(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125885
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ウェーハ収納容器乾燥装置及び洗浄システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20240911BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H01L21/68 T
H01L21/304 651Z
H01L21/304 648E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034004
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】宮迫 久顕
(72)【発明者】
【氏名】西部 幸伸
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA37
5F131BB03
5F131CA32
5F131DA05
5F131DA22
5F131DA33
5F131DA43
5F131DB76
5F131GA14
5F131GA52
5F131GA74
5F131GA82
5F131GA92
5F131JA12
5F157AB02
5F157AB89
5F157CB28
5F157CC21
5F157CE51
(57)【要約】
【課題】乾燥槽の内部空間の容積の増大を抑制すること。
【解決手段】実施形態に係るウェーハ収納容器乾燥装置は、ウェーハを収納する収納空間であって、開口部に連通している収納空間を有し、ロボットにより把持されるフランジを有する本体、及び、前記開口部に対して開閉可能に装着されるドア、を有するウェーハ収納容器を乾燥する乾燥槽を有するウェーハ収納容器乾燥装置であって、前記乾燥槽は、開閉蓋により開閉可能な搬入搬出口と、前記本体を前記フランジが前記搬入搬出口側を向いた状態で収容する本体収容部と、前記本体を前記本体収容部に収容した状態において、前記本体より前記本体収容部の前記搬入搬出口側に設けられ、前記乾燥槽を平面視したときに、前記ドアの各辺が、前記搬入搬出口を形成する一辺に対し、直交および平行とならないように保持するドア保持部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを収納する収納空間であって、開口部に連通している収納空間を有し、ロボットにより把持されるフランジを有する本体、及び、前記開口部に対して開閉可能に装着されるドア、を有するウェーハ収納容器を乾燥する乾燥槽を有するウェーハ収納容器乾燥装置であって、
前記乾燥槽は、
開閉蓋により開閉可能な搬入搬出口と、
前記本体を前記フランジが前記搬入搬出口側を向いた状態で収容する本体収容部と、
前記本体を前記本体収容部に収容した状態において、前記本体より前記本体収容部の前記搬入搬出口側に設けられ、前記乾燥槽を平面視したときに、前記ドアの各辺が、前記搬入搬出口を形成する一辺に対し、直交および平行とならないように保持するドア保持部と、
を備える、ウェーハ収納容器乾燥装置。
【請求項2】
前記ドア保持部は、前記ドアの4つの角のうち対角線上の2角を保持するように設けられる、請求項1に記載のウェーハ収納容器乾燥装置。
【請求項3】
前記ドアは、前記搬入搬出口を介して前記ロボットにより搬入出され、
前記ドア保持部が設けられる、前記搬入搬出口を形成する対向する2辺と、前記ドア保持部に保持される前記ドアとの間に、前記ロボットの把持部が挿入される隙間が形成されている、請求項2に記載のウェーハ収納容器乾燥装置。
【請求項4】
前記ドア保持部は、前記搬入搬出口を形成する対向する2辺近傍にそれぞれ設けられ、前記ドア保持部間の間隔は、前記本体を前記フランジが前記搬入搬出口側を向いた状態で前記本体収容部に搬入及び前記本体収容部から前記本体を搬出することが可能な大きさであることを特徴とする請求項2または3に記載のウェーハ収納容器乾燥装置。
【請求項5】
請求項1に記載のウェーハ収納容器乾燥装置と、
前記ウェーハ収納容器を洗浄する洗浄槽と、
を備え、
前記乾燥槽は、前記洗浄槽で洗浄した前記ウェーハ収納容器を乾燥する、洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ウェーハ収納容器乾燥装置及び洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェーハを収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)やFOSB(Front Opening Shipping Box)等のウェーハ収納容器を洗浄、乾燥する洗浄システムがある。
【0003】
洗浄システムでは、洗浄システム内にウェーハ収納容器が搬送され、ロボットがウェーハ収納容器を把持した状態で洗浄槽に搬送する。そして、洗浄槽が、ウェーハ収納容器に対して洗浄処理を行う。そして、洗浄処理されたウェーハ収納容器の乾燥処理が同一の洗浄槽内において行われる。次に、乾燥処理されたウェーハ収納容器が、洗浄システム外へ搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ウェーハ収納容器本体上面には、ウェーハ収納容器本体をロボットハンドが把持するためのフランジが設けられており、洗浄槽では、当該フランジが洗浄槽の側面に対向した状態(つまりウェーハ収納容器のドアが嵌る箇所である開口部が下方となる状態)で槽内に配置され、洗浄及び乾燥が行われる。これは、開口部に対して交差する面にフランジが設けられているため、ウェーハの収納空間内の排水性の便宜上、フランジが洗浄槽の側面に対向するように配置せざるを得ないためである。そのため、ロボットハンドが洗浄槽内にウェーハ収納容器本体を搬送する場合、洗浄槽の側面とフランジとの間にはロボットハンドが入るための所定の空間が必要となる(例えば、特許文献1の「拡張部11」に当たる)。このため、洗浄槽の内部空間の容積が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、乾燥効率を向上させることができるウェーハ収納容器乾燥装置及び洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一態様に係るウェーハ収納容器乾燥装置は、ウェーハを収納する収納空間であって、開口部に連通している収納空間を有し、ロボットにより把持されるフランジを有する本体、及び、前記開口部に対して開閉可能に装着されるドア、を有するウェーハ収納容器を乾燥する乾燥槽を有するウェーハ収納容器乾燥装置であって、前記乾燥槽は、開閉蓋により開閉可能な搬入搬出口と、前記本体を前記フランジが前記搬入搬出口側を向いた状態で収容する本体収容部と、前記本体を前記本体収容部に収容した状態において、前記本体より前記本体収容部の前記搬入搬出口側に設けられ、前記乾燥槽を平面視したときに、前記ドアの各辺が、前記搬入搬出口を形成する一辺に対し、直交および平行とならないように保持するドア保持部と、を備える。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一態様に係る洗浄システムは、前記ウェーハ収納容器乾燥装置と、前記ウェーハ収納容器を洗浄する洗浄槽と、を備え、前記乾燥槽は、前記洗浄槽で洗浄した前記ウェーハ収納容器を乾燥する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、乾燥効率を向上させることができるウェーハ収納容器乾燥装置及び洗浄システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るウェーハ収納容器洗浄装置の概略構成の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るウェーハ収納容器乾燥装置の内部を透視した状態の側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るFOUP本体保持部の平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る乾燥槽の平面図(上面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するウェーハ収納容器乾燥装置及び洗浄システムの実施形態を詳細に説明する。なお、本願の開示するウェーハ収納容器乾燥装置は、以下の実施形態により限定されるものではない。以下の実施形態では、洗浄及び乾燥対象のウェーハ収納容器が、FOUPである場合を挙げて説明するが、洗浄及び乾燥対象のウェーハ収納容器はこれに限られない。例えば、洗浄及び乾燥対象のウェーハ収納容器は、FOSBであってもよい。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る洗浄システム1の概略構成の一例を示す平面図である。洗浄システム1は、例えば、半導体ウェーハを製造する工場内に設けられ、ウェーハ収納容器を洗浄し、乾燥する。
【0013】
図1に示すように、洗浄システム1は、ロードポート2、ロボット3、分解/連結ステージ4、洗浄槽5、ウェーハ収納容器乾燥装置6、アンロードポート7及び制御部8を備える。
【0014】
ロボット3、分解/連結ステージ4、洗浄槽5、ウェーハ収納容器乾燥装置6及び制御部8は、洗浄システム1のケーシング1aの内部に設けられている。一方、ロードポート2及びアンロードポート7は、洗浄システム1のケーシング1aの内部及び外部に跨って設けられている。
【0015】
ロードポート2は、ロードポート2のケーシング1aの外部の部分に載置された、洗浄及び乾燥対象となるFOUP20をケーシング1aの内部に搬入する。FOUP20は、FOUP本体(シェル)20aとドア(蓋)20bとを備える。FOUP本体20aは、開口部(FOUP本体開口部)と、半導体ウェーハを収納する収納空間とを有する。収納空間は、FOUP本体開口部よりも内側に存在し、FOUP本体開口部に連通する。ドア20bは、FOUP本体20aと分解/連結が可能であり、FOUP本体20aと連結した際にはFOUP本体開口部に対して開閉可能な状態で装着される。FOUP本体20aは、本体の一例である。FOUP本体20aにはフランジ20cが設けられている。フランジ20cは、FOUP20がOHT(Overhead Hoist Transport)やロボット3等により搬送される際に把持(保持)される部分であり、FOUP本体20aのFOUP本体開口部が設けられる面と交差する面に設けられる。
【0016】
例えば、ロードポート2のケーシング1aの外部の部分には、OHTにより搬送されたFOUP20が載置される。例えば、
図1に示すように、FOUP20のドア20bが、ケーシング1aの開口部1bに設けられたシャッター2aに対向するように、FOUP20が載置される。このようにしてロードポート2にFOUP20が載置されると、シャッター2aが上昇する。これにより、開口部1bからFOUP20がケーシング1aの内部に搬入可能な状態となる。すなわち、FOUP20が洗浄システム1の内部に搬入可能な状態となる。そして、ロードポート2のスライド装置によりFOUP20が、矢印2bの方向にスライドされる。これにより、FOUP20がケーシング1aの内部に搬入される。
【0017】
スライド装置によるスライドについて説明する。例えば、スライド装置に備えられたピンが、FOUP20の底部(載置面)に設けられた孔部に挿入されることによりFOUP20の載置面がスライド装置に固定される。この状態で、スライド装置が矢印2bの方向へスライドされることによりFOUP20も伴ってスライドされる。これにより、FOUP20は、ロードポート2のケーシング1aの内部の所定の部分上に載置された状態となる。このようにしてFOUP20がケーシング1aの内部に搬入されると、シャッター2aが下降して、ケーシング1aの開口部1bが閉じられる。スライド装置はピンとともにシャッター2aの下端(FOUP20の載置面)よりも低い位置まで降下し、ケーシング1aの外部の元の位置へ戻る。
【0018】
ロボット3は、FOUP20のフランジ20cを把持した状態でFOUP20を各部へ搬送する。ロボット3は、ロボットアーム3a及びロボットハンド3b(ロボット3の把持部)を備えている。ロボット3は、ロボットハンド3bにフランジ20cを把持させた状態で、ロボットアーム3aを伸縮させたり回転移動させたりすることで、FOUP20を各部へ搬送する。なお、ロボット3は、FOUP本体20aから分離(分解)されたドア20b単体を搬送する際には、ドア20bの両サイドを把持して搬送する。
【0019】
分解/連結ステージ4は、FOUP20をFOUP本体20aとドア20bとに分解(分離)したり、FOUP本体20aとドア20bとを連結したりする。分解/連結ステージ4上にはラッチキー4aが設けられている。このラッチキー4aがFOUP20のドア20bに形成されたキー穴に挿入された状態で回転することで、FOUP20がFOUP本体20aとドア20bとに分解されたり、FOUP本体20aとドア20bとが連結されたりする。例えば、分解/連結ステージ4には、ケーシング1aの内部に搬入されたFOUP20がロボット3により搬送される。この場合、分解/連結ステージ4は、FOUP20をFOUP本体20aとドア20bとに分解する。なお、分解は、アンロックと言い換えることができ、連結は、ロックと言い換えることができる。
【0020】
洗浄槽5は、FOUP20を洗浄する槽である。例えば、洗浄槽5には、FOUP本体20aとドア20bとが別々にロボット3により搬送される。そして、洗浄槽5は、FOUP本体20aとドア20bとを別々に保持した状態で、FOUP20に対して洗浄処理を行う。例えば、洗浄槽5は、洗浄槽5の蓋部分にドア20bを、洗浄槽5の槽部分(洗浄槽5の洗浄槽本体)にFOUP本体20aを保持し、不図示の回転機構によってこれらを回転させながら、FOUP本体20a及びドア20bのそれぞれに対して、洗浄液ノズルにより洗浄液(例えば純水)を吐出することにより、FOUP20の洗浄を行う。なお、洗浄槽5は、洗浄液の排出性を考慮して、FOUP本体20aのFOUP開口部を下方へ向けて配置することが好ましい。
【0021】
洗浄槽5においてFOUP20の洗浄が完了すると、続けて洗浄槽5内でFOUP本体20aおよびドア20bを回転させ、これらに対してドライエアを吹き付けて乾燥を行う。ここでの洗浄槽5内における乾燥は、FOUP20に付着した洗浄液を概ね乾燥させる処理(仮乾燥)である。洗浄槽5においてFOUP20の仮乾燥が完了すると、ロボット3は、洗浄槽5内のFOUP本体20aとドア20bとを別々にウェーハ収納容器乾燥装置6に搬送する。
【0022】
ウェーハ収納容器乾燥装置6は、FOUP20を真空乾燥(本乾燥)する装置である。ウェーハ収納容器乾燥装置6においてFOUP20の真空乾燥が完了すると、ロボット3は、ウェーハ収納容器乾燥装置6内のFOUP本体20aとドア20bとを別々に分解/連結ステージ4上に搬送する。そして、分解/連結ステージ4は、FOUP本体20aとドア20bとを連結する。なお、ウェーハ収納容器乾燥装置6の詳細については後述する。
【0023】
アンロードポート7は、アンロードポート7のケーシング1aの内部の部分にロボット3により載置された洗浄済みであり真空乾燥済みであるFOUP20をケーシング1aの外部に搬出する。
【0024】
例えば、アンロードポート7のケーシング1aの内部の部分には、真空乾燥後に、分解/連結ステージ4においてFOUP本体20aとドア20bとが連結されたFOUP20がロボット3により搬送されて載置される。このようにしてアンロードポート7にFOUP20が載置されると、ケーシング1aの開口部1cに設けられたシャッター7aが上昇する。これにより、開口部1cからFOUP20がケーシング1aの外部に搬出可能な状態となる。すなわち、FOUP20が洗浄システム1の外部に搬出可能な状態となる。そして、アンロードポート7のスライド装置(ロードポート2のスライド装置と同様の機構を有する)によりFOUP20が、矢印7bの方向にスライドされることにより、FOUP20がケーシング1aの外部に搬出される。このようにしてFOUP20がケーシング1aの外部に搬出されると、シャッター7aが下降して、ケーシング1aの開口部1cが閉じられる。
【0025】
制御部8は、洗浄システム1全体の動作を制御する。例えば、制御部8は、ロードポート2、ロボット3、分解/連結ステージ4、洗浄槽5、ウェーハ収納容器乾燥装置6及びアンロードポート7を制御することにより、上述したように、ロードポート2、ロボット3、分解/連結ステージ4、洗浄槽5、ウェーハ収納容器乾燥装置6及びアンロードポート7を動作させる。
【0026】
例えば、制御部8は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)と、通信インタフェースと、を備える。これらは、内部バスを介して接続されている。
【0027】
CPUは、RAMの記憶領域を各種の処理に用いられるデータの一時的な保存領域として用いながら、各種の処理を実行する。ROM及びHDDには各種の処理を実行するためのプログラムや、各種の処理を実行する際に用いられる各種のデータベースや各種のテーブル等が記憶されている。通信インタフェースは、洗浄システム1の上述した各部と通信を行うとともに、洗浄システム1とネットワークを介して接続された外部の装置と通信を行うためのインタフェースである。例えば、通信インタフェースは、ネットワークインタフェースカードである。
【0028】
次に、本実施形態に係るウェーハ収納容器乾燥装置6の一例について説明する。
図2は、実施形態に係るウェーハ収納容器乾燥装置6の内部を透視した状態の側面図である。
図2は、ウェーハ収納容器乾燥装置6の概略的な模式図である。
図2の例では、ウェーハ収納容器乾燥装置6の一部の側面の図示が省略され、ウェーハ収納容器乾燥装置6の乾燥槽6aの内部が示されている。また、
図2の例では、乾燥槽6aの開閉蓋6dにより乾燥槽本体6cの開口部(乾燥槽開口部)6xが閉じられた状態が示されている。
【0029】
図2に示すように、ウェーハ収納容器乾燥装置6は、乾燥槽6aと、粗びきバルブ(ドライポンプ)6bと、粗びきバルブ6bに接続される排気口6gと、排気管6pと、排気管6pの下方に排気管6pに接続された不図示のメインバルブ及びターボ分子ポンプとを備える。
【0030】
乾燥槽6aは、FOUP20を真空乾燥する。具体的には、乾燥槽6aは、洗浄槽5で洗浄したFOUP20を真空乾燥する。乾燥槽6aは、乾燥槽本体6cと、開閉蓋(蓋部)6dと、ドア保持部6eと、ヒータ6fと、反射板6nと、FOUP本体保持部6kとを備える。
【0031】
ここで、乾燥槽6aにおいては、洗浄槽5のように洗浄液の排出性を考慮する必要がないため、FOUP本体20aのFOUP開口部を下方へ向けて配置する必要がない。また、真空排気をするために乾燥槽6aの内部空間の容積を可能な限り小さくすることが好ましい。そこで、本実施形態に係る乾燥槽6aは、内部空間の容積を可能な限り小さくすることが可能なように、以下に説明するように構成されている。
【0032】
乾燥槽本体6cは、上方に乾燥槽開口部6xを有するとともに、FOUP本体20aを載置する乾燥空間6yとを有する。具体的には、例えば、乾燥槽本体6cの内部空間は、乾燥槽開口部6x及び乾燥空間6yを含む領域である。開閉蓋6dは、乾燥槽本体6cの上方に設けられている。具体的には、乾燥槽本体6cの乾燥槽開口部6xに対して開閉可能に設けられている。開閉蓋6dは、例えば、エアシリンダが動作することにより乾燥槽本体6cの乾燥槽開口部6xを開閉する。すなわち、乾燥槽開口部6xは、開閉蓋6dにより開閉可能である。
【0033】
乾燥槽本体6cの内部の乾燥空間6yは、乾燥槽開口部6xよりも内側に存在し、乾燥槽開口部6xに連通する。乾燥槽開口部6xに対して開閉蓋6dが開けられた状態で、ロボット3により、乾燥槽開口部6xからFOUP本体20aが乾燥空間6yに搬入される。この際、ロボット3は、フランジ20cが上側を向いた状態で、FOUP本体20aを乾燥空間6yに搬入する。そして、乾燥槽本体6cの乾燥空間6yには、搬入されたFOUP本体20aを保持するFOUP本体保持部6kが設けられている。ここで、FOUP本体保持部6kは、FOUP本体20aのフランジ20cが上側を向いた状態で、FOUP本体20aを保持する。すなわち、FOUP本体保持部6kは、フランジ20cが乾燥槽本体6cの乾燥槽開口部6x側を向いた状態で、FOUP本体20aを保持する。また、FOUP本体保持部6kは、FOUP本体20aの開口部が乾燥槽本体6cの側壁(側面)に対向する状態で、FOUP本体20aを保持する。このようにして、FOUP本体保持部6kがFOUP本体20aを保持することにより、乾燥槽本体6cの乾燥空間6yにFOUP本体20aが収容される。このような乾燥槽本体6cが備える乾燥空間6yは、FOUP本体20aを収容する本体収容部の一例である。
【0034】
図3は、実施形態に係るFOUP本体保持部6kの平面図である。
図3に示すように、FOUP本体保持部6kは板状の部材であり、複数のピン(キネマティックピン)6k1が設けられる。これらのピン6k1は、FOUP本体20aの底部(フランジ20cが設けられる面と対向する面)に設けられる孔に対応する位置に設けられる。FOUP本体20aの底部に設けられる孔の位置は、予め規格で定められている。
【0035】
FOUP本体保持部6kは、複数のピン6k1を介してFOUP本体20aの底部との間に隙間を形成するようにしてFOUP本体20aを保持する。FOUP本体保持部6kには孔6k2が設けられており、この孔6k2を介して、乾燥槽本体6cに形成された排気口6m(
図2参照)とFOUP本体20aの底部の下方空間とが連通している。具体的には、排気口6mと排気管6pとが接続されている。このように、FOUP本体20aの下方空間と排気口6mの間を連通させることにより、排気口6mからの排気を妨げない構成になっている。これにより、乾燥槽6aの排気効率が向上し、ひいては乾燥槽6aの乾燥効率が向上する。
【0036】
上述したように、ロボット3は、フランジ20cが上側を向いた状態で、FOUP本体20aを乾燥空間6yに搬入する。このため、乾燥槽本体6cの側面とFOUP本体20aとの間にロボット3(より具体的にはロボットハンド3b)が入るための比較的大きな空間を設ける必要がなく、乾燥槽本体6cの側面とFOUP本体20aとの間の隙間を洗浄槽5と比較して狭くすることが可能になる。すなわち、乾燥槽本体6cの内部の容積(例えば、乾燥槽開口部6xと乾燥空間6yとを合わせた空間の容積)のサイズを、FOUP本体20aが入るサイズで、かつ、余分な空間がないサイズとすることができる。したがって、本実施形態に係るウェーハ収納容器乾燥装置6によれば、乾燥槽6aの内部空間の容積の増大を抑制することができる。
【0037】
乾燥槽6aの容積増大を抑制することにより、乾燥槽6a内部空間を速く排気することができ、目標の真空度まで排気する時間を短縮することができる。これによって、FOUP20の乾燥処理効率を向上させることができる。
【0038】
なお、前述のとおり、乾燥槽6aに搬入されたFOUP20は、すでに洗浄槽5において仮乾燥を終えており、乾燥槽6aにおいてより確実に乾燥処理(本乾燥)を行うことを目的としている。
【0039】
ドア保持部6eは、乾燥槽開口部6xに設けられ、ロボット3により搬送されたドア20bを保持する。本実施形態では、
図2に示すように2つのドア保持部6eが設けられるが、ドア保持部6eの数はこれに限られない。
【0040】
本実施形態では、乾燥槽開口部6xに対して開閉蓋6dが開けられた状態で、ロボット3により、FOUP本体20aが乾燥空間6yに搬入された後に、ドア20bが乾燥槽開口部6xに搬入される。ドア保持部6eは、このようにして搬入されたドア20bを保持する。なお、FOUP20に対する真空乾燥が完了した後は、ドア保持部6eにより保持されたドア20bがロボット3により搬出される。このように、ドア20bは、乾燥槽開口部6xを介してロボット3により搬入出される。そして、FOUP本体保持部6kにより保持されたFOUP本体20aがロボット3により搬出される。したがって、乾燥槽開口部6xは、ロボットによるFOUP20の搬入口でもあり、搬出口でもある。よって、乾燥槽開口部6xは、搬入搬出口の一例である。
【0041】
また、FOUP本体保持部6kによりFOUP本体20aが保持された状態で、FOUP本体20aの開口部に対向する、乾燥槽6aの側壁(側面)の位置に、乾燥槽6aの内部空間を真空にするための排気口6gが設けられている。本実施形態では、ウェーハ収納容器乾燥装置6は、FOUP本体保持部6kによりFOUP本体20aが保持され、ドア保持部6eによりドア20bが保持され、乾燥槽開口部6xを開閉蓋6dが閉じた状態で、乾燥槽本体6cの内部空間を、排気口6g及び粗びきバルブ6bを介して真空引き(粗引き)するとともに、排気口6m、排気管6p及びメインバルブを介してターボ分子ポンプにより真空引き(本引き)しながらヒータ6fで加温することで、FOUP本体20a及びドア20bを真空乾燥する。ここで、反射板6nは、ヒータ6fからの熱が乾燥槽本体6cの内部空間全体に行き渡るように、ヒータ6fからの熱を反射する。これにより、乾燥槽本体6cの内部空間を効率よく加温させることができる。
【0042】
次に、本実施形態に係るドア保持部6eについて説明する。
図4は、実施形態に係る乾燥槽6aの平面図(上面図)である。ただし、
図4では、開閉蓋6dの図示が省略されている。また、
図4では、ドア20bを二点鎖線で示している。
図4は、ウェーハ収納容器乾燥装置6の構成要素についての概略的な模式図である。
図4に示すように、乾燥槽6aを平面視(上面視)した場合に、ドア20bの形状は、4つの辺20bA1,20bA2,20bB1,20bB2により構成される四角形又は略四角形である。短辺である辺20bA1、20bA2の長さは、長辺である辺20bB1、20bB2の8割程度の長さを有する。また、平面視した場合に、乾燥槽本体6cの乾燥槽開口部6xを形成する側面の形状も、4つの辺6cA1,6cA2,6cB1,6cB2により構成される四角形又は略四角形である。
【0043】
このように、ドア20bの形状及び乾燥槽開口部6xの形状を四角形又は略四角形とみなすことができる。そして、本実施形態において、FOUP本体保持部6kによりFOUP本体20aが保持された状態において、辺6cA1が延びる方向と平行な方向におけるFOUP本体20aの長さAは、辺6cB1が延びる方向と平行な方向におけるFOUP本体20aの長さBよりもわずかに長い。これは、FOUP本体20aは、
図4に示すように、辺6cB1が延びる方向と平行な方向に2つのハンドル20hを備えているからである。
【0044】
また、本実施形態では、ドア20bの辺20bB1の長さは、上述した長さAと同程度であり、ドア20bの辺20bA1の長さは、上述のとおりドア20bの辺20bB1の8割程度であることから、長さAよりもわずかに短い長さとなる。例えば、ドア20bの辺20bA1の長さは307mm、辺20bB1の長さは365mmである。
【0045】
本実施形態では、
図4に示すように、乾燥槽6aを平面視したときに、ドア保持部6eは、ドア20bの各辺が、乾燥槽開口部6xを形成する一辺に対し、直交および平行とならないようにドア20bを保持する。例えば、ドア保持部6eは、辺20bA1が辺6cA1に対し、直交及び平行とならないように、ドア20bを保持する。また、ドア保持部6eは、辺20bA2が辺6cA2に対し、直交及び平行とならないように、ドア20bを保持する。また、ドア保持部6eは、辺20bB1が辺6cB1に対し、直交及び平行とならないように、ドア20bを保持する。また、ドア保持部6eは、辺20bB2が辺6cB2に対し、直交及び平行とならないように、ドア20bを保持する。
【0046】
ドア保持部6eには、平面視において四角形又は略四角形の形状を有するドア20bの角に沿うように段差6e1が形成されている。この段差6e1を平面視した場合に、段差6e1が辺6cA1,6cA2に対して傾斜するようにドア保持部6eに段差6e1が形成されている。すなわち、ドア保持部6eの段差6e1を平面視した場合に、段差6e1が辺6cA1,6cA2に対して直交及び平行とならないようにドア保持部6eに形成されている。
【0047】
ここで、仮に、ドア20bの各辺が乾燥槽開口部6xを形成する一辺に対し、直交又は平行となるようにドア保持部6eがドア20bを保持する場合について説明する。この場合、例えば、ドア保持部6eは、辺20bA1が辺6cA1に対し、平行となるように、ドア20bを保持する。また、ドア保持部6eは、辺20bA2が辺6cA2に対し、平行となるように、ドア20bを保持する。また、ドア保持部6eは、辺20bB1が辺6cB1に対し、平行となるように、ドア20bを保持する。また、ドア保持部6eは、辺20bB2が辺6cB2に対し、平行となるように、ドア20bを保持する。このようにして、ドア保持部6eがドア20bを保持しようとする場合、ドア保持部6eの位置が、
図4に示すドア保持部6eの位置よりも内側に位置することになる。この場合、ロボット3がFOUP本体20aを乾燥空間6yに搬入しようとしても、ドア保持部6eとFOUP本体20aとが互いに干渉してしまい、FOUP本体20aを乾燥空間6yに搬入することが困難になってしまう。
【0048】
一方、本実施形態によれば、上述したように、ドア保持部6eは、ドア20bの各辺が、乾燥槽開口部6xを形成する一辺に対し、直交および平行とならないようにドア20bを保持する。ドア20bの長辺20bB1、20bB2よりも、ドア20bの対角線の方が長い。このため、ドア20bの長辺20bB1、20bB2を、乾燥槽開口部6xの辺6cB1、6cB2と平行に配置した場合と比較して、ドア20bを斜めに配置した方が辺6cB1、6cB2の長さを短くすることができる。また、FOUP本体20aの、辺6cB1、6cB2に沿う方向の長さが、長さBおよびドア20bの辺20bB1、20bB2の長さと略同じである。これによって
図4に示すように、辺6cB1、6cB2におけるドア20bの角部分を、FOUP本体20aの配置されている箇所よりも外側(辺6cA1、6cA2に近い側)へ配置させることができる。ドア20bの角部分を支持するように、辺6cA1、6cA2に隣接させてドア保持部6eを配置すると、一対のドア保持部6e間にFOUP本体20aが通過可能な空間を確保することができる。この空間を確保することができるため、FOUP本体20aの搬入・搬出の際に、ドア保持部6eとFOUP本体20aとの干渉を避ける目的でドア保持部6eに退避機構などを設ける必要がなく、簡易な構成で、FOUP本体20aとドア20bの搬入・搬出を容易に行うことができる。
【0049】
なお、ドア保持部6eと、搬入されるFOUP本体20aとが干渉しないようにするためには、乾燥槽6aの内部空間において、FOUP本体20aよりもドア20bが下側に配置されるように、乾燥槽6aがFOUP本体20a及びドア20bを保持することも考えられる。しかしながら、この場合、ドア20bを乾燥槽6aの底部に載置するために、ロボット3(より具体的にはロボットアーム3a)を乾燥槽6aの底部にまで進入させる必要がある。このため、ロボット3(より具体的にはロボットアーム3a)が乾燥槽6aと接触する可能性が高くなり、ロボットアーム3aによって乾燥槽6a内の部品を傷つけるリスクが高くなってしまう。一方、本実施形態のように、乾燥槽6aの内部空間において、フランジ20cが上側を向いた状態で、ドア20bよりもFOUP本体20aが下側に配置される場合には、ロボット3が乾燥槽6aに進入する位置で、最も深い位置がフランジ20cの位置となる。このように、本実施形態では、比較的浅い位置にあるフランジ20cまでロボット3が移動するだけでよいので、ロボット3が乾燥槽6aと接触してしまうリスクを低くすることができる。
【0050】
また、本実施形態では、
図4に示すように、2つのドア保持部6eが設けられている。そして、2つのドア保持部6eの段差と、ドア20bの4つの角のうち対角線上の2角とが係合されることにより、2つのドア保持部6eは、ドア20bの対角線上の2角を保持する。このようにして、ドア20bの対角線上の2角がドア保持部6eにより保持されることにより、乾燥槽6aに対するドア20bの位置決めを行うことができる。
【0051】
また、
図4に示すように、乾燥槽開口部6xの、辺6cB1および6cB2に対してドア20bの長辺20bB1、20bB2を平行に配置せずに斜めに配置することにより、乾燥槽開口部6xを形成する対向する2つの辺6cA1及び辺6cA2のそれぞれと、ドア保持部6eに保持されるドア20bとの間に、隙間60,61が自ずと形成されることになる。隙間60,61は、ロボット3によりドア20bが保持されることを可能にするための空間(ロボットアーム3aが挿入される空間)である。したがって、本実形態によれば、辺6cA1、6cA2間の距離は、FOUP本体20aの搬入・搬出が可能な大きさとすることができ、かつ、ロボット3が、隙間60,61に入ってドア20bを把持することが可能となる。これにより、乾燥槽6aの容積増大を抑制することができる。
【0052】
上述したように、本実施形態に係る2つのドア保持部6eは、乾燥槽開口部6xを形成する対向する2辺(辺6cA1、6cA2)近傍にそれぞれ設けられる。そして、2つのドア保持部6eの間隔は、FOUP本体20aをフランジ20cが上方(上側)を向いた状態で乾燥空間6yに搬入及び乾燥空間6yからFOUP本体20aを搬出することが可能な大きさである。
【0053】
なお、FOUP20の種類に応じてドア20bの大きさが異なる場合がある。このため、制御部8は、FOUP20の種類に応じてドア保持部6eの位置を自動で調整してもよい。これにより、ドア保持部6eは、様々な大きさのドア20bを保持することができる。また、ユーザの手動により、ドア保持部6eの位置を調整してもよい。
【0054】
以上、実施形態に係るウェーハ収納容器乾燥装置6及び洗浄システム1について説明した。上述したように、ウェーハ収納容器乾燥装置6及び洗浄システム1によれば、乾燥槽6aの内部空間の容積の増大を抑制することができ、これにより乾燥効率を向上させることができる。
【0055】
ここで、FOUP20は樹脂製で耐熱性が低いため、例えばヒータ6fの温度設定を90度程度にとどめる必要がある。つまり、ヒータ6fの温度設定に上限があるので、ヒータ6fの設定温度を高くすることによってFOUP20の乾燥効率を向上させるには限界がある。乾燥槽6aの内部空間の容積が小さいほうが温度設定の上限がある状況においても内部空間内を速く温めることができ、これによりFOUP20を速く乾燥させることができる。
【0056】
また、上述した実施形態の乾燥槽6aのように真空下においてFOUP20を乾燥する際には、乾燥槽6aの内部空間の容積が小さいほうが排気に必要な時間が短縮できるため、FOUP20を速く乾燥させることができる。つまり、乾燥槽6aの内部空間の容積の増大を抑制することにより、乾燥効率を向上させることができる。
【0057】
なお、上記の実施形態においては、洗浄液として純水を例示したが、これに限らず、界面活性剤を含む洗浄液や、ガスを溶解させた液体などであっても良い。二流体ノズルを用いて二流体を洗浄液として供給するようにしてもよい。
【0058】
また、上記の実施形態においては、洗浄槽5において仮乾燥を行うことを例示したが、これに限らず、仮乾燥を行うことなく、乾燥槽6aによる本乾燥のみを行うようにしてもよい。また、仮乾燥は、ドライエアを吹き付けることを例示したが、これに限らず、FOUP20を回転させ、遠心力により洗浄液を飛ばすようにして仮乾燥を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 洗浄システム
6 ウェーハ収納容器乾燥装置
6a 乾燥槽
6c 乾燥槽本体
6d 開閉蓋
6e ドア保持部
6x 乾燥槽開口部
6y 乾燥空間
20 FOUP
20a FOUP本体
20b ドア
20c フランジ