クレンジング組成物全体の約0.01重量%~約1重量%の量で存在し、又はクレンジング組成物全体の約0.1%重量%~約0.2重量%の量で存在してもよい。
【0040】
第2の油相は、クレンジング組成物全体の約1重量%~約10重量%の量で存在するか、又はクレンジング組成物全体の約2.5重量%~約5重量%であってもよい。
【0041】
第1及び第2の油相は、1つの単一油相を作製するために一緒に形成されてもよく、又はクレンジング組成物中に別個の成分として形成されてもよい。第1及び第2の油相の呼称は、これらの2つの油相の別個の形成を必要とすることを意図するものではない。クレンジング組成物全体を加工する際、2つの油相を別々に加工することが望ましい場合もあり、又は2つの油相は、成分の添加順序を可変として、単一相として加工されてもよい。
【0042】
組成物は水相を含む。第1及び第2の油相と同様に、水相は、必ずしも第1及び/又は第2の油相とは別個の異なる相として加工される必要はない。水相は、第1及び第2の油相と比較して最も多い量で存在し、クレンジング組成物全体の約75重量%~約95重量%、又はクレンジング組成物全体の約80重量%~約85重量%の量で存在し得る。水相は、水又は別の好適な担体を含む。水は、最終組成物の約75重量%~約90重量%の量、より望ましくは最終組成物の約80重量%~約88重量%の量で存在し得る。
【0043】
第1の油相、第2の油相、又は水相は、親水性増粘剤であり得る1つ以上の増粘剤を更に含んでいてもよい。好適な親水性増粘剤の例としては、非排他的に、B.F.Goodrichから商標名「Carbopol(登録商標)ETD2020」(INCI:アクリレート/C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマー)、Carbopol(登録商標)Ultrez 10 NF Polymer(INCI:カルボマー)として入手可能なカルボマー、アクリレートコポリマー及びアクリレートクロスポリマー、Herculesから商標名「Natrosol(登録商標)Plus」として入手可能なセチルエーテル基で修飾されたヒドロキシエチルセルロース、International Specialty Productsから商標名「Stabileze QM」として入手可能なポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸(PVM/MA)デカジエンクロスポリマー、並びにこれらのコポリマー及び混合物が挙げられ、カルボマーが好ましい。好適なアクリレートコポリマーの例としては、非排他的に、Rohm&Haasから商標名「Aculyn(登録商標)33」として入手可能なアクリレートコポリマー、National Starch&Chemical Companyから商標名「Structure Plus」として入手可能なアクリレート/アミノアクリレートコポリマー、National Starch&Chemical Companyから商標名「Structure2001」として入手可能なアクリレート/ステアレス-20イタコン酸コポリマー、National Starch&Chemical Companyから商標名「Structure3001」として入手可能なアクリレート/セテス-20イタコン酸コポリマー、Rohm&Haasから商標名「Aculyn(登録商標)22」として入手可能なアクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、並びにこれらのコポリマー及び混合物が挙げられる。Carbopol ETD 2020は、「カルボマーインターポリマー増粘剤」と呼ばれ、本発明において好ましい。増粘剤は、クレンジング組成物全体の約0.05重量%~約0.50重量%、又はクレンジング組成物全体の約0.12重量%~約0.18重量%の量で存在し得る。
【0044】
水相は、緩衝剤を含んでいてもよい。好適な緩衝剤としては、例えば、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、乳酸緩衝液、グルコン酸緩衝液、及び水酸化ナトリウムなどを挙げることができる。緩衝剤は、所望のpHを達成するのに望ましい任意の量で存在していてよい。いくつかの態様では、緩衝剤は、20%水酸化ナトリウムと水又は他の溶媒とのブレンドであってもよい。緩衝剤は、最終組成物の約0.01重量%~約0.5重量%、より望ましくはクレンジング組成物全体の約0.2重量%の量で存在し得る。
【0045】
いくつかの態様では、本発明は、第1の油相、第2の油相、及び水相を含む、又はそれらからから本質的になるクレンジング組成物を含む。水相がクレンジング組成物中に最も多い重量で存在することが望ましい。第1の油相が第2の油相よりも多い重量で存在することも望ましい。本発明は、3つの相が存在するが、水の量が大幅に低減された濃縮ブレンドを含んでいてもよく、当該濃縮物は、別々に調製及び維持されてよく、水は後日添加される。このように濃縮物を使用することは、特に最終組成物(水を含む)が他の成分とは別の場所で調製される場合、製造及び出荷の目的のために特に有用であり得る。
【0046】
本明細書に記載される組成物は、様々な化粧品をユーザの皮膚から除去するのに有用であり、特に、重いか又はべとつく残留物を残さずに、マスカラ、ファンデーション、口紅、及びアイライナーを効率的に除去するのに有用である。マスカラは、皮膚から除去するのが難しい化粧品材料との評がある。これは、マスカラが、高濃度のフィルム形成物質を付着させ、比較的高濃度の疎水性材料を含むためである。更に、マスカラは高濃度の炭素濃色顔料を含み、濃い色をもたらす。加えて、マスカラは、典型的には眼又は睫毛に適用されるため、クリーニングには、やさしく低圧力の非平面的な適用が必要になる。アイライナーは、除去することがより困難であり得る二酸化チタン、酸化鉄、雲母、シリカ、及びより高濃度の顔料/着色剤を含むので、それ自体の除去の困難性を示す。加えて、マスカラと同様に、アイライナーは眼又は眼領域に適用されることが多く、クレンジングには、やさしく、低圧力で、非平面的な適用が必要になる。ファンデーションもある程度の困難さをもたらす。ファンデーションは、典型的にはエマルジョンであり、シリコーンを含むことがあり、これが皮膚に残るためである。今日の化粧料は「24時間」使用に向けて開発されており、この場合、化粧料は長時間にわたってユーザの皮膚に留まる。これらの「持続性の」ウォータープルーフ化粧料は、高い移動抵抗を有するので、除去するのが困難になる。
【0047】
これら3つの化粧品材料を必要に足りるだけ効果的かつ十分に除去する材料を提供することが、特に望ましい。更に、皮膚の表面に油っぽい又はべとついた残留物を残さない組成物を提供することが望ましい。そのような油っぽいクレンザーは、除去するのが困難であり得、ユーザに清浄でない感覚を残し得るからである。加えて、このクレンジング組成物が、皮膚、特に眼に対して、低刺激又は無刺激であることが重要である。使用中及び使用後のユーザの皮膚に対する柔らかで心地よい感触も望まれる。本発明は、本明細書で定義される望ましい特性を有すると同時に、好適なクレンジング能力も提供するクレンジング組成物を提供する。
【0048】
本発明の別の実施形態は、パーソナルケアシステムであって、当該パーソナルケアシステムの総重量に基づいて、a)第1の油相と、b)第2の油相と、c)水相と、を含む、それらからなる、又は本質的にそれらからなるパーソナルケアシステムを目的とする。パーソナルケアシステムは、ユーザの手又は他の用具によって皮膚に適用される液体又はゲル組成物として使用され得る。任意選択で、パーソナルケアシステムは、拭き取り用品又は他の適用用具などの基材に染み込ませてもよく又は埋め込まれてもよく、この場合、ユーザは、単に拭き取り用品又は他の適用用具をパッケージから取り出し、拭き取り用品又は他の適用用具を使用してクレンジングを達成することができる。好ましい実施形態では、クレンジング組成物を個々の拭き取り用品に染み込ませ、ユーザは、その拭き取り用品を使用して使用者の皮膚をクレンジングすることができる。個々の拭き取り用品は、複数の拭き取り用品を含むディスペンサにパッケージ化されてもよく、又は1枚の拭き取り用品のみを含むディスペンサにパッケージ化されてもよい。望ましい基材としては、以下により詳細に記載される拭き取り用品が挙げられる。
【0049】
パーソナルケアシステム及びクレンジング組成物は、任意選択で、1つ以上の有益剤又はその医薬上許容できる塩を更に含有していてもよい。本明細書で使用されるとき、用語「有益剤」は、所望の場所において皮膚、毛髪、又は爪の内部及び/又は上に送達されるべき、化粧剤又は医薬剤等の任意の有効成分を含む。「化粧剤」は、局所適用を介して、毛髪、爪、及び/又は皮膚を美容的に処理し、栄養素を与え、及び/又はコンディショニングを行うのに適切な任意の成分を意味する。「医剤」は、性質上疎水性又は親水性のいずれかであり、かつ局所使用に適切な任意の薬物を意味する。本明細書で使用されるとき、「薬剤」には、外傷及び病気からの回復を促進することができる剤が含まれる。有益剤は、使用される場合、選択された相における他の成分と適合する場合、第1の油相、第2の油相、又は水相のいずれに含まれていてもよい。
【0050】
本明細書で有用な有益剤は、それらの治療的利益又はそれらの想定された作用機序によって分類されてもよい。しかしながら、本明細書で有用な有益剤は、一部の情況下で2つ以上の治療的利益を提供し、又は1つ以上の作用機序を介して作用し得ることを理解されたい。したがって、本明細書で提供される特定の分類は、便宜上なされたものであり、列挙される特定の適用(複数可)に限定することを意図したものではない。加えて、有益剤として使用するのに好適であるものとして下記に特定される化合物は、クレンジング組成物又はパーソナルケアシステムにおいて他の目的のために使用され得る量を超える、上回る量で使用することができる。
【0051】
好適な有益剤の例としては、非排他的に、脱色素剤;反射剤;フィルム形成ポリマー;湿潤剤;アミノ酸及びその誘導体;抗菌剤;アレルギー抑制剤;抗ニキビ剤;老化防止剤;防しわ剤、消毒剤;鎮痛剤;鎮咳薬;抗そう痒剤;局所麻酔薬;抗脱毛剤;育毛促進剤;毛髪成長阻害剤、抗ヒスタミン剤(例えばマンドラゴラ・ベルナリス(Mandragora Vernalis)、ナツシロギクなど);抗感染薬(例えばアセンヤクノキ、アロエベラ、スズラン、エキナセア、ユーカリ、セイヨウハッカ、イヌバラ、サッサフラスアルビダム(Albidum)など);炎症阻害剤;吐き気止め;抗コリン作用薬;血管収縮薬;血管拡張薬;創傷治癒促進剤;ペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質;防臭剤及び制汗剤;薬剤;皮膚軟化剤及び皮膚保湿剤;皮膚引き締め剤、ビタミン;日焼け剤;皮膚美白剤;抗真菌剤(例えばヤグルマギク、アメリカシャクナゲ、及び足の調合剤用の抗真菌剤);脱毛剤;剃毛調合剤;外用鎮痛剤;香料;対向刺激薬;痔疾用剤;殺虫剤;ツタウルシ製品;ウルシ製品;やけど製品;おむつかぶれ薬;あせも薬;ビタミン、アミノ酸及びその誘導体;ハーブ抽出物;レチノイド;フラベノイド;感覚剤;抗酸化剤;皮膚コンディショナー;毛髪脱色剤;キレート剤;細胞交替強化剤;着色剤;日焼け止め剤、米国特許第6,063,397号に開示されている有効成分(これは参照により本明細書に組み込まれる)、抗浮腫剤、コラーゲン強化剤、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
好適な抗浮腫剤の例としては、非排他的に、天然ビサボロール、合成ビサボロール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0053】
好適な血管収縮薬の例としては、非排他的に、セイヨウトチノキ抽出物、サンショウ、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
好適な抗炎症剤の例としては、非排他的に、ベノキサプロフェン、ツボクサ、ビサボロール、ナツシロギク(全体)、ナツシロギク(パルテノライド不含)、緑茶抽出物、緑茶濃縮物、過酸化水素、リコペン(LycoRed Natural Products Industries,Ltd.から入手可能な「Lyc-o-Pen」を含む)、オート麦油、カモミール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
コラーゲン強化剤の例としては、非排他的に、ビタミンA、ビタミンC、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0056】
好適な皮膚引き締め剤の例としては、非排他的に、ジメチルアミノエタノール(「DMAE」)が挙げられる。
【0057】
好適な抗そう痒剤及び皮膚保護剤の例としては、非排他的に、オートミール、βグルカン、ナツシロギク、大豆及びその誘導体、重曹、コロイド状オートミール、界面活性剤系のコロイド状オートミールクレンザー、アナガリス(Anagallis Arvensis)、メマツヨイグサ、クマツヅラなどが挙げられる。この抗そう痒剤は、クレンジング組成物の総重量に基づいて、約0.01パーセント~約40パーセント、好ましくは約1パーセント~約5パーセントの量で使用され得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、コロイド状オートミールは、第1又は第2オート麦の米国基準を満たす全粒粉オート麦の粉砕及び更なる加工から得られる粉末を意味する。コロイド状オートミールは、以下の粒径分布を有する。すなわち、全粒子の3パーセント以下が150マイクロメートルのサイズを超え、全粒子の20パーセント以下が75マイクロメートルのサイズを超える。好適なコロイド状オートミールの例としては、Beacon Corporationから入手可能な「Tech-O」及びQuakerから入手可能なコロイド状オートミールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
好適な反射剤の例としては、非排他的に、雲母、アルミナ、ケイ酸カルシウム、グリコールジオレエート、グリコールジステアレート、シリカ、ナトリウムフルオロケイ酸マグネシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0060】
好適なフィルム形成アセチルチロシンアミド、ジンクピリチオン、コールタール、過酸化ベンゾイル、硫化セレン、ヒドロコルチゾン、硫黄、メントール、塩酸プラモキシン、塩化トリセチルモニウム、ポリクオタニウム10、パンテノール、パンテノールトリアセテート、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンD及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンK及びその誘導体、ケラチン、リジン、アルギニン、加水分解小麦タンパク質、加水分解シルクタンパク質、オクチルメトキシシンナメート、オキシベンゾン、ミノキシジル、二酸化チタン、二酸化亜鉛、レチノール、エルスロマイシン、トレチノイン、並びにこれらの混合物。
【0061】
1つのタイプの有益剤には、フケ、脂漏性皮膚炎、及び乾癬、並びにこれらに伴う症状の治療に有効な治療用成分が挙げられる。そのような好適な有益剤の例としては、非排他的に、ジンクピリチオン、アントラリン、シェールオイル及びその誘導体(例えばスルホン化シェールオイル)、硫化セレン、イオウ;サリチル酸;コールタール;ポビドンヨード、ケトコナゾール、ジクロロフェニルイミダゾロジオキサラン(Janssen Pharmaceutica(N.V.)から商標名「Elubiol」として市販されている)、クロトリマゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール、クリンバゾール、チオコナゾール、スルコナゾール、ブトコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾールニトレート等のイミダゾール、並びにこれらの任意の可能な立体異性体及び誘導体;ピロクトンオラミン(オクトピロックス);硫化セレン;シクロピロックスオラミン;ビタミンD類縁体等の抗乾癬薬、例えば、カルシポトリオール、カルシトリオール、及びタカレイトロール;ビタミンAのエステル等のビタミンA類縁体(例えば、ビタミンAパルミテート、レチノール、及びレチノイン酸);ハイドロコルチゾン、クロベタゾン、ブチラート、クロベタゾールプロピオネート等のコルチコステロイド、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
クレンジング組成物又はエマルジョンと合わせられる有益剤の量は、例えば、皮膚、毛髪、又は爪を通して浸透する有益剤の能力、選択される具体的な有益剤、所望の特定の利益、ユーザの有益剤に対する感受性、ユーザの健康状態、年齢、並びに皮膚、毛髪、及び/又は爪の状態などに応じて変動し得る。要するに、有益剤は、健全な医療判断において合理的なリスク対利益比の下で、「安全かつ効果的な量」で、すなわち所望の皮膚、毛髪、若しくは爪に対する利益をもたらすため又は治療されるべき特定の状態を修正するためには十分に高いが、重大な副作用を回避するためには十分に低い量で、使用される。含まれる場合、有益剤は、クレンジング組成物又はパーソナルケアシステム中に、組成物/システムの合計重量に基づいて、約0.01パーセント~約5.0パーセント、好ましくは約0.01パーセント~約2.0パーセント、より好ましくは約0.01パーセント~約1.0パーセントの量で存在し得る。
【0063】
任意選択で、コンディショニング組成物に適切な粘度を付与することができる市販の洗剤増粘剤が、本発明において用いるのに好適である。使用される場合、洗剤増粘剤は、組成物のブルックフィールド粘度を約500~約10,000センチポアズの値まで上げるのに十分な量で、組成物中に存在するものとする。好適な洗剤増粘剤の例としては、非排他的に、式V:
HO-(CHCHO)H (V)
[式中、zは約3~約200の整数である]のポリエチレングリコールの、モノエステル又はジエステル;
約16~約22個の炭素原子を含有する脂肪酸;エトキシル化ポリオールの脂肪酸エステル;脂肪酸とグリセリンのモノエステル及びジエステルのエトキシル化誘導体;ヒドロキシアルキルセルロース;アルキルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース;並びにこれらの混合物が挙げられる。より具体的には、好適な洗剤増粘剤は、非排他的に、ベヘンアルコニウムクロリド;セチルアルコール、クアテルニウム-46、ヒドロキシエチルセルロース、ココジモニウムクロリド、ポリクアテルニウム-6、ポリクアテルニウム-7、クアテルニウム-18、オレイン酸/ヤシ脂肪酸PEG-18グリセロール、アクリレート/ステアレス-50アクリレートコポリマーの混合物、ラウレス-3及びプロピレングリコール(これは、Goldschmidtから商標名「Antil208」として市販されている)、コカミドプロピルベタインとラウリン酸グリセリルの混合物(これは、Goldschmidtから商標名「Antil HS60」として市販されている)、プロピレングリコール、PEG55、及びオレイン酸プロピレングリコールの混合物(これは、Goldschmidtから商標名「Antil414liquid」として市販されている)、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい洗剤増粘剤としては、ポリエチレングリコールエステルが挙げられ、より好ましくは、Stepan Company(Northfield,Ill.)から入手可能な、又はComiel,S.p.A.(Bologna,Italy)から商標名「PEG6000DS」として入手可能なPEG-150ジステアレートが挙げられる。
【0064】
上記クレンジング組成物は、好適な容器内で所望の成分を合わせ、例えば、機械的に撹拌されるプロペラ、パドルなど、当該技術分野において周知の任意の従来の混合手段において、任意の所望の条件下でこれらを混合することによって、調製することができる。加工は、第1の油相を形成する、第2の油相を形成する、及び水相を形成する別個の工程を含んでいてよく、その後、当該第1の油相、当該第2の油相、及び当該水相を任意の所望の順序で合わせて、最終クレンジング組成物を生成する。あるいは、クレンジング組成物は、第1及び第2の油相を1つの単一油相として形成することによって形成されてもよく、この場合、成分の添加順序は可変であり、次いで、当該単一油相を、別々に形成された水相と組み合わせる。あるいは、クレンジング組成物は、第1の油相、第2の油相、及び水相中の成分を一緒に単一組成物に合わせることによって形成されてもよく、この場合成分の添加順序は可変である。
【0065】
クレンジング組成物は、液体、ゲル、又はクリームの形態で容器内に提供することができ、これによって、ユーザが手、又は布、拭き取り用品、シート、若しくは他の装置によって当該組成物を皮膚に適用することができ、あるいは、当該組成物は、1つの拭き取り用品又は複数のシート若しくは拭き取り用品に埋め込まれるか又は染み込ませてもよく、これによって、シート、拭き取り用品、又はその他の装置で拭くことによって当該組成物を皮膚に適用することができる。
【0066】
当該組成物は、顔に適用されるものであり、望ましくは化粧品材料を除去するために使用されるため、シート又は拭き取り用品に染み込ませ、ユーザにこの形態で提供することが望ましい場合もある。ユーザは、染み込ませた拭き取り用品を好適な気密パッケージから取り出し、これを皮膚に直接適用する。よって、システム又はパッケージには、再封止可能なパッケージ内に複数の拭き取り用品が含まれてよく、この各拭き取り用品は、本発明のクレンジング組成物に染み込ませているか又は他の方法で組成物を含有している。他の態様では、1つの個々の拭き取り用品は、それ自体の気密パッケージ又は容器に収容されてもよく、当該パッケージは、その中に収容されている拭き取り用品の使用後に廃棄されてもよい。この拭き取り用品は、望ましくは使い捨てであり、分解性成分を含み、これにより環境にやさしい健全性をもたらす。拭き取り用品の材料としては、例えば、天然、生分解性、若しくは合成の繊維若しくはフィラメント(例えば、羊毛、絹、黄麻、麻、綿、亜麻、サイザル、又はラミー)、又は合成(例えば、レーヨン、セルロースエステル、ポリビニル誘導体、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド、又はポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。これらの不織布材料は、概して、不織布基材及びその製造方法について、INDA「NONWOVEN FABRICS HANDBOOK」、(1999)に記載されている。有用であり得る1つの特定の基材は、20%レーヨン1.7dtex、40%ポリエステル(PET)1.3dtex、及び40%ポリエステル(PET)1.7dtexの混合物から作製されるエンボススパンレース不織布材料である。基材の坪量は変動し得るが、概して、約20グラム/平方メートル~約500グラム/平方メートル、例えば、約50グラム/平方メートル~約150グラム/平方メートルの範囲である。拭き取り用品の基材は任意の所望のサイズであってよく、いくつかの態様では、長さ約2~10インチ及び幅約2~10インチ、より望ましくは長さ約7~8インチ及び幅約7~8インチを含む任意の所望の領域を有していてよい。他の好適な拭き取り用品の材料としては、欧州特許第1 283 019(B1)号、米国特許第9,622,944号、及び米国特許出願第2016/0367102号に記載されているものが挙げられ、これらのそれぞれの開示全体の全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
いくつかの態様では、組成物は、液体分配ボトル又は容器においてユーザに提供され、この場合、当該ユーザは、組成物を拭き取り用品又は他のアプリケータ装置に適用し、当該ユーザは、組成物が適用されたアプリケータを使用して皮膚をクレンジングする。組成物は、分配ボトル単独で販売されてもよく、又はその中に組成物を有する分配ボトルと、拭き取り用品又はボールなどの複数のアプリケータ装置とがパッケージに含まれているキットで販売されてもよい。
【0068】
本発明は、上記のクレンジング組成物だけでなく、上記のクレンジング組成物を使用する方法も含む。この方法は、本組成物の有効量を皮膚(顔の皮膚及び眼の近くの皮膚を含む)に適用する工程と、この皮膚を本組成物でクレンジングする工程と、を含む。本組成物は、手で、又はアプリケータ(例えばシート、濡らした拭き取り用品、スポンジ、ブラシなど)を使用することによって、皮膚に適用され得る。本組成物は、皮膚が湿潤状態又は乾燥状態のときに適用することができ、また本組成物の適用後に、皮膚から拭き取ることができ、皮膚から洗い流すことができ、又はそのまま乾かすことができる。あらかじめ染み込ませた拭き取り用品を介して本組成物を皮膚に適用し、ユーザによる更なる洗浄又はクリーニングなしに、皮膚をそのまま乾かすことが、特に望ましい。使用済みの拭き取り用品は、ユーザが廃棄することができる。本明細書に記述される本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素、成分、若しくは工程なしに実践することができ、又は、本明細書に明示的に開示されていない追加の要素若しくは工程を含み得る。
【0069】
上述のように、本発明は、ユーザの皮膚表面の様々な化粧料を、効果的かつ効率的にクリーニングするために使用することができる組成物を目的とする。本発明の組成物は、例えば、ファンデーション、口紅、アイシャドー、リップライナー、アイブロー、ペンシル、ポマード、ブラシマスカラ、コンシーラー、ハイライター、及び/又はアイライナーを効率的に除去することができるものとする。更に、本発明の組成物は、シリコーンを全くにではなく含んでいない場合も、シリコーンを実質的に含んでいなくてよい。
【0070】
本発明は、下記の実施例を通じてより良く理解されよう。これらの実施例は例示的性質のものであり、要素の何らかの具体的な組み合わせに限定することを意図するものではない。
【実施例0071】
本明細書に記載のクレンジング組成物及び製品は、皮膚から所望のメークアップ製品を効率的に除去するだけでなく、ユーザに多数の有益な特徴を提供する。このような望ましい特徴としては、例えば、適用された皮膚上に残るべとついた感触が少ない、ぴりぴり感(例えば、眼のぴりぴり感)のレベルが低い又はない、柔らかな/クッションのような感触を有する、残る残留物がより少量である、及び保湿された肌触りを残すことが挙げられる。
【0072】
以下の非限定的な実施例は、本発明の有効性を実証するものである。
【0073】
実施例1-未希釈の皮膚軟化剤スクリーニング試験
各皮膚軟化剤を、未希釈の皮膚軟化剤スクリーニング計器試験プロトコルに従ってインビトロで個別に試験し、以下に詳述する未希釈の皮膚軟化剤スクリーニング相プロトコルを用いてインビボで試験した。未希釈の皮膚軟化剤をスクリーニングして、メークアップ(例えば、ファンデーション、アイライナー、及びマスカラ)の除去の効力、肌触り及びコストに基づいて有効性を判定した。本明細書で使用するとき、用語「未希釈」とは、他の成分が添加されていない皮膚軟化剤のみを含むサンプルを指す。「未希釈の」皮膚軟化剤試験は、以下に記載されるように、拭き取り用品の基材に埋め込まれているか、又は拭き取り用品の基材の上/中に分散している皮膚軟化剤を含み得る。
【0074】
実施例1A-未希釈の皮膚軟化剤スクリーニングインビトロ試験
各皮膚軟化剤をインビトロで試験して、ファンデーション(Revlon ColorStay(商標)Foundation 450 Mocha)、アイライナー(L’Oreal Paris Infallible Never Fail Eyeliner、Black 511)、及びマスカラ(CoverGirl LashBlast Fusion Water Resistant Mascara 885 very back)の除去のクレンジング効力を判定した。
【0075】
以下に記載されるプロトコルに従って、Sheen湿式研磨スクラブ試験機(REF 903/PG)及びX-rite分光光度計(Hunter Labscan XE)、続いて、TukeKramer比色評価(デルタEを測定)を用いて、インビトロ試験を実施した。
1.各皮膚軟化剤サンプルにつき4つのシリコーンストリップを調製した。
2.各メークアップ処方物を、その個々のシリコーンストリップ上の4cm×2cmの矩形領域に適用し(1つのシリコーンストリップ当たり1つのメークアップ処方物)、一晩放置して乾燥させた。
3.400gの重量をSheen湿式研磨スクラブ試験機上に置き、取り付けた材料を拭いた。
4.分光光度計を使用して一晩乾燥させた後のシリコーンストリップの読み取りを行い、ベースライン色レベルを設定した。
5.500マイクロリットルの皮膚軟化剤をシリコーンストリップに適用されたメークアップ上に適用し、指サックを用いて15秒間当該領域に広げた(前後)。
6.500マイクロリットルの皮膚軟化剤を拭き取り用品材料、20%レーヨン1.7dtex、40%ポリエステル(PET)1.3dtex、及び40%ポリエステル(PET)1.7dtexの混合物から作製されたエンボススパンレース不織布材料に適用した(この得られた拭き取り用品を「サンプル基材」と称する)。
7.皮膚軟化剤が埋め込まれたサンプル基材を、所定のパス回数、当該サンプルを擦ることによって、各サンプルについてスクラブ試験を実施した:
a.ファンデーション:5パス
b.アイライナー:3パス
c.マスカラ:30パス
8.分光光度計を使用してスクラブ試験後の各シリコーンストリップの読み取りを行い、得られる色レベルを求めた。第1の分光光度計読み取りと第2の分光光度計読み取りとの間で測定された色の正味の変化を、「ΔE」と称する。
【0076】
実施例1B-未希釈の皮膚軟化剤スクリーニングインビボ試験
ファンデーション(Revlon ColorStay(商標)Foundation 450 Mocha)、アイライナー(L’Oreal Paris Infallible Never Fail Eyeliner、Black 511)、及びマスカラ(CoverGirl LashBlast Fusion Water Resistant Mascara 885 very back)の除去のクレンジング効力について各皮膚軟化剤をインビボでも試験した。
【0077】
インビボでの全般的な試験手順には、以下のように説明することができるプロトコルを用いる:
・ヒト個体の2人のパネルを使用した:P1及びP2
・2人のパネルの手掌側の前腕に1.5”離して1”の円を3つ描いた
・メークアップ処方物(0.001gのファンデーション、0.002gのアイライナー、及び0.015gのマスカラ)を円に適用し、45分間乾燥させた
・拭き取っていない汚れた円の写真を撮影した
・およそ0.015~0.020gの未希釈の皮膚軟化剤を適用し、15秒間エンボス加工されたサンプル基材を前後に拭き取った
・綿パッドで1回拭き取り、拭き取られた円の写真を撮影した
・綿パッドの清潔な領域で2回目の拭き取りを行い、拭き取られた円の第2の写真を撮影した
・パネリストに、上位5サンプルにクレンジング効力について1~5のランクを付けるよう依頼し、ここで、ランク1が、最も有効性の高いクレンジング製品であると見なされ、ランク5が、最も有効性の低いクレンジング製品であると見なされ、上位5つよりも下位についてはランク付けしなかった。
【0078】
上記のインビトロ及びインビボ手順に続いて、いくつかの未希釈の皮膚軟化剤を、そのクレンジング効力について試験した。以下の表1は、このようなインビトロ及びインビボ試験結果の結果を示す。トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル及びイソヘキサデカンの組み合わせは、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルを単一の皮膚軟化剤として評価したときにメークアップ除去に寄与しないと判定されたため、インビボでは試験しなかったことに留意されたい。加えて、ポリマーエステル(CrodaによりModiSurf Liftとして販売)は、ホームケア及び家庭空間がその主要な用途であるため、インビトロでは試験しなかった。エチルヘキサン酸PPG-3ベンジルエーテルは、別の消費者試験において更に試験したが、この組成物についてはそれ以上遺跡試験しなかった。
【0079】
【表1】
【0080】
上記の試験は、イソステアリン酸イソプロピル、イソヘキサデカン、及びイソステアリン酸デシル(脱ブレンドされたイソステアリン酸デシル(及び)イソステアリン酸イソステアリル)が、クレンジング効力において一貫して良好に機能を発揮し、良好な肌触りを呈したことを示した。有望な試験結果に基づいて、これらの3つの皮膚軟化剤を、以下に記載する更なる試験のために、主要な基本的未希釈皮膚軟化剤として選択した。
【0081】
実施例2-未希釈の皮膚軟化剤ブレンド試験
様々な皮膚軟化剤を等価比(活性皮膚軟化剤の重量で1:1:1)でブレンドし、クレンジング効力及び肌触りについて試験した。試験した皮膚軟化剤は、様々なブレンドにおいて、イソステアリン酸イソプロピル(Crodamol(商標)IPISとして販売)、アジピン酸ジイソステアリル(Liquiwax(商標)DISAとして販売)、PPG-3イソステアリルメチルエーテル(Arlamol(商標)LSTとして販売)、エチルヘキサン酸PPG-3ベンジルエーテル(Crodamol(商標)SFXとして販売)、イソステアリン酸デシル(及び)イソステアリン酸イソステアリル(Crodamol(商標)SSAとして販売)、ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテル(Crodamol(商標)STSとして販売)、アジピン酸ジ-PPG-3ミリスチルエーテル(Cromollient(商標)DP3-Aとして販売)、ドデカン二酸ジオクチルドデシル(Liquiwax(商標)DIADDとして販売)を含んでいた。
【0082】
様々な皮膚軟化剤ブレンドをインビトロ及びインビボで試験して、ファンデーション(Revlon ColorStay(商標)Foundation 450 Mocha)、アイライナー(L’Oreal Paris Infallible Never Fail Eyeliner、Black 511)、及びマスカラ(CoverGirl LashBlast Fushion Water Resistant Mascara 885 very black)の除去の効力を判定した。実施したインビボ試験は、上記実施例1に概説した手順に従う。ブレンドの効力の結果を、以下の表2に記載する。
【0083】
【表2】
【0084】
実施したインビボ試験及びインビトロ試験に基づいて、Liquiwax(商標)DISAは、べとつく感触が知覚されたことに加えて、ファンデーション及びパウダーに対するクレンジング効力が低かったことから継続しなかった。Liquiwax(商標)DIADDは、ファンデーションに対する性能面から継続しなかった。Crodamol(商標)STS及びLiquiwax(商標)DIADDは、マスカラに対する性能面から継続しなかった。Cromollient(商標)DP3-Aは、べとつく肌触りの面から継続しなかった。Arlamol(商標)LSTは、マスカラに対する性能面から継続しなかった。
【0085】
Crodamol(商標)IPIS+Crodamol(商標)SSA+Crodamol(商標)SFX(すなわち、イソステアリン酸イソプロピル+イソステアリン酸イソステアリル+エチルヘキサン酸PPG-3ベンジルエーテル)の未希釈の皮膚軟化剤ブレンドを、追加の処方試験のための主要な皮膚軟化剤ブレンドとして選択したが、それは、インビトロ試験において、ファンデーション及びマスカラでそれぞれ14.6及び16.6の正味の変化ΔE値を示し、2回の別個のインビボファンデーション及びマスカラ試験において、3人のパネリストが#1と採点し、下位5に採点したのは1人のパネリストだけであったためである。
【0086】
実施例3:様々な皮膚軟化剤ブレンドを含む組成物
皮膚軟化剤含有組成物のクレンジング効力を判定するために、様々な組成物を調製した。各組成物は、(i)水相、(ii)皮膚軟化剤ブレンドを含有する第1の油相、及び(iii)第2の油相を含んでいた。各組成物を調製し、様々なメークアップ化粧料(ファンデーション(Revlon ColorStay(商標)Foundation 450 Mocha)、アイライナー(L’Oreal Paris Infallible Never Fail Eyeliner、Black 511)、及びマスカラ(CoverGirl LashBlast Fushion Water Resistant Mascara 885 very black)の除去について試験した。
【0087】
試験した処方物を調製し、サンプル基材拭き取り用品に含浸させ、サンプル基材は上記のとおりであった。処方物を、基材拭き取り用品1g当たりローション3.7gで施用した。試験した処方物を以下の表3Aに記載する。
【0088】
【表3】
【0089】
次いで、以下に記載する手順に従って、ヒト被験者の2人のパネルによって拭き取り用品を評価した。
・2人のパネルの手掌側の前腕に1.5”離して3つの1”の円を描いた
・メークアップ処方物(0.001gのファンデーション、0.002gのアイライナー、及び0.015gのマスカラ)を円に適用し、45分間乾燥させた
・各サンプル基材含浸拭き取り用品(実施例1~実施例6)を調製し、被験者に提供した。
・拭き取り用品で領域を3回拭き取り、サンプルを個々に評価するように、パネリストに依頼した。各サンプルは、1のスコアが最良又は最も望ましい拭き取り組成物であり、7のスコアが最も望ましくない拭き取り組成物であると見なされる、1~7のスコアでランク付けされた。
【0090】
【表4】
【0091】
実施例1、2及び4~6は、上記パネルデータに基づいて、最適なクレンジング効力を満たさないと見なされた。実施例3は十分なクレンジング効力を示し、#1とランク付け及び採点されたが、全体要件から、この処方物はそれ以上遺跡試験しなかった。
【0092】
本発明者らはまた、Crodamol(商標)SSAの個々の成分を試験し、Crodamol(商標)SSA中のイソステアリン酸デシルは、メークアップに対するクレンジング効力の有効性が向上していたと判定された。最後に、本明細書に記載の実施例に基づいて、上記の「未希釈」皮膚軟化試験に示したマスカラを除去する能力に基づいて、更なる試験のためにイソヘキサデカンを選択した。
【0093】
実施例4-様々な成分比の組成物
上記の未希釈及び組成物試験の結果に基づいて、更なる組成物を効力について試験した。具体的には、異なる比率の皮膚軟化剤を試験して、メークアップ除去及び/又は他の肌触り基準が成分比によって影響されたかどうかを判定した。以下の表4Aに記載のように、組成物を調製した。表に示される比は、表に記載される3つの皮膚軟化剤の重量比を指す。
【0094】
【表5】
【0095】
各組成物が調製され、(i)水相、(ii)皮膚軟化剤ブレンドを含有する第1の油相、及び(iii)第2の油相を含んでいた。第1の油相は、上記の表4Aに記載のとおり、3つの皮膚軟化剤の組み合わせを含む。
【0096】
以下の表4B及び表4Cは、それぞれ第2の油相及び水相の例示的な成分レベルを示す。第2の油相及び水相の量は、所望の組成に応じて変更し得る。
【0097】
【表6】
【0098】
【表7】
【0099】
表4A、4B、及び4Cに記載の3つの成分相を含む、表4Aに記載の実施例7~14を調製した。試験した処方物を以下の表4Dに記載する。
【0100】
【表8】
【0101】
表4Dに記載の組成物を調製し、インビトロにおけるクレンジング能力について試験した。また、市販のシリコーン含有クレンザー(Neutrogena(商標)Makeup Removing Cleanser Towelettes)に含まれるクレンジング組成物を含む比較サンプルも試験した。各組成物について4回試験が実施された。白色の高密度ポリプロピレン(HDPP)チップに、異なるメークアップサンプル、0.015gのRevlon Colorstay 450 Mochaファンデーション又は0.015gのHydro Boost Waterproof Mascara Blackのいずれかを施用した。メークアップを1インチの円形直径領域に適用した。メークアップを1時間乾燥させた。
【0102】
油相を水相とは別に互いに組み合わせ、各相を室温でブレンドした。水相を均質化するまで混合した。均質化されたら、水相を油相に添加し、得られた組み合わせを一緒に混合した。
【0103】
比較組成物を含む各組成物については、サンプル基材(上記に定義)。布地1グラム当たり3.7gの処方物を添加することによって、7.2×7.4インチと測定された各サンプル基材拭き取り用品を濡らした。濡らした拭き取り用品を、Instron機器(Instr Met Corporation,IM 1122_4585)に取り付けられた50gの重さのスレッド上に置いた。Instron機器の試験設定は、以下のとおりであった:サイクル数:4、50インチ/分、エンドポイント1:6.0、エンドポイント2:0.0、保持時間:3秒。
【0104】
X-Polフィルタを用いて7.3インチの固定距離においてNikonカメラ(AF-Micro NIKKOR 60mm 1:28 GEDレンズを備えるNikon D800)を用いて、画像を撮影した。(i)メークアップを適用する前、(ii)メークアップを適用した後、及び(iii)メークアップを除去した後に画像を撮影した。メークアップを添加した後、及び適用されたメークアップの円の中心からメークアップを除去した後と、ベースラインとの間のLAB値の変化を計算するMatlabを使用して画像を解析した。各チップについてメークアップ除去率を計算し、以下の表5に記載した。比較サンプルは、実施例13と同様に数回実験し、様々な結果を以下に報告していることに留意すべきである。
【0105】
【表9】
【0106】
上記のクレンジング効力試験のためのインビトロ測定に示したように、実施例13は、市販のシリコーン含有クレンザーと統計的に等価又はそれを超えるスコアを有していた。 実施例13が、最も有効なクレンジング系であると判定された。
【0107】
実施例5:更なる組成物の改変
上記実施例13が有望であると見なされ、この処方物に対していくつかの改変を行い、効力について試験し、いくつかの改変の影響を判定した。これらの改変処方物の結果を本明細書に記載する。
【0108】
ヘキシルグリコール及びグリセロール767を除去する改変により、実施例13を調製した。得られた組成物をインビトロで試験し(実施例1に記載の方法を使用して)、メークアップ除去効力を判定した。得られた組成物は、メークアップ除去効力が低下したと判定された。
【0109】
Glycerox767を組成物の3重量%のレベルまで増加させる改変により、実施例13を調製した。この改変は、ファンデーションに対するメークアップ除去効力を増加させることが見出されたが、べとついた肌触り及びクレンジング組成物の全体的なコストが増大することが見出された。
【0110】
Tween 20を0.25%の濃度で添加する改変により、実施例13を調製した。この成分の添加によって処方安定性が増大したことが見出された。
【0111】
(実施例13に記載の皮膚軟化剤の比をなお維持しながら)、皮膚軟化剤の総量が3.5%のレベルに低下する改変により、実施例13を調製した。このより低いレベルの皮膚軟化剤全体では、得られた改変クレンジング組成物は、試験した全ての3つのメークアップのメークアップ除去に対する効力を維持したことが見出された。
【0112】
2%のレベルのジメチコン/トリシロキサンを添加する改変により、実施例13を調製した。得られた改変組成物では、肌触りが改善され、マスカラの除去効力が増大したことが見出された。
【0113】
ジメチコンを0.5%のレベルで添加する改変により、実施例13を調製した。得られた組成物では、組成物の肌触りが改善されたことが見出された。
【0114】
実施例6:乳化剤
様々な乳化剤を処方物、具体的には実施例13で試験した。以下の表6に記載の様々な乳化剤を用いて、実施例13を調製した。得られた処方物を、上記実施例4に記載のインビトロ法及び上記実施例1に記載のインビボ法を使用して、安定性、並びにインビトロ及び/又はインビボにおけるメークアップ除去について試験した。
【0115】
【表10】
【0116】
乳化剤1A及び1Bは、処方安定性に合格し、強力なメークアップ除去を与えるとともに、肌触りの評価に合格したことが見出された。乳化剤2は、処方安定性には合格したが、乳化剤1よりもメークアップ除去が弱く、乳化剤1と比べ最も望ましくない肌触りを有することが見出された。乳化剤3は、処方物がゆっくりと分離したので、安定性を示さなかった。乳化剤3は、強力な肌触りを提供したが、メークアップ除去は乳化剤1よりも有意に悪かった。乳化剤4は、急速に分離したので、安定性が不合格であった。乳化剤5は、一晩で分離したので、安定性が不合格であった。乳化剤6は、急速に分離したので、安定性が不合格であった。乳化剤7は、安定性に合格し、得られた処方物が最も安定であると見なされた。乳化剤7はまた、肌触り試験にも合格したが、乳化剤1よりもメークアップ除去が有意に悪かった。乳化剤8は、急速に分離したので、安定性が不合格であった。しかしながら、乳化剤8は肌触り試験には合格したが、メークアップ除去において乳化剤1ほど有効ではなかった。乳化剤9は、一晩で分離したので、安定性が不合格であった。乳化剤9は、肌触りについて試験したところ、合格したが、安定性の欠如により、乳化剤9は、メークアップ除去については試験しなかった。
【0117】
〔実施の態様〕
(1) 基材に埋め込まれた流体組成物を含むクレンジング組成物であって、
a.前記流体組成物が、
i.第1のステアリン酸エステル、第2のステアリン酸エステル、及び分岐炭化水素を含むクレンジングブレンドであって、前記第1のステアリン酸エステルと前記第2のステアリン酸エステルとが互いに異なる、クレンジングブレンドと、
ii.スクロース脂肪酸エステルのブレンドと、
iii.水と、
iv.カルボマーインターポリマー増粘剤と、
を含み、
b.前記基材が、不織布拭き取り用品を含む、クレンジング組成物。
(2) 前記第1のステアリン酸エステル、前記第2のステアリン酸エステル、及び前記分岐炭化水素が、約2:2:1の重量比で存在する、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(3) 前記第1のステアリン酸エステルが、イソステアレートを含む、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(4) 前記第1のステアリン酸エステルが、イソステアリン酸イソプロピルを含む、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(5) 前記第2のステアリン酸エステルが、イソステアリン酸デシルを含む、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
【0118】
(6) 前記第2のステアリン酸エステルが、高度一分岐イソステアリン酸デシルを含む、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(7) 前記分岐炭化水素が、イソヘキサデカンを含む、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(8) 前記第1のステアリン酸エステルが、前記流体組成物の約1.0重量%~約3.0重量%の量で存在し、前記第2のステアリン酸エステルが、前記流体組成物の約1.0重量%~約3.0重量%の量で存在し、前記分岐炭化水素が、前記流体組成物の約0.5重量%~約1.5重量%の量で存在する、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(9) 前記カルボマーインターポリマー増粘剤が、アクリレート/C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマーを含む、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(10) 前記増粘剤が、前記流体組成物の約0.12重量%~約0.18重量%の量で存在する、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
【0119】
(11) 前記スクロース脂肪酸エステルのブレンドが、前記流体組成物の約0.5重量%~約1.25重量%の合計量で存在する、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(12) 前記スクロース脂肪酸エステルのブレンドが、前記流体組成物の約0.5重量%~約1.25重量%の合計量で存在する、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(13) 前記スクロース脂肪酸エステルのブレンドが、ヤシ脂肪酸スクロースである、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(14) 前記流体組成物が、グリコールを更に含む、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(15) 前記グリコールが、ヘキシレングリコールである、実施態様14に記載のクレンジング組成物。
【0120】
(16) 前記グリコールが、前記流体組成物の約1.0重量%~約2.0重量%の量で存在する、実施態様14に記載のクレンジング組成物。
(17) 前記流体組成物が、乳化剤を更に含む、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(18) 前記乳化剤が、前記流体組成物の約0.75重量%~約2.5重量%の量で存在する、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(19) 前記乳化剤が、PEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む、実施態様1に記載のクレンジング組成物。
(20) 基材に埋め込まれた流体組成物を含むクレンジング組成物であって、
a.前記流体組成物が、
i.前記流体組成物の約1.0重量%~約3.0重量%の量で存在する第1のステアリン酸エステル、前記流体組成物の約1.0重量%~約3.0重量%の量で存在する第2のステアリン酸エステル、及び前記流体組成物の約0.5重量%~約1.5重量%の量で存在する分岐炭化水素を含むクレンジングブレンドであって、前記第1のステアリン酸エステルと前記第2のステアリン酸エステルとが互いに異なる、クレンジングブレンドと、
ii.スクロース脂肪酸エステルのブレンドと、
iii.水と、
iv.カルボマーインターポリマー増粘剤と、
を含み、
b.前記基材が、不織布拭き取り用品を含む、クレンジング組成物。
【0121】
(21) ユーザの皮膚から化粧品を除去する方法であって、
a.前記皮膚の表面と、基材に埋め込まれた流体組成物を含むクレンジング組成物とを接触させる工程であって、
i.前記流体組成物が、
1.第1のステアリン酸エステル、第2のステアリン酸エステル、及び分岐炭化水素を含むクレンジングブレンドであって、前記第1のステアリン酸エステルと前記第2のステアリン酸エステルとが互いに異なる、クレンジングブレンドと、
2.スクロース脂肪酸エステルのブレンドと、
3.水と、
4.カルボマーインターポリマー増粘剤と、
を含み、
ii.前記基材が、不織布拭き取り用品を含む、工程と、
b.前記皮膚の表面を前記基材で擦って、前記皮膚の表面から前記化粧品を除去する工程と、を含む、方法。
(22) 前記化粧品が、マスカラ、ファンデーション、アイライナー、及び口紅からなる群から選択される、実施態様21に記載の方法。
【外国語明細書】