(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125882
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】マウスピース用アタッチメント及びマウスピースシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/01 20060101AFI20240911BHJP
A61B 1/24 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
A61B1/01 514
A61B1/24
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034001
(22)【出願日】2023-03-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】523081683
【氏名又は名称】玉城 厚
(74)【代理人】
【識別番号】110003122
【氏名又は名称】弁理士法人タナベ・パートナーズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉城 厚
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA08
4C161AA13
4C161GG23
(57)【要約】
【課題】既存のマウスピースと組み合わせて使用できる内視鏡マウスピース用アタッチメントを提供する。
【解決手段】マウスピース1に取り付けられるマウスピース用アタッチメント2である。マウスピース用アタッチメント2は、内視鏡用のマウスピース1に背面側から挿入されるノズル3と、マウスピース1に正面側から挿入されるストッパ4と、を備えており、マウスピース1の開口部の内面とストッパ4の外面の間に、ノズル3の端部を挟み込むことによって、ノズル3がマウスピース1に押圧されて固定されるようになっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡用のマウスピースに背面側から挿入されるノズルと、
前記マウスピースに正面側から挿入されるストッパと、を備え、
前記マウスピースの開口部の内面と前記ストッパの外面の間に、前記ノズルの端部を挟み込むことによって、前記ノズルが前記マウスピースに押圧されて固定されるようになっている、マウスピース用アタッチメント。
【請求項2】
前記ノズルの正面側の端部には、切欠き部が設けられている、請求項1に記載された、マウスピース用アタッチメント。
【請求項3】
前記ストッパは、前記マウスピースの開口部の上下の幅と略同一の外径を有する筒部と、前記筒部の一端を拡径したツバ部と、から構成されている、請求項2に記載された、マウスピース用アタッチメント。
【請求項4】
前記ノズルは、蛇腹状に形成されたフレキシブルパイプである、請求項3に記載された、マウスピース用アタッチメント。
【請求項5】
前記ノズルの長さは、装着された状態において、少なくとも舌根を超える長さに形成されている、請求項4に記載された、マウスピース用アタッチメント。
【請求項6】
内視鏡用のマウスピースと、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載されたマウスピース用アタッチメントと、を備え、
前記マウスピースの開口部の内面と前記ストッパの外面の間に、前記ノズルの端部を挟み込むことによって、前記ノズルが前記マウスピースに押圧されて固定されるようになっている、マウスピースシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口内視鏡において内視鏡を挿入する際に使用される、マウスピース用アタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、経口内視鏡の分野において、内視鏡プローブを口内に挿入する際に、患者が口を閉じないようにマウスピースを噛ませた状態でマウスピースの孔部に内視鏡を挿入し、喉頭蓋を経由させて食道へと誘導するようにされている(特許文献1参照)。
【0003】
内視鏡プローブを挿入する際に、舌根に内視鏡が触れると患者は反射的に嗚咽する、という問題がある。この鳴咽をさせないために、舌根部まで挿入される長さのマウスピースが存在している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-194174号公報
【特許文献2】実願昭60-178907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のマウスピースを含む従来型のマウスピースは、全体が単一の部品によって構成されるものであり、既存のマウスピースと組合わせて使用できるものではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、既存のマウスピースと組み合わせて使用できる、内視鏡マウスピース用アタッチメントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の内視鏡マウスピース用アタッチメントは、マウスピースに喉頭蓋側から挿入される、内視鏡ガイド用のノズルと、前記マウスピースに唇側から挿入されるストッパと、を備え、前記ストッパが前記ノズルの唇側の端部を押し広げることで、前記ノズルが前記マウスピースに押圧されて固定されるようになっている。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明の内視鏡マウスピース用アタッチメントは、マウスピースに喉頭蓋側から挿入される、内視鏡ガイド用のノズルと、マウスピースに唇側から挿入されるストッパと、を備え、ストッパがノズルの唇側の端部を押し広げることで、ノズルがマウスピースに押圧されて固定されるようになっている。このような構成であれば、舌根を押さえて、内視鏡を喉頭蓋まで誘導できるので、内視鏡の操作になれていない医師であっても、患者の鳴咽なく内視鏡を喉頭蓋まで誘導できる。そして、既存のマウスピースと組み合わせて使用できる、マウスピース用アタッチメントとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例の内視鏡マウスピースの全体構成を説明する斜視図である。
【
図2】実施例の内視鏡マウスピースの構成を分解して説明する分解斜視図である。
【
図3】実施例の内視鏡マウスピースの嵌合箇所を拡大した断面図である。
【
図4】実施例の内視鏡マウスピースの使用状態の説明図である。
【
図5】変形例の内視鏡マウスピースの全体構成を説明する斜視図である。
【
図6】変形例の内視鏡マウスピースのノズルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例0011】
(構成)
マウスピースシステムSは、内視鏡(ES)(胃カメラ)をガイドして、操作しやすくするとともに、患者の負担を減らすためのものである。図示しないが、一般に内視鏡(ES)は、接続部、操作部、挿入部(湾曲部)、先端部から構成されるものであり、先端部にセンサや対物レンズが配置されている。
【0012】
そして、本実施例のマウスピースシステムSを使用することで、内視鏡を使用する際の反射反応を抑制することができる。つまり、マウスピースシステムSは、内視鏡が舌根へ接触するのを防止し、嘔吐反射を抑制するようになっている。具体的に言うと、このマウスピースシステムSは、マウスピース1と、マウスピース1に取り付けられるマウスピース用アタッチメント2と、から構成される。
【0013】
このうち、マウスピース1は、横長の楕円形の開口部1aを有し、全体として筒状に形成されるものである。より具体的に言うと、マウスピース1は、正面向きに開いたアサガオ形状(縦長)の正面部10と、背面向きに開いたアサガオ形状(横長)の背面部12と、正面部10と背面部12の途中に形成された括れ部11と、を備えている。
【0014】
使用の際は、括れ部11を上下の歯で噛むような位置に配置することで、マウスピース1(及びマウスピースシステムS)が固定される。後述するように、マウスピース1には、正面部10から背面部12の方向にストッパ4が挿入され、背面部12から正面部10に向かってノズル3が挿入される。
【0015】
すなわち、本実施例のマウスピース用アタッチメント2は、ノズル3と、ストッパ4と、から構成される。なお、本実施例のマウスピース用アタッチメント2は、汎用タイプのマウスピース1に装着できる(例えば、オリンパス株式会社製の内視鏡や富士フイルム株式会社製の内視鏡に付属するマウスピースに適用可能となっている)。なお、マウスピース1は、洗浄・消毒されて何度も再利用される。
【0016】
ノズル3は、蛇腹状に形成されており、所定の柔軟性を有するフレキシブルパイプである。ノズル3の円筒形状の本体部30の一方の端部には、直径方向に対峙する2か所の切欠き部3a、3aが設けられており、直径方向に対峙する残った部分が2つの凸片31、31となっている。前述したように、この凸片31、31がマウスピース1に挿入されて、内側からストッパ4に押し広げられてマウスピース1に固定される。さらに、ノズル3外周の蛇腹状の溝は、唾液の案内溝として機能し、唾液を舌下に集約させる。
【0017】
なお、ノズル3は少なくとも、長いもの、と、短いもの、の2種類を準備することが好ましい。ノズル3の長さは、少なくとも舌根を超える長さにされ、舌根を押さえつけられれば足りる。ただし、よりしっかり内視鏡を誘導したいときは、
図5、
図6を用いて後述するように、ノズル3は喉頭蓋まで達する長さのものを使用することができる。なお、口から喉の長さは個人差があるうえ、一般に男性のほうが長く女性の方が短いので、個人に応じて選択してもよい。
【0018】
ストッパ4は、マウスピース1の開口部1aの上下の幅と略同一の外径を有する筒部41と、筒部41の一端を拡径した、中央に筒部41に通じる円孔42aを有するツバ部42と、から構成されている。筒部41は、マウスピース1に正面部10から挿入された状態で、背面部12から所定の突出長さを有する程度の長さとされることが好ましい。
【0019】
また、ツバ部42は、角丸の長方形(つまり、一方の辺が長い)とされており、マウスピース1の開口部1aの形状に適合することで位置がずれにくくなっている。すなわち、ツバ部42は、マウスピース1の開口部1aより大きくされているため、開口部1aを通過することはないが、アサガオ形状の正面部10の傾斜部において、ちょうど嵌合する位置で停止(掛止)されるようになっている。
【0020】
そして、このマウスピース用アタッチメント2を、マウスピース1に装着する際には、
図3に示すように、マウスピース1の開口部1aの、正面部10に正面側からストッパ4を通しておき、背面部12に背面側からノズル3の左右の凸片31、31を挿し込む。
【0021】
そうすると、左右の凸片31、31は、マウスピース1の開口部1aの内面と、ストッパ4の筒部41の外面と、によって挟み込まれる。この際には、
図3に示すように、凸片31、31は、背面部12の傾斜に沿って内側に湾曲し、かつ、表面の蛇腹状の凹凸が潰されることによって、抜けにくく、しっかり固定されるようになっている。
【0022】
(使用状態)
次に、
図4を用いて、本実施例のマウスピースシステムSの使用状態について説明する。使用状態、すなわち患者がマウスピースを噛んだ装着状態では、
図4に示すように、ノズル3上部が患者の舌を下方に押し付けて内視鏡ESが舌根に接触することによる嘔吐反射を防止し、また、ノズル3下部は口蓋上壁に沿うことから患者が噛んだ状態のマウスピースと口蓋上壁とでマウスピースシステムSを支持してマウスピースシステムSが口腔内に確実に固定された状態となる。このような、マウスピースシステムSによって、内視鏡ESは、舌根を回避するように案内される。
【0023】
具体的に言うと、マウスピースシステムSの入口部分では、内視鏡ESの先端部は、ストッパ4の円滑な内面を通じて、スムーズに挿入される。その後、内視鏡ESの先端部は、さらにノズル3によっても案内されることで、ノズル3自体の剛性もあるため、舌根と接触しないようになっている。この場合、内視鏡ESを所定の長さだけ案内すればよいのであるから、ノズル3の長さは、必ずしも舌根を超える必要はない(超えてもよい)。
【0024】
(変形例)
次に、
図5、
図6を用いて、変形例のマウスピースシステムSについて説明する。この変形例のマウスピースシステムSは、実施例のマウスピースシステムSと比べて、ノズル3Aの全長が長く形成されている点で、実施例と異なっている。
【0025】
具体的に言うと、この変形例のノズル3Aの長さは、舌根を超えて、さらに喉頭蓋の近傍にまで達する程度の長さ(中咽頭まで達する程度の長さであるが、食道入口部までは達しない長さ)にされている。さらに、ノズル3Aは湾曲されているため、
図6の装着状態に示すように、内視鏡ESの先端部は、それ自体の剛性もあり、喉頭蓋を超えて食道入口部から食道へ、スムーズに挿入されるようになっている。
【0026】
(作用・効果)
次に、本実施例のマウスピース用アタッチメント2、及びマウスピースシステムSの奏する作用・効果を列挙しながら説明する。
【0027】
(1)上述してきたように、本実施例のマウスピース用アタッチメント2は、内視鏡ES用のマウスピース1に背面側から挿入されるノズル3と、マウスピース1に正面側から挿入されるストッパ4と、を備え、マウスピース1の開口部1aの内面とストッパ4の外面の間に、ノズル3の端部を挟み込むことによって、ノズル3がマウスピース1に押圧されて固定されるようになっている。このような構成であれば、舌根を押さえて、内視鏡ESを喉頭蓋まで誘導できるので、内視鏡ESの操作になれていない医師であっても、内視鏡ESが舌根に接触することによる嘔吐反射を防止し、患者の鳴咽なく内視鏡ESを喉頭蓋まで誘導できる。そして、既存のマウスピース1と組み合わせて使用できる、マウスピース用アタッチメント2となる。
【0028】
(2)さらに、ノズル3下部は口蓋上壁に沿うことから患者が噛んだ状態のマウスピースと口蓋上壁とでマウスピースシステムSを支持してマウスピースシステムSが口腔内に確実に固定され、内視鏡ESを安定した状態で咽頭蓋まで案内することができる。
【0029】
(3)また、ノズル3の正面側の端部には、切欠き部3aが設けられているため、残された部分(31、31)が適度に変形することができるようになり、ストッパ4によってマウスピース1に挟み込みやすくなる。特に、実施例では、2つの切欠き部3a、3aが設けられ、残された部分が直径方向に対峙する左右2つの凸片31、31となっており、マウスピース1の横長の開口部1aに嵌合しやすくなっている。
【0030】
(4)さらに、ストッパ4は、マウスピース1の開口部1aの上下の幅と略同一の外径を有する筒部41と、筒部41の一端を拡径したツバ部42と、から構成されているため、マウスピース1の正面部10に正面側から挿入した際に、背面側に抜け落ちてしまうことがなく、ノズル3を固定しやすい。加えて、ストッパ4の内面は平滑な円周面であるため、内視鏡ESの導入部において口腔内へスムーズに挿入することができる。
【0031】
(5)また、ノズル3は、蛇腹状に形成されたフレキシブルパイプであるため、装着された状態で下方に湾曲させることができ、内面に沿って内視鏡ESの挿入部(湾曲部)を案内しやすくなっている。
【0032】
(6)さらに、ノズル3の長さは、装着された状態において、少なくとも舌根を超える長さに形成されているため、内視鏡ESの挿入部(湾曲部)が咽頭部を通過する際に、舌根部との接触を回避して、被験者に嘔吐感を与えることがない。
【0033】
(7)また、マウスピースシステムSは、内視鏡ES用のマウスピース1と、上述したいずれかのマウスピース用アタッチメント2と、から構成され、マウスピース1の開口部1aの内面とストッパ4の外面の間に、ノズル3の端部の凸片31、31を挟み込むことによって、ノズル3がマウスピース1に押圧されて固定されるようになっている。したがって、マウスピースシステムSを用いれば、舌根を押さえて、内視鏡ESを喉頭蓋まで誘導できるので、内視鏡ESの操作になれていない医師であっても、患者の鳴咽なく内視鏡ESを喉頭蓋まで誘導できる。
【0034】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。