(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125884
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】アオリ水平維持具
(51)【国際特許分類】
B62D 33/027 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
B62D33/027 P
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034003
(22)【出願日】2023-03-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】596116189
【氏名又は名称】株式会社カムサー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】100187997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】植野 弘志
(57)【要約】
【課題】本発明は、コスト高を抑えるとともに容易かつ簡便に用いることのできるアオリ水平維持具を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明の一態様に係るアオリ水平維持具は、運搬車両のアオリの水平状態を維持するアオリ水平維持具であって、水平状態のアオリを下方から支持すべく水平状態のアオリの下面に接する当接面を有する受け部、及び前記受け部から下方に伸び地面に接地するように前記受け部に取付けられる脚部を備え、前記脚部が、上下方向の長さを変更できる高さ調節機構を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬車両のアオリの水平状態を維持するアオリ水平維持具であって、
水平状態のアオリを下方から支持すべく水平状態のアオリの下面に接する当接面を有する受け部、及び
前記受け部から下方に伸び地面に接地するように前記受け部に取付けられる脚部
を備え、
前記脚部が、上下方向の長さを変更できる高さ調節機構を有するアオリ水平維持具。
【請求項2】
前記脚部が、前記高さ調節機構として、断面略C状又は筒状に設けられた第一部材と、この第一部材にスライド可能に挿入される棒状の第二部材とを有する請求項1に記載のアオリ水平維持具。
【請求項3】
前記第一部材が断面略C字状であり、対向する一対の開口縁を有し、
この一対の開口縁を締め付けることで前記第二部材が前記第一部材に固定される無段階の前記高さ調節機構が構成されている請求項2に記載のアオリ水平維持具。
【請求項4】
ピンが挿入可能な一又は複数のピン穴が前記第一部材及び第二部材に形成され、ピンを挿入する前記ピン穴の選択によって多段階の前記高さ調節機構が構成されている請求項2に記載のアオリ水平維持具。
【請求項5】
前記脚部が、下端にアジャスターボルトを有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアオリ水平維持具。
【請求項6】
前記脚部が、地面に対する接地面の角度が追従する角度追従機構を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載のアオリ水平維持具。
【請求項7】
前記受け部が、前記当接面から立設され水平状態のアオリの側端面と対向する当たり面をさらに有する請求項1から請求項4のいずれかに記載のアオリ水平維持具。
【請求項8】
正面視において前記受け部の当接面の幅が前記脚部の幅よりも大きい請求項1から請求項4のいずれかに記載のアオリ水平維持具。
【請求項9】
前記脚部の上方に、上部柱部材を取り付け可能な構造を備える請求項1から請求項4のいずれかに記載のアオリ水平維持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アオリ水平維持具に関する。
【背景技術】
【0002】
アオリの水平状態を保持する装置としては、例えばトラックに設けられているものが知られている(例えば特許第5692833号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記公報のようにトラックに取付けられる装置は、構造が複雑であり、またトラックに取付ける作業が煩雑であり、高価である。
【0005】
なお、最近、複数の農家が日時を決めて集合し、野菜や果物などの農作物の直販を行う通称軽トラ市と呼ばれるものが多数開催されている。この軽トラ市において、各農家は、例えば陳列面積を広げるためにトラックの側方に陳列台等を設置したり等の工夫を行っている。ここで、トラックのアオリを陳列台として利用するなど、水平状態のアオリを多目的に利用できれば、利用者(農家)にとって利便性が高い。また、アオリを陳列台として利用する場合以外にも、作業台として利用したり、荷台の積み下ろし作業の際の荷物の仮置き台として利用したり、作業者が荷台に乗って積み下ろし作業を行う作業ステージとして利用したり、水平状態のアオリを多目的に利用できる。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、コスト高を抑えるとともに容易かつ簡便に用いることのできるアオリ水平維持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るアオリ水平維持具は、
運搬車両のアオリの水平状態を維持するアオリ水平維持具であって、
水平状態のアオリを下方から支持すべく水平状態のアオリの下面に接する当接面を有する受け部、及び
前記受け部から下方に伸び地面に接地するように前記受け部に取付けられる脚部
を備え、
前記脚部が、上下方向の長さを変更できる高さ調節機構を有する。
【0008】
当該アオリ水平維持具は、水平状態のアオリを前記受け部によって支持し、この受け部から地面に接地するように前記受け部に取り付けられる脚部によってアオリを支持する前記受け部を支持することができる。さらに、当該アオリ支持具は、前記脚部が高さ調節機構を有するので、荷台の高さが変更するなどの種々の状況において脚部の高さ調節を行うことで確実に前記受け部によってアオリの水平状態を維持できる。なお、本発明において「水平」とは、完全な水平(重力方向に対して垂直)のみならず、例えば、アオリを載置台として利用するに適した角度などを含む概念である。
【0009】
当該アオリ水平維持具は、前記脚部が、前記高さ調節機構として、断面略C状又は筒状に設けられた第一部材と、この第一部材にスライド可能に挿入される棒状の第二部材とを有するとよい。これにより前記第一部材と第二部材との相対的上下位置を変更することで、前記脚部の高さ調節を行うことができる。
【0010】
前記第一部材が断面略C字状であり、対向する一対の開口縁を有し、この一対の開口縁を締め付けることで前記第二部材が前記第一部材に固定される無段階の前記高さ調節機構が構成されているとよい。これにより、断面略C字状の前記第一部材の対向する一対の開口縁を締め付けることで前記第二部材を前記第一部材に固定でき、無段階で前記脚部の高さを調節することができる。
【0011】
ピンが挿入可能な一又は複数のピン穴が前記第一部材及び第二部材に形成され、ピンを挿入する前記ピン穴の選択によって多段階の前記高さ調節機構が構成されているとよい。これにより、比較的簡易な構成とすることができ、また簡便な操作で前記脚部を伸縮できる。なお、当該構成を採用する場合にあたっては、例えば前記第一部材に複数のピン穴を形成し、前記第二部材に一つのピン穴を形成する構成を採用することができる。
【0012】
前記脚部が、下端にアジャスターボルトを有するとよい。これにより、前記アジャスターボルトを調節することで、無段階で前記脚部の高さを調節することができ、また、微少な高さ調節を行いやすく、荷台高さの変更等、高さ調節の必要に応じて、適宜高さ調節に対応しやすい。特に、例えば、アオリ上に荷物がある場合等、人力で持ち上げることが困難な場合、ネジのジャッキアップ・ジャッキダウン機能で、容易に高さ調整ができる。
【0013】
前記脚部が、地面に対する接地面の角度が追従する角度追従機構を有するとよい。地面が傾斜している等、前記脚部の接地面と地面とが傾斜している場合であっても、前記角度追従機構によって的確に接地面と地面との傾斜を吸収でき、安定して脚部を接地できる。
【0014】
前記受け部が、前記当接面とともに、前記当接面から立設され水平状態のアオリの側端面と対向する当たり面を有するとよい。これにより、前記当接面によってアオリを的確に支持でき、また、例えばトラックの横揺れなどの際に前記当たり面がアオリと当接することでアオリの前記受け部からの不用意な離脱を抑制できる。
【0015】
正面視において前記受け部の当接面の幅が前記脚部の幅よりも大きいとよい。これにより、前記受け部の当接面によって、幅広くアオリを支持することができ、アオリを的確に支持することができる
【0016】
前記脚部の上方に、上部柱部材を取り付け可能な構造を備えるとよい。これにより、当該アオリ水平維持具の上方に上部柱部材を取り付けることができ、この上方柱部材によって日よけ等の傘の設置、旗などの設置等に利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様に係るアオリ水平維持具は、比較的簡易な構成からなるので、コスト高を抑えるとともに容易かつ簡便に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態のアオリ水平維持具を示す模式的側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のアオリ水平維持具の上部の模式的側面図である。
【
図3】
図3は、
図1のアオリ水平維持具の上部を模式的に示す正面図である。
【
図4】
図4は、
図1のアオリ水平維持具の下部を模式的に示す側面図である。
【
図5】
図5は、
図1のアオリ水平維持具の第一部材の模試的平面図である。
【
図6】
図6は、
図1のアオリ水平維持具の下部の模式的側面図である。
【
図7】
図7は、
図6のアオリ水平維持具の下部の模式的正面図である。
【
図8】
図8は、
図6のアオリ水平維持具の下部側面模式的断面図である。
【
図9】
図9は、他の実施形態のアオリ水平維持具の上部を模式的に示す側面図である。
【
図11】
図11は、他の実施形態のアオリ水平維持具を模式的に示す側面図である。
【
図13】
図13は、他の実施形態のアオリ水平維持具を模式的に示す側面図である。
【
図14】
図14は、他の実施形態のあおり水平維持具を示す模式的側面図である。
【
図15】
図15は、他の実施形態のアオリ水平維持具の第一部材を模式的に示す平面図である。
【
図16】
図16は、他の実施形態の下部のアオリ水平維持具の説明図である。
【
図17】
図17は、他の実施形態の下部を示すアオリ水平維持具の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0020】
図1乃至
図8に示すアオリ水平維持具1は、車道、圃場などにおいて、運搬車両(特に軽トラック、小型トラックなど)のアオリXの水平状態を維持するために用いられる。当該アオリ水平維持具1は、水平状態のアオリXを下方から支持する受け部10と、前記受け部10から下方に伸び地面に接地するように前記受け部10に取付けられる脚部30とを備えている。前記脚部30は、前記受け部10から鉛直下方に伸び、前述のように地面に接地するように設けられている。なお、「鉛直」とは、地面に対して90°を含むとともに、設置状況等に鑑みて、地面に対して略90°(例えば80°、85°)で前記受け部10を支えることができる角度であればよい。
【0021】
<受け部>
前記受け部10は、水平状態のアオリXを下方から支持すべく水平状態のアオリXの下面に接する当接面11aと、前記当接面11aから立設され水平状態のアオリXの側端面と対向する当たり面13aを有する。具体的には、前記受け部10は、前記当接面11aを上面に有する底板11と、前記当たり面13aをアオリX側に有する側板13とを有するL字状部材から構成されている(
図1及び
図2参照)。
【0022】
図3に示すように、正面視において、前記受け部10の当接面11aの幅は、前記脚部30の幅よりも大きい。さらに言及すると、前記当接面11aの左右両端(
図3の左右端)は、脚部30よりも外側に設けられており、当該アオリ水平維持具1は、上方が正面視略T字状に設けられている。これにより、前記受け部の当接面によって、幅広くアオリXを支持することができ、アオリXを的確に支持することができる。また、このように、前記受け部10の当接面11aの幅が前記脚部30の幅よりも大きいことで、当該アオリ水平維持具1の前後方向の転倒防止力が強化されるとともに、安定してアオリXを支持できるため、例えば複数の当該アオリ水平維持具1をアオリXに装着する際に一人でも容易に装着作業を行うことができる。さらに、アオリXをさらに固定するために、前記受け部10の底板11を利用してシャコ万力によってアオリXに固定することが低コストで簡便であり、この底板11が幅広であることで前記シャコ万力による固定が容易となる。
【0023】
<脚部>
前記脚部30は、上下方向の長さ(高さ)を変更できる高さ調節機構を有している。この脚部30は、前記高さ調節機構として、断面略C状に設けられた第一部材31(
図5参照)と、この第一部材31にスライド可能に挿入される棒状の第二部材50とを有する(
図1及び
図4参照)。なお、本実施形態において、前記第一部材31が前記受け部10に固定されている(前記第一部材31が前記受け部10の側板に溶接され固定されている(
図1及び
図2参照))。そして、第二部材50は、第一部材31よりも細い棒状部材からなり、第一部材31の下方から第一部材31にスライド可能に挿入されている。
【0024】
前記第一部材31には、
図5に示すように、第二部材50をガイドするための一対のガイド突起31aが対向する位置に、第一部材31の長手方向に沿って形成されている。この一対のガイド突起31aに沿って前記第二部材50が容易かつ確実にスライド可能に設けられている。
【0025】
前記脚部30は、第一部材31と第二部材50との相対的上下位置(スライド)を固定する手段を有する。このスライドの固定の手段として、
図1、
図4及び
図5に示すように、断面略C字状の前記第一部材31の一対の開口縁(前記ガイド突起31aよりも開口側)において穿孔33が形成されている。前記脚部30は、この一対の穿孔33にボルト及びナットを装着し、この一対の開口縁を締め付けることで前記第二部材50が前記第一部材31に固定される無段階の前記高さ調節機構が構成されている。
【0026】
前記脚部30は、
図1、
図4、
図6~
図8に示すように、角度追従機構を有している。この角度追従機構40は、地面に対する接地面の角度を調節する機構であり、本実施形態においては、この角度追従機構40としてユニバーザルジョイント機構を採用している。具体的には、前記角度追従機構40は、
図6~
図8に示すように、下面が接地面となる接地部材41、第二部材50の下方に設けられたフランジ部51、前記接地部材41とフランジ部51とを回動可能に連結する回動軸43とを有する。前記接地部材41は、前記接地面を有する板状部41aと、この板状部41aの中央から上方に突出する柱部41bとを有する。前記フランジ部51は、前記柱部41bを囲むように形成されたフランジ51aを有する。前記柱部41b及びフランジ部51には、対応する位置に穿孔41c,51bが形成されており、この穿孔41c,51bに前記回動軸43(ボルト及びナット)が装着されることで、前記回動軸43の周方向への回動が可能となる。また、前記接地部材41の柱部41bの穿孔41cが一対の開口にかけて中央よりもそれぞれ径が広くなっており(
図8参照)、これにより前記回動軸43の周方向と異なる方向への回動が可能となり、これにより前記ユニバーサルジョイント機構が得られている。なお、この柱部41bの穿孔41cの径(の中央部の径)は、前記軸部(ボルト)の径よりも大きく設けられている。
【0027】
<利点>
当該アオリ水平維持具1は、水平状態のアオリXを前記受け部10によって支持し、この受け部10から地面に接地するように前記受け部10取り付けられる脚部30によってアオリXを支持する前記受け部10を支持することができる。また、当該アオリ水平維持具1は、受け部10と脚部30との比較的簡単な構成からなるので、不使用時における運搬作業も容易であり(荷台の隅に載置して運搬可能であり)、取り扱いが容易である。このため、例えば軽トラ市などにおいてアオリXを陳列棚として容易かつ確実に利用することができる。さらには、アオリXを作業台として任意の場所で簡単に安定したスペースとして利用できる。また、荷物の積み下ろし作業時に荷物の仮置きスペースとして利用できる。さらに、荷台上で作業する者の最適位置を提供する踊り場として利用できる。
【0028】
さらに、当該アオリ水平維持具は、前記脚部30が高さ調節機構を有するので、アオリXの支持(維持)の高さが変更するなどの種々の状況において脚部30の高さ調節を行うことで確実に前記受け部10によってアオリXの水平状態を維持できる。このため、例えば軽トラ市などにおいてアオリXを陳列棚として容易かつ確実に利用することができる。特に、一つのアオリX(例えばトラックの側方のアオリX)の両側(例えば前方と後方と)に一対の当該アオリ水平維持具1(当該アオリ水平維持具1ユニット)を配置することによって、より的確にアオリXの水平状態を維持できる。また、当該アオリ水平具は、前記第一部材31と前記第二部材50とが着脱可能に設けられ、前記第一部材31及び前記第二部材50のいずれか又は双方が複数種(例えば全長の異なる種類)が設けられているとよい。これにより全長が異なるものと取り換えて用いると大きな調整が可能である。
【0029】
さらに言及すると、一般的にトラックは空車時には、荷台前部が荷台後部によりも低くなっている(平均に最大積載荷重を積載すると前後高さが平均になる)ことが多く、また、積み荷がある場合には、積み荷の量、重さ、積み付け位置(積み荷の重心位置)などによって荷台の高さ位置が異なり、積み荷の積み下ろし作業において上記高さ位置が順次変わる。また、荷台とアオリXとは複数のヒンジで強固に連結されており、荷台の傾きや高さの変化は、アオリX及びアオリXを介してアオリ水平維持具1に伝わり、アオリXを捩じる力となる。当該アオリ水平維持具1は、このようなアオリXの取付けられる荷台の高さの変更に応じて上記高さ調節機構によって脚部30の高さの調節を行うことで確実に前記受け部10によってアオリXの水平状態を維持できる。また、路面には凹凸があり(特に圃場においては顕著である)、支持する場所によってアオリXの支持高さが異なり、また、例えば軽トラ市などにおいて軽トラを停車する車道と、アオリXを支持する歩道との高低差がある場合においても、上記高さ調節機構によって脚部30の高さの調節を行うことで確実に前記受け部10によってアオリXの水平状態を維持できる。
【0030】
また、当該アオリ水平維持具1は、前記脚部30が前記角度追従機構40を有しているので、地面が傾斜している等、前記脚部30の接地面と地面とが傾斜している場合であっても、前記角度追従機構40によって的確に接地面と地面との傾斜を吸収でき、安定して脚部30を接地できる。例えば、前記角度追従機構40を有さず接地面が四角形であり、略水平に支持されたアオリXと地面が平行ではない場合、接地面の四角形が一片の線あたり又は角の点あたりとなり、脚部30に曲げ応力や回旋力などを及ぼすおそれがあり、前記角度追従機構40を有することで前記おそれを軽減することができる。
【0031】
さらに、当該アオリ水平維持具1は、基本的構成が、L字状の受け部10と棒状の脚部30とからなるため、不使用時の運搬に際して省スペースである。
【0032】
[その他の実施形態]
前記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、前記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて前記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0033】
前記実施形態においては、図面等から一側方のアオリXを支持するものについて説明したが、後方のアオリXを支持することも可能である。また、前記実施形態においては、一つの当該アオリ水平維持具1で一つのアオリXの水平状態を保持するものについて説明したが、複数の当該アオリ水平維持具1(アオリ水平維持具セット)を用いて、一つのアオリX(例えば前後)を支持することも可能である。さらに、複数の当該アオリ水平維持具1を用いて、トラックの両側および後方のアオリXの水平状態を同時に維持することも可能である。さらに、アオリに加わる荷重が、軽荷重の場合には、一つの当該アオリ水平維持具1をアオリの前後方向中央に用いること、さらに荷重が増えると前後それぞれに当該アオリ水平維持具1を追加して用いることもできる。つまり、一対の当該アオリ水平維持具1を側方のアオリの前後、又は後方のアオリの左右に配すること、さらには、この一対の当該アオリ水平維持具1の中央に一つの当該アオリ維持具1を追加して配すること(合計3つの当該アオリ維持具1を用いること)も可能である。なお、当該アオリ水平維持具1は、脚部30がそれぞれ高さ調節機構を有するので、荷台の前後方向の高さの変位に応じて各位置において確実にアオリXを支持することができる。
【0034】
さらに。当該アオリ水平維持具1は、アオリXを上方から押さえる押さえ部材60を備えてもよい。具体的には、例えば
図9及び
図10に示すように、押さえ部材60として前記受け部10によって下方を支持されたアオリXの上方を押さえる部材を採用し、これによって前記受け部10によって支持されたアオリXがより安定する。この図示例の押さえ部材60は、前記脚部30の第一部材31に挿通される挿通部材61に、アオリX側に向けて突出して固定されている。図示例では、前記挿通部材61の両側に一対のL字状からなる押さえ部材60が設けられている(
図10参照)。これにより、前記挿通部材61と前記受け部10とによって安定してアオリXの水平状態を把持でき、また、前記挿通部材61の挿通を調整し押さえ部材60と前記受け部10との間隔を調節することで、アオリXの厚み(水平状態における上下幅)に対応してアオリXを把持できる。さらに、図示例の第一部材31には、前記第二部材50を固定するためと同様に、前記挿通部材61を固定するための穿孔63が形成されている。また、前記押さえ部材60を採用する場合にあっても、シャコ万力によって前記押さえ部材60と前記受け部10とを挟持することでアオリXを固定することも可能である。なお、シャコ万力を用いる場合は、押さえ部材60がなくともアオリXが受け部10と共締め(挟み締め)されることで、アオリXを簡単かつ確実に固定できる。
【0035】
また、当該アオリ水平維持具1は、
図11及び
図12に示すように、脚部30から上方に突出して取付けられる上方柱部材70を備えてもよい。この上方柱部材70は、例えば
図9等に示すようなパイプ状の前記挿通部材61に挿入され(
図12参照)、この上方柱部材70を用いて日よけ等の傘やシートを張る骨材を支持する柱としての設置、旗などの設置に利用することが可能となる。なお、前記上方柱部材70の固定方法は、特に限定されないが、例えば
図11及び
図12に示すようにボルトとナットとによる固定構造71を採用することが可能である。
【0036】
さらに、
図11及び
図12において上方柱部材70が押さえ部材60に固定されるものについて説明したが、
図13に示すように、当該アオリ水平維持具1が押さえ部材60を有さず、上方柱部材70を例えば脚部30の第一部材31に固定される構造を有し、脚部30の上方に、上部支柱部材70を取り付け可能な構造を備えるとよい。
【0037】
前記実施形態においては、
図1等に示すように受け部10の側方に脚部30を設けられ、脚部30の上方に他部材(例えば
図11等における押さえ部材60等)を設置できるものについて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば
図14に示すように、脚部30の上方に受け部10を設けることも可能である。
【0038】
また、受け部10としてL字状部材からなるものについて説明したが、これに限定されない。さらに、受け部10の当接面11aにゴム板などのすべり止めを設けることも可能である。軽トラックなどにおいてあおりの上端部にゴム部材が設けられていることもあるが、あおりの上端部にゴム部材がない場合には、前記当接面11aにゴム板を設けることで水平状態のアオリの支持を確実にすることができる。
【0039】
さらに、前記実施形態においては、上方の第一部材31に下方の第二部材50が挿通される形態について説明したが、下方の第一部材31(例えば筒体)に上方の第二部材50(受け部10が固定される側)が挿通される形態も採用可能である。
【0040】
また、前記実施形態においては、第二部材50が挿通される第一部材31として図示例の断面略C字状のものを例にとり説明したが、第一部材31の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、第二部材50をスライド可能に保持できる構造であり、角状、丸状などの管状、さらには
図15に示すような内部に環状の穿孔を有する略C型状であってもよい。
【0041】
さらに、前記実施形態においては、地面及び荷台高さなどに適切に適合するために脚部30が高さ調節機構を有するものについて説明したが、例えば
図16に示すように、地面にあて木などを配して高さ調節を行うことも可能である。
図16の示す例では、平板状の板80と、楔状の板81とを組み合わせて高さ調節を行うものを図示している。
【0042】
さらに、前記実施形態においては、第一部材31と第二部材50とのスライド機構を利用して無段階に高さを調節するものについて説明したが、本発明これに限定されるものではなく、高さ調節機構として、ピンが挿入可能な一又は複数のピン穴が前記第一部材31及び第二部材50に形成され、ピンを挿入する前記ピン穴の選択によって多段階の調節機構を採用することも可能である。具体的には、例えば、第一部材31に上下方向に位置の異なる複数のピン穴を形成しておき、第二部材50に一つのピン穴を形成し、スライドし適合するピン穴にピンを挿入することで、脚部30の伸縮状態を選択することも可能である。なお、第一部材31に一つのピン穴かつ第二部材50に複数のピン穴を形成することも可能であり、さらに、第二部材50の上端部に設けるピン穴について、直交する方向の第一部材31に設けるピン穴のピッチPの二分の一ピッチで直交する方向の二か所で設けると、調整ピッチが1/2になる。
【0043】
さらに、高さ調節機構として、
図17に示すように、前記脚部30が、下端にアジャスターボルト90を有する構成を採用することも可能である。この
図17に示すアジャスターボルト90は、地面に接地するように脚部30の下部に配されている。具体的には、このアジャスターボルト90は、第二部材50に挿通する外面に雄ネジを有する軸部と、この軸部に螺合され第二部材50の下端に当接する上方ナットと、前記軸部に螺合し共廻りを防止する下方ナットを有している。これにより、前記アジャスターボルト90を調節することで、無段階で前記脚部30の高さを調節することができる。そして、微少な高さ調節を行いやすく、荷台高さの変更等、高さ調節の必要に応じて、適宜高さ調節に対応しやすい。特に、アジャスターボルト90を採用し、前記実施形態のような第一部材31の開口縁の締め付けや、前記ピン穴による高さ調節とともに採用し、複数種の高さ調節機構を備えることで、荷台の積載量などの変更による微妙な高さ調節に対応しやすい。なお、前記アジャスターボルト90のみを脚部30の上下方向の長さを変更できる高さ調節機構として利用することも可能である。すなわち、前記実施形態のような第二部材50を設けずに第一部材31の下方にアジャスターボルトを設けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明に係るアオリ水平維持具は、比較的簡易な構成からなるので、コスト高を抑えるとともに容易かつ簡便に用いることができるので、例えば軽トラ市でのアオリの陳列利用、または農作業中の腰掛としての利用など種々の利用がなされる。
【符号の説明】
【0045】
1 アオリ水平維持具
10 受け部
11 底板
11a 当接面
13 側板
13a 当たり面
30 脚部
31 第一部材
31a ガイド突起
33 穿孔
40 角度追従機構
41 接地部材
41a 板状部
41b 柱部
41c 穿孔
43 回動軸
50 第二部材
51 フランジ部
51a フランジ
51b 穿孔
60 押さえ部材
61 挿通部材
63 穿孔
70 上方柱部材
71 固定構造
80,81 板
90 アジャスターボルト
X アオリ
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬車両のアオリの水平状態を維持するアオリ水平維持具であって、
水平状態のアオリを下方から支持すべく水平状態のアオリの下面に接する当接面を有する受け部、及び
前記受け部から下方に伸び地面に接地するように前記受け部に取付けられる脚部
を備え、
前記脚部が、上下方向の長さを変更できる高さ調節機構を有しており、
前記受け部が、前記当接面を上面に有する底板と、前記当接面から立設され水平状態の前記アオリの側端面と対向する当たり面を有する側板とを備えるL字状部材を有しており、正面視において前記当接面の幅が前記脚部の幅よりも大きいアオリ水平維持具。
【請求項2】
前記脚部の上方に、上部柱部材を取り付け可能な構造を備える請求項1に記載のアオリ水平維持具。
【請求項3】
前記脚部が、前記高さ調節機構として、断面略C状又は筒状に設けられ、前記受け部に固定される第一部材と、この第一部材にスライド可能に挿入される棒状の第二部材とを有し、
前記上部柱部材が、前記第二部材における軸方向の延長上で、前記第一部材に対して固定されている請求項2に記載のアオリ水平維持具。
【請求項4】
前記脚部が、前記高さ調節機構として、断面略C状又は筒状に設けられた第一部材と、この第一部材にスライド可能に挿入される棒状の第二部材とを有する請求項1に記載のアオリ水平維持具。
【請求項5】
前記第一部材が断面略C字状であり、対向する一対の開口縁を有し、
この一対の開口縁を締め付けることで前記第二部材が前記第一部材に固定される無段階の前記高さ調節機構が構成されている請求項3又は請求項4に記載のアオリ水平維持具。
【請求項6】
ピンが挿入可能な一又は複数のピン穴が前記第一部材及び第二部材に形成され、ピンを挿入する前記ピン穴の選択によって多段階の前記高さ調節機構が構成されている請求項3又は請求項4に記載のアオリ水平維持具。
【請求項7】
前記脚部が、下端にアジャスターボルトを有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアオリ水平維持具。
【請求項8】
前記脚部が、地面に対する接地面の角度が追従する角度追従機構を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載のアオリ水平維持具。